JP2004225230A - 繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、安全性に優れるとともに設備負荷を要さず低原価で容易に成形することができ成形性に優れ、また機械的強度と難燃性に優れ、さらに環境保全性にも優れた繊維成形体組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、成形性に優れるとともに機械的強度と難燃性に優れ、さらに環境保全性にも優れる繊維成形体を提供することを目的とする。また、本発明は、作業が単純で作業性に優れ、さらにグルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに機械的強度を高めることができる繊維成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の繊維成形体組成物は、グルコマンナンと、繊維状体と、塩基性硬化剤と、糖質と、を含有している。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の繊維成形体組成物は、グルコマンナンと、繊維状体と、塩基性硬化剤と、糖質と、を含有している。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の内装材や防音材、家電製品等のハウジングや防音材、断熱材等の建築資材等として最適な繊維成形体の製造に好適な繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の内装材や防音材、家電製品等のハウジングや防音材、断熱材等の建築資材等として好適な繊維成形体が用いられている。
従来の防音性を有する成形体としては、(非特許文献1)に「金属繊維や粉末を充填した各種プラスチックや連続気泡のポリウレタンフォーム」が記載されている。
また、(特許文献1)には「少なくとも2種以上の熱可塑性繊維で構成された繊維成形体」が開示されている。
【0003】
【非特許文献1】
図解プラスチック用語辞典 第2版、第745頁、「防音材」の欄、発行所 日刊工業新聞社、1994年11月27日発行
【特許文献1】
特開平10−77562号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、熱可塑性繊維で構成されているので、省資源性に欠けるとともにリサイクル性に欠けるという課題を有していた。
(2)(非特許文献1)や(特許文献1)に記載の成形体を廃棄物として処理する際には焼却が必要になり、また埋め立てた場合には分解され難いので環境保全性に欠けるという課題を有していた。
(3)また、金属繊維や粉末は発塵するので、作業時には防塵具等を要し安全性と作業性に欠けるという課題を有していた。
(4)難燃剤が添加され難燃性が付与された成形体は焼却するのが困難で、焼却の際に多大なエネルギーを要し省資源性に欠けるとともに環境保全性に欠けるという課題を有していた。
(5)熱可塑性繊維等で構成された成形体を成形する際には、成形装置に多大な設備負荷を要するとともに、成形の際に多大なエネルギーを要し省資源性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、安全性に優れるとともに設備負荷を要さず低原価で容易に成形することができ成形性に優れ、また機械的強度と難燃性に優れ、さらに環境保全性にも優れた繊維成形体組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、成形性に優れるとともに機械的強度と難燃性に優れ、さらに環境保全性にも優れた繊維成形体を提供することを目的とする。
また、本発明は、作業が単純で作業性に優れ、さらにグルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに機械的強度を高めることができる繊維成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために本発明の繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法は、以下の構成を有している。
【0007】
本発明の請求項1に記載の繊維成形体組成物は、(a)グルコマンナンと、(b)繊維状体と、(c)塩基性硬化剤と、(d)糖質と、を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)所定量の水を加えるだけで常温でグルコマンナンが溶解し塩基性硬化剤によって凝固するので、これがバインダーとなり繊維状体同士を結合させ、安全性に優れ低原価で容易に成形することのできる繊維成形体を得ることができる。
(2)所定量の水を加えるとグルコマンナンが糊状になるので、繊維状体が糊状内に分散され易くなり繊維状体とグルコマンナンとが分離し難く繊維状体の分散性に優れる。
(3)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れた繊維成形体を得ることができる。
(4)繊維状体を含有しているので、所定量の水を加えて撹拌混合することで繊維状体同士が絡み合い、さらにグルコマンナンが凝固し弾性体を形成するので機械的強度の高い繊維成形体を得ることができる。
(5)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れる。
(6)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し、及びゲル化したグルコマンナン内に分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れる。
(7)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れる。
(8)常温で固化させることができるので、多大な設備負荷を要さずに大面積や肉厚の大きな大容積の繊維成形体を容易に製造することができる。
【0008】
ここで、グルコマンナンとしては、コンニャクイモの根茎、ゾウゲヤシの胚乳、ラン科植物の球根、ハリモミのヘミセルロース等から得られるものが用いられる。なかでも、コンニャクイモの根茎やユリの球根等に含まれるコンニャクマンナンが好適に用いられる。大量に採取可能だからである。コンニャクマンナンとしては、コンニャクイモをすりおろしたもの、乾燥させた粉末、コンニャクイモを適当な厚さにスライスして天日乾燥したものを粉砕したもの等を用いることができる。
【0009】
繊維状体としては、木材パルプ,リンターパルプ,ぼろパルプ,竹パルプ,バガスパルプ,ケナフパルプ,麻パルプ,わらパルプ,コウゾやミツマタ等の靭皮繊維パルプ等を構成する植物体繊維、おが屑,かんな屑等の木材屑等の植物性繊維、ココナッツ繊維等の果実繊維、綿,カポック等の種子毛繊維、レーヨン等のセルロース繊維やポリエステル,ナイロン,アクリル等を材料として断面形状がC字形状やL字形状等の異型状や微細な孔を多数形成して比表面積を増大させて親水性を高めた親水性繊維、食品工場等で有用物が抽出され廃棄される茶葉等の食品抽出残渣、コーヒー豆,大豆,小豆等の豆類の外皮等の内いずれか1種以上が用いられる。なかでも、パルプを構成する植物体繊維や木材屑等の植物性繊維、綿,カポック等の種子毛繊維、レーヨン等のセルロース繊維、廃棄された茶葉等の食品抽出残渣、豆類の外皮等が好適に用いられる。これらは天然繊維やセルロース繊維であるとともに廃材等を利用しており大量に生産できるので、廃棄した際に地中の微生物等によって分解され易く環境保全性に著しく優れるとともに容易に安定供給できるからである。
【0010】
繊維状体の平均長さとしては、繊維成形体の用途にもよるが、0.5〜50mm好ましくは0.8〜20mmが好適に用いられる。繊維状体の平均長さが短くなるにつれ繊維成形体の空隙率を小さくすることができるが、0.8mmより短くなるにつれ繊維状体の形成が困難になる傾向がみられる。繊維状体の平均長さが長くなるにつれ繊維成形体の空隙率を高めることができるが、20mmより長くなるにつれ繊維状体と水等とが均一に分散して混合され難く成形性が低下するとともに機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、平均長さが0.5mmより短くなるか50mmより長くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0011】
繊維状体の平均のアスペクト比としては、10〜3000好ましくは15〜1500が好適に用いられる。なお、アスペクト比は、繊維状体の長さ(L)と、長さ方向に垂直な断面の最大幅(W)との比(L/W)をいう。平均のアスペクト比が15より小さくなるにつれ繊維状体が絡みつき難く機械的強度が低下する傾向がみられ、1500より大きくなるにつれ繊維状体が均一に分散し難く成形性が低下する傾向がみられる。特に、平均のアスペクト比が10より小さくなるか3000より大きくなると、これらの傾向が著しいのでいずれも好ましくない。
【0012】
塩基性硬化剤としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシウム,水酸化バリウム,水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,炭酸バリウム,炭酸水素アンモニウム等の金属炭酸塩若しくはアンモニウム炭酸塩、L−アルギニン,L−リジン等の塩基性アミノ酸、アミルアミン,ジエチルアミン,2−アミノエタノール等のアミン類、硼酸アンモニウム,硼酸カルシウム,メタ硼酸ナトリウム,四硼酸ナトリウム,四硼酸水素メチルアンモニウム等の硼酸塩の内いずれか1種以上が用いられる。
【0013】
糖質としては、ブドウ糖,蔗糖,砂糖,果糖,転化糖等の単糖類や多糖類等の糖類、小麦澱粉,米澱粉,バレイショ澱粉,コーンスターチ等の澱粉、カルボキシメチル澱粉等の化工澱粉、カルボキシメチルセルロース等の内いずれか1種以上が用いられる。なかでも、ブドウ糖,蔗糖,砂糖,果糖,転化糖等の糖類、カルボキシメチル澱粉等の化工澱粉、カルボキシメチルセルロース等が好適に用いられる。冷水に可溶であり作業性に優れるからである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の繊維成形体組成物であって、(a)前記グルコマンナン10重量部に対し、(b)前記繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(c)前記塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)前記糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)単位容積当りの繊維状体の含有量の多少によって繊維成形体を多孔状化し空隙の大きさや空隙率を調節することができ、繊維成形体の嵩密度や機械的強度、防音効果等を調整することができ自在性に優れる。
(2)糖質の含有量の多少によって機械的強度や繊維成形体の表面平滑性を高めることができ成形性に優れる。
【0015】
ここで、繊維状体は、その長さやアスペクト比、種類にもよるが、グルコマンナン10重量部に対して20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部とすることにより、機械的強度の高い繊維成形体が得られる。繊維状体が30重量部より少なくなるにつれ得られた繊維成形体の基体として存在する繊維状体の量が少なく繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられ、1500重量部より多くなるにつれ繊維状体同士の接触点に存在するグルコマンナンの量が少なく繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、繊維状体が20重量部より少なくなるか2500重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0016】
塩基性硬化剤は、その種類にもよるが、グルコマンナン10重量部に対して1〜400重量部好ましくは2〜200重量部とすることにより、機械的強度が高く、さらに長期安定性に優れる繊維成形体が得られる。塩基性硬化剤が2重量部より少なくなるにつれグルコマンナンの硬化が不十分で硬化後の繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられ、200重量部より多くなるにつれ繊維成形体に残留する塩基性硬化剤の反応により大気中の二酸化炭素等を吸収して変質し易く、また皮膚や粘膜等をおかし易く用途が制限される等の傾向がみられる。特に、塩基性硬化剤が1重量部より少なくなるか400重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0017】
糖質は、その種類にもよるが、グルコマンナン10重量部に対して9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部とすることにより、機械的強度が高く、さらに表面平滑性の高い繊維成形体が得られる。糖質が50重量部より少なくなるにつれグルコマンナンのゲル化(水和)が不十分になるため水分量を多くしなければならなくなり硬化後の機械的強度が低下するとともに、繊維成形体の表面の平滑性が低下する傾向がみられ、5000重量部より多くなるにつれグルコマンナンの可とう性や保水性等を低下させ繊維成形体の機械的強度や潤滑性等を低下させる傾向がみられる。特に、糖質が9重量部より少なくなるか7000重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0018】
なお、グルコマンナンの重量としては、乾燥後の重量をいう。
【0019】
本発明の請求項3に記載の繊維成形体は、塩基性硬化剤によって凝固したグルコマンナンと、前記グルコマンナンによって互いに結合された複数本の繊維状体と、前記繊維状体及び前記グルコマンナンに分散された糖質と、を備えた構成を備えている。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)グルコマンナンが凝固することによって互いに結合された複数本の繊維状体を備えているので、凝固したグルコマンナンが弾性体を形成し機械的強度に優れる。
(2)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れる。
(3)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分を補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れる。
(4)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し分散し、及びゲル化したグルコマンナン内に取り込まれて分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れる。
(5)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れる。
【0020】
ここで、グルコマンナン、繊維状体、糖質は、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0021】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の繊維成形体であって、表面に防水皮膜が形成された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)表面に防水皮膜が形成されているので、繊維成形体の表面が水で濡れ難く表面のグルコマンナンが水分を吸収し難く耐水性に優れる。
【0022】
ここで、防水皮膜としては、柿渋,漆,ニカワ等の天然塗料、ミョウバン、水溶性合成樹脂塗料等によって形成された皮膜が用いられる。これらの防水皮膜を形成することにより、耐水性を付与するとともに着色を施すことができる。なかでも、柿渋,漆,ニカワ等の天然塗料によって形成された防水皮膜が好適に用いられる。天然由来の材料なので生分解性に優れるからである。
【0023】
請求項5に記載の繊維成形体の製造方法は、(a)グルコマンナン10重量部と、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を混合撹拌して混合液を得る混合撹拌工程と、前記混合撹拌工程で得られた混合液から溶液を分離して成形体を得る成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を乾燥する乾燥工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)グルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを混合撹拌する混合撹拌工程を備えているので、グルコマンナンや繊維状体等を均一に混合することができるとともにグルコマンナンや繊維状体を十分膨潤させることができ、グルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに、機械的強度を高めることができる。
(2)混合撹拌工程でグルコマンナン等を混合して混合液を作成した後、成形工程において混合液から溶液を分離して成形体を得るので、作業を単純化することができる。
【0024】
ここで、混合撹拌工程としては、所定量のグルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを容器内で混合撹拌するものが用いられる。容器内にグルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを同時に投入して混合撹拌することもできるが、初めに繊維状体とグルコマンナンと水とを容器内で十分混合撹拌し、次いで塩基性硬化剤と糖質とを投入するのが好ましい。グルコマンナンが塩基性硬化剤によって凝固する以前に、グルコマンナンと繊維状体とを十分膨潤させて均一に分散させることができ繊維成形体の均質性を高めることができるからである。
【0025】
混合撹拌工程における水の量は、1000重量部より少なくなるにつれ分散液の粘度が高く成形が困難になる傾向がみられ、20000重量部より多くなるにつれグルコマンナンのゲル状が水分を多量に含み繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、水の量が500重量部より少なくなるか30000重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるので好ましくない。
【0026】
成形工程としては、少なくとも1部が不織布,織布,編布,フェルト,濾紙,抄紙用ワイヤー,多孔質セラミック等の網状体や多孔質体等で形成され所定形状に形成された成形型内に混合液を流し込み余剰の水分を分離して成形するもの、混合液に分散した繊維状体等を紙すきの要領ですくい取るもの等が用いられる。
【0027】
乾燥工程としては、成形工程で成形された成形体を成形型から脱型して、又は成形型とともに所定温度で加熱乾燥して、成形体を固化させるものが用いられる。
【0028】
グルコマンナン、繊維状体、塩基性硬化剤、糖質については、請求項1で、それらの量については請求項2で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0029】
なお、繊維成形体の種類によっては、混合液にpH調整剤を加えて混合液のpHを6〜12好ましくは7〜12に調整するのが好ましい。混合液のpHが高くなりすぎず安全性に優れるとともに、糖質としてカルボキシメチルセルロースを用いた場合でも分解せず安定性に優れる。カルボキシメチルセルロースは酸性が強くなると分解してしまうからである。
【0030】
pH調整剤としては、酢酸,乳酸,クエン酸,酒石酸,グリシン等の有機酸及びその塩、硼酸,燐酸,アルミン酸等の無機酸の内いずれか1種以上が用いられる。
【0031】
混合液のpHが7より小さくなるにつれグルコマンナンのゲル化を阻害し所望する機械的強度が得られなくなる傾向がみられ、12より大きくなるにつれ作業時の安全性が低下する傾向がみられる。特に、pHが6より小さくなると、この傾向が著しいため好ましくない。
【0032】
本発明の請求項6に記載の繊維成形体の製造方法は、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(e)水と、を混合撹拌して前記繊維状体が分散された分散液を得る分散工程と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を加えて溶解し硬化液を得る硬化液調製工程と、前記分散工程で得られた分散液から溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程と、前記中途成形工程で得られた中途成形体に(a)グルコマンナン10重量部を散布する散布工程と、前記散布工程でグルコマンナンが散布された中途成形体に前記硬化液調製工程で調製された硬化液を含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程と、前記凝固工程でグルコマンナンが凝固した中途成形体を乾燥して成形体を得る乾燥工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)分散工程において繊維状体と水とを混合撹拌して繊維状体が分散された分散液を得て、次いでこれから溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程を備えているので、分散液の粘度が低く分離後の中途成形体の厚さを薄くでき、肉厚の薄い繊維成形体を製造することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液をグルコマンナンが散布された中途成形体に含浸させて凝固させる凝固工程を備えているので、グルコマンナンを凝固させた硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れる。
(3)グルコマンナンが散布された中途成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れる。
【0033】
ここで、分散工程において所定量の繊維状体と混合される水の量は、繊維状体を水中に分散させて混合することができるだけの十分な量であればよい。分散工程で混合された水は中途成形工程で中途成形体から分離されてしまうからである。
【0034】
凝固工程としては、散布工程でグルコマンナンが散布された中途成形体に、硬化液調製工程で調製された硬化液を成形型内で噴霧、散布、注ぎ込む等して含浸させる工程を備えるものが用いられる。グルコマンナンが散布された中途成形体に含浸させた硬化液の量が多い場合は、吸引濾過,遠心分離等で硬化液を脱液する脱硬化液工程を備えるものが用いられる。これにより、乾燥工程の乾燥時間を短くすることができる。
【0035】
硬化液調製工程における水の量は、1000重量部より少なくなるにつれグルコマンナンの水和が不均一になり易く繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられ、20000重量部より多くなるにつれグルコマンナンのゲル状が水分を多量に含み繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、水の量が500重量部より少なくなるか30000重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるので好ましくない。
【0036】
中途成形工程としては、請求項5で説明した成形工程と同様のものであり、乾燥工程としては、請求項5で説明したものと同様なので説明を省略する。
【0037】
グルコマンナン、繊維状体、塩基性硬化剤、糖質については、請求項1で、それらの量については請求項2で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0038】
なお、繊維成形体の種類によっては、硬化液のpHを請求項5で説明した混合液と同様に、硬化液にpH調整剤を加えてpH6〜12好ましくは7〜12に調整するのが好ましい。pH調整液等は請求項5で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0039】
本発明の請求項7に記載の繊維成形体の製造方法は、(a)グルコマンナン10重量部と、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を混合撹拌して懸濁液を得る懸濁工程と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を加えて溶解し硬化液を得る硬化液調製工程と、前記懸濁工程で得られた懸濁液から溶液を分離して中間成形体を得る中間成形工程と、前記中間成形工程で得られた中間成形体に前記硬化液調製工程で調製された硬化液を含浸させて前記グルコマンナンを凝固させて成形体を得る凝固工程と、前記凝固工程で得られた成形体を乾燥する乾燥工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)懸濁工程においてグルコマンナンと繊維状体と水とを混合撹拌してグルコマンナン水溶液に繊維状体が分散された懸濁液を得て、次いでこれから溶液を分離して中間成形体を得る中間成形工程を備えているので、懸濁液の粘度を任意に調整することで分離後の中間成形体の厚さを任意に調整して種々の繊維成形体を製造することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液を中間成形体に含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程を備えているので、硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れる。
(3)中間成形工程で得られた中間成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れる。
【0040】
ここで、凝固工程としては、中間成形工程で得られた中間成形体に、硬化液調製工程で調製された硬化液を成形型内で噴霧、散布、注ぎ込む等して含浸させる工程を備えるものが用いられる。中間成形体に含浸させた硬化液の量が多い場合は、吸引濾過,遠心分離等で硬化液を脱液する脱硬化液工程を備えるものが用いられる。これにより、乾燥工程の乾燥時間を短くすることができる。
【0041】
懸濁工程における水の量は、請求項5の混合撹拌工程で説明した水の量と同様であり、中間成形工程としては、請求項5で説明した成形工程と同様のものであり、乾燥工程としては、請求項5で説明したものと同様なので説明を省略する。また、硬化液調製工程における水の量は、請求項6で説明したものと同様なので説明を省略する。
【0042】
なお、グルコマンナン、繊維状体、塩基性硬化剤、糖質については、請求項1で、それらの量については請求項2で説明したものと同様なので、説明を省略する。また、硬化液は、請求項6で説明したものと同様に、pH調整剤を加えてpH6〜12好ましくは7〜12に調整することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
グルコマンナン10重量部、繊維状体として平均長さ5mm,平均アスペクト比200の乾燥ケナフパルプ500重量部、水10000重量部を容器内で十分に混合撹拌して懸濁液を作成した(懸濁工程)。
これとは別に、水7000重量部に塩基性硬化剤として水酸化カルシウム13重量部、糖質として砂糖2100重量部、pH調整剤として硼酸28重量部を溶解し硬化液を作成した(硬化液調製工程)。
底面に不織布,濾紙等が配設されて吸引濾過可能に形成された円筒状の成形型に、懸濁液を流し込むとともに吸引濾過して溶液を分離して、膨潤したグルコマンナンに繊維状体が均一に分散した円盤状の中間成形体を成形した(中間成形工程)。
次いで、円盤状の中間成形体の上面から成形型内に硬化液をまんべんなく注ぎ込んで硬化液を中間成形体に含浸させるとともに吸引濾過して硬化液を中間成形体と分離した。中間成形体内のグルコマンナンは含浸した硬化液によって室温でゲル化して硬化し円盤状の成形体が得られた(凝固工程)。なお、吸引濾過された硬化液は回収した。
次いで、成形体を成形型から脱型した後、80℃に保持された乾燥器内で加熱乾燥し固化させて、実施例1の繊維成形体を得た(乾燥工程)。
【0044】
(実施例2)
グルコマンナン10重量部、繊維状体として実施例1と同様の乾燥ケナフパルプ167重量部、水3333重量部を容器内で十分に混合撹拌して懸濁液を作成した(懸濁工程)。
これとは別に、水2333重量部に塩基性硬化剤として水酸化カルシウム4重量部、糖質として砂糖700重量部、pH調整剤として硼酸9重量部を溶解し硬化液を作成した(硬化液調製工程)。
その他は実施例1と同様にして、実施例2の繊維成形体を得た。
【0045】
(実施例3)
グルコマンナン10重量部、繊維状体として実施例1と同様の乾燥ケナフパルプ1000重量部、水20000重量部を容器内で十分に混合撹拌して懸濁液を作成した(懸濁工程)。
これとは別に、水14000重量部に塩基性硬化剤として水酸化カルシウム27重量部、糖質として砂糖4200重量部、pH調整剤として硼酸56重量部を溶解し硬化液を作成した(硬化液調製工程)。
その他は実施例1と同様にして、実施例3の繊維成形体を得た。
【0046】
(比較例1)
繊維状体として実施例1と同様の乾燥ケナフパルプ500重量部、水10000重量部を容器内で十分に混合撹拌した。
底面に不織布,濾紙等が配設されて吸引濾過可能に形成された円筒状の成形型に、水と繊維状体を混合撹拌した液体を流し込むとともに吸引濾過して脱水分離して、円盤状の比較例1の繊維成形体を成形した。比較例1の繊維成形体は、繊維状体がグルコマンナンで固化されていない点で実施例1乃至3の繊維成形体と相違する。
【0047】
(機械的強度の評価)
実施例1乃至3及び比較例1の繊維成形体から、厚さ約2mm、幅約10mm、長さ約80mmの直方体の試験片を作成した。これらの試験片の中央に荷重を加えて荷重とその部分のたわみを測定し、曲げ強度及び曲げ弾性率を計算した。なお、曲げ試験の評点間距離は60mmとした。
曲げ強度及び曲げ弾性率を(表1)に示す。
【表1】
【0048】
(表1)から明らかなように、実施例1乃至3の繊維成形体は比較例1のグルコマンナンで固化されていない繊維成形体と比較して、曲げ強度及び曲げ弾性率とも高く、機械的強度に優れていることが明らかになった。なお、実施例3の繊維成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率が実施例1乃至2よりも低いのは、グルコマンナンの量に比して繊維状体の配合量が多いからであると推察している。
なお、実施例1乃至3の繊維成形体の平面部分にガスバーナーの火炎を5秒間当て、火炎を取り去ったときにも燃焼しなかった。一方、比較例1の繊維成形体では火炎が広がり燃焼した。このことから、本実施例の繊維成形体は、難燃性に優れていることが明らかである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)所定量の水を加えるだけで常温でグルコマンナンが溶解し塩基性硬化剤によって凝固するので、これがバインダーとなり繊維状体同士を結合させ、安全性に優れ低原価で容易に成形することのできる繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(2)所定量の水を加えるとグルコマンナンが糊状になるので、繊維状体が糊状内に分散され易くなり繊維状体とグルコマンナンとが分離し難く繊維状体の分散性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(3)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れ、摺動部材として用いることもできる繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(4)繊維状体を含有しているので、所定量の水を加えて撹拌混合することで繊維状体同士が絡み合い、さらにグルコマンナンが凝固し弾性体を形成するので機械的強度の高い繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(5)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(6)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し、及びゲル化したグルコマンナン内に分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れた繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(7)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(8)常温で固化させることができるので、多大な設備負荷を要さずに大面積や肉厚の大きな大容積の繊維成形体を容易に製造することができる繊維成形体組成物を提供することができる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)単位容積当りの繊維状体の含有量の多少によって繊維成形体を多孔状化し空隙の大きさや空隙率を調節することができ、繊維成形体の嵩密度や機械的強度、防音効果等を調整することができ自在性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(2)糖質の含有量の多少によって機械的強度や繊維成形体の表面平滑性を高めることができ成形性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、
(1)グルコマンナンが凝固することによって互いに結合された複数本の繊維状体を備えているので、凝固したグルコマンナンが弾性体を形成し機械的強度に優れた繊維成形体を提供することができる。
(2)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れ、摺動部材としても用いることができる繊維成形体を提供することができる。
(3)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分を補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れた繊維成形体を提供することができる。
(4)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し分散し、及びゲル化したグルコマンナン内に取り込まれて分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れた繊維成形体を提供することができる。
(5)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れた繊維成形体を提供することができる。
【0052】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)表面に防水皮膜が形成されているので、繊維成形体の表面が水で濡れ難く表面のグルコマンナンが水分を吸収し難く耐水性に優れた繊維成形体を提供することができる。
【0053】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)グルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを混合撹拌する混合撹拌工程を備えているので、グルコマンナンや繊維状体等を均一に混合することができるとともにグルコマンナンや繊維状体を十分膨潤させることができ、グルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに、機械的強度を高めることができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(2)混合撹拌工程でグルコマンナン等を混合して混合液を作成した後、成形工程において混合液から溶液を分離して成形体を得るので、作業を単純化することができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
【0054】
請求項6に記載の発明によれば、
(1)分散工程において繊維状体と水とを混合撹拌して繊維状体が分散された分散液を得て、次いでこれから溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程を備えているので、分散液の粘度が低く分離後の中途成形体の厚さを薄くでき、肉厚の薄い繊維成形体を製造することができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液をグルコマンナンが散布された中途成形体に含浸させて凝固させる凝固工程を備えているので、グルコマンナンを凝固させた硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(3)グルコマンナンが散布された中途成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
【0055】
請求項7に記載の発明によれば、
(1)懸濁工程においてグルコマンナンと繊維状体と水とを混合撹拌してグルコマンナン水溶液に繊維状体が分散された懸濁液を得て、次いでこれを分離して中間成形体を得る中間成形工程を備えているので、懸濁液の粘度を任意に調整することができ分離後の中間成形体の厚さを任意に調整して種々の繊維成形体を製造することができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液を中間成形体に含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程を備えているので、硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(3)中間成形工程で得られた中間成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の内装材や防音材、家電製品等のハウジングや防音材、断熱材等の建築資材等として最適な繊維成形体の製造に好適な繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の内装材や防音材、家電製品等のハウジングや防音材、断熱材等の建築資材等として好適な繊維成形体が用いられている。
従来の防音性を有する成形体としては、(非特許文献1)に「金属繊維や粉末を充填した各種プラスチックや連続気泡のポリウレタンフォーム」が記載されている。
また、(特許文献1)には「少なくとも2種以上の熱可塑性繊維で構成された繊維成形体」が開示されている。
【0003】
【非特許文献1】
図解プラスチック用語辞典 第2版、第745頁、「防音材」の欄、発行所 日刊工業新聞社、1994年11月27日発行
【特許文献1】
特開平10−77562号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、熱可塑性繊維で構成されているので、省資源性に欠けるとともにリサイクル性に欠けるという課題を有していた。
(2)(非特許文献1)や(特許文献1)に記載の成形体を廃棄物として処理する際には焼却が必要になり、また埋め立てた場合には分解され難いので環境保全性に欠けるという課題を有していた。
(3)また、金属繊維や粉末は発塵するので、作業時には防塵具等を要し安全性と作業性に欠けるという課題を有していた。
(4)難燃剤が添加され難燃性が付与された成形体は焼却するのが困難で、焼却の際に多大なエネルギーを要し省資源性に欠けるとともに環境保全性に欠けるという課題を有していた。
(5)熱可塑性繊維等で構成された成形体を成形する際には、成形装置に多大な設備負荷を要するとともに、成形の際に多大なエネルギーを要し省資源性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、安全性に優れるとともに設備負荷を要さず低原価で容易に成形することができ成形性に優れ、また機械的強度と難燃性に優れ、さらに環境保全性にも優れた繊維成形体組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、成形性に優れるとともに機械的強度と難燃性に優れ、さらに環境保全性にも優れた繊維成形体を提供することを目的とする。
また、本発明は、作業が単純で作業性に優れ、さらにグルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに機械的強度を高めることができる繊維成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために本発明の繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法は、以下の構成を有している。
【0007】
本発明の請求項1に記載の繊維成形体組成物は、(a)グルコマンナンと、(b)繊維状体と、(c)塩基性硬化剤と、(d)糖質と、を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)所定量の水を加えるだけで常温でグルコマンナンが溶解し塩基性硬化剤によって凝固するので、これがバインダーとなり繊維状体同士を結合させ、安全性に優れ低原価で容易に成形することのできる繊維成形体を得ることができる。
(2)所定量の水を加えるとグルコマンナンが糊状になるので、繊維状体が糊状内に分散され易くなり繊維状体とグルコマンナンとが分離し難く繊維状体の分散性に優れる。
(3)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れた繊維成形体を得ることができる。
(4)繊維状体を含有しているので、所定量の水を加えて撹拌混合することで繊維状体同士が絡み合い、さらにグルコマンナンが凝固し弾性体を形成するので機械的強度の高い繊維成形体を得ることができる。
(5)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れる。
(6)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し、及びゲル化したグルコマンナン内に分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れる。
(7)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れる。
(8)常温で固化させることができるので、多大な設備負荷を要さずに大面積や肉厚の大きな大容積の繊維成形体を容易に製造することができる。
【0008】
ここで、グルコマンナンとしては、コンニャクイモの根茎、ゾウゲヤシの胚乳、ラン科植物の球根、ハリモミのヘミセルロース等から得られるものが用いられる。なかでも、コンニャクイモの根茎やユリの球根等に含まれるコンニャクマンナンが好適に用いられる。大量に採取可能だからである。コンニャクマンナンとしては、コンニャクイモをすりおろしたもの、乾燥させた粉末、コンニャクイモを適当な厚さにスライスして天日乾燥したものを粉砕したもの等を用いることができる。
【0009】
繊維状体としては、木材パルプ,リンターパルプ,ぼろパルプ,竹パルプ,バガスパルプ,ケナフパルプ,麻パルプ,わらパルプ,コウゾやミツマタ等の靭皮繊維パルプ等を構成する植物体繊維、おが屑,かんな屑等の木材屑等の植物性繊維、ココナッツ繊維等の果実繊維、綿,カポック等の種子毛繊維、レーヨン等のセルロース繊維やポリエステル,ナイロン,アクリル等を材料として断面形状がC字形状やL字形状等の異型状や微細な孔を多数形成して比表面積を増大させて親水性を高めた親水性繊維、食品工場等で有用物が抽出され廃棄される茶葉等の食品抽出残渣、コーヒー豆,大豆,小豆等の豆類の外皮等の内いずれか1種以上が用いられる。なかでも、パルプを構成する植物体繊維や木材屑等の植物性繊維、綿,カポック等の種子毛繊維、レーヨン等のセルロース繊維、廃棄された茶葉等の食品抽出残渣、豆類の外皮等が好適に用いられる。これらは天然繊維やセルロース繊維であるとともに廃材等を利用しており大量に生産できるので、廃棄した際に地中の微生物等によって分解され易く環境保全性に著しく優れるとともに容易に安定供給できるからである。
【0010】
繊維状体の平均長さとしては、繊維成形体の用途にもよるが、0.5〜50mm好ましくは0.8〜20mmが好適に用いられる。繊維状体の平均長さが短くなるにつれ繊維成形体の空隙率を小さくすることができるが、0.8mmより短くなるにつれ繊維状体の形成が困難になる傾向がみられる。繊維状体の平均長さが長くなるにつれ繊維成形体の空隙率を高めることができるが、20mmより長くなるにつれ繊維状体と水等とが均一に分散して混合され難く成形性が低下するとともに機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、平均長さが0.5mmより短くなるか50mmより長くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0011】
繊維状体の平均のアスペクト比としては、10〜3000好ましくは15〜1500が好適に用いられる。なお、アスペクト比は、繊維状体の長さ(L)と、長さ方向に垂直な断面の最大幅(W)との比(L/W)をいう。平均のアスペクト比が15より小さくなるにつれ繊維状体が絡みつき難く機械的強度が低下する傾向がみられ、1500より大きくなるにつれ繊維状体が均一に分散し難く成形性が低下する傾向がみられる。特に、平均のアスペクト比が10より小さくなるか3000より大きくなると、これらの傾向が著しいのでいずれも好ましくない。
【0012】
塩基性硬化剤としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシウム,水酸化バリウム,水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,炭酸バリウム,炭酸水素アンモニウム等の金属炭酸塩若しくはアンモニウム炭酸塩、L−アルギニン,L−リジン等の塩基性アミノ酸、アミルアミン,ジエチルアミン,2−アミノエタノール等のアミン類、硼酸アンモニウム,硼酸カルシウム,メタ硼酸ナトリウム,四硼酸ナトリウム,四硼酸水素メチルアンモニウム等の硼酸塩の内いずれか1種以上が用いられる。
【0013】
糖質としては、ブドウ糖,蔗糖,砂糖,果糖,転化糖等の単糖類や多糖類等の糖類、小麦澱粉,米澱粉,バレイショ澱粉,コーンスターチ等の澱粉、カルボキシメチル澱粉等の化工澱粉、カルボキシメチルセルロース等の内いずれか1種以上が用いられる。なかでも、ブドウ糖,蔗糖,砂糖,果糖,転化糖等の糖類、カルボキシメチル澱粉等の化工澱粉、カルボキシメチルセルロース等が好適に用いられる。冷水に可溶であり作業性に優れるからである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の繊維成形体組成物であって、(a)前記グルコマンナン10重量部に対し、(b)前記繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(c)前記塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)前記糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)単位容積当りの繊維状体の含有量の多少によって繊維成形体を多孔状化し空隙の大きさや空隙率を調節することができ、繊維成形体の嵩密度や機械的強度、防音効果等を調整することができ自在性に優れる。
(2)糖質の含有量の多少によって機械的強度や繊維成形体の表面平滑性を高めることができ成形性に優れる。
【0015】
ここで、繊維状体は、その長さやアスペクト比、種類にもよるが、グルコマンナン10重量部に対して20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部とすることにより、機械的強度の高い繊維成形体が得られる。繊維状体が30重量部より少なくなるにつれ得られた繊維成形体の基体として存在する繊維状体の量が少なく繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられ、1500重量部より多くなるにつれ繊維状体同士の接触点に存在するグルコマンナンの量が少なく繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、繊維状体が20重量部より少なくなるか2500重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0016】
塩基性硬化剤は、その種類にもよるが、グルコマンナン10重量部に対して1〜400重量部好ましくは2〜200重量部とすることにより、機械的強度が高く、さらに長期安定性に優れる繊維成形体が得られる。塩基性硬化剤が2重量部より少なくなるにつれグルコマンナンの硬化が不十分で硬化後の繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられ、200重量部より多くなるにつれ繊維成形体に残留する塩基性硬化剤の反応により大気中の二酸化炭素等を吸収して変質し易く、また皮膚や粘膜等をおかし易く用途が制限される等の傾向がみられる。特に、塩基性硬化剤が1重量部より少なくなるか400重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0017】
糖質は、その種類にもよるが、グルコマンナン10重量部に対して9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部とすることにより、機械的強度が高く、さらに表面平滑性の高い繊維成形体が得られる。糖質が50重量部より少なくなるにつれグルコマンナンのゲル化(水和)が不十分になるため水分量を多くしなければならなくなり硬化後の機械的強度が低下するとともに、繊維成形体の表面の平滑性が低下する傾向がみられ、5000重量部より多くなるにつれグルコマンナンの可とう性や保水性等を低下させ繊維成形体の機械的強度や潤滑性等を低下させる傾向がみられる。特に、糖質が9重量部より少なくなるか7000重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるのでいずれも好ましくない。
【0018】
なお、グルコマンナンの重量としては、乾燥後の重量をいう。
【0019】
本発明の請求項3に記載の繊維成形体は、塩基性硬化剤によって凝固したグルコマンナンと、前記グルコマンナンによって互いに結合された複数本の繊維状体と、前記繊維状体及び前記グルコマンナンに分散された糖質と、を備えた構成を備えている。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)グルコマンナンが凝固することによって互いに結合された複数本の繊維状体を備えているので、凝固したグルコマンナンが弾性体を形成し機械的強度に優れる。
(2)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れる。
(3)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分を補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れる。
(4)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し分散し、及びゲル化したグルコマンナン内に取り込まれて分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れる。
(5)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れる。
【0020】
ここで、グルコマンナン、繊維状体、糖質は、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0021】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の繊維成形体であって、表面に防水皮膜が形成された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)表面に防水皮膜が形成されているので、繊維成形体の表面が水で濡れ難く表面のグルコマンナンが水分を吸収し難く耐水性に優れる。
【0022】
ここで、防水皮膜としては、柿渋,漆,ニカワ等の天然塗料、ミョウバン、水溶性合成樹脂塗料等によって形成された皮膜が用いられる。これらの防水皮膜を形成することにより、耐水性を付与するとともに着色を施すことができる。なかでも、柿渋,漆,ニカワ等の天然塗料によって形成された防水皮膜が好適に用いられる。天然由来の材料なので生分解性に優れるからである。
【0023】
請求項5に記載の繊維成形体の製造方法は、(a)グルコマンナン10重量部と、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を混合撹拌して混合液を得る混合撹拌工程と、前記混合撹拌工程で得られた混合液から溶液を分離して成形体を得る成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を乾燥する乾燥工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)グルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを混合撹拌する混合撹拌工程を備えているので、グルコマンナンや繊維状体等を均一に混合することができるとともにグルコマンナンや繊維状体を十分膨潤させることができ、グルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに、機械的強度を高めることができる。
(2)混合撹拌工程でグルコマンナン等を混合して混合液を作成した後、成形工程において混合液から溶液を分離して成形体を得るので、作業を単純化することができる。
【0024】
ここで、混合撹拌工程としては、所定量のグルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを容器内で混合撹拌するものが用いられる。容器内にグルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを同時に投入して混合撹拌することもできるが、初めに繊維状体とグルコマンナンと水とを容器内で十分混合撹拌し、次いで塩基性硬化剤と糖質とを投入するのが好ましい。グルコマンナンが塩基性硬化剤によって凝固する以前に、グルコマンナンと繊維状体とを十分膨潤させて均一に分散させることができ繊維成形体の均質性を高めることができるからである。
【0025】
混合撹拌工程における水の量は、1000重量部より少なくなるにつれ分散液の粘度が高く成形が困難になる傾向がみられ、20000重量部より多くなるにつれグルコマンナンのゲル状が水分を多量に含み繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、水の量が500重量部より少なくなるか30000重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるので好ましくない。
【0026】
成形工程としては、少なくとも1部が不織布,織布,編布,フェルト,濾紙,抄紙用ワイヤー,多孔質セラミック等の網状体や多孔質体等で形成され所定形状に形成された成形型内に混合液を流し込み余剰の水分を分離して成形するもの、混合液に分散した繊維状体等を紙すきの要領ですくい取るもの等が用いられる。
【0027】
乾燥工程としては、成形工程で成形された成形体を成形型から脱型して、又は成形型とともに所定温度で加熱乾燥して、成形体を固化させるものが用いられる。
【0028】
グルコマンナン、繊維状体、塩基性硬化剤、糖質については、請求項1で、それらの量については請求項2で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0029】
なお、繊維成形体の種類によっては、混合液にpH調整剤を加えて混合液のpHを6〜12好ましくは7〜12に調整するのが好ましい。混合液のpHが高くなりすぎず安全性に優れるとともに、糖質としてカルボキシメチルセルロースを用いた場合でも分解せず安定性に優れる。カルボキシメチルセルロースは酸性が強くなると分解してしまうからである。
【0030】
pH調整剤としては、酢酸,乳酸,クエン酸,酒石酸,グリシン等の有機酸及びその塩、硼酸,燐酸,アルミン酸等の無機酸の内いずれか1種以上が用いられる。
【0031】
混合液のpHが7より小さくなるにつれグルコマンナンのゲル化を阻害し所望する機械的強度が得られなくなる傾向がみられ、12より大きくなるにつれ作業時の安全性が低下する傾向がみられる。特に、pHが6より小さくなると、この傾向が著しいため好ましくない。
【0032】
本発明の請求項6に記載の繊維成形体の製造方法は、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(e)水と、を混合撹拌して前記繊維状体が分散された分散液を得る分散工程と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を加えて溶解し硬化液を得る硬化液調製工程と、前記分散工程で得られた分散液から溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程と、前記中途成形工程で得られた中途成形体に(a)グルコマンナン10重量部を散布する散布工程と、前記散布工程でグルコマンナンが散布された中途成形体に前記硬化液調製工程で調製された硬化液を含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程と、前記凝固工程でグルコマンナンが凝固した中途成形体を乾燥して成形体を得る乾燥工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)分散工程において繊維状体と水とを混合撹拌して繊維状体が分散された分散液を得て、次いでこれから溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程を備えているので、分散液の粘度が低く分離後の中途成形体の厚さを薄くでき、肉厚の薄い繊維成形体を製造することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液をグルコマンナンが散布された中途成形体に含浸させて凝固させる凝固工程を備えているので、グルコマンナンを凝固させた硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れる。
(3)グルコマンナンが散布された中途成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れる。
【0033】
ここで、分散工程において所定量の繊維状体と混合される水の量は、繊維状体を水中に分散させて混合することができるだけの十分な量であればよい。分散工程で混合された水は中途成形工程で中途成形体から分離されてしまうからである。
【0034】
凝固工程としては、散布工程でグルコマンナンが散布された中途成形体に、硬化液調製工程で調製された硬化液を成形型内で噴霧、散布、注ぎ込む等して含浸させる工程を備えるものが用いられる。グルコマンナンが散布された中途成形体に含浸させた硬化液の量が多い場合は、吸引濾過,遠心分離等で硬化液を脱液する脱硬化液工程を備えるものが用いられる。これにより、乾燥工程の乾燥時間を短くすることができる。
【0035】
硬化液調製工程における水の量は、1000重量部より少なくなるにつれグルコマンナンの水和が不均一になり易く繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられ、20000重量部より多くなるにつれグルコマンナンのゲル状が水分を多量に含み繊維成形体の機械的強度が低下する傾向がみられる。特に、水の量が500重量部より少なくなるか30000重量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるので好ましくない。
【0036】
中途成形工程としては、請求項5で説明した成形工程と同様のものであり、乾燥工程としては、請求項5で説明したものと同様なので説明を省略する。
【0037】
グルコマンナン、繊維状体、塩基性硬化剤、糖質については、請求項1で、それらの量については請求項2で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0038】
なお、繊維成形体の種類によっては、硬化液のpHを請求項5で説明した混合液と同様に、硬化液にpH調整剤を加えてpH6〜12好ましくは7〜12に調整するのが好ましい。pH調整液等は請求項5で説明したものと同様なので、説明を省略する。
【0039】
本発明の請求項7に記載の繊維成形体の製造方法は、(a)グルコマンナン10重量部と、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を混合撹拌して懸濁液を得る懸濁工程と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を加えて溶解し硬化液を得る硬化液調製工程と、前記懸濁工程で得られた懸濁液から溶液を分離して中間成形体を得る中間成形工程と、前記中間成形工程で得られた中間成形体に前記硬化液調製工程で調製された硬化液を含浸させて前記グルコマンナンを凝固させて成形体を得る凝固工程と、前記凝固工程で得られた成形体を乾燥する乾燥工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)懸濁工程においてグルコマンナンと繊維状体と水とを混合撹拌してグルコマンナン水溶液に繊維状体が分散された懸濁液を得て、次いでこれから溶液を分離して中間成形体を得る中間成形工程を備えているので、懸濁液の粘度を任意に調整することで分離後の中間成形体の厚さを任意に調整して種々の繊維成形体を製造することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液を中間成形体に含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程を備えているので、硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れる。
(3)中間成形工程で得られた中間成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れる。
【0040】
ここで、凝固工程としては、中間成形工程で得られた中間成形体に、硬化液調製工程で調製された硬化液を成形型内で噴霧、散布、注ぎ込む等して含浸させる工程を備えるものが用いられる。中間成形体に含浸させた硬化液の量が多い場合は、吸引濾過,遠心分離等で硬化液を脱液する脱硬化液工程を備えるものが用いられる。これにより、乾燥工程の乾燥時間を短くすることができる。
【0041】
懸濁工程における水の量は、請求項5の混合撹拌工程で説明した水の量と同様であり、中間成形工程としては、請求項5で説明した成形工程と同様のものであり、乾燥工程としては、請求項5で説明したものと同様なので説明を省略する。また、硬化液調製工程における水の量は、請求項6で説明したものと同様なので説明を省略する。
【0042】
なお、グルコマンナン、繊維状体、塩基性硬化剤、糖質については、請求項1で、それらの量については請求項2で説明したものと同様なので、説明を省略する。また、硬化液は、請求項6で説明したものと同様に、pH調整剤を加えてpH6〜12好ましくは7〜12に調整することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
グルコマンナン10重量部、繊維状体として平均長さ5mm,平均アスペクト比200の乾燥ケナフパルプ500重量部、水10000重量部を容器内で十分に混合撹拌して懸濁液を作成した(懸濁工程)。
これとは別に、水7000重量部に塩基性硬化剤として水酸化カルシウム13重量部、糖質として砂糖2100重量部、pH調整剤として硼酸28重量部を溶解し硬化液を作成した(硬化液調製工程)。
底面に不織布,濾紙等が配設されて吸引濾過可能に形成された円筒状の成形型に、懸濁液を流し込むとともに吸引濾過して溶液を分離して、膨潤したグルコマンナンに繊維状体が均一に分散した円盤状の中間成形体を成形した(中間成形工程)。
次いで、円盤状の中間成形体の上面から成形型内に硬化液をまんべんなく注ぎ込んで硬化液を中間成形体に含浸させるとともに吸引濾過して硬化液を中間成形体と分離した。中間成形体内のグルコマンナンは含浸した硬化液によって室温でゲル化して硬化し円盤状の成形体が得られた(凝固工程)。なお、吸引濾過された硬化液は回収した。
次いで、成形体を成形型から脱型した後、80℃に保持された乾燥器内で加熱乾燥し固化させて、実施例1の繊維成形体を得た(乾燥工程)。
【0044】
(実施例2)
グルコマンナン10重量部、繊維状体として実施例1と同様の乾燥ケナフパルプ167重量部、水3333重量部を容器内で十分に混合撹拌して懸濁液を作成した(懸濁工程)。
これとは別に、水2333重量部に塩基性硬化剤として水酸化カルシウム4重量部、糖質として砂糖700重量部、pH調整剤として硼酸9重量部を溶解し硬化液を作成した(硬化液調製工程)。
その他は実施例1と同様にして、実施例2の繊維成形体を得た。
【0045】
(実施例3)
グルコマンナン10重量部、繊維状体として実施例1と同様の乾燥ケナフパルプ1000重量部、水20000重量部を容器内で十分に混合撹拌して懸濁液を作成した(懸濁工程)。
これとは別に、水14000重量部に塩基性硬化剤として水酸化カルシウム27重量部、糖質として砂糖4200重量部、pH調整剤として硼酸56重量部を溶解し硬化液を作成した(硬化液調製工程)。
その他は実施例1と同様にして、実施例3の繊維成形体を得た。
【0046】
(比較例1)
繊維状体として実施例1と同様の乾燥ケナフパルプ500重量部、水10000重量部を容器内で十分に混合撹拌した。
底面に不織布,濾紙等が配設されて吸引濾過可能に形成された円筒状の成形型に、水と繊維状体を混合撹拌した液体を流し込むとともに吸引濾過して脱水分離して、円盤状の比較例1の繊維成形体を成形した。比較例1の繊維成形体は、繊維状体がグルコマンナンで固化されていない点で実施例1乃至3の繊維成形体と相違する。
【0047】
(機械的強度の評価)
実施例1乃至3及び比較例1の繊維成形体から、厚さ約2mm、幅約10mm、長さ約80mmの直方体の試験片を作成した。これらの試験片の中央に荷重を加えて荷重とその部分のたわみを測定し、曲げ強度及び曲げ弾性率を計算した。なお、曲げ試験の評点間距離は60mmとした。
曲げ強度及び曲げ弾性率を(表1)に示す。
【表1】
【0048】
(表1)から明らかなように、実施例1乃至3の繊維成形体は比較例1のグルコマンナンで固化されていない繊維成形体と比較して、曲げ強度及び曲げ弾性率とも高く、機械的強度に優れていることが明らかになった。なお、実施例3の繊維成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率が実施例1乃至2よりも低いのは、グルコマンナンの量に比して繊維状体の配合量が多いからであると推察している。
なお、実施例1乃至3の繊維成形体の平面部分にガスバーナーの火炎を5秒間当て、火炎を取り去ったときにも燃焼しなかった。一方、比較例1の繊維成形体では火炎が広がり燃焼した。このことから、本実施例の繊維成形体は、難燃性に優れていることが明らかである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の繊維成形体組成物及び繊維成形体並びに繊維成形体の製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)所定量の水を加えるだけで常温でグルコマンナンが溶解し塩基性硬化剤によって凝固するので、これがバインダーとなり繊維状体同士を結合させ、安全性に優れ低原価で容易に成形することのできる繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(2)所定量の水を加えるとグルコマンナンが糊状になるので、繊維状体が糊状内に分散され易くなり繊維状体とグルコマンナンとが分離し難く繊維状体の分散性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(3)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れ、摺動部材として用いることもできる繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(4)繊維状体を含有しているので、所定量の水を加えて撹拌混合することで繊維状体同士が絡み合い、さらにグルコマンナンが凝固し弾性体を形成するので機械的強度の高い繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(5)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(6)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し、及びゲル化したグルコマンナン内に分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れた繊維成形体が得られる繊維成形体組成物を提供することができる。
(7)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(8)常温で固化させることができるので、多大な設備負荷を要さずに大面積や肉厚の大きな大容積の繊維成形体を容易に製造することができる繊維成形体組成物を提供することができる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)単位容積当りの繊維状体の含有量の多少によって繊維成形体を多孔状化し空隙の大きさや空隙率を調節することができ、繊維成形体の嵩密度や機械的強度、防音効果等を調整することができ自在性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
(2)糖質の含有量の多少によって機械的強度や繊維成形体の表面平滑性を高めることができ成形性に優れた繊維成形体組成物を提供することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、
(1)グルコマンナンが凝固することによって互いに結合された複数本の繊維状体を備えているので、凝固したグルコマンナンが弾性体を形成し機械的強度に優れた繊維成形体を提供することができる。
(2)繊維状体間で凝固したグルコマンナンは保水性を有しているので、摩擦係数を小さくすることができ潤滑性に優れ、摺動部材としても用いることができる繊維成形体を提供することができる。
(3)グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられており、グルコマンナンに水分を補給することにより可塑性と付着性を発現するので、一旦成形された繊維成形体の表面を水で濡らした後、濡れた表面に他の繊維成形体を押し付けることにより容易に付着させることができ成形性に優れた繊維成形体を提供することができる。
(4)糖質を含有しているので、加えられた水に溶解した糖質が乾燥後の繊維成形体の繊維状体を被覆し分散し、及びゲル化したグルコマンナン内に取り込まれて分散して存在するため、火炎が近づいたときには糖質が溶融し消炎するので、繊維成形体が火炎を上げて燃え広がらず難燃性に優れた繊維成形体を提供することができる。
(5)生分解性繊維からなる繊維状体を選べば、グルコマンナンが繊維状体のバインダーとして用いられているので、繊維成形体を廃棄物として処理する際には、埋め立てることによって地中の水分や微生物等によってグルコマンナンが分解して崩壊し易く環境保全性に優れた繊維成形体を提供することができる。
【0052】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)表面に防水皮膜が形成されているので、繊維成形体の表面が水で濡れ難く表面のグルコマンナンが水分を吸収し難く耐水性に優れた繊維成形体を提供することができる。
【0053】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)グルコマンナンと繊維状体と塩基性硬化剤と糖質と水とを混合撹拌する混合撹拌工程を備えているので、グルコマンナンや繊維状体等を均一に混合することができるとともにグルコマンナンや繊維状体を十分膨潤させることができ、グルコマンナンや繊維状体が分離することなく成形でき均質性を高めるとともに、機械的強度を高めることができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(2)混合撹拌工程でグルコマンナン等を混合して混合液を作成した後、成形工程において混合液から溶液を分離して成形体を得るので、作業を単純化することができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
【0054】
請求項6に記載の発明によれば、
(1)分散工程において繊維状体と水とを混合撹拌して繊維状体が分散された分散液を得て、次いでこれから溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程を備えているので、分散液の粘度が低く分離後の中途成形体の厚さを薄くでき、肉厚の薄い繊維成形体を製造することができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液をグルコマンナンが散布された中途成形体に含浸させて凝固させる凝固工程を備えているので、グルコマンナンを凝固させた硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(3)グルコマンナンが散布された中途成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
【0055】
請求項7に記載の発明によれば、
(1)懸濁工程においてグルコマンナンと繊維状体と水とを混合撹拌してグルコマンナン水溶液に繊維状体が分散された懸濁液を得て、次いでこれを分離して中間成形体を得る中間成形工程を備えているので、懸濁液の粘度を任意に調整することができ分離後の中間成形体の厚さを任意に調整して種々の繊維成形体を製造することができる繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(2)硬化液調製工程で調製された硬化液を中間成形体に含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程を備えているので、硬化液を回収して繰り返し使用することができ省資源性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
(3)中間成形工程で得られた中間成形体に硬化液を含浸させる以前に中間成形体の形状等を修整することができ量産時等の品質の安定性に優れた繊維成形体の製造方法を提供することができる。
Claims (7)
- (a)グルコマンナンと、(b)繊維状体と、(c)塩基性硬化剤と、(d)糖質と、を含有していることを特徴とする繊維成形体組成物。
- (a)前記グルコマンナン10重量部に対し、(b)前記繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(c)前記塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)前記糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、を含有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維成形体組成物。
- 塩基性硬化剤によって凝固したグルコマンナンと、前記グルコマンナンによって互いに結合された複数本の繊維状体と、前記繊維状体及び前記グルコマンナンに分散された糖質と、を備えていることを特徴とする繊維成形体。
- 表面に防水皮膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の繊維成形体。
- (a)グルコマンナン10重量部と、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を混合撹拌して混合液を得る混合撹拌工程と、
前記混合撹拌工程で得られた混合液から溶液を分離して成形体を得る成形工程と、
前記成形工程で得られた成形体を乾燥する乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする繊維成形体の製造方法。 - (b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(e)水と、を混合撹拌して前記繊維状体が分散された分散液を得る分散工程と、
(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を加えて溶解し硬化液を得る硬化液調製工程と、
前記分散工程で得られた分散液から溶液を分離して中途成形体を得る中途成形工程と、
前記中途成形工程で得られた中途成形体に(a)グルコマンナン10重量部を散布する散布工程と、
前記散布工程でグルコマンナンが散布された中途成形体に前記硬化液調製工程で調製された硬化液を含浸させてグルコマンナンを凝固させる凝固工程と、
前記凝固工程でグルコマンナンが凝固した中途成形体を乾燥して成形体を得る乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする繊維成形体の製造方法。 - (a)グルコマンナン10重量部と、(b)繊維状体20〜2500重量部好ましくは30〜1500重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を混合撹拌して懸濁液を得る懸濁工程と、
(c)塩基性硬化剤1〜400重量部好ましくは2〜200重量部と、(d)糖質9〜7000重量部好ましくは50〜5000重量部と、(e)水500〜30000重量部好ましくは1000〜20000重量部と、を加えて溶解し硬化液を得る硬化液調製工程と、
前記懸濁工程で得られた懸濁液から溶液を分離して中間成形体を得る中間成形工程と、
前記中間成形工程で得られた中間成形体に前記硬化液調製工程で調製された硬化液を含浸させて前記グルコマンナンを凝固させて成形体を得る凝固工程と、
前記凝固工程で得られた成形体を乾燥する乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする繊維成形体の製造方法。
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CN114341434A (zh) * | 2019-07-03 | 2022-04-12 | 斯道拉恩索公司 | 基于纤维素纤维的可模塑材料 |
-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003018056A patent/JP2004225230A/ja not_active Withdrawn
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Effective date: 20060120 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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