JP2004219589A - 光フィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光導波路を伝搬する光と同じ方向に伝搬するSAWの伝搬速度を、光導波路を伝搬する光と逆方向に伝搬するSAWの伝搬速度よりも遅くすることにより、両導波路の選択波長を等しくし、PDLの発生を防止する。SAW導波路の導波路幅の変化や、SAW導波路を構成する薄膜の膜厚・形成パターン・添加金属酸化物濃度等の変化により、SAWの伝搬速度を変化させる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、音響光学効果を利用した光フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信において、異なる波長の信号光を多重化して通信するWDM(Wave Division Multiplex;波長多重)通信が伝送容量を増大させるために用いられている。WDM通信では、複数波長の信号光を多重化(multiplex)して送信し、伝送後、多重分離(demultiplex)をし、単一波長の光として受信をする。多重化された信号光の一部を混合・分離(add/drop)する場合、多重化された信号光の全てを多重分離し、混合・分離をし、再び多重化するのではなく、所望の波長の信号光のみを混合または分離するOADM(Optical Add−Drop Multiplexer;光分岐挿入装置)が、光通信網の形成には有利である。
【0003】
OADMに用いられる、特定の信号光のみを混合・分離する光素子の中で、AOTF(Acousto−Optic Tunable Filter;音響光学可変フィルタ)は、選択波長範囲が広い(80nm以上)、チューニングのスピードが速い(10μ秒以下)、同時に複数波長を選択できる等の特長を有する。AOTFは音響光学効果を利用した光素子であり、SAW(Surface Acoustic Wave;弾性表面波)と光の相互作用によるモード変換を利用して波長を選択する。SAWはIDT(Inter Digit Transducer;櫛形電極)にRF(Radio Frequency;高周波)信号を印加することにより発生するが、RF信号の周波数を変化することで、モード変換をする光の波長を変化させることができる。また、周波数の異なるRF信号を重ねてIDTに印加し、波長の異なるSAWを複数発生させることで、波長の異なる複数の周波数の光をモード変換することができる。SAWによりモード変換された波長の光と、モード変換されていない波長の光とは、偏波分離素子により分離することができるので、音響光学効果を生じる基板の上に光導波路とSAW導波路を相互作用するように設け、偏波分離素子と組み合わせることにより、複数波長を選択可能で、選択波長が可変であるAOTFを構成することができる。
【0004】
ここで、音響光学効果によりモード変換される光の波長について考える。光導波路をSAWが伝搬することにより、SAW波長Λの周期で光導波路を伝搬する光の偏波面は変化し、基板は複屈折性を有するので、偏波面の回転に伴い屈折率も変化をする。TE光およびTM光の伝搬定数をβTE、βTM、実行屈折率をNTE、NTM、SAWの周波数をf、位相速度をVとすると、SAWと光の相互作用によりモード変換される光の波長λは、位相整合条件、
|βTE − βTM| = 2π / Λ (1)
を満たすものであり、
|βTE − βTM| = ( 2π / λ ) | NTE − NTM | (2)
であるので、
λ = Λ | NTE − NTM | = ( V / f ) | NTE − NTM | (3)
の関係を満たす波長λの光がモード変換をされる。
【0005】
なお、光導波路の複屈折率 | NTE − NTM | は、光導波路の導波路幅に比例して減少し、その減少率は光導波路の深さによって異なることが知られている。(例えば特許文献1)
【0006】
【特許文献1】特開2001−174771号公報
(第1の従来例)
AOTFの従来技術として、薄膜によりSAW導波路を形成し、偏波分離素子としてPBS(Polarized Beam Splitter;偏光ビームスプリッタ)を用いて偏波無依存の構成とするものがある。(例えば特許文献2)図13はこの従来技術によるAOTFであり、基板1、PBS2Aおよび2B、IDT3A、光導波路4Aおよび4B、薄膜6A、SAW吸収体9Aおよび9B、RF電源11Aにより構成される。図13において、基板1上に薄膜6Aを形成することによりSAWを閉じ込め、SAW導波路5Aを構成している。RF電源11Aにより印加されたRF信号により、IDT3Aから発生したSAWは、SAW導波路5Aを伝搬し、光導波路4Aおよび4Bを伝搬する光と相互作用をしてモード変換を行う。IDT3Aより生じたSAWは、SAW吸収体9Aに吸収されるか、SAW導波路5Aを伝搬した後にSAW吸収体9Bにより吸収される。
【0007】
【特許文献2】特開平11−64809号公報
図13において、光導波路のポートAに入射した光は、PBS2AによりTE光とTM光に分離され、それぞれ光導波路4Aおよび4Bを伝搬する。光導波路4Aを伝搬するTE光のうち、SAWとの相互作用によりモード変換された光はTM光となり、PBS2BによりポートDに出力され、モード変換されない光はTE光のままPBS2BによりポートCに出力される。一方、光導波路4Bを伝搬するTM光のうち、SAWとの相互作用によりモード変換された光はTE光となり、PBS2BによりポートDに出力され、モード変換されない光はTM光のままPBS2BによりポートCに出力される。したがって、ポートAに入射し、PBS2AによりTE光とTM光に分離された光のうち、モード変換されなかった光はPBS2BによりポートCに出力され、SAWとの相互作用によりモード変換された光は、PBS2BによりポートDに出力される。これにより、入射した光のTE成分およびTM成分はいずれも、SAWによりモード変換された波長の光はポートDに、モード変換されなかった波長の光はポートCに出力されるという、偏波無依存の構成となっている。
【0008】
(第2の従来例)
図13に示されたAOTFでは、偏波に関わらず目的の波長の光を選択しているが、モード変換に伴う光周波数のドップラーシフトのシフト方向がTE光とTM光で異なるために、受信の際の強度変動による雑音の原因となる。モード変換に伴う光周波数ドップラーシフトのシフト量fsはSAWの周波数に等しく、その方向はTEからTM、TMからTEというモード変換の方向と、光導波路の光の伝搬方向とSAW導波路のSAWの伝搬方向が同じ向きであるか(順方向)、逆向きであるか(逆方向)によって定まる。図4(d)の表に示されるように、モード変換がTEからTMでSAWの伝搬方向が光の伝搬方向と同じ向きであるときと、モード変換がTMからTEでSAWの伝搬方向が光の伝搬方向と逆向きであるときは、光周波数ドップラーシフトのシフト方向は正の方向である。一方、モード変換がTMからTEでSAWの伝搬方向が光の伝搬方向と同じ向きであるときと、モード変換がTEからTMでSAWの伝搬方向が光の伝搬方向と逆向きであるときは、光周波数ドップラーシフトのシフト方向は負の方向である。第1の従来例のようにTEおよびTMのモード変換のためのSAWの進行方向が同一方向であるとき、光周波数ドップラーシフトのシフト方向は逆となり、雑音の原因となる。
【0009】
AOTFの従来技術として、TEをモード変換するSAW導波路のSAW伝搬方向と、TMをモード変換するSAW導波路のSAW伝搬方向とを逆向きとするものがある。(例えば特許文献3および特許文献4)図14はこの従来技術によるAOTFであり、基板1、PBS2Aおよび2B、IDT3Aおよび3B、光導波路4Aおよび4B、Ti拡散による拡散領域7A〜7Cと障壁10Aおよび10B、により構成される。図9において、基板1上にTi拡散による拡散領域7A〜7Cと障壁10Aおよび10Bを形成することによりSAWを閉じ込め、SAW導波路5A〜5Dを構成している。図示しないRF電源により印加されたRF信号により、IDT3Aおよび3Bから発生したSAWは、それぞれSAW導波路5Aおよび5Dを伝搬する。
【0010】
【特許文献3】米国特許第5218653号明細書
【0011】
【特許文献4】特開平9−166795号公報
ここで、SAW導波路5Aと5Bは障壁10Aに対して対称に、SAW導波路5Cと5Dは障壁10Bに対して対称に形成されており、障壁10Aおよび10BはSAWのエバネセント波がそれぞれSAW導波路5Aから5Bおよび5Cから5Dに透過する幅であり、SAW導波路5Aと5Bの間と、SAW導波路5Cと5Dの間に、それぞれ方向性結合によりSAWが伝搬する。したがって、IDT3Aから発生したSAWは、SAW導波路5Aおよび5Bを伝搬し、SAW導波路5Bにおいて、光導波路4Aを伝搬する光と相互作用をしてモード変換を行う。同様に、IDT3Bから発生したSAWは、SAW導波路5Cおよび5Dを伝搬し、SAW導波路5Dにおいて、光導波路4Bを伝搬する光と相互作用をしてモード変換を行う。
【0012】
第1の従来例と同様に、図14におけるAOTFは、光導波路とSAW導波路の相互作用領域におけるモード変換により、入射した光を偏波無依存に分離するが、TE光をモード変換するSAWの進行方向と、TM光をモード変換するSAWの進行方向とが逆方向であるため、図4(d)に示される表にあるように光周波数ドップラーシフトのシフト方向は、モード変換されるTE光とTM光でいずれも同じであり、光周波数ドップラーシフトに起因する雑音を生じないという利点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
第1の従来例では、TE光とTM光をモード変換するSAWの進行方向が同方向であるので、光周波数ドップラーシフトのシフト方向がTE光とTM光で逆となり、雑音の原因となる。モード変換に伴う光周波数ドップラーシフトの影響を回避する手段として、SAWの進行方向を逆で光周波数ドップラーシフトのシフト方向が逆となる同一のAOTFを接続するという方法が知られているが、同一の基板に作成する場合にはSAW同士の干渉が問題となり、また、別々の基板に作成して接続する場合は、接続の作業が煩雑となる。
【0014】
第2の従来例では、TE光とTM光の相互作用するSAWの進行方向が逆向きとし、光周波数のシフト方向をTEとTMで同方向とすることで、第1の従来例の問題点を解決しているが、光に対するSAWの進行方向がTE光とTM光とで異なるため、光導波路を伝搬する光が感じるSAWの波長は、SAWの進行方向が光の進行方向に対して順方向の場合は、SAWの進行方向が光の進行方向に対して逆方向の場合と比較して、光導波路を伝搬する光が感じるSAWの波長は長くなる。
光導波路の実効速度をc’、実効屈折率をNeffとすると、
c’ = c / Neff = c / ( NTE / 2 + NTM / 2 ) (4)
であり、選択波長ドップラーシフトを考慮しない場合の選択波長λからのシフト量をΔλ+、Δλ−とすると、
λ+Δλ+ = ( 1 + V/c /(1 − V/c’) ) λ (5)
λ−Δλ− = ( 1 − V/c /(1 + V/c’) ) λ (6)
となるので、図4(b)に示されるように、SAWが順方向に進行する場合と逆方向に進行する場合とで、選択波長特性が異なる。図4(b)において、実線はSAWが順方向に進行する場合の選択波長特性を、破線はSAWが逆方向に進行する場合の選択波長特性を示す。SAWが順方向に進行して光と相互作用をする場合の選択波長はλ+Δλ+、逆方向に進行して光と相互作用をする場合の選択波長はλ−Δλ−であり、ピークの位置が異なるため、TE光とTM光とでは異なる選択波長特性となり、図4(b)に矢印で示されるようにPDL(Polarization Dependent Loss;偏波依存損失)が生じる。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、偏波無依存構成のAOTFにおいて、光周波数ドップラーシフトのシフト方向をそろえるためにSAW導波路を伝搬するSAWの進行方向を逆向きとしながらも、選択波長特性がTE光とTM光で一致するようなAOTFを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであって、第1の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第1の光導波路と相互作用をする部分における速度は、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第2の光導波路と相互作用をする部分における速度よりも遅いことを特徴とする光フィルタである。
【0017】
これにより、第1の弾性表面波導波路を順方向へ伝搬する弾性表面波の伝搬速度は、第2の弾性表面波導波路を逆方向へ伝搬する弾性表面波の伝搬速度よりも遅いため、(3)式からも導かれるように、図4(b)実線で示される順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長特性と、図4(b)破線で示される逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長特性の、選択波長位置における強度差が減少するので、PDLを減少させることができる。
【0018】
また、弾性表面波の伝搬速度を変化させ、選択波長特性を変化させているので、第1の弾性表面波導波路を順方向へ伝搬する弾性表面波を発生するIDTに印加するRF信号の周波数と、第2の弾性表面波導波路を逆方向へ伝搬する弾性表面波を発生するIDTに印加するRF信号の周波数は同じであっても、PDLを減少させることができる。
【0019】
さらに、弾性表面波を発生させるためにIDTに印加するRF信号の周波数は選択する光波長により変化するが、弾性表面波の伝搬速度はIDTに印加するRF信号の周波数の変化によりほとんど変化しないので、本発明による弾性表面波の伝搬速度を変化させることにより選択波長特性を変化させる手法は、選択する光の波長によらず有効である。
【0020】
複数波長の光を選択する場合には、複数波長のRF信号をIDTに印加して複数波長の弾性表面波を発生させるが、波長の異なる弾性表面波同士の影響を補正するためにRF信号の補正が必要な場合がある。本発明によれば、弾性表面波の伝搬速度を変化させることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長の差が小さくなるように調整しているので、両光導波路のモード変換選択波長の不一致をRF信号の調整により変化させる必要がなく、IDTに印加するRF信号周波数の制御を複雑にする必要がないという利点がある。
【0021】
第2の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅は、前記第2の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅よりも広いことを特徴とする光フィルタである。
【0022】
これにより、順方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路の幅を逆方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路の幅よりも広くして、順方向に伝搬する弾性表面波の速度を逆方向に伝搬する弾性表面波の速度よりも遅くすることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長との差を少なくするか、等しくすることができる。
【0023】
第3の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1および第2の弾性表面波導波路は薄膜によって構成され、前記第1の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜の膜厚と、前記第2の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜の膜厚が異なることを特徴とする光フィルタである。
【0024】
薄膜により弾性表面波を閉じ込めるか、または、弾性表面波をガイドすることにより、弾性表面波導波路を構成することができるが、第3の発明により、弾性表面波導波路を構成する薄膜の膜厚を第1の弾性表面波導波路と第2の弾性表面波導波路とで異なるものとし、順方向に伝搬する弾性表面波の伝搬速度を逆方向に伝搬する弾性表面波の伝搬速度に比べて遅くすることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長との差を少なくするか、等しくすることができる。
【0025】
第4の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1および第2の弾性表面波導波路は金属または金属酸化物が添加された薄膜によって構成され、前記第1の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜に添加された前記金属または金属酸化物の濃度と、前記第2の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜に添加された前記金属または金属酸化物の濃度が異なることを特徴とする光フィルタである。
【0026】
薄膜により弾性表面波を閉じ込めるか、または、弾性表面波をガイドすることにより、弾性表面波導波路を構成することができるが、薄膜に金属または金属酸化物を添加することにより、弾性表面波の伝搬速度が変化するので、第4の発明により、添加する金属または金属酸化物の添加濃度を異なるものとし、順方向に伝搬する弾性表面波の伝搬速度を逆方向に伝搬する弾性表面波の伝搬速度に比べて遅くすることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長との差を少なくするか、等しくすることができる。
【0027】
第5の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1および第2の弾性表面波導波路は前記基板に拡散された金属による閉じ込め効果により形成され、前記金属が拡散された領域の上に薄膜が形成されており、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上の前記薄膜の膜厚と、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上の前記薄膜の膜厚が異なることを特徴とする光フィルタである。
【0028】
金属が拡散された領域の上に薄膜を形成することにより、弾性表面波の閉じ込め効果が変化することが知られているが、第5の発明により金属が拡散された領域に形成された薄膜の膜厚を第1の弾性表面波導波路と第2の弾性表面波導波路とで異なるものとし、順方向に伝搬する弾性表面波の速度を遅くすることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長との差を少なくするか、等しくすることができる。
【0029】
第6の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1および第2の弾性表面波導波路は前記基板に拡散された金属による閉じ込め効果により形成され、前記金属が拡散された領域の上に薄膜が形成されており、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上に形成された前記薄膜の分布が、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上に形成された前記薄膜の分布と異なることを特徴とする光フィルタである。
【0030】
金属が拡散された領域の上に薄膜を形成することにより、弾性表面波の閉じ込め効果が変化することが知られているが、第6の発明により、金属が拡散された領域に形成された薄膜の分布を第1の弾性表面波導波路と第2の弾性表面波導波路とで異なるものとし、順方向に伝搬する弾性表面波の速度を遅くすることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長との差を少なくするか、等しくすることができる。
【0031】
第7の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、第1の弾性表面波導波路と、前記第1の弾性表面波導波路と第1の障壁を隔てて接し、第1の光導波路と相互作用する第2の弾性表面波導波路と、第3の弾性表面波導波路と前記第3の弾性表面波導波路と第2の障壁を隔てて接し、第2の光導波路と相互作用する第4の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第1の光導波路と相互作用をする部分における速度は、前記第4の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第2の光導波路と相互作用をする部分における速度よりも遅いことを特徴とする光フィルタである。
【0032】
これにより、第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度が、第4の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度よりも遅いため、(3)式からも導かれるように、図4(b)実線で示される順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長特性と、図4(b)破線で示される逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長特性の、選択波長位置における強度差が減少するので、PDLを減少させることができる。
【0033】
また、弾性表面波の伝搬速度を変化させ、選択波長特性を変化させているので、第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を発生するIDTに印加するRF信号の周波数と、第4の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を発生するIDTに印加するRF信号の周波数は同じであっても、PDLを減少させることができる。
【0034】
さらに、弾性表面波を発生させるためにIDTに印加するRF信号の周波数は選択する光波長により変化するが、弾性表面波の伝搬速度はIDTに印加するRF信号の周波数の変化によりほとんど変化しないので、弾性表面波の伝搬速度を変化させることにより選択波長特性を変化させる手法は、選択する光の波長によらず有効である。複数波長の光を選択する場合には、複数波長のRF信号をIDTに印加して複数波長の弾性表面波を発生させるが、波長の異なる弾性表面波同士の影響を補正するためにRF信号の補正が必要な場合がある。本発明によれば、弾性表面波の伝搬速度を変化させることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長の差が小さくなるように調整しているので、両光導波路のモード変換選択波長の不一致をRF信号の調整により変化させる必要がなく、IDTに印加するRF信号周波数の制御を複雑にする必要がないという利点がある。
【0035】
第8の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、第1の弾性表面波導波路と、前記第1の弾性表面波導波路と第1の障壁を隔てて接し、第1の光導波路と相互作用する第2の弾性表面波導波路と、第3の弾性表面波導波路と前記第3の弾性表面波導波路と第2の障壁を隔てて接し、第2の光導波路と相互作用する第4の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅は、前記第3の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅よりも広いことを特徴とする光フィルタである。
【0036】
これにより、順方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路の幅を逆方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路の幅よりも広くして、光導波路と相互作用する弾性表面波導波路の順方向に伝搬する弾性表面波の速度を逆方向に伝搬する弾性表面波の速度よりも遅くすることで、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長との差を少なくするか、等しくすることができる。
【0037】
第9の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記前記第1の光導波路の複屈折率は、前記第2の光導波路の複屈折率よりも小さいことを特徴とする光フィルタである。
【0038】
これにより、第1の光導波路の複屈折率 | NTE − NTM | が第2の光導波路の複屈折率よりも小さくなるので、(3)式からも導かれるように、図4(b)実線で示される順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長特性と、図4(b)破線で示される逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長特性の、選択波長位置における強度差が減少するので、PDLを減少させることができる。
【0039】
また、光導波路の幅を変化させることにより選択波長特性を変化させているので、IDTに印加するRF信号を変化させることなく、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長の差が小さくなるように調整することができ、PDLを小さくすることができる。
【0040】
第10の発明は、第1および第2の光導波路と、少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路の深さはほぼ等しく、前記前記第1の光導波路の幅は、前記第2の光導波路の幅よりも広いことを特徴とする光フィルタである。
【0041】
これにより、順方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路と相互作用する光導波路の幅を、逆方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路と相互作用する光導波路の幅よりも広くすることで、順方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路と相互作用する光導波路の複屈折率を逆方向に弾性表面波が伝搬する弾性表面波導波路と相互作用する光導波路の複屈折率よりも小さくすることができるので、順方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長と、逆方向に伝搬する弾性表面波によるモード変換の選択波長とを、差を少なくするか、等しくすることができる。
【0042】
第11の発明は、第1ないし第10の発明による光フィルタであって、前記光フィルタは複屈折性および音響光学効果を有する基板に設けられていることを特徴とする。
【0043】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。(第1の実施例)
本発明の第1の実施例の構成を図1に示す。第1の実施例による光フィルタは、複屈折性および音響光学効果を有する基板としてポートA〜Dのポートを有するLiNbO3の基板1と、偏波分離素子としてPBS(Polarized Beam Splitter;偏光ビームスプリッタ)2Aおよび2Bと、SAW(Surface Acoustic Wave;弾性表面波)を発生するIDT(Inter Digit Transducer;櫛形電極)3Aおよび3Bと、光導波路4Aおよび4Bと、薄膜6Aおよび6Bによりそれぞれ構成されるSAW導波路5Aおよび5Bと、SAW吸収体9A〜9Dとにより構成される。
【0044】
PBS2Aは、基板1のポートAおよびBと光導波路4Aおよび4Bに接続されており、ポートAおよびBからの入射光を偏波にしたがって光導波路4Aまたは4Bに分離して出力する。本実施例のPBS2Aは、ポートAより入射した光をTEおよびTMの2つの偏波に分離し、TE光は光導波路4Aに、TM光は光導波路4Bに出力し、ポートBより入射した光を、TE光は光導波路4Bに、TM光は光導波路4Aに出力する。
【0045】
PBS2Bは、光導波路4Aおよび4Bと基板1のポートCおよびDに接続されており、光導波路4Aおよび4Bからの入射光をその偏波にしたがって基板1のポートCまたはポートDに分離して出力する。本実施例のPBS2Bは、光導波路4Aより入射した光をTEおよびTMの2つの偏波に分離し、TE光は基板1のポートCに、TM光は基板1のポートDに出力する。また、光導波路4Bより入射した光をTEおよびTMの2つの偏波に分離し、TE光は基板1のポートDに、TM光は基板1のポートCに出力する。
【0046】
基板1のポートAに入射した光で、モード変換をされずに本実施例の光フィルタを出力する波長の光は、TE光はPBS2A、光導波路4A、PBS2Bを経由して基板1のポートCに出力され、TM光はPBS2A、光導波路2B、PBS2Bを経由して基板1のポートCに出力される。したがって、基板1のポートAに入射しモード変換をされない光は、いずれの偏波もポートCに出力する。
【0047】
一方、基板1のポートAに入射した光で、モード変換をされて本実施例の光フィルタを出力する波長の光は、TE光はPBS2Aを経由して光導波路4Aに入射し、モード変換によりTM光に変換され、PBS2Bを経由して基板1のポートDに出力され、TM光はPBS2Aを経由して光導波路2Bに入射し、モード変換によりTE光に変換され、PBS2Bを経由して基板1のポートDに出力される。したがって、基板1のポートAに入射しモード変換をされる光は、いずれの偏波もポートDに出力する。
【0048】
基板1のポートAに入射したTE光は、PBS2Aを経由して、光導波路4Aを伝搬するので、SAWの進行方向は光の進行方向に対して順方向であり、図4(d)に示されるように、光周波数ドップラーシフトによるモード変換後の信号光周波数はfo + fsとなる。同様に、基板1のポートAに入射したTE光は、PBS2Aを経由して、光導波路4Bを伝搬するので、SAWの進行方向は光の進行方向に対して逆方向であり、図4(d)に示されるように、光周波数ドップラーシフトによるモード変換後の信号光周波数はfo + fsとなる。したがって、SAW導波路5AとSAW導波路5BのSAWの進行方向が逆方向であるので、光周波数ドップラーシフトによるTE光とTM光の信号光周波数は同方向にシフトする。
【0049】
IDT3Aおよび3Bは、基板1の表面に形成された櫛型の導体であり、指電極が相互にかみ合った形状をしている。IDTの指電極は、IDTに印加されたRF(Radio Frequency;高周波)信号の周波数に対応する周波数のSAWを圧電効果により発する。IDTから出力されたSAWは、SAW導波路5Aおよび5Bを伝搬する。IDTに印加するRF信号の周波数は、(3)式と選択波長から求めることができる。 約170MHzのRF信号をIDTに印加することにより、波長(Λ)約20μmのSAWを発生することができ、| NTE − NTM | は、LiNbO3では約0.072であるので、波長(λ)約1.5μmの光を選択することができる。
【0050】
光導波路4Aおよび4Bは、基板1にTi拡散により形成されており、拡散時間およびマスクパターンを選択することで、図10(c)に断面図で示されるように、導波路幅L2および導波路の深さL3を決めている。
【0051】
薄膜6Aおよび6Bは基板1の表面に形成され、SAWを閉じ込めることにより、SAW導波路5Aおよび5Bを形成する。薄膜によるSAWの閉じ込めについては前述の特開平11−64809号公報(特許文献2)に記されているが、1)基板の表面状態の変化、2)基板表面に物が載っていることによる質量付加効果、3)薄膜のSAW伝搬速度が基板の伝搬速度よりも遅いこと、4)薄膜そのもののSAW閉じ込め効果、等により、薄膜を基板表面に形成することでSAWを閉じ込めていると考えられる。
【0052】
SAWをSAW導波路に閉じ込めることにより、SAWの出力をSAW導波路の方向に集中させることができると共に、SAWの伝搬速度を減少させることができる。本実施例では薄膜6Aおよび6Bの薄膜としてInSnを添加したSiO2薄膜、厚さ0.5μmを使用する。SAW導波路の幅は、伝搬するSAWが単一モードである範囲で可変であり、一般には50μm〜200μmである。光導波路の幅は10μm以下であるので、図2に示されるように、SiO2薄膜のSAW伝搬速度は、いずれのInSn濃度においても基板1のLiNbO3のSAW伝搬速度よりも遅く、SAW導波路の幅が広がるに伴い減少する。
【0053】
SAW吸収体9Aおよび9CはIDT3Aおよび3Bから発生したSAWのうち、SAW導波路5Aおよび5Bとは逆の方向に送出されたSAWを吸収する。また、SAW吸収体9Bおよび9DはそれぞれSAW5Aおよび5Bを伝搬したSAWを吸収する。
【0054】
ここで、順方向および逆方向に伝搬するSAWの伝搬速度を変化させることにより、モード変換の選択波長を変化させることについて見る。選択波長ドップラーシフトがない場合、SAW周波数f、SAW伝搬速度Voにより、波長λoの光がモード変換されるとすると、(3)式より、
λo = ( Vo / f ) | NTE − NTM | (7)
である。一方、SAWが順方向に伝搬するSAW導波路のSAW伝搬速度をV+、選択波長をλ+とし、SAWが逆方向に伝搬するSAW導波路のSAW伝搬速度をV−、選択波長をλ−とすると、(5)および(6)式から、
λ+ = ( 1 + V+ /c’ /(1 − V+ /c’) )( V+ / f ) | NTE − NTM |(8)
λ− = ( 1 − V− /c’ /(1 + V− /c’) )( V− / f ) | NTE − NTM |(9)
となる。
【0055】
いま、選択波長のλoからのシフトの原因が、選択波長ドップラーシフトによるものだけであり、SAWの伝搬速度V+およびV−を変化させることにより、SAWが順方向および逆方向に伝搬する場合の選択波長がλoとなるとすると、
V+ = Vo /( 1 + Vo /c’ ) (10)
V− = Vo /( 1 − Vo /c’ ) (11)
であればよい。
【0056】
したがって、選択波長ドップラーシフトによるモード変換選択波長のシフトをSAWの伝搬速度を変化させることにより補正する場合、AOTFの選択波長範囲に対応するSAWの波長範囲でSAWの伝搬速度が一定ならば、速度の補正量は選択光波長の周波数に依存せず、AOTFの選択波長範囲の全域にわたって選択波長ドップラーシフトを補正することができる。
【0057】
次に、SAW導波路の導波路幅とSAWの伝搬速度について見ると、SAW導波路の導波路幅を広げることにより、SAWの伝搬速度を遅くすることができる。図2はSAW導波路の導波路幅とSAWの伝搬速度との関係を示したグラフであり、図3(a)に示されるような、厚さL1 = 0.4μmのSiO2薄膜6Aにより形成されたSAW導波路の導波路幅とSAWの伝搬速度との関係を、SiO2薄膜6Aに添加するInSnの複数の濃度について示している。基板1の材料であるLiNbO3を、SAW導波路に閉じ込められないでSAWが伝搬するときの伝搬速度はV2 = 3650(m/s)であり、図2に点線で示されている。LiNbO3基板にSiO2薄膜を形成することにより、SAWを閉じ込めるSAW導波路を形成することができる。
【0058】
図2において、●はInSnを添加しないとき、□は11重量%添加したとき、△は60重量%添加したときのSAWの伝搬速度を、SAW導波路の導波路幅を横軸にとって示したものであり、各点に沿った点線および実線は、ΔVが0.5%、0.6%、2.2%のときのSAWの伝搬速度をSAW導波路の導波路幅を横軸にとって示した計算値である。ここで、ΔVは、
ΔV = ( V2 − V1 ) / V2 (12)
であり、SAW導波路の内部と外部の速度差の外部速度に対する割合を示す。ただし、V1は基板1の表面に形成された薄膜6AをSAWがSAW導波路に閉じ込められないで伝搬するときの伝搬速度である。InSnを添加しないとき(図2●)のSiO2薄膜はΔVが0.5%のときに、InSnが11重量%添加されたとき(図2□)はΔVが0.6%のときに、InSnが60重量%添加されたとき(図2△)はΔVが2.2%のときに相当することが、図2のグラフから読み取れる。図2に示されるように、いずれのInSn添加濃度、およびΔVにおいても、SAW導波路の導波路幅を広げることで、SAWの伝搬速度が減少することがわかる。
【0059】
図3(a)は、図1のα−βにおける断面図であり、SAW導波路5Aの幅W11は、SAW導波路5Bの幅W12よりも広く、W11 > W12である。これにより、図2から導かれるように、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度v11はSAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度v12よりも遅く、SAW導波路5Aを伝搬するSAWによるモード変換の選択波長と、SAW導波路5Bを伝搬するSAWによるモード変換の選択波長が等しくなっている。これは、上述のように、SAW導波路の導波路幅を広げると、SAWの伝搬速度が減少し、選択波長が短波長側にシフトすることを利用したものであり、図4(b)に示される、選択波長ドップラーシフトによるPDLを、図4(a)に示されるように解消することができる。
【0060】
なお、第1の実施例においては、図1に示されるように、薄膜6Aおよび6Bによりそれぞれ形成されたSAW導波路5Aおよび5Bは、それぞれ光導波路4Aおよび4Bに対してわずかに斜め方向に(例えば0.48°程度)形成されており、光導波路とSAW導波路との結合係数に重み付けを行うことにより、サイドローブを抑圧している。
【0061】
上記第1の実施例は、図3(a)において、基板1の表面に形成した薄膜によるSAW導波路の導波路幅を変え、SAW導波路5Aの導波路幅W11をSAW導波路5Bの導波路幅W12より広くすることにより、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度をSAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度よりも遅くし、選択波長を等しくしたが、他の方法によりSAW導波路を伝搬するSAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくしてもよい。
【0062】
第1の実施例において、図3(b)に示されるように、SAW導波路5Aの導波路幅W11とSAW導波路5Bの導波路幅W12は等しいものとし、SAW導波路5Aを構成する薄膜の膜厚L11を、SAW導波路5Aを構成する薄膜の膜厚L12より厚くし、L11> L12とすることにより、SAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくしてもよい。図5は、薄膜により形成されたSAW導波路の膜厚と、基板とのSAWの伝搬速度差を示したものである。薄膜の膜厚を増加させることにより、基板表面に物が載っていることによる質量付加効果がより大きくなり、SAW導波路を伝搬するSAWの伝搬速度は遅くなる。これに伴い、導波路の内外の伝搬速度差を示すΔVは大きくなる。なお、図5におけるΔVの値は、図2と同じく導波路にSAWを閉じ込めないときの伝搬速度の差を示すものである。図2に示されるように、ΔVの値が大となると、SAWの伝搬速度は減少するので、L11 > L12とすることにより、SAW導波路5AのΔVをSAW導波路5BのΔVよりも大とし、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度をSAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度よりも遅くすることにより、選択波長を等しくすることができる。なお、図2に示されるように、いずれのΔVにおいてもSAW導波路の導波路幅が広くなるとともに、SAW導波路を伝搬するSAWの伝搬速度は小さくなるので、SAW導波路の導波路幅とSAW導波路を構成する薄膜の膜厚を共に異なるものとすることにより、選択波長を等しくすることもできる。
【0063】
また、第1の実施例において、SAW導波路5Aおよび5Bの導波路幅は変えずに、薄膜に添加する金属や金属酸化物、例えばInSnの濃度を変化させ、SAW導波路を伝搬するSAWの伝搬速度を変化させることにより、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度をSAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度よりも遅くし、選択波長を等しくしてもよい。これは、図2に示されるように、InSnの濃度を、添加しない場合(図2●)から、11重量%添加したとき(図2□)、60重量%添加したとき(図2△)と添加濃度を増加させることにより、SAWの伝搬速度はSAW導波路の導波路幅に関わらず減少することを利用するものである。
【0064】
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例の構成を図6に示す。第2の実施例による光フィルタは、複屈折性および音響光学効果を有する基板としてポートA〜Dのポートを有するLiNbO3の基板1と、偏波分離素子としてPBS2Aおよび2Bと、SAWを発生するIDT3Aおよび3Bと、光導波路4Aおよび4Bと、基板1に金属であるTiが拡散された拡散領域7A〜7Cと、拡散領域7A〜7Cにより形成されたSAW導波路5Aおよび5Bと、SAW吸収体9A〜9Dとにより構成される。
【0065】
薄膜により形成したSAW導波路の幅を変化させることにより、第1の実施例では、SAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくしていたが、第2の実施例では、図6に示されるように拡散領域7A〜7Cにより形成されたSAW導波路の幅を変化させることにより、SAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくする。
【0066】
図6において、PBS2Aおよび2Bは、第1の実施例と同じく偏波にしたがって入射光をTEおよびTMの2つの偏波に分離し出射するものであり、基板1のポートAに入射しモード変換をされない光は、いずれの偏波もポートCに出力し、基板1のポートAに入射しモード変換をされる光は、いずれの偏波もポートDに出力する。光周波数ドップラーシフトによるモード変換後の信号光周波数のシフトを同方向とするために、SAW導波路5AとSAW導波路5Bを伝搬するSAWの方向は逆方向となっており、選択波長ドップラーシフトが生じる。
【0067】
第2の実施例においては、拡散領域7A〜7CによりSAW導波路が形成されている。図7(a)は、図6のα−βにおける断面図であり、光導波路4Aおよび4Bと、拡散領域7A〜7CはいずれもLiNbO3の基板1にTiを拡散することにより形成されるが、SAWを十分に閉じ込めるために、拡散領域7A〜7CへのTiの拡散は、光導波路4Aおよび4Bの拡散よりも時間をかけて行われる。SAW導波路に閉じ込められないでSAWが伝搬するときの伝搬速度は、基板であるLiNbO3ではV1 = 3650(m/s)である。ここで、第1の実施例においては、SAWは薄膜により構成されたSAW導波路を伝搬するので、基板の速度をV2として計算したが、第2の実施例においては、SAWは拡散領域により閉じ込められた領域によるSAW導波路を伝搬するので、基板の速度をV1としている。Tiを拡散した拡散領域の伝搬速度V2はV1よりも速く、(12)式によりΔV = 0.5%程度となる。Tiの拡散領域により形成したSAW導波路の導波路幅を変化させたときのSAWの伝搬速度の変化は、図2のΔV = 0.5%の計算値をプロットしたものとほぼ同じ変化をし、SAW導波路の導波路幅が広がるにつれて、伝搬速度は遅くなる。
【0068】
図7(a)は、図6のα−βにおける断面図であり、SAW導波路5Aの幅W11は、SAW導波路5Bの幅W12よりも広く、W11 > W12である。これにより、図2から導かれるように、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度v11はSAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度v12よりも遅く、SAW導波路5Aを伝搬するSAWによるモード変換の選択波長と、SAW導波路5Bを伝搬するSAWによるモード変換の選択波長が等しくなっている。これは、上述のように、SAW導波路の導波路幅を広げると、SAWの伝搬速度が減少し、選択波長が短波長側にシフトすることを利用したものであり、図4(b)に示される、選択波長ドップラーシフトによるPDLを、図4(a)に示されるように解消することができる。
【0069】
第1の実施例においては、薄膜により形成されたSAW導波路の方向を、光導波路から傾けて形成することにより光導波路とSAW導波路との結合係数に重み付けを行い、サイドローブを抑圧していたが、第2の実施例においては、図6に示されるように、拡散領域により形成されるSAW導波路の端部から光導波路までの距離を、SAWの伝搬方向に対して変化させることにより光導波路とSAW導波路との結合係数に重み付けを行い、サイドローブを抑圧している。
【0070】
なお、第2の実施例においては、拡散領域を形成することによりSAWを閉じ込めてSAW導波路を形成したが、図10(b)に示されるように、基板であるLiNbO3の伝搬速度よりも速い伝搬速度を持つ薄膜、例えばAl2O3薄膜を用いてSAWを閉じ込めることによりSAW導波路を形成し。第2の実施例でTi拡散領域によりSAW導波路を形成した場合と同様に、基板であるLiNbO3の伝搬速度がV1となり、基板よりも速い伝搬速度を持つ薄膜の伝搬速度がV2となるので、第2の実施例と同様にΔVとSAWの伝搬速度の関係を考えることができ、図2に示されるように、SAW導波路の導波路幅が広がるにつれて、伝搬速度は遅くなる。図10(b)に示されるように、光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向にSAWが伝搬するSAW導波路の導波路幅W11は、光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆方向にSAWが伝搬するSAW導波路の導波路幅W12よりも広く、W11 > W12である。これにより、図2から導かれるように、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度v11はSAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度v12よりも遅く、SAW導波路5Aを伝搬するSAWによるモード変換の選択波長と、SAW導波路5Bを伝搬するSAWによるモード変換の選択波長が等しくなっている。
【0071】
また、図10(b)の構成によりSAW導波路を形成する場合、光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬するSAWを閉じ込める薄膜の膜厚L11を、光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆方向に伝搬するSAWを閉じ込める薄膜の膜厚L12より厚くし、L11 > L12とすることにより、SAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくしてもよい。
【0072】
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例の構成を図8に示す。第3の実施例による光フィルタの構成は、複屈折性および音響光学効果を有する基板としてポートA〜Dのポートを有するLiNbO3の基板1と、偏波分離素子としてPBS2Aおよび2Bと、SAWを発生するIDT3Aおよび3Bと、光導波路4Aおよび4Bと、基板1に金属であるTiが拡散された拡散領域7A〜7Cと、拡散領域7A〜7Cにより形成されたSAW導波路5Aおよび5Bと、拡散領域7Aおよび7Cの上にそれぞれ形成された薄膜8Aおよび8Bと、SAW吸収体9A〜9Dとにより構成される。
【0073】
拡散領域により形成されたSAW導波路の幅を変化させることにより、第2の実施例では、SAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくしていたが、第3の実施例では、拡散領域7Aおよび7Bの上にそれぞれ薄膜8Aおよび8Bを形成し、薄膜8Aと薄膜8Bの膜厚を変化させることによりSAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を等しくする。
【0074】
図8において、PBS2Aおよび2Bは、第1の実施例と同じく偏波にしたがって入射光をTEおよびTMの2つの偏波に分離し出射するものであり、基板1のポートAに入射しモード変換をされない光は、いずれの偏波もポートCに出力し、基板1のポートAに入射しモード変換をされる光は、いずれの偏波もポートDに出力する。光周波数ドップラーシフトによるモード変換後の信号光周波数のシフトを同方向とするために、SAW導波路5AとSAW導波路5Bを伝搬するSAWの方向は逆方向となっており、選択波長ドップラーシフトが生じる。
【0075】
第3の実施例も第2の実施例と同じく、拡散領域7A〜7CによりSAW導波路が形成されているが、拡散領域7Aおよび7Cにそれぞれ薄膜8Aおよび8Bが形成されている点で第2の実施例の構成と異なる。図7(a)は、図8のα−βにおける断面図であり、第2の実施例と同様に、光導波路4Aおよび4Bと、拡散領域7A〜7CはいずれもLiNbO3の基板1にTiを拡散することにより形成され、SAWを十分に閉じ込めるために、拡散領域7A〜7CへのTiの拡散は、光導波路4Aおよび4Bの拡散よりも時間をかけて行われる。SAW導波路に閉じ込められないでSAWが伝搬するときの伝搬速度は、基板であるLiNbO3ではV1 = 3650(m/s)である。第2の実施例と同様に、SAWは拡散領域により閉じ込められた領域によるSAW導波路を伝搬するので、基板の速度を(12)式におけるV1としている。Tiを拡散した拡散領域に薄膜を載せた領域の伝搬速度V2はV1よりも速い。拡散領域に薄膜を形成し、薄膜の質量付加効果等によりV2を遅くし、ΔVを変化させることができるので、薄膜8Aの膜厚L11と薄膜8Bの膜厚L12を変えることにより、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度と、SAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度とを変えることができ、選択波長を等しくすることができる。
【0076】
なお、第3の実施例においては、拡散領域7Aおよび7Cの上にそれぞれ形成された薄膜8Aの膜厚L11および薄膜8Bの膜厚L12を変化させるのではなく、薄膜8Aに添加する金属酸化物の濃度を薄膜8Bに添加する金属酸化物の濃度と異なるものとすることにより、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度と、SAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度とを変え、選択波長を等しくしてもよい。
【0077】
さらに、薄膜8Aおよび8Bの薄膜の分布、すなわち薄膜を形成する幅W21およびW22や、薄膜を形成するパターンを変えることにより、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度と、SAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度とを変え、選択波長を等しくしてもよい。
【0078】
(第4の実施例)
本発明の第4の実施例の構成を図9に示す。第4の実施例による光フィルタは、複屈折性および音響光学効果を有する基板としてポートA〜Dのポートを有するLiNbO3の基板1と、偏波分離素子としてPBS2Aおよび2Bと、SAWを発生するIDT3Aおよび3Bと、光導波路4Aおよび4Bと、基板1に金属であるTiが拡散された拡散領域7A〜7Cおよび障壁10A〜10Bと、拡散領域7A〜7Cおよび障壁10A〜10Bにより形成されたSAW導波路5A〜5Dと、SAW吸収体9A〜9Dとにより構成される。
【0079】
図14において、SAW導波路5Aと5B、5Cと5Dは方向性結合をしており、SAW導波路5Aと5Bは障壁10Aに対して対称に、SAW導波路5Cと5Dは障壁10Bに対して対称に形成されている。また、障壁10Aおよび10Bの幅はSAWのエバネセント波が透過する幅となっている。図10(a)は、図6のα−βにおける断面図であり、SAW導波路5Aの導波路幅W11とSAW導波路5Bの導波路幅W12、SAW導波路5Cの導波路幅W13とSAW導波路5Dの導波路幅W14は等しく、W11=W12、W13=W14である。図9において、IDT3Aから発生したSAWは、SAW導波路5Aおよび5Bを伝搬し、SAW導波路5Bにおいて、光導波路4Aを伝搬する光と相互作用をしてモード変換を行う。同様に、IDT3Bから発生したSAWは、SAW導波路5Cおよび5Dを伝搬し、SAW導波路5Dにおいて、光導波路4Bを伝搬する光と相互作用をしてモード変換を行う。
【0080】
図14において、PBS2Aおよび2Bは、第1の実施例と同じく偏波にしたがって入射光をTEおよびTMの2つの偏波に分離し出射するものであり、基板1のポートAに入射しモード変換をされない光は、いずれの偏波もポートCに出力し、基板1のポートAに入射しモード変換をされる光は、いずれの偏波もポートDに出力する。光周波数ドップラーシフトによるモード変換後の信号光周波数のシフトを同方向とするために、SAW導波路5Aおよび5Bを伝搬するSAWの方向と、SAW導波路5Cおよび5Dを伝搬するSAWの方向とは逆方向となっており、選択波長ドップラーシフトが生じる。
【0081】
第4の実施例において、SAW導波路5A〜5DはTi拡散領域により形成されているので、第2の実施例と同じく、SAW導波路の導波路幅とSAWの伝搬速度との関係は図2に示されるようになっており、SAW導波路の導波路幅が広がるにつれて、伝搬速度は遅くなる。図9および図10(a)において、SAW導波路の導波路幅を、W11=W12>W13=W14とすることにより、SAW導波路5Aおよび5Bを伝搬するSAWの伝搬速度を、SAW導波路5Cおよび5Dを伝搬するSAWの伝搬速度よりも遅くすることで、選択波長を等しくすることができる。
【0082】
なお、方向性結合による偏波無依存型の構成である第4の実施例においては、障壁10Aおよび10Bの厚さの分布を変化させることにより、SAW導波路5Aと5B、5Cと5Dの結合状態を変化させ、光導波路とSAW導波路の結合係数に重み付けをつけることができるが、この場合においても、SAW導波路の導波路幅は、W11=W12、W13=W14となっているので、SAW導波路の導波路幅を変化させることにより、SAWの伝搬速度を変化させ、選択波長を一致させることができる。(第5の実施例)
本発明の第5の実施例の構成を図11に示す。第5の実施例による光フィルタは、複屈折性および音響光学効果を有する基板としてポートA〜Dのポートを有するLiNbO3の基板1と、偏波分離素子としてPBS2Aおよび2Bと、SAWを発生するIDT3Aおよび3Bと、光導波路4Aおよび4Bと、基板1に金属であるTiが拡散された拡散領域7A〜7Cと、拡散領域7A〜7Cにより形成されたSAW導波路5A〜5Dと、SAW吸収体9A〜9Dとにより構成される。
【0083】
図9に示される第4の実施例においては、光導波路を伝搬する光と相互作用をするSAWが伝搬するSAW導波路であるSAW導波路5Bおよび5Dと、IDTから発生するSAWを伝搬するSAW導波路であるSAW導波路5Aおよび5Cとは、それぞれが方向性結合により結合していたが、図11に示される第5の実施例においては、光導波路を伝搬する光と相互作用をするSAWが伝搬するSAW導波路であるSAW導波路5Bおよび5Dと、IDTから発生するSAWを伝搬するSAW導波路であるSAW導波路5Aおよび5Cとが部分的に接することにより結合している。
【0084】
図9において、IDT3Aから発生したSAWはSAW導波路5Aを通じて伝搬するが、SAW導波路5Bにおいては、SAW導波路5Aと5Bの接合部だけではなくSAW導波路5B全体を伝搬し、光導波路4Aを伝搬する光と相互作用をしてモード変換をする。同様に、IDT3Bより発生したSAWは、SAW導波路5D全体を伝搬し、光導波路4Aを伝搬する光と相互作用をしてモード変換をする。
【0085】
したがって、第4の実施例と同様に、SAW導波路5Aを伝搬するSAWの伝搬速度を、SAW導波路5Cを伝搬するSAWの伝搬速度より遅くすることにより、SAW導波路5Bを伝搬するSAWの伝搬速度を、SAW導波路5Cを伝搬するSAWの伝搬速度より遅くすることができるので、選択波長を等しくすることができる。
(第6の実施例)
本発明の第6の実施例は、図10(c)に示される光導波路の深さおよび幅を変化させることにより、光導波路の複屈折率を変化させ、モード変換の選択波長を変化させるものである。図12に示されるように、光導波路の複屈折率は導波路幅により変化し、導波路幅が広がると複屈折率は減少するので、(3)式より選択波長は短波長側へとシフトする。したがって、相互作用をするSAWの伝搬方向が順方向である光導波路の導波路幅を、相互作用をするSAWの伝搬方向が逆方向である光導波路の導波路幅より広くすることにより、選択波長を等しくすることができる。なお、特開2001−174771号公報(特許文献1)にあるように、図12に示される導波路幅と複屈折率のグラフの傾きは、光導波路の深さを変化させることにより変化する。光導波路の深さを異なるものとすることにより選択波長を等しくすることも可能であるが、光導波路ごとに拡散時間を変える必要があるので、あまり実用的ではない。
【0086】
第6の実施例による光フィルタは、図1、図6、図9、図11等のSAWがそれぞれ逆方向に伝搬する偏波無依存型AOTFの構成に対して適用することができる。すなわち、上記図面の構成で、SAWが順方向に伝搬するSAW導波路と、逆方向に伝搬するSAW導波路の導波路幅、薄膜の膜厚、薄膜への添加金属酸化物の濃度、薄膜のパターン等を等しくし、光導波路の導波路幅を変化させればよい。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光フィルタによれば、IDTに印加するRF信号を変化させることなく、モード変換に伴う選択光信号の周波数シフト方向をTE光とTM光とでそろえながら、選択波長ドップラーシフトによるPDLを防止することができる。本発明の構成は、選択光波長およびIDTに印加するRF信号の周波数には依らないので、複数波長を選択する場合にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す構成図。
【図2】SAW導波路の導波路幅とSAWの伝搬速度の関係を示す図。
【図3】本発明の第1実施例の断面図。
【図4】AOTFにおける選択光周波数および波長シフトを示す図。
【図5】膜により形成したSAW導波路の膜厚と伝搬速度差の関係を示す図。
【図6】本発明の第2実施例を示す構成図。
【図7】本発明の第2および第3実施例の断面図。
【図8】本発明の第3実施例を示す構成図。
【図9】本発明の第4実施例を示す構成図。
【図10】本発明の第2および4実施例の断面図と光導波路の断面図
【図11】本発明の第5実施例を示す構成図。
【図12】光導波路の導波路幅と複屈折率との関係を示す図。
【図13】従来の技術によるAOTFを示す構成図。
【図14】従来の技術によるAOTFを示す構成図。
【符号の説明】
1:基板
2A、2B:偏光ビームスプリッタ(PBS)
3A、3B:櫛形電極(IDT)
4A、4B:光導波路
5A〜5D:SAW(SAW)導波路
6A〜6B:薄膜
7A〜7B:Ti拡散領域
8A〜8B:Ti拡散領域上に設けられた薄膜
9A〜9D:吸収体
10A〜10B:隔壁
11A:RF電源
Claims (11)
- 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第1の光導波路と相互作用をする部分における速度は、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第2の光導波路と相互作用をする部分における速度よりも遅いことを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅は、前記第2の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅よりも広いことを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1および第2の弾性表面波導波路は薄膜によって構成され、前記第1の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜の膜厚と、前記第2の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜の膜厚が異なることを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1および第2の弾性表面波導波路は金属または金属酸化物が添加された薄膜によって構成され、前記第1の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜に添加された前記金属または金属酸化物の濃度と、前記第2の弾性表面波導波路を構成する前記薄膜に添加された前記金属または金属酸化物の濃度が異なることを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1および第2の弾性表面波導波路は前記基板に拡散された金属による閉じ込め効果により形成され、前記金属が拡散された領域の上に薄膜が形成されており、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上の前記薄膜の膜厚と、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上の前記薄膜の膜厚が異なることを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1および第2の弾性表面波導波路は前記基板に拡散された金属による閉じ込め効果により形成され、前記金属が拡散された領域の上に薄膜が形成されており、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上に形成された前記薄膜の分布が、前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波を閉じ込める前記領域の上に形成された前記薄膜の分布と異なることを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
第1の弾性表面波導波路と、
前記第1の弾性表面波導波路と第1の障壁を隔てて接し、第1の光導波路と相互作用する第2の弾性表面波導波路と、
第3の弾性表面波導波路と
前記第3の弾性表面波導波路と第2の障壁を隔てて接し、第2の光導波路と相互作用する第4の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第1の光導波路と相互作用をする部分における速度は、前記第4の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波の前記第2の光導波路と相互作用をする部分における速度よりも遅いことを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
第1の弾性表面波導波路と、
前記第1の弾性表面波導波路と第1の障壁を隔てて接し、第1の光導波路と相互作用する第2の弾性表面波導波路と、
第3の弾性表面波導波路と
前記第3の弾性表面波導波路と第2の障壁を隔てて接し、第2の光導波路と相互作用する第4の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅は、前記第3の弾性表面波導波路の弾性表面波進行方向に対する幅よりも広いことを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記前記第1の光導波路の複屈折率は、前記第2の光導波路の複屈折率よりも小さいことを特徴とする光フィルタ。 - 第1および第2の光導波路と、
少なくとも1つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路に前記分離した光を出力する第1の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路からの光を入力し、前記第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
前記第1の光導波路と相互作用をする第1の弾性表面波導波路と、
前記第2の光導波路と相互作用をする第2の弾性表面波導波路とを備え、
前記第1の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と同じ方向に伝搬しており、
前記第2の弾性表面波導波路を伝搬する弾性表面波は前記第1および第2の光導波路を伝搬する光の伝搬方向と逆の方向に伝搬しており、
前記第1の光導波路と前記第2の光導波路の深さはほぼ等しく、
前記前記第1の光導波路の幅は、前記第2の光導波路の幅よりも広いことを特徴とする光フィルタ。 - 前記光フィルタは複屈折性および音響光学効果を有する基板に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし10記載の光フィルタ。
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