JP2004225133A - 酸化剤の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な装置でかつ容易な制御で以って、酸化剤を効率良く製造する方法及びその装置を提供する。
【解決手段】水溶液20を貯水する反応槽12と、該水溶液に対向配置した陽極部材13及び陰極部材14と、これら電極に接続されパルス高電圧を印加するパルス電圧発生器10と、を備え、前記パルス電圧発生器10は、前記陽極部材が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を印加する構成とし、前記パルス高電圧の印加により水溶液を電気化学反応して前記陰極部材14側で過酸化水素を生成するとともに、前記陽極部材13側で水から過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】水溶液20を貯水する反応槽12と、該水溶液に対向配置した陽極部材13及び陰極部材14と、これら電極に接続されパルス高電圧を印加するパルス電圧発生器10と、を備え、前記パルス電圧発生器10は、前記陽極部材が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を印加する構成とし、前記パルス高電圧の印加により水溶液を電気化学反応して前記陰極部材14側で過酸化水素を生成するとともに、前記陽極部材13側で水から過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶液を電気化学反応し、主として酸化剤を製造する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パルプ工場でのパルプ漂白処理や廃水処理設備での殺菌、消毒処理等で使用される薬品として主流とされていた塩素系薬剤に代わり、過酸化水素が注目されてきている。塩素系薬剤は、処理液中に有機物や生物と反応してトリハロメタンやダイオキシン類等の人体に有害な有機塩素系化合物を生成する惧れがある為である。
過酸化水素の製造方法としては、アントラキノン系化合物の水素化、空気酸化という非電解法で安価に製造可能であるが、過酸化水素が不安定で分解し易い性質を有するため長期間の保存が不可能であるため、オンサイト型の過酸化水素製造装置の需要が高まっている。
【0003】
オンサイト型としても利用可能な過酸化水素製造方法としては、安価でかつ使用量に合わせた少量生産が可能であることから電解過酸化水素製造方法が有望視されている。
一般的に、電気分解による過酸化水素製造方法は、酸素を吹き込んだアルカリ性電解液中において、陰極での酸素還元反応と陽極での水の酸化反応の組み合わせにて行われている。このとき、陽極で生成した酸素は陰極の過酸化水素の生成に利用される。
また、前記陽極と陰極との間にイオン伝導性材料を配置して、電流効率を高く維持して高濃度の過酸化水素を製造する方法(例えば特許文献1)も公知である。
【0004】
さらに、消費電力を抑えて効率良く過酸化水素を発生することができる装置として、特開平11−229168号公報(特許文献2)に開示される過酸化水素発生装置を図14に示す。かかる装置によれば、電解槽01内に配置された陰極板03と陽極板02との間をアニオン交換膜08とカチオン交換膜07とで仕切り、陰極室06、中間室05及び陽極室04を形成し、該中間室05内に海水若しくは食塩水を導入して過酸化水素を生成している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−104189号公報
【特許文献2】
特開平11−229168号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来技術では、陽極で生成する酸素を陰極での過酸化水素生成の原料としているが、下記式(1)のごとく陽極反応は4電子反応であるのに対し、下記式(2)のごとく陰極は2電子反応であり、陽極で生成した酸素だけでは陰極での過酸化水素生成反応には不足である。従って、結局酸素発生装置が必要となり、特に効率の良い方法とは言い難い。
2H2O → O2+4H++4e− …(1)
O2+2H++2e− → H2O2 …(2)
本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、簡単な装置でかつ容易な制御で以って、過酸化水素を効率良く製造する方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
一般に、電極を利用した電気化学反応は電流、電圧値を調節することによって反応の種類、反応量を制御することができる。即ち、夫々の反応固有の酸化還元電位の大きさに支配され、その相対的な大きさによって物質自身の酸化又は還元反応が生起される。従って、電極を適した電位に設定することにより目的とする反応を達成することができる。
そこで、本発明者らは従来主に酸素の生成に利用されていた陽極を、過酸化水素やオゾン等の生成に利用することを発案した。即ち、陽極側の電極電位を、水からの過酸化水素生成反応、酸素からのオゾン生成反応等を生起する電位とすることで、酸化剤の生成効率を向上させるというものである。
しかし、陽極近傍で水が過剰に存在するため水の電気化学反応、つまり陽極側は酸素の生成反応、陰極側は水素の生成反応が律速となってしまい陽極電位を酸素発生電位以上に制御することは不可能であった。
【0008】
一般に、電気化学反応は電極部材と水溶液との界面における反応を伴う電子移動過程と、水溶液側から電極部材までに反応物質が輸送されてくる物質輸送過程とから構成されている。
図13に示されるように、水溶液に対向配置した電極に電圧を印加すると、電圧を印加した瞬間には一方の極から他方の極まで電位差が均一にかかるが、時間がたつにつれて、水溶液中に存在するH+イオン及びOH−イオンをはじめとするイオンは電極に引き寄せられ、陽極部材には陰イオンが、一方陰極部材には陽イオンが集まる。しかし、同符号の電荷は強く反発するため極僅か集まっただけで動きが止まってしまう。このようにして、図13に示されるように両極の表面付近には正電荷の薄い層と負電荷の薄い層が向かい合った状態の電気二重層が形成され、水溶液の大部分は電気的に中性で電位差が存在しない状態となる。
【0009】
そのまま、電圧を掛け続けると電極表面では、電気化学反応により、電子移動が起こって反応前駆体物質濃度が減少し、その分、電荷の不均衡が生じる(電子移動過程)。その電荷の不均衡を補うために、新たなる反応前駆体が水溶液中から供給されてくる(物質輸送過程)。この場合、電極電圧としては、電気化学反応に必要な電圧より少し高い値を設置しておけば、電気化学反応を起こすことができ、投入電力分を電気化学反応に寄与させることができる。しかし、電極電圧(過電圧分)が小さいと、水溶液中に印加される電解強度は小さく新たなる反応前駆体を供給する物質輸送過程における駆動力は小さく、中々反応は進まない。
【0010】
そこで、本発明者らは電気化学反応における物質輸送過程と電子移動過程とを独立に制御し、さらには電極近傍の反応物質が水の電解反応に支配される時間よりも短いパルス幅で電極間にパルス的に電圧を印加することにより、電極電位を高く設定することを可能とする方法を見出した。
即ち、反応槽内に貯水された水溶液内に対向配置した陽極部材と陰極部材との間に電圧を印加し、該陰極部材での電気化学反応により酸化剤を製造する方法において、
前記陽極部材及び陰極部材間に、該陽極部材の電極電位が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を印加し、
前記陽極部材での電気化学反応により過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
【0011】
パルス高電圧が印加されているときには、反応槽内の水溶液中ではイオンが移動して電気二重層を形成していく。この電気二重層の形成途中では水溶液内部の電気シールドが不十分であるため、電極表面よりも離れた水溶液内部まで電界が十分に掛かり、反応前駆体としてのイオンの物質移動を促進させる。
従ってかかる発明のように、パルス高電圧を印加することによって水溶液内部に電界を発生させ効率良く反応前駆体となるイオンを電極表面に引き寄せ電気化学反応を促進させることができる。
【0012】
また、かかる発明のように、電極反応が支配される時間よりも短い間隔で電極間にパルス電圧を印加することにより、電極電位が水の電解反応に支配されずに電極から電子を供給することができる。つまり、陽極部材を過酸化水素生成反応を生起する電極電位のE=1.76V、若しくはオゾン生成反応の電極電位E=2.08Vとすることができ、陽極部材側で下記式(3)、(4)の反応を引き起こすことができる。
過酸化水素生成反応
2H2O → H2O2+2H++2e− …(3)
オゾン生成反応
H2O+O2 → O3+2H++2e− …(4)
【0013】
尚、前記電極反応が支配される時間、即ち電気二重層が形成され水溶液が安定化するまでの時間は、目的生成物の前駆体物質の電気泳動度、及び水溶液の濃度等から算出することができる。
パルス高電圧の印加終了後には、放電が起きてパルス高電圧により電極表面に集められた反応前駆体としてのイオンが水溶液中に濃度拡散するが、反応効率が低下しないように、拡散が十分に行われた後に次のパルス高電圧を印加するのが好ましい。また、電気二重層が形成されるまでの時間はパルス高電圧の電圧値とパルス幅に依存するため、目的とする電極電位から電圧値を決めれば、パルス幅としては電気二重層が形成されるまでの時間で十分である。
【0014】
また、放電中は電極の極性が切り替わり、正パルス高電圧印加時とは極性の異なるイオンが電極表面に泳動し還元反応を起こすため、放電時間は放電中に電極反応(還元反応)が起きない時間に設定することが望ましい。
さらに、前記パルス高電圧のピーク時パルス幅を、前記電極と水溶液との界面に電気二重層が形成される時間以下に設定し、好適には前記パルス高電圧値が約10〜30Vで、かつデューティー比が約80〜98%となるようにパルス高電圧を印加すると良い。
【0015】
また、かかる発明は、アニオン交換膜により前記反応槽を陽極部材側領域と陰極部材側領域とに仕切り、該陽極部材側領域に水溶液を導入して水溶液を電気化学反応した後に、該水溶液の少なくとも一部を前記陽極部材側領域に返送して水溶液を循環させることを特徴とする。
かかる発明のごとくアニオン交換膜を備えることにより、前記陰極部材側領域をアルカリ性に保持し過酸化水素生成を促進することが可能となる。また、前記陽極部材側領域の水溶液を循環させることにより、過酸化水素を高濃度に生成することができる。
【0016】
さらにまた、前記反応槽内に、前記陽極部材側に設けられたカチオン交換膜と、前記陰極部材側に設けられたアニオン交換膜により、陽極部材側領域と中間領域と陰極部材側領域を形成し、該中間領域に水溶液を導入して水溶液を電気化学反応し中間領域及び陽極部材側領域にて過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
これにより、前記陰極部材側領域での過酸化酸素生成反応を促進可能であるとともに、中間領域を設けることで過酸化酸素の反応を効率を向上させ、かつ消費電力を抑えることができる。このとき、前記陽極部材側にpH調整手段を設けて酸性に維持することが好ましい。
【0017】
また、かかる方法を実施することができる好適な装置として、
水溶液を貯水する反応槽と、該水溶液に対向して対向配置した陽極部材及び陰極部材と、これら電極に接続されパルス高電圧を印加するパルス電圧発生器と、を備え、
前記パルス電圧発生器は、前記陽極部材の電極電位が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を前記電極間に印加する構成であり、
前記パルス高電圧の印加により水溶液を電気化学反応して前記陰極部材側で過酸化水素を生成するとともに、前記陽極部材側で過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記パルス高電圧のピーク時パルス幅を、前記電極と水溶液との界面に電気二重層が形成される時間以下に設定し、また前記パルス高電圧を、電圧値が約10〜30Vで、かつデューティー比が約80〜98%とすることが好適である。
さらにまた、前記反応槽が、アニオン交換膜により2以上の領域に仕切られ、一の領域が水溶液が導入される陽極部材側領域で、他の領域がアルカリ性に保持される陰極側領域であり、
前記陽極部材側領域にて過酸化水素を生成することを特徴とする。
【0019】
また、前記反応槽が、アニオン交換膜とカチオン交換膜により3以上の領域に仕切られ、第1の領域がアニオン交換膜と陰極部材とで形成された陰極部材側領域で、第2の領域がアニオン交換膜とカチオン交換膜とで形成された中間領域で、第3の領域がカチオン交換膜と陽極部材とで形成された陽極部材側領域であって、
前記陽極部材側領域及び中間領域にて過酸化水素を生成することを特徴とする。
また、前記陽極部材側領域から排出される水溶液の少なくとも一部を該領域に返送して水溶液を循環させる返送ラインを備え、該返送ライン上にpH調整手段を設け、返送水溶液を酸性に調整することが好ましい。
尚、これらの発明において、前記陰極部材はガス拡散電極により構成し、前記陽極部材は、過酸化水素生成反応の場合にはイリジウム、ルテニウム系酸化物からなる電極で、オゾン生成反応の場合には酸化鉛からなる電極により構成することが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の一実施形態おける過酸化水素製造装置の全体構成図、図2乃至図6は夫々本発明の第1乃至第5実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である。
図1において、本実施形態にかかる電気化学反応装置100は、パルス高電圧を生成するパルス電圧発生器10と、生成したパルス高電圧を増幅する電力増幅器11と、処理対象である水溶液20を貯水した反応槽12と、前記電力増幅器11に接続され水溶液20に対向配置した平板状の陽極部材13及び陰極部材14と、を主要構成とする。
【0021】
また、かかる電気化学反応装置100は、前記陽極部材13の標準電極電位を測定するために、基準電極槽16と、該基準電極槽16に貯水した水溶液内に浸漬した基準電極17と、前記陽極部材13から基準電極槽16内に導き入れた導線18A、18Bと、前記電力増幅器11のプラス端子側導線にプラス端子を接続し、かつ前記基準電極17にマイナス端子を接続した電位計15とを備えている。目的とする電気化学反応に適した電極電位とするには、前記パルス電圧発生器10による印加電圧を、前記電位計15にて測定した電位に基づき算出する。
【0022】
前記パルス電圧発生器10は周期的に同じ高電圧パルス成分波形を形成する装置を一台備えたもので良く、また、前記電力増幅器11としては、入力された電圧信号を一定倍率で増幅し、負荷に応じた電流を供給するものと、入力された電圧信号に対し、電流のみを負荷に応じて増幅するものがあるがどちらを使用しても良い。該電力増幅器11は、前記パルス高電圧発生器10から出力されるパルス高電圧に対し電流増幅し、前記陰極部材14と前記陽極部材13との間に印加させる。そのため、前記陰極部材14は前記電力増幅器11のマイナス端子に接続され、前記陽極部材13は前記電力増幅器11のプラス端子に接続されている。
【0023】
かかる実施形態は、前記パルス電圧発生器10及び電力増幅器11により、前記陽極部材13及び陰極部材14に正パルス高電圧を印加することにより電気化学反応を制御する。該印加電圧は図7に示される波形となるようにする。このとき、印加電圧に伴い電流、電極電位も同様の波形を示す。
正パルス高電圧で電気化学反応を制御するためには、印加電圧、パルス幅(デューティー比)を適正に制御する必要がある。
即ち前記パルス幅は好適には約80〜98%とし、電気二重層が形成される時間以下とし、放電時間は前記電気二重層が崩壊して水溶液が濃度拡散するのに十分な時間とする。
【0024】
前記電気二重層が形成される時間は、前記陽極部材13及び陰極部材14間に電圧が印加されている時に、水溶液20中のイオンが移動する場合の水溶液20のpH、導電率、イオン種、濃度に依存する。
また、正パルス高電圧のピーク電圧V1は、少なくとも前記電極が目的とする電気化学反応を達成可能な電位となるように設定する必要があり、好適には約10〜30Vとすると良い。これは、高くするほどイオン移動度が大きくなるため、電気二重層形成時間を短縮でき、かつ電気二重層を構成するイオンを高濃度にできるため、10V以上に設定するのが好ましい。しかし、あまりに高い電圧値では、電気化学反応に必要とされない電力が無駄に消費される為、電力効率を考慮した上で反応前駆体が効率良く反応消費されるように設定することが望ましい。尚、ピーク電圧V1の放電時にベース電圧V2がマイナス電位となるが、ベース電位V2は電極反応に寄与しない値となるようにする。
【0025】
ここで、本実施形態にて説明した前記正パルス高電圧による電気化学反応の検証結果を以下に示す。
まず、図8に基づき、パルス電圧印加時のピーク電圧V1と陽極電位の関係を、直流電圧印加時と比較検討する。下記表1に示す条件により実験を行った。ここで、ピーク電圧V1の定義は図7に基づく。
【0026】
【表1】
【0027】
これによれば、直流電圧印加時には、電圧値を上昇させても陽極電位は殆ど変わらない値を示すのに対し、正パルス電圧印加時には、ピーク電圧V1を大きくすると比例的に陽極電位が増大することが判る。従って、パルス的に電圧を印加することによって、電気二重層の形成に阻害されることなく陽極部材の標準電位を正確に制御することが可能であることが判る。
【0028】
図9に電気化学反応装置100におけるピーク電圧V1と電極電位との関係を示す。図9に示されるグラフ図は下記表2の設定条件に基づく実験結果であり、前記陽極部材13及び陰極部材14間に印加した正パルス高電圧のピーク電圧V1を増大させた時の、各ピーク電圧V1に対する陽極部材13及び陰極部材14の電極電位を夫々測定した値である。
【0029】
【表2】
【0030】
これによれば、水の電解反応に支配される電極電位E=1.23Vより陽極部材13の電位を高くすることができるピーク電圧V1は約10V以上であることが判る。
従って、ピーク電圧V1を約10V以上とすることで、過酸化水素生成反応を生起する電極電位E=1.76V、又はオゾン生成反応を生起する電極電位E=2.03Vまであげることが可能となる。尚、ピーク電圧V1を高くし過ぎることによる電力の無駄を防ぐために正パルス高電圧を約30V以下とすると良い。
【0031】
次に、正パルス高電圧のパルス幅に関する実験を行った結果を図10に示す。かかる実験は下記表3の設定条件に基づき行った。
図10によれば、デューティー比を小さくすることにより、陽極部材13の電極電位を高く設定することが可能であることが判る。しかし、デューティー比を小さくすると、陽極電位を高く設定している時間が短くなってしまう。また、陽極電位を、電気化学反応が水の電気分解に支配されないE=1.26以上に設定するには、約15Vのピーク電圧V1を印加する場合、デューティー比を約98%以下とする必要がある。従って、必要電位を長く維持可能なようにデューティー比を設定する必要があり、好適にはデューティー比を約80〜98%に設定すると良い。
【0032】
【表3】
【0033】
さらに、正パルス高電圧の周波数が電極電位に与える影響につき図11に基づき考察する。これによれば、周波数を10kHz以下とした場合、1点にピークが集中し、不安定な電位となる。一方、周波数を10kHz以上とした場合は、安定して電極電位を設定することが可能となる。
また、周波数をより一層大きくした場合には電気二重層が形成されにくく、電極反応が起こり難くなるため、正パルス高電圧の周波数は約10〜500kHz、好ましくは約10〜100kHzとすることが最適である。
【0034】
また、別の実施形態として、前記パルス電圧発生器10により陽極部材13及び陰極部材14に負の電圧を印加しても良い。かかる実施形態では、図12に示される波形となるように印加電圧を制御する。負パルス高電圧を印加することにより、印加後の電極放電時には正のピーク電圧V3が生じる。そこで、該ピーク電圧V3を利用して電気化学反応を生起させる。このとき、前記ピーク電圧V3により前記正パルス高電圧の場合と同様に電極電位を制御可能で、ひいては負パルス高電圧により電気化学反応を制御可能としている。
【0035】
従って、前記ピーク電圧V3が前記第1実施例と同様の設定となるように、負パルス高電圧印加時の条件を設定する。即ち、負パルス高電圧を約30〜100Vとし、デューティー比を約2〜20%とすることにより、確実に目的とする電気化学反応を生起することができる。さらに、好適には負パルス高電圧の周波数を約10〜500kHz、より好ましくは約10〜100kHzとすると良い。
【0036】
次に、前記パルス高電圧を印加することにより過酸化水素を製造する装置につき図2乃至図6に示す過酸化水素製造装置の模式図に基づき説明する。尚、以下の実施例において、パルス高電圧の印加方法は上記した通りである。
(第1実施例)
図2に示すようにかかる第1実施例は、反応槽12に貯水した水溶液20内に対峙して配置した陽極部材13及び陰極部材14とから構成されている。前記陰極部材14はガス拡散電極により構成し、前記陽極部材13は、過酸化水素生成反応の場合にはイリジウム、ルテニウム系酸化物からなる電極で、オゾン生成反応の場合には酸化鉛からなる電極により構成することが好適である。前記処理槽12内に導入された水溶液20は、各電極表面で主として下記反応式(2)、(3)、(4)により過酸化水素やオゾンを生成する。
【0037】
これにより、簡単な装置でかつ容易な制御で以って過酸化水素若しくはオゾンを効率良く製造することができる。
【0038】
(第2実施例)
かかる第2実施例は、図3に示すように反応槽12に貯水した水溶液20内に陽極部材13及び陰極部材14を対向して配置し、これら両極の間にアニオン交換膜21を設置して陽極部材側領域Aと陰極部材側領域Bを形成している。
かかる装置では主に下記反応式(5)、(6)、(7)により過酸化水素を生成している。
これによれば、前記陰極部材側領域Bがアルカリ性に保持されるため、過酸化水素が生成され易くなり、反応効率が一層向上する。
【0039】
(第3実施例)
本第3実施例は図4に示すように反応槽12に貯水した水溶液20内に陽極部材13及び陰極部材14を対向して配置し、これら両極の間にアニオン交換膜21を設置して陽極部材側領域Aと陰極部材側領域Bを形成し前記第2実施例と同様の電気化学反応を生起させており、さらに本実施例では、処理対象液の一部を抜き出して該陽極部材側領域Aに導入し、処理後の水溶液を前記処理対象液に戻している。
【0040】
即ち、前記陽極側部材領域Aに導入する水溶液の少なくとも一部を返送ライン25により循環させており、これにより高濃度の過酸化水素、又はオゾンを製造することができる。さらに、前記返送ライン25上にpH調整槽27を配設し、陽極部材側領域Aを酸性に調整することが好ましい。これにより、陰極部材の耐久性を向上させるとともに、陽極部材側領域Aでの過酸化水素又はオゾンの反応効率を上げることができる。
【0041】
(第4実施例)
図5に示すように、かかる第5実施例は反応槽12に貯水した水溶液20内に陽極部材13及び陰極部材14を対向して配置するとともに、これら両極の間にアニオン交換膜21及びカチオン交換膜22を設け、前記陽極部材13とカチオン交換膜21とで区画した陽極部材側領域Aと、該カチオン交換膜21とアニオン交換膜22とで区画した中間領域Cと、該アニオン交換膜22と陰極部材14とで区画した陰極部材側領域Bとを形成している。
【0042】
前記陽極部材側領域Aでは前記反応式(6)、陰極部材側領域Bでは前記反応式(5)、及び中間領域Cでは前記反応式(7)の電気化学反応が主として生起され、過酸化水素が生成する。尚、オゾンを生成する場合には、前記陽極部材側領域A及び中間領域Cにて処理した後の水溶液を混合させる。
また、陰極側での反応を促進するために、前記陰極部材側領域Bで処理した後の水溶液を返送ライン26により循環させることが好ましい。
これにより、陽極部材側領域A及び中間領域Cでの過酸化水素、又はオゾン生成反応効率が向上するとともに、生成した酸化剤を抽出することが容易となる。
【0043】
(第5実施例)
図6に示すように、かかる第5実施形態は前記第4実施例と同様に、反応槽12内にカチオン交換膜21及びアニオン交換膜22で区画した陽極部材側領域A、中間領域C及び陰極部材側領域Bを形成している。これにより前記第4実施例と同様の電気化学反応が生じる。さらに本実施例では、陰極部材側領域Bの返送ライン26とともに、陽極部材側領域Aで処理した後の水溶液を循環する返送ライン25を備え、該返送ライン25上にpH調整槽27を具備している。
これにより、最も効率良く酸化剤を生成することができ、かつ電力消費を最小限に抑えることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、酸化剤の電解生成において陽極部材及び陰極部材の間にパルス高電圧を印加することにより、陰極部材のみならず陽極部材にても過酸化水素若しくはオゾンを生成することができる。
さらに、陽極部材と陰極部材との間にアニオン交換膜若しくはカチオン交換膜を配置することにより、より反応効率良く過酸化水素若しくはオゾンを製造できる。また、前記反応後の水溶液を返送ラインにより循環させることにより、高濃度の過酸化水素若しくはオゾンを製造できる。
さらにまた、pH調整槽を設けることにより陽極部材側での過酸化水素又はオゾンの反応効率を向上することができる。
これらによれば、簡単な装置でかつ容易な制御で以って効率良く過酸化水素、又はオゾンを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態おける過酸化水素製造装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図3】本発明の第2実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図4】本発明の第3実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図5】本発明の第4実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図6】本発明の第5実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図7】本実施形態で電極間に印加する正パルス高電圧の波形図である。
【図8】直流電圧印加時及びパルス電圧印加と陽極電位との関係を示すグラフ図である。
【図9】パルス電圧印加時の陽極電位の経時変化を示すグラフ図である。
【図10】パルス電圧印加時のデューティー比と陽極電位の関係を示すグラフ図である。
【図11】パルス電圧印加時の電位波形を表す波形図である。
【図12】図7の別の実施例を示す負パルス高電圧の波形図である。
【図13】一般の電気化学反応の概念を説明する図である。
【図14】従来の過酸化水素発生装置を示す模式図である。
【符号の説明】
10 パルス電圧発生器
12 反応槽
13 陽極部材
14 陰極部材
15 電位計
17 基準電極
20 水溶液
21 アニオン交換膜
22 カチオン交換膜
25 陽極側処理水返送ライン
26 陰極側処理水返送ライン
27 pH調整槽
100 電気化学反応装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶液を電気化学反応し、主として酸化剤を製造する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パルプ工場でのパルプ漂白処理や廃水処理設備での殺菌、消毒処理等で使用される薬品として主流とされていた塩素系薬剤に代わり、過酸化水素が注目されてきている。塩素系薬剤は、処理液中に有機物や生物と反応してトリハロメタンやダイオキシン類等の人体に有害な有機塩素系化合物を生成する惧れがある為である。
過酸化水素の製造方法としては、アントラキノン系化合物の水素化、空気酸化という非電解法で安価に製造可能であるが、過酸化水素が不安定で分解し易い性質を有するため長期間の保存が不可能であるため、オンサイト型の過酸化水素製造装置の需要が高まっている。
【0003】
オンサイト型としても利用可能な過酸化水素製造方法としては、安価でかつ使用量に合わせた少量生産が可能であることから電解過酸化水素製造方法が有望視されている。
一般的に、電気分解による過酸化水素製造方法は、酸素を吹き込んだアルカリ性電解液中において、陰極での酸素還元反応と陽極での水の酸化反応の組み合わせにて行われている。このとき、陽極で生成した酸素は陰極の過酸化水素の生成に利用される。
また、前記陽極と陰極との間にイオン伝導性材料を配置して、電流効率を高く維持して高濃度の過酸化水素を製造する方法(例えば特許文献1)も公知である。
【0004】
さらに、消費電力を抑えて効率良く過酸化水素を発生することができる装置として、特開平11−229168号公報(特許文献2)に開示される過酸化水素発生装置を図14に示す。かかる装置によれば、電解槽01内に配置された陰極板03と陽極板02との間をアニオン交換膜08とカチオン交換膜07とで仕切り、陰極室06、中間室05及び陽極室04を形成し、該中間室05内に海水若しくは食塩水を導入して過酸化水素を生成している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−104189号公報
【特許文献2】
特開平11−229168号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来技術では、陽極で生成する酸素を陰極での過酸化水素生成の原料としているが、下記式(1)のごとく陽極反応は4電子反応であるのに対し、下記式(2)のごとく陰極は2電子反応であり、陽極で生成した酸素だけでは陰極での過酸化水素生成反応には不足である。従って、結局酸素発生装置が必要となり、特に効率の良い方法とは言い難い。
2H2O → O2+4H++4e− …(1)
O2+2H++2e− → H2O2 …(2)
本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、簡単な装置でかつ容易な制御で以って、過酸化水素を効率良く製造する方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
一般に、電極を利用した電気化学反応は電流、電圧値を調節することによって反応の種類、反応量を制御することができる。即ち、夫々の反応固有の酸化還元電位の大きさに支配され、その相対的な大きさによって物質自身の酸化又は還元反応が生起される。従って、電極を適した電位に設定することにより目的とする反応を達成することができる。
そこで、本発明者らは従来主に酸素の生成に利用されていた陽極を、過酸化水素やオゾン等の生成に利用することを発案した。即ち、陽極側の電極電位を、水からの過酸化水素生成反応、酸素からのオゾン生成反応等を生起する電位とすることで、酸化剤の生成効率を向上させるというものである。
しかし、陽極近傍で水が過剰に存在するため水の電気化学反応、つまり陽極側は酸素の生成反応、陰極側は水素の生成反応が律速となってしまい陽極電位を酸素発生電位以上に制御することは不可能であった。
【0008】
一般に、電気化学反応は電極部材と水溶液との界面における反応を伴う電子移動過程と、水溶液側から電極部材までに反応物質が輸送されてくる物質輸送過程とから構成されている。
図13に示されるように、水溶液に対向配置した電極に電圧を印加すると、電圧を印加した瞬間には一方の極から他方の極まで電位差が均一にかかるが、時間がたつにつれて、水溶液中に存在するH+イオン及びOH−イオンをはじめとするイオンは電極に引き寄せられ、陽極部材には陰イオンが、一方陰極部材には陽イオンが集まる。しかし、同符号の電荷は強く反発するため極僅か集まっただけで動きが止まってしまう。このようにして、図13に示されるように両極の表面付近には正電荷の薄い層と負電荷の薄い層が向かい合った状態の電気二重層が形成され、水溶液の大部分は電気的に中性で電位差が存在しない状態となる。
【0009】
そのまま、電圧を掛け続けると電極表面では、電気化学反応により、電子移動が起こって反応前駆体物質濃度が減少し、その分、電荷の不均衡が生じる(電子移動過程)。その電荷の不均衡を補うために、新たなる反応前駆体が水溶液中から供給されてくる(物質輸送過程)。この場合、電極電圧としては、電気化学反応に必要な電圧より少し高い値を設置しておけば、電気化学反応を起こすことができ、投入電力分を電気化学反応に寄与させることができる。しかし、電極電圧(過電圧分)が小さいと、水溶液中に印加される電解強度は小さく新たなる反応前駆体を供給する物質輸送過程における駆動力は小さく、中々反応は進まない。
【0010】
そこで、本発明者らは電気化学反応における物質輸送過程と電子移動過程とを独立に制御し、さらには電極近傍の反応物質が水の電解反応に支配される時間よりも短いパルス幅で電極間にパルス的に電圧を印加することにより、電極電位を高く設定することを可能とする方法を見出した。
即ち、反応槽内に貯水された水溶液内に対向配置した陽極部材と陰極部材との間に電圧を印加し、該陰極部材での電気化学反応により酸化剤を製造する方法において、
前記陽極部材及び陰極部材間に、該陽極部材の電極電位が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を印加し、
前記陽極部材での電気化学反応により過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
【0011】
パルス高電圧が印加されているときには、反応槽内の水溶液中ではイオンが移動して電気二重層を形成していく。この電気二重層の形成途中では水溶液内部の電気シールドが不十分であるため、電極表面よりも離れた水溶液内部まで電界が十分に掛かり、反応前駆体としてのイオンの物質移動を促進させる。
従ってかかる発明のように、パルス高電圧を印加することによって水溶液内部に電界を発生させ効率良く反応前駆体となるイオンを電極表面に引き寄せ電気化学反応を促進させることができる。
【0012】
また、かかる発明のように、電極反応が支配される時間よりも短い間隔で電極間にパルス電圧を印加することにより、電極電位が水の電解反応に支配されずに電極から電子を供給することができる。つまり、陽極部材を過酸化水素生成反応を生起する電極電位のE=1.76V、若しくはオゾン生成反応の電極電位E=2.08Vとすることができ、陽極部材側で下記式(3)、(4)の反応を引き起こすことができる。
過酸化水素生成反応
2H2O → H2O2+2H++2e− …(3)
オゾン生成反応
H2O+O2 → O3+2H++2e− …(4)
【0013】
尚、前記電極反応が支配される時間、即ち電気二重層が形成され水溶液が安定化するまでの時間は、目的生成物の前駆体物質の電気泳動度、及び水溶液の濃度等から算出することができる。
パルス高電圧の印加終了後には、放電が起きてパルス高電圧により電極表面に集められた反応前駆体としてのイオンが水溶液中に濃度拡散するが、反応効率が低下しないように、拡散が十分に行われた後に次のパルス高電圧を印加するのが好ましい。また、電気二重層が形成されるまでの時間はパルス高電圧の電圧値とパルス幅に依存するため、目的とする電極電位から電圧値を決めれば、パルス幅としては電気二重層が形成されるまでの時間で十分である。
【0014】
また、放電中は電極の極性が切り替わり、正パルス高電圧印加時とは極性の異なるイオンが電極表面に泳動し還元反応を起こすため、放電時間は放電中に電極反応(還元反応)が起きない時間に設定することが望ましい。
さらに、前記パルス高電圧のピーク時パルス幅を、前記電極と水溶液との界面に電気二重層が形成される時間以下に設定し、好適には前記パルス高電圧値が約10〜30Vで、かつデューティー比が約80〜98%となるようにパルス高電圧を印加すると良い。
【0015】
また、かかる発明は、アニオン交換膜により前記反応槽を陽極部材側領域と陰極部材側領域とに仕切り、該陽極部材側領域に水溶液を導入して水溶液を電気化学反応した後に、該水溶液の少なくとも一部を前記陽極部材側領域に返送して水溶液を循環させることを特徴とする。
かかる発明のごとくアニオン交換膜を備えることにより、前記陰極部材側領域をアルカリ性に保持し過酸化水素生成を促進することが可能となる。また、前記陽極部材側領域の水溶液を循環させることにより、過酸化水素を高濃度に生成することができる。
【0016】
さらにまた、前記反応槽内に、前記陽極部材側に設けられたカチオン交換膜と、前記陰極部材側に設けられたアニオン交換膜により、陽極部材側領域と中間領域と陰極部材側領域を形成し、該中間領域に水溶液を導入して水溶液を電気化学反応し中間領域及び陽極部材側領域にて過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
これにより、前記陰極部材側領域での過酸化酸素生成反応を促進可能であるとともに、中間領域を設けることで過酸化酸素の反応を効率を向上させ、かつ消費電力を抑えることができる。このとき、前記陽極部材側にpH調整手段を設けて酸性に維持することが好ましい。
【0017】
また、かかる方法を実施することができる好適な装置として、
水溶液を貯水する反応槽と、該水溶液に対向して対向配置した陽極部材及び陰極部材と、これら電極に接続されパルス高電圧を印加するパルス電圧発生器と、を備え、
前記パルス電圧発生器は、前記陽極部材の電極電位が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を前記電極間に印加する構成であり、
前記パルス高電圧の印加により水溶液を電気化学反応して前記陰極部材側で過酸化水素を生成するとともに、前記陽極部材側で過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記パルス高電圧のピーク時パルス幅を、前記電極と水溶液との界面に電気二重層が形成される時間以下に設定し、また前記パルス高電圧を、電圧値が約10〜30Vで、かつデューティー比が約80〜98%とすることが好適である。
さらにまた、前記反応槽が、アニオン交換膜により2以上の領域に仕切られ、一の領域が水溶液が導入される陽極部材側領域で、他の領域がアルカリ性に保持される陰極側領域であり、
前記陽極部材側領域にて過酸化水素を生成することを特徴とする。
【0019】
また、前記反応槽が、アニオン交換膜とカチオン交換膜により3以上の領域に仕切られ、第1の領域がアニオン交換膜と陰極部材とで形成された陰極部材側領域で、第2の領域がアニオン交換膜とカチオン交換膜とで形成された中間領域で、第3の領域がカチオン交換膜と陽極部材とで形成された陽極部材側領域であって、
前記陽極部材側領域及び中間領域にて過酸化水素を生成することを特徴とする。
また、前記陽極部材側領域から排出される水溶液の少なくとも一部を該領域に返送して水溶液を循環させる返送ラインを備え、該返送ライン上にpH調整手段を設け、返送水溶液を酸性に調整することが好ましい。
尚、これらの発明において、前記陰極部材はガス拡散電極により構成し、前記陽極部材は、過酸化水素生成反応の場合にはイリジウム、ルテニウム系酸化物からなる電極で、オゾン生成反応の場合には酸化鉛からなる電極により構成することが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の一実施形態おける過酸化水素製造装置の全体構成図、図2乃至図6は夫々本発明の第1乃至第5実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である。
図1において、本実施形態にかかる電気化学反応装置100は、パルス高電圧を生成するパルス電圧発生器10と、生成したパルス高電圧を増幅する電力増幅器11と、処理対象である水溶液20を貯水した反応槽12と、前記電力増幅器11に接続され水溶液20に対向配置した平板状の陽極部材13及び陰極部材14と、を主要構成とする。
【0021】
また、かかる電気化学反応装置100は、前記陽極部材13の標準電極電位を測定するために、基準電極槽16と、該基準電極槽16に貯水した水溶液内に浸漬した基準電極17と、前記陽極部材13から基準電極槽16内に導き入れた導線18A、18Bと、前記電力増幅器11のプラス端子側導線にプラス端子を接続し、かつ前記基準電極17にマイナス端子を接続した電位計15とを備えている。目的とする電気化学反応に適した電極電位とするには、前記パルス電圧発生器10による印加電圧を、前記電位計15にて測定した電位に基づき算出する。
【0022】
前記パルス電圧発生器10は周期的に同じ高電圧パルス成分波形を形成する装置を一台備えたもので良く、また、前記電力増幅器11としては、入力された電圧信号を一定倍率で増幅し、負荷に応じた電流を供給するものと、入力された電圧信号に対し、電流のみを負荷に応じて増幅するものがあるがどちらを使用しても良い。該電力増幅器11は、前記パルス高電圧発生器10から出力されるパルス高電圧に対し電流増幅し、前記陰極部材14と前記陽極部材13との間に印加させる。そのため、前記陰極部材14は前記電力増幅器11のマイナス端子に接続され、前記陽極部材13は前記電力増幅器11のプラス端子に接続されている。
【0023】
かかる実施形態は、前記パルス電圧発生器10及び電力増幅器11により、前記陽極部材13及び陰極部材14に正パルス高電圧を印加することにより電気化学反応を制御する。該印加電圧は図7に示される波形となるようにする。このとき、印加電圧に伴い電流、電極電位も同様の波形を示す。
正パルス高電圧で電気化学反応を制御するためには、印加電圧、パルス幅(デューティー比)を適正に制御する必要がある。
即ち前記パルス幅は好適には約80〜98%とし、電気二重層が形成される時間以下とし、放電時間は前記電気二重層が崩壊して水溶液が濃度拡散するのに十分な時間とする。
【0024】
前記電気二重層が形成される時間は、前記陽極部材13及び陰極部材14間に電圧が印加されている時に、水溶液20中のイオンが移動する場合の水溶液20のpH、導電率、イオン種、濃度に依存する。
また、正パルス高電圧のピーク電圧V1は、少なくとも前記電極が目的とする電気化学反応を達成可能な電位となるように設定する必要があり、好適には約10〜30Vとすると良い。これは、高くするほどイオン移動度が大きくなるため、電気二重層形成時間を短縮でき、かつ電気二重層を構成するイオンを高濃度にできるため、10V以上に設定するのが好ましい。しかし、あまりに高い電圧値では、電気化学反応に必要とされない電力が無駄に消費される為、電力効率を考慮した上で反応前駆体が効率良く反応消費されるように設定することが望ましい。尚、ピーク電圧V1の放電時にベース電圧V2がマイナス電位となるが、ベース電位V2は電極反応に寄与しない値となるようにする。
【0025】
ここで、本実施形態にて説明した前記正パルス高電圧による電気化学反応の検証結果を以下に示す。
まず、図8に基づき、パルス電圧印加時のピーク電圧V1と陽極電位の関係を、直流電圧印加時と比較検討する。下記表1に示す条件により実験を行った。ここで、ピーク電圧V1の定義は図7に基づく。
【0026】
【表1】
【0027】
これによれば、直流電圧印加時には、電圧値を上昇させても陽極電位は殆ど変わらない値を示すのに対し、正パルス電圧印加時には、ピーク電圧V1を大きくすると比例的に陽極電位が増大することが判る。従って、パルス的に電圧を印加することによって、電気二重層の形成に阻害されることなく陽極部材の標準電位を正確に制御することが可能であることが判る。
【0028】
図9に電気化学反応装置100におけるピーク電圧V1と電極電位との関係を示す。図9に示されるグラフ図は下記表2の設定条件に基づく実験結果であり、前記陽極部材13及び陰極部材14間に印加した正パルス高電圧のピーク電圧V1を増大させた時の、各ピーク電圧V1に対する陽極部材13及び陰極部材14の電極電位を夫々測定した値である。
【0029】
【表2】
【0030】
これによれば、水の電解反応に支配される電極電位E=1.23Vより陽極部材13の電位を高くすることができるピーク電圧V1は約10V以上であることが判る。
従って、ピーク電圧V1を約10V以上とすることで、過酸化水素生成反応を生起する電極電位E=1.76V、又はオゾン生成反応を生起する電極電位E=2.03Vまであげることが可能となる。尚、ピーク電圧V1を高くし過ぎることによる電力の無駄を防ぐために正パルス高電圧を約30V以下とすると良い。
【0031】
次に、正パルス高電圧のパルス幅に関する実験を行った結果を図10に示す。かかる実験は下記表3の設定条件に基づき行った。
図10によれば、デューティー比を小さくすることにより、陽極部材13の電極電位を高く設定することが可能であることが判る。しかし、デューティー比を小さくすると、陽極電位を高く設定している時間が短くなってしまう。また、陽極電位を、電気化学反応が水の電気分解に支配されないE=1.26以上に設定するには、約15Vのピーク電圧V1を印加する場合、デューティー比を約98%以下とする必要がある。従って、必要電位を長く維持可能なようにデューティー比を設定する必要があり、好適にはデューティー比を約80〜98%に設定すると良い。
【0032】
【表3】
【0033】
さらに、正パルス高電圧の周波数が電極電位に与える影響につき図11に基づき考察する。これによれば、周波数を10kHz以下とした場合、1点にピークが集中し、不安定な電位となる。一方、周波数を10kHz以上とした場合は、安定して電極電位を設定することが可能となる。
また、周波数をより一層大きくした場合には電気二重層が形成されにくく、電極反応が起こり難くなるため、正パルス高電圧の周波数は約10〜500kHz、好ましくは約10〜100kHzとすることが最適である。
【0034】
また、別の実施形態として、前記パルス電圧発生器10により陽極部材13及び陰極部材14に負の電圧を印加しても良い。かかる実施形態では、図12に示される波形となるように印加電圧を制御する。負パルス高電圧を印加することにより、印加後の電極放電時には正のピーク電圧V3が生じる。そこで、該ピーク電圧V3を利用して電気化学反応を生起させる。このとき、前記ピーク電圧V3により前記正パルス高電圧の場合と同様に電極電位を制御可能で、ひいては負パルス高電圧により電気化学反応を制御可能としている。
【0035】
従って、前記ピーク電圧V3が前記第1実施例と同様の設定となるように、負パルス高電圧印加時の条件を設定する。即ち、負パルス高電圧を約30〜100Vとし、デューティー比を約2〜20%とすることにより、確実に目的とする電気化学反応を生起することができる。さらに、好適には負パルス高電圧の周波数を約10〜500kHz、より好ましくは約10〜100kHzとすると良い。
【0036】
次に、前記パルス高電圧を印加することにより過酸化水素を製造する装置につき図2乃至図6に示す過酸化水素製造装置の模式図に基づき説明する。尚、以下の実施例において、パルス高電圧の印加方法は上記した通りである。
(第1実施例)
図2に示すようにかかる第1実施例は、反応槽12に貯水した水溶液20内に対峙して配置した陽極部材13及び陰極部材14とから構成されている。前記陰極部材14はガス拡散電極により構成し、前記陽極部材13は、過酸化水素生成反応の場合にはイリジウム、ルテニウム系酸化物からなる電極で、オゾン生成反応の場合には酸化鉛からなる電極により構成することが好適である。前記処理槽12内に導入された水溶液20は、各電極表面で主として下記反応式(2)、(3)、(4)により過酸化水素やオゾンを生成する。
【0037】
これにより、簡単な装置でかつ容易な制御で以って過酸化水素若しくはオゾンを効率良く製造することができる。
【0038】
(第2実施例)
かかる第2実施例は、図3に示すように反応槽12に貯水した水溶液20内に陽極部材13及び陰極部材14を対向して配置し、これら両極の間にアニオン交換膜21を設置して陽極部材側領域Aと陰極部材側領域Bを形成している。
かかる装置では主に下記反応式(5)、(6)、(7)により過酸化水素を生成している。
これによれば、前記陰極部材側領域Bがアルカリ性に保持されるため、過酸化水素が生成され易くなり、反応効率が一層向上する。
【0039】
(第3実施例)
本第3実施例は図4に示すように反応槽12に貯水した水溶液20内に陽極部材13及び陰極部材14を対向して配置し、これら両極の間にアニオン交換膜21を設置して陽極部材側領域Aと陰極部材側領域Bを形成し前記第2実施例と同様の電気化学反応を生起させており、さらに本実施例では、処理対象液の一部を抜き出して該陽極部材側領域Aに導入し、処理後の水溶液を前記処理対象液に戻している。
【0040】
即ち、前記陽極側部材領域Aに導入する水溶液の少なくとも一部を返送ライン25により循環させており、これにより高濃度の過酸化水素、又はオゾンを製造することができる。さらに、前記返送ライン25上にpH調整槽27を配設し、陽極部材側領域Aを酸性に調整することが好ましい。これにより、陰極部材の耐久性を向上させるとともに、陽極部材側領域Aでの過酸化水素又はオゾンの反応効率を上げることができる。
【0041】
(第4実施例)
図5に示すように、かかる第5実施例は反応槽12に貯水した水溶液20内に陽極部材13及び陰極部材14を対向して配置するとともに、これら両極の間にアニオン交換膜21及びカチオン交換膜22を設け、前記陽極部材13とカチオン交換膜21とで区画した陽極部材側領域Aと、該カチオン交換膜21とアニオン交換膜22とで区画した中間領域Cと、該アニオン交換膜22と陰極部材14とで区画した陰極部材側領域Bとを形成している。
【0042】
前記陽極部材側領域Aでは前記反応式(6)、陰極部材側領域Bでは前記反応式(5)、及び中間領域Cでは前記反応式(7)の電気化学反応が主として生起され、過酸化水素が生成する。尚、オゾンを生成する場合には、前記陽極部材側領域A及び中間領域Cにて処理した後の水溶液を混合させる。
また、陰極側での反応を促進するために、前記陰極部材側領域Bで処理した後の水溶液を返送ライン26により循環させることが好ましい。
これにより、陽極部材側領域A及び中間領域Cでの過酸化水素、又はオゾン生成反応効率が向上するとともに、生成した酸化剤を抽出することが容易となる。
【0043】
(第5実施例)
図6に示すように、かかる第5実施形態は前記第4実施例と同様に、反応槽12内にカチオン交換膜21及びアニオン交換膜22で区画した陽極部材側領域A、中間領域C及び陰極部材側領域Bを形成している。これにより前記第4実施例と同様の電気化学反応が生じる。さらに本実施例では、陰極部材側領域Bの返送ライン26とともに、陽極部材側領域Aで処理した後の水溶液を循環する返送ライン25を備え、該返送ライン25上にpH調整槽27を具備している。
これにより、最も効率良く酸化剤を生成することができ、かつ電力消費を最小限に抑えることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、酸化剤の電解生成において陽極部材及び陰極部材の間にパルス高電圧を印加することにより、陰極部材のみならず陽極部材にても過酸化水素若しくはオゾンを生成することができる。
さらに、陽極部材と陰極部材との間にアニオン交換膜若しくはカチオン交換膜を配置することにより、より反応効率良く過酸化水素若しくはオゾンを製造できる。また、前記反応後の水溶液を返送ラインにより循環させることにより、高濃度の過酸化水素若しくはオゾンを製造できる。
さらにまた、pH調整槽を設けることにより陽極部材側での過酸化水素又はオゾンの反応効率を向上することができる。
これらによれば、簡単な装置でかつ容易な制御で以って効率良く過酸化水素、又はオゾンを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態おける過酸化水素製造装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図3】本発明の第2実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図4】本発明の第3実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図5】本発明の第4実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図6】本発明の第5実施例に係る過酸化水素製造装置の模式図である
【図7】本実施形態で電極間に印加する正パルス高電圧の波形図である。
【図8】直流電圧印加時及びパルス電圧印加と陽極電位との関係を示すグラフ図である。
【図9】パルス電圧印加時の陽極電位の経時変化を示すグラフ図である。
【図10】パルス電圧印加時のデューティー比と陽極電位の関係を示すグラフ図である。
【図11】パルス電圧印加時の電位波形を表す波形図である。
【図12】図7の別の実施例を示す負パルス高電圧の波形図である。
【図13】一般の電気化学反応の概念を説明する図である。
【図14】従来の過酸化水素発生装置を示す模式図である。
【符号の説明】
10 パルス電圧発生器
12 反応槽
13 陽極部材
14 陰極部材
15 電位計
17 基準電極
20 水溶液
21 アニオン交換膜
22 カチオン交換膜
25 陽極側処理水返送ライン
26 陰極側処理水返送ライン
27 pH調整槽
100 電気化学反応装置
Claims (11)
- 反応槽内に貯水された水溶液内に対向配置した陽極部材と陰極部材との間に電圧を印加し、該陰極部材での電気化学反応により酸化剤を製造する方法において、
前記陽極部材及び陰極部材間に、該陽極部材の電極電位が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を印加し、
前記陽極部材での電気化学反応により過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする酸化剤の製造方法。 - 前記パルス高電圧のピーク時パルス幅を、前記電極と水溶液との界面に電気二重層が形成される時間以下に設定することを特徴とする請求項1記載の酸化剤の製造方法。
- 前記パルス高電圧値が約10〜30Vで、かつデューティー比が約80〜98%となるようにパルス高電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の酸化剤の製造方法。
- アニオン交換膜により前記反応槽を陽極部材側領域と陰極部材側領域とに仕切り、該陽極部材側領域に水溶液を導入して水溶液を電気化学反応した後に、該水溶液の少なくとも一部を前記陽極部材側領域に返送して水溶液を循環させることを特徴とする請求項1記載の酸化剤の製造方法。
- 前記反応槽内に、前記陽極部材側に設けられたカチオン交換膜と、前記陰極部材側に設けられたアニオン交換膜により、陽極部材側領域と中間領域と陰極部材側領域を形成し、該中間領域に水溶液を導入して水溶液を電気化学反応し中間領域及び陽極部材側領域にて過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする請求項1記載の酸化剤の製造方法。
- 水溶液を貯水する反応槽と、該水溶液に対向して対向配置した陽極部材及び陰極部材と、これら電極に接続されパルス高電圧を印加するパルス電圧発生器と、を備え、
前記パルス電圧発生器は、前記陽極部材の電極電位が過酸化水素若しくはオゾンの生成反応に適した電気化学的電位以上となるような電圧値を有するパルス高電圧を前記電極間に印加する構成であり、
前記パルス高電圧の印加により水溶液を電気化学反応して前記陰極部材側で過酸化水素を生成するとともに、前記陽極部材側で過酸化水素若しくはオゾンを生成することを特徴とする酸化剤の製造装置。 - 前記パルス高電圧のピーク時パルス幅を、前記電極と水溶液との界面に電気二重層が形成される時間以下に設定することを特徴とする請求項6記載の酸化剤の製造装置。
- 前記パルス高電圧は、電圧値が約10〜30Vで、かつデューティー比が約80〜98%であることを特徴とする請求項6記載の酸化剤の製造装置。
- 前記反応槽が、アニオン交換膜により2以上の領域に仕切られ、一の領域が水溶液が導入される陽極部材側領域で、他の領域がアルカリ性に保持される陰極側領域であり、
前記陽極部材側領域にて過酸化水素を生成することを特徴とする請求項6記載の酸化剤の製造装置。 - 前記反応槽が、アニオン交換膜とカチオン交換膜により3以上の領域に仕切られ、第1の領域がアニオン交換膜と陰極部材とで形成された陰極部材側領域で、第2の領域がアニオン交換膜とカチオン交換膜とで形成された中間領域で、第3の領域がカチオン交換膜と陽極部材とで形成された陽極部材側領域であって、
前記陽極部材側領域及び中間領域にて過酸化水素を生成することを特徴とする請求項6記載の酸化剤の製造装置。 - 前記陽極部材側領域から排出される水溶液の少なくとも一部を該領域に返送して水溶液を循環させる返送ラインを備え、該返送ライン上にpH調整手段を設け、返送水溶液を酸性に調整することを特徴とする請求項9若しくは10に記載の酸化剤の製造装置。
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