JP2004220751A - 光記録媒体、光記録媒体の膜厚測定方法、膜厚制御方法、製造方法、膜厚測定装置及び膜厚制御装置 - Google Patents

光記録媒体、光記録媒体の膜厚測定方法、膜厚制御方法、製造方法、膜厚測定装置及び膜厚制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板と記録層との間に反射層等が設けられた光記録媒体において、透過法により前記記録層の膜厚を容易に測定できるようにする。
【解決手段】光透過性の基板1と、光学的に情報が記録され得る色素含有記録層5との間に反射層3をそなえ、色素含有記録層5の領域が、反射層3の領域よりも所定領域30a,30bだけ広く形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体、光記録媒体の膜厚測定方法、膜厚制御方法、製造方法、膜厚測定装置及び膜厚制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、CD−R,CD−RW,MO等の各種光記録媒体は、大容量の情報を記憶でき、ランダムアクセスが容易であるために、コンピュータのような情報処理装置における外部記憶装置として広く認知され普及しつつある。さらに取り扱う情報量の増大により、記憶密度を高めることが望まれている。
【0003】
種々の光記録媒体の中でもCD−RやDVD−Rなど、有機色素を含む記録層(色素含有記録層ともいう)を有する光ディスクは比較的安価で、且つ、再生専用の光ディスクとの互換性を有するため、特に広く用いられている。
一例として、有機色素を含む記録層を有する光ディスクとして代表的なCD−Rなどの媒体は、透明ディスク基板上に色素含有記録層と反射層とをこの順に有し、これらの記録層や反射層を覆う保護層を有する積層構造であり、基板を通してレーザ光にて記録・再生を行なうものである。
【0004】
同じく代表的な片面型DVD−Rは、第1の透明ディスク基板上に色素含有記録層、反射層、これらを覆う保護層をこの順に有し、さらに保護層の上に接着層を介して或いは介さずに、第2の透明ディスク基板上に反射層を形成したいわゆるダミーディスクを設けた積層構造であり、第1の透明ディスク基板を通してレーザ光にて記録・再生を行なうものである。ダミーディスクは透明ディスク基板のみであっても良いし、反射層以外の層を設けていても良い。
【0005】
これら光記録媒体の記録容量を更に大容量化するための1つの手段として、1枚の媒体に記録層を複数、例えば2層(デュアルレイヤ)設けることが挙げられる。また、この場合、2つの記録層を片面から記録・再生ができるようにすることが利便性の上で望まれており、例えば図6に示すような光記録媒体が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
すなわち、従来の光記録媒体は図6に示すように、第一の透光性基板5上に、記録用レーザ光の照射により光学的に情報が記録し得る有機色素からなる第一の情報記録層12と、再生用レーザ光の一部を透過し得る半透光性反射膜で構成された反射層13と、前記記録用レーザ光及び再生用レーザ光に対して透光性を有する中間層11と、記録用レーザ光の照射により光学的に情報が記録し得る有機色素からなる第二の情報記録層12′と、再生用レーザ光を反射する第二の反射層13′と、第二の透光性基板5′とがこの順に積層されて構成されている。
【0007】
このような構成により、光記録媒体の片面側から第一の情報記録層12及び第二の情報記録層12′に情報を記録することが可能になり、再生時にも、いわゆるデュアルレイヤタイプの光記録媒体として片面側から信号を読み取ることが可能となっている。
また、このような積層構造を有する光記録媒体の製造方法としては、例えば、第一の透光性基板5上に第一の情報記録層12,第一の反射層13,中間層11,第二の情報記録層12′,第二の反射層13′をこの順に形成し、最後に第二の透光性基板5′を接着することで製造する方法(タイプ1)と、第一の透光性基板5上に第一の情報記録層12,第一の反射層13をこの順に形成して第一の構成物を作製する一方、第二の透光性基板5′上に第二の反射層13′,第二の情報記録層12′をこの順に形成して第二の構成物を作製し、中間層11を介して第一の構成物の第一の反射層13と第2の構成物の第二の情報記録層12′とが対向するように貼り合わせることで製造する方法(タイプ2)とが考えられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−66622号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光記録媒体において良好な特性を得るためには、記録層の膜厚を精密にコントロールすることが重要となる。膜厚を測定する方法は種々知られているが、反射法に比べて簡便且つ安価であるという点から、透過法を用いる場合が多い。
【0010】
透過法は、一般的に、測定対象となる膜に光(例えば赤色レーザ,He−Neレーザ,He−Cdレーザ等。好ましくは可視光)を照射して透過光量を測定し、入射光量と透過光量の比から透過率を導き出し、膜厚を算出する方法である。ただし、透過法であっても、光を入射すると一部は反射するので、媒体の光吸収率が小さい場合には、反射光量を測定することによって、透過光量を間接的に測定することも可能である。
【0011】
例えばCD−Rは、基板/色素含有記録層/反射層により構成されるが、基板上に色素含有記録層を塗布した後、透過法により色素含有記録層の膜厚を測定していた。そして、この膜厚が所望の膜厚になるように、塗布工程にフィードバックをかけていた。これはDVD−Rの膜厚制御でも同様である。
しかしながら、上述したデュアルレイヤの光記録媒体において、例えばタイプ1の製造方法により光記録媒体を製造する場合、第二の情報記録層12′の下層に第一の反射層13が存在しているので、第二の情報記録層12′の膜厚を正確に測定することが困難であった。
【0012】
また、タイプ2の製造方法により光記録媒体を製造する場合には、第二の透光性基板5′と第2の情報記録層12′との間に第二の反射層13′が存在しているので、上記と同様に第二の情報記録層12′の膜厚を正確に測定することが困難であった。
このように、基板と記録層との間に反射層等が設けられた光記録媒体では、記録層の膜厚の測定が正確に行なえないので、この測定情報を塗布工程にフィードバックして次に製造される光記録媒体の記録層の膜厚を制御することが困難であった。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、基板と記録層との間に反射層等が設けられた光記録媒体において、透過法により前記記録層の膜厚を容易に測定できるようにした、光記録媒体、光記録媒体の膜厚測定方法、膜厚制御方法、製造方法、膜厚測定装置及び膜厚制御装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の光記録媒体(請求項1)は、光透過性の基板と、光学的に情報が記録され得る色素含有記録層との間に反射層をそなえ、該色素含有記録層の領域が、該反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されていることを特徴としている。
これにより、反射層に邪魔されることなく色素含有記録層の膜厚を透過法で測定できる。
【0015】
本発明の光記録媒体(請求項2)は、光透過性の第1の基板と、該第1の基板上に、光学的に情報が記録され得る第1の色素含有記録層と、該第1の色素含有記録層上に第1の反射層と、該第1の反射層上に、光学的に情報が記録され得る第2の色素含有記録層と、該第2の色素含有記録層上に第2の反射層とをそなえ、該第2の色素含有記録層の領域が、該第1の色素含有記録層の領域及び該第1の反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されていることを特徴としている。なお、第2の反射層上に接着層を介して第2の基板をそなえてもよい。
これにより、第1の色素含有記録層及び第1の反射層に邪魔されることなく第2の色素含有記録層の膜厚を透過法で測定できる。
【0016】
また、該第1の反射層と該第2の色素含有記録層との間に光透過性の中間層をそなえ、該所定領域において、該第1の基板と該中間層とが直接又は光透過性の層を介して接していることが好ましい(請求項3)。
【0017】
本発明の光記録媒体(請求項4)は、光透過性の第1の基板と、該第1の基板上に、光学的に情報が記録され得る第1の色素含有記録層と、該第1の色素含有記録層上に第1の反射層と、該第1の反射層上に、光学的に情報が記録され得る第2の色素含有記録層と、該第2の色素含有記録層上に第2の反射層とをそなえ、該第2の色素含有記録層の領域が、該第2の反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されていることを特徴としている。
これにより、第2の反射層に邪魔されることなく第2の色素含有記録層の膜厚を透過法で測定できる。
【0018】
また、該第2の反射層上に光透過性の第2の基板をそなえ、該所定領域において、該第2の基板と該第2の色素含有記録層とが直接又は光透過性の層を介して接していることが好ましい(請求項5)。
【0019】
該基板はディスク状であり、該所定領域は、該基板の内周側及び/又は外周側に設けられていることが好ましい(請求項6)。
本発明の光記録媒体の膜厚測定方法(請求項7)は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚測定方法であって、該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定することを特徴としている。
【0020】
本発明の光記録媒体の膜厚制御方法(請求項8)は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚制御方法であって、該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に積層される色素含有記録層の膜厚を制御することを特徴としている。
【0021】
本発明の光記録媒体の製造方法(請求項9)は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法であって、該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御する工程を含んでいることを特徴としている。
【0022】
本発明の光記録媒体の膜厚測定装置(請求項10)は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚測定装置であって、該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定することを特徴としている。
本発明の光記録媒体の膜厚制御装置(請求項11)は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚制御装置であって、該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御することを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では、積層構造の異なる2つのタイプの光記録媒体について説明する。
〔A〕第1実施形態
〔A−1〕光記録媒体の構成
図1は本実施形態に係る光記録媒体(タイプ1)を示す模式的な断面図である。
【0024】
本実施形態に係るタイプ1の光記録媒体は、ディスク状の透明な(光透過性の)第1基板(第1の基板)1上に、色素を含む第1記録層(第1の色素含有記録層)2、半透明の反射層(以下、半透明反射層という。第1の反射層)3、中間樹脂層(中間層)4、色素を含む第2記録層(第2の色素含有記録層)5、反射層(第2の反射層)6、接着層7、第2基板(第2の基板)8をこの順に有してなる。光ビームは第1基板1側から照射され、記録・再生が行われる。
【0025】
なお、本発明において「光透過性(又は透明)」とは、透過法による膜厚測定(これについては後述する)において用いられる光の波長に対する光透過性(λ1光透過性という)と、光記録媒体の記録・再生を行なう際に用いられる光の波長に対する光透過性(λ2光透過性という)との2つの光透過性を意味する。また、上記の膜厚測定光の波長及び記録再生光の波長について50%以上、好ましくは60%以上の透過性があれば実質的に光透過性であるといえる。
【0026】
第1基板1、中間樹脂層4上にはそれぞれ凹凸が形成され、それぞれ記録トラックを構成する。記録トラックは凸部及び凹部のどちらでも良いが、一般には、第1基板1上の記録トラック11は、光の入射方向に対して凸部で構成され、中間樹脂層4上の記録トラック12も、光の入射方向に対して凸部で構成される場合が多い。この他に必要に応じ凹凸ピットを有することもある。特に断らない限り、本発明において凹凸は記録・再生に用いる光の入射方向に対して定義される。
【0027】
次に、各層について説明する。
(1)第1基板1について
第1基板1は、λ1光透過性及びλ2光透過性の両方の光透過性を有している必要があるほか複屈折率が小さいなど光学特性に優れることが望ましい。また射出成形が容易であるなど成形性に優れることが望ましい。さらに、吸湿性が小さいと反り等を低減することができ、望ましい。
【0028】
更に、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。但し第2基板8が十分な形状安定性を備えていれば、第1基板1は形状安定性が大きくなくても良い。
このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。或いは、ガラス等の基体上に、光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も使用できる。
【0029】
なお、光学特性、成形性などの高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性などの点からはポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性などの点からは、ガラス基板が好ましい。
第1基板1は薄い方が好ましく、通常厚さは2mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。対物レンズと記録層の距離が小さく、また、基板が薄いほどコマ収差が小さい傾向があり、記録密度を上げやすい。但し光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るためにはある程度の厚みが必要であり、通常10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上である。
【0030】
本光記録媒体においては、第1記録層2及び第2記録層5の両方に良好に記録再生を行なうために、対物レンズと両記録層との距離を適宜調節することが望ましい。例えば、対物レンズの焦点が両記録層のほぼ中間地点となるようにすると、両記録層にアクセスしやすいので好ましい。
具体的に説明する。片面型DVD−Rシステムにおいては、基板厚さ0.6mmのときに対物レンズと記録層との距離が最適になるよう調節されている。
【0031】
従って本層構成において片面型DVD−R互換の場合は、第1基板1の厚さは、0.6mmから、中間樹脂層4の膜厚の2分の1を減じた厚さであることが最も好ましい。このとき、両記録層のほぼ中間地点が約0.6mmとなり、両記録層にフォーカスサーボがかけやすい。
なお、第2記録層5と半透明反射層3の間にバッファー層や保護層など他の層がある場合は、0.6mmから、それらの層と中間樹脂層4の膜厚の和の2分の1を減じた厚さであることが最も好ましい。
【0032】
第1基板1には凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられ、溝及びランドを形成する。通常、このような溝及び/又はランドを記録トラックとして、第1記録層2に情報が記録・再生される。波長650nmのレーザを開口数0.6から0.65の対物レンズで集光して記録再生が行われるいわゆるDVD−Rディスクの場合、通常、第1記録層2は塗布形成されるので溝部で厚膜となり記録再生に適する。
【0033】
本光記録媒体においては第1基板1の溝部、即ち光の入射方向に対して凸部を記録トラック11とするのが好ましい。ここで、凹部、凸部はそれぞれ光の入射方向に対する凹部、凸部を言う。通常、溝幅は50〜500nm程度であり、溝深さは10〜250nm程度である。また記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは0.1〜2.0μm程度であることが好ましい。この他に必要に応じ、ランドプリピット等の凹凸ピットを有してもよい。
【0034】
このような凹凸を有する基板は、コストの観点から、凹凸を持つスタンパから射出成形により製造するのが好ましい。ガラス等の基体上に光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設ける場合は、樹脂層に記録トラックなどの凹凸を形成してもよい。
【0035】
(2)第1記録層2について
第1記録層2は、通常CD−Rや片面型DVD−R等に用いられる光記録媒体に用いる記録層より高感度である必要がある。本光記録媒体においては、入射した光ビームのパワーが半透明反射層3の存在等で2分され、第1記録層2の記録と第2記録層5の記録とに振り分けられるため、約半分のパワーで記録するために、特に感度が高い必要があるのである。
【0036】
また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素であることが望ましい。
更に、第1記録層2と半透明反射層3との組合せにおいて、光の反射、透過及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。記録感度を高くし、かつ記録時の熱干渉を小さくできる。
【0037】
このような有機色素材料としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ピロメテン系色素、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。
【0038】
上述の各種有機色素の中でも含金属アゾ系色素は、記録感度に優れ、かつ耐久性,耐光性に優れるため好ましい。特に下記一般式(I)又は(II)
【0039】
【化1】
Figure 2004220751
【0040】
(環A及びAは、各々独立に置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環であり、環B及びBは、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環である。Xは、少なくとも2個のフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される化合物が好ましい。
本光記録媒体の記録層に使用される有機色素は、350〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有し、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。通常CD−Rに用いられるような波長770〜830nm程度の近赤外レーザや、DVD−Rに用いられるような波長620〜690nm程度の赤色レーザ、あるいは波長410nmや515nmなどのいわゆるブルーレーザなどでの記録に適する色素がより好ましい。
【0041】
色素は一種でもよいし、同じ種類のものや異なる種類のものを二種以上混合して用いても良い。さらに、上記複数の波長の記録光に対し、各々での記録に適する色素を併用して、複数の波長域でのレーザ光による記録に対応する光記録媒体とすることもできる。
【0042】
また記録層は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
【0043】
さらに本光記録媒体の記録層には、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0044】
記録層の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、十分な変調度を得るためには通常5nm以上が好ましく、より好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。但し、本光記録媒体においては適度に光を透過させるためには厚すぎない必要があるため、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。記録層の膜厚は通常、溝部とランド部で異なるが、本光記録媒体において記録層の膜厚は基板の溝部における膜厚を言う。
【0045】
記録層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等一般に行われている薄膜形成法が挙げられるが、量産性、コスト面からはスピンコート法が好ましい。また厚みの均一な記録層が得られるという点からは、塗布法より真空蒸着法の方が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、加熱あるいは溶媒蒸気にあてる等の処理を行っても良い。
【0046】
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
【0047】
真空蒸着法の場合は、例えば有機色素と、必要に応じて各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−2〜10−5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることにより、記録層を形成する。
【0048】
(3)半透明反射層3について
半透明反射層3は、記録再生光の吸収が小さく、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率がある必要がある。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、半透明反射層3の上層(ここでは中間樹脂層4)の浸み出しにより第1記録層2が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
【0049】
高透過率を確保するために、半透明反射層3の厚さは通常、50nm以下が好適である。より好適には30nm以下である。更に好ましくは20nm以下である。但し、第1記録層2が半透明反射層3の上層により影響されないために、ある程度の厚さが必要であり、通常3nm以上とする。より好ましくは5nm以上とする。
【0050】
半透明反射層3の材料としては、再生光の波長で反射率が適度に高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く半透明反射層3の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。
【0051】
なかでもAgを主成分としているものはコストが安い点、反射率が高い点から特に好ましい。ここで主成分とは含有率が50%以上のものをいう。
半透明反射層3は膜厚が薄く、膜の結晶粒が大きいと再生ノイズの原因となるため、結晶粒が小さい材料を用いるのが好ましい。純銀は結晶粒が大きい傾向があるためAgは合金として用いるのが好ましい。
【0052】
中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1〜15原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1〜15原子%であることが好ましい。
【0053】
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有し、かつ少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNdなどである。
【0054】
半透明反射層3としてはAuのみからなる層は結晶粒が小さく、耐食性に優れ好適である。ただし、Ag合金に比べて高価である。
また、半透明反射層3としてSiからなる層を用いることも可能である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0055】
半透明反射層3を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第1基板1と第1記録層2との間、及び又は、第1記録層2と半透明反射層3との間、に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0056】
(4)中間樹脂層4について
中間樹脂層4は、λ1光透過性及びλ2光透過性の両方の光透過性を有している必要があるほか、凹凸により溝やピットが形成可能である必要がある。また接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。
そして、中間樹脂層4は、第2記録層5にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、中間樹脂層4は通常、樹脂からなるため第2記録層5と相溶しやすく、これを防ぎダメージを抑えるために両層の間に後述のバッファー層を設けることが望ましい。
【0057】
さらに、中間樹脂層4は、半透明反射層3にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に後述のバッファー層を設けることもできる。
【0058】
本光記録媒体において、中間樹脂層4の膜厚は正確に制御することが好ましい。中間樹脂層4の膜厚は、通常5μm以上が好ましい。2層の記録層に別々にフォーカスサーボをかけるためには両記録層の間にある程度の距離がある必要がある。フォーカスサーボ機構にもよるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上が必要である。一般に、対物レンズの開口数が高いほどその距離は小さくてよい傾向がある。但しあまり厚いと2層の記録層にフォーカスサーボを合わせるのに時間を要し、また対物レンズの移動距離も長くなるため好ましくない。また硬化に時間を要し生産性が低下するなどの問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。
【0059】
中間樹脂層4には凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられ、溝及びランドを形成する。通常、このような溝及び/又はランドを記録トラックとして、第2記録層5に情報が記録・再生される。通常、第2記録層5は塗布形成されるので溝部で厚膜となり記録再生に適する。本光記録媒体においては中間樹脂層4の溝部、即ち光の入射方向に対して凸部を記録トラック12とするのが好ましい。ここで、凹部、凸部はそれぞれ光の入射方向に対する凹部、凸部を言う。通常、溝幅は50〜500nm程度であり、溝深さは10〜250nm程度である。また記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは0.1〜2.0μm程度であることが好ましい。この他に必要に応じ、ランドプリピット等の凹凸ピットを有してもよい。
【0060】
このような凹凸は、コストの観点から、凹凸を持つ樹脂スタンパ等から光硬化性樹脂などの硬化性樹脂に転写、硬化させて製造するのが好ましい。以下、このような方法を2P法(Photo Polymerization法)と称することがある。
中間樹脂層4の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。
【0061】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂には様々な種類があり、λ1光透過性及びλ2光透過性を有していればいずれも用いうる。またそれらの材料を単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
【0062】
塗布方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。或いは、粘度の高い樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、生産性を20〜40℃において液状であるものを用いると、溶媒を用いることなく塗布でき好ましい。また、粘度は20〜1000mPa・sとなるように調製するのが好ましい。
【0063】
さて、紫外線硬化性接着剤としては、ラジカル系紫外線硬化性接着剤とカチオン系紫外線硬化性接着剤があるが、いずれも使用可能である。
ラジカル系紫外線硬化性接着剤としては、公知の全ての組成物を用いることができ、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
【0064】
本光記録媒体に使用できる重合性モノマーとしては例えば以下のものが挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとしては例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル,カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル,ジシクロペンタニル,ジシクロペンテニル,ジシクロペンテニロキシエチル等の如き基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0065】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
また、重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等がある。
更に、本光記録媒体に使用する光重合開始剤は、用いる重合性オリゴマーおよび/または重合性モノマーに代表される紫外線硬化性化合物が硬化できる公知のものがいずれも使用できる。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本光記録媒体に好適である。
【0067】
このような例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
【0068】
また光重合開始剤に対する増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
【0069】
また、カチオン系紫外線硬化性接着剤としては公知のすべての組成物を用いることができ、カチオン重合型の光開始剤を含むエポキシ樹脂がこれに該当する。カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩およびジアゾニウム塩等がある。
【0070】
ヨードニウム塩の1例を示すと以下の通りである。ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェード、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0071】
エポキシ樹脂は、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等種々のものがいずれであってもかまわない。
エポキシ樹脂としては、反射層にダメージを与えないよう、遊離したフリーの塩素および塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量が1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
【0072】
カチオン型紫外線硬化性樹脂100重量部当たりのカチオン重合型光開始剤の割合は通常、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.2〜5重量部である。なお、紫外線光源の波長域の近紫外領域や可視領域の波長をより有効に利用するため、公知の光増感剤を併用することができる。この際の光増感剤としては、例えばアントラセン、フェノチアジン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0073】
また、紫外線硬化性接着剤には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
【0074】
(5)第2記録層5について
第2記録層5は、通常CD−Rや片面型DVD−R等に用いられる光記録媒体に用いる記録層より高感度である必要がある。本光記録媒体においては、入射した光ビームのパワーが半透明反射層3の存在等で2分され、第1記録層2の記録と第2記録層5の記録とに振り分けられるため、約半分のパワーで記録するために、特に感度が高い必要があるのである。
【0075】
また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素であることが望ましい。
更に、第2記録層5と反射層6との組合せにおいて、光の反射及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。記録感度を高くし、かつ記録時の熱干渉を小さくできる。
【0076】
第2記録層5の材料、成膜方法等についてはほぼ第1記録層2と同様に説明されるため、異なる点のみ説明する。
第2記録層5の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、十分な変調度を得るためには通常10nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。但し、適度な反射率を得るためには厚すぎない必要があるため、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。
第1記録層2と第2記録層5とに用いる材料は同じでも良いし異なっていてもよい。
【0077】
(6)反射層6について
反射層6は、高反射率である必要がある。また、高耐久性であることが望ましい。
高反射率を確保するために、反射層6の厚さは通常、20nm以上が好適である。より好適には30nm以上である。更に好ましくは50nm以上である。但し、記録感度を上げるためにはある程度薄いことが好ましく、通常400nm以下とする。より好ましくは300nm以下とする。
【0078】
反射層6の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層6の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分として下記のものを含んでいても良い。他成分の例としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を挙げることができる。
【0079】
中でもAgを主成分としているものはコストが安い点、高反射率が出やすい点、更に後で述べる印刷受容層を設ける場合には地色が白く美しいものが得られる点等から特に好ましい。ここで主成分とは含有率が50%以上のものをいう。
反射層6は高耐久性(高耐食性)を確保するため、Agは純銀よりもAgは合金として用いるのが好ましい。
【0080】
中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1〜15原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1〜15原子%であることが好ましい。
【0081】
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有し、かつ少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNdなどである。
【0082】
反射層6としてはAuのみからなる層は高耐久性(高耐食性)が高く好適である。ただし、Ag合金に比べて高価である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層6として用いることも可能である。
反射層6を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、反射層6の上下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0083】
(7)接着層7について
接着層7は、λ1光透過性及びλ2光透過性を有している必要はないが、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。
また、接着層7は反射層6にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に公知の無機系または有機系の保護層を設けることもできる。
【0084】
本光記録媒体において、接着層7の膜厚は、通常2μm以上が好ましい。所定の接着力を得るためにはある程度の膜厚が必要である。より好ましくは5μm以上である。但し光記録媒体をできるだけ薄くするために、また硬化に時間を要し生産性が低下するなどの問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。
接着層7の材料は、中間樹脂層4の材料と同様のものが用いうるほか、感圧式両面テープ等も使用可能である。感圧式両面テープを反射層6と第2基板8との間に挟んで押圧することにより、接着層7を形成できる。
【0085】
(8)第2基板8について
第2基板8は、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。即ち機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。また接着層7との接着性が高いことが望ましい。
上述のように第1基板1が十分な形状安定性を備えていない場合は、第2基板8は特に形状安定性が高い必要がある。この点で吸湿性が小さいことが望ましい。但し第2基板8は透明である必要はない(即ち、λ1光透過性及びλ2光透過性を有している必要はない)。また第2基板8は鏡面基板で良く、凹凸を形成する必要はないので射出成形による転写性は必ずしも良い必要はない。
【0086】
このような材料としては、第1基板1に用いうる材料と同じものが用い得るほか、例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板などを用いることができる。
【0087】
なお、成形性などの高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性などの点からはポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性などの点からは、ガラス基板が好ましい。
光記録媒体に十分な剛性を持たせるために、第2基板8はある程度厚いことが好ましく、厚さは0.3mm以上が好ましい。但し薄いほうが記録再生装置の薄型化に有利であり、好ましくは3mm以下である。より好ましくは1.5mm以下である。
【0088】
第2基板8は凹凸を持たない鏡面基板で良いが、生産しやすさの観点から、射出成型により製造するのが望ましい。
第1基板1と第2基板8の好ましい組合せの一例は、第1基板1と第2基板8とが同一材料からなり、厚さも同一である。剛性が同等でバランスが取れているので、環境変化に対しても媒体として変形しにくく好ましい。この場合、環境が変化したときの変形の程度や方向も両基板で同様であると好ましい。
【0089】
他の好ましい組合せの一例は、第1基板1が0.1mm程度と薄く、第2基板8が1.1mm程度と厚いものである。対物レンズが記録層に近づきやすく記録密度を上げやすいため好ましい。このとき第1基板1はシート状であってもよい。
【0090】
(9)その他の層について
上記積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。具体的には、半透明反射層3と中間樹脂層4との間、中間樹脂層4と第2記録層5との間、反射層6と接着層7との間、などに中間層としてのバッファー層を設けてもよい。
【0091】
バッファー層は2つの層の混和を防止し、相溶を防ぐものである。バッファー層が混和現象を防止する以外の他の機能を兼ねていても良い。また必要に応じてさらに他の中間層を挟んでも良い。
バッファー層の材料は、第2記録層5や中間樹脂層4と相溶せず、かつ、λ1光透過性及びλ2光透過性を有している必要があり、公知の無機物及び有機物が用いうる。特性面からは、好ましくは無機物が用いられる。例えば、(1)金属又は半導体、(2)金属又は半導体の酸化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、フッ化物又は炭化物、もしくは(3)非晶質カーボン、などが用いられる。中でも、λ1光透過性及びλ2光透過性を有する誘電体からなる層や、ごく薄い金属層(合金を含む)が好ましい。
【0092】
具体的には、酸化珪素、特に二酸化珪素や、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化イットリウム等の酸化物;硫化亜鉛、硫化イットリウムなどの硫化物;窒化珪素などの窒化物;炭化珪素;酸化物とイオウとの混合物(酸硫化物);および後述の合金などが好適である。また、酸化珪素と硫化亜鉛との30:70〜90:10程度(重量比)の混合物も好適である。また、イオウと二酸化イットリウムと酸化亜鉛との混合物(YS−ZnO)も好適である。
【0093】
金属や合金としては、銀、又は銀を主成分とし更にチタン、亜鉛、銅、パラジウム、及び金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有するものが好適である。また、銀を主成分とし、少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものも好適である。この希土類としては、ネオジウム、プラセオジウム、セリウム等が好適である。
【0094】
その他、バッファー層作製時に記録層の色素を溶解しないようなものであれば樹脂層でも構わない。特に、真空蒸着やCVD法で作製可能な高分子膜が有用である。
バッファー層の厚さは2nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上である。バッファー層の厚さが過度に薄いと、上記の混和現象の防止が不十分となる虞がある。但し2000nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。バッファー層が過度に厚いと、混和防止には不必要であるばかりでなく、光の透過率を低下させる恐れもある。また無機物からなる層の場合には成膜に時間を要し生産性が低下したり、膜応力が高くなったりする虞があり200nm以下が好ましい。特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、20nm以下程度が好ましい。
【0095】
また、記録層や反射層を保護するために保護層を設けても良い。保護層の材料としては、λ1光透過性及びλ2光透過性を有している必要があるが、記録層や反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等が挙げられる。
【0096】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを塗布、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
【0097】
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本光記録媒体においては、3〜50μmが好ましい。
【0098】
更に、上記光記録媒体には、必要に応じて、記録・再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。
或いは、本層構成の光記録媒体を2枚、第1基板1を外側にして貼合わせて、記録層を4層有する、より大容量媒体とすることもできる。
【0099】
〔A−2〕光記録媒体の製造方法
次に、本実施形態に係るタイプ1の光記録媒体の製造方法について図2を用いて説明する。なお、図2は本製造方法を説明するための工程図である。
まず、図2(a)に示すように、表面に凹凸で溝及びランド、プリピットが形成された第1基板1を、スタンパをもとに射出成形または2P法等により作製する。
【0100】
次に、図2(b)に示すように、少なくとも有機色素を溶媒に溶解させた塗布液を第1基板1の凹凸を有する側の表面にスピンコート等により塗布し、第1記録層2を成膜する。なお、このとき、図2(b)に示すようにディスク(第1基板1)の内周側に第1記録層2を形成しない所定領域30aを設けるようにする。また、この所定領域30aの幅Wを、第1基板1の内周端部から例えば0.1mm〜5mm、好ましくは1mm程度で形成するのが良い。
【0101】
この後、図2(c)に示すように、第1基板1の外周側を洗浄して第1記録層2を除去し、第1基板1が露出する所定領域30bを形成する。また、このときの所定領域30bの幅Wを、上記の領域30aと同様に、第1基板1の外周端部から例えば0.1mm〜5mm、好ましくは1mm程度で形成するのが良い。この所定領域30a,30bは、後述する膜厚測定時において第2記録層5の膜厚を容易に測定できるようにする目的で形成されている。
【0102】
第1記録層2を成膜した後、図2(d)に示すように、第1基板1の内周側の領域30a及び外周側の領域30bにマスクを被せ、Ag合金などをスパッタまたは蒸着することにより、第1記録層2上に半透明反射層3を成膜する。
その後、図2(e)に示すように、所定領域30a,30bを含む第1基板1の表面全体に紫外線硬化性樹脂等をスピンコート等により塗布する。このとき、紫外線硬化性樹脂(後に中間樹脂層4となる)は、第1基板1の所定領域30a,30bにおいて第1基板1と直接接する。
【0103】
次に、型を用いて紫外線硬化性樹脂の表面に凹凸を形成する。型としては、生産性、コストなどの観点から、図2(f)に示すように、樹脂からなるスタンパ15を用いるのが好ましい。
樹脂スタンパ15は中間樹脂層4となるべき樹脂に対して十分な剥離性を有していれば良い。透明である必要はないが、成形性が良く、形状安定性が良いことが望ましい。生産性及びコストの観点から、望ましくは、樹脂スタンパ15は複数回の転写に使用可能であるのが望ましい。また、使用後のリサイクルが可能であることが望ましい。
【0104】
樹脂スタンパ15は、図2(f)に示すように樹脂基板16上に1層以上のセパレート層17を有しても良いし、樹脂基板16のみから構成してもよいが、後者のほうが生産性やコストの観点から好ましい。
まず、上述の樹脂スタンパ15とは凹凸が逆(ネガ)の金属製スタンパを用い、射出成形や2P法等により樹脂基板16を作製する。
【0105】
樹脂基板16は透明である必要はないが、成形性が良く、形状安定性が良いことが望ましい。このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるものが挙げられる。
【0106】
また、樹脂基板16の厚さは、形状安定性及びハンドリングの容易さの点で、0.5mm以上とするのが望ましい。厚さの上限は特にないが、通常、3mm以下で十分である。
樹脂スタンパ15が樹脂基板16上に1層以上のセパレート層17を有する構成であれば、樹脂基板16はセパレート層17との密着性が高い樹脂である必要があり、その他成形性などの高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性などの点からポリカーボネートが好ましい。
【0107】
セパレート層17は中間樹脂層4を構成する樹脂との密着性が低く剥離性が高いことが望ましい。また、成膜されたときに樹脂基板16の凹凸を忠実に反映した凹凸が形成されることが望ましい。
セパレート層17の材料としては、中間樹脂層4の樹脂との剥離性の点から金属または合金が好ましく、通常、Ag、Au、Cu、Pt及びPdから選ばれる金属またはそれらの合金が用いられる。
【0108】
セパレート層17の厚さは、中間樹脂層4からの剥離性を確保するためにはある程度の膜厚が必要で、2nm以上とするのが好ましい。一方、基板の凹凸を忠実に反映するためには厚すぎないことが望ましく、通常、200nm以下が好ましい。
樹脂スタンパ15が樹脂基板16のみからなる構成であれば、樹脂基板16は中間樹脂層4を構成する樹脂との密着性が低く剥離性が高いことが望ましい。その他成形性などの高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性などの点から非晶質ポリオレフィンが好ましい。
【0109】
したがって、第1基板1上に紫外線硬化性樹脂等をスピンコート等により塗布した後、上述したような樹脂スタンパ15を載置し、紫外線硬化性樹脂に凹凸を転写する。このとき、紫外線硬化性樹脂の膜厚が所定範囲になるように調節しつつ行なう。
そして、この状態で第1基板1側から紫外線を照射するなどして紫外線硬化性樹脂を硬化させ、十分硬化したところで樹脂スタンパ15を剥離し、図2(g)に示すように、表面に凹凸を有する中間樹脂層4を形成する。或いは紫外線を媒体の側面から照射することもできる。いずれにせよ、この紫外線により第1記録層1がダメージを受けないようにする必要がある。
【0110】
続いて、図2(h)に示すように、少なくとも有機色素を溶媒に溶解させた塗布液をスピンコート等により中間樹脂層4表面(即ち、第1記録層2及び半透明反射層3の領域よりも所定領域だけ広い領域)に塗布し、第2記録層5を成膜する。
そして、図2(i)に示すように、Ag合金などをスパッタ、蒸着することにより第2記録層5上に反射層6を成膜する。
【0111】
その後、図2(j)に示すように、ポリカーボネートを射出成形して得られた第2基板8としての鏡面基板を、接着層7を介して反射層6に貼り合わせる。これにより、光記録媒体の製造が完了する。
なお、接着層7は、不透明でも、表面が多少粗くてもよく、遅延硬化型の接着剤を問題なく使用できる。反射層6上に接着剤をスクリーン印刷等で塗布し、紫外線を照射してから第2基板8を載置し押圧して接着層7を形成できる。或いは、反射層6と第2基板8との間に感圧式両面テープを挟んで押圧することにより、接着層7を形成することもできる。
【0112】
〔A−3〕光記録媒体の膜厚測定方法及び膜厚制御方法
本実施形態に係るタイプ1の光記録媒体では、公知の透過法を用いて第1記録層2及び第2記録層5の膜厚を測定することができる。良質な特性を有する光記録媒体を製造するにあたって、第1記録層2及び第2記録層5の膜厚制御をより正確に行なうことが重要である。
【0113】
第1記録層2については、図2(b)に示すように第1基板1上に第1記録層2を成膜した後に、第1記録層2上面側から或いは第1基板1下面側から光(例えば赤色レーザ,He−Neレーザ,He−Cdレーザ等。好ましくは可視光)を照射してその透過率の測定を行なえば、第1記録層2の上下側に反射層等の透過率の低い層がなんら存在しないので第1記録層2の膜厚を容易に測定することができる。
【0114】
また、第2記録層5については、図2(h)に示すように中間樹脂層4上に第2記録層5を成膜した後に、第2記録層5上面側から或いは第1基板1下面側から光を照射してその透過率の測定を行なうことにより膜厚を測定できるが、このとき、光を図2(h)に示す矢印の位置、即ち、所定領域30a又は/及び30bに照射する。この所定領域30a,30bの範囲では、第2記録層5の下層に、λ1光透過性を有する中間樹脂層4及び第1基板1のみ存在し、反射層等の透過率の低い層はなんら存在しないので、第2記録層5の膜厚も容易に測定することが可能である。
【0115】
このように、第2記録層5の領域が、第1記録層2の領域及び半透明反射層3の領域よりも所定領域だけ広く形成されることで、第1記録層2及び半透明反射層3に邪魔されることなく第2記録層5の膜厚を透過法で測定できる。
なお、所定領域30a,30bにおいて、中間樹脂層4と第1基板1との間、或いは第2記録層5と中間樹脂層4との間にバッファー層や保護層が存在していても、これらバッファー層や保護層はλ1光透過性を有しているので、上記と同様に第2記録層5の膜厚を容易に測定することが可能である。
【0116】
また、第1基板1の直径方向において複数点の膜厚測定を行なうことで、より正確な膜厚を求めることが可能となる。
なお、本実施形態では、第1基板1の内周側及び外周側の両方に所定領域を設けるように構成したが、内周側のみ或いは外周側のみに設けるように構成しても良い。
【0117】
また、上記の膜厚測定は、本光記録媒体を製造する製造装置内(即ち製造過程)において図示省略の膜厚測定装置により自動的に行なわれ、このとき測定された膜厚情報は、第1記録層2及び第2記録層5の膜厚を制御する膜厚制御装置(図示省略)にフィードバックされるようになっている。
【0118】
つまり、例えば膜厚測定装置により第1記録層2の膜厚が測定されると、この膜厚情報が膜厚制御装置に送信され、膜厚制御装置では、この膜厚情報に基づいて、第1記録層2形成用の塗布液の塗布量(または濃度)、温度、湿度、塗布液を塗布する時間、塗布液を塗布する際の第1基板1の回転数、第1基板1が最高回転数に到達するまでの時間等が調節されて、次のディスクの第1記録層2の膜厚が適切な膜厚になるように制御される。また、次のディスクの第2記録層5の膜厚制御も第1記録層2の膜厚制御と同様にして行なうことができる。もちろん、第1記録層2の膜厚情報に基づいて、第1記録層2よりも上側に積層される第2記録層5の膜厚を制御したり、また、3つ以上の複数の記録層を有する光記録媒体であって第2記録層5のさらに上側に記録層が積層される場合には、その記録層の膜厚を制御したりすることも可能である。
【0119】
〔B〕第2実施形態
〔B−1〕光記録媒体の構成
図3は本実施形態に係る光記録媒体(タイプ2)を示す模式的な断面図である。
本実施形態に係るタイプ2の光記録媒体は、ディスク状の透明な(光透過性の)第1基板(第1の基板)21上に、色素を含む第1記録層(第1の色素含有記録層)22、半透明の反射層(以下、半透明反射層という。第1の反射層)23、透明接着層24、バッファー層28、色素を含む第2記録層(第2の色素含有記録層)25、反射層(第2の反射層)26、ディスク状の透明な第2基板(第2の基板)27をこの順に有してなる。光ビームは第1基板21側から照射され、記録・再生が行われる。
【0120】
なお、本発明において「光透過性(又は透明)」とは、透過法による膜厚測定(これについては後述する)において用いられる光の波長に対する光透過性(λ1光透過性という)と、光記録媒体の記録・再生を行なう際に用いられる光の波長に対する光透過性(λ2光透過性という)との2つの光透過性を意味する。また、上記の膜厚測定光の波長及び記録再生光の波長について50%以上、好ましくは60%以上の透過性があれば実質的に光透過性であるといえる。
【0121】
第1基板21、第2基板27上にはそれぞれ凹凸が形成され、それぞれ記録トラックを構成する。記録トラックは凸部及び凹部のどちらでも良いが、第1基板21上の記録トラック31は、光の入射方向に対して凸部で構成されるのが好ましく、第2基板27上の記録トラック32は、光の入射方向に対して凹部で構成されるのが好ましい。この他に必要に応じ凹凸ピットを有することもある。特に断らない限り、本実施形態において凹凸は記録・再生に用いる光の入射方向に対して定義される。
【0122】
次に、各層について説明する。
本実施形態に係る第1基板21,第1記録層22,半透明反射層23,第2記録層25,反射層26はそれぞれ、第1実施形態に係る第1基板1,第1記録層2,半透明反射層3,第2記録層5,反射層6と略同様の構成である。
また、中間層としての透明接着層24は、少なくともλ2光透過性を有している必要がある。そして、凹凸により溝やピットを形成する必要がないという以外は、第1実施形態における中間樹脂層4の構成と略同様の構成である。なお、本光記録媒体では、上記の溝やピットは後述する第2基板27に形成されている。
【0123】
さらに、中間層としてのバッファー層28は、第1実施形態において説明したバッファー層と略同様の構成である。なお、このバッファー層は必要に応じて形成するようにしても良い。
第2基板27は、少なくともλ1光透過性を有している必要があるほか、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。即ち機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。
【0124】
このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。
【0125】
第2基板27には、凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられ、溝及びランドを形成する。通常、このような溝及び/又はランドを記録トラックとして、第2記録層25に情報が記録・再生される。通常、第2記録層25は塗布形成されるので溝部で厚膜となり記録再生に適する。本光記録媒体においては第2基板27の溝部、即ち光の入射方向に対して凹部を記録トラック32とするのが好ましい。ここで、凹部、凸部はそれぞれ光の入射方向に対する凹部、凸部を言う。通常、溝幅は50〜500nm程度であり、溝深さは10〜250nm程度である。また記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは0.1〜2.0μm程度であることが好ましい。この他に必要に応じ、ランドプリピット等の凹凸ピットを有してもよい。
このような凹凸を有する第2基板27は、コストの観点から、凹凸を持つスタンパから樹脂を用いて射出成形により製造するのが好ましい。ガラス等の基体上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設ける場合は、樹脂層に記録トラックなどの凹凸を形成してもよい。
また、記録層や反射層を保護するために、第1実施形態で説明した保護層を設けても良い。保護層の材料としては、λ1光透過性及びλ2光透過性を有している必要があるが、記録層や反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。
【0126】
〔B−2〕光記録媒体の製造方法
次に、本実施形態に係るタイプ2の光記録媒体の製造方法について図4を用いて説明する。なお、図4は本製造方法を説明するための工程図である。
本光記録媒体は、第1基板21上に、色素を含む第1記録層22,半透明反射層23をこの順に有する積層構造(第1の構成物)Aを作製し、また、第2基板27上に反射層26,色素を含む第2記録層25,バッファー層28をこの順に有する積層構造(第2の構成物)Bを作製した後、両積層構造A,Bを、互いに記録層22,25が内側にくるように(対向するように)して透明接着層24を介して貼り合わせることで製造される。
【0127】
まず、図4(a)に示すように、表面に凹凸で溝及びランド、プリピットが形成された第1基板21を、射出成形または2P法等により作製する。
次に、図4(b)に示すように、少なくとも有機色素を溶媒に溶解させた塗布液を第1基板21の凹凸を有する側の表面にスピンコート等により塗布し、第1記録層22を成膜する。
【0128】
第1記録層22を形成した後、図4(c)に示すように、Ag合金などをスパッタまたは蒸着することにより、第1記録層22上に半透明反射層23を成膜し、積層構造Aとする。
一方、図4(d)に示すように、表面に凹凸で溝及びランド、ピットが形成された第2基板27を、射出成形または2P法等により作製する。
【0129】
そして、図4(e)に示すように、第2基板27の凹凸を有する側の表面に、Ag合金などをスパッタ又は蒸着することにより反射層26を成膜する。なお、このとき、図4(e)に示すようにディスク(第2基板27)の内周側及び外周側にマスクなどを被せて反射層26を形成しない所定領域40a,40bを設けるようにする。また、この所定領域40aの幅W10を、第2基板27の内周端部から例えば0.1mm〜5mm、好ましくは1mm程度で形成するのが良く、所定領域40bの幅W20を、第2基板27の外周端部から例えば0.1mm〜5mm、好ましくは1mm程度で形成するのが良い。この所定領域40a,40bは、後述する膜厚測定時において第2記録層5の膜厚を容易に測定できるようにする目的で形成されている。
【0130】
反射層26を成膜した後、図4(f)に示すように、反射層26の領域よりも広い領域に、少なくとも有機色素を溶媒に溶解させた塗布液をスピンコート等により塗布し、第2記録層25を成膜する。このとき、第2記録層25は、第2基板27の所定領域40a,40bにおいて第2基板27と直接接する。
次いで、図4(g)に示すように、誘電体などをスパッタすることによりバッファー層28を成膜し、積層構造Bとする。
【0131】
そして、図4(h)に示すように、積層構造A上に透明接着層24となる紫外線硬化性樹脂等の接着剤を塗布したのち積層構造Bを載置し、高速回転、押圧等により接着剤を全面に広げる。このとき、透明接着層24の膜厚が所定範囲になるように調節しつつ行なう。その後、第1基板21下面側から半透明反射層23を介して紫外線を照射し、硬化接着させることでタイプ2の光記録媒体を製造できる。或いは紫外線を媒体の側面から照射することもできる。いずれにせよ、この紫外線により第1記録層22がダメージを受けないように注意が必要である。
【0132】
また、積層構造A,B間に感圧式両面テープを挟んで押圧することにより、接着層を形成することもできる。或いは、遅延硬化型の接着剤を使用し、積層構造A上に接着剤をスクリーン印刷等で塗布し紫外線を照射してから積層構造Bを載置し押圧しても接着層を形成できる。但し、遅延硬化型接着剤は通常、不透明である場合が多い。
【0133】
〔B−3〕光記録媒体の膜厚測定方法及び膜厚制御方法
本実施形態に係るタイプ2の光記録媒体では、第1実施形態と同様に、公知の透過法を用いて第1記録層22及び第2記録層25の膜厚を測定することができる。
第1記録層22については、図4(b)に示すように第1基板21上に第1記録層22を成膜した後に、第1記録層22上面側から或いは第1基板21下面側から光(例えば赤色レーザ,He−Neレーザ,He−Cdレーザ等。好ましくは可視光)を照射して第1記録層22の透過率測定を行なえば、第1記録層22の上下側に反射層等の透過率の低い層がなんら存在しないので第1記録層22の膜厚を容易に測定することができる。
【0134】
また、第2記録層25については、図4(f)に示すように反射層26上に第2記録層25を成膜した後に、第2記録層25上面側から或いは第2基板27下面側から光を照射して第2記録層25の透過率測定を行なうことにより膜厚を測定できるが、このとき、光を図4(f)に示す矢印の位置、即ち、所定領域40a又は/及び40bに照射する。この所定領域40a,40bの範囲では、図4(f)に示す第2記録層25の下層にはλ1光透過性を有する第2基板27のみ存在し、反射層等の透過率の低い層はなんら存在しないので、第2記録層25の膜厚を容易に測定することが可能である。
【0135】
このように、第2記録層25の領域が、第2反射層26の領域よりも所定領域だけ広く形成されることで、第2反射層26に邪魔されることなく第2記録層26の膜厚を透過法で測定できる。
なお、所定領域40a,40bにおいて、第2基板27と第2記録層25との間にバッファー層や保護層が存在していても、これらバッファー層や保護層はλ1光透過性を有しているので、上記と同様に第2記録層25の膜厚を容易に測定することが可能である。
【0136】
また、第2基板27の直径方向において複数点の膜厚測定を行なうことで、より正確な膜厚を求めることが可能となる。
なお、本実施形態では、第2基板27の内周側及び外周側の両方に所定領域を設けるように構成したが、内周側のみ或いは外周側のみに設けるように構成しても良い。
【0137】
また、上記の膜厚測定は、本光記録媒体を製造する製造装置内(即ち製造過程)において図示省略の膜厚測定装置により自動的に行なわれ、このとき測定された膜厚情報は、第1記録層22及び第2記録層25の膜厚を制御する膜厚制御装置(図示省略)にフィードバックされるようになっている。
つまり、例えば膜厚測定装置により第1記録層22の膜厚が測定されると、この膜厚情報が膜厚制御装置に送信され、膜厚制御装置では、この膜厚情報に基づいて、第1記録層22形成用の塗布液の塗布量(または濃度)、温度、湿度、塗布液を塗布する時間、塗布液を塗布する際の第1基板21の回転数、第1基板21が最高回転数に到達するまでの時間等が調節されて、次のディスクの第1記録層22の膜厚が適切な膜厚になるように制御される。また、次のディスクの第2記録層25の膜厚制御も第1記録層22の膜厚制御と同様にして行なうことができる。
【0138】
〔C〕その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0139】
例えば、第1,2実施形態では、2つの記録層を有する光記録媒体について説明したが、光記録媒体が3つ以上の複数の記録層を有していても良い。この場合、第1実施形態に係るタイプ1の光記録媒体の製造方法により製造することが好ましい。例えば図5に示すように、第1実施形態に係る光記録媒体の第2記録層5と反射層6との間に半透明反射層3′,中間樹脂層4′,第3記録層5′を介装した積層構造とする。また、第2記録層5の膜厚測定のための所定領域30a,30bを設けるとともに、第3記録層5′の膜厚測定のための所定領域30a′,30b′を設けるようにする。このとき、所定領域30a′,30b′の幅がそれぞれ所定領域30a,30bの幅よりも小さくなるように形成することで、第3記録層5′の膜厚を容易に測定することができる。このように、3つ以上の複数の記録層を有する光記録媒体でも、上記のように所定領域を設けることで、透過法により各記録層の膜厚を製造過程において容易に測定することが可能となる。
【0140】
また、第1,2実施形態では、基板側からレーザ光を照射して情報の記録・再生を行なう基板入射型光ディスクについて説明したが、基板/反射層/記録層/保護層からなる積層構造を有し、保護層側(即ち、膜面側)からレーザ光を照射して情報の記録・再生を行なう膜面入射型光ディスクにおいても適用できる。
【0141】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の光記録媒体によれば、光透過性の基板と色素含有記録層との間に反射層が設けられた積層構造であっても、色素含有記録層の領域が反射層の領域よりも所定領域だけ広い領域に形成されているので、この所定領域において透過法により色素含有記録層の膜厚を容易に測定することができる。
【0142】
請求項2記載の本発明の光記録媒体によれば、第2の色素含有記録層の領域が、第1の色素含有記録層の領域及び第1の反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されているので、この所定領域において透過法により第2の色素含有記録層の膜厚を容易に測定することができる。
請求項3記載の本発明の光記録媒体によれば、所定領域において、第1の基板と中間層とが直接又は光透過性の層を介して接しているので、この所定領域において、透過法により第2の色素含有記録層の膜厚を容易に測定することができる。
【0143】
請求項4記載の本発明の光記録媒体によれば、第2の色素含有記録層の領域が、第2の反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されているので、この所定領域において透過法により第2の色素含有記録層の膜厚を容易に測定することができる。
請求項5記載の本発明の光記録媒体によれば、所定領域において、第2の基板と第2の色素含有記録層とが直接又は光透過性の層を介して接しているので、この所定領域において、透過法により第2の色素含有記録層の膜厚を容易に測定することができる。
【0144】
請求項6記載の本発明の光記録媒体によれば、所定領域が、基板の内周側及び/又は外周側に設けられているので、直径方向において複数点の膜厚測定を行なうことで、より正確な膜厚を求めることが可能である。
請求項7記載の本発明の光記録媒体の膜厚測定方法によれば、所定領域において、透過法により色素含有記録層の膜厚を容易に測定できる。
【0145】
請求項8記載の本発明の光記録媒体の膜厚制御方法によれば、所定領域において透過法により色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御するので、より正確な膜厚制御が可能である。
請求項9記載の本発明の光記録媒体の製造方法によれば、所定領域において透過法により色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御する工程を含んでいるので、より正確な膜厚制御が可能であり、良質な特性を有する光記録媒体を製造することができる。
【0146】
請求項10記載の本発明の光記録媒体の膜厚測定装置によれば、所定領域において透過法により色素含有記録層の膜厚を容易に測定できる。
請求項11記載の本発明の光記録媒体の膜厚制御装置によれば、所定領域において透過法により色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御するので、より正確な膜厚制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての光記録媒体(タイプ1)を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての光記録媒体(タイプ1)の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の第2実施形態としての光記録媒体(タイプ2)を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態としての光記録媒体(タイプ2)の製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての光記録媒体(タイプ1)の変形例を示す模式図である。
【図6】従来の光記録媒体の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1,21 第1基板(第1の基板)
2,22 第1記録層(第1の色素含有記録層)
3,23 半透明反射層(第1の反射層)
4 中間樹脂層(中間層)
5,25 第2記録層(第2の色素含有記録層)
6,26 反射層(第2の反射層)
7 接着層
8,27 第2基板(第2の基板)
28 バッファー層(中間層)
11,12,31 凸部からなる記録トラック
24 透明接着層(中間層)
32 凹部からなる記録トラック
30a,30b,30a′,30b′,40a,40b 所定領域

Claims (11)

  1. 光透過性の基板と、光学的に情報が記録され得る色素含有記録層との間に反射層をそなえ、
    該色素含有記録層の領域が、該反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されている
    ことを特徴とする、光記録媒体。
  2. 光透過性の第1の基板と、
    該第1の基板上に、光学的に情報が記録され得る第1の色素含有記録層と、
    該第1の色素含有記録層上に第1の反射層と、
    該第1の反射層上に、光学的に情報が記録され得る第2の色素含有記録層と、
    該第2の色素含有記録層上に第2の反射層とをそなえ、
    該第2の色素含有記録層の領域が、該第1の色素含有記録層の領域及び該第1の反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されている
    ことを特徴とする、光記録媒体。
  3. 該第1の反射層と該第2の色素含有記録層との間に光透過性の中間層をそなえ、
    該所定領域において、該第1の基板と該中間層とが直接又は光透過性の層を介して接している
    ことを特徴とする、請求項2記載の光記録媒体。
  4. 光透過性の第1の基板と、
    該第1の基板上に、光学的に情報が記録され得る第1の色素含有記録層と、
    該第1の色素含有記録層上に第1の反射層と、
    該第1の反射層上に、光学的に情報が記録され得る第2の色素含有記録層と、
    該第2の色素含有記録層上に第2の反射層とをそなえ、
    該第2の色素含有記録層の領域が、該第2の反射層の領域よりも所定領域だけ広く形成されている
    ことを特徴とする、光記録媒体。
  5. 該第2の反射層上に光透過性の第2の基板をそなえ、
    該所定領域において、該第2の基板と該第2の色素含有記録層とが直接又は光透過性の層を介して接している
    ことを特徴とする、請求項4記載の光記録媒体。
  6. 該基板はディスク状であり、該所定領域は、該基板の内周側及び/又は外周側に設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚測定方法であって、
    該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定する
    ことを特徴とする、光記録媒体の膜厚測定方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚制御方法であって、
    該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に積層される色素含有記録層の膜厚を制御する
    ことを特徴とする、光記録媒体の膜厚制御方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法であって、
    該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御する工程を含んでいる
    ことを特徴とする、光記録媒体の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚測定装置であって、
    該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定する
    ことを特徴とする、光記録媒体の膜厚測定装置。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体の膜厚制御装置であって、
    該色素含有記録層が形成された後、透過法により該所定領域における該色素含有記録層の膜厚を測定し、この膜厚測定情報に基づいて、その後に形成される色素含有記録層の膜厚を制御する
    ことを特徴とする、光記録媒体の膜厚制御装置。
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