JP2004223832A - インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】板バネ14の係止部92をヘッドケース18の係止凸部54に係合することで押付け凸部90がアクチュエータユニット12を上方から押し付け、ヘッド本体10に圧接固定され組みつけられる。つまりアクチュエータユニット12が容易に交換可能な構造となっている。従って、インクジェット記録ヘッド100の生産工程、或いは、市場においてアクチュエータユニット12に不良が発生した場合など、複数あるアクチュエータユニット12のうち、不良が発生したアクチュエータユニット12のみを交換することで対応が可能となる。このため正常なアクチュエータユニット12は、そのまま使用可能である。また、インクジェット記録ヘッド100全体を交換したり、交換したインクジェット記録ヘッド100を破棄したりすることもない。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクチュエータによって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッド(以下「ヘッド」という)は、圧力室プレート、ノズルプレート、アクチュエータ等の各種構成部材を順次積層し、接着していくことで造られている。このため市場にてインクの吐出に不具合が発生した場合、例えばノズルから強制的にインクを吸引するクリーニングによっても回復しない強固なノズルの目詰まりが発生した場合、たとえ一つのノズルの不具合であってもヘッド全体を交換するしかなく、高コストであった。また、交換したヘッドも廃棄するしかなく、環境問題に関する対応も考慮されていなかった。
【0003】
従って、上記のような強固なノズルの目詰まりが発生した場合に対応するためノズルプレートが交換可能に構成されているヘッドが提案されている。(例えば特許文献1を参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2002−67311公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、近年、インクジェット記録装置は高速化の傾向が強まっている。このため、ヘッドを長尺化し、ヘッド1つあたりのノズルの数を多くして、より短時間で広い領域に画像形成できるようにしている。しかし、このようにヘッドを長尺化するとアクチュエータの数も増加するため、必然的にアクチュエータの不具合の発生も多くなる。従って、アクチュエータの信頼性の向上が大きな課題となっているが、アクチュエータの信頼性を向上させることには、限界がある。
【0006】
一方、アクチュエータは接着固定されているので、ヘッドの生産工程において、アクチュエータを接着後にアクチュエータに不良が発生したり、或いは市場においてアクチュエータが故障し印字不良が発生したりした場合、やはりヘッド全体を交換するしかなく、また、交換したヘッドは廃棄するしかなかった。
【0007】
従って、ヘッドの長尺化に伴うアクチュエータの不良により歩留りが悪化し高コストとなる。また交換したヘッドは廃棄されるので環境問題に関する対応も考慮できていなかった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、ヘッドの長尺化による歩留りの悪化を改善することで低コスト化を可能にし、また環境問題に関する対応を考慮したインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、アクチュエータによって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、少なくとも前記アクチュエータを含むアクチュエータユニットと、前記アクチュエータユニットを交換可能にインクジェット記録ヘッド本体に固定する固定手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、アクチュエータユニットが交換可能に固定手段でインクジェット記録ヘッドに固定されているので、生産工程においてアクチュエータを組み付けた後にアクチュエータに不良が発生したり、或いは市場においてアクチュエータが故障し印字不良が発生したりした場合、固定手段を外すことで、アクチュエータユニットのみを交換することができる。
【0011】
従って、インクジェット記録ヘッドの長尺化に伴うアクチュエータの不良による生産の歩留りの悪化が改善され、低コスト化が可能となる。また、インクジェット記録ヘッドのリサイクル化が可能となり、環境問題に対応することもできる。
【0012】
請求項2に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1に記載の構成において、一つの前記インクジェット記録ヘッド本体のノズルプレートに対して複数の前記アクチュエータユニットが固定され、それぞれの前記アクチュエータユニットが、前記固定手段を外すことで、別々に交換可能なことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、請求項1と同様の作用を奏しているが、複数あるアクチュエータユニットを別々に交換可能であるため、不良が発生したアクチュエータユニットのみを交換できる。
【0014】
従って、より低コストとなり、また、環境問題に対してもより考慮されている。
【0015】
更に、インクジェット記録ヘッド本体に固定する前に、アクチュエータユニット毎に動作テスト、特性テストなどを行うことで、アクチュエータユニット毎の不良の有無、特性等を知ることができる。従って、アクチュエータユニットを選別し、アクチュエータ毎の特性を揃えてインクジェット記録ヘッド本体に組み付けることで、インクの吐出特性を均一化できる。
【0016】
請求項3に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記アクチュエータユニットと前記インクジェット記録ヘッド本体との接続部にシール部材が形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、請求項1又は請求項2と同様の作用を奏しているが、アクチュエータユニットとインクジェット記録ヘッド本体との接続部にシール部材が形成されているので、接続部の密着性が高まり、インク漏れがより確実に防止される。
【0018】
請求項4に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至は請求項3に記載の構成において、前記固定手段が、前記インクジェット記録ヘッド本体に形成された係止部に係合し、前記アクチュエータユニットを上方から圧接固定する板バネであることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、板バネによってアクチュエータユニットをインクジェット記録ヘッド本体に圧接固定することができると共に、板バネを取り外すことでアクチュエータユニットも取り外すことができる。つまり、アクチュエータユニットがインクジェット記録ヘッド本体に交換可能に固定されており、請求項1乃至は請求項3と同様の作用を奏している。
【0020】
請求項5に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至は請求項3に記載の構成において、前記固定手段が、前記アクチュエータユニットの周囲を固定する剥離可能な接着剤であることを特徴としている。
【0021】
請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、剥離可能な接着剤によってアクチュエータユニットの周囲をインクジェット記録ヘッド本体に固定されているので、接着後、接着剤を剥離可能な状態にすることで、アクチュエータユニットを取り外すことができる。また、交換後は、再度、接着剤でアクチュエータユニットの周囲をインクジェット記録ヘッド本体に固定することができる。つまり、アクチュエータユニットがインクジェット記録ヘッド本体に交換可能に固定されており、請求項1乃至は請求項4と同様の作用を奏している。
【0022】
請求項6に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項5に記載の構成において、前記剥離可能な接着剤が、熱可塑性の接着剤であることを特徴としている。
【0023】
請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、熱可塑性の接着剤によってアクチュエータユニットの周囲をインクジェット記録ヘッド本体に固定されているので、接着後、接着剤を所定の温度に加熱することで軟化し、接着力が低減し、接着剤が剥離可能となる。接着剤が剥離可能となることで、アクチュエータユニットが取り外せ、アクチュエータユニットが交換可能となる。交換後は再度、熱可塑性接着剤を塗布し接着することができる。つまり、アクチュエータユニットがインクジェット記録ヘッド本体に交換可能に固定されており、請求項6と同様の作用を奏している。
【0024】
請求項7に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至は請求項6に記載の構成において、前記アクチュエータユニットが、前記アクチュエータと少なくとも前記圧力室となる圧力室プレートとで構成されたことを特徴としている。
【0025】
請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、請求項1乃至は請求項6と同様の作用を奏しているが、アクチュエータユニットには少なくとも圧力室プレートが含まれて構成されているので、アクチュエータユニットが一定水準の強度を得ることができる。
【0026】
従って、アクチュエータユニットの取付け作業や交換作業において、アクチュエータユニットが破損しにくい。また、ヘッド本体への圧接固定において、圧接固定の圧力によってアクチュエータユニットにたわみや歪等が発生しにくいので、接続部でより密着されインク漏れがより確実に防止される。
【0027】
請求項8に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至は請求項7に記載の構成において、前記アクチュエータが、電歪作用によって前記圧力室内のインクを加圧する圧電素子であることを特徴としている。
【0028】
請求項9に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1乃至は請求項7に記載の構成において、前記アクチュエータが、前記圧力室内のインクを加熱し発泡させることで加圧する発熱抵抗体であることを特徴としている。
【0029】
請求項10に記載の発明のインクジェット記録装置は、請求項1乃至は請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドのいずれかを使用した事を特徴とする。
【0030】
請求項10に記載にインクジェット記録装置によれば、請求項1乃至は請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドを使用しているので、アクチュエータユニットのみ交換可能である。従って、アクチュエータに不良が発生した場合、アクチュエータユニットのみ交換することで対応が可能であり、環境問題に対しての対応が考慮されたインクジェット記録装置を提供することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るインクジェット記録ヘッドの第1実施形態を図1から図6に基づき説明する。
【0032】
図1及び図3に示すようにインクジェット記録ヘッド100は、インクジェット記録ヘッド本体10(以下「ヘッド本体」という)に複数のアクチュエータユニット12を板バネ14によって圧接固定することで構成されている。
【0033】
ヘッド本体10は、図1及び図2に示すように略長方形の板状のインク流路部材16とヘッドケース18とノズルカバー80とを備えている。
【0034】
図5の下図に示すようにインク流路部材16は後述するアクチュエータユニット12のマトリックス状に形成された各圧電素子62に対応するようにマトリックス状に複数開けられたインクを吐出するノズル20を備えている。そして、このノズル20と後述するアクチュエータユニット12の圧力室22とを連通するノズル連通室24と、共通インク室26と、この共通インク室26と圧力室22の開口部30とを連通するインク供給路28とを備えている。
【0035】
インク流路部材16は、ノズル20が形成されるノズルプレート32と、ノズル連通室24と共通インク室26とを形成するインクプールプレート36とスループレート38と、インク供給路28が形成されたインク供給路プレート40とを順番に接合し、その後、ノズルプレート32の表面に撥水コート膜を被覆すると共に、エキシマレーザにてノズル20を開けることで作られる。接合後はノズル20と逆の面は、ノズル連通室24とインク供給路28と開口部30とが開口した状態となっている。
【0036】
尚、ノズルプレート32の材質はポリイミドであり、インクプールプレート36、スループレート38、インク供給路プレート32の材質はSUSである。
【0037】
更にインク流路部材16のノズル連通室24とインク流路とが開口した面の長手方向の一辺部には、アクチュエータユニット12をヘッド本体10に接合する際、位置決めとなる位置決めピン42が、複数個、立てられている(図1参照)。
【0038】
また、このインク流路部材16のノズル連通室24とインク供給路28とが開口した面は、アクチュエータユニット12との接合面となり、アクチュエータユニット12との接合部分にはシール部材44が形成されている。尚、図1に接合面のノズル連通室24、インク供給路28、開口部30、シール部材44を図示しているが、判りやすくするため、模式的に描いており、実際の形状は、この限りではない。
【0039】
また、後述するアクチュエータユニット12の圧力室プレート70にシール部材44を形成していても良い。
【0040】
このシール部材44は、弾性体、例えば、ゴム系の部材、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、EPDM等を薄膜状にして貼りつけても良いし、コート材、例えばフッ素コート等を被覆しても良い。或いは、ラバー系、メタル系等のガスケットであっても良い。
【0041】
ヘッドケース18は、図1に示すように上から見た形状がインク流路部材16の外周部から立ち上がる四角形状の枠状をしている。このヘッドケース18には図示しないインクタンクからインクを流入する複数のインク流入口50が開口している。ヘッドケース18の内部には、このインク流入口50から流入したインクを共通インク室26へと導くインク流入路52が備えられている。更に、長手方向の内壁には、ヘッド本体10にアクチュエータユニット12を圧接固定する為の板バネ14と係合する係止凸部54が形成されている。
【0042】
このヘッドケース18とインク流路部材16のノズル連通室24とインク供給路28とが開口した面とを接着し、その後、ノズルカバー80を装着することでヘッド本体10となる。尚、ノズルカバー80は、ノズルプレート32のノズル20の表面を図示しないワイピングブレードで払拭しクリーニングする際、ワイピングブレードがヘッドケース18に引っかからないために装着されている。
【0043】
一方、アクチュエータユニット12は、図1及び図5の上図に示すように略正方形の板状をし、圧力室22と、圧力室22の上面を塞ぐ振動板60と、振動板60の上に接着されている圧電素子62と、圧電素子62の上にボール半田64を介して接合されている電気基板66とから構成されている。更に、一辺の両端部から半円状に突出している突出部68を有し、この突出部68にはインク流路部材16に立てられている位置決めピン42が差し込まれる位置決め孔68Aが開けられている。尚、圧力室22は前述したように、開口しているインク流路部材16のノズル連通室24とインク供給路28とに連通するように固定される。
【0044】
アクチュエータユニット12は、先ず、剥離可能な接着剤、例えば接着後に所定の温度で加熱されると、発泡して接着力が大幅に低下する性質を有する熱発泡性接着フィルムを介して基板上に圧電プレートを接着固定した後、例えばサンドブラスト加工を用いて、マトリックス状に配列された圧電素子64を作成する。
【0045】
次いで、圧力室22が形成された圧力室プレート70と振動板60とを接合した後、各圧電素子62が形成された圧電プレートの基板の逆面と振動板60とを接着する。
【0046】
尚、圧電素子60の両面には、電極層として第1及び第2電極層がスパッタリングなどで予め形成されており、第2電極層を導電性接着剤で接着することで、振動板と電気的にも接続される。
【0047】
続いて、基板を加熱して熱発泡性接着フィルムの接着力を低減させ、基板を剥離する。
【0048】
剥離後、各圧電素子62毎にボール半田64を形成し、その上に電気基板66を接合することでアクチュエータユニット12となる。また、電気基板66と振動板60とは図示しない接点にて接続されている。
【0049】
また、電気基板66からはリード線72が出ており、このリード線72の先にはコネクター74が備えられている。このコネクター74は、図示しないインクジェット記録装置本体側のコネクタと接続される。
【0050】
尚、アクチュエータユニット12が完成後、アクチュエータユニット12毎に動作テスト、特性テストなどを行うことで、ヘッド本体10に組み付ける前に、アクチュエータユニット12毎の不良の有無、特性等を知ることができる。この為、アクチュエータユニット12を選別し、アクチュエータ12毎の特性を揃えてヘッド本体10に組み付けることで、一つのインクジェット記録ヘッド100のインクの吐出特性を均一化できる。
【0051】
図4に示すように板バネ14は、バネ性を有する板金からなり、略正方形の中央部が開いた枠状をし、両端辺部には、略U字状に曲げて形成され、下方向に突出した押付け凸部90を有している。また四隅には、押付け凸部90の端辺部から水平方向に延出した係止部92を有している。
【0052】
図1及び図3に示すように、この係止部92をヘッドケース18の係止凸部42に係合することで弾性力を蓄積させ、押付け凸部90がアクチュエータユニット12を上方から押付け、アクチュエータユニット12がヘッド本体10に圧接固定される。
【0053】
次に第1実施形態のインクジェット記録ヘッド100の作用を説明する。
【0054】
アクチュエータユニット12をヘッド本体10に組み付ける方法を図1及び図3に基づいて説明する。まず、アクチュエータユニット12の位置決め孔68Aをインク流路部材16の位置決めピン42に差し込み、アクチュエータユニット12をヘッド本体10に取り付ける。次に板バネ14の位置決めピン側42の二つの係止部92をヘッドケース18の位置決めピン42側の係止凸部54に引掛ける(図3の点線で示す板バネ14を参照)。このように引掛けたまま、位置決めピン42と逆側の二つの係止部92を位置決めピン42と逆側の係止凸部54に引掛ける(図3の矢印参照)。このように板バネ14の係止部92をヘッドケース18の係止凸部54に係合することで押付け凸部90がアクチュエータユニット12を上方から押付け、アクチュエータユニット12がヘッド本体10に圧接固定され組みつけられる。
【0055】
尚、アクチュエータユニット12の位置決め孔68Aをインク流路部材16の位置決めピン42に差し込むことで、簡単、且つ、高精度に位置合わせが可能となっている。また、板バネ14で圧接固定する作業の際にも、位置決めピン42と位置決め孔68Aとでアクチュエーターユニット12が固定されているので、接合位置がずれることがない。
【0056】
また、接合部にはシール部材44が形成されているので、板バネ14によって圧接されることで密着性が向上し、接合部からのインク漏れを防止している。
【0057】
更に、アクチュエータユニット12には圧力室プレート70が含まれて構成されているので、アクチュエータユニット12が一定水準の強度を得ることができる。従って、アクチュエータユニット12の取付け作業や交換作業において、アクチュエータユニット12が破損しにくい。また、ヘッド本体への圧接固定において、圧接固定の圧力によってアクチュエータユニット12にたわみや歪等が発生しにくいので、接続部でより密着されインク漏れがより確実に防止される。
【0058】
最後に電気基板66から出ているリード線72のコネクター74をインクジェット記録装置本体のコネクターと接続することで、アクチュエータユニット12のヘッド本体への組み付けが完了する。
【0059】
インク流路部材16とアクチュエータユニット12とが組みつけられた状態の断面図が図6である。このようにインク流路部材16のインク供給路28及びノズル連通室24をアクチュエータユニット12の圧力室22が連通する。この状態で、例えば、ボール半田64から振動板60へと通電することで圧電素子62が歪み、振動板60を介して圧力室22のインクが加圧され、ノズル20からインクが吐出する。
【0060】
尚、アクチュエータユニット12を取り外す際は、上記と逆の手順を行えば良い。つまり、アクチュエータユニット12が容易に交換可能な構造となっている。
【0061】
このように、アクチュエータユニット12が交換可能となっているので、インクジェット記録ヘッド100の生産工程においてアクチュエータユニット12を組み付けた後に、或いは、市場においてアクチュエータユニット12に不良、例えば圧電素子62にクラックが発生した場合、或いは、電気基板66に不良、例えば断線等が発生した場合など、複数あるアクチュエータユニット12のうち、不良が発生したアクチュエータユニット12のみを交換することで対応が可能となる。このため正常なアクチュエータユニット12は、そのまま使用可能である。また、インクジェット記録ヘッド100全体を交換したり、交換したインクジェット記録ヘッド100を破棄したりすることもない。
【0062】
従って、インクジェット記録ヘッド100の長尺化に伴う圧電素子62の不具合による生産の歩留りの悪化が改善される。また環境問題に関する対応も考慮されている。
【0063】
次に本発明に係る第2実施形態を図7に基づき説明する。
【0064】
尚、第1実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
本形態は、ヘッドケース19に係止凸部が無く、また固定手段は板バネで無く、アクチュエータユニット12の周囲を熱可塑性の接着剤96で固定する以外は、第1実施形態と同様の構成である。
【0066】
次に第2実施形態のインクジェット記録ヘッド101の作用を説明する。
【0067】
第1実施形態のインクジェット記録ヘッド100と同様に、アクチュエータユニット12の位置決め孔68Aをインク流路部材16の位置決めピン42に差し込むことで、アクチュエータユニット12とヘッド本体11とを接合する。接合後に接着剤96をアクチュエータユニット12の周囲に塗布する。塗布後、接着剤を所定の温度に加熱することで軟化し、温度が下がることで固まりアクチュエータユニット12が固定される。
【0068】
しかし、再度接着剤12を所定の温度に加熱することで再び軟化し、接着力が低減し、接着剤12が剥離可能となる。接着剤12が剥離可能となることで、アクチュエータユニット12が取り外せ、アクチュエータユニット12が交換可能となる。交換後は再度、熱可塑性接着剤96を塗布し所定の温度に加熱し温度を下げることで接着される。
【0069】
つまり、第1実施形態と同様にアクチュエータユニット12が交換可能な構造となっている。
【0070】
このように、アクチュエータユニット12が交換可能となっているので、第1実施形態と同様の作用を奏している。
【0071】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0072】
例えば、上記実施の形態では、アクチュエータユニット12は、圧力室22と、圧力室22の上面を塞ぐ振動板60と、振動板60の上に接着されている圧電素子62と、圧電素子62の上にボール半田64を介して接合されている電気基板66とから構成されていたが、これに限定されるものではない。圧電素子62が交換可能なように少なくともアクチュエータユニットに圧電素子が含まれていれば、その他の部材は任意である。例えば、圧力室と、圧力室の上面を塞ぐ振動板と、振動板の上に接着されている圧電素子と、圧電素子の上にボール半田を介して接合されている電気基板とに加え、ノズル連通室やインク供給路がインク流路部材でなくアクチュエータユニットに備えられていても良い。或いは、圧力室がアクチュエータユニットでなくインク流路部材に備えられていてもよい。
【0073】
また、例えば、上記実施の形態では、板バネ14が係合する係止部はヘッド本体10に設けられた係止凸部54であったが、これに限定するものではない。例えばヘッド本体10に凹部を設け、そこに板バネが係合することでアクチュエータ12をヘッド本体に圧接固定しても良い。
【0074】
また、例えば、上記実施の形態では、アクチュエータは圧電素子12からなっているが、圧力室内22のインクを加熱し発泡させることで加圧する発熱抵抗体であっても良い。
【0075】
また、例えば、上記実施の形態では、一つのヘッド本体10、11に複数のアクチュエータユニット12を組み付ける構成であったが、一つのヘッド本体に一つのアクチュエータユニットのみを組み付ける構成でも良い。
【0076】
また、例えば、上記実施の形態では、剥離可能な接着剤を熱可塑性の接着剤96としたが、これに限定されるものではない。アクチュエータユニット12を交換可能なように剥離可能な接着剤であれば、その他の剥離可能な接着剤、例えば溶剤等で容易に剥離する接着剤でも良い。
【0077】
また、例えば、上記実施の形態では、位置決めピン42と位置決め孔68Aとで位置決めしていたが、これに限定するものではない。例えば、位置決めピン42の替わりに基準となる位置決めマークがインク流路部材に形成されており、この位置決めマークと位置決め孔68Aとを合わせて接合作業を行っても良い。
【0078】
また、例えば、上記実施の形態では、固定手段は板バネ14又は熱可塑性の接着剤96であったが、これに限定されるものではない。アクチュエータユニット12が交換可能な固定手段であれば、その他の固定手段でも良い。例えば、アクチュエータユニットをインク流路部材にビス止めしても良い。
【0079】
また、本明細書におけるインクジェット記録とは、記録紙上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりするなど、工業用的に用いられる液滴噴射装置全般に対して本発明を利用することが可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、アクチュエータユニットが交換可能なインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのヘッド本体を示す断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの板バネを示す斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのアクチュエータユニット(上図)とインク流路部材(下図)とを示す断面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのアクチュエータユニットとインク流路部材とが接合された状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録ヘッド本体
12 アクチュエータユニット
14 板バネ(固定手段)
16 インク流路部材
20 ノズル
22 圧力室
32 ノズルプレート
44 シール部材
54 係止凸部(係止部)
62 圧電素子(アクチュエータ)
70 圧力室プレート
96 熱可塑性接着剤(剥離可能な接着剤、固定手段)
100 インクジェット記録ヘッド
Claims (10)
- アクチュエータによって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、
少なくとも前記アクチュエータを含むアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットを交換可能にインクジェット記録ヘッド本体に固定する固定手段と、
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 一つの前記インクジェット記録ヘッド本体のノズルプレートに対して、複数の前記アクチュエータユニットが固定され、それぞれの前記アクチュエータユニットが、前記固定手段を外すことで、別々に交換可能なことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記アクチュエータユニットと前記インクジェット記録ヘッド本体との接続部にシール部材が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記固定手段が、前記インクジェット記録ヘッド本体に形成された係止部に係合し、前記アクチュエータユニットを上方から圧接固定する板バネであることを特徴とする請求項1乃至は請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記固定手段が、前記アクチュエータユニットの周囲を固定する剥離可能な接着剤であることを特徴とする請求項1乃至は請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記剥離可能な接着剤が、熱可塑性の接着剤であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記アクチュエータユニットが、前記アクチュエータと少なくとも前記圧力室となる圧力室プレートとで構成されたことを特徴とする請求項1乃至は請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記アクチュエータが、電歪作用によって前記圧力室内のインクを加圧する圧電素子であることを特徴とする請求項1乃至は請求項7に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記アクチュエータが、前記圧力室内のインクを加熱し発泡させることで加圧する発熱抵抗体であることを特徴とする請求項1乃至は請求項7に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 請求項1乃至は請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドを使用することを特徴とするインクジェット記録装置。
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