JP2004224391A - 飲料注出器 - Google Patents

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Kazuhiro Kawada
和宏 川田
Shinichi Ogata
慎一 尾形
Hideo Iotake
秀夫 五百竹
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Kirin Brewery Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
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Kirin Brewery Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

【課題】横置き状態の保管及び使用を考慮した飲料注出器を提供する。
【解決手段】飲料容器100の口部101に装着されるディスペンスヘッド2を具備し、そのディスペンスヘッド2には、注出用のガスを飲料容器100内に導くガス導入路16と、飲料の注出路18と、注出路18を開閉する注出弁30とが設けられた飲料注出器1において、飲料容器100を横向きにして水平面H上に載置した際に、飲料容器100の底部102よりも口部101が高くなる斜め方向の傾きを飲料容器100に付与する傾斜付与手段4を設ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料容器から飲料を注出するための飲料注出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
料飲店にて提供される泡立ちのよい本格的なビールを家庭でも味わいたいという消費者の要望に応えて、近年、家庭用の小型の飲料注出器(ビールサーバーと呼ばれている。)が種々開発されて市場に提供されている。その一種として、容量1.5L程度のビール缶の口部に装着可能であり、しかも、ビール缶に装着されたまま家庭用冷蔵庫のドアポケットに保管できるようにしたビールサーバーが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のビールサーバーは、ビール缶を、その口部が上に缶底が下にそれぞれ向けられた縦置き姿勢で使用されかつ保管されることを前提として設計されている。しかし、消費者によっては、ビール缶を縦置きではなく口部及び缶底を横に向けた横置き姿勢で使用し、また保管することを望む場合がある。
【0004】
そこで、本発明は横置き状態の保管及び使用を考慮した飲料注出器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
本発明の第1の飲料注出器は、飲料容器(100)の口部(101)に装着されるディスペンスヘッド(2)を具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路(16)と、飲料の注出路(18)と、前記注出路を開閉する注出弁(30)とが設けられた飲料注出器であって、前記飲料容器を横向きにして水平面上に載置した際に、当該飲料容器の底部(102)よりも前記口部が高くなる斜め方向の傾きを前記飲料容器に付与する傾斜付与手段(4)を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
この飲料注出器によれば、飲料容器を横置き姿勢で水平面上に置いた場合、飲料容器がその口部を斜め上に向けた状態に維持されるので、飲料容器内のガスが口部側に集まり、ガス導入路の飲料容器側の流入口が飲料で浸されにくくなる。そのため、横置き姿勢で飲料を注出した場合において、飲料中へのガスの放出による泡立ちを防止しつつ飲料容器内へ注出用のガスを円滑に導入することができる。
【0008】
本発明の飲料注出器においては、前記注出路の飲料容器側の端部にチューブ(25)が接続され、該チューブの先端(25a)は前記飲料容器の内底(105)にほぼ達していることが好ましい。内底付近に達するチューブによれば、飲料容器の傾きに起因して飲料容器の内底側に集められた飲料の残液を効率よく取り出し、限界まで注出したときの飲料の残留量を減らすことができる。
【0009】
前記チューブには螺旋を描くように巻かれたコイル部(25b)が設けられてもよい。コイル部を設けることによりチューブの実際の長さを十分に確保して注出される飲料の流れに適切な抵抗を与えるとともに、チューブの見かけ上の長さ(一端から他端までの距離)を短縮して飲料容器の限られたスペースにチューブを収めることができる。
【0010】
前記ディスペンスヘッドには、前記飲料容器内の残留ガスを排出するガス放出路(51)と、前記ガス放出路内を前記飲料容器外へ向かう方向の流れを阻止する逆止弁(52、62)と、前記逆止弁を押し開く解除手段(53)とが設けられてもよい。この場合には解除手段を利用して意図的に逆止弁を解除しない限りガス放出路が閉鎖されているので、ガス放出路に飲料が侵入してガス放出時に飲料が噴出するおそれを排除することができる。特にガス放出路の飲料容器内の開口部に逆止弁(62)を設けると効果的である。なお、ここでいう残留ガスは注出用のガスに制限されることなく、飲料容器内に閉じ込められ得る各種の気体を含む概念である。例えば、ディスペンスヘッドを飲料容器に取り付ける際に飲料容器内に混入する空気も残留ガスの一種である。
【0011】
本発明の第2の飲料注出器は、飲料容器(100)の口部(101)に装着されるディスペンスヘッド(2)を具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路(16)と、飲料の注出路(18)と、前記注出路を開閉する注出弁(30)と、前記飲料容器内の残留ガスを排出するガス放出路(51)と、前記ガス放出路内を前記飲料容器外へ向かう方向の流れを阻止する逆止弁(52、62)と、前記逆止弁を押し開く解除手段(53)とが設けられることにより、上述した課題を解決する。
【0012】
この飲料注出器においても、上記と同様の理由によりガス放出路からの飲料の噴出を防止することができる。逆止弁は特にガス放出路の飲料容器内の開口部に設けると効果的である。残留ガスの意味は上記と同様である。
【0013】
本発明の第3の飲料注出器は、飲料容器(100)の口部(101)に装着されるディスペンスヘッド(2)を具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路(16)と、飲料の注出路(18)と、前記注出路を開閉する注出弁(30)とが設けられた飲料注出器において、前記飲料容器の軸線方向に関する前記飲料容器の口部からの前記ディスペンスヘッドの突出量(h)が40〜70mmの範囲とされたものである。このような範囲でディスペンスヘッドを突出させた場合には、飲料注出器を装着したまま飲料容器を冷蔵庫に収容しても場所をとらず、冷蔵庫への保管が容易に行える。また、ディスペンスヘッドの機構設計に過度な無理も生じない。
【0014】
本発明の第4の飲料注出器は、飲料容器(100)の口部(101)に装着されるディスペンスヘッド(2)を具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路(16)と、飲料の注出路(18)と、前記注出路を開閉する注出弁(30)とが設けられた飲料注出器において、前記注出路の飲料容器側の端部にチューブ(25)が接続され、該チューブの先端(25a)は前記飲料容器の内底(105)にほぼ達し、前記チューブには螺旋を描くように巻かれたコイル部(25b)が設けられているものである。
【0015】
このようなコイル部を設けることにより、上述したようにチューブの実際の長さを十分に確保して注出される飲料の流れに適切な抵抗を与えるとともに、チューブの見かけ上の長さ(一端から他端までの距離)を短縮して飲料容器の限られたスペースにチューブを収めることができる。なお、このようなチューブは、飲料容器が横置きされる場合に限らず、縦置きされる場合にも有効に機能する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る飲料注出器を示している。飲料注出器1は、飲料容器としてのビール缶100の口部101に装着されるディスペンスヘッド2と、ディスペンスヘッド2に接続されるガスボンベ3と、傾斜付与手段としてのサポート4とを備えている。ビール缶100は縦長の概略円筒形に形成されており、その容量は例えば1.5Lである。但し、飲料容器の形状及び容量はこのような態様に限定されない。
【0017】
サポート4はビール缶100を横向きにして水平面H上に載置した際に、水平面Hとビール缶100との間に介装されてビール缶100の底部102よりも口部101が高くなる斜め方向の傾きをビール缶100に付与する。サポート4は樹脂、軽金属、セラミックス等の各種素材から形成することができる。但し、ビールに触れても変質しない材料にてビール缶100を形成することが望ましい。図2に示したように、サポート4の上面4aの少なくとも一部をビール缶100の缶胴103の外周面に倣って円弧状に湾曲させ、下面4bは平面状に形成することが好ましい。但し、下面4bには滑り止め等を目的とした凹凸を適宜設けてもよい。サポート4はビール缶100と単に接しているだけでもよいし、弾性変形に対する復元力や吸盤による吸着力等を利用してビール缶100に取り付けられてもよい。サポート4の位置のずれを防ぐためにはサポート4をビール缶100に取り付けることが望ましい。
【0018】
ディスペンスヘッド2は、ヘッド部10と、注出部11とを備えている。ヘッド部10は、ガスボンベ3から送られる注出用のガス(好適には炭酸ガス)をビール缶100内に導入するとともに、そのガスにて押し出されるビールを注出部11に導く。注出部11には、ビールをグラス等に注ぐためのノズル12と、ビールの注出及びその停止を切り替えるためのレバー13とが設けられている。レバー13は例えば図1に示す中立位置から図中の左右方向に操作可能である。ノズル12はレバー13の取り付け位置の前方(図1の右方)において下り勾配を描くように延びている。ヘッド部10にはガスボンベ3のボンベ接続部14が設けられている。ボンベ接続部14の位置は、ノズル12の先端を下に向けたときにヘッド部10の上方を向くように定められている。従って、ボンベ接続部14に接続されたガスボンベ3はビール缶100の上方に幾らか突出する。但し、ガスボンベ3の向きは、ディスペンスヘッド2を取り付けたままビール缶100を冷蔵庫内に収めるときに邪魔にならないように設定することが望ましい。ガスボンベ3をビール缶100の缶胴103に取り付けてもよい。
【0019】
ビール缶100の軸線方向に関して、ビール缶100の口部101からのディスペンスヘッド2の突出量h(口部101の端面からノズル12までの距離)は40mm〜70mmの範囲に制限することが好ましい。この程度の突出量であれば、ディスペンスヘッド2を装着したままビール缶100を冷蔵庫に収容しても場所をとらず、冷蔵庫への保管が容易に行える。また、ディスペンスヘッド2の突出量を過度に制限しないことにより、ディスペンスヘッド2の設計に無理が生じない。
【0020】
次に、図3〜図6を参照してヘッド部10の内部構造を説明する。図3に示すように、ヘッド部10はビール缶100の雄ねじ部104にねじ込まれる概略円柱形の本体15を備えている。本体15は樹脂等で形成され、そこにはボンベ接続部14とビール缶100の内部とを結ぶガス導入路16と、ビール缶100の内部とノズル12とを結ぶ注出路18とが形成されている。
【0021】
ガス導入路16の一端はボンベ接続部14の配管部14aと接合されている。その配管部14aの他端には継手14bが設けられており、ガスボンベ3は継手14bに対して着脱される。継手14bには、ガスボンベ3の種類に応じて様々な規格のものを使用してよい。なお、ボンベ接続部14にはガスボンベ3から供給されるガスの圧力を適切な値に調整する圧力調整手段(例えば減圧弁)を設けることが望ましい。
【0022】
ガス導入路16の末端にはガスノズル19が設けられている。ガスボンベ3からガス導入路16に導かれた注出用のガスはガスノズル19から高圧室20に流入する。高圧室20は、本体15の一端(図3の左端)からビール缶100の内部に突出するように設けられた環状壁21と、その環状壁21を閉じるリッド22とによって囲まれている。環状壁21とリッド22との接合部はOリング23にてシールされている。本体15には、注出路18の流入部18aを形成するための連結管部24が高圧室20内に突出するように形成され、その連結管部24にはチューブ25が接続されている。チューブ25はリッド22のガス導入孔22aを通過してビール缶100の内部に挿入される。
【0023】
チューブ25はガスボンベ3から高圧室20に導かれる圧力によって撓み得る柔軟な素材で形成されることにより、ガス導入孔22aを開閉する弁体として機能する。すなわち、高圧室20の圧力が所定レベルよりも低いときはチューブ25がガス導入孔22aを塞いで高圧室20内にガスが閉じ込められる。高圧室20の圧力が所定レベル以上に上昇するとチューブ25が半径方向中心側に撓んでチューブ25とガス導入孔22aとの間に隙間が発生し、その隙間を介して高圧室20のガスがビール缶100内に流入する。
【0024】
図4に示すように、チューブ25の先端25aはビール缶100の内底105にほぼ達している。なお、ビール缶100を横向きに置いたままビールを注出する際にチューブ25の先端25aを内底105の下側に偏らせてビール缶100内の残液量を減らすため、チューブ25の先端25aの付近にウエイト26を取り付けてもよい。また、チューブ25の途中には螺旋状に巻かれたコイル部25bを設けるとよい。コイル部25bを設けることにより、チューブ25の流路抵抗を注出速度からみた適切な値に維持しつつ、チューブ25の見かけの長さLをビール缶100の限られた高さ(底部102から口部101までの距離)内に収めることができる。なお、このような作用効果はビール缶100が縦置きされた場合にも得られる。
【0025】
図3に示すように、本体15内には注出路18を開閉する注出弁30が設けられている。注出弁30は、注出路18の途中の弁室18bに挿入された第1スプール31及び第2スプール32を備えている。第1スプール31は、スプール本体33とそのスプール本体33の一端に固定されるキャップ34とを備えている。スプール本体33は弁室18bに装着されたスリーブ35の内周面に沿って摺動可能であり、その外周とスリーブ35との間はOリング36にてシールされている。Oリング36によるシール位置よりもビール缶100側においてスプール本体33の外周にはスリーブ35から半径方向に後退した環状の溝部37が形成されている。溝部37はスリーブ35の連絡孔35aと接続され、その連絡孔35aは本体15に設けられた注出路18の流出部18cと接続されている。流出部18cは注出部11のノズル12に通じている。
【0026】
一方、第1スプール31のキャップ34は概略円筒形に形成され、その先端(図3の左端)には弁室18bのテーパ面18dとテーパ率を同じくするテーパ面34aが設けられている。また、キャップ34の中心部にはオリフィス34bが形成されている。オリフィス34bを通過したビールを第1スプール31の外周に導くため、スプール本体33には第1連絡通路38及び第2連絡通路39が形成されている。また、スプール本体33には第2スプール32を拘束するための爪33aが形成されている。
【0027】
第1スプール31の外周にはコイルばね40が設けられている。コイルばね40の一端はキャップ34に接し、他端は第2スプール32に接している。炭酸ガスによる圧力により第2スプール32はスリーブ35の弁座35b側に押されている。第2スプール32の外周面と弁室18bの内周面との間には隙間が設けられており、当該隙間がビール通路41として機能する。ビール通路41はビールを液体のまま通過させるようにその寸法が設定されている。例えば、第2スプール32の外周面と弁室18bの内周面との間の隙間を1mm程度に設定すればよい。
【0028】
注出弁30の第1スプール31は注出部11のレバー13(図1参照)の操作に連動して軸線方向に往復駆動される。第1スプール31の移動に応じて注出弁30の動作は以下のように切り替わる。
【0029】
まず、レバー13が図1の中立位置に維持されているときは第1スプール31が図3の位置に保持される。この状態では、第2スプール32が弁座35bと密着してビール通路41と溝部37との間が遮断される。第1スプール31の爪33aは第2スプール32と弁座35bとの密着を損なわないように第2スプール32から注出部11側に僅かに逃げている。さらに、第1スプール31の第2連絡通路39は第2スプール32によって外周側から閉じられる。従って、注出路18は閉じた状態となり、ビール缶100内のビールを注出部11に送ることはできない。
【0030】
レバー13が所定方向に操作されて第1スプール31が図3の位置よりもビール缶100側(図3の左側)に移動した場合には、図5(a)に示すように第1スプール31の爪33aによって第2スプール32もビール缶100側に押し込まれ、第2スプール32が弁座35bから離れる。これにより、注出用のガスに押されてビール缶100から注出路18の流入部18aに流入した液状のビールが、ビール通路41、溝部37及びスリーブ35の連絡孔35aを順次通過して注出路18の流出部18cに導かれる。その結果、ノズル12から液状のビールが注出される。
【0031】
一方、レバー13が上記とは逆方向に操作されて第1スプール31が図3の位置よりも注出部11側(図3の右側)に移動した場合には、図5(b)に示すように、第2スプール32が弁座35bに密着したままの状態で、第1スプール31がばね40を圧縮しながら移動して第2連絡通路39が第2スプール32の側方に露出する。これにより、注出用のガスに押されてビール缶100から注出路18の流入部18aに流入した液状のビールは、オリフィス34bを通過して第1連絡通路38に入り、さらには第2連絡通路39、溝部37及びスリーブ35の連絡孔35aを順次通過して注出路18の流出部18cに導かれる。第2連絡通路39を抜けてスリーブ35の内壁に当たる際にビールが泡状に変化し、その結果、ノズル12からは泡状のビールが注出される。
【0032】
このように注出弁30によれば、ビールを液状のまま、又は泡状にしてノズル12から注出できる。なお、レバー13と第1スプール31との連動には種々の機構を利用してよい。例えばカム機構、リンク機構を利用してレバー13の動作を第1スプール31の往復動作に変換することができる。
【0033】
図6に示すように、ディスペンスヘッド2にはパージ機構50が設けられている。パージ機構50は高圧室20に溜まった空気等を放出するために設けられている。パージ機構50は、本体15に設けられたガス放出路51と、そのガス放出路51を開閉する逆止弁52と、逆止弁52を押し開く解除手段としてのロッド53とを備えている。ガス放出路51の一端は高圧室20に開口し、他端はディスペンスヘッド2の外部に通じている。
【0034】
逆止弁52はガス放出路51の高圧室20側の端部に設けられた弁室51aに摺動自在に装着された弁体54と、その弁体54を本体15と一体の弁座55に向かって押し出すコイルばね56と、弁体54と弁座55との間に介在されるOリング57と、コイルばね56を圧縮状態で弁室51aに閉じ込めるためのキャップ58とを備えている。キャップ58には弁室51aと高圧室20とを結ぶ貫通孔58aが設けられている。
【0035】
ロッド53はガス放出路51に挿通され、その先端は弁体54の操作軸部54aと嵌合する。ロッド53の他端はディスペンスヘッド2の外部から弁室51a側に向けて押し込み操作可能とされている。なお、ロッド53は本体15に対して抜け止めされている。また、弁体54の外周面と弁室51aとの内周面との間、及びロッド53の外周面とガス放出路51の内周面との間にはそれぞれガス放出に十分な隙間が設けられている。
【0036】
さらに、弁体54にはロッド60がロッド53と同軸に設けられている。ロッド60の先端はキャップ58の貫通孔58aを抜けて高圧室20に達している。そのロッド60の先端にはさらなる弁体61が設けられている。弁体61はロッド53が押されていない場合にキャップ58の端面と密着してガス放出路51の高圧室20への開口端を閉鎖する。ロッド53が押し込み操作されると弁体61がキャップ58から離れ、高圧室20からガス放出路51へガスを逃がすことが可能となる。これにより、弁体61とキャップ58とは高圧室20内へのガス放出路51の開口部において逆止弁62を構成する。
【0037】
以上のパージ機構50によれば、ロッド53に押し込み力が作用していない状態では弁体54がコイルばね56の力で弁座55側に押し付けられ、弁体54、Oリング57及び弁座55の間がシールされるとともに、弁体61がキャップ58と密着して高圧室20とガス放出路51との間が遮断される。しかしながら、ロッド53にて弁体54をビール缶100側に押し込めば弁体54が弁座55から離間してOリング57によるシール作用が失われるとともに、弁体61もキャップ58から離れる。これにより、弁体54及びロッド53とガス放出路51との隙間を介して高圧室20内の空気やガスがディスペンスヘッド2外へ放出される。
【0038】
以上の飲料注出器1によれば、ビール缶100を横向きに設置する際にサポート4を利用して口部101を底部102よりも持ち上げるようにしたので、ビール缶100内に残されているガスを口部101側に集めて高圧室20やそのガス導入孔22aがビールに浸されることを防止できる。従って、注出用ガスがビール内に吹き込まれてビールが泡立てられるおそれがなく、注出用のガスを缶内に円滑に流入させることができる。また、ビールの残留量が僅かになったとき、サポート4にて付与される傾斜を利用して缶内のビールの残液を内底105側に集め、その残液をチューブ25によって効率よく注出することができる。従って、限界まで注出したときのビールの残留量を減らすことができる。さらに、高圧室20からのパージ機構50に逆止弁52、62を組み込んだので、高圧室20からガス放出路51にビールが侵入するおそれがなく、ガス抜きのためにロッド53を押し込んだ際にガス放出路51からビールが噴出するおそれがない。
【0039】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の形態で実施してよい。例えば、ディスペンスヘッド内の具体的構成は種々変更可能である。ディスペンスヘッドのノズルの位置、形態も適宜変更してよい。本発明はビールの注出に限らず、各種の炭酸飲料又は清涼飲料の注出に適用可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の傾斜付与手段を備えた飲料注出器によれば、飲料容器がその口部を斜め上に向けた状態に維持されるので、飲料容器内のガスが口部側に集まり、ガス導入路の飲料容器側の流入口が飲料で浸されにくくなる。そのため、横置き姿勢で飲料を注出した場合において、飲料中へのガスの放出による泡立ちを防止しつつ飲料容器内へ注出用のガスを円滑に導入することができる。飲料が少なくなったとき、その残液を内底側に集めることができるので、内底付近に達するチューブを飲料の注出路に接続することにより、残液を効率よく取り出すことができ、注出不可能な飲料の残留量を極力減らすことができる。
【0041】
また、ガス放出路に逆止弁とその解除手段とを備えた飲料注出器によれば、解除手段を利用して意図的に逆止弁を解除しない限りガス放出路が閉鎖されているので、ガス放出路に飲料が侵入してガス放出時に飲料が噴出するおそれを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る飲料注出器をビール缶に取り付けた状態を示す図。
【図2】図1の飲料注出器を同図の矢印II方向からみた側面図。
【図3】飲料注出器のディスペンスヘッドの断面図。
【図4】ディスペンスヘッドに接続されるチューブを示す図。
【図5】ディスペンスヘッドの動作を示す図。
【図6】ガスパージ機構の断面図。
【符号の説明】
1 飲料注出器
2 ディスペンスヘッド
3 ガスボンベ
4 サポート(傾斜付与手段)
10 ヘッド部
11 注出部
13 レバー
15 本体
16 ガス導入路
18 注出路
22a ガス吐出孔
25 チューブ
25b コイル部
30 注出弁
51 ガス放出路
52 逆止弁
53 ロッド(解除手段)
62 逆止弁
100 ビール缶(飲料容器)
101 口部
102 底部
105 内底

Claims (7)

  1. 飲料容器の口部に装着されるディスペンスヘッドを具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路と、飲料の注出路と、前記注出路を開閉する注出弁とが設けられた飲料注出器において、前記飲料容器を横向きにして水平面上に載置した際に、当該飲料容器の底部よりも前記口部が高くなる斜め方向の傾きを前記飲料容器に付与する傾斜付与手段を備えたことを特徴とする飲料注出器。
  2. 前記注出路の飲料容器側の端部にチューブが接続され、該チューブの先端は前記飲料容器の内底にほぼ達していることを特徴とする請求項1に記載の飲料注出器。
  3. 前記チューブには螺旋を描くように巻かれたコイル部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の飲料注出器。
  4. 前記ディスペンスヘッドには、前記飲料容器内の残留ガスを排出するガス放出路と、前記ガス放出路内を前記飲料容器外へ向かう方向の流れを阻止する逆止弁と、前記逆止弁を押し開く解除手段とが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料注出器。
  5. 飲料容器の口部に装着されるディスペンスヘッドを具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路と、飲料の注出路と、前記注出路を開閉する注出弁と、前記飲料容器内の残留ガスを排出するガス放出路と、前記ガス放出路内を前記飲料容器外へ向かう方向の流れを阻止する逆止弁と、前記逆止弁を押し開く解除手段とが設けられていることを特徴とする飲料注出器。
  6. 飲料容器の口部に装着されるディスペンスヘッドを具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路と、飲料の注出路と、前記注出路を開閉する注出弁とが設けられた飲料注出器において、前記飲料容器の軸線方向に関する前記飲料容器の口部からの前記ディスペンスヘッドの突出量が40〜70mmの範囲であることを特徴とする飲料注出器。
  7. 飲料容器の口部に装着されるディスペンスヘッドを具備し、該ディスペンスヘッドには、注出用のガスを前記飲料容器内に導くガス導入路と、飲料の注出路と、前記注出路を開閉する注出弁とが設けられた飲料注出器において、前記注出路の飲料容器側の端部にチューブが接続され、該チューブの先端は前記飲料容器の内底にほぼ達するとともに、前記チューブには螺旋を描くように巻かれたコイル部が設けられていることを特徴とする飲料注出器。
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