JP2004225649A - 車両用始動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低電圧電源若しくは高電圧電源を切り換えて電力源とする一方で、マグネットスイッチの性能の低下を防止することができる車両用始動装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、低電圧電源12と高電圧電源14とを備えた車両に適用される車両用始動装置10であって、低電圧電源12又は高電圧電源14の何れか一方を選択的に電力源として動作し、エンジンを始動させる動力を発生するスタータモータ3と、スタータモータ3の発生する動力を、エンジン側のギヤ8に伝達するギヤ機構4,9,10,18と、低電圧電源12を電力源として動作し、ギヤ機構4,9,10,18とエンジン側のギヤ8との接続状態を実現すると共に、スタータモータ3と前記選択された電力源との導通状態を実現するマグネットスイッチ6とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、低電圧電源12と高電圧電源14とを備えた車両に適用される車両用始動装置10であって、低電圧電源12又は高電圧電源14の何れか一方を選択的に電力源として動作し、エンジンを始動させる動力を発生するスタータモータ3と、スタータモータ3の発生する動力を、エンジン側のギヤ8に伝達するギヤ機構4,9,10,18と、低電圧電源12を電力源として動作し、ギヤ機構4,9,10,18とエンジン側のギヤ8との接続状態を実現すると共に、スタータモータ3と前記選択された電力源との導通状態を実現するマグネットスイッチ6とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低電圧電源と高電圧電源とを備えた車両に適用される車両用始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、車両の電気負荷の増大に伴って、既存の低電圧電源とは別に、エネルギの回収効率の良い高電圧電源を車両に搭載する提案がなされている。また、近年では、車両が交差点等で一時的に停止したとき、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップを実行し、排気ガスの減少や燃費の向上を図る提案がなされている。
【0003】
ところで、エンジンを始動させるスタータは、静止慣性の大きいエンジンを回転させるものであるために、比較的大きな消費電力を必要とする。従って、スタータの電力源は、低電圧電源よりも、エネルギの回収効率の良い高電圧電源であることが望ましい。また、アイドルストップ後のエンジン再始動時に高電圧電源を利用すると、低電圧電源を利用する場合に比して、より高速にエンジンを駆動することができるため、エンジンの始動時間の短縮を図ることが可能となる。
【0004】
このような観点から、従来より、エンジンの通常始動時には、低電圧電源によりスタータを駆動すると共に、アイドルストップ後のエンジン再始動時には、高電圧電源よりスタータを駆動することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−08904号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用始動装置(スタータ)としては、ピニオンを電磁力により押し出してエンジン側のリングギヤと噛合させる押し出し式の車両用始動装置が多用されている。この種のスタータは、スタータモータ、マグネットスイッチ、スタータクラッチ、ピニオン等を具備しており、エンジンのシリンダブロックに配設されている。ここで、スタータモータは、低電圧電源若しくは高電圧電源を電力源として、ピニオンが配設されたピニオンシャフトを回転させる構成とされている。また、マグネットスイッチも同様に、低電圧電源若しくは高電圧電源を電力源として、ピニオンがリングギヤと噛合する位置までピニオンシャフトを移動させる構成とされている。
【0007】
しかしながら、上述の従来のスタータのように、2つの電源を切り換えてスタータのマグネットスイッチへの給電を行う場合、マグネットスイッチの安定した作動性能が得られないという不都合が生ずる。即ち、スタータのマグネットスイッチは、ソレノイドコイルが発生する吸引力と、吸引力により伸縮するばねの荷重とのバランスにより、本来の性能が発揮できる適正な電圧範囲が決定されているため、2つの電源の双方若しくは何れか一方が当該適正な電圧範囲外である場合には、マグネットスイッチの性能が低下するという不都合が生ずる。
【0008】
より具体的には、適正な電圧範囲外の電圧がマグネットスイッチに印加されると、ピニオンシャフトの押し出し動作とスタータモータへの通電タイミングとの関係が不適切となり、ピニオンとリングギヤとの間で適切な噛合が実現されない状態でスタータモータの回転が開始されることになる。この結果、ピニオンとリングギヤとが不完全に噛み合った状態で回転してしまい、マグネットスイッチの性能の低下(始動性の悪化等)や耐久性の低下(ギヤの磨耗等)という問題点が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、低電圧電源若しくは高電圧電源を切り換えて電力源とする一方で、マグネットスイッチの性能の低下を防止することができる、車両用始動装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、低電圧電源と高電圧電源とを備えた車両に適用される車両用始動装置であって、
前記低電圧電源又は前記高電圧電源の何れか一方を選択的に電力源として動作し、エンジンを始動させる動力を発生するスタータモータと、
前記スタータモータの発生する動力を、エンジン側のギヤに伝達するギヤ機構と、
前記低電圧電源を電力源として動作し、前記ギヤ機構と前記エンジン側のギヤとの接続状態を実現すると共に、前記スタータモータと前記選択された電力源との導通状態を実現するマグネットスイッチとを備えることを特徴とする、車両用始動装置により達成される。
【0011】
本発明において、スタータモータは、低電圧電源(例えば、鉛バッテリ)又は高電圧電源(例えば、リチウムイオンバッテリ)から選択的に給電され、エンジンを始動させる動力を発生する。一方、マグネットスイッチは、低電圧電源から給電され、ギヤ機構(ピニオンギヤ等)とエンジン側のギヤ(即ち、リングギヤ)との接続状態を実現すると共に、スタータモータと選択された電力源との導通状態を実現する。本発明によれば、マグネットスイッチには略一定の電圧が印加されるので、異なる電圧が印加された場合に生ずる性能の低下、即ち、ギヤ機構とエンジン側のギヤとの適切な接続状態が実現される前にスタータモータが始動してしまう等の不都合が生じることがなく、安定したエンジン始動性を実現することができる。
【0012】
また、請求項2に記載する如く、前記スタータモータが、通常的なエンジン始動時には、前記低電圧電源を電力源とし、アイドルストップ実行後のエンジン再始動時には、前記高電圧電源を電力源とする場合には、充電効率の向上と共にエンジンの始動時間の短縮が可能となる一方で、安定したエンジン始動性を実現することができる。
【0013】
また、請求項3に記載する如く、前記低電圧電源が、定格電圧が12Vの鉛バッテリである場合には、一般的な車両に搭載される鉛バッテリ用に設計された既存の車両用始動装置を、2つの電源を切り換えて使用する車両に搭載した場合であっても、安定したエンジン始動性を得ることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例である車両用始動装置10(スタータ)に関連するシステム構成図を示す。図1に示す如く、本システムは、2つのバッテリ12,14を備えている。本実施例では、バッテリ12は、12V程度の電圧を有する鉛バッテリ(低電圧電源)であり、一方、バッテリ14は、14.5V〜15.7V程度の電圧を有するリチウムイオンバッテリ(高電圧電源)である。尚、鉛バッテリ12は、リチウムイオンバッテリ14に比して、単位体積当たりに取り出せる出力(出力密度;単位はW/l)が高い一方、単位体積当たりに取り出せるエネルギ(エネルギ密度;単位はWh/l)が低いバッテリである。
【0016】
エンジンには、電子制御ユニット49(以下、「EFI・ECU49」という)が接続されている。EFI・ECU49は、各種アイドルストップの許可条件(例えば、エンジン冷却水温度に関する条件や、バッテリの温度等に関する条件、エンジン回転数に関する条件)の成立状況を確認して、最終的にアイドルストップの実行条件が成立するか否かを判定する。最終的にアイドルストップの実行条件が成立した場合、運転者がイグニッションスイッチ17をIGオン状態からオフ状態へ移行させることなく燃料噴射や点火等の実行が停止され、エンジンが運転状態から停止状態へ移行される。
【0017】
アイドルストップ中、即ちエンジンが一時的に停止状態にある間、EFI・ECU49は、車両がAT車である場合は変速機のシフト位置が“N”レンジから“D”レンジ又は“R”レンジに移行したか否か或いはブレーキ操作が解除されたか否か、また、車両がMT車である場合はクラッチペダルが踏み込まれたか否かに基づいて、アイドルストップの解除条件が成立するか否を判定する。その結果、アイドルストップの解除条件が成立した場合は、後述する如く、運転者がイグニッションスイッチ17をIGオン状態からスタータオン状態に移行させることなく車両用始動装置10が作動状態となり、エンジンが再始動される。
【0018】
EFI・ECU49には、エンジンの回転により発電する直流発電機(オルタネータ)20が接続されている。EFI・ECU49は、燃費の効率化を図るべく、車両の走行状態に応じて直流発電機20の発電電圧を制御する。具体的には、定常走行時やアイドル運転時には、直流発電機20の発電電圧は、所定の範囲内で調整される。また、車両減速時には、直流発電機20の発電電圧は、定常走行時やアイドル運転時に比して大きな値に調整される。また、車両加速時には、アイドルストップ中(即ち、エンジン停止中)と同様、直流発電機20の発電電圧はゼロになる(即ち、発電が行われない)。
【0019】
直流発電機20には、負荷26及び鉛バッテリ12が接続されると共に、リチウムイオンバッテリ14がDC/DCコンバータ22を介して接続されている。直流発電機20が発生する電気エネルギは、負荷26の電力源として用いられると共に、鉛バッテリ12及び/又はリチウムイオンバッテリ14の充電に用いられる。
【0020】
負荷26には、直流発電機20及び鉛バッテリ12が接続されると共に、リチウムイオンバッテリ14がDC/DCコンバータ22を介して接続されている。負荷26には、各種補機、及び、アクセルやブレーキ等のいわゆるバイワイヤシステムが含まれる。尚、補機には、ヘッドランプ、フォグランプ、コーナリングシグナルランプ、コーナーランプ等のランプ類、エアコン等の空調装置、オーディオ、カーナビゲーション、ABSシステム、オイルポンプ、メータ類、デフォガ、ワイパ、パワーウィンド等が含まれる。各補機および各バイワイヤシステムは、エンジン作動時には主に直流発電機20から電力供給され、一方、アイドルストップ中のようなエンジン停止時には主にリチウムイオンバッテリ14から電力供給される。
【0021】
DC/DCコンバータ22は、双方向DC/DCコンバータであり、内蔵するパワートランジスタのスイッチング動作に従って、鉛バッテリ12側の電圧を昇圧してリチウムイオンバッテリ14側へ供給し、或いは、リチウムイオンバッテリ14側の電圧を降圧して鉛バッテリ12側へ供給する。
【0022】
図2は、本発明の一実施例である車両用始動装置10の構成図を示す。図2に示す如く、車両用始動装置10は、スタータモータ3、スタータクラッチ4、ピニオンシャフト5、マグネットスイッチ6等を具備した構成とされている。この車両用始動装置10は、スタータハウジングをシリンダブロック(図示せず)に固定することによりエンジンに取り付けられる。
【0023】
スタータモータ3は、給電されることにより回転するアーマチャを内蔵しており、その先端部には、モータハウジングから突出するドライブピニオン9が配設されている。このドライブピニオン9には、クラッチギヤ11が中間ギヤ7を介して噛合している。クラッチギヤ11は、スタータクラッチ4の外周部に形成されている。このドライブピニオン9、中間ギヤ7、及びクラッチギヤ11は協働して減速機を構成している。
【0024】
マグネットスイッチ6は、プランジャシャフト14が挿通するソレノイドコイル25を備えている。このマグネットスイッチ6は、イグニッションスイッチ17が閉成されることにより、プランジャシャフト14をA1方向に変位させてピニオンシャフト5をピニオンギヤ18とリングギヤ8が噛合する位置まで移動させると共に、スタータモータ3へのメイン電流をオン・オフする機能を有する。
【0025】
スタータクラッチ4の両端は、ベアリング13で支持されており、スタータクラッチ4の内部には、ピニオンシャフト5が挿通されている。ピニオンシャフト5は、図1に示す矢印A1方向の端部にリングギヤ8と噛合するピニオンギヤ18が設けられており、また矢印A2方向の端部にはマグネットスイッチ6のプランジャシャフト14が当接するフランジ19が配設されている。更に、ピニオンシャフト5には、リターンスプリング21が挿通されている。このリターンスプリング21は、ピニオンシャフト5を常に矢印A2方向に付勢するよう構成されている。
【0026】
マグネットスイッチ6に所定の電圧が印加されると、ピニオンシャフト5は、マグネットスイッチ6のプランジャシャフト15によりリターンスプリング21の付勢力に抗して矢印A1方向に移動させられる(押し出される)。この結果、ピニオンシャフト5のピニオンギヤ18が、リングギヤ8と噛合し、スタータモータ3の回転が上述の減速機等を介してリングギヤ8に伝達され、エンジンが始動する。尚、上述のスタータクラッチ4は、スタータモータ3の回転をピニオンシャフト5に伝達すると共に、エンジンが始動しリングギヤ8の回転力がスタータモータ3の回転力を超えた時に、リングギヤ8の回転力がピニオンシャフト5に伝達されないようクラッチ動作を行う構成とされている。
【0027】
再び図1を参照するに、車両用始動装置10のスタータモータ3の端子には、切換スイッチ16を介して鉛バッテリ12及びリチウムイオンバッテリ14が接続されている。切換スイッチ16は、スタータモータ3の端子に鉛バッテリ側端子16a若しくはリチウムバッテリ側端子16bを選択的に導通させる機能を果たす。尚、車両用始動装置10は、切換スイッチ16を介してリチウムイオンバッテリ14にDC/DCコンバータ22を介することなく接続されている。これは、エンジンを始動させるための比較的大きな電流(例えば、140A〜150A)をDC/DCコンバータ22(最大電流ガード:50A)を介して供給できないことに基づく。
【0028】
一方、車両用始動装置10のマグネットスイッチ6の端子には、イグニッションスイッチ17を介して鉛バッテリ12が接続されている。従って、本実施例では、車両用始動装置10のスタータモータ3は、切換スイッチ16の状態に応じて2つのバッテリ12,14の何れか一方から選択的に給電される一方で、マグネットスイッチ6は、常に鉛バッテリ12側から給電される。
【0029】
通常的なエンジン始動時には、切換スイッチ16は、鉛バッテリ側端子16aに接続されている。この状態で、ユーザがイグニッションスイッチ17をオンとすると、マグネットスイッチ6の端子には、鉛バッテリ12側から12V程度の電圧が印加される。そして、プランジャシャフト15の移動に伴ってメインスイッチ23がオンとなり、スタータモータ3が鉛バッテリ12を電力源として始動し、この結果、停止状態のエンジンが始動する。
【0030】
一方、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時には、切換スイッチ16は、鉛バッテリ側端子16aからリチウムバッテリ側端子16bに切り換えられる。この状態で、上述のアイドルストップの解除条件が成立すると、イグニッションスイッチ17がオンとなり、通常的なエンジン始動時と同様、マグネットスイッチ6の端子には、鉛バッテリ12により12V程度の電圧が印加される。そして、プランジャシャフト15の移動に伴ってメインスイッチ23がオンとなり、スタータモータ3がリチウムイオンバッテリ14を電力源として始動し、この結果、一時停止状態のエンジンが再始動する。
【0031】
ところで、上述の如く、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時において、スタータモータ3をエネルギ回生効率の良い高電圧電源(本例では、リチウムイオンバッテリ14)により駆動することで、充電効率の向上(及びそれに伴う燃費の向上)が可能となると共に、エンジンの始動時間の短縮が可能となる。しかしながら、既存の低電圧電源(即ち、鉛バッテリ12)に対応して設計されている車両用始動装置10を電圧の異なる電源(即ち、リチウムイオンバッテリ14)により駆動する場合、マグネットスイッチ6の性能の低下を招いてしまうという不都合が生じることは、上述した通りである。即ち、マグネットスイッチ6は、ソレノイドコイル25が発生する吸引力と、吸引力により伸縮するリターンスプリング21の荷重とのバランスにより、本来の性能が発揮できる適正な電圧範囲が決定されているため、車両用始動装置10を電圧の異なる電源により駆動すると、マグネットスイッチ6の性能が低下するという不都合が生ずる。例えば、マグネットスイッチ6がリチウムイオンバッテリ14から給電されると、鉛バッテリ12から給電された場合に対して、プランジャシャフト15の移動速度が変動し、ピニオンギヤ18がリングギヤ8に適切に噛み合う位置に到達する前に、スタータモータ3が始動してしまう(メインスイッチ23がオンとなってしまう)。この結果、ピニオンギヤ18とリングギヤ8が不完全に噛み合った状態で回転することになり、マグネットスイッチ6の性能の低下(始動性の悪化等)や耐久性の低下(ピニオンギヤ18及びリングギヤ8の磨耗等)という不都合が生じる。
【0032】
これに対して、本実施例では、上述の如く、マグネットスイッチ6には、常に鉛バッテリ12側から給電が行われている。このため、プランジャシャフト15の移動速度の変動が生じず、メインスイッチ23がオンとなるタイミングと、ピニオンシャフト5の押し出し動作との間の適正な関係が維持される。従って、本実施例によれば、電圧の異なる2つの電源を切り換えて車両用始動装置10を駆動する場合であっても、マグネットスイッチ6の性能の低下が生ずることはない。
【0033】
また、スタータモータ3及びマグネットスイッチ6に同一の電源から給電を行う場合には、メインスイッチ23がオンとなってスタータモータ3に大電流が流れる際に生じる電圧降下の影響により、マグネットスイッチ6の性能が低下するという不都合が生ずる。これに対して、本実施例では、上述の如く、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時において、マグネットスイッチ6は鉛バッテリ12側から給電され、スタータモータ3はリチウムイオンバッテリ14側から給電されている。従って、本実施例によれば、マグネットスイッチ6は、スタータモータ3に大電流が流れる時点で生じる電圧降下の影響を受けることがなく、安定した性能を発揮することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0035】
例えば、上述した実施例は、2個のバッテリ、即ち鉛バッテリ12とリチウムイオンバッテリ14とを備えた車両に関するものであったが、本発明は、特にバッテリの数及び種類を特定するものではなく、2個以上のバッテリを有する如何なる車両に対しても適用可能である。例えば、本発明は、高圧のハイブリッドバッテリーと鉛バッテリとを備えたハイブリッド車に対しても適用可能である。
【0036】
また、上述した実施例においては、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時において、マグネットスイッチ6には鉛バッテリ12から給電が行われていたが、マグネットスイッチ6にリチウムイオンバッテリ14からDC/DCコンバータ22を介して給電することも可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低電圧電源若しくは高電圧電源を切り換えて電力源とする一方で、マグネットスイッチの性能の低下を防止することができる車両用始動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用始動装置10に関連するシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施例である車両用始動装置10の構成図である。
【符号の説明】
3 スタータモータ
4 スタータクラッチ
5 ピニオンシャフト
6 マグネットスイッチ
7 中間ギヤ
8 リングギヤ
9 ドライブピニオン
6 マグネットスイッチ
10 車両用始動装置(スタータ)
11 クラッチギヤ
12 鉛バッテリ
14 リチウムイオンバッテリ
15 プランジャシャフト
16 切換スイッチ
17 イグニッションスイッチ
18 ピニオンギヤ
20 直流発電機
21 リターンスプリング
22 DC/DCコンバータ
23 メインスイッチ
25 ソレノイドコイル
26 負荷
49 EFI・ECU
【発明の属する技術分野】
本発明は、低電圧電源と高電圧電源とを備えた車両に適用される車両用始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、車両の電気負荷の増大に伴って、既存の低電圧電源とは別に、エネルギの回収効率の良い高電圧電源を車両に搭載する提案がなされている。また、近年では、車両が交差点等で一時的に停止したとき、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップを実行し、排気ガスの減少や燃費の向上を図る提案がなされている。
【0003】
ところで、エンジンを始動させるスタータは、静止慣性の大きいエンジンを回転させるものであるために、比較的大きな消費電力を必要とする。従って、スタータの電力源は、低電圧電源よりも、エネルギの回収効率の良い高電圧電源であることが望ましい。また、アイドルストップ後のエンジン再始動時に高電圧電源を利用すると、低電圧電源を利用する場合に比して、より高速にエンジンを駆動することができるため、エンジンの始動時間の短縮を図ることが可能となる。
【0004】
このような観点から、従来より、エンジンの通常始動時には、低電圧電源によりスタータを駆動すると共に、アイドルストップ後のエンジン再始動時には、高電圧電源よりスタータを駆動することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−08904号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用始動装置(スタータ)としては、ピニオンを電磁力により押し出してエンジン側のリングギヤと噛合させる押し出し式の車両用始動装置が多用されている。この種のスタータは、スタータモータ、マグネットスイッチ、スタータクラッチ、ピニオン等を具備しており、エンジンのシリンダブロックに配設されている。ここで、スタータモータは、低電圧電源若しくは高電圧電源を電力源として、ピニオンが配設されたピニオンシャフトを回転させる構成とされている。また、マグネットスイッチも同様に、低電圧電源若しくは高電圧電源を電力源として、ピニオンがリングギヤと噛合する位置までピニオンシャフトを移動させる構成とされている。
【0007】
しかしながら、上述の従来のスタータのように、2つの電源を切り換えてスタータのマグネットスイッチへの給電を行う場合、マグネットスイッチの安定した作動性能が得られないという不都合が生ずる。即ち、スタータのマグネットスイッチは、ソレノイドコイルが発生する吸引力と、吸引力により伸縮するばねの荷重とのバランスにより、本来の性能が発揮できる適正な電圧範囲が決定されているため、2つの電源の双方若しくは何れか一方が当該適正な電圧範囲外である場合には、マグネットスイッチの性能が低下するという不都合が生ずる。
【0008】
より具体的には、適正な電圧範囲外の電圧がマグネットスイッチに印加されると、ピニオンシャフトの押し出し動作とスタータモータへの通電タイミングとの関係が不適切となり、ピニオンとリングギヤとの間で適切な噛合が実現されない状態でスタータモータの回転が開始されることになる。この結果、ピニオンとリングギヤとが不完全に噛み合った状態で回転してしまい、マグネットスイッチの性能の低下(始動性の悪化等)や耐久性の低下(ギヤの磨耗等)という問題点が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、低電圧電源若しくは高電圧電源を切り換えて電力源とする一方で、マグネットスイッチの性能の低下を防止することができる、車両用始動装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、低電圧電源と高電圧電源とを備えた車両に適用される車両用始動装置であって、
前記低電圧電源又は前記高電圧電源の何れか一方を選択的に電力源として動作し、エンジンを始動させる動力を発生するスタータモータと、
前記スタータモータの発生する動力を、エンジン側のギヤに伝達するギヤ機構と、
前記低電圧電源を電力源として動作し、前記ギヤ機構と前記エンジン側のギヤとの接続状態を実現すると共に、前記スタータモータと前記選択された電力源との導通状態を実現するマグネットスイッチとを備えることを特徴とする、車両用始動装置により達成される。
【0011】
本発明において、スタータモータは、低電圧電源(例えば、鉛バッテリ)又は高電圧電源(例えば、リチウムイオンバッテリ)から選択的に給電され、エンジンを始動させる動力を発生する。一方、マグネットスイッチは、低電圧電源から給電され、ギヤ機構(ピニオンギヤ等)とエンジン側のギヤ(即ち、リングギヤ)との接続状態を実現すると共に、スタータモータと選択された電力源との導通状態を実現する。本発明によれば、マグネットスイッチには略一定の電圧が印加されるので、異なる電圧が印加された場合に生ずる性能の低下、即ち、ギヤ機構とエンジン側のギヤとの適切な接続状態が実現される前にスタータモータが始動してしまう等の不都合が生じることがなく、安定したエンジン始動性を実現することができる。
【0012】
また、請求項2に記載する如く、前記スタータモータが、通常的なエンジン始動時には、前記低電圧電源を電力源とし、アイドルストップ実行後のエンジン再始動時には、前記高電圧電源を電力源とする場合には、充電効率の向上と共にエンジンの始動時間の短縮が可能となる一方で、安定したエンジン始動性を実現することができる。
【0013】
また、請求項3に記載する如く、前記低電圧電源が、定格電圧が12Vの鉛バッテリである場合には、一般的な車両に搭載される鉛バッテリ用に設計された既存の車両用始動装置を、2つの電源を切り換えて使用する車両に搭載した場合であっても、安定したエンジン始動性を得ることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例である車両用始動装置10(スタータ)に関連するシステム構成図を示す。図1に示す如く、本システムは、2つのバッテリ12,14を備えている。本実施例では、バッテリ12は、12V程度の電圧を有する鉛バッテリ(低電圧電源)であり、一方、バッテリ14は、14.5V〜15.7V程度の電圧を有するリチウムイオンバッテリ(高電圧電源)である。尚、鉛バッテリ12は、リチウムイオンバッテリ14に比して、単位体積当たりに取り出せる出力(出力密度;単位はW/l)が高い一方、単位体積当たりに取り出せるエネルギ(エネルギ密度;単位はWh/l)が低いバッテリである。
【0016】
エンジンには、電子制御ユニット49(以下、「EFI・ECU49」という)が接続されている。EFI・ECU49は、各種アイドルストップの許可条件(例えば、エンジン冷却水温度に関する条件や、バッテリの温度等に関する条件、エンジン回転数に関する条件)の成立状況を確認して、最終的にアイドルストップの実行条件が成立するか否かを判定する。最終的にアイドルストップの実行条件が成立した場合、運転者がイグニッションスイッチ17をIGオン状態からオフ状態へ移行させることなく燃料噴射や点火等の実行が停止され、エンジンが運転状態から停止状態へ移行される。
【0017】
アイドルストップ中、即ちエンジンが一時的に停止状態にある間、EFI・ECU49は、車両がAT車である場合は変速機のシフト位置が“N”レンジから“D”レンジ又は“R”レンジに移行したか否か或いはブレーキ操作が解除されたか否か、また、車両がMT車である場合はクラッチペダルが踏み込まれたか否かに基づいて、アイドルストップの解除条件が成立するか否を判定する。その結果、アイドルストップの解除条件が成立した場合は、後述する如く、運転者がイグニッションスイッチ17をIGオン状態からスタータオン状態に移行させることなく車両用始動装置10が作動状態となり、エンジンが再始動される。
【0018】
EFI・ECU49には、エンジンの回転により発電する直流発電機(オルタネータ)20が接続されている。EFI・ECU49は、燃費の効率化を図るべく、車両の走行状態に応じて直流発電機20の発電電圧を制御する。具体的には、定常走行時やアイドル運転時には、直流発電機20の発電電圧は、所定の範囲内で調整される。また、車両減速時には、直流発電機20の発電電圧は、定常走行時やアイドル運転時に比して大きな値に調整される。また、車両加速時には、アイドルストップ中(即ち、エンジン停止中)と同様、直流発電機20の発電電圧はゼロになる(即ち、発電が行われない)。
【0019】
直流発電機20には、負荷26及び鉛バッテリ12が接続されると共に、リチウムイオンバッテリ14がDC/DCコンバータ22を介して接続されている。直流発電機20が発生する電気エネルギは、負荷26の電力源として用いられると共に、鉛バッテリ12及び/又はリチウムイオンバッテリ14の充電に用いられる。
【0020】
負荷26には、直流発電機20及び鉛バッテリ12が接続されると共に、リチウムイオンバッテリ14がDC/DCコンバータ22を介して接続されている。負荷26には、各種補機、及び、アクセルやブレーキ等のいわゆるバイワイヤシステムが含まれる。尚、補機には、ヘッドランプ、フォグランプ、コーナリングシグナルランプ、コーナーランプ等のランプ類、エアコン等の空調装置、オーディオ、カーナビゲーション、ABSシステム、オイルポンプ、メータ類、デフォガ、ワイパ、パワーウィンド等が含まれる。各補機および各バイワイヤシステムは、エンジン作動時には主に直流発電機20から電力供給され、一方、アイドルストップ中のようなエンジン停止時には主にリチウムイオンバッテリ14から電力供給される。
【0021】
DC/DCコンバータ22は、双方向DC/DCコンバータであり、内蔵するパワートランジスタのスイッチング動作に従って、鉛バッテリ12側の電圧を昇圧してリチウムイオンバッテリ14側へ供給し、或いは、リチウムイオンバッテリ14側の電圧を降圧して鉛バッテリ12側へ供給する。
【0022】
図2は、本発明の一実施例である車両用始動装置10の構成図を示す。図2に示す如く、車両用始動装置10は、スタータモータ3、スタータクラッチ4、ピニオンシャフト5、マグネットスイッチ6等を具備した構成とされている。この車両用始動装置10は、スタータハウジングをシリンダブロック(図示せず)に固定することによりエンジンに取り付けられる。
【0023】
スタータモータ3は、給電されることにより回転するアーマチャを内蔵しており、その先端部には、モータハウジングから突出するドライブピニオン9が配設されている。このドライブピニオン9には、クラッチギヤ11が中間ギヤ7を介して噛合している。クラッチギヤ11は、スタータクラッチ4の外周部に形成されている。このドライブピニオン9、中間ギヤ7、及びクラッチギヤ11は協働して減速機を構成している。
【0024】
マグネットスイッチ6は、プランジャシャフト14が挿通するソレノイドコイル25を備えている。このマグネットスイッチ6は、イグニッションスイッチ17が閉成されることにより、プランジャシャフト14をA1方向に変位させてピニオンシャフト5をピニオンギヤ18とリングギヤ8が噛合する位置まで移動させると共に、スタータモータ3へのメイン電流をオン・オフする機能を有する。
【0025】
スタータクラッチ4の両端は、ベアリング13で支持されており、スタータクラッチ4の内部には、ピニオンシャフト5が挿通されている。ピニオンシャフト5は、図1に示す矢印A1方向の端部にリングギヤ8と噛合するピニオンギヤ18が設けられており、また矢印A2方向の端部にはマグネットスイッチ6のプランジャシャフト14が当接するフランジ19が配設されている。更に、ピニオンシャフト5には、リターンスプリング21が挿通されている。このリターンスプリング21は、ピニオンシャフト5を常に矢印A2方向に付勢するよう構成されている。
【0026】
マグネットスイッチ6に所定の電圧が印加されると、ピニオンシャフト5は、マグネットスイッチ6のプランジャシャフト15によりリターンスプリング21の付勢力に抗して矢印A1方向に移動させられる(押し出される)。この結果、ピニオンシャフト5のピニオンギヤ18が、リングギヤ8と噛合し、スタータモータ3の回転が上述の減速機等を介してリングギヤ8に伝達され、エンジンが始動する。尚、上述のスタータクラッチ4は、スタータモータ3の回転をピニオンシャフト5に伝達すると共に、エンジンが始動しリングギヤ8の回転力がスタータモータ3の回転力を超えた時に、リングギヤ8の回転力がピニオンシャフト5に伝達されないようクラッチ動作を行う構成とされている。
【0027】
再び図1を参照するに、車両用始動装置10のスタータモータ3の端子には、切換スイッチ16を介して鉛バッテリ12及びリチウムイオンバッテリ14が接続されている。切換スイッチ16は、スタータモータ3の端子に鉛バッテリ側端子16a若しくはリチウムバッテリ側端子16bを選択的に導通させる機能を果たす。尚、車両用始動装置10は、切換スイッチ16を介してリチウムイオンバッテリ14にDC/DCコンバータ22を介することなく接続されている。これは、エンジンを始動させるための比較的大きな電流(例えば、140A〜150A)をDC/DCコンバータ22(最大電流ガード:50A)を介して供給できないことに基づく。
【0028】
一方、車両用始動装置10のマグネットスイッチ6の端子には、イグニッションスイッチ17を介して鉛バッテリ12が接続されている。従って、本実施例では、車両用始動装置10のスタータモータ3は、切換スイッチ16の状態に応じて2つのバッテリ12,14の何れか一方から選択的に給電される一方で、マグネットスイッチ6は、常に鉛バッテリ12側から給電される。
【0029】
通常的なエンジン始動時には、切換スイッチ16は、鉛バッテリ側端子16aに接続されている。この状態で、ユーザがイグニッションスイッチ17をオンとすると、マグネットスイッチ6の端子には、鉛バッテリ12側から12V程度の電圧が印加される。そして、プランジャシャフト15の移動に伴ってメインスイッチ23がオンとなり、スタータモータ3が鉛バッテリ12を電力源として始動し、この結果、停止状態のエンジンが始動する。
【0030】
一方、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時には、切換スイッチ16は、鉛バッテリ側端子16aからリチウムバッテリ側端子16bに切り換えられる。この状態で、上述のアイドルストップの解除条件が成立すると、イグニッションスイッチ17がオンとなり、通常的なエンジン始動時と同様、マグネットスイッチ6の端子には、鉛バッテリ12により12V程度の電圧が印加される。そして、プランジャシャフト15の移動に伴ってメインスイッチ23がオンとなり、スタータモータ3がリチウムイオンバッテリ14を電力源として始動し、この結果、一時停止状態のエンジンが再始動する。
【0031】
ところで、上述の如く、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時において、スタータモータ3をエネルギ回生効率の良い高電圧電源(本例では、リチウムイオンバッテリ14)により駆動することで、充電効率の向上(及びそれに伴う燃費の向上)が可能となると共に、エンジンの始動時間の短縮が可能となる。しかしながら、既存の低電圧電源(即ち、鉛バッテリ12)に対応して設計されている車両用始動装置10を電圧の異なる電源(即ち、リチウムイオンバッテリ14)により駆動する場合、マグネットスイッチ6の性能の低下を招いてしまうという不都合が生じることは、上述した通りである。即ち、マグネットスイッチ6は、ソレノイドコイル25が発生する吸引力と、吸引力により伸縮するリターンスプリング21の荷重とのバランスにより、本来の性能が発揮できる適正な電圧範囲が決定されているため、車両用始動装置10を電圧の異なる電源により駆動すると、マグネットスイッチ6の性能が低下するという不都合が生ずる。例えば、マグネットスイッチ6がリチウムイオンバッテリ14から給電されると、鉛バッテリ12から給電された場合に対して、プランジャシャフト15の移動速度が変動し、ピニオンギヤ18がリングギヤ8に適切に噛み合う位置に到達する前に、スタータモータ3が始動してしまう(メインスイッチ23がオンとなってしまう)。この結果、ピニオンギヤ18とリングギヤ8が不完全に噛み合った状態で回転することになり、マグネットスイッチ6の性能の低下(始動性の悪化等)や耐久性の低下(ピニオンギヤ18及びリングギヤ8の磨耗等)という不都合が生じる。
【0032】
これに対して、本実施例では、上述の如く、マグネットスイッチ6には、常に鉛バッテリ12側から給電が行われている。このため、プランジャシャフト15の移動速度の変動が生じず、メインスイッチ23がオンとなるタイミングと、ピニオンシャフト5の押し出し動作との間の適正な関係が維持される。従って、本実施例によれば、電圧の異なる2つの電源を切り換えて車両用始動装置10を駆動する場合であっても、マグネットスイッチ6の性能の低下が生ずることはない。
【0033】
また、スタータモータ3及びマグネットスイッチ6に同一の電源から給電を行う場合には、メインスイッチ23がオンとなってスタータモータ3に大電流が流れる際に生じる電圧降下の影響により、マグネットスイッチ6の性能が低下するという不都合が生ずる。これに対して、本実施例では、上述の如く、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時において、マグネットスイッチ6は鉛バッテリ12側から給電され、スタータモータ3はリチウムイオンバッテリ14側から給電されている。従って、本実施例によれば、マグネットスイッチ6は、スタータモータ3に大電流が流れる時点で生じる電圧降下の影響を受けることがなく、安定した性能を発揮することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0035】
例えば、上述した実施例は、2個のバッテリ、即ち鉛バッテリ12とリチウムイオンバッテリ14とを備えた車両に関するものであったが、本発明は、特にバッテリの数及び種類を特定するものではなく、2個以上のバッテリを有する如何なる車両に対しても適用可能である。例えば、本発明は、高圧のハイブリッドバッテリーと鉛バッテリとを備えたハイブリッド車に対しても適用可能である。
【0036】
また、上述した実施例においては、アイドルストップ終了後のエンジン再始動時において、マグネットスイッチ6には鉛バッテリ12から給電が行われていたが、マグネットスイッチ6にリチウムイオンバッテリ14からDC/DCコンバータ22を介して給電することも可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低電圧電源若しくは高電圧電源を切り換えて電力源とする一方で、マグネットスイッチの性能の低下を防止することができる車両用始動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用始動装置10に関連するシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施例である車両用始動装置10の構成図である。
【符号の説明】
3 スタータモータ
4 スタータクラッチ
5 ピニオンシャフト
6 マグネットスイッチ
7 中間ギヤ
8 リングギヤ
9 ドライブピニオン
6 マグネットスイッチ
10 車両用始動装置(スタータ)
11 クラッチギヤ
12 鉛バッテリ
14 リチウムイオンバッテリ
15 プランジャシャフト
16 切換スイッチ
17 イグニッションスイッチ
18 ピニオンギヤ
20 直流発電機
21 リターンスプリング
22 DC/DCコンバータ
23 メインスイッチ
25 ソレノイドコイル
26 負荷
49 EFI・ECU
Claims (3)
- 低電圧電源と高電圧電源とを備えた車両に適用される車両用始動装置であって、
前記低電圧電源又は前記高電圧電源の何れか一方を選択的に電力源として動作し、エンジンを始動させる動力を発生するスタータモータと、
前記スタータモータの発生する動力を、エンジン側のギヤに伝達するギヤ機構と、
前記低電圧電源を電力源として動作し、前記ギヤ機構と前記エンジン側のギヤとの接続状態を実現すると共に、前記スタータモータと前記選択された電力源との導通状態を実現するマグネットスイッチとを備えることを特徴とする、車両用始動装置。 - 前記スタータモータは、通常的なエンジン始動時には、前記低電圧電源を電力源とし、アイドルストップ実行後のエンジン再始動時には、前記高電圧電源を電力源とする、請求項1記載の車両用始動装置。
- 前記低電圧電源は、定格電圧が12Vの鉛バッテリである、請求項1又は2記載の車両用始動装置。
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