JP2004219978A - 遮光性感光性樹脂組成物及びそれを用いて形成した遮光性樹脂硬化体 - Google Patents

遮光性感光性樹脂組成物及びそれを用いて形成した遮光性樹脂硬化体 Download PDF

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和典 伊藤
Naoyuki Kitaoka
直幸 北岡
Tomohiro Nabeta
智宏 鍋田
Tamano Hirasawa
玉乃 平澤
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Abstract

【課題】 非常に高い絶縁性を有し、且つ、チタンブラックの濃度が高い場合及びチタンブラックの粒子径が微細な場合であっても、良好な流動性や分散安定性、パターン形成能を有する遮光性感光性樹脂組成物、及び、これを用いて形成することができる、平滑で高絶縁性、高遮光性を有するブラックマトリックス等に好適な遮光性樹脂硬化体を提供する。
【解決手段】 チタンブラック表面を、分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を有し、カルボジイミド当量が100〜50000のカルボジイミド化合物によって処理してなる処理チタンブラック、及び、感光性樹脂組成物を含有する遮光性感光性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特に液晶用カラーフィルターのブラックマトリックス形成材料として好適に用いられる処理チタンブラックを含有する遮光性感光性樹脂組成物、及び、それを用いて形成した遮光性樹脂硬化体に関する。
液晶表示素子等の表示材料に用いられるカラーフィルターにおいて、コントラスト向上のために赤、緑、青の着色パターンの間隙にブラックマトリックスと呼ばれる黒色画素が形成される。ブラックマトリックスは、従来、クロム蒸着法により形成するのが一般的であったが、工程の煩雑さ、高コスト、高反射率やクロムの環境に対する悪影響等の問題から、近年、黒色感光性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィーによりブラックマトリックスを形成する手法が提案されている。
このようなブラックマトリックス形成用材料には、一般に顔料等の遮光材を分散した遮光性感光性樹脂組成物が用いられる。遮光材には、カーボンブラック、チタンブラック、その他有機顔料混色系が使用されており、中でも遮光性の点からカーボンブラックが主流である。
しかしながら、カーボンブラックは導電性を有するため、カラーフィルター側にも高い絶縁性が必要とされる場合には、ブラックマトリックスに適用すると液晶駆動時に不具合を生じることがある。カラーフィルター側にも高絶縁性が必要な用途としては、例えばTFTアレイ基板上にカラーフィルターを形成するカラーフィルターオンアレイ(COA)や、基板に対して平行に電界を印加して液晶を表示するインプレーンスイッチング(IPS)方式、また基板のギャップを保持するためのスペーサーを兼ねたブラックマトリックス等が挙げられる。
導電性を有するカーボンブラックを絶縁性が必要とされる用途に用いることができるようにするために、表面を絶縁性物質で処理したカーボンブラックを用いた樹脂ブラックマトリックスが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、表面絶縁処理カーボンブラックを用いた場合であっても、遮光性を上げるために樹脂組成物中の表面絶縁処理カーボンブラックの添加量を増やすと絶縁性が低下してしまう傾向がある。
一方、チタンブラックは、絶縁性、耐熱性及び耐光性においても優れた材料であり、特に高絶縁性が要求される樹脂ブラックマトリックスに用いる研究がなされている。
しかしながら、チタンブラックは、一次粒子径がサブミクロン以下の微粒子であって、粒子間の凝集力が強く、他の物質、例えば、水、有機溶剤又は有機高分子といったものとの親和力が弱く、二次凝集が生じやすい。従って、各種組成物に、チタンブラックを含有させたものは、チタンブラックをいかに均一に安定的に分散させるかが問題となっていた。
これらの問題点を解決するために、チタンブラックを高分子化合物で被覆処理して、液状の媒体との親和力を高めることにより、チタンブラックを均一に分散させる方法が検討されている。
例えば、シラン化合物で表面処理したチタンブラックを使用することにより分散安定性を改良しようとする方法(例えば、特許文献2参照。)が、また、絶縁性物質により表面が被覆されたチタンブラックと(メタ)アクリル系ポリマー溶液からなる混合液を、ベッセル内部に複数の粒状メディアを配してなる攪拌装置に入れ分散処理することにより分散安定性を改良しようとする方法(例えば、特許文献3参照。)が検討されている。
これらの方法により、ある程度、分散性が改良され、高い絶縁性を有するブラックマトリックスが得られることが可能となってはいるが、より高い遮光性を目的としてチタンブラックの濃度を高くした場合、及び、より高い塗工性を目的としてチタンブラックの粒子径を微細にした場合における分散性については未だ充分なものではなかった。
また、チタンブラック分散液と感光性樹脂組成物とを混合して遮光性感光性樹脂組成物とする際、上記感光性樹脂組成物のpHや極性等の作用によりチタンブラックの分散状態が不安定化し、凝集・沈降が発生する場合がある。さらには、チタンブラック分散液と感光性樹脂組成物との相互溶解性が低いと、皮膜形成能不足、現像不良等により良好なパターンが得られないという問題も発生する。
そのため、分散系が破壊されることなく、かつ良好なパターン形成能を有した安定なチタンブラック分散体及び遮光性感光性樹脂組成物の開発が望まれていた。
特開平9−26571号公報 特開平9−54431号公報 特開平2001−181512号公報
本発明は、従来技術の問題点に鑑み、非常に高い絶縁性を有し、且つ、チタンブラックの濃度が高い場合及びチタンブラックの粒子径が微細な場合であっても、良好な流動性や分散安定性、パターン形成能を有する遮光性感光性樹脂組成物、及び、これを用いて形成することができる、平滑で高絶縁性、高遮光性を有するブラックマトリックス等に好適な遮光性樹脂硬化体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、1)未処理のチタンブラック、2)絶縁性化合物で被覆処理され、且つその被覆表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するチタンブラックのどちらでも、分子内にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物で処理することにより、チタンブラック含有濃度が高い場合やチタンブラックの粒子径が微細な場合であっても流動性、分散安定性が良好なチタンブラックの分散体が得られること、また、この処理チタンブラックを用いた遮光性感光性樹脂組成物は、分散安定性、パターン形成能に優れ、且つこの遮光性感光性樹脂組成物から得られる遮光性樹脂硬化体は、平滑で遮光性が高く、更に高絶縁性を有し、特にブラックマトリックス、その他、遮光性を必要とする樹脂硬化体に好適に用いることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、(1)チタンブラック表面を、分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を有し、カルボジイミド当量が100〜50000のカルボジイミド化合物によって処理してなる処理チタンブラック、及び、感光性樹脂組成物を含有する遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、(2)上記チタンブラックは、表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するものである上記(1)項記載の遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、(3)上記カルボジイミド基と反応する官能基は、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である上記(2)項に記載の遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、(4)上記チタンブラックは、絶縁性化合物で被覆処理され、且つその被覆表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するものである上記(2)項又は(3)項記載の遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、(5)上記絶縁性化合物は、シリカ、シラン化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種のものである上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、(6)上記カルボジイミド化合物は、分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1つの側鎖を有するものである上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明はまた、(7)上記カルボジイミド化合物は、上記側鎖がカルボジイミド基との反応により分子内に導入されてなるものである上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の遮光性感光性樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、(8)上記(1)〜(7)項のいずれかに記載の遮光性感光性樹脂組成物を用いて形成したものである遮光性樹脂硬化体に関する。
本発明は、そして、(9)ブラックマトリックスである上記(8)記載の遮光性樹脂硬化体に関する。
以下、本発明の処理チタンブラックを用いた遮光性感光性樹脂組成物について詳細に説明する。ここでいう遮光性感光性樹脂組成物とは、本発明に用いられる処理チタンブラックを含有した感光性樹脂組成物のことである。
本発明に用いられる処理チタンブラックは、チタンブラック、好ましくは、表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するチタンブラックを、分子内にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(以下、単に「カルボジイミド化合物」ということがある。)で処理してなるものである。
上記処理チタンブラックは、分散媒体等を含むチタンブラックの分散体の形態であってもよく、分散媒体等を含まない乾燥状態の形態であってもよい。
このような処理チタンブラックでは、カルボジイミド化合物の分子内に存在するカルボジイミド基を、(1)チタンブラックの表面に存在する官能基、例えば、水酸基と反応させることにより、又は、(2)絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラックの表面に存在するカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基等のカルボジイミド基と反応する官能基と反応させることにより、強い吸着力を持たせることができると推測される。
また、処理チタンブラックの分散体は、処理チタンブラックと、少なくとも分散媒体を含み、その他必要に応じて、樹脂等を含むものである。
まず、カルボジイミド化合物によって処理されるチタンブラック、好ましくは、表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するチタンブラックについて説明する。
上記チタンブラックにおいては、上記カルボジイミド基と反応する官能基が、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基であるものが好適である。
本発明に使用する処理チタンブラックを得るために使用するチタンブラックとしては、未処理のチタンブラック、又は、未処理のチタンブラックが絶縁性化合物で被覆処理され、且つその被覆表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するチタンブラックが利用できる。
上記未処理のチタンブラックとは、低次酸化チタンや酸窒化チタン等を意味する。このうち低次酸化チタンとしては、例えば、特開昭49−5432号公報(特公昭52−12733号公報)に記載された、二酸化チタンと金属チタン粉末を真空又は還元雰囲気中で、550〜1100℃の温度で加熱して得られる、Ti2n−1(nの正の整数)で示される黒色系の化合物や、特開昭64−11572号公報に記載された、含水二酸化チタンと金属チタン粉末を、珪素、アルミニウム、ニオブ、タングステン等を含む化合物からなる焼成処理補助剤の存在下、不活性雰囲気中で加熱して得られる化合物が挙げられる。また、酸窒化チタンとしては、例えば、特開昭60−65069号公報(特公平3−51645号公報)や特開昭60−200827号公報(特公平2−42773号公報)に記載された、二酸化チタンや水酸化チタンの粉末をアンモニア存在下、550〜950℃程度の温度で還元して得られる黒色系の化合物が挙げられる。その他に、特開昭61−201610号公報(特公平3−29010号公報)に記載された、バナジウムを二酸化チタン等に付着させ、アンモニア存在下、750〜875℃で還元して得られる黒色系の化合物も挙げられる。
上記絶縁性化合物で被覆処理され、且つその被覆表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するチタンブラックの好ましい形態としては、被覆表面に、カルボジイミド基と反応する官能基として、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する形態である。
上記カルボジイミド基と反応する官能基を導入する方法としては、従来公知のどのような方法でもよいが、例えば、チタンブラック表面を、カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物で被覆処理して導入する方法、チタンブラック表面を、エポキシ基等の官能基を有する化合物で被覆処理した後、該エポキシ基等の官能基と反応する化合物を反応させてカルボジイミド基と反応する官能基を導入する方法等が例示できる。
上記チタンブラックを被覆処理する絶縁性化合物としては、シリカ、シラン化合物、チタン化合物、エポキシ樹脂等のポリマー等が例示できる。シラン化合物、チタン化合物としては、無機材質材料と化学結合する反応基(メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン等)とカルボジイミド基と化学結合する反応基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、エポキシ基、メルカプト基等)を持つシリコーンシラン化合物、シリコーンチタン化合物が有用である。なお、エポキシ基は、開環させることにより、カルボジイミド基と化学結合する反応基を発生又は導入させることができるので、本発明では、カルボジイミド基と化学結合する反応基の中に入れることにする。
具体的には、シリコーンシラン化合物としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン等が、シリコーンチタン化合物としては、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
上記チタンブラックの表面を上記化合物で被覆する手段としては、従来公知の手段を用いて行うことができる。チタンブラックの表面をシリカで被覆処理するにあたっては、例えば、(1)チタンブラックを水中に分散し、チタンブラックの水性スラリーを得る工程、(2)チタンブラックの水性スラリーに、珪酸ナトリウム溶液を加え、ホモジナイザー等の攪拌機で攪拌し、チタンブラックを粉砕する工程、(3)得られた溶液を加熱する工程、(4)更に、珪酸ナトリウム溶液と硫酸とを加えて、ホモジナイザー等の攪拌機を用いて攪拌し、シリカ被覆チタンブラックを得る工程とを含む方法等により行うことができる。
また、チタンブラックの表面を上記シリコーンシラン化合物、シリコーンチタン化合物で被覆処理するにあたっては、乾式法、湿式法のいずれの方法も用いることができる。
乾式法としては、ホモジナイザー等の攪拌機にチタンブラックとシラン化合物又はチタン化合物とを加えて、通常室温〜130℃の温度で、30〜90分間混合処理することが好ましい。ここで、シラン化合物又はチタン化合物を加えるにあたっては、シラン化合物若しくはチタン化合物を原液のまま、又は、適当な溶媒に溶解させて加えるようにする。湿式法としては、エステルや芳香族炭化水素等の有機溶媒中でチタンブラックとシラン化合物又はチタン化合物とを混合処理することが好ましい。
また、チタンブラックの表面を上記エポキシ樹脂等のポリマーで被覆処理するにあたっては、エポキシ樹脂等のポリマーを溶解する溶媒に、エポキシ樹脂等のポリマーを溶解させ、その後、エポキシ樹脂等のポリマーに対して貧溶媒である溶媒を加えて、チタンブラックの表面に、エポキシ樹脂等のポリマーを析出させて、被覆チタンブラックを得ることができる。
上記絶縁性化合物としては、良好な被覆処理されたチタンブラックが得られる点から、シリカ、シラン化合物、チタン化合物を用いることが好ましい。
次に、本発明に用いられる処理チタンブラックを得るために使用できる分子内にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物について説明する。
分子内にカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物とは、分子内にカルボジイミド基、すなわち、−N=C=N−を少なくとも1つ有する化合物である。このような分子内にカルボジイミド基を有する化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような分子内にカルボジイミド基を1つ以上有するカルボジイミド化合物を得る一般的な方法としては、有機溶媒中で、カルボジイミド化触媒の存在下、イソシアネート化合物を脱炭酸反応によりカルボジイミド化して得られるカルボジイミド化合物が利用できる。
上記イソシアネート化合物としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等のモノイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族のジイソシアネート化合物を挙げることができる。
また、利用可能な有機溶媒としては、沸点が高く、かつ、イソシアネート化合物や生成するカルボジイミド基を有する化合物と反応するような活性水素を持たないものであり、具体的には、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコールジアセテート、グリコールジアセテート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート等のグリコールエーテルエステル類;エチルブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸アミル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル等の脂肪族エステル等を挙げることができる。
また、利用可能なカルボジイミド化触媒としては、ホスホレン類やホスホレンオキサイド類等が挙げられ、具体的には、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレンオキサイド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレンオキサイド等が例示できる。
これらの材料を用いて、イソシアネート基の脱炭酸反応を行う方法としては、既知の方法が利用でき、例えば、窒素雰囲気下で、100〜200℃の反応温度で行うことができる。
上記分子内にカルボジイミド基を含有する化合物を得る他の方法としては、例えば、米国特許第2941956号、特公昭47−33279号公報、特開平5−178954号公報、特開平6−56950号公報等の方法がある。
以上の方法を用いて、例えば、K(≧2)モルのジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られるカルボジイミド化合物は以下の一般式(1)で表すことができる。
Figure 2004219978
また、例えば、2モルのモノイソシアネート化合物とL(≧0)モルのジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られるカルボジイミド化合物は以下の一般式(2)で表すことができる(L=0モルの時は、モノイソシアネート化合物のみの反応である)。
Figure 2004219978
なお、上記一般式中、Aは、カルボジイミド化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基、Bは、カルボジイミド化合物の合成に用いたモノイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基である。
上述した分子内にカルボジイミド基を有する化合物の市販品としては、ジフェニルメタンジイソシアネートを原料としたモノカルボジイミド化合物としてルプラネートMM−103、XTB−3003(いずれも商品名、BASF社製)、スタバクゾールP(商品名、住友バイエルウレタン社製)、テトラメチルキシリレンジイソシアネートを原料としたポリカルボジイミドとしてカルボジライトV−03、V−05等(いずれも商品名、日清紡社製)等が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物は、分子内にイソシアネート基を有するが、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物を反応させることも可能であり、本発明におけるカルボジイミド化合物を形成することになる1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物として利用することができる。
このようなイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物としては、残余のカルボジイミド基と反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等の低分子モノアルコール化合物、水酸基を含有するポリエステル化合物、ポリアルキレングリコールとそのモノアルキルエステル化合物、ポリメチルメタクリレートジオール、ポリブチルメタクリレートジオール、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレートジオール等の水酸基含有ポリアクリル化合物といったような水酸基含有化合物を挙げることができる。
その中でも、好ましくは、式量500〜5000のポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖を形成することができるものである。
上記カルボジイミド化合物としては、側鎖を有するものが好ましく、分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1つの側鎖を有するものであることが好ましい。
なお、本明細書において、「側鎖」とは、カルボジイミド化合物を主鎖としたときに、主鎖から枝分れの状態にある鎖をいう。
また、一つの側鎖の中にポリエステル鎖とポリエーテル鎖とがそれぞれ1種以上で組み合わせて形成されるものは、「ポリエステル側鎖」と「ポリエーテル側鎖」との両方に属し、一つの側鎖の中にポリエステル鎖とポリアクリル鎖とがそれぞれ1種以上で組み合わせて形成されるものは、「ポリエステル側鎖」と「ポリアクリル側鎖」との両方に属し、一つの側鎖の中にポリエーテル鎖とポリアクリル鎖とがそれぞれ1種以上で組み合わせて形成されるものは、「ポリエーテル側鎖」と「ポリアクリル側鎖」との両方に属する。さらに、一つの側鎖の中にポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、及びポリアクリル鎖をそれぞれ1種以上で組合わせて形成されるものは、「ポリエステル側鎖」、「ポリエーテル側鎖」、「ポリアクリル側鎖」のいずれにも属する。そして、このように一つの側鎖の中に、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアクリル鎖が混在するものも、もちろん「ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖及びポリアクリル側鎖からなる群からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖」の条件を満足する側鎖である。
上記カルボジイミド化合物としては、側鎖がカルボジイミド基との反応により分子内に導入されてなるものであることが好ましい。特に好ましくは、カルボジイミド基と、それと反応可能な官能基との反応を利用して、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖及びポリアクリル鎖からなる群より選択される少なくとも1種を分子内に導入したカルボジイミド化合物が利用できる。
なお、本発明において、このようなカルボジイミド基と官能基との反応をグラフト化反応と呼ぶことがあり、その方法で導入された側鎖をグラフト化側鎖、導入されたポリエステル側鎖をグラフト化ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖をグラフト化ポリエーテル側鎖、ポリアクリル側鎖をグラフト化ポリアクリル側鎖と呼ぶこともある。
そして、このようなグラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を有するカルボジイミド化合物としては、まず、分子内にカルボジイミド基を2つ以上有するポリカルボジイミド化合物、すなわち側鎖を有さないカルボジイミド化合物をもとに、グラフト化反応によりポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖を1つ以上付加する(残余のカルボジイミド基も1つ以上とする)方法で得られる化合物を挙げることできる。
ここで、上記カルボジイミド基を2つ以上有するポリカルボジイミド化合物としては、例えば、3モル以上のジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られる、上記一般式(1)のK≧3で表されるカルボジイミド化合物、さらにその化合物のイソシアネート基に、上記イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物を反応させて得られるカルボジイミド化合物、また、2モルのモノイソシアネート化合物と1モル以上のジイソシアネート化合物を脱炭酸して得られる、上記一般式(2)のL≧2で表されるカルボジイミド化合物を挙げることができる。
さらに、カルボジイミド基を2つ以上有するポリカルボジイミド化合物として、上記一般式(1)(但し、K≧3)のカルボジイミド化合物と樹脂とから得られるカルボジイミド基を有する樹脂も使用できる。具体的には、カルボジイミド基含有ウレタン樹脂、カルボジイミド基含有アクリル樹脂、カルボジイミド基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記のような方法等を用いて得た、分子内に2つ以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物に、更にグラフト化反応によりポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖又はポリアクリル側鎖を導入して、分子内にカルボジイミド基と、このような側鎖とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド化合物とする。
そして、グラフト化反応によりこれらの側鎖を分子内に導入する代表的な方法としては、カルボジイミド基と反応可能な官能基を有するポリエステル化合物、ポリエーテル化合物又はポリアクリル化合物を用いて、それぞれ、カルボジイミド基と当該官能基とを反応させる方法が利用できる。
ここで、カルボジイミド基と反応可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミノ基等を挙げることができ、このような官能基を有するポリエステル化合物としては、まず、
(1)オキシカルボン酸、モノアルコール、低分子ジオール化合物等を開始剤とした環状エステル化合物の開環重合化合物(例えば、乳酸、カプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のモノ又はポリオキシカルボン酸を開始剤として用い、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、2−メチルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合して得られるカルボキシル基と水酸基を含有するポリエステル化合物;メタノール、エタノール等の低分子モノオール化合物を開始剤として用い、上記環状エステル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエステルモノオール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子ジオール化合物を開始剤として用い、上記環状エステル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(2)オキシカルボン酸の自己重縮合化合物(例えば、乳酸、カプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のモノオキシカルボン酸を重縮合して得られるカルボキシル基と水酸基とを含有するポリエステル化合物等)を挙げることができる。
また、(3)低分子ジオール化合物と低分子ジカルボン酸化合物とを重縮合させて得られる化合物(例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状グリコール類、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチルブチルプロパンジオール等の分岐グリコール類等の低分子ジオール化合物成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸等の飽和及び不飽和脂肪族ジカルボン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等の低分子ジカルボン酸化合物成分とを、低分子ジオール化合物の過剰存在下で反応させて得られる水酸基を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(4)モノアルコールを開始剤とした環状エステル化合物の開環重合物のリン酸エステル化合物(例えば、上記のポリエステルモノオール化合物をリン酸とエステル化反応させて得られるリン酸基を含有するポリエステルジオール化合物等)、(5)アミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤とした環状エステル化合物の開環重合化合物(例えば、タウリン等のアミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤として、上記環状エステル化合物を開環重合して得られるスルホン酸を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(6)モノアルコールを開始剤とした環状エステル化合物の開環重合物の亜硫酸ガス付加物(例えば、上記のポリエステルモノオール化合物に亜硫酸ガスを付加して得られるスルホン酸を含有するポリエステルジオール化合物等)を挙げることができる。
このようなポリエステル化合物の中では、ポリカプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステル化合物であることが好ましい。
上記カルボジイミド基と反応可能な官能基を有するポリエーテル化合物としては、まず、
(1)オキシカルボン酸、モノアルコール、低分子ジオール化合物等を開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合化合物(例えば、乳酸、カプロン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のモノ又はポリオキシカルボン酸を開始剤として用い、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル化合物を開環重合して得られるカルボキシル基と水酸基を含有するポリエーテル化合物;メタノール、エタノール等の低分子モノオール化合物を開始剤として用い、上記環状エーテル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエーテルモノオール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子ジオール化合物を開始剤として用い、上記環状エーテル化合物を開環重合して得られる水酸基を含有するポリエーテルジオール化合物等)を挙げることができる。
また、(2)モノアルコールを開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合物のリン酸エステル化合物(例えば、上記ポリエーテルモノオール化合物をリン酸とエステル化反応させて得られるリン酸基を含有するポリエーテル化合物)を挙げることができる。
また、(3)アミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合化合物(例えば、タウリン等のアミノ基含有スルホン酸化合物を開始剤として、上記環状エーテル化合物を開環重合して得られるスルホン酸基を含有するポリエーテル化合物)を挙げることができる。
また、(4)モノアルコールを開始剤とした環状エーテル化合物の開環重合物の亜硫酸ガス付加物(例えば、上記ポリエーテルモノオール化合物に亜硫酸ガスを付加して得られるスルホン酸基を含有するポリエーテル化合物)を挙げることができる。
上記カルボジイミド基と反応可能な官能基を有するポリアクリル化合物としては、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、水酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種を有する(メタ)アクリルモノマーから選択される少なくとも1種を含有する単量体成分を重合してなる(メタ)アクリル系重合体(例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー:(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等;スルホン酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー:(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル等;燐酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー:2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェイト、トリスアクリロイルオキシエチルホスフェート等;水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド等の単量体から選択される少なくとも1種のモノマー成分と必要に応じて上記以外の一般にアクリル系樹脂の反応成分として使用されるアルキルエステルやスチレン系モノマー等、既知のモノマーを重合して得られる(メタ)アクリル重合体等)を挙げることができる。
なお、更に、上記カルボジイミド基と反応可能な官能基を有し、ポリエステル鎖とポリエーテル鎖の両方を含む化合物、ポリエステル鎖を有するポリアクリル化合物、ポリエーテル鎖を有するポリアクリル化合物を用いてもよく、例えばポリアルキレングリコールやそのモノアルキルエーテル化合物を開始剤として、環状エステル化合物を反応させて得られる化合物、水酸基含有ポリエステル化合物に環状エーテル化合物を反応させて得られる化合物、ポリエステル鎖を分子内に含む(メタ)アクリル系モノマーやポリエーテル鎖を分子内に含む(メタ)アクリル系モノマーを用いて得られるポリアクリル鎖化合物を挙げることができる。
これらのポリエステル化合物、ポリエーテル化合物、ポリアクリル化合物の中でも、カルボジイミド基との反応性の面からはカルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基を有する方が有利である。
また、水酸基を有する化合物の利用においては、もととなるポリカルボジイミド化合物がさらにイソシアネート基を有する場合、カルボジイミド基より先にイソシアネート基との反応が起こる可能性が高いために、反応の制御が困難となり、さらに、水酸基を2つ以上有する化合物は、グラフト化反応の間に架橋してゲル化を起こす可能性がある。そこで、官能基が水酸基のみの化合物については、更に、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等の酸無水物を反応させて、カルボキシル基を一つ含有した化合物を得てから、グラフト化反応させることが望ましい。
上記で例示したグラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を分子内に少なくとも1つ有する化合物は、更に、カルボジイミド基を少なくとも1つ有する必要があり、例えば、上記一般式(1)(但し、K≧3)で表されるポリカルボジイミド化合物を(K−1)=m+nとしたとき、下記一般式(3)で表されるカルボジイミド化合物を得るものである。
Figure 2004219978
ここで、Aは、ポリカルボジイミド化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基である。Xは、同一又は異なって、カルボジイミド基とそれに反応可能な官能基を反応させて得られる3価の連結基、Yは、同一又は異なって、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖であり、m及びnは、1以上の整数を表す。
なお、上記Xで表される3価の連結基として、例えば、カルボジイミド基とカルボキシル基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(4)、(5)、カルボジイミド基と水酸基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(6)、(7)、カルボジイミド基とアミノ基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(8)、カルボジイミド基とスルホン酸基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(9)、カルボジイミド基と燐酸基との反応から形成される連結基は、以下の一般式(10)で表される。
Figure 2004219978
上記一般式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上の炭化水素基を表す。
更に、一般式(3)で表されるカルボジイミド化合物は、分子内にイソシアネート基を有するが、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物を反応させることも可能であり、下記一般式(11)で表されるカルボジイミド化合物も本発明におけるカルボジイミド化合物として利用することができる。
Figure 2004219978
上記一般式中、Z及びZは、それぞれ独立に、異なる構造を有してもよい、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物の、当該官能基の活性水素の1つを除く残基を表す。Aは、ポリカルボジイミド化合物の合成に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基、Bは、ポリカルボジイミド化合物の合成に用いたモノイソシアネート化合物のイソシアネート基を除く残基である。Xは、同一又は異なって、カルボジイミド基とそれに反応可能な官能基を反応させて得られる3価の連結基、Yは、同一又は異なって、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖であり、m及びnは、1以上の整数を表す。
このようなイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物としては、残余のカルボジイミド基と反応性が低くて、先にイソシアネート基と選択的に反応する化合物が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等の低分子モノアルコール化合物、上記水酸基を含有するポリエステル化合物、ポリアルキレングリコールとそのモノアルキルエステル化合物、ポリメチルメタクリレートジオール、ポリブチルメタクリレートジオール、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレートジオール等の水酸基含有ポリアクリル化合物といったような水酸基含有化合物を挙げることができる。
その中でも、好ましくは式量が500〜5000のポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖を形成するものである。
なお、以上に挙げた反応、すなわち、上記の水酸基含有化合物を開始剤とした環状エステル化合物の開環反応、オキシカルボン酸の重縮合反応、低分子ジオール化合物と低分子ジカルボン酸化合物との縮重合反応、水酸基含有エステル化合物と酸無水物の開環反応、環状エーテル化合物の開環反応、水酸基含有エーテル化合物と酸無水物との開環反応、カルボジイミド基と、カルボキシル基や水酸基等との反応、更にはイソシアネート基と水酸基等との反応は常法が利用できる。
上記グラフト化カルボジイミド化合物は、カルボジイミド基と、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖とを、それぞれ少なくとも1つ含有するカルボジイミド化合物であれば良く、各反応材料を反応させる順序が異なっても、最終的に得られるカルボジイミド化合物が同一の分子構造を有すれば、得られる性能も異なるものではない。
従って、上記一般式(11)のカルボジイミド化合物において、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を導入するために、先に、カルボキシル基等のカルボジイミド基と反応可能な官能基含有ポリエーテル化合物又はカルボキシル基等のカルボジイミド基と反応可能な官能基含有ポリアクリル化合物を合成後、カルボジイミド基に反応させて上記側鎖とする方法を説明したが、その他、先に、カルボジイミド基と反応可能な官能基とポリマー鎖を連結する基を有する化合物をポリカルボジイミド化合物に反応させた後、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を導入する方法であってもよい。例えば、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖を導入する場合であれば、先にオキシカルボン酸をカルボジイミド基に反応させて、水酸基をカルボジイミド化合物の分子内に導入した後、環状ポリエステル化合物又は環状ポリエーテル化合物をグラフト結合する方法であってもよい。また、グラフト化ポリアクリル鎖を導入する場合であれば、先に(メタ)アクリル酸をカルボジイミド基に反応させて、ラジカル二重結合をカルボジイミド化合物の分子内に導入した後、ポリアクリル鎖をグラフト結合する方法であってもよい。
更に、先にイソシアネート基と、それに反応可能な官能基とを反応させた後、グラフト化を行ってもよく、そして、これらの反応の順序については、好ましくない副反応生成物の最も少なくなるような条件で合成することが望ましい。
上記分子内にグラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を有するカルボジイミド化合物のその他の例としては、上記一般式(1)(但し、K≧2)で表されるカルボジイミド化合物と、カルボジイミド基の全てをグラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖とした下記一般式(12)で表される化合物をもとに、次の方法から得られるカルボジイミド化合物を挙げることができる。
Figure 2004219978
上記一般式中、X、Y、A及びKは全て上記と同じ定義である。
まず、一般式(1)(但し、K≧2)で表されるカルボジイミド化合物、又は、一般式(12)で表される化合物のどちらか一方を用い、両末端のイソシアネート基にジオール化合物を反応させて、両末端が水酸基の化合物を得る。例えば、一般式(1)(但し、K≧2)で表されるカルボジイミド化合物1モルとジオール化合物2モルを反応させて得られる化合物は、下記一般式(13)で表され、一方、一般式(12)で表される化合物1モルとジオール化合物2モルを反応させて得られる化合物は、下記一般式(14)で表される。
Figure 2004219978
上記一般式中、Gは、ジオール化合物の水酸基を除く残基を表す。
そして、上記カルボジイミド基を有するジオール化合物(一般式(13)で表される化合物)に対して、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を有するジイソシアネート化合物(一般式(12)で表される化合物)、その逆として、このようなグラフト化側鎖を有するジオール化合物(一般式(14)で表される化合物)に対して、カルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物(一般式(1)(但し、K≧2)で表されるカルボジイミド化合物)を反応させて得られる化合物は、本発明で利用可能である。
なお、一般式(3)や(11)で表される化合物は、比較的、簡単な合成条件で得られるという利点がある。しかしながら、少ないカルボジイミド基を有する化合物、例えば、一分子中に2つのカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物に、1つのポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖をグラフト化反応させようとすると、分子内にグラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖のないもの(カルボジイミド基を2つ含有)、分子内にこれらのグラフト化側鎖を2つ有するもの(カルボジイミド基非含有)の、両方の副生成物がそれぞれの反応確率に応じて生成する。
このような場合、グラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖を2つ有する化合物が多く生成すると、本発明の効果が得られにくくなるため、例えば、分子内に平均0.7個程度のグラフト化ポリエステル鎖、グラフト化ポリエーテル鎖又はグラフト化ポリアクリル鎖が得られる条件で本発明において用いるカルボジイミド化合物を合成し、分子内にこのようなグラフト化側鎖を1つ含有するものと含有しないものとの含有量が多い混合物を生成させることが望ましい。
一方、一般式(14)で表される化合物と一般式(13)で表される化合物を反応させて得られる化合物や、後述する一般式(1)(但し、K≧2)で表されるカルボジイミド化合物と側鎖としてポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖を有する鎖伸長剤とを反応させて得られる化合物等は、分子内にこのような側鎖とカルボジイミド基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド化合物が得られるという利点がある反面、イソシアネート基と水酸基との反応温度等、充分な合成条件を詰めてから行うことが必要となる。
グラフト化反応以外の方法で、カルボジイミド化合物に側鎖を導入する方法としては、例えば、上記一般式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物を、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖を有する鎖伸長剤を用いて鎖伸長させる方法等が利用できる。
このような鎖伸長剤としては、ポリエステル鎖を有するものとして、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の水酸基を3つ以上有するポリオール化合物に、上記環状ポリエステル化合物を開環重合させて得られる化合物、上記低分子ジオール化合物に一部トリオール化合物を併用して、上記低分子ジカルボン酸と重縮合させて得られる化合物、ジメチロールプロピオン酸等のジオールモノカルボン酸に、ポリエステル鎖を分子内に有するエポキシ化合物を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。また、ポリエステル鎖を有するものとして、上記ポリオール化合物に、上記環状ポリエーテル化合物を開環重合させて得られる化合物等を挙げることができる。ポリアクリル鎖を有するものとして、上記ポリオール化合物に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。
以上に例示したようなカルボジイミド化合物は、カルボジイミド当量が100〜50000であるものである。好ましくは、200以上、また、10000以下である。ここで、カルボジイミド当量とは、(カルボジイミド化合物の分子量)/(カルボジイミド化合物分子中のカルボジイミド基の数)で表される数を意味するものである。カルボジイミド当量が50000を超えると、分散媒体中でのチタンブラックの分散安定性が低下するおそれがある。一方、カルボジイミド当量が100未満であると、カルボジイミド基が過剰に存在することになり、やはり分散媒体中でのチタンブラックの分散安定性が低下するおそれがある。
上記カルボジイミド化合物の分子内に側鎖として導入するポリエステル鎖、ポリエーテル鎖又はポリアクリル鎖は、分散媒体中でのチタンブラックの分散安定性を向上させる作用を有するものであれば特に制限はないが、式量が200以上であり、また、10000以下であることが好ましい。より好ましくは300以上であり、また、5000以下である。
また、本発明で用いるカルボジイミド化合物の数平均分子量としては、1000以上であり、また、100000以下のものが好ましく、より好ましくは、1000以上であり、また、50000以下である。カルボジイミド化合物の数平均分子量が高くなりすぎると、分散媒体中にチタンブラックを分散させた際、及び、チタンブラック分散組成物とした際に、適切な粘度のものが得られにくくなり、特に高濃度のチタンブラック分散体が必要なときは好ましくない。一方、数平均分子量が低くなりすぎると、分散媒体中でのチタンブラックの分散安定性や、最終的に未処理のチタンブラックを使用したチタンブラック分散組成物の皮膜となったときの絶縁性が低下して好ましくない。
そこで、主にチタンブラック表面に存在する官能基の量や、利用する分野のそれぞれの要求性能に応じて、カルボジイミド化合物の分子内に存在するカルボジイミド基の数やポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、ポリアクリル側鎖等の側鎖との比率は、適宜調整することが好ましい。
次に、カルボジイミド化合物を用いて、未処理のチタンブラック及び/又は絶縁性化合物で被覆処理され、且つその被覆表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するチタンブラックを処理する方法について説明する。
本発明でいう処理とは、未処理のチタンブラック及び/又は絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラックの分散粒子表面の全面又は一部をカルボジイミド化合物で処理するものであって、具体的には、未処理のチタンブラック及び/又は絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラック、カルボジイミド化合物、及び、必要に応じて分散媒体、その他の添加剤等の混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散装置等を用いて混練し、分散・処理する方法を挙げることができる。
本処理においては、カルボジイミド化合物の分子内に存在するカルボジイミド基を、未処理のチタンブラックの場合は、チタンブラック表面に存在する水酸基等の官能基と反応させて、また、絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラックの場合は、絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラック表面に存在する水酸基等のカルボジイミド基と反応可能な官能基と反応させて、強い吸着力を持つように処理することが好ましい。
なお、分散媒体を用いずに、カルボジイミド化合物のみで、未処理チタンブラック及び/又は絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラックの処理を行うには、カルボジイミド化合物の融点以上であって、また、カルボジイミド基と、未処理チタンブラック表面に存在する水酸基等の官能基又は絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラック表面に存在する官能基との反応を促進できる温度まで加温することが好ましい。上記反応を促進する温度としては、概ね100℃以下であって、好ましくは40〜80℃程度である。このような方法から得られる処理チタンブラックは、粗粉砕又はチップ状としておき、後から好適な分散媒体中に分散して処理チタンブラックの分散体として利用することができる。
一方、本処理で用いるカルボジイミド化合物を溶解可能で、未処理チタンブラック及び/又は絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラックを安定的に分散できる有機系分散媒体又は水性分散媒体中に、チタンブラックを分散させながら処理を行う方法では、比較的低温でも処理が可能であるが、更に上記反応を促進する温度まで加温することがより好ましい。
ここで、好適に利用される分散媒体を例示すると、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、蟻酸n−アミル、ピルビン酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類を挙げることができる。なお、これらの分散媒体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
更に、未処理チタンブラック及び/又は絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラックの処理を行うために用いるカルボジイミド化合物の使用比率は、チタンブラック100重量部に対して3質量部以上であり、また、50質量部以下が好ましく、より好ましくは、10質量部以上、また、30質量部以下であるが、未処理チタンブラック、絶縁性化合物で被覆処理されたチタンブラック表面に存在する官能基の多少や、分散性能、流動性、絶縁性等の要求性能等によって調整するのが好ましい。
本発明の遮光性感光性樹脂組成物は、上述した処理チタンブラックを感光性樹脂組成物に添加・混合したものであるが、処理チタンブラックは、分散媒体等を含むチタンブラックの分散体の形態で添加してもよく、分散媒体等を含まない乾燥状態の形態で添加してもよいが、分散状態を良好にするためには分散体の形態で添加するのが好ましい。
次に、本発明の遮光性感光性樹脂組成物に関して、処理チタンブラック以外の成分について詳細に説明する。
処理チタンブラック以外の成分としての感光性樹脂組成物とは、皮膜形成能があり、露光により未露光部と現像液に対する溶解度差が付くこととなる成分の組み合わせにより構成される組成物をいう。上記条件を満たしていれば特に制限はないが、上記感光性樹脂組成物の好ましい例を挙げると、
(1)バインダー樹脂、光重合性化合物及び光重合開始剤を必須成分とする組み合わせ
(2)バインダー樹脂と、光酸発生剤と、酸の作用で上記バインダー樹脂を架橋し得る化合物とを必須成分とする組み合わせ
(3)光酸発生剤と、酸分解性基を有することにより現像液不溶性又は現像液難溶性の樹脂であって、酸の作用により酸分解性基が分解したときに現像液可溶性となる樹脂とを必須成分とする組み合わせ
(4)光酸発生剤と、バインダー樹脂と、このバインダー樹脂の現像液溶解性を阻止する作用を有し、且つ酸の作用により該現像液溶解性阻止能を低下若しくは消失するか又は上記バインダー樹脂の現像液溶解性を促進させる作用を有する化合物とを必須成分とする組み合わせ
(5)バインダー樹脂と、アジド基又はジアゾニウム基を含む感光剤とを必須成分とする組み合わせ
(6)光酸発生剤と、エポキシ樹脂とを必須成分とする組み合わせ
等を挙げることができるが、(1)又は(2)で挙げた成分を含む組成物がより好ましく、更に好ましくは、(1)の成分を含む感光性樹脂組成物である。以下、(1)の組成についてさらに詳細に記述する。
本発明の遮光性感光性樹脂組成物は、処理チタンブラックに加えて、上記感光性樹脂組成物を含有するものであるが、必要に応じて、溶剤、重合禁止剤、熱架橋剤、光酸発生剤、シランカップリング剤、界面活性剤等の各種添加剤や体質顔料を適宜含有させて得られるものが好適である。
上記遮光性感光性樹脂組成物における処理チタンブラックの含有量としては、その用途に応じて適宜調整すればよいが、遮光性感光性樹脂組成物の固形分中、20質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは、50質量%以上であり、また、85質量%以下とすることが好ましい。処理チタンブラックの含有量が20質量%未満では充分な遮光性が得られず、85質量%を越える場合は現像時に未露光部分が剥離現像挙動を示しやすく、画像形成能が低下する。
また、処理チタンブラック以外の成分の含有量としては、遮光性感光性樹脂組成物に所望する性能等に応じて適宜設定すればよい。
上記バインダー樹脂としては、皮膜形成能を有する樹脂であれば特に制限なく使用できる。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、クロトン酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有不飽和単量体と、スチレン、α−メチルスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体であるアルカリ可溶性バインダー樹脂が例示できる。また、フェノールノボラックのエポキシ変性(メタ)アクリレート・カルボン酸付加物、クレゾールノボラックのエポキシ変性(メタ)アクリレート・カルボン酸付加物(例えば、日華化学社製、オプトコートHP−100)、ビスフェノールAジエポキシの(メタ)アクリル酸付加物、スチレン−マレイン酸共重合体及びそのハーフエステル化物等もバインダー樹脂として使用可能である。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
パターン形成工程の点から、上記バインダー樹脂はアルカリ可溶性であることがより好ましい。アルカリ可溶性バインダー樹脂とは、カルボキシル基やフェノール水酸基等の酸性基を分子内に有している樹脂であれば特に制限なく、上記バインダー樹脂に例示した成分やその重合体から得られるもの使用できる。
上記バインダー樹脂としては、(メタ)アクリル酸と、スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体、フェノールノボラックのエポキシ変性(メタ)アクリレート・カルボン酸付加物、クレゾールノボラックのエポキシ変性(メタ)アクリレート・カルボン酸付加物がより好ましい。
上記バインダー樹脂の添加量は、皮膜形成能の点から、遮光性感光性樹脂組成物の処理チタンブラック以外の総固形分に対して30重量%以上が好ましい。また、耐熱性の点から、バインダー樹脂のガラス転移温度は、90℃以上が好ましく、より好ましくは、110℃以上である。
上記バインダー樹脂の重量平均分子量(MW)は、1000〜500000の範囲が好ましい。より好ましくは、1000〜100000の範囲である。MWが1000未満では皮膜形成能が不足し、500000を越えると他成分との混合性や現像性、基板密着性が低下する。
上記バインダー樹脂がアルカリ可溶性である場合、酸価は5〜250mgKOH/gの範囲が好ましく、20〜180mgKOH/gの範囲がより好ましい。酸価が5mgKOH/g未満では現像性や他成分との相溶性が低下するおそれがあり、250mgKOH/gを越えると、形成したパターンの現像液耐性低下やチタンブラックの凝集が起こりやすい。
上記光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー等を用いることが好ましい。光重合性不飽和結合を分子内に1個有する光重合性化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリル酸エステル;イソボニル(メタ)アクリレート;グリセロール(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、これらのエチレンオキサイド変性、プロピレンオキサイド変性、エポキシ変性、ウレタンアクリレート変性物や、各種エポキシの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの光重合性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合性化合物としては、硬化性、膜硬度、耐熱性の点で、光重合性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物がより好ましく、中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのうちいずれかを1種以上含有することが更に好ましい。
上記光重合性化合物の添加量は、遮光性感光性樹脂組成物の処理チタンブラック以外の総固形分に対して5〜60重量%の範囲が望ましい。5重量%未満では硬化性が不足するおそれがあり、60重量%を越えると皮膜形成能の低下や、塗膜にベタつき(タック)が生じる等のおそれがあるためである。
上記光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、トリアジン系、アントラキノン系、チオキサントン系等の光ラジカル開始剤や増感剤が好適に用いられる。例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。
より好ましくは、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、トリアジン系光重合開始剤である。これらの光重合開始剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合開始剤の添加量は、遮光性感光性樹脂組成物の処理チタンブラック以外の総固形分に対して1〜35重量%の範囲が好ましい。1重量%未満では感光性が不足するおそれがあり、35重量%を越えると露光時に線太り等の不具合が発生したり、樹脂バインダー成分比の低下により皮膜形成能が低下したりするおそれがある。
上記溶剤としては、チタンブラックを処理する際に用いる分散媒体として上述した分散媒体と同様なものを用いることができ、常圧(1.013×10kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素溶剤及び含窒素系有機溶剤等が好ましい。
上記溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を挙げることができ、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等がより好ましく、更に好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
上記溶剤は、上記感光性樹脂組成物の溶解性や、処理チタンブラックの分散性、塗布性等の点で、遮光性感光性樹脂組成物に使用される全有機溶媒中50質量%以上、更には、70質量%以上含有させることが好ましい。
なお、遮光性感光性樹脂組成物は、沸点が220℃以上の有機溶剤を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
上記溶剤としては、更に、芳香族系有機溶剤、アルコール系有機溶剤等を併用することが可能である。
上記遮光性感光性樹脂組成物は、更に、必要に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱架橋剤、光酸発生剤、シランカップリング剤、界面活性剤等の各種添加剤や、シリカ等の体質顔料を適宜使用することができる。
次に、以上の材料を用いて遮光性感光性樹脂組成物を製造する方法を説明する。
以下に説明する遮光性感光性樹脂組成物を製造する方法は、本発明の好ましい実施形態の一例であり、本発明ではこれに限定されるものではない。
上述した構成材料から遮光性感光性樹脂組成物を製造するためには、上述した方法を用いて分散媒体中に処理チタンブラックを分散させて得られた分散体に、上記バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤等を含む感光性樹脂組成物と、必要に応じて有機溶剤、その他添加剤とを加え、高速攪拌装置、高圧乳化機、ビーズミル、3本ロール、サンドミル、ニーダー等を用いて混合する方法が利用できる。
次に、本発明の遮光性感光性樹脂組成物を用いて遮光性樹脂硬化体としてのブラックマトリックスを形成する方法について記述する。
本発明の遮光性感光性樹脂組成物を用いてブラックマトリックスを形成する方法としては、この遮光性感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、プレベークを行い、得られた塗膜にフォトマスクを用いてパターン露光を行った後、現像し、未硬化部分を現像液に溶解させて黒色画像を得る方法が挙げられる。
本発明の遮光性感光性樹脂組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート、バーコート、スプレー法、ディップコート、ローラーコート、フローコート、カーテンコート、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等が適用できる。使用できる基板は、ガラス、シリコン、ポリイミド膜等に、必要に応じ薬品処理、加熱処理等の前処理を施したものが例示できる。また、基板にはあらかじめTFT画素等が形成されていてもよい。
次いで、得られた塗膜のプレベークを行い、溶剤を蒸発させる。乾燥温度は50〜120℃が好ましい。50℃未満では塗膜の乾燥に長時間を要する場合があり、120℃を越えると塗膜の一部が加熱硬化する恐れがある。乾燥時間は、作業上、1〜40分が好ましい。
また、塗布膜厚は、プレベーク後において0.1〜10μmの範囲が好ましい。但し、スペーサー兼用のブラックマトリックスにおいては、求められる基板のギャップ幅により適宜膜厚を選定することが望ましい。
上記のようにして得られた塗膜を露光する際の光源は、使用する光重合開始剤の種類によって適宜選択できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ及びレーザー光線等が挙げられるが、超高圧水銀灯又はメタルハライドランプを光源とした露光装置を用いることが好ましい。
露光した塗膜を現像する際の現像液としては、露光部分と未露光部分の溶解度差がつくこととなる成分を適宜選択できるが、アルカリ可溶性のバインダー樹脂を含む遮光性感光性樹脂組成物を用いて形成した樹脂硬化体の現像に関しては、アルカリ性水溶液が好適に用いられる。現像液に用いるアルカリ性成分としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、アンモニア等の無機アルカリ;ブチルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アリルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ベンジルエチルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン等の3級アミン;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール等のヒドロキシルアミン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7‐ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、モルフォリン、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン等の環状アミン;ヒドラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のポリアミン;これらアミンの硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸塩等の塩基性塩;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の4級アンモニウム塩ヒドロキシド等の有機アルカリが使用可能である。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記現像液において、アルカリ性成分の濃度は特に制限はないが、現像時間に応じて適宜調整することが好ましい。
現像温度は、10〜50℃が好ましく、より好ましくは、18〜40℃である。10℃未満の低温では現像液の温度を一定に保つのが難しく、50℃を越えると現像液中の有機アルカリや他の添加剤、水の揮発が起こりやすくなる。
現像方法は、例えばシャワー現像、スプレー現像、ディップ現像、パドル現像等が好適に用いられる。また、通常、アルカリ現像後は水洗を行う。
上記アルカリ性成分を含む現像液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の水溶性有機溶剤や、界面活性剤等を適量添加することができる。現像で溶解した感光性樹脂組成物成分を現像液中に良好に分散・溶解させてスカムのないパターンを得るには、現像液に水溶性有機溶剤や界面活性剤を添加することがより好ましい。
上記のようにして形成されたブラックマトリックスは、更に150℃〜300℃で10分〜120分間、ポストベークを行うことが望ましい。これにより、耐熱性及び耐湿性がより向上した硬化膜となる。
プレベーク及びポストベークには、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉、ホットプレート等の加熱装置を用いることができる。
本発明で得られる処理チタンブラック及び/又は処理チタンブラックの分散体を用いた遮光性感光性樹脂組成物は、チタンブラック濃度が高い場合でも良好な分散性とパターン形成能を有し、上記遮光性感光性樹脂組成物を用いて形成された遮光性樹脂硬化体は、高い絶縁性、遮光性を示すものであり、特にブラックマトリックス、その他、遮光性を必要とする樹脂硬化体として好適に用いることができるものである。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお特に断りのない限り、本実施例において「部」は「重量部」を表す。
[カルボジイミド化合物の調製]
(調製例1)
還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量262のポリカルボジイミド化合物76.3部、分子量2000のポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール113.7部、メチルジエタノールアミン4.5部を仕込み、約100℃で8時間反応させ、次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)291.7部を仕込んで数平均分子量約10000、カルボジイミド当量670のカルボジイミド化合物(1)40%溶液を得た。
(調製例2)
還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量316のポリカルボジイミド化合物50.0部、分子量1000のポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール115.7部、テトラブチルチタネート16mgを仕込み、約100℃で5時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いで、末端にカルボキシル基を有する分子量2000のポリカプロラクトンの開環重合物84.6部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート375.5部を仕込んで数平均分子量約4200、カルボジイミド当量1583のカルボジイミド化合物(2)40%溶液を得た。
(調製例3)
還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量316のポリカルボジイミド化合物50.0部、分子量1000のポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール115.7部、テトラブチルチタネート16mgを仕込み、約100℃で5時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いで、末端にカルボキシル基を有する分子量2000のプロピレンオキサイドの開環重合物84.6部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート375.5部を仕込んで数平均分子量約4200、カルボジイミド当量1583のカルボジイミド化合物(3)40%溶液を得た。
(調製例4)
還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量316のポリカルボジイミド化合物50.0部、分子量1000のポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール115.7部、テトラブチルチタネート16mgを仕込み、約100℃で5時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いで、末端にカルボキシル基を有する分子量2000の(メタ)アクリル系重合体84.6部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート375.5部を仕込んで数平均分子量約4200、カルボジイミド当量1583のカルボジイミド化合物(4)40%溶液を得た。
(調製例5)
還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量96のポリカルボジイミド化合物50.0部、分子量500のポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール0.72部を仕込み、約100℃で5時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いで、末端にカルボキシル基を有する分子量500のポリカプロラクトンの開環重合物0.37部を仕込み、約80℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77.0部を仕込んで数平均分子量約70000、カルボジイミド当量98のカルボジイミド化合物(5)40%溶液を得た。
(調製例6)
還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、イソシアネート基を有するカルボジイミド当量322のポリカルボジイミド化合物7.5部、分子量30000のポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール464.3部を仕込み、約100℃で5時間保持して、イソシアネート基と水酸基とを反応させ、次いで、末端にカルボキシル基を有する分子量40000のポリカプロラクトンの開環重合物310.6部を仕込み、約100℃で2時間保持して、カルボジイミド基とカルボキシル基とを反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1170部を仕込んで数平均分子量約101000、カルボジイミド当量50223のカルボジイミド化合物(6)40%溶液を得た。
[表面被覆チタンブラック]
(表面被覆チタンブラック1)
チタンブラック13R(商品名、三菱マテリアル社製)100gをアモルファスシリカ10gで被覆処理し、表面被覆チタンブラック(1)を得た。
[処理チタンブラック分散体1〜10]
処理チタンブラック分散体1及び処理チタンブラック分散体6は、表面被覆チタンブラック(1)又は未処理チタンブラックを用い、カルボジイミド化合物(2)で表面処理した処理チタンブラックであり、処理チタンブラック分散体2〜5及び処理チタンブラック分散体7〜10は、各カルボジイミド化合物で表面処理しながら同時に分散媒体中に分散させた、表面処理チタンブラックの分散体として得られるものである。
(処理チタンブラック分散体1の調製)
スチールビーズ(Φ1.4mm)1000gを容量1000mlのスチール缶に、表面被覆チタンブラック1を50g、精製水450gを仕込んだ。この混合物をペイントコンディショナーを用い30分間練肉し、水性チタンブラック分散体を得た。この水性チタンブラック分散体を還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに移し、攪拌しながらカルボジイミド化合物(2)15g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート170gを添加し、約90℃で8時間反応させた。反応後、精製水及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを除去し、真空乾燥機に入れ80℃で2時間乾燥し、カルボジイミド化合物により表面処理されたチタンブラック(表面処理チタンブラック1)を得た。更に、表1の組成の材料を、ビーズミルで1昼夜、温度60℃の温度で混練して、処理チタンブラック分散体1を得た。
(処理チタンブラック分散体6の調製)
スチールビーズ(Φ1.4mm)1000gを容量1000mlのスチール缶に、未処理チタンブラック13Rを50g、精製水450gを仕込んだ。この混合物をペイントコンディショナーを用い30分間練肉し、水性チタンブラック分散体を得た。この水性チタンブラック分散体を還流冷却管、窒素導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに移し、攪拌しながらカルボジイミド化合物(2)15g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート170gを添加し、約90℃で8時間反応させた。反応後、精製水及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを除去し、真空乾燥機に入れ80℃で2時間乾燥し、カルボジイミド化合物により表面処理されたチタンブラック(表面処理チタンブラック2)を得た。更に、表1の組成の材料を、ビーズミルで1昼夜、温度60℃の温度で混練して、処理チタンブラック分散体6を得た。
(処理チタンブラック分散体2〜5、7〜16の調製)
表1の組成の材料を、ビーズミルで1昼夜、温度60℃の温度で混練し、カルボジイミド化合物により表面処理されたチタンブラック分散体を得た。
(実施例1〜10、比較例1〜6のブラックマトリックス用レジスト組成物の調製)
高速攪拌機を用いて、処理チタンブラック分散体1〜16とその他の材料とを表2の組成になるように均一に混合した後、孔径3μmのフィルターで濾過し、実施例1〜10、比較例1〜6のブラックマトリックス用レジスト組成物を得た。
[評価試験]
1.分散安定性
実施例1〜10、比較例1〜6のブラックマトリックス用レジスト組成物をそれぞれガラス瓶に採り、密栓して40℃で7日間保存した後の状態を下記評価基準に従って評価した。評価結果は、表1及び表2に示す。
A:増粘、沈降物が共に認められない。
B:軽く振トウすると元に戻る程度の増粘と沈降物が認められる。
C:強く振トウしても元に戻らない程度の増粘と沈降物が認められる。
2.レジストの抵抗値
分散安定性の評価においてA又はBの評価の得られたブラックマトリックス用レジスト組成物を、スピンコーターを用いて膜厚1μmになるようにガラス基板上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたレジストを得た。
得られたレジストの表面抵抗値を抵抗測定器(R8340/8340A、商品名:アドバンテスト社製)で測定した。評価結果は、表2に示す。
Figure 2004219978
Figure 2004219978
表1及び表2において、組成は「部」を表す。
表2中、※1は、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体である。※2は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである。イルガキュア907(商品名)は、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製の光重合開始剤であり、PGMMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
3.パターニング評価
(実施例11)
[遮光性感光性樹脂組成物の調製]
処理チタンブラック分散体1を292重量部、バインダー樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比68/32、MW30000)20重量部、日華化学社製オプトコートHP−100(固形分65%)を9.8重量部、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.6重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.7重量部、光重合開始剤として2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−4,6−ジス(トリクロロメチル)−s−トリアジン1.2重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン3.6重量部、溶剤としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート191重量部を高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのフィルターで濾過して遮光性感光性樹脂組成物を調製した。
[パターニング試験]
得られた遮光性感光性樹脂組成物を脱脂洗浄済みの無アルカリガラス Corning#1737に膜厚1μmになるようにスピンコートした後、80℃の温風乾燥機で5分間プレベークを行って感光性黒色塗膜を形成した。
この塗膜にネガ用のフォトマスクパターンを介して高圧水銀灯にて400mJ/cmの露光を行った後、pH10.5のアルカリ現像液で現像、水洗、乾燥してガラス基板上に黒色ネガパターンを形成した。パターンの最小ライン幅/スペース幅は8/6(μm)であった。
[塗膜の抵抗値]
また、同様に塗布、プレベークを行って形成した感光性黒色塗膜を高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成された膜厚1μmの黒色塗膜を得た。
得られた黒色塗膜の体積抵抗値を絶縁計(東亜DKK製;DM−8103)で測定したところ、1012Ω・cmを示した。
[塗膜の光学濃度(OD値)]
さらに、ポストベーク後の黒色塗膜の光学濃度(OD値)を透過型黒色濃度計(グレタグマクベス社製;D200−II)で測定した。OD値は膜厚1μm当たり3.2を示した。
[遮光性感光性樹脂組成物の保存安定性]
調製した遮光性感光性樹脂組成物をガラス瓶に入れて密栓し、40℃で7日間保存した。保存前と液の状態を比較したが、凝集、沈降、増粘は認められなかった。
(実施例12)
[遮光性感光性樹脂組成物の調製]
処理チタンブラック分散体2を使用したほかは実施例11と同様の方法で遮光性感光性樹脂組成物を調製した。
[パターニング試験]
調製した遮光性感光性樹脂組成物を用いて、実施例11と同様の方法でパターンを形成した。パターンの最小ライン幅/スペース幅は8/6(μm)であった。
[塗膜の抵抗値]
実施例11と同様の方法で得られた黒色塗膜の体積抵抗値を測定したところ、1012Ω・cmを示した。
[塗膜の光学濃度(OD値)]
実施例11と同様の方法で得られた黒色塗膜のOD値を測定したところ、膜厚1μm当たり3.1を示した。
[遮光性感光性樹脂組成物の保存安定性]
実施例11と同様の方法で評価を行ったが、40℃で7日間保存後も凝集、沈降、増粘は認められなかった。
(実施例13)
[遮光性感光性樹脂組成物の調製]
処理チタンブラック分散体1を292重量部、バインダー樹脂としてメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比84/16、MW30000)20重量部、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8重量部、共栄社化学社製G‐201P 5重量部、光重合開始剤として2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン0.5重量部、2,4−ジエチルチオキサントン1重量部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン5重量部、溶剤としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート202重量部を高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのフィルターで濾過して実施例13の遮光性感光性樹脂組成物を調製した。
[パターニング試験]
調製した遮光性感光性樹脂組成物を用いて、実施例11と同様の方法でパターンを形成した。パターンの最小ライン幅/スペース幅は6/6(μm)であった。
[塗膜の抵抗値]
実施例11と同様の方法で得られた黒色塗膜の体積抵抗値を測定したところ、1013Ω・cmを示した。
[塗膜の光学濃度(OD値)]
実施例11と同様の方法で得られた黒色塗膜のOD値を測定したところ、膜厚1μm当たり3.2を示した。
[遮光性感光性樹脂組成物の保存安定性]
実施例11と同様の方法で評価を行ったが、40℃で7日間保存後も凝集、沈降、増粘は認められなかった。
(比較例7)
[遮光性感光性樹脂組成物の調製及び評価]
処理チタンブラック分散体11を使用したほかは実施例11と同様の方法で遮光性感光性樹脂組成物を調製した。
調製した遮光性感光性樹脂組成物を用いて、実施例11と同様の方法でパターンを形成した。パターンの最小ライン幅/スペース幅は10/10(μm)であったが、未露光部分にスカムが発生し、良好なパターンが得られなかった。また塗膜の平滑性が悪く、信頼できるOD値、体積抵抗値は得られなかった。
[遮光性感光性樹脂組成物の保存安定性]
実施例11と同様の方法で評価を行ったが、40℃で7日間保存後には凝集、沈降が発生しており、また著しい増粘が認められた。
(実施例14)
[スペーサー兼用ブラックマトリックス用遮光性感光性樹脂組成物の調製]
処理チタンブラック分散体1を760重量部、バインダー樹脂としてスチレン/メタクリル酸/2−ヒドロキシメタクリレート/イソボルニルアクリレート共重合体(モル比45/25/20/10、MW35000)25重量部、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1.5重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート5重量部、トリメチロールプロパンジメタクリレート3重量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン3重量部、溶剤としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート131重量部を高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのフィルターで濾過して実施例14のスペーサー兼用ブラックマトリックス用遮光性感光性樹脂組成物を調製した。
[パターニング試験]
調製した遮光性感光性樹脂組成物を脱脂洗浄済みの無アルカリガラス Corning#1737にスピンコートした後、80℃の温風乾燥機で10分間プレベークを行って感光性黒色塗膜を形成した。
この塗膜にネガ用のフォトマスクパターンを介して高圧水銀灯にて400mJ/cmの露光を行った後、pH11のアルカリ現像液で現像、水洗、乾燥してガラス基板上に黒色ネガパターンを形成した。パターンの最小ライン幅/スペース幅は12/10(μm)であった。得られたパターン基板を220℃で60分ポストベークした後、冷却し、パターンの断面形状を観察したところフォトスペーサーとして好適な順テーパー状であった。またポストベーク後の膜厚は5μmであった。
[塗膜の抵抗値]
実施例11と同様の方法で得られた黒色塗膜の体積抵抗値を測定したところ、1013Ω・cmを示した。
[塗膜の光学濃度(OD値)]
実施例11と同様の方法で得られた黒色塗膜のOD値を測定したところ、膜厚1μm当たり1.5を示した。
[スペーサー兼用ブラックマトリックス用遮光性感光性樹脂組成物の保存安定性]
実施例11と同様の方法で評価を行ったが、40℃で7日間保存後も凝集、沈降、増粘は認められなかった。
本発明の遮光性感光性樹脂組成物は、チタンブラック濃度が高い場合でも良好な分散性とパターン形成能を有する遮光性感光性樹脂組成物であり、特に液晶用カラーフィルターのブラックマトリックス形成材料として利用した場合、高い絶縁性と遮光性を有するブラックマトリックスが得られるものである。

Claims (9)

  1. チタンブラック表面を、分子内に少なくとも1つのカルボジイミド基を有し、カルボジイミド当量が100〜50000のカルボジイミド化合物によって処理してなる処理チタンブラック、及び、感光性樹脂組成物を含有する
    ことを特徴とする遮光性感光性樹脂組成物。
  2. 前記チタンブラックは、表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するものである
    ことを特徴とする請求項1記載の遮光性感光性樹脂組成物。
  3. 前記カルボジイミド基と反応する官能基は、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である
    ことを特徴とする請求項2記載の遮光性感光性樹脂組成物。
  4. 前記チタンブラックは、絶縁性化合物で被覆処理され、且つその被覆表面にカルボジイミド基と反応する官能基を有するものである
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の遮光性感光性樹脂組成物。
  5. 前記絶縁性化合物は、シリカ、シラン化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種のものである
    ことを特徴とする請求項4に記載の遮光性感光性樹脂組成物。
  6. 前記カルボジイミド化合物は、分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1つの側鎖を有するものである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遮光性感光性樹脂組成物。
  7. 前記カルボジイミド化合物は、前記側鎖がカルボジイミド基との反応により分子内に導入されてなるものである
    ことを特徴とする請求項6に記載の遮光性感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の遮光性感光性樹脂組成物を用いて形成したものである
    ことを特徴とする遮光性樹脂硬化体。
  9. ブラックマトリックスである
    ことを特徴とする請求項8記載の遮光性樹脂硬化体。
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