JP2004223681A - 条材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フライングシャー2による条材端部の切断精度が高く、切断される両端クロップ長さの短縮化によって材料歩留まりが格段に向上する条材の製造方法の提供。
【解決手段】本発明の条材の製造方法は、複数の圧延ロール6〜11を用いた連続熱間圧延によりビレットから条材を形成する圧延工程(STP2及びSTP4)と、この条材の両端部をフライングシャー2により切断する切断工程(STP3)とを含んでいる。この切断工程(STP3)におけるフライングシャー2の起動タイミングは、条材の走行速度とフライングシャー直前に設けた放射高温計5による条材の両端通過情報と放射高温計5及びフライングシャー2の間の距離とから算出するに際し、切断工程前の圧延工程における条材温度により補正する。条材温度は、温度計4で測定される。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の条材の製造方法は、複数の圧延ロール6〜11を用いた連続熱間圧延によりビレットから条材を形成する圧延工程(STP2及びSTP4)と、この条材の両端部をフライングシャー2により切断する切断工程(STP3)とを含んでいる。この切断工程(STP3)におけるフライングシャー2の起動タイミングは、条材の走行速度とフライングシャー直前に設けた放射高温計5による条材の両端通過情報と放射高温計5及びフライングシャー2の間の距離とから算出するに際し、切断工程前の圧延工程における条材温度により補正する。条材温度は、温度計4で測定される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒材、角材、棒鋼等の条材の製造方法に関し、詳細にはフライングシャーによる条材端部の切断方法に特徴を有する条材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
棒鋼等の条材の製造方法を簡単に説明すると、まず精錬、造塊、分塊圧延等の前処理工程によりビレット(圧延素材)を形成し、このビレットに対する熱間圧延により長尺の条材を形成する。この熱間圧延後又は途中において、フライングシャーを用いて条材の両端部を切断し、さらに複数本の所定長さの条材に切断した後に冷却床で冷却する。最後に、冷却後の条材をコールドシャーにより受注オーダーに応じた定尺に切断することで、製品となる定尺材及び残部の短尺材が製造される。
【0003】
このフライングシャーによる条材の両端部の切断方法としては、従来、フライングシャー直前に設けた放射高温計による条材両端通過情報と、フライングシャー両側の圧延ロールのモーターに付設されるパルスカウンター等による条材走行速度と、放射高温計及びフライングシャー間の距離とから、所定長さの両端部を切断するためのフライングシャーの起動タイミングをコンピューター等を用いて算出している。なお、上記フライングシャーによる熱間圧延条材の切断方法に関する技術としては、例えば特開平5−23708号公報等に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−23708号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記放射高温計による条材両端通過情報は、その性質上、圧延温度の高いステンレス鋼や快削鋼の場合、先端の通過情報が早く、後端の通過情報が遅く検出され、逆に、圧延温度の低い軸受鋼やSC鋼の場合、先端の通過情報が遅く、後端の通過情報が早く検出される。かかる放射高温計による条材両端通過情報の誤差によってフライングシャーの起動タイミングにバラツキが生じ、切断される端部クロップは高温材では短く、低温材では長くなる。そのため、安全性を考慮して起動タイミングを高温材基準の設定とする必要があり、歩留まり向上の大きな障害となっている。
【0006】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、フライングシャーによる条材端部の切断精度が高く、切断される両端部クロップ長さの短縮化によって材料歩留まりが格段に向上する条材の製造方法の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、条材の製造方法における切断工程での切断精度を高めるべく鋭意検討を行い、放射高温計で通過を検知する条材の温度が事前に分かれば、その条材温度で放射高温計による条材両端通過情報の誤差が補正できることに着目し、放射高温計における条材温度と切断工程前の圧延工程における条材温度とが相関関係を有し、その切断工程前の圧延工程における条材温度で放射高温計による条材両端通過情報の誤差が精度よく補正できること見出した。
【0008】
その結果、上記課題を解決するためになされた発明は、複数の圧延ロールを用いた連続熱間圧延によりビレットから条材を形成する圧延工程と、条材の両端部をフライングシャーにより切断する切断工程とを含み、この切断工程におけるフライングシャーの起動タイミングを、条材の走行速度とフライングシャー直前に設けた放射高温計による条材の両端通過情報と放射高温計及びフライングシャー間の距離とから算出するに際し、この起動タイミングを切断工程前の圧延工程における条材温度により補正する条材の製造方法である。具体的には、条鋼温度が高い場合は起動タイミングが遅らされ、条鋼温度が低い場合には起動タイミングが早められる。
【0009】
当該条材の製造方法は、放射高温計を通過する条材の温度と明確な相関関係がある切断工程前の圧延工程における条材温度によりフライングシャーの起動タイミングを補正することで、条材温度に起因する放射高温計の条材両端通過情報の誤差が精度よく補正でき、条材端部の切断精度が飛躍的に向上する。そのため、当該条材の製造方法は、切断される両端部クロップ長さの短縮化が図られ、材料歩留まりが格段に向上する。
【0010】
上記条材温度としては、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延方向と逆方向に数えて4番目付近の圧延ロールの出口での条材温度を用いるとよい。かかるフライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目付近の圧延ロールの出口の条材温度は、フライングシャー直前の圧延ロール出口の条材温度(つまり、放射高温計における条材温度)との明確な相関関係を示し、かつ切断工程におけるフライングシャーの起動タイミングの補正のためのフィードバックが確実に行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。図1は本発明の一実施形態に係る条材の製造方法を示すフロー図、図2は図1の条材の製造方法を実施するための条材製造装置の一部を示す構成図である。
【0012】
図1の条材の製造方法は、棒材、角材、線材等の条材を製造するものであり、前処理工程(STP1)、粗圧延工程(STP2)、切断工程(STP3)、中間・仕上圧延工程(STP4)及び二次加工工程(STP5)をこの順に有している。
【0013】
この条材の製造方法を実施するための図2の条材製造装置は、粗列圧延機1、フライングシャー2、中間・仕上列圧延機3、温度計4及び放射高温計5を備えている。この粗列圧延機1、フライングシャー2及び中間・仕上列圧延機3は、連続処理が可能になるよう直線状の条材搬送ラインX上に上流側から順に配設されている。
【0014】
粗列圧延機1は、熱間圧延によりビレットから条材を形成するものであり、直線状の条材搬送ラインX上に複数の圧延ロール(図中では最終圧延ロール10から逆方向に4番目の圧延ロール6までを表示)を備えている。これらの圧延ロール6〜10は、交互に圧延方向が90°異なるよう配設されている。中間・仕上列圧延機3は、粗列圧延機1と同様に直線状の条材搬送ラインX上に複数の圧延ロール(図中では先頭圧延ロール11のみを表示)を備えている。
【0015】
放射高温計5は、高温の条材からの熱放射を集束し,観察することによって、条材の先端及び後端の通過を検知する装置であり、例えば全放射高温計、光高温計、強度比高温計などがある。この放射高温計5は、粗列圧延機1の最終圧延ロール10の出口付近であって、フライングシャー2の直前に配設されている。
【0016】
温度計4は、条材搬送ラインXを通過している条材の温度が測定できれば特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。この温度計4は、粗列圧延機1の最終圧延ロール10から逆方向に4番目の圧延ロール6の出口付近に配設されている。
【0017】
前処理工程(STP1)は、圧延素材のビレットを形成する工程である。この前処理工程は、詳細には、目的の組成に調整された金属材料の溶湯を製造する工程と、この溶湯から鋼塊又はブルームを製造する工程と、鋼塊又はブルームからビレットを製造する工程とからなる。このビレットは、後述する圧延工程に好適な形状、一般的には円柱状に形成されている。必要に応じ、ビレットは加熱される。前処理工程(STP1)完了後のビレットは、熱間圧延に好適な温度を有する。
【0018】
粗圧延工程(STP2)は、圧延ロール6〜10等の複数の圧延ロールを備える粗列圧延機1によりビレットに対して熱間圧延を順次施す工程である。この粗圧延工程(STP2)における多段の熱間圧延によって、ビレットが段階的に細径化かつ長尺化し、長尺の条材に形成される。
【0019】
切断工程(STP3)は、フライングシャー2を用い、粗圧延工程(STP2)で形成された条材の所定長さの両端部を切断し、欠陥等が存在する可能性が高い端部を除去する。
【0020】
フライングシャー2の起動は、図示していないがコンピューター等を用い、条材の先端及び後端から所定距離の基準位置を切断するよう制御される。このフライングシャー2の起動タイミングは、フライングシャー2直前に設けた放射高温計5による条材の先端及び後端の通過情報と、フライングシャー2の両側の圧延ロール10及び11のモーター(図示していない)に付設されるパルスカウンター等による条材走行速度と、放射高温計5及びフライングシャー2間の距離とから算出されるが、この算出に当たり温度計4で計測された圧延ロール6出口における条材温度により補正される。
【0021】
この補正方法としては、条材温度による補正を行わない場合における温度計4の条材温度と切断される端部長さとの相関関係に従い、この切断端部長さの誤差が補正できるよう切断位置を設定するとよい。具体的には、温度計4で計測される条材温度と端部切断長さとが正の相関関係(特に一次関数)になるよう切断位置を設定するとよい。また、補正に使用する条材温度としては、上記相関関係がより明確になる観点から、圧延ロール7、圧延ロール8及び圧延ロール9に条材先端が到達した時の3回の計測値の平均値が好ましい。
【0022】
中間・仕上圧延工程(STP4)は、圧延ロール11等の複数の圧延ロールを備える中間・仕上列圧延機3により粗圧延工程(STP2)で形成された条材にさらに熱間圧延を施す工程である。この中間・仕上圧延工程(STP4)によって、さらに細径化かつ長尺化し、所定寸法の条材に形成される。
【0023】
二次加工工程(STP5)は、上記中間・仕上圧延工程(STP4)で得られた条材に対し、仕上げ加工を施す工程である。具体的には、所定寸法への裁断、矯正、熱処理、巻取り等が当該二次加工工程に属する。
【0024】
当該条材の製造方法は、放射高温計5の条材温度に起因する条材両端通過情報の誤差が精度よく補正でき、切断精度が飛躍的に向上する。そのため、当該条材の製造方法は、切断される両端部クロップ長さの短縮化が図られ、材料歩留まりが格段に向上する。また、当該条材の製造方法は、切断工程(STP3)でのフライングシャー2の起動タイミングの補正に放射高温計5での条材温度との相関関係が明確な圧延ロール6の出口の条材温度を採用しているため、切断精度が効果的に高められ、かつフライングシャー2の起動タイミングの補正のためのフィードバックが容易である。
【0025】
最後に、切断工程(STP3)において、温度計4で計測された条材温度と端部切断長さとが正の相関関係になるよう切断位置を設定する合理性を証明する。まず、フライングシャー2直前の圧延ロール10出口の条材温度(つまり、放射高温計5における条材温度)と、圧延ロール10から圧延逆方向に4番目の圧延ロール6出口の条材温度との関係は、図3に示すように正の相関関係にある。従って、フィードバック時間との関係から、フライングシャー2直前の圧延ロール10から圧延逆方向に4番目の圧延ロール6出口の条材温度で補正するのが適切である。
【0026】
また、条材温度による補正を行わない場合において、圧延ロール6出口の条材温度と切断される端部長さの誤差との関係は、図4に示すように先端クロップ及び後端クロップ共に負の相関関係にある。従って、この切断長誤差を消去するための補正値は、圧延ロール6出口の条材温度と正の相関関係にあればよい。なお、この補正値と条材温度との正の相関関係を示す係数は、条材の材料、寸法、部位等によって異なるため、代表的な数種類を用意し、材料等により使い分けを行うとよい。
【0027】
なお、本発明の条材の製造方法は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、フライングシャーの起動タイミングの補正に用いる条材温度としては、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目の圧延ロール出口の条材温度に限定されるものではなく、切断工程前の圧延工程における条材温度であればよい。但し、条材温度と補正値との相関関係の明確性及び補正処理へのフィードバック時間を考慮すると、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目近傍の圧延ロール出口の条材温度が好ましい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の条材の製造方法は、フライングシャーによる条材端部の切断精度が高く、切断される両端クロップの長さの短縮化によって材料歩留まりが格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る条材の製造方法を示すフロー図である。
【図2】図2は、図1の条材の製造方法を実施するための条材製造装置を示す構成図である。
【図3】図3は、フライングシャー直前の圧延ロール出口の条材温度と、この圧延ロールから圧延逆方向に4番目の圧延ロール出口の条材温度との関係を実測したグラフである。
【図4】図4は、条材温度による補正を行わない場合において、切断工程で切断される端部長誤差と、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目の圧延ロール出口の条材温度との関係を実測したグラフである。
【符号の説明】
STP1・・・前処理工程
STP2・・・粗圧延工程
STP3・・・切断工程
STP4・・・中間・仕上圧延工程
STP5・・・二次加工工程
1・・・粗列圧延機
2・・・フライングシャー
3・・・中間・仕上列圧延機
4・・・温度計
5・・・放射高温計
6〜11・・・圧延ロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒材、角材、棒鋼等の条材の製造方法に関し、詳細にはフライングシャーによる条材端部の切断方法に特徴を有する条材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
棒鋼等の条材の製造方法を簡単に説明すると、まず精錬、造塊、分塊圧延等の前処理工程によりビレット(圧延素材)を形成し、このビレットに対する熱間圧延により長尺の条材を形成する。この熱間圧延後又は途中において、フライングシャーを用いて条材の両端部を切断し、さらに複数本の所定長さの条材に切断した後に冷却床で冷却する。最後に、冷却後の条材をコールドシャーにより受注オーダーに応じた定尺に切断することで、製品となる定尺材及び残部の短尺材が製造される。
【0003】
このフライングシャーによる条材の両端部の切断方法としては、従来、フライングシャー直前に設けた放射高温計による条材両端通過情報と、フライングシャー両側の圧延ロールのモーターに付設されるパルスカウンター等による条材走行速度と、放射高温計及びフライングシャー間の距離とから、所定長さの両端部を切断するためのフライングシャーの起動タイミングをコンピューター等を用いて算出している。なお、上記フライングシャーによる熱間圧延条材の切断方法に関する技術としては、例えば特開平5−23708号公報等に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−23708号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記放射高温計による条材両端通過情報は、その性質上、圧延温度の高いステンレス鋼や快削鋼の場合、先端の通過情報が早く、後端の通過情報が遅く検出され、逆に、圧延温度の低い軸受鋼やSC鋼の場合、先端の通過情報が遅く、後端の通過情報が早く検出される。かかる放射高温計による条材両端通過情報の誤差によってフライングシャーの起動タイミングにバラツキが生じ、切断される端部クロップは高温材では短く、低温材では長くなる。そのため、安全性を考慮して起動タイミングを高温材基準の設定とする必要があり、歩留まり向上の大きな障害となっている。
【0006】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、フライングシャーによる条材端部の切断精度が高く、切断される両端部クロップ長さの短縮化によって材料歩留まりが格段に向上する条材の製造方法の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、条材の製造方法における切断工程での切断精度を高めるべく鋭意検討を行い、放射高温計で通過を検知する条材の温度が事前に分かれば、その条材温度で放射高温計による条材両端通過情報の誤差が補正できることに着目し、放射高温計における条材温度と切断工程前の圧延工程における条材温度とが相関関係を有し、その切断工程前の圧延工程における条材温度で放射高温計による条材両端通過情報の誤差が精度よく補正できること見出した。
【0008】
その結果、上記課題を解決するためになされた発明は、複数の圧延ロールを用いた連続熱間圧延によりビレットから条材を形成する圧延工程と、条材の両端部をフライングシャーにより切断する切断工程とを含み、この切断工程におけるフライングシャーの起動タイミングを、条材の走行速度とフライングシャー直前に設けた放射高温計による条材の両端通過情報と放射高温計及びフライングシャー間の距離とから算出するに際し、この起動タイミングを切断工程前の圧延工程における条材温度により補正する条材の製造方法である。具体的には、条鋼温度が高い場合は起動タイミングが遅らされ、条鋼温度が低い場合には起動タイミングが早められる。
【0009】
当該条材の製造方法は、放射高温計を通過する条材の温度と明確な相関関係がある切断工程前の圧延工程における条材温度によりフライングシャーの起動タイミングを補正することで、条材温度に起因する放射高温計の条材両端通過情報の誤差が精度よく補正でき、条材端部の切断精度が飛躍的に向上する。そのため、当該条材の製造方法は、切断される両端部クロップ長さの短縮化が図られ、材料歩留まりが格段に向上する。
【0010】
上記条材温度としては、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延方向と逆方向に数えて4番目付近の圧延ロールの出口での条材温度を用いるとよい。かかるフライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目付近の圧延ロールの出口の条材温度は、フライングシャー直前の圧延ロール出口の条材温度(つまり、放射高温計における条材温度)との明確な相関関係を示し、かつ切断工程におけるフライングシャーの起動タイミングの補正のためのフィードバックが確実に行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。図1は本発明の一実施形態に係る条材の製造方法を示すフロー図、図2は図1の条材の製造方法を実施するための条材製造装置の一部を示す構成図である。
【0012】
図1の条材の製造方法は、棒材、角材、線材等の条材を製造するものであり、前処理工程(STP1)、粗圧延工程(STP2)、切断工程(STP3)、中間・仕上圧延工程(STP4)及び二次加工工程(STP5)をこの順に有している。
【0013】
この条材の製造方法を実施するための図2の条材製造装置は、粗列圧延機1、フライングシャー2、中間・仕上列圧延機3、温度計4及び放射高温計5を備えている。この粗列圧延機1、フライングシャー2及び中間・仕上列圧延機3は、連続処理が可能になるよう直線状の条材搬送ラインX上に上流側から順に配設されている。
【0014】
粗列圧延機1は、熱間圧延によりビレットから条材を形成するものであり、直線状の条材搬送ラインX上に複数の圧延ロール(図中では最終圧延ロール10から逆方向に4番目の圧延ロール6までを表示)を備えている。これらの圧延ロール6〜10は、交互に圧延方向が90°異なるよう配設されている。中間・仕上列圧延機3は、粗列圧延機1と同様に直線状の条材搬送ラインX上に複数の圧延ロール(図中では先頭圧延ロール11のみを表示)を備えている。
【0015】
放射高温計5は、高温の条材からの熱放射を集束し,観察することによって、条材の先端及び後端の通過を検知する装置であり、例えば全放射高温計、光高温計、強度比高温計などがある。この放射高温計5は、粗列圧延機1の最終圧延ロール10の出口付近であって、フライングシャー2の直前に配設されている。
【0016】
温度計4は、条材搬送ラインXを通過している条材の温度が測定できれば特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。この温度計4は、粗列圧延機1の最終圧延ロール10から逆方向に4番目の圧延ロール6の出口付近に配設されている。
【0017】
前処理工程(STP1)は、圧延素材のビレットを形成する工程である。この前処理工程は、詳細には、目的の組成に調整された金属材料の溶湯を製造する工程と、この溶湯から鋼塊又はブルームを製造する工程と、鋼塊又はブルームからビレットを製造する工程とからなる。このビレットは、後述する圧延工程に好適な形状、一般的には円柱状に形成されている。必要に応じ、ビレットは加熱される。前処理工程(STP1)完了後のビレットは、熱間圧延に好適な温度を有する。
【0018】
粗圧延工程(STP2)は、圧延ロール6〜10等の複数の圧延ロールを備える粗列圧延機1によりビレットに対して熱間圧延を順次施す工程である。この粗圧延工程(STP2)における多段の熱間圧延によって、ビレットが段階的に細径化かつ長尺化し、長尺の条材に形成される。
【0019】
切断工程(STP3)は、フライングシャー2を用い、粗圧延工程(STP2)で形成された条材の所定長さの両端部を切断し、欠陥等が存在する可能性が高い端部を除去する。
【0020】
フライングシャー2の起動は、図示していないがコンピューター等を用い、条材の先端及び後端から所定距離の基準位置を切断するよう制御される。このフライングシャー2の起動タイミングは、フライングシャー2直前に設けた放射高温計5による条材の先端及び後端の通過情報と、フライングシャー2の両側の圧延ロール10及び11のモーター(図示していない)に付設されるパルスカウンター等による条材走行速度と、放射高温計5及びフライングシャー2間の距離とから算出されるが、この算出に当たり温度計4で計測された圧延ロール6出口における条材温度により補正される。
【0021】
この補正方法としては、条材温度による補正を行わない場合における温度計4の条材温度と切断される端部長さとの相関関係に従い、この切断端部長さの誤差が補正できるよう切断位置を設定するとよい。具体的には、温度計4で計測される条材温度と端部切断長さとが正の相関関係(特に一次関数)になるよう切断位置を設定するとよい。また、補正に使用する条材温度としては、上記相関関係がより明確になる観点から、圧延ロール7、圧延ロール8及び圧延ロール9に条材先端が到達した時の3回の計測値の平均値が好ましい。
【0022】
中間・仕上圧延工程(STP4)は、圧延ロール11等の複数の圧延ロールを備える中間・仕上列圧延機3により粗圧延工程(STP2)で形成された条材にさらに熱間圧延を施す工程である。この中間・仕上圧延工程(STP4)によって、さらに細径化かつ長尺化し、所定寸法の条材に形成される。
【0023】
二次加工工程(STP5)は、上記中間・仕上圧延工程(STP4)で得られた条材に対し、仕上げ加工を施す工程である。具体的には、所定寸法への裁断、矯正、熱処理、巻取り等が当該二次加工工程に属する。
【0024】
当該条材の製造方法は、放射高温計5の条材温度に起因する条材両端通過情報の誤差が精度よく補正でき、切断精度が飛躍的に向上する。そのため、当該条材の製造方法は、切断される両端部クロップ長さの短縮化が図られ、材料歩留まりが格段に向上する。また、当該条材の製造方法は、切断工程(STP3)でのフライングシャー2の起動タイミングの補正に放射高温計5での条材温度との相関関係が明確な圧延ロール6の出口の条材温度を採用しているため、切断精度が効果的に高められ、かつフライングシャー2の起動タイミングの補正のためのフィードバックが容易である。
【0025】
最後に、切断工程(STP3)において、温度計4で計測された条材温度と端部切断長さとが正の相関関係になるよう切断位置を設定する合理性を証明する。まず、フライングシャー2直前の圧延ロール10出口の条材温度(つまり、放射高温計5における条材温度)と、圧延ロール10から圧延逆方向に4番目の圧延ロール6出口の条材温度との関係は、図3に示すように正の相関関係にある。従って、フィードバック時間との関係から、フライングシャー2直前の圧延ロール10から圧延逆方向に4番目の圧延ロール6出口の条材温度で補正するのが適切である。
【0026】
また、条材温度による補正を行わない場合において、圧延ロール6出口の条材温度と切断される端部長さの誤差との関係は、図4に示すように先端クロップ及び後端クロップ共に負の相関関係にある。従って、この切断長誤差を消去するための補正値は、圧延ロール6出口の条材温度と正の相関関係にあればよい。なお、この補正値と条材温度との正の相関関係を示す係数は、条材の材料、寸法、部位等によって異なるため、代表的な数種類を用意し、材料等により使い分けを行うとよい。
【0027】
なお、本発明の条材の製造方法は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、フライングシャーの起動タイミングの補正に用いる条材温度としては、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目の圧延ロール出口の条材温度に限定されるものではなく、切断工程前の圧延工程における条材温度であればよい。但し、条材温度と補正値との相関関係の明確性及び補正処理へのフィードバック時間を考慮すると、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目近傍の圧延ロール出口の条材温度が好ましい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の条材の製造方法は、フライングシャーによる条材端部の切断精度が高く、切断される両端クロップの長さの短縮化によって材料歩留まりが格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る条材の製造方法を示すフロー図である。
【図2】図2は、図1の条材の製造方法を実施するための条材製造装置を示す構成図である。
【図3】図3は、フライングシャー直前の圧延ロール出口の条材温度と、この圧延ロールから圧延逆方向に4番目の圧延ロール出口の条材温度との関係を実測したグラフである。
【図4】図4は、条材温度による補正を行わない場合において、切断工程で切断される端部長誤差と、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延逆方向に4番目の圧延ロール出口の条材温度との関係を実測したグラフである。
【符号の説明】
STP1・・・前処理工程
STP2・・・粗圧延工程
STP3・・・切断工程
STP4・・・中間・仕上圧延工程
STP5・・・二次加工工程
1・・・粗列圧延機
2・・・フライングシャー
3・・・中間・仕上列圧延機
4・・・温度計
5・・・放射高温計
6〜11・・・圧延ロール
Claims (2)
- 複数の圧延ロールを用いた連続熱間圧延によりビレットから条材を形成する圧延工程と、条材の両端部をフライングシャーにより切断する切断工程とを含み、
この切断工程におけるフライングシャーの起動タイミングを、条材の走行速度とフライングシャー直前に設けた放射高温計による条材の両端通過情報と放射高温計及びフライングシャー間の距離とから算出するに際し、この起動タイミングを切断工程前の圧延工程における条材温度により補正する条材の製造方法。 - 上記条材温度として、フライングシャー直前の圧延ロールから圧延方向と逆方向に数えて4番目付近の圧延ロールの出口での条材温度が用いられている請求項1に記載の条材の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112139251A (zh) * | 2019-06-26 | 2020-12-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 精轧飞剪前辊道的速度分级控制装置及方法 |
-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003016850A patent/JP2004223681A/ja not_active Withdrawn
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