JP2004222207A - 同期追従方法および回路、並びにこれを用いた電灯線搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電灯線搬送の如くノイズ環境が劣悪な伝送路を用いたとしても、同期点を効率良く追従することができる同期追従回路を提供する。
【解決手段】既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた装置において、伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予めリファレンス記憶部2に記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器3と、前記相関器3に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング回路1と、前記相関器3による3点の相関値出力から予め条件テーブル4に記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出回路5と、前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するFFTタイミング生成回路50とを備えて同期追従回路を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた装置において、伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予めリファレンス記憶部2に記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器3と、前記相関器3に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング回路1と、前記相関器3による3点の相関値出力から予め条件テーブル4に記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出回路5と、前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するFFTタイミング生成回路50とを備えて同期追従回路を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期追従方法および同期追従回路に関し、特に、OFDM等のマルチキャリア方式を採用した伝送データ受信に際し、電灯線搬送装置のような伝送特性の劣悪な伝送路を用いた場合であっても安定した同期追従を行なう技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電灯線搬送(電力線通信とも呼ばれる)とは、屋内配電線、或いは、屋外架空電線や地中埋設電線などの電力を供給するために配設されている電灯線を利用して情報を伝送するものであり、通信線路を新たに敷設する必要がなく通信料金の低コスト化が可能であるため、これまで種々の方式が検討されてきた。
電灯線搬送では、上記のような利点がある一方で、雑音などによる伝送特性の劣悪な電灯線を使用するため、雑音に強い通信方式を用いる必要がある。
【0003】
直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、以下、OFDMと記す)通信方式は、使用する周波数帯域内を細かく分割し、1チャネルのデータを周波数の異なる複数の搬送波(キャリア)に分散させて伝送するマルチキャリア変調方式の一種であり、データが複数の搬送波に分散されるため雑音による全データ欠落の確率が低くなる特性を有し、更には、雑音の多い波長域の搬送波を避けて伝送することも可能となる。このため、上述の電灯線搬送に適した通信方式として知られている。なお、OFDM通信は、無線LANやディジタルテレビ放送などにも用いられるが、ここでは電灯線搬送を例にして以下説明する。
【0004】
図5は、従来の直交周波数分割多重通信方式を用いた電灯線搬送装置の構成例を示す機能ブロック図である。
この図に示す電灯線搬送装置は、送信系としてOFDM変調部100を、ディジタル/アナログ(D/A)変換器110とローパス・フィルタ(LPF)120とを介して中間周波・高周波処理部(以下、IF・RF処理部と記す)130に接続するとともに、受信系として前記IF・RF処理部130を、アンチエイリアス・フィルタ(ローパスフィルタ)140とアナログ/ディジタル(A/D)変換器150とを介してOFDM復調部200に接続して構成される。
【0005】
なお、OFDM方式については、例えば「伊丹誠、OFDM変調技術、トリケップス、2000年3月」等に詳細に記載されているので、ここでは要点のみ説明する。
OFDM変調部100は、送信データを各周波数成分が一部重複しつつ直交する複数の搬送波に分散して所定の被変調信号を生成するシンボルマッパ101と、シリアルデータをパラレルデータに変換するS/P変換回路102と、逆フーリエ変換手段としての逆高速フーリエ変換器(Inverse Fast Fourier Transform、以下、IFFTと記す)103と、パラレルデータをシリアルデータに変換するP/S変換回路104と、伝送路(電力線)分岐からの反射波によるマルチパスの影響を軽減する送信側ガード・インターバル回路105とを順次接続して構成される。
【0006】
また、OFDM復調部200は、上述したOFDM変調部100の逆操作により復調信号を得るため、受信側ガード・インターバル回路201と、S/P変換回路202と、受信OFDM信号から前記直交する複数の搬送波を生成するためのフーリエ変換手段としての高速フーリエ変換器(Fast Fourier Transform、以下、FFTと記す)203と、P/S変換回路204と、所定の復調処理を行うシンボルデマッパ205とを順次接続するとともに、前記FFT203の動作タイミングを決める同期信号を生成する同期信号生成部206を備えて構成される。
【0007】
図6は、シンボルマッパ101が出力する信号のスペクトルを示す図である。この例では、n個の搬送波(マルチキャリア)を用いるOFDM信号を生成する場合のスペクトルを示しており、周波数利用効率を上げるために各スペクトルは隣接するスペクトルの一部と重複するように配置される。
【0008】
以下、図6を参照しつつ図5に示した電灯線搬送装置の動作について説明する。まず、送信系の動作として、シンボルマッパ101が送信データを図6に示すような周波数成分を有し互いに直交する複数の搬送波に分散して所定の被変調信号(例えば、直交振幅変調(QAM)、或いは、位相変調(PSK))を生成し出力すると、これをS/P変換回路102がパラレル信号に変換する。
【0009】
この被変調信号は、各搬送波の発生タイミングのずれ(位相のずれ)に起因して正確な直交性が保証されないが、この各搬送波をIFFT変換器103により時間領域の信号に変換することにより、上記発生タイミングのずれが補正されることが知られており、理想的なOFDM信号が多重化波形として出力される。
このOFDM信号は、P/S変換回路104によりシリアル信号に戻され、送信側ガードインターバル回路105によりマルチパスの影響を受けにくい信号に加工されるとともに、D/A変換器110とローパスフィルタ120とを介して高調波が除去されたアナログ信号に変換され、IF・RF処理部130において図示を省略した電力増幅器による増幅など所定の処理が行われた後に伝送路に送出される。
【0010】
ここで、伝送路に送出される送信信号のフレームフォーマットについて説明する。
図7は、フレームフォーマット中の1シンボルの構成例を示す図である。この例では、1シンボルは560サンプルからなり、前後に8サンプルの窓関数(Win)部分と、32サンプルのガードインターバル(GI)部分と、512サンプルの有効シンボル(FFT)部分とに分けられる。なお、GI部分は、FFT部分の後端をコピーしたものであり、この加工処理は送信側ガードインターバル回路105により行なわれる。
【0011】
一方、受信系の動作として、IF・RF処理部130とアンチエイリアス・フィルタ140とを介して不要波が除去されたアナログ信号を得、これをA/D変換器150によりディジタル信号に変換したOFDM信号が、OFDM復調部200に入力される。次に、OFDM復調部200内において、受信側ガードインターバル回路201により送信側によるガードインターバル加工を解除し、S/P変換回路202においてパラレル信号に変換した後、FFT203に供給される。FFT203がこの信号から直交する複数の搬送波(被変調信号)を周波数成分として生成し、これを、P/S変換器204を介してシンボルデマッパ205に供給すると、ここで被変調信号から送信データを再生するための所定の復調処理が行われ、受信データとして出力される。
【0012】
なお、上述した受信系におけるFFTの動作は、同期信号生成部206が出力する同期信号に基づいて行われる。以下、同期信号生成部206について、ガードインターバルを利用した同期検出の例を用いて詳しく説明する。
図8は、同期信号生成部の構成例を示す機能ブロック図である。この図に示す同期信号生成部206は、A/D変換器150からのディジタル化された受信信号(OFDM信号)を入力とし電圧成分を二乗して電力と同じ次元単位量を出力する二乗回路10と、該二乗回路10の出力から所定時間当りの平均電力値を逐次求める移動平均回路20と、後述するGI相関器70からの相関出力を前記移動平均回路20の平均電力値で除算して電力正規化を図るための除算器30と、除算器30からの正規化された相関出力から最も大きなピーク点を検出する最大値検出回路40と、最大値検出回路40からのピーク点情報に基づきFFT処理すべき信号位置タイミングを生成するFFTタイミング生成回路50と、更に、A/D変換器150からのディジタル化された受信信号(OFDM信号)を一方の入力とし、他方の入力には、同一シンボル内におけるGIと該GIのコピー元との位置を一致させる遅延量を設定した遅延回路60を介して受信信号を入力とするGI相関器70とを備えて構成される。
【0013】
つまり、この例に示す同期信号生成部206は、受信信号のGIについて相関をとり、GIの位置を把握してここからFFT処理すべき有効シンボル部分のタイミング情報を生成して、これをFFT変換器203に供給するのである。
【0014】
図9は、GI相関器70の動作を説明するための図であり、ここではイメージし易くするためにアナログ波形で示している。
同図(a)は、A/D変換器150からの直接入力による受信OFDM信号中の有効シンボル(FFT)部後端における信号であり、同図(b)は、遅延回路60により遅延して入力される受信OFDM信号中のガードインターバル部分における信号を示す。即ち、ガードインターバル部分は、有効シンボル部分の後端をコピーしたものであるから同一の信号であり、遅延によりタイミングを一致させて、これらの相関をとれば高い正の相関関係の出力結果を得ることができる。シンボル内において、コピーする有効シンボル部分の後端位置とガードインターバル部分の位置との位置関係は固定であるから、この場合の遅延量も固定でよい。したがって、GI相関器70からは、同図(c)に示す如く1シンボル毎にピークを有する相関出力がなされることになる。
【0015】
このようにして正しいタイミングがとれた状態のことを、シンボル同期確立状態、あるいは、FFTフレーム同期確立状態と呼ぶ。そして、同期が確立された後にあっても、同期信号生成部206は常に動作を続け同期状態の維持を行なうものである。
【0016】
従来のシンボル同期検出方法は、上述のガードインターバル利用の他に、例えば、特開2002−261728号公報に示されるものがある。これは、送信信号中に同期専用の同期信号を挿入しており、受信側において受信信号自体を遅延させて自己相関をとる点でGI相関同期検出に近いが、同期信号に相関が明瞭となるようN/4周期のデータ配列に工夫を施した構成を用いており、また、N/2を境に折り返し相関処理を施すことで精度の良い同期検出を実現している。
更に、シンボル同期検出方法としては、1シンボル期間送信しないヌルシンボル、周波数を直線的に変化させるチャープシンボル、あるいは、送信側も受信側も共有する既知の同期信号を用いるものもある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このように種々のシンボル同期検出方法があるが、電灯線搬送装置の如く電灯線を伝送路とするものにおいては、ノイズ環境が劣悪であり、特に、電灯線に接続された誘導負荷の稼動時などではその影響が著しく、一旦確立した同期点が幅広く変動してしまうので、同期点を効率良く追従することができる同期追従回路が望まれていた。
【0018】
一般に電灯線においては、パソコン、テレビ、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明器具など様々な電気・電子機器がコンセントを通して接続されており、これら機器からの雑音が複合的に存在する。中でも、インバータ回路のように一定の周波数帯にレベルの大きな有色雑音を生じさせるものも存在することが多く、電灯線搬送装置のシンボル同期検出において、精度の高い相関を取ろうとして同期検出の時間範囲を長期にすると有色雑音の影響を受け易くなるという問題点がある。
【0019】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、一旦、シンボル同期を確立した後にあっては、同期検出の時間範囲を短期にして有色雑音の影響を回避しつつ、同期点を効率良く追従することができる同期追従方法および回路、並びにこれを用いた電灯線搬送装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係わる同期追従方法の請求項1の発明は、複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に送信側および受信側の何れもが既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従方法において、シンボル同期が確立した後にあっては、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するようにしたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係わる同期追従方法の請求項2の発明は、前記請求項1に記載の同期追従方法において、相関値を求める3つの点を、同期タイミング点とその前後に隣り合う1サンプル分ずらした点の3つの点としたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係わる同期追従方法の請求項3の発明は、前記請求項1または2記載の何れかに記載の同期追従方法において、求めた3点の相関値についての追従条件は、同期タイミング点の相関値レベルが所定の閾値以上であることを前提とした上で、前記3点相互の傾きによって修正時間方向および修正量を含む修正値を定めたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項4の発明は、複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に送信側および受信側の何れもが既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従回路において、伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器と、前記相関器に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング部と、前記相関器による3点の相関値から予め条件テーブルに記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出部と、前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するタイミング生成部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項5の発明は、前記請求項4に記載の同期追従回路において、前記サンプリングタイミング部は、同期タイミング点とその前後に隣り合う1サンプル分ずらした点の3つの点の相関タイミングを供給するものであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項6の発明は、前記請求項4に記載の同期追従回路において、前記条件テーブルの条件に、同期タイミング点S0の相関値がその前後の点S−nおよびS+nの相関値よりも大きい場合には修正値“0”の条件と、点S−nより同期タイミング点S0の相関値が大きく、且つ、同期タイミング点S0より点S+nの相関値が大きい場合には修正値“+方向”の条件と、点S−nより同期タイミング点S0の相関値が小さく、且つ、同期タイミング点S0より点S+nの相関値が小さい場合には修正値“−方向”の条件と、を記憶したことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項7の発明は、前記請求項6に記載の同期追従回路において、前記条件テーブルの条件に、同期タイミング点S0の相関値レベルに対して所定の閾値以上であることの条件を記憶したことを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係わる電灯線搬送装置の請求項8の発明は、電灯線を伝送路として用いた直行周波数分割多重方式の電灯線搬送装置において、伝送路を介して到来する受信OFDM信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器と、該ディジタル化した受信OFDM信号を同期信号に基づく所定のタイミング区間毎にフーリエ変換して直交する複数の搬送波成分を生成するFFT変換部と、前記FFT変換部へ同期信号を供給する同期信号生成部とを有し、前記同期信号生成部は、前記請求項4乃至7に記載の何れかの同期追従回路を具備することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施の形態例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる同期追従回路の実施の形態例を示す機能ブロック図である。なお、ここでは、送信側と受信側とで共用する互いに既知の同期信号(リファレンス・シンボル)を用いたシンボル同期であって、複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に前記リファレンス・シンボルを挿入して通信するものであることを前提とする。また、上述の図8に示した同期信号生成部206の内部に本発明の同期追従回路を備えるものし、図8に示したものと同様の機能ブロックについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
この図に示す同期追従回路は、A/D変換器150によりディジタル信号に変換された受信OFDM信号が入力され、サンプリングタイミング回路1からのタイミングに基づいて該受信OFDM信号から切出した1シンボル長のデータと予めリファレンス記憶部2に記憶されたリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器3と、該相関器3の相関出力を二乗回路10および移動平均回路20により求められる平均電力値で除算し電力正規化を行なうための除算器30と、該除算器30からの相関出力の波形(レベル比)について条件テーブル4に予め設定記憶した条件と照らし合わせることで真の同期点を検出してタイミング修正値情報として出力する同期点検出回路5と、該同期検出回路からのタイミング修正値情報に基づきFFT処理すべき信号位置タイミングを生成するFFTタイミング生成回路50とを備えて構成する。
【0030】
つまり、この例に示す同期追従回路は、シンボル同期が確立している場合に、その同期を維持しようと機能する回路である。そのため、同期信号生成部206の内部には、初期同期補足や同期外れ検出といった機能を行なうための他の機能ブロックを有するが、ここでは図示を省略している。
【0031】
次に、同期追従回路の動作について説明する。
図2は、本発明に係る同期追従回路を構成する相関器の動作を説明するための図である。なお、シンボル同期が確立しているタイミング点を同期点S0とし、この同期点S0を基点にして、これより前のタイミング点をS−n、これより後のタイミング点をS+nとして示す。但し、nはサンプル数であり、以下、n=1の場合を例に説明する。
【0032】
サンプリングタイミング回路1は、次の3つのタイミング点により受信OFDM信号の切出しを行なう。同図において受信OFDM信号(受信信号フレーム)に対し、同期タイミング点S0より1サンプル前のタイミング点S−1から1シンボル長を切出したものと、同期タイミング点S0から1シンボル長を切出したものと、同期タイミング点S0より1サンプル後のタイミング点S+1から1シンボル長を切出したものとを相関器3に与える。
相関器3は、上記の3つの点で切出される信号区間について、リファレンス記憶部2に予め記憶されているリファレンス・シンボルを読み出して照合することで一致の度合いを検出し、これを相関レベル値として出力する。
【0033】
このとき、同期タイミング点S0が真の同期点であるならば、同期タイミング点S0から1シンボル長を切出したものと、予め記憶されているリファレンス・シンボルとの相関出力のレベル値が最も高くなるはずである。
【0034】
図3は、予め記憶されているリファレンス・シンボルと受信OFDM信号とにおける多点サンプル分の相互相関出力波形の最大ピーク付近を示す図である。
同図中の3つの円のそれぞれに囲まれる範囲内の3点は、本願発明の同期追従回路におけるサンプリングタイミング回路1が相関器3へ供給する3つの点である場合として以下に説明する。
【0035】
まず、実線円で示すケースAの場合、3点のうち最もレベルの大きな点は、中央に位置する同期タイミング点S0であり、このとき3点の関係は、S−1<S0、S0>S+1、S−1>S+1となっている。
また、粗い破線円で示すケースBの場合、3点のうち最もレベルの大きな点は、右端に位置するタイミング点S+1であり、このとき3点の関係は、S−1<S0<S+1となっている。
また、細かい破線円で示すケースCの場合、3点のうち最もレベルの大きな点は、左端に位置するタイミング点S−1であり、このとき3点の関係は、S−1>S0>S+1となっている。
【0036】
即ち、ケースAの如く、同期タイミング点S0がその前後のタイミング点S−1およびS+1の何れよりも大きな相関出力レベル値となっているならば、真の同期点にてシンボル同期が維持されていると考えて良いであろう。
他方、ケースBの場合にあっては、右上りに徐々にレベル値が大きくなっているので、相関出力の最大レベル値の位置は+の方向(S+1側)に存在することが予想でき、このときの同期タイミング点S0は、真の同期点からズレていると考えて良いであろう。また、ケースCの場合にあっては、ケースBとは逆の方向にズレていると考えて良いであろう。このような考え方に基づき、同期点の追従条件を定めたものを条件テーブル4に記憶しておくのである。
【0037】
図4は、本発明に係る同期追従回路の条件テーブルに記憶する条件設定例を示す図である。なお、この例では、主な9通りのパターンについてのみ示す。
同図中の(1)は3点の相関出力の関係が凸型の傾きパターンであった場合には同期点修正値を“0”とする条件を定めたものである。即ち、この条件が理想的同期状態であり、この状態の同期を目標に同期追従を行なう。3点の相関出力の関係を把握するには、S−1とS0、S0とS+1、S−1とS+1のそれぞれについて見る必要があるが、凸型の傾きであることを知るには、S−1とS0、及び、S0とS+1の関係を見れば足りる。したがって、S−1<S0であって且つS0>S+1を満たす場合の条件として設定すればよい。
【0038】
次に、同図中の(2)は、凹型の傾きパターンの場合として、S−1>S0であって且つS0<S+1を条件設定し、これは同期確立状態としてはアブノーマルであるから、例えば、同期外れ検出の判断材料として用いてもよい。
また、同図中の(3)は、何れもレベルがイコールで平坦な場合として、S−1=S0であって且つS0=S+1を条件設定し、これも同期確立状態としてはアブノーマルであるから、例えば、数回これが続いたら同期外れ検出とするよう用いてもよい。
【0039】
同図中の(4)は、S−1<S0であって且つS0<S+1を条件設定し、(5)は、S−1<S0であって且つS0=S+1を条件設定し、(6)は、S−1=S0であって且つS0<S+1を条件設定したものであり、何れの場合も右上りにレベルが増えている傾きの場合である。これらの場合、真の同期タイミング点は、S+1側にあるとして同期点修正値を“+1”とする条件を定めたものである。
【0040】
同図中の(7)は、S−1>S0であって且つS0>S+1を条件設定し、(8)は、S−1>S0であって且つS0=S+1を条件設定し、(9)は、S−1=S0であって且つS0>S+1を条件設定したものであり、何れの場合も右下がりにレベルが減っている傾きの場合である。これらの場合、真の同期タイミング点は、S−1側にあるとして同期点修正値を“−1”とする条件を定めたものである。
【0041】
このように条件を定めた条件テーブル4を用いて、上述の図3に示した各ケースA〜Cの場面について当て嵌めて動作説明する。
まず、3点の相関出力がケースAの場合は、同期点検出回路5は条件テーブル4の条件を参照してこれと比較し、図4の(1)の条件に合致することを検出し、この時の同期点修正値“0”を次段のFFTタイミング生成回路50に出力する。
この同期点修正値“0”より、FFTタイミング生成回路50は、現状のタイミングについて修正することなくFFTタイミングの生成を行なう。
【0042】
次に、ケースBの場合は、同期点検出回路5は条件テーブル4の条件を参照してこれと比較し、図4の(4)の条件に合致することを検出し、この時の同期点修正値“+1”を次段のFFTタイミング生成回路50に出力する。
この同期点修正値“+1”より、FFTタイミング生成回路50は、現状のタイミングに対し、1サンプル分タイミングを遅らせるよう修正してFFTタイミングの生成を行なう。
【0043】
また、ケースCの場合は、同期点検出回路5は条件テーブル4の条件を参照してこれと比較し、図4の(7)の条件に合致することを検出し、この時の同期点修正値“−1”を次段のFFTタイミング生成回路50に出力する。
この同期点修正値“−1”より、FFTタイミング生成回路50は、現状のタイミングに対し、1サンプル分タイミングを進ませるよう修正してFFTタイミングの生成を行なう。
【0044】
以上のように、同期追従に要する同期検出の時間範囲を3点に絞って短期にすることで有色雑音の影響を回避した動作を行なうため、同期点の誤検出が低減され、効率の良い同期追従が可能となる。
【0045】
以上説明した本発明の実施の形態例においては、相関器3の出力に対し電力正規化を行なうという例を示したが、本発明の実施にあってはこの例に限らず、例えば、電力正規化のみならず、更に、所定の閾値を条件設定してもよい。即ち、シンボル同期確立時に相関出力のピークレベル値であろうとして同期している同期点S0について、1シンボル当りの平均相関レベルよりも高いレベルの閾値を設定しておき、この閾値を超えていることを条件に加えて上述の同期追従を行なうようにするのである。あるいは、同期点S0とその前後の点S+nおよび点S−nの論理和について上記の閾値を設定しておいても良い。
これによれば、あきらかに不確かな相関検出結果について同期追従を行なってしまうことにより同期外れ検出が著しく遅れてしまうことを防止することができる。
【0046】
また、本発明の実施にあっては次のように構成してもよい。即ち、リファレンス記憶部2は、予め記憶する正規リファレンスシンボルとは別に一時保持手段を設けておく。そして、この一時保持手段には、初期同期補足時に同期確立と判定した際の受信OFDM信号中のリファレンスシンボル波形を記憶しておき、この一時保持手段に保持した波形をも併せて、上述の同期追従動作を行なうようにする。
これによれば、送信側において送信された正規リファレンスシンボルが伝送経路での歪などを受けた状態の信号を元にして相関をとるため、これと同様の環境にて継続される受信OFDM信号との相関値は更に明確な相関ピークが得られることが期待できる。
【0047】
以上のように、本発明に係わる同期追従方法は、電灯線搬送に代表されるマルチキャリア伝送方式通信の同期追従にあたり、一旦、シンボル同期が確立した後にあっては、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するようにしたので、同期追従に要する同期検出の時間範囲を短期にでき、有色雑音の影響を回避した効率の良い同期追従が可能となる。
【0048】
また、本発明に係わる同期追従回路は、既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従回路において、伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予めリファレンス記憶部2に記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器3と、前記相関器3に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング回路1と、前記相関器3による3点の相関値出力から予め条件テーブル4に記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出回路5と、前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するFFTタイミング生成回路50とを備えて構成したので、上記の同期追従方法が実現される。
【0049】
また、本発明に係わる電灯線搬送装置は、内蔵する同期信号生成部206に本発明に係る上述の同期追従回路を備えて構成したので、通信用伝送路としては不向きな電灯線を用いたとしても、同期点変動に効率良く追従することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明に係わる同期追従方法は、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するよう動作するので、シンボル同期が確立した後の同期追従を効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る同期追従回路の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る同期追従回路に用いる相関器の動作を説明するための図である。
【図3】本発明に係る同期追従回路の動作について場面を設定するための図であり、多点サンプル分の相互相関出力波形の最大ピーク付近例を示す図である。
【図4】本発明に係る同期追従回路の条件テーブルに記憶する条件設定例を示す図である。
【図5】OFDM通信方式を用いた電灯線搬送装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】図5に示すシンボルマッパ101が出力する信号のスペクトル配置例を示す図である。
【図7】伝送信号のフレームフォーマット中の1シンボルの構成例を示す図である。
【図8】図5に示す同期信号生成部206の構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】図8に示すGI相関器70の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・サンプリングタイミング回路
2・・・リファレンス記憶部
3・・・相関器
4・・・条件テーブル
5・・・同期点検出回路
10・・・二乗回路
20・・・移動平均回路
30・・・除算器
40・・・最大値検出回路
50・・・FFTタイミング生成回路
60・・・遅延回路
70・・・GI相関器
100・・・OFDM変調部
101・・・シンボルマッパ
102・・・シリアル/パラレル変換回路(S/P)
103・・・逆高速フーリエ変換器(IFFT)
104・・・パラレル/シリアル変換回路(P/S)
105・・・送信側ガード・インターバル回路(G/I)
110・・・ディジタル/アナログ変換器(D/A)
120・・・ローパス・フィルタ(LPF)
130・・・中間周波・高周波処理部(IF・RF処理)
140・・・アンチエイリアス・フィルタ(ローパスフィルタ)
150・・・アナログ/ディジタル変換器(A/D)
200・・・OFDM復調部
201・・・受信側ガード・インターバル回路(G/I)
202・・・シリアル/パラレル変換回路(S/P)
203・・・高速フーリエ変換器(FFT)
204・・・パラレル/シリアル変換回路(P/S)
205・・・シンボルデマッパ
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期追従方法および同期追従回路に関し、特に、OFDM等のマルチキャリア方式を採用した伝送データ受信に際し、電灯線搬送装置のような伝送特性の劣悪な伝送路を用いた場合であっても安定した同期追従を行なう技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電灯線搬送(電力線通信とも呼ばれる)とは、屋内配電線、或いは、屋外架空電線や地中埋設電線などの電力を供給するために配設されている電灯線を利用して情報を伝送するものであり、通信線路を新たに敷設する必要がなく通信料金の低コスト化が可能であるため、これまで種々の方式が検討されてきた。
電灯線搬送では、上記のような利点がある一方で、雑音などによる伝送特性の劣悪な電灯線を使用するため、雑音に強い通信方式を用いる必要がある。
【0003】
直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、以下、OFDMと記す)通信方式は、使用する周波数帯域内を細かく分割し、1チャネルのデータを周波数の異なる複数の搬送波(キャリア)に分散させて伝送するマルチキャリア変調方式の一種であり、データが複数の搬送波に分散されるため雑音による全データ欠落の確率が低くなる特性を有し、更には、雑音の多い波長域の搬送波を避けて伝送することも可能となる。このため、上述の電灯線搬送に適した通信方式として知られている。なお、OFDM通信は、無線LANやディジタルテレビ放送などにも用いられるが、ここでは電灯線搬送を例にして以下説明する。
【0004】
図5は、従来の直交周波数分割多重通信方式を用いた電灯線搬送装置の構成例を示す機能ブロック図である。
この図に示す電灯線搬送装置は、送信系としてOFDM変調部100を、ディジタル/アナログ(D/A)変換器110とローパス・フィルタ(LPF)120とを介して中間周波・高周波処理部(以下、IF・RF処理部と記す)130に接続するとともに、受信系として前記IF・RF処理部130を、アンチエイリアス・フィルタ(ローパスフィルタ)140とアナログ/ディジタル(A/D)変換器150とを介してOFDM復調部200に接続して構成される。
【0005】
なお、OFDM方式については、例えば「伊丹誠、OFDM変調技術、トリケップス、2000年3月」等に詳細に記載されているので、ここでは要点のみ説明する。
OFDM変調部100は、送信データを各周波数成分が一部重複しつつ直交する複数の搬送波に分散して所定の被変調信号を生成するシンボルマッパ101と、シリアルデータをパラレルデータに変換するS/P変換回路102と、逆フーリエ変換手段としての逆高速フーリエ変換器(Inverse Fast Fourier Transform、以下、IFFTと記す)103と、パラレルデータをシリアルデータに変換するP/S変換回路104と、伝送路(電力線)分岐からの反射波によるマルチパスの影響を軽減する送信側ガード・インターバル回路105とを順次接続して構成される。
【0006】
また、OFDM復調部200は、上述したOFDM変調部100の逆操作により復調信号を得るため、受信側ガード・インターバル回路201と、S/P変換回路202と、受信OFDM信号から前記直交する複数の搬送波を生成するためのフーリエ変換手段としての高速フーリエ変換器(Fast Fourier Transform、以下、FFTと記す)203と、P/S変換回路204と、所定の復調処理を行うシンボルデマッパ205とを順次接続するとともに、前記FFT203の動作タイミングを決める同期信号を生成する同期信号生成部206を備えて構成される。
【0007】
図6は、シンボルマッパ101が出力する信号のスペクトルを示す図である。この例では、n個の搬送波(マルチキャリア)を用いるOFDM信号を生成する場合のスペクトルを示しており、周波数利用効率を上げるために各スペクトルは隣接するスペクトルの一部と重複するように配置される。
【0008】
以下、図6を参照しつつ図5に示した電灯線搬送装置の動作について説明する。まず、送信系の動作として、シンボルマッパ101が送信データを図6に示すような周波数成分を有し互いに直交する複数の搬送波に分散して所定の被変調信号(例えば、直交振幅変調(QAM)、或いは、位相変調(PSK))を生成し出力すると、これをS/P変換回路102がパラレル信号に変換する。
【0009】
この被変調信号は、各搬送波の発生タイミングのずれ(位相のずれ)に起因して正確な直交性が保証されないが、この各搬送波をIFFT変換器103により時間領域の信号に変換することにより、上記発生タイミングのずれが補正されることが知られており、理想的なOFDM信号が多重化波形として出力される。
このOFDM信号は、P/S変換回路104によりシリアル信号に戻され、送信側ガードインターバル回路105によりマルチパスの影響を受けにくい信号に加工されるとともに、D/A変換器110とローパスフィルタ120とを介して高調波が除去されたアナログ信号に変換され、IF・RF処理部130において図示を省略した電力増幅器による増幅など所定の処理が行われた後に伝送路に送出される。
【0010】
ここで、伝送路に送出される送信信号のフレームフォーマットについて説明する。
図7は、フレームフォーマット中の1シンボルの構成例を示す図である。この例では、1シンボルは560サンプルからなり、前後に8サンプルの窓関数(Win)部分と、32サンプルのガードインターバル(GI)部分と、512サンプルの有効シンボル(FFT)部分とに分けられる。なお、GI部分は、FFT部分の後端をコピーしたものであり、この加工処理は送信側ガードインターバル回路105により行なわれる。
【0011】
一方、受信系の動作として、IF・RF処理部130とアンチエイリアス・フィルタ140とを介して不要波が除去されたアナログ信号を得、これをA/D変換器150によりディジタル信号に変換したOFDM信号が、OFDM復調部200に入力される。次に、OFDM復調部200内において、受信側ガードインターバル回路201により送信側によるガードインターバル加工を解除し、S/P変換回路202においてパラレル信号に変換した後、FFT203に供給される。FFT203がこの信号から直交する複数の搬送波(被変調信号)を周波数成分として生成し、これを、P/S変換器204を介してシンボルデマッパ205に供給すると、ここで被変調信号から送信データを再生するための所定の復調処理が行われ、受信データとして出力される。
【0012】
なお、上述した受信系におけるFFTの動作は、同期信号生成部206が出力する同期信号に基づいて行われる。以下、同期信号生成部206について、ガードインターバルを利用した同期検出の例を用いて詳しく説明する。
図8は、同期信号生成部の構成例を示す機能ブロック図である。この図に示す同期信号生成部206は、A/D変換器150からのディジタル化された受信信号(OFDM信号)を入力とし電圧成分を二乗して電力と同じ次元単位量を出力する二乗回路10と、該二乗回路10の出力から所定時間当りの平均電力値を逐次求める移動平均回路20と、後述するGI相関器70からの相関出力を前記移動平均回路20の平均電力値で除算して電力正規化を図るための除算器30と、除算器30からの正規化された相関出力から最も大きなピーク点を検出する最大値検出回路40と、最大値検出回路40からのピーク点情報に基づきFFT処理すべき信号位置タイミングを生成するFFTタイミング生成回路50と、更に、A/D変換器150からのディジタル化された受信信号(OFDM信号)を一方の入力とし、他方の入力には、同一シンボル内におけるGIと該GIのコピー元との位置を一致させる遅延量を設定した遅延回路60を介して受信信号を入力とするGI相関器70とを備えて構成される。
【0013】
つまり、この例に示す同期信号生成部206は、受信信号のGIについて相関をとり、GIの位置を把握してここからFFT処理すべき有効シンボル部分のタイミング情報を生成して、これをFFT変換器203に供給するのである。
【0014】
図9は、GI相関器70の動作を説明するための図であり、ここではイメージし易くするためにアナログ波形で示している。
同図(a)は、A/D変換器150からの直接入力による受信OFDM信号中の有効シンボル(FFT)部後端における信号であり、同図(b)は、遅延回路60により遅延して入力される受信OFDM信号中のガードインターバル部分における信号を示す。即ち、ガードインターバル部分は、有効シンボル部分の後端をコピーしたものであるから同一の信号であり、遅延によりタイミングを一致させて、これらの相関をとれば高い正の相関関係の出力結果を得ることができる。シンボル内において、コピーする有効シンボル部分の後端位置とガードインターバル部分の位置との位置関係は固定であるから、この場合の遅延量も固定でよい。したがって、GI相関器70からは、同図(c)に示す如く1シンボル毎にピークを有する相関出力がなされることになる。
【0015】
このようにして正しいタイミングがとれた状態のことを、シンボル同期確立状態、あるいは、FFTフレーム同期確立状態と呼ぶ。そして、同期が確立された後にあっても、同期信号生成部206は常に動作を続け同期状態の維持を行なうものである。
【0016】
従来のシンボル同期検出方法は、上述のガードインターバル利用の他に、例えば、特開2002−261728号公報に示されるものがある。これは、送信信号中に同期専用の同期信号を挿入しており、受信側において受信信号自体を遅延させて自己相関をとる点でGI相関同期検出に近いが、同期信号に相関が明瞭となるようN/4周期のデータ配列に工夫を施した構成を用いており、また、N/2を境に折り返し相関処理を施すことで精度の良い同期検出を実現している。
更に、シンボル同期検出方法としては、1シンボル期間送信しないヌルシンボル、周波数を直線的に変化させるチャープシンボル、あるいは、送信側も受信側も共有する既知の同期信号を用いるものもある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このように種々のシンボル同期検出方法があるが、電灯線搬送装置の如く電灯線を伝送路とするものにおいては、ノイズ環境が劣悪であり、特に、電灯線に接続された誘導負荷の稼動時などではその影響が著しく、一旦確立した同期点が幅広く変動してしまうので、同期点を効率良く追従することができる同期追従回路が望まれていた。
【0018】
一般に電灯線においては、パソコン、テレビ、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明器具など様々な電気・電子機器がコンセントを通して接続されており、これら機器からの雑音が複合的に存在する。中でも、インバータ回路のように一定の周波数帯にレベルの大きな有色雑音を生じさせるものも存在することが多く、電灯線搬送装置のシンボル同期検出において、精度の高い相関を取ろうとして同期検出の時間範囲を長期にすると有色雑音の影響を受け易くなるという問題点がある。
【0019】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、一旦、シンボル同期を確立した後にあっては、同期検出の時間範囲を短期にして有色雑音の影響を回避しつつ、同期点を効率良く追従することができる同期追従方法および回路、並びにこれを用いた電灯線搬送装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係わる同期追従方法の請求項1の発明は、複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に送信側および受信側の何れもが既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従方法において、シンボル同期が確立した後にあっては、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するようにしたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係わる同期追従方法の請求項2の発明は、前記請求項1に記載の同期追従方法において、相関値を求める3つの点を、同期タイミング点とその前後に隣り合う1サンプル分ずらした点の3つの点としたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係わる同期追従方法の請求項3の発明は、前記請求項1または2記載の何れかに記載の同期追従方法において、求めた3点の相関値についての追従条件は、同期タイミング点の相関値レベルが所定の閾値以上であることを前提とした上で、前記3点相互の傾きによって修正時間方向および修正量を含む修正値を定めたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項4の発明は、複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に送信側および受信側の何れもが既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従回路において、伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器と、前記相関器に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング部と、前記相関器による3点の相関値から予め条件テーブルに記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出部と、前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するタイミング生成部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項5の発明は、前記請求項4に記載の同期追従回路において、前記サンプリングタイミング部は、同期タイミング点とその前後に隣り合う1サンプル分ずらした点の3つの点の相関タイミングを供給するものであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項6の発明は、前記請求項4に記載の同期追従回路において、前記条件テーブルの条件に、同期タイミング点S0の相関値がその前後の点S−nおよびS+nの相関値よりも大きい場合には修正値“0”の条件と、点S−nより同期タイミング点S0の相関値が大きく、且つ、同期タイミング点S0より点S+nの相関値が大きい場合には修正値“+方向”の条件と、点S−nより同期タイミング点S0の相関値が小さく、且つ、同期タイミング点S0より点S+nの相関値が小さい場合には修正値“−方向”の条件と、を記憶したことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係わる同期追従回路の請求項7の発明は、前記請求項6に記載の同期追従回路において、前記条件テーブルの条件に、同期タイミング点S0の相関値レベルに対して所定の閾値以上であることの条件を記憶したことを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係わる電灯線搬送装置の請求項8の発明は、電灯線を伝送路として用いた直行周波数分割多重方式の電灯線搬送装置において、伝送路を介して到来する受信OFDM信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器と、該ディジタル化した受信OFDM信号を同期信号に基づく所定のタイミング区間毎にフーリエ変換して直交する複数の搬送波成分を生成するFFT変換部と、前記FFT変換部へ同期信号を供給する同期信号生成部とを有し、前記同期信号生成部は、前記請求項4乃至7に記載の何れかの同期追従回路を具備することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施の形態例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる同期追従回路の実施の形態例を示す機能ブロック図である。なお、ここでは、送信側と受信側とで共用する互いに既知の同期信号(リファレンス・シンボル)を用いたシンボル同期であって、複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に前記リファレンス・シンボルを挿入して通信するものであることを前提とする。また、上述の図8に示した同期信号生成部206の内部に本発明の同期追従回路を備えるものし、図8に示したものと同様の機能ブロックについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
この図に示す同期追従回路は、A/D変換器150によりディジタル信号に変換された受信OFDM信号が入力され、サンプリングタイミング回路1からのタイミングに基づいて該受信OFDM信号から切出した1シンボル長のデータと予めリファレンス記憶部2に記憶されたリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器3と、該相関器3の相関出力を二乗回路10および移動平均回路20により求められる平均電力値で除算し電力正規化を行なうための除算器30と、該除算器30からの相関出力の波形(レベル比)について条件テーブル4に予め設定記憶した条件と照らし合わせることで真の同期点を検出してタイミング修正値情報として出力する同期点検出回路5と、該同期検出回路からのタイミング修正値情報に基づきFFT処理すべき信号位置タイミングを生成するFFTタイミング生成回路50とを備えて構成する。
【0030】
つまり、この例に示す同期追従回路は、シンボル同期が確立している場合に、その同期を維持しようと機能する回路である。そのため、同期信号生成部206の内部には、初期同期補足や同期外れ検出といった機能を行なうための他の機能ブロックを有するが、ここでは図示を省略している。
【0031】
次に、同期追従回路の動作について説明する。
図2は、本発明に係る同期追従回路を構成する相関器の動作を説明するための図である。なお、シンボル同期が確立しているタイミング点を同期点S0とし、この同期点S0を基点にして、これより前のタイミング点をS−n、これより後のタイミング点をS+nとして示す。但し、nはサンプル数であり、以下、n=1の場合を例に説明する。
【0032】
サンプリングタイミング回路1は、次の3つのタイミング点により受信OFDM信号の切出しを行なう。同図において受信OFDM信号(受信信号フレーム)に対し、同期タイミング点S0より1サンプル前のタイミング点S−1から1シンボル長を切出したものと、同期タイミング点S0から1シンボル長を切出したものと、同期タイミング点S0より1サンプル後のタイミング点S+1から1シンボル長を切出したものとを相関器3に与える。
相関器3は、上記の3つの点で切出される信号区間について、リファレンス記憶部2に予め記憶されているリファレンス・シンボルを読み出して照合することで一致の度合いを検出し、これを相関レベル値として出力する。
【0033】
このとき、同期タイミング点S0が真の同期点であるならば、同期タイミング点S0から1シンボル長を切出したものと、予め記憶されているリファレンス・シンボルとの相関出力のレベル値が最も高くなるはずである。
【0034】
図3は、予め記憶されているリファレンス・シンボルと受信OFDM信号とにおける多点サンプル分の相互相関出力波形の最大ピーク付近を示す図である。
同図中の3つの円のそれぞれに囲まれる範囲内の3点は、本願発明の同期追従回路におけるサンプリングタイミング回路1が相関器3へ供給する3つの点である場合として以下に説明する。
【0035】
まず、実線円で示すケースAの場合、3点のうち最もレベルの大きな点は、中央に位置する同期タイミング点S0であり、このとき3点の関係は、S−1<S0、S0>S+1、S−1>S+1となっている。
また、粗い破線円で示すケースBの場合、3点のうち最もレベルの大きな点は、右端に位置するタイミング点S+1であり、このとき3点の関係は、S−1<S0<S+1となっている。
また、細かい破線円で示すケースCの場合、3点のうち最もレベルの大きな点は、左端に位置するタイミング点S−1であり、このとき3点の関係は、S−1>S0>S+1となっている。
【0036】
即ち、ケースAの如く、同期タイミング点S0がその前後のタイミング点S−1およびS+1の何れよりも大きな相関出力レベル値となっているならば、真の同期点にてシンボル同期が維持されていると考えて良いであろう。
他方、ケースBの場合にあっては、右上りに徐々にレベル値が大きくなっているので、相関出力の最大レベル値の位置は+の方向(S+1側)に存在することが予想でき、このときの同期タイミング点S0は、真の同期点からズレていると考えて良いであろう。また、ケースCの場合にあっては、ケースBとは逆の方向にズレていると考えて良いであろう。このような考え方に基づき、同期点の追従条件を定めたものを条件テーブル4に記憶しておくのである。
【0037】
図4は、本発明に係る同期追従回路の条件テーブルに記憶する条件設定例を示す図である。なお、この例では、主な9通りのパターンについてのみ示す。
同図中の(1)は3点の相関出力の関係が凸型の傾きパターンであった場合には同期点修正値を“0”とする条件を定めたものである。即ち、この条件が理想的同期状態であり、この状態の同期を目標に同期追従を行なう。3点の相関出力の関係を把握するには、S−1とS0、S0とS+1、S−1とS+1のそれぞれについて見る必要があるが、凸型の傾きであることを知るには、S−1とS0、及び、S0とS+1の関係を見れば足りる。したがって、S−1<S0であって且つS0>S+1を満たす場合の条件として設定すればよい。
【0038】
次に、同図中の(2)は、凹型の傾きパターンの場合として、S−1>S0であって且つS0<S+1を条件設定し、これは同期確立状態としてはアブノーマルであるから、例えば、同期外れ検出の判断材料として用いてもよい。
また、同図中の(3)は、何れもレベルがイコールで平坦な場合として、S−1=S0であって且つS0=S+1を条件設定し、これも同期確立状態としてはアブノーマルであるから、例えば、数回これが続いたら同期外れ検出とするよう用いてもよい。
【0039】
同図中の(4)は、S−1<S0であって且つS0<S+1を条件設定し、(5)は、S−1<S0であって且つS0=S+1を条件設定し、(6)は、S−1=S0であって且つS0<S+1を条件設定したものであり、何れの場合も右上りにレベルが増えている傾きの場合である。これらの場合、真の同期タイミング点は、S+1側にあるとして同期点修正値を“+1”とする条件を定めたものである。
【0040】
同図中の(7)は、S−1>S0であって且つS0>S+1を条件設定し、(8)は、S−1>S0であって且つS0=S+1を条件設定し、(9)は、S−1=S0であって且つS0>S+1を条件設定したものであり、何れの場合も右下がりにレベルが減っている傾きの場合である。これらの場合、真の同期タイミング点は、S−1側にあるとして同期点修正値を“−1”とする条件を定めたものである。
【0041】
このように条件を定めた条件テーブル4を用いて、上述の図3に示した各ケースA〜Cの場面について当て嵌めて動作説明する。
まず、3点の相関出力がケースAの場合は、同期点検出回路5は条件テーブル4の条件を参照してこれと比較し、図4の(1)の条件に合致することを検出し、この時の同期点修正値“0”を次段のFFTタイミング生成回路50に出力する。
この同期点修正値“0”より、FFTタイミング生成回路50は、現状のタイミングについて修正することなくFFTタイミングの生成を行なう。
【0042】
次に、ケースBの場合は、同期点検出回路5は条件テーブル4の条件を参照してこれと比較し、図4の(4)の条件に合致することを検出し、この時の同期点修正値“+1”を次段のFFTタイミング生成回路50に出力する。
この同期点修正値“+1”より、FFTタイミング生成回路50は、現状のタイミングに対し、1サンプル分タイミングを遅らせるよう修正してFFTタイミングの生成を行なう。
【0043】
また、ケースCの場合は、同期点検出回路5は条件テーブル4の条件を参照してこれと比較し、図4の(7)の条件に合致することを検出し、この時の同期点修正値“−1”を次段のFFTタイミング生成回路50に出力する。
この同期点修正値“−1”より、FFTタイミング生成回路50は、現状のタイミングに対し、1サンプル分タイミングを進ませるよう修正してFFTタイミングの生成を行なう。
【0044】
以上のように、同期追従に要する同期検出の時間範囲を3点に絞って短期にすることで有色雑音の影響を回避した動作を行なうため、同期点の誤検出が低減され、効率の良い同期追従が可能となる。
【0045】
以上説明した本発明の実施の形態例においては、相関器3の出力に対し電力正規化を行なうという例を示したが、本発明の実施にあってはこの例に限らず、例えば、電力正規化のみならず、更に、所定の閾値を条件設定してもよい。即ち、シンボル同期確立時に相関出力のピークレベル値であろうとして同期している同期点S0について、1シンボル当りの平均相関レベルよりも高いレベルの閾値を設定しておき、この閾値を超えていることを条件に加えて上述の同期追従を行なうようにするのである。あるいは、同期点S0とその前後の点S+nおよび点S−nの論理和について上記の閾値を設定しておいても良い。
これによれば、あきらかに不確かな相関検出結果について同期追従を行なってしまうことにより同期外れ検出が著しく遅れてしまうことを防止することができる。
【0046】
また、本発明の実施にあっては次のように構成してもよい。即ち、リファレンス記憶部2は、予め記憶する正規リファレンスシンボルとは別に一時保持手段を設けておく。そして、この一時保持手段には、初期同期補足時に同期確立と判定した際の受信OFDM信号中のリファレンスシンボル波形を記憶しておき、この一時保持手段に保持した波形をも併せて、上述の同期追従動作を行なうようにする。
これによれば、送信側において送信された正規リファレンスシンボルが伝送経路での歪などを受けた状態の信号を元にして相関をとるため、これと同様の環境にて継続される受信OFDM信号との相関値は更に明確な相関ピークが得られることが期待できる。
【0047】
以上のように、本発明に係わる同期追従方法は、電灯線搬送に代表されるマルチキャリア伝送方式通信の同期追従にあたり、一旦、シンボル同期が確立した後にあっては、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するようにしたので、同期追従に要する同期検出の時間範囲を短期にでき、有色雑音の影響を回避した効率の良い同期追従が可能となる。
【0048】
また、本発明に係わる同期追従回路は、既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従回路において、伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予めリファレンス記憶部2に記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器3と、前記相関器3に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング回路1と、前記相関器3による3点の相関値出力から予め条件テーブル4に記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出回路5と、前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するFFTタイミング生成回路50とを備えて構成したので、上記の同期追従方法が実現される。
【0049】
また、本発明に係わる電灯線搬送装置は、内蔵する同期信号生成部206に本発明に係る上述の同期追従回路を備えて構成したので、通信用伝送路としては不向きな電灯線を用いたとしても、同期点変動に効率良く追従することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明に係わる同期追従方法は、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するよう動作するので、シンボル同期が確立した後の同期追従を効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る同期追従回路の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る同期追従回路に用いる相関器の動作を説明するための図である。
【図3】本発明に係る同期追従回路の動作について場面を設定するための図であり、多点サンプル分の相互相関出力波形の最大ピーク付近例を示す図である。
【図4】本発明に係る同期追従回路の条件テーブルに記憶する条件設定例を示す図である。
【図5】OFDM通信方式を用いた電灯線搬送装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】図5に示すシンボルマッパ101が出力する信号のスペクトル配置例を示す図である。
【図7】伝送信号のフレームフォーマット中の1シンボルの構成例を示す図である。
【図8】図5に示す同期信号生成部206の構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】図8に示すGI相関器70の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・サンプリングタイミング回路
2・・・リファレンス記憶部
3・・・相関器
4・・・条件テーブル
5・・・同期点検出回路
10・・・二乗回路
20・・・移動平均回路
30・・・除算器
40・・・最大値検出回路
50・・・FFTタイミング生成回路
60・・・遅延回路
70・・・GI相関器
100・・・OFDM変調部
101・・・シンボルマッパ
102・・・シリアル/パラレル変換回路(S/P)
103・・・逆高速フーリエ変換器(IFFT)
104・・・パラレル/シリアル変換回路(P/S)
105・・・送信側ガード・インターバル回路(G/I)
110・・・ディジタル/アナログ変換器(D/A)
120・・・ローパス・フィルタ(LPF)
130・・・中間周波・高周波処理部(IF・RF処理)
140・・・アンチエイリアス・フィルタ(ローパスフィルタ)
150・・・アナログ/ディジタル変換器(A/D)
200・・・OFDM復調部
201・・・受信側ガード・インターバル回路(G/I)
202・・・シリアル/パラレル変換回路(S/P)
203・・・高速フーリエ変換器(FFT)
204・・・パラレル/シリアル変換回路(P/S)
205・・・シンボルデマッパ
Claims (8)
- 複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に送信側および受信側の何れもが既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従方法において、
シンボル同期が確立した後にあっては、受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関検出を、同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についてのみ相関値を求め、
求めた3点の相関値の相互関係について、予め記憶した追従条件に照らして同期タイミングの修正すべき修正値を検出し、
前記修正値に基づいて同期タイミングを制御するようにした
ことを特徴とする同期追従方法。 - 請求項1に記載の同期追従方法において、
相関値を求める3つの点を、同期タイミング点とその前後に隣り合う1サンプル分ずらした点の3つの点としたことを特徴とする同期追従方法。 - 請求項1または2の何れかに記載の同期追従方法において、
求めた3点の相関値についての追従条件は、
同期タイミング点の相関値レベルが所定の閾値以上であることを前提とした上で、
前記3点相互の傾きによって修正時間方向および修正量を含む修正値を定めたことを特徴とする同期追従方法。 - 複数のシンボルからなるフレーム中の所定位置に送信側および受信側の何れもが既知のリファレンス・シンボルを挿入して通信するマルチキャリア伝送方式を用いた通信装置の同期追従回路において、
伝送路からの受信信号中のリファレンス・シンボルと予め記憶したリファレンス・シンボルとの相関を検出する相関器と、
前記相関器に対し同期タイミング点とその前後で同間隔離れた点の3つの点についての相関タイミングを供給するサンプリングタイミング部と、
前記相関器による3点の相関値から予め条件テーブルに記憶した条件に照らして同期点修正値を求める同期点検出部と、
前記同期点検出部からの修正値に基づき同期タイミングを制御するタイミング生成部とを備えた
ことを特徴とする同期追従回路。 - 請求項4に記載の同期追従回路において、
前記サンプリングタイミング部は、同期タイミング点とその前後に隣り合う1サンプル分ずらした点の3つの点の相関タイミングを供給するものであることを特徴とする同期追従回路。 - 請求項4に記載の同期追従回路において、
前記条件テーブルの条件に、
同期タイミング点S0の相関値がその前後の点S−nおよびS+nの相関値よりも大きい場合には修正値“0”の条件と、
点S−nより同期タイミング点S0の相関値が大きく、且つ、同期タイミング点S0より点S+nの相関値が大きい場合には修正値“+方向”の条件と、
点S−nより同期タイミング点S0の相関値が小さく、且つ、同期タイミング点S0より点S+nの相関値が小さい場合には修正値“−方向”の条件と、
を記憶したことを特徴とする同期追従回路。 - 請求項6に記載の同期追従回路において、
前記条件テーブルの条件に、
同期タイミング点S0の相関値レベルに対して所定の閾値以上であることの条件を記憶したことを特徴とする同期追従回路。 - 電灯線を伝送路として用いた直行周波数分割多重方式の電灯線搬送装置において、
伝送路を介して到来する受信OFDM信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器と、
該ディジタル化した受信OFDM信号を同期信号に基づく所定のタイミング区間毎にフーリエ変換して直交する複数の搬送波成分を生成するFFT変換部と、
前記FFT変換部へ同期信号を供給する同期信号生成部とを有し、
前記同期信号生成部は、前記請求項4乃至7に記載の何れかの同期追従回路を具備することを特徴とする電灯線搬送装置。
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- 2003-01-17 JP JP2003010234A patent/JP2004222207A/ja active Pending
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