JP2004224898A - ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物を提供する。
【解決手段】カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物。さらには、前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、エポキシ基を有するシリケート化合物であるのが好ましい。前記エポキシ基含有シリコーン化合物の好ましい表面処理量は、前記カーボンブラックの1〜20重量%である。
【選択図】 なし
【解決手段】カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物。さらには、前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、エポキシ基を有するシリケート化合物であるのが好ましい。前記エポキシ基含有シリコーン化合物の好ましい表面処理量は、前記カーボンブラックの1〜20重量%である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物に関し、さらに詳しくは、簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ゴム組成物には、ゴム補強用にカーボンブラックやシリカといった補強性充填剤が使用されてきた。シリカは、カーボンブラックに比べてゴムの粘弾性特性が良好であり、例えばタイヤトレッド用ゴム組成物に用いた場合、低ころがり抵抗でグリップ力の高いタイヤが製造でき近年広く使用されているが、ゴムへの分散性が悪く加工性が低下してしまうとともに、ゴムの耐摩耗性が悪化してしまうという問題があった。
【0003】
これらの問題を解決するものとして、カーボンブラックの表面をケイ素原子に結合したアルコキシ基をもつシリコン化合物(例えばテトラエトキシシラン)で処理して、カーボンブラック表面にシリカを付着させたシリカ表面処理カーボンブラックが提案されている。しかし、このシリカ表面処理カーボンブラックを製造するには、水溶液中で表面処理反応を行うが、反応後に得られたシリカ表面処理カーボンブラックをろ過によって水と分離し、さらに乾燥させる必要があり、この製造には手間と時間がかかってしまうという問題があった。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−292127号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物(以下、本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物ともいう)で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、エポキシ基を有するシリケート化合物である前記ゴム組成物が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、前記エポキシ基含有シリコーン化合物の表面処理量が前記カーボンブラックの1〜20重量%である前記ゴム組成物が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、前記シリカ表面処理カーボンブラックの配合量が、ゴム100重量部に対し10〜200重量部である前記ゴム組成物が提供される。
【0010】
以上のように、カーボンブラックの表面処理は、アルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物によって行う。カーボンブラック表面には、カルボキシル基・フェノール性水酸基等の官能基が存在すると言われており、カーボンブラック表面のカルボキシル基と本発明のシリコーン化合物のエポキシ基が一部反応する可能性がある。それにより、カーボンブラック表面にシリコーン成分が結合し、さらに空気中の水分の作用により、加水分解・縮合が進み、最終的にはカーボンブラック表面にシリカが付着する。この反応は従来のように水溶液中で反応させる必要がなく、例えば、カーボンブラックと、必要により反応触媒を加えたエポキシ基含有シリコーン化合物の溶剤希釈溶液を混ぜることによって、表面処理を行うことができる。したがって、本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物を用いてカーボンブラックを表面処理することによって、シリカ表面処理カーボンブラックを従来に比べて簡便に製造することができ、これをゴムに配合することによって、ゴムの耐摩耗性の低下を抑制しながら、ゴムの粘弾性特性を改善し、60℃のtanδの低下による低燃費化を図ることができる。
【0011】
また、さらに簡便な方法として、エポキシ基含有シリコーン化合物をゴム混練中にカーボンブラックと同時に添加する方法も考えられるが、その方法では、上記の本発明の効果が十分に満足できるものでなかった。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のカーボンブラックを表面処理するエポキシ基含有シリコーン化合物とは、少なくとも一つのアルコキシシリル基と少なくとも一つのエポキシ基とを有する化合物である。
【0013】
エポキシ基は、カーボンブラック上のカルボキシル基等の官能基と反応し化学結合する。エポキシ基の含有量としては、例えば、0.05〜1当量/100gとすればよい。
【0014】
アルコキシシリル基としては、例えば、炭素数1〜3のものを用いればよく、好ましくは、メトキシシリル基、エトキシシリル基が挙げられる。
【0015】
本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、500〜50,000とすればよい。本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物としては、特に、エポキシ基を有するシリケート化合物であるのが好ましい。シリケート化合物は、例えば、下記一般式で表されるシリケート化合物に少なくとも一つのエポキシ基を有するものが挙げられ、アルコキシシランとエポキシ基含有シランカップリング剤を縮合する事によって製造することができる。
【0016】
【化1】
【0017】
式中、Rは、互いに異なってもよい任意の有機基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、nは整数である。
【0018】
本発明において原料物質として使用されるカーボンブラックとしては、従来からタイヤ用その他のゴム組成物用として汎用されている任意のカーボンブラックを用いることができる。好ましいカーボンブラックは、SRF〜SAFグレードのものであり、ゴム組成物の用途により、種々使い分けや2種以上をブレンドすることが可能である。
【0019】
エポキシ基含有シリコーン化合物のカーボンブラックへの表面処理方法としては、通常のシランカップリング剤によるフィラー処理方法が用いられる。例えば、カーボンブラックに、本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物の溶剤希釈溶液を霧吹きによりかけて、空気中で乾燥すれば良い。空気中の水分の作用によりエポキシ基含有シリコーン化合物の加水分解・縮合反応が進み、表面処理を簡便に行うことができる。
【0020】
エポキシ基含有シリコーン化合物のカーボンブラックへの表面処理量としては、本発明の効果が発現するならば特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの1〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%とすればよい。この量を1重量%以上とすることで、ゴムの加工性や耐摩耗性の低下の抑制効果が向上し、20重量%以下とすることで、シリカ表面処理カーボンブラックのゴム中への分散性が向上するからである。
【0021】
本発明に従ったシリカ表面処理カーボンブラックは、ゴム成分100重量部に対しシリカ表面処理カーボンブラックを10〜200重量部、更に好ましくは15〜150重量部配合するのが好ましい。この配合量が少な過ぎるとゴムを十分に補強できないため、例えば耐摩耗性などが悪化する。逆に多過ぎると硬度が高くなり過ぎたり加工性が低下する等、ゴム材料としての実用性が乏しくなるおそれがあるので好ましくない。前記ゴム組成物には、前記シリカ表面処理カーボンブラックの他にゴム組成物に通常配合される任意のカーボンブラック又は/及びシリカを併用することができる。
【0022】
本発明に係るシリカ表面処理カーボンブラックは、架橋可能な任意のゴム成分に配合して耐摩耗性、グリップ性能、転がり抵抗などに優れたゴム組成物を得ることができる。そのような架橋可能なゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどを用いることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして用いることができ、ブレンドを用いる場合にはそのブレンド比には特に制限はない。
【0023】
本発明のゴム組成物には、前記ゴム、シリカ表面処理カーボンブラックなどに加えて、ゴム工業で通常使用される任意の配合剤、例えば硫黄、有機過酸化物、軟化剤、老化防止剤、加硫促進剤、充填剤、可塑剤等を必要に応じて、通常の配合量の範囲で適宜配合することができる。
【0024】
また、本発明のゴム組成物は、タイヤ用トレッドに限らず、他のタイヤ部材や、他のゴム製品にも適用可能である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではない。
実施例1〜3及び比較例1
表1に示す配合(重量比)において加硫系配合剤を除く各成分を1.8リットルの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、160±5℃に達したときに放出したマスターバッチに加硫促進剤と硫黄を8インチのオープンロール混練し、タイヤトレッド用ゴム組成物を得た。次に、この組成物を金型中で160℃で20分間プレス加硫して目的とする各種試験片(ゴムシート)を調製し、前記方法で以下の加硫物性を評価した。
【0026】
JIS A硬度
12.5mm厚さのゴム片を用いて、JIS K 6253に準拠して、タイプAデュロメーターにて室温で測定した。
破断強度(MPa)、破断伸び(%)
JlS K 6251に準拠して、ダンベル状3号形ダンベルにて2mm厚のシートを打ち抜き、500mm/分の引張速度で測定した。
0℃tanδ、60℃tanδ
(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメータを用いて、幅5mm×厚さ2mm×長さ20mmの短冊状試料片で、周波数20Hz、静歪率10%、動歪率±2%、0℃および60℃の条件で測定した。
【0027】
耐摩耗指数
ランボーン摩耗試験機を用いてJIS K6264に準拠し、直径63.5mm、厚さ5mmの円盤状試験片で、荷重15N、スリップ率50%、試験温度20℃の条件にて測定した。(比較例1の摩耗量)×100/(試料の摩耗量)を指数として指数表示した。指数値が大きいほど耐摩耗性は良好である。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表1に使用した各成分は、以下のものを使用した。
油展SBR:Nipol1712、日本ゼオン社製、スチレン量23.5重量%、油展量ゴム成分100重量部に対し37.5重量部
カーボンブラック:カーボンブラック#40、三菱化学社製
【0030】
シリカ表面処理カーボンブラック1:かくはん機中で下記式(推定)に示す本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物(MKCシリケートMSEP2、三菱化学社製)、反応触媒(トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DMP−30、三洋貿易社)、メタノールを50g/0.5g/100gの比率でかくはんさせ、処理溶液を作製した。カーボンブラック(カーボンブラック#40、三菱化学社製)500gを5Lスーパーミキサー(SMV−5、カワタ製)で温調50℃、250rpmの条件でかくはん中に先の処理溶液を添加し、15分後にとりだした。得られた表面処理カーボンブラックを100℃の熱板上に広げ溶媒を除いた。エポキシ基含有シリコーン化合物のカーボンブラックへの表面処理量は、10重量%であった。
【0031】
【化2】
【0032】
式中、m、nは整数であり、エポキシ含有量は0.16当量/100g、メトキシ含有量は、12.5当量/100g、重量平均分子量(Mw)は1,700であった。
【0033】
シリカ表面処理カーボンブラック2:MSEP2/DMP30/メタノールの重量比を25g/0.25g/100gとし、シリカ表面処理カーボンブラック1と同様の処理により、表面処理量5重量%のものを得た。
シリカ表面処理カーボンブラック3:MSEP2/DMP30/メタノールを重量比5g/0.05g/100gとし、シリカ表面処理カーボンブラック1と同様の処理により、表面処理量1重量%のものを得た。
【0034】
シリカ:ニップシールLP、日本シリカ工業社製
シランカップリング剤:ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)テトラサルファイド、Si69、デグッサ社製
亜鉛華:亜鉛華3種、正同化学工業社製
ステアリン酸:ビーズステアリン酸 桐、日本油脂社製
老化防止剤:サントフレックス6PPD、フレキシス社製
アロマオイル:デゾレックス3号、昭和シエル石油社製
硫黄:油処理硫黄、軽井沢精練所製
加硫促進剤:ノクセラーCZ−G、大内新興化学工業社製
【0035】
上記表1に示すように、本発明のシリカ表面処理カーボンブラックを配合した実施例1〜3は、カーボンブラックとシリカを併用した比較例1に比べ、0℃のtanδが増大し、60℃のtanδが低減するので、グリップ力が高く低ころがり抵抗性能が向上したうえに、耐摩耗指数も改善された。また、本発明のシリカ表面処理カーボンブラックは、水溶液中で反応させる必要がなく、従来のシリカ表面処理カーボンブラックに比べて簡便に製造することができた。
【0036】
【発明の効果】
本発明に従って、ゴム組成物に、カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合することによって、簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物に関し、さらに詳しくは、簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ゴム組成物には、ゴム補強用にカーボンブラックやシリカといった補強性充填剤が使用されてきた。シリカは、カーボンブラックに比べてゴムの粘弾性特性が良好であり、例えばタイヤトレッド用ゴム組成物に用いた場合、低ころがり抵抗でグリップ力の高いタイヤが製造でき近年広く使用されているが、ゴムへの分散性が悪く加工性が低下してしまうとともに、ゴムの耐摩耗性が悪化してしまうという問題があった。
【0003】
これらの問題を解決するものとして、カーボンブラックの表面をケイ素原子に結合したアルコキシ基をもつシリコン化合物(例えばテトラエトキシシラン)で処理して、カーボンブラック表面にシリカを付着させたシリカ表面処理カーボンブラックが提案されている。しかし、このシリカ表面処理カーボンブラックを製造するには、水溶液中で表面処理反応を行うが、反応後に得られたシリカ表面処理カーボンブラックをろ過によって水と分離し、さらに乾燥させる必要があり、この製造には手間と時間がかかってしまうという問題があった。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−292127号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物(以下、本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物ともいう)で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、エポキシ基を有するシリケート化合物である前記ゴム組成物が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、前記エポキシ基含有シリコーン化合物の表面処理量が前記カーボンブラックの1〜20重量%である前記ゴム組成物が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、前記シリカ表面処理カーボンブラックの配合量が、ゴム100重量部に対し10〜200重量部である前記ゴム組成物が提供される。
【0010】
以上のように、カーボンブラックの表面処理は、アルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物によって行う。カーボンブラック表面には、カルボキシル基・フェノール性水酸基等の官能基が存在すると言われており、カーボンブラック表面のカルボキシル基と本発明のシリコーン化合物のエポキシ基が一部反応する可能性がある。それにより、カーボンブラック表面にシリコーン成分が結合し、さらに空気中の水分の作用により、加水分解・縮合が進み、最終的にはカーボンブラック表面にシリカが付着する。この反応は従来のように水溶液中で反応させる必要がなく、例えば、カーボンブラックと、必要により反応触媒を加えたエポキシ基含有シリコーン化合物の溶剤希釈溶液を混ぜることによって、表面処理を行うことができる。したがって、本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物を用いてカーボンブラックを表面処理することによって、シリカ表面処理カーボンブラックを従来に比べて簡便に製造することができ、これをゴムに配合することによって、ゴムの耐摩耗性の低下を抑制しながら、ゴムの粘弾性特性を改善し、60℃のtanδの低下による低燃費化を図ることができる。
【0011】
また、さらに簡便な方法として、エポキシ基含有シリコーン化合物をゴム混練中にカーボンブラックと同時に添加する方法も考えられるが、その方法では、上記の本発明の効果が十分に満足できるものでなかった。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のカーボンブラックを表面処理するエポキシ基含有シリコーン化合物とは、少なくとも一つのアルコキシシリル基と少なくとも一つのエポキシ基とを有する化合物である。
【0013】
エポキシ基は、カーボンブラック上のカルボキシル基等の官能基と反応し化学結合する。エポキシ基の含有量としては、例えば、0.05〜1当量/100gとすればよい。
【0014】
アルコキシシリル基としては、例えば、炭素数1〜3のものを用いればよく、好ましくは、メトキシシリル基、エトキシシリル基が挙げられる。
【0015】
本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、500〜50,000とすればよい。本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物としては、特に、エポキシ基を有するシリケート化合物であるのが好ましい。シリケート化合物は、例えば、下記一般式で表されるシリケート化合物に少なくとも一つのエポキシ基を有するものが挙げられ、アルコキシシランとエポキシ基含有シランカップリング剤を縮合する事によって製造することができる。
【0016】
【化1】
【0017】
式中、Rは、互いに異なってもよい任意の有機基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、nは整数である。
【0018】
本発明において原料物質として使用されるカーボンブラックとしては、従来からタイヤ用その他のゴム組成物用として汎用されている任意のカーボンブラックを用いることができる。好ましいカーボンブラックは、SRF〜SAFグレードのものであり、ゴム組成物の用途により、種々使い分けや2種以上をブレンドすることが可能である。
【0019】
エポキシ基含有シリコーン化合物のカーボンブラックへの表面処理方法としては、通常のシランカップリング剤によるフィラー処理方法が用いられる。例えば、カーボンブラックに、本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物の溶剤希釈溶液を霧吹きによりかけて、空気中で乾燥すれば良い。空気中の水分の作用によりエポキシ基含有シリコーン化合物の加水分解・縮合反応が進み、表面処理を簡便に行うことができる。
【0020】
エポキシ基含有シリコーン化合物のカーボンブラックへの表面処理量としては、本発明の効果が発現するならば特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの1〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%とすればよい。この量を1重量%以上とすることで、ゴムの加工性や耐摩耗性の低下の抑制効果が向上し、20重量%以下とすることで、シリカ表面処理カーボンブラックのゴム中への分散性が向上するからである。
【0021】
本発明に従ったシリカ表面処理カーボンブラックは、ゴム成分100重量部に対しシリカ表面処理カーボンブラックを10〜200重量部、更に好ましくは15〜150重量部配合するのが好ましい。この配合量が少な過ぎるとゴムを十分に補強できないため、例えば耐摩耗性などが悪化する。逆に多過ぎると硬度が高くなり過ぎたり加工性が低下する等、ゴム材料としての実用性が乏しくなるおそれがあるので好ましくない。前記ゴム組成物には、前記シリカ表面処理カーボンブラックの他にゴム組成物に通常配合される任意のカーボンブラック又は/及びシリカを併用することができる。
【0022】
本発明に係るシリカ表面処理カーボンブラックは、架橋可能な任意のゴム成分に配合して耐摩耗性、グリップ性能、転がり抵抗などに優れたゴム組成物を得ることができる。そのような架橋可能なゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどを用いることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして用いることができ、ブレンドを用いる場合にはそのブレンド比には特に制限はない。
【0023】
本発明のゴム組成物には、前記ゴム、シリカ表面処理カーボンブラックなどに加えて、ゴム工業で通常使用される任意の配合剤、例えば硫黄、有機過酸化物、軟化剤、老化防止剤、加硫促進剤、充填剤、可塑剤等を必要に応じて、通常の配合量の範囲で適宜配合することができる。
【0024】
また、本発明のゴム組成物は、タイヤ用トレッドに限らず、他のタイヤ部材や、他のゴム製品にも適用可能である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではない。
実施例1〜3及び比較例1
表1に示す配合(重量比)において加硫系配合剤を除く各成分を1.8リットルの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、160±5℃に達したときに放出したマスターバッチに加硫促進剤と硫黄を8インチのオープンロール混練し、タイヤトレッド用ゴム組成物を得た。次に、この組成物を金型中で160℃で20分間プレス加硫して目的とする各種試験片(ゴムシート)を調製し、前記方法で以下の加硫物性を評価した。
【0026】
JIS A硬度
12.5mm厚さのゴム片を用いて、JIS K 6253に準拠して、タイプAデュロメーターにて室温で測定した。
破断強度(MPa)、破断伸び(%)
JlS K 6251に準拠して、ダンベル状3号形ダンベルにて2mm厚のシートを打ち抜き、500mm/分の引張速度で測定した。
0℃tanδ、60℃tanδ
(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメータを用いて、幅5mm×厚さ2mm×長さ20mmの短冊状試料片で、周波数20Hz、静歪率10%、動歪率±2%、0℃および60℃の条件で測定した。
【0027】
耐摩耗指数
ランボーン摩耗試験機を用いてJIS K6264に準拠し、直径63.5mm、厚さ5mmの円盤状試験片で、荷重15N、スリップ率50%、試験温度20℃の条件にて測定した。(比較例1の摩耗量)×100/(試料の摩耗量)を指数として指数表示した。指数値が大きいほど耐摩耗性は良好である。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表1に使用した各成分は、以下のものを使用した。
油展SBR:Nipol1712、日本ゼオン社製、スチレン量23.5重量%、油展量ゴム成分100重量部に対し37.5重量部
カーボンブラック:カーボンブラック#40、三菱化学社製
【0030】
シリカ表面処理カーボンブラック1:かくはん機中で下記式(推定)に示す本発明のエポキシ基含有シリコーン化合物(MKCシリケートMSEP2、三菱化学社製)、反応触媒(トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DMP−30、三洋貿易社)、メタノールを50g/0.5g/100gの比率でかくはんさせ、処理溶液を作製した。カーボンブラック(カーボンブラック#40、三菱化学社製)500gを5Lスーパーミキサー(SMV−5、カワタ製)で温調50℃、250rpmの条件でかくはん中に先の処理溶液を添加し、15分後にとりだした。得られた表面処理カーボンブラックを100℃の熱板上に広げ溶媒を除いた。エポキシ基含有シリコーン化合物のカーボンブラックへの表面処理量は、10重量%であった。
【0031】
【化2】
【0032】
式中、m、nは整数であり、エポキシ含有量は0.16当量/100g、メトキシ含有量は、12.5当量/100g、重量平均分子量(Mw)は1,700であった。
【0033】
シリカ表面処理カーボンブラック2:MSEP2/DMP30/メタノールの重量比を25g/0.25g/100gとし、シリカ表面処理カーボンブラック1と同様の処理により、表面処理量5重量%のものを得た。
シリカ表面処理カーボンブラック3:MSEP2/DMP30/メタノールを重量比5g/0.05g/100gとし、シリカ表面処理カーボンブラック1と同様の処理により、表面処理量1重量%のものを得た。
【0034】
シリカ:ニップシールLP、日本シリカ工業社製
シランカップリング剤:ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)テトラサルファイド、Si69、デグッサ社製
亜鉛華:亜鉛華3種、正同化学工業社製
ステアリン酸:ビーズステアリン酸 桐、日本油脂社製
老化防止剤:サントフレックス6PPD、フレキシス社製
アロマオイル:デゾレックス3号、昭和シエル石油社製
硫黄:油処理硫黄、軽井沢精練所製
加硫促進剤:ノクセラーCZ−G、大内新興化学工業社製
【0035】
上記表1に示すように、本発明のシリカ表面処理カーボンブラックを配合した実施例1〜3は、カーボンブラックとシリカを併用した比較例1に比べ、0℃のtanδが増大し、60℃のtanδが低減するので、グリップ力が高く低ころがり抵抗性能が向上したうえに、耐摩耗指数も改善された。また、本発明のシリカ表面処理カーボンブラックは、水溶液中で反応させる必要がなく、従来のシリカ表面処理カーボンブラックに比べて簡便に製造することができた。
【0036】
【発明の効果】
本発明に従って、ゴム組成物に、カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合することによって、簡便に製造することができるシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物を得ることができる。
Claims (4)
- カーボンブラックをアルコキシシリル基およびエポキシ基を有するエポキシ基含有シリコーン化合物で表面処理したシリカ表面処理カーボンブラックを配合したゴム組成物。
- 前記エポキシ基含有シリコーン化合物が、エポキシ基を有するシリケート化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記エポキシ基含有シリコーン化合物の表面処理量が前記カーボンブラックの1〜20重量%である請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 前記シリカ表面処理カーボンブラックの配合量が、ゴム100重量部に対し10〜200重量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
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2003
- 2003-01-22 JP JP2003014019A patent/JP2004224898A/ja active Pending
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