JP2004219554A - 光通信用レンズ系、光ファイバコリメータ、及び光アイソレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】広い波長帯域(980〜1650nm)で色収差が良好に補正された光通信用レンズ系と、その光通信用レンズ系を用いた光通信用部品を提供する。
【解決手段】2価以上の金属酸化物のモル比を変化させて屈折率分布を設けることにより光通信用レンズ系10を構成する。このようにして構成した光通信用レンズ系10と光ファイバ20とを組み合わせて光ファイバコリメータ200を構成する。
【選択図】 図8
【解決手段】2価以上の金属酸化物のモル比を変化させて屈折率分布を設けることにより光通信用レンズ系10を構成する。このようにして構成した光通信用レンズ系10と光ファイバ20とを組み合わせて光ファイバコリメータ200を構成する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野に最適なレンズ系と、この光通信用レンズ系を利用した光通信用部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信用部品はいずれも光ファイバとの結合が問題になるものが多い。例えば光アイソレータや光サーキュレータでは、光ファイバ中に伝送している光を一度光ファィバから取り出して所望の処理を施した後、再び光ファイバに挿入する。この際にはなるべく光の損失を防ぐ必要がある。また、LD(レーザダイオード)を利用する際にも、LDから発振されるレーザ光を出来るだけ高い結合効率で光ファイバに挿入しなければならない。
【0003】
こういった光通信用部品と光ファイバとの結合効率を高めるためにレンズが多用されている。この場合に使用されるレンズとしては、ボールレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、屈折率分布型レンズなどが挙げられるが、中でも円筒形状で半径方向に屈折率分布を有するラディアル型屈折率分布型レンズ(以下GRINレンズと称する)は組立て時のアライメントが容易であるという利点により広く利用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−286076号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通信トラフィックは爆発的に増大しており、それに伴って光通信で利用する光の波長帯域も年々拡大している。また、将来的には1250〜1650nmにも及ぶ幅広い帯域の光が同一の光ファイバ中を伝送されるという予想もある。更に、光通信に欠かせない技術の一つであるErドープファイバ増幅器は、1550nm付近の光通信波長帯を増幅するために980nmの励起光を使用する場合がある。このときには、980〜1650nmという非常に広い帯域に亘る光が同一の光ファイバ内に混在することになる。このため、Erドープファイバ増幅器などで用いられる光通信用レンズ系は、980〜1650nmの光通信波長域において良好に機能することが望まれる。
【0006】
しかし、従来の光通信において用いられてきたボールレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、屈折率分布型レンズなどはいずれも980〜1650nmの全域で使用できるように色収差を補正していないので、光ファイバとの高い結合効率が期待できなかった。この結果、光ファイバとの結合にいくつかの光通信用レンズを用いる光アイソレータや光サーキュレータなどの光通信用部品を980〜1650nmの光通信波長域全体で良好に機能させることは非常に困難であった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、広い波長帯域(980〜1650nm)において色収差が良好に補正された光通信用レンズ系と、この光通信用レンズ系を用いた光通信用部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明による光通信用レンズ系は、2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させて形成される屈折率分布を有する屈折率分布型レンズを具備することを特徴とする。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、第2の発明による光通信用レンズ系は、第1の発明において、上記屈折率分布型レンズは、上記金属酸化物としてFe2O3を含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、第3の発明による光通信用レンズ系は、第1又は第2の発明において、上記屈折率分布型レンズは、Nb、Ta、Ti、Zr、Feのうち少なくとも一つの金属元素を含む第1の金属酸化物の濃度と、Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Trのうち少なくとも一つの金属元素を含む第2の金属酸化物の濃度を、それぞれ逆方向に分布させてなる屈折率分布を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の課題を解決するために、第4の発明による光通信用レンズ系は第1及び第2の発明において、上記屈折率分布型レンズは、Nb、Ta、Ti、Zr、Feのうち少なくとも一つの金属元素を含む第1の金属酸化物の濃度と、Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Trのうち少なくとも一つの金属元素を含む第2の金属酸化物の濃度のうち、少なくとも一方の金属酸化物の濃度を変化させてなる屈折率分布を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、第5の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第4の発明において、上記屈折率分布型レンズは、以下の(1)式により求められる屈折率分布による分散係数V1が、V1>100を満たすことを特徴とする。
V1=N1,1550/(N1,980−N1,1650) (1)
ここで、N1,1550は波長1550nmにおける屈折率の2次の係数であり、N1,980は波長980nmにおける屈折率の2次の係数であり、N1,1650は波長1650nmにおける屈折率の2次の係数である。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、第6の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第5の発明において、上記屈折率分布型レンズは、ゾル−ゲル法により作成されることを特徴とする。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、第7の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第6の発明において、正のパワーを有する回折型光学素子を更に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、第8の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第7の発明において、上記屈折率分布型レンズの両端面が平面であることを特徴とする。
【0016】
更に、上記の課題を解決するために、第9の発明による光ファイバコリメータは、第1〜第8の発明のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系と少なくとも1本の光ファイバとによって構成されることを特徴とする。
【0017】
また、上記の課題を解決するために、第10の発明による光アイソレータは、第9の発明の光ファイバコリメータと、光アイソレータとを含んで構成されることを特徴とする。
【0018】
以下に第1〜第10の発明の作用及び効果について説明する。
本発明の光通信用レンズ系はラディアル方向に屈折率が分布したGRINレンズで構成されており、その屈折率は以下の式(a)によって表される。
N(r)=N0+N1r2+N2r4+… (a)
ここで、N0は中心の屈折率、Ni(i=1,2…)は屈折率分布を表す係数、rは光軸を中心としたラディアル方向の距離である。
【0019】
このようなラディアル型GRINレンズは中心から周辺にかけてガラス組成を変化させることにより実現できる。ガラスの組成から屈折率やアッベ数を求める方法としては、例えばアプライドオプティクスVol.22、No.3(1983)pp.432に紹介されているHSD法がある。このHSD法を用いることによって、可視域において良好な色収差補正が可能なラディアル型GRINレンズのガラス組成分布を予測することが可能となっている。これ以降はこのHSD法を光通信波長域(980〜1650nm)に適用したとして説明する。
【0020】
光通信波長域(980〜1650nm)における基準波長を980、1550、1650nmとすると、ラディアル型GRINレンズの光通信波長域における分散係数V0、V1、及び軸上色収差PACをそれぞれ以下の式(b)、(c)、(d)で表すことができる。
V0=(N0,1550−1)/(N0,980−N0,1650) (b)
Vi=Ni,1550/(Ni,980−Ni,1650) (i=1,2…) (c)
PAC=K(φs/V0+φm/V1) (d)
ただし、式(c)においてNi , wはそれぞれ、基準波長w(w=980nm、1550nm、1650nm)における屈折率及び屈折率分布を表す係数である。また、Kは光線高に関する定数、φsは光通信用レンズ系の面によるパワー、φmはGRIN媒質のパワーである。
【0021】
まず、第1〜第6の発明の作用及び効果について説明する。
【0022】
ラディアル型GRINレンズの軸上色収差PACを小さくするには、V0<V1を満足し、更に屈折率と分散係数に図1のような関係を持たせればよいことが例えば、特開平5−88003号公報等で知られている。そこで、光通信波長域(980〜1650nm)においてラディアル型GRINレンズの分散係数V0、V1と屈折率−分散係数の関係がガラス組成によってどのように変化するかを比較する。
【0023】
まず、1価の金属酸化物Tl2Oを含む3成分のSiO2−TiO2−Tl2Oガラスを用いたラディアル型GRINレンズにおいて各成分比を変化させたときの屈折率と分散係数との関係をHSD法によって求める。このとき、SiO2とTiO2のラディアル方向のモル数比は100:m(m=10〜90)とする。つまり、SiO2のモル数を固定し、Tl2Oのモル数をHSD法によって屈折率の算出ができる範囲内で変化させる。このときのそれぞれの分散係数V0とV1の値を表1に示すといずれの組成比においても常にV0>V1となることがわかる。
【0024】
【表1】
【0025】
また、表1に示したラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数との関係は図2のようになり、この図2の関係は図1の関係とは異なる変化を示すことがわかる。更に、他の1価の金属酸化物M2O(MはNa、K、Rb、Csのいずれか)についても調べてみたところ、同じ傾向が得られることから、1価の金属酸化物M2Oのモル数比をラディアル方向に変化させても色収差を良好に補正することが可能なラディアル型GRINレンズの実現は困難であるといえる。
【0026】
これに対し、本発明のように1価の金属酸化物の代わりに2価の金属酸化物MO(MはCa、Sr、Zn、Baのいずれか)を含んだ3成分のSiO2−TiO2−MOガラスを用いたラディアル型GRINレンズにおいて、同様にラディアル方向にMOのモル数比を変化させた場合には、表2に示すように、V0<V1を満足させる組成比を求めることができる。
【0027】
【表2】
【0028】
また、表2のそれぞれの金属元素についての屈折率と分散係数の関係を図3に示すと、この場合にはいずれの金属酸化物も図1と同様な変化を示す。つまり、2価の金属酸化物のモル数比をラディアル方向に変化させたラディアル型GRINレンズならば、色収差を良好に補正できるので、980〜1650nmという非常に広い光通信波長域での利用に適した光通信用レンズ系を実現することも可能となる。
【0029】
次に、いずれも2価以上の金属元素による金属G群(Nb、Ta、Ti、Zr、Fe)と金属F群(Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Ta)のそれぞれから少なくとも1種の金属元素の酸化物を用い、その用いる金属元素のそれぞれの濃度をラディアル方向に対して互いに逆方向に分布させる、もしくはいずれかの金属群の金属酸化物のモル数比を変化させた場合の屈折率と分散係数との関係をHSD法により求めると以下の表3のようになる。ここでSiO2のモル数比は省略したが、いずれも100である。
【0030】
【表3】
【0031】
表3より、いずれの場合においてもV0<V1を満足していることがわかる。同時に屈折率と分散係数との関係は図1と同様に変化することから、この場合でも色収差を良好に補正できるので、この金属G、F群の多彩な組合せで実現されるラディアル型GRINレンズを用いることにより980〜1650nmという非常に広い光通信波長域での利用に適した光通信用レンズ系を実現することが可能となる。
【0032】
ところで、ラディアル型GRINレンズの作製方法にはイオン交換法とゾル−ゲル法とがあるが、イオン交換法は主に1価の金属イオンを移動させることができるのに対し、ゾル−ゲル法は1価だけでなく2価以上の金属イオンを移動させることができるという特徴をそれぞれ有している。
【0033】
前述したように、980〜1650nmの光通信波長域において色収差を良好に補正できるラディアル型GRINレンズの実現は、1価の金属酸化物では困難であり、2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させた場合に可能となることから、光通信用レンズ系に用いるラディアル型GRINレンズはゾル−ゲル法によって作製することが望ましいと言える。
【0034】
現在利用されている光通信用レンズ系は色収差補正を行っていないラディアル型GRINレンズを使用しており、その分散係数V0、V1はそれぞれ100、50程度である。したがって、式(d)から判断すると、軸上色収差PACを小さくするには、媒質と面のパワーの符号を変えて相殺させることが必要となることがわかる。
【0035】
しかし、光通信用レンズ系に用いられるラディアル型GRINレンズでは、面にパワーをもたせることが少ないので、発生する色収差はV1に大きく起因し、しかもこのV1が高々50程度であるので色収差の発生量は大きくなる。この結果、光通信用レンズ系とシングルモードファイバとの結合損失は、波長によって大きく変化することになる。このため、このようなラディアル型GRINレンズは光通信波長域内において特定の範囲でしか使用できない。この現在使用されている光通信用ラディアル型GRINレンズの色収差の問題は、1価の金属酸化物の濃度を変化させることによって屈折率分布を実現させていることが原因である。この1価の金属酸化物の濃度変化による屈折率分布では色収差を抑えることができないのは前述したとおりである。これに対し、ゾル−ゲル法によって2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させて、ラディアル型GRINレンズを構成した場合には、V1をV1>100とすることが容易で、これまでの光通信用レンズ系に比べて良好に色収差補正できるラディアル型GRINレンズを実現することが可能となる。
【0036】
次に第7の発明の作用及び効果について説明する。
【0037】
イオン交換法のようなゾル−ゲル法以外で作製されたGRINレンズでは、ゾル−ゲル法に比べて制御が可能な成分が限られてしまうので色収差の補正を良好に行うことができない。こういった色収差補正がなされていないGRINレンズに対しては、一つの面を正のパワーをもつDOEにすることで色収差を補正することが可能となる。以下にその理由について説明する。但し、DOEの設計法にはSweatt法(超高屈折率法)を使用し(W.C.Sweatt,Mathematical equivalence between a holographic optical element and an ultra−high index lens”,J.Opt.Soc.Am,Vol.69,No.3 (1979))、基準波長を1.550nmとする。
【0038】
DOEを含んだレンズ系の軸上色収差PACは以下の式(d´)で表される。
【0039】
PAC=K´(φs/V0+φm/V1+φD/VD) (d´)
但し、K´は光線高に関する定数である。また、φD、VDはそれぞれDOEのパワーと分散係数である。このとき、DOEの分散係数は以下の式(e)で求められる。
【0040】
VD=(ND,1550−1)/(ND,980−ND,1650) (e)
ここでND , 1550、ND , 980、ND , 1650はそれぞれ、DOEの波長1550nm、980nm、1650nmにおける屈折率で、これらはガラスの成分によらず基準波長の屈折率を決めれば他の屈折率は一意的に求められる。例えば、d線(波長587.56nm)の屈折率を1001と置くと、波長1550nm、980nmと1650nmの屈折率はそれぞれ2638.03、1667.92、2808.22となり、このとき980nmから1650nmの波長範囲での分散係数VDは−2.31と負の値になる。
【0041】
したがって式(d´)より明らかなようにDOEのパワーを正とすることで軸上色収差PACを小さくすることが可能となる。
【0042】
次に第8の発明の作用及び効果について説明する。
【0043】
第8の発明では、光通信用レンズ系に使用するラディアル型GRINレンズの両端面が平面である。これにより、アライメントや組立てが容易になるだけでなくコストの低減も実現できる。
【0044】
次に第9の発明の作用及び効果について説明する。
【0045】
光通信波長域(980〜1650nm)の範囲で良好に色収差補正したラディアル型GRINレンズによって構成される光通信用レンズ系は、光通信波長域(980〜1650nm)において光ファイバとの結合効率を高くすることが可能となるので、このような光通信用レンズ系と光ファイバとを組み合わせることで高性能なファイバコリメータを実現することができる。
【0046】
次に第10の発明の作用について説明する。
【0047】
光通信で利用されているインライン型アイソレータは、ファイバコリメータとフリースペース型の光アイソレータとで構成されている。したがって色収差が良好に補正されたラディアル型GRINレンズを用いたファイバコリメータを採用することにより、光通信波長域(980〜1650nm)全域で波長に依存せずに良好に機能する光アイソレータの実現が可能となる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。
【0049】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、前述の色収差を補正した光通信用レンズ系に関するものである。以下に、第1実施形態を実際に適用した具体例を示す。但し、いずれの光通信用レンズ系も、1550nmの波長に関する後側焦平面が最終面と一致するようにレンズ厚を選んでおり、また屈折率N0及び屈折率分布N1、N2はいずれも基準波長(1550nm)における値を示すこととする。
【0050】
(具体例1)
具体例1の光通信用レンズ系は、表2に挙げた2価の金属酸化物としてBaの濃度をゾル−ゲル法によって半径方向に分布させたラディアル型GRINレンズで構成されるものである。以下の表4にこのBa系GRINレンズの仕様を示す。
【0051】
【表4】
【0052】
このBa系ラディアル型GRINレンズの軸上色収差PAC、非点収差、ディストーションを図4(a)に、断面図を図4(b)に示す。図4(a)において、980〜1650nmの波長範囲で軸上色収差PACは10μm以内と非常に良好に補正されており、同時に像高が0.125mmでも諸収差は良好に補正されていることがわかる。したがって、このBaOのモル数比をラディアル方向に変化させたラディアル型GRINレンズを用いれば、980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現させることができる。
【0053】
なお、ゾル−ゲル法であれば、表2に示したBaO以外の2価の金属酸化物であっても色収差を補正したラディアル型GRINレンズが実現可能なので、同様に他の2価の金属酸化物でも980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現することができる。
【0054】
(具体例2)
具体例2の光通信用レンズ系は、表2に挙げた2価以上の金属酸化物としてLaをゾル−ゲル法によって半径方向に濃度を変化させながら分布させたラディアル型GRINレンズで構成されるものである。具体例2の仕様を以下の表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
このLa系ラディアル型GRINレンズの軸上色収差PAC、非点収差、ディストーションを図5(a)に、断面図を図5(b)に示す。図5(a)において、980〜1650nmの波長範囲で軸上色収差PACは10μm以内と非常に良好に補正されており、同時に像高が0.125mmになっても他の諸収差は良好に補正されていることから、このLa2O3のモル数比をラディアル方向に変化させたラディアル型GRINレンズを用いれば、980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現させることができる。
【0057】
また、ゾル−ゲル法であれば、表3に示したような金属群G(Nb、Ta、Ti、Zr、Fe)と金属群F(Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Ta)の様々な組合せによるラディアル型GRINレンズの作製も可能である。これらのラディアル型GRINレンズでも980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現することができる。
【0058】
なお、Laは希土類元素であるが、希土類元素は類似した特性を示すことからLa2O3の全部もしくは一部に他の希土類酸化物を用いてもよい。
【0059】
(具体例3)
具体例3の光通信用レンズ系は、以下の表6に示すように、色収差補正を行っていないGRINレンズに非球面のDOEを組み合わせた構成となっている。ここでDOEの非球面形状は、zを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直交する方向に取ると下記の式にて表される。
【0060】
z=(y2/r)[1+{1−(1+K)(y/r)2}1/2A4y4+…
ただし、rはDOEの近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4は4次の非球面係数である。また、各波長のDOEの等価屈折率はd線(587.56nm)の屈折率を1001として求めることとする。
【0061】
以下に具体例3の仕様を示す。
【0062】
【表6】
【0063】
具体例3の非表面のDOEを有するGRINレンズの軸上色収差PACを始めとする諸収差を図6(a)に、断面図を図6(b)に示す。また、比較のために、具体例3と同様の仕様で非球面DOEを有さない場合を図7に示す。図7では、軸上色収差PACが波長範囲980〜1650nmの範囲で20μm以上のズレが生じるのに対し、図6(a)では軸上色収差PACが良好に補正され10μm以内に収まっている。このことから、色収差が補正されていないGRINレンズでもDOEを用いることで色収差の補正が可能となり、光通信波長域(980〜1650nm)の全域で利用が可能な光通信用レンズ系を実現することができる。また、ここで挙げた以外のGRINレンズであっても、そのGRINレンズに適したDOEを採用することで色収差補正を行うことが可能である。
【0064】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、前述の具体例1〜3のいずれかの光通信用レンズ系と少なくとも1本の光ファイバとによって構成される光ファイバコリメータである。
【0065】
(具体例4)
具体例4の光ファイバコリメータ200を図8(a)、図8(b)に示す。この光ファイバコリメータ200は、光通信用レンズ系10とシングルモード光ファイバ(以下SMF)20によって構成されている。なお、図8(a)は、SMF20から出射される光に対するコリメータとして、また、図8(b)は、光通信用レンズ系10に入射するコリメート光をSMF20に結合するための集光レンズとしてそれぞれ機能する場合を示している。
【0066】
ここで、光通信用レンズ系10には、具体例1で示したBa系GRINレンズを採用しており、これは図5に示したように色収差が良好に補正されていることから、波長範囲が980〜1650nmにおいて図8(a)、図8(b)のいずれの用途に対しても良好に機能する。
【0067】
ところで、本具体例4においては、光通信用レンズ系10として具体例1で示したBaOを分布させたラディアル型GRINレンズを採用したが、前述の金属群G(Nb、Ta、Ti、Zr、Fe)と金属群F(Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Ta)の組合せによるラディアル型GRINレンズや前述の具体例3で示したDOEを有するラディアル型GRINレンズを用いても同様の効果を得ることが出来る。但し、DOEを有するラディアル型GRINレンズは、DOEの面がSMF20に対して反対側に位置するように配置する。
【0068】
また、本具体例4ではSMF20を用いているが、代わりに分散シフトファイバやErドープファイバなど他の光ファイバでもよい。
【0069】
(具体例5)
具体例5の二心光ファイバコリメータ210は図9に示すように光通信用レンズ系10とSMF20、21によって構成されている。光通信用レンズ系10には具体例2で示したLa系のラディアル型GRINレンズを用いており、SMF20、21は光通信用レンズ系10の光軸を中心に対称に結合されている。具体例2で示したようにLa系のラディアル型GRINレンズは、像高が0.125mmでも色収差以外の諸収差も良好に補正されているので、SMF20、21から光通信レンズ用系10に980〜1650nmの範囲内の光を入射させても良好にコリメートされる。また、波長が980〜1650nm内にあるコリメート光が光通信用レンズ系10にそれぞれSMF20、21へ所望の角度を有して入射しても波長に依存せず高い効率で結合される。
【0070】
また、本具体例5の光通信用レンズ系10に使用するラディアル型GRINレンズは、具体例1に示されるBa系ラディアル型GRINレンズや具体例3に示されるDOEを有するラディアル型GRINレンズであっても良く、光ファイバもSMF以外のものでも良い。
【0071】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、前述の第2実施形態で示された光ファイバコリメータとフリースペース型光アイソレータ30によって構成されるインライン型光アイソレータである。以下に本第3実施形態の具体例について示す。
【0072】
(具体例6)
本発明の具体例6のインライン型光アイソレータは図10に示すようにフリースペース型光アイソレータ30と具体例4で示した光ファイバコリメータ200、201によって構成される。ここで、光ファイバコリメータ200及び201は同じ仕様のものである。
【0073】
本実施の形態におけるフリースペース型光アイソレータが良好に機能するためには、出来るだけ厳密にコリメート光を入射させる必要があるが、具体例4で示した光ファイバコリメータ200は、980〜1650nmの幅広い波長範囲の光に対して波長に依存せずに良好にコリメート光を発生することが出来るのでインライン型光アイソレータとしても良好に機能する。
【0074】
また、ここではインライン型光アイソレータを例として示したが、第1実施形態で示した光通信用レンズ系はLD用の光アイソレータにも充分利用することが出来る。
【0075】
ここでは、本発明の光通信用レンズ系を用いた光通信用部品として光アイソレータを取り上げた。しかし、これ以外にも本発明の光通信用レンズ系は、3−ポート光サーキュレータ、4−ポート光サーキュレータ、光アッテネータ、光ADM(add/drop multiplexer)などを始めとした光ファイバコリメータを利用した光通信用部品にも用いることができる。
【0076】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ゾル−ゲル法によって作製する屈折率分布型レンズ、もしくはDOEを有する屈折率分布型レンズを用いることにより、光通信波長域(980〜1650nm)に亘って色収差が良好に補正された光通信用レンズ系を提供することが可能となる。
【0078】
また、この光通信用レンズ系を利用することで波長に依存せずに良好な性能を発揮する光ファイバコリメータやインライン型光アイソレータなどを始めとする光通信用部品を実現することができる。
【0079】
更に、本発明に示したラディアル型GRINレンズにはいずれも人体の健康を脅かすような毒性を持つ成分は含まれていないので、作製や使用時の取り扱いが安全な光通信用レンズ及びそのような光通信用レンズを利用した光通信用部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸上色収差が良好に補正されるラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数の関係を表す図。
【図2】1価の酸化物のモル数比をラディアル方向に変化させることによって実現されるラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数との関係図。
【図3】2価の酸化物のモル数比をラディアル方向に変化させることによって実現されるラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数との関係図。
【図4】図4(a)は本発明の第1実施形態の具体例1に係る光通信用レンズ系の収差図、図4(b)は本発明の第1実施形態の具体例1に係る光通信用レンズ系の光路について説明するための断面図。
【図5】図5(a)は本発明の第1実施形態の具体例2に係る光通信用レンズ系の収差図、図5(b)は本発明の第1実施形態の具体例2に係る光通信用レンズ系の光路について説明するための断面図。
【図6】図6(a)は本発明の第1実施形態の具体例3に係る光通信用レンズ系の収差図、図6(b)は本発明の第1実施形態の具体例3に係る光通信用レンズ系の光路について説明するための断面図。
【図7】第1実施形態の具体例3と同様の仕様で非球面DOEを有さない場合の光通信用レンズ系の収差図。
【図8】本発明の第2実施形態の具体例4に係る光ファイバコリメータの構成図。
【図9】本発明の第2実施形態の具体例5に係る二心ファイバコリメータの構成図。
【図10】本発明の第3実施形態の具体例6に係る光アイソレータの構成図。
【符号の説明】10,11…光通信用レンズ系、20,21,22…シングルモード光ファイバ(SMF)、30…フリースペース型光アイソレータ、200,201…光ファイバコリメータ、210…二心ファイバコリメータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野に最適なレンズ系と、この光通信用レンズ系を利用した光通信用部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信用部品はいずれも光ファイバとの結合が問題になるものが多い。例えば光アイソレータや光サーキュレータでは、光ファイバ中に伝送している光を一度光ファィバから取り出して所望の処理を施した後、再び光ファイバに挿入する。この際にはなるべく光の損失を防ぐ必要がある。また、LD(レーザダイオード)を利用する際にも、LDから発振されるレーザ光を出来るだけ高い結合効率で光ファイバに挿入しなければならない。
【0003】
こういった光通信用部品と光ファイバとの結合効率を高めるためにレンズが多用されている。この場合に使用されるレンズとしては、ボールレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、屈折率分布型レンズなどが挙げられるが、中でも円筒形状で半径方向に屈折率分布を有するラディアル型屈折率分布型レンズ(以下GRINレンズと称する)は組立て時のアライメントが容易であるという利点により広く利用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−286076号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通信トラフィックは爆発的に増大しており、それに伴って光通信で利用する光の波長帯域も年々拡大している。また、将来的には1250〜1650nmにも及ぶ幅広い帯域の光が同一の光ファイバ中を伝送されるという予想もある。更に、光通信に欠かせない技術の一つであるErドープファイバ増幅器は、1550nm付近の光通信波長帯を増幅するために980nmの励起光を使用する場合がある。このときには、980〜1650nmという非常に広い帯域に亘る光が同一の光ファイバ内に混在することになる。このため、Erドープファイバ増幅器などで用いられる光通信用レンズ系は、980〜1650nmの光通信波長域において良好に機能することが望まれる。
【0006】
しかし、従来の光通信において用いられてきたボールレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、屈折率分布型レンズなどはいずれも980〜1650nmの全域で使用できるように色収差を補正していないので、光ファイバとの高い結合効率が期待できなかった。この結果、光ファイバとの結合にいくつかの光通信用レンズを用いる光アイソレータや光サーキュレータなどの光通信用部品を980〜1650nmの光通信波長域全体で良好に機能させることは非常に困難であった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、広い波長帯域(980〜1650nm)において色収差が良好に補正された光通信用レンズ系と、この光通信用レンズ系を用いた光通信用部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明による光通信用レンズ系は、2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させて形成される屈折率分布を有する屈折率分布型レンズを具備することを特徴とする。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、第2の発明による光通信用レンズ系は、第1の発明において、上記屈折率分布型レンズは、上記金属酸化物としてFe2O3を含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、第3の発明による光通信用レンズ系は、第1又は第2の発明において、上記屈折率分布型レンズは、Nb、Ta、Ti、Zr、Feのうち少なくとも一つの金属元素を含む第1の金属酸化物の濃度と、Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Trのうち少なくとも一つの金属元素を含む第2の金属酸化物の濃度を、それぞれ逆方向に分布させてなる屈折率分布を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の課題を解決するために、第4の発明による光通信用レンズ系は第1及び第2の発明において、上記屈折率分布型レンズは、Nb、Ta、Ti、Zr、Feのうち少なくとも一つの金属元素を含む第1の金属酸化物の濃度と、Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Trのうち少なくとも一つの金属元素を含む第2の金属酸化物の濃度のうち、少なくとも一方の金属酸化物の濃度を変化させてなる屈折率分布を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、第5の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第4の発明において、上記屈折率分布型レンズは、以下の(1)式により求められる屈折率分布による分散係数V1が、V1>100を満たすことを特徴とする。
V1=N1,1550/(N1,980−N1,1650) (1)
ここで、N1,1550は波長1550nmにおける屈折率の2次の係数であり、N1,980は波長980nmにおける屈折率の2次の係数であり、N1,1650は波長1650nmにおける屈折率の2次の係数である。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、第6の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第5の発明において、上記屈折率分布型レンズは、ゾル−ゲル法により作成されることを特徴とする。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、第7の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第6の発明において、正のパワーを有する回折型光学素子を更に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、第8の発明による光通信用レンズ系は、第1〜第7の発明において、上記屈折率分布型レンズの両端面が平面であることを特徴とする。
【0016】
更に、上記の課題を解決するために、第9の発明による光ファイバコリメータは、第1〜第8の発明のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系と少なくとも1本の光ファイバとによって構成されることを特徴とする。
【0017】
また、上記の課題を解決するために、第10の発明による光アイソレータは、第9の発明の光ファイバコリメータと、光アイソレータとを含んで構成されることを特徴とする。
【0018】
以下に第1〜第10の発明の作用及び効果について説明する。
本発明の光通信用レンズ系はラディアル方向に屈折率が分布したGRINレンズで構成されており、その屈折率は以下の式(a)によって表される。
N(r)=N0+N1r2+N2r4+… (a)
ここで、N0は中心の屈折率、Ni(i=1,2…)は屈折率分布を表す係数、rは光軸を中心としたラディアル方向の距離である。
【0019】
このようなラディアル型GRINレンズは中心から周辺にかけてガラス組成を変化させることにより実現できる。ガラスの組成から屈折率やアッベ数を求める方法としては、例えばアプライドオプティクスVol.22、No.3(1983)pp.432に紹介されているHSD法がある。このHSD法を用いることによって、可視域において良好な色収差補正が可能なラディアル型GRINレンズのガラス組成分布を予測することが可能となっている。これ以降はこのHSD法を光通信波長域(980〜1650nm)に適用したとして説明する。
【0020】
光通信波長域(980〜1650nm)における基準波長を980、1550、1650nmとすると、ラディアル型GRINレンズの光通信波長域における分散係数V0、V1、及び軸上色収差PACをそれぞれ以下の式(b)、(c)、(d)で表すことができる。
V0=(N0,1550−1)/(N0,980−N0,1650) (b)
Vi=Ni,1550/(Ni,980−Ni,1650) (i=1,2…) (c)
PAC=K(φs/V0+φm/V1) (d)
ただし、式(c)においてNi , wはそれぞれ、基準波長w(w=980nm、1550nm、1650nm)における屈折率及び屈折率分布を表す係数である。また、Kは光線高に関する定数、φsは光通信用レンズ系の面によるパワー、φmはGRIN媒質のパワーである。
【0021】
まず、第1〜第6の発明の作用及び効果について説明する。
【0022】
ラディアル型GRINレンズの軸上色収差PACを小さくするには、V0<V1を満足し、更に屈折率と分散係数に図1のような関係を持たせればよいことが例えば、特開平5−88003号公報等で知られている。そこで、光通信波長域(980〜1650nm)においてラディアル型GRINレンズの分散係数V0、V1と屈折率−分散係数の関係がガラス組成によってどのように変化するかを比較する。
【0023】
まず、1価の金属酸化物Tl2Oを含む3成分のSiO2−TiO2−Tl2Oガラスを用いたラディアル型GRINレンズにおいて各成分比を変化させたときの屈折率と分散係数との関係をHSD法によって求める。このとき、SiO2とTiO2のラディアル方向のモル数比は100:m(m=10〜90)とする。つまり、SiO2のモル数を固定し、Tl2Oのモル数をHSD法によって屈折率の算出ができる範囲内で変化させる。このときのそれぞれの分散係数V0とV1の値を表1に示すといずれの組成比においても常にV0>V1となることがわかる。
【0024】
【表1】
【0025】
また、表1に示したラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数との関係は図2のようになり、この図2の関係は図1の関係とは異なる変化を示すことがわかる。更に、他の1価の金属酸化物M2O(MはNa、K、Rb、Csのいずれか)についても調べてみたところ、同じ傾向が得られることから、1価の金属酸化物M2Oのモル数比をラディアル方向に変化させても色収差を良好に補正することが可能なラディアル型GRINレンズの実現は困難であるといえる。
【0026】
これに対し、本発明のように1価の金属酸化物の代わりに2価の金属酸化物MO(MはCa、Sr、Zn、Baのいずれか)を含んだ3成分のSiO2−TiO2−MOガラスを用いたラディアル型GRINレンズにおいて、同様にラディアル方向にMOのモル数比を変化させた場合には、表2に示すように、V0<V1を満足させる組成比を求めることができる。
【0027】
【表2】
【0028】
また、表2のそれぞれの金属元素についての屈折率と分散係数の関係を図3に示すと、この場合にはいずれの金属酸化物も図1と同様な変化を示す。つまり、2価の金属酸化物のモル数比をラディアル方向に変化させたラディアル型GRINレンズならば、色収差を良好に補正できるので、980〜1650nmという非常に広い光通信波長域での利用に適した光通信用レンズ系を実現することも可能となる。
【0029】
次に、いずれも2価以上の金属元素による金属G群(Nb、Ta、Ti、Zr、Fe)と金属F群(Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Ta)のそれぞれから少なくとも1種の金属元素の酸化物を用い、その用いる金属元素のそれぞれの濃度をラディアル方向に対して互いに逆方向に分布させる、もしくはいずれかの金属群の金属酸化物のモル数比を変化させた場合の屈折率と分散係数との関係をHSD法により求めると以下の表3のようになる。ここでSiO2のモル数比は省略したが、いずれも100である。
【0030】
【表3】
【0031】
表3より、いずれの場合においてもV0<V1を満足していることがわかる。同時に屈折率と分散係数との関係は図1と同様に変化することから、この場合でも色収差を良好に補正できるので、この金属G、F群の多彩な組合せで実現されるラディアル型GRINレンズを用いることにより980〜1650nmという非常に広い光通信波長域での利用に適した光通信用レンズ系を実現することが可能となる。
【0032】
ところで、ラディアル型GRINレンズの作製方法にはイオン交換法とゾル−ゲル法とがあるが、イオン交換法は主に1価の金属イオンを移動させることができるのに対し、ゾル−ゲル法は1価だけでなく2価以上の金属イオンを移動させることができるという特徴をそれぞれ有している。
【0033】
前述したように、980〜1650nmの光通信波長域において色収差を良好に補正できるラディアル型GRINレンズの実現は、1価の金属酸化物では困難であり、2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させた場合に可能となることから、光通信用レンズ系に用いるラディアル型GRINレンズはゾル−ゲル法によって作製することが望ましいと言える。
【0034】
現在利用されている光通信用レンズ系は色収差補正を行っていないラディアル型GRINレンズを使用しており、その分散係数V0、V1はそれぞれ100、50程度である。したがって、式(d)から判断すると、軸上色収差PACを小さくするには、媒質と面のパワーの符号を変えて相殺させることが必要となることがわかる。
【0035】
しかし、光通信用レンズ系に用いられるラディアル型GRINレンズでは、面にパワーをもたせることが少ないので、発生する色収差はV1に大きく起因し、しかもこのV1が高々50程度であるので色収差の発生量は大きくなる。この結果、光通信用レンズ系とシングルモードファイバとの結合損失は、波長によって大きく変化することになる。このため、このようなラディアル型GRINレンズは光通信波長域内において特定の範囲でしか使用できない。この現在使用されている光通信用ラディアル型GRINレンズの色収差の問題は、1価の金属酸化物の濃度を変化させることによって屈折率分布を実現させていることが原因である。この1価の金属酸化物の濃度変化による屈折率分布では色収差を抑えることができないのは前述したとおりである。これに対し、ゾル−ゲル法によって2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させて、ラディアル型GRINレンズを構成した場合には、V1をV1>100とすることが容易で、これまでの光通信用レンズ系に比べて良好に色収差補正できるラディアル型GRINレンズを実現することが可能となる。
【0036】
次に第7の発明の作用及び効果について説明する。
【0037】
イオン交換法のようなゾル−ゲル法以外で作製されたGRINレンズでは、ゾル−ゲル法に比べて制御が可能な成分が限られてしまうので色収差の補正を良好に行うことができない。こういった色収差補正がなされていないGRINレンズに対しては、一つの面を正のパワーをもつDOEにすることで色収差を補正することが可能となる。以下にその理由について説明する。但し、DOEの設計法にはSweatt法(超高屈折率法)を使用し(W.C.Sweatt,Mathematical equivalence between a holographic optical element and an ultra−high index lens”,J.Opt.Soc.Am,Vol.69,No.3 (1979))、基準波長を1.550nmとする。
【0038】
DOEを含んだレンズ系の軸上色収差PACは以下の式(d´)で表される。
【0039】
PAC=K´(φs/V0+φm/V1+φD/VD) (d´)
但し、K´は光線高に関する定数である。また、φD、VDはそれぞれDOEのパワーと分散係数である。このとき、DOEの分散係数は以下の式(e)で求められる。
【0040】
VD=(ND,1550−1)/(ND,980−ND,1650) (e)
ここでND , 1550、ND , 980、ND , 1650はそれぞれ、DOEの波長1550nm、980nm、1650nmにおける屈折率で、これらはガラスの成分によらず基準波長の屈折率を決めれば他の屈折率は一意的に求められる。例えば、d線(波長587.56nm)の屈折率を1001と置くと、波長1550nm、980nmと1650nmの屈折率はそれぞれ2638.03、1667.92、2808.22となり、このとき980nmから1650nmの波長範囲での分散係数VDは−2.31と負の値になる。
【0041】
したがって式(d´)より明らかなようにDOEのパワーを正とすることで軸上色収差PACを小さくすることが可能となる。
【0042】
次に第8の発明の作用及び効果について説明する。
【0043】
第8の発明では、光通信用レンズ系に使用するラディアル型GRINレンズの両端面が平面である。これにより、アライメントや組立てが容易になるだけでなくコストの低減も実現できる。
【0044】
次に第9の発明の作用及び効果について説明する。
【0045】
光通信波長域(980〜1650nm)の範囲で良好に色収差補正したラディアル型GRINレンズによって構成される光通信用レンズ系は、光通信波長域(980〜1650nm)において光ファイバとの結合効率を高くすることが可能となるので、このような光通信用レンズ系と光ファイバとを組み合わせることで高性能なファイバコリメータを実現することができる。
【0046】
次に第10の発明の作用について説明する。
【0047】
光通信で利用されているインライン型アイソレータは、ファイバコリメータとフリースペース型の光アイソレータとで構成されている。したがって色収差が良好に補正されたラディアル型GRINレンズを用いたファイバコリメータを採用することにより、光通信波長域(980〜1650nm)全域で波長に依存せずに良好に機能する光アイソレータの実現が可能となる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。
【0049】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、前述の色収差を補正した光通信用レンズ系に関するものである。以下に、第1実施形態を実際に適用した具体例を示す。但し、いずれの光通信用レンズ系も、1550nmの波長に関する後側焦平面が最終面と一致するようにレンズ厚を選んでおり、また屈折率N0及び屈折率分布N1、N2はいずれも基準波長(1550nm)における値を示すこととする。
【0050】
(具体例1)
具体例1の光通信用レンズ系は、表2に挙げた2価の金属酸化物としてBaの濃度をゾル−ゲル法によって半径方向に分布させたラディアル型GRINレンズで構成されるものである。以下の表4にこのBa系GRINレンズの仕様を示す。
【0051】
【表4】
【0052】
このBa系ラディアル型GRINレンズの軸上色収差PAC、非点収差、ディストーションを図4(a)に、断面図を図4(b)に示す。図4(a)において、980〜1650nmの波長範囲で軸上色収差PACは10μm以内と非常に良好に補正されており、同時に像高が0.125mmでも諸収差は良好に補正されていることがわかる。したがって、このBaOのモル数比をラディアル方向に変化させたラディアル型GRINレンズを用いれば、980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現させることができる。
【0053】
なお、ゾル−ゲル法であれば、表2に示したBaO以外の2価の金属酸化物であっても色収差を補正したラディアル型GRINレンズが実現可能なので、同様に他の2価の金属酸化物でも980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現することができる。
【0054】
(具体例2)
具体例2の光通信用レンズ系は、表2に挙げた2価以上の金属酸化物としてLaをゾル−ゲル法によって半径方向に濃度を変化させながら分布させたラディアル型GRINレンズで構成されるものである。具体例2の仕様を以下の表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
このLa系ラディアル型GRINレンズの軸上色収差PAC、非点収差、ディストーションを図5(a)に、断面図を図5(b)に示す。図5(a)において、980〜1650nmの波長範囲で軸上色収差PACは10μm以内と非常に良好に補正されており、同時に像高が0.125mmになっても他の諸収差は良好に補正されていることから、このLa2O3のモル数比をラディアル方向に変化させたラディアル型GRINレンズを用いれば、980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現させることができる。
【0057】
また、ゾル−ゲル法であれば、表3に示したような金属群G(Nb、Ta、Ti、Zr、Fe)と金属群F(Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Ta)の様々な組合せによるラディアル型GRINレンズの作製も可能である。これらのラディアル型GRINレンズでも980〜1650nmの光通信波長域で良好に機能する光通信用レンズ系を実現することができる。
【0058】
なお、Laは希土類元素であるが、希土類元素は類似した特性を示すことからLa2O3の全部もしくは一部に他の希土類酸化物を用いてもよい。
【0059】
(具体例3)
具体例3の光通信用レンズ系は、以下の表6に示すように、色収差補正を行っていないGRINレンズに非球面のDOEを組み合わせた構成となっている。ここでDOEの非球面形状は、zを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直交する方向に取ると下記の式にて表される。
【0060】
z=(y2/r)[1+{1−(1+K)(y/r)2}1/2A4y4+…
ただし、rはDOEの近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4は4次の非球面係数である。また、各波長のDOEの等価屈折率はd線(587.56nm)の屈折率を1001として求めることとする。
【0061】
以下に具体例3の仕様を示す。
【0062】
【表6】
【0063】
具体例3の非表面のDOEを有するGRINレンズの軸上色収差PACを始めとする諸収差を図6(a)に、断面図を図6(b)に示す。また、比較のために、具体例3と同様の仕様で非球面DOEを有さない場合を図7に示す。図7では、軸上色収差PACが波長範囲980〜1650nmの範囲で20μm以上のズレが生じるのに対し、図6(a)では軸上色収差PACが良好に補正され10μm以内に収まっている。このことから、色収差が補正されていないGRINレンズでもDOEを用いることで色収差の補正が可能となり、光通信波長域(980〜1650nm)の全域で利用が可能な光通信用レンズ系を実現することができる。また、ここで挙げた以外のGRINレンズであっても、そのGRINレンズに適したDOEを採用することで色収差補正を行うことが可能である。
【0064】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、前述の具体例1〜3のいずれかの光通信用レンズ系と少なくとも1本の光ファイバとによって構成される光ファイバコリメータである。
【0065】
(具体例4)
具体例4の光ファイバコリメータ200を図8(a)、図8(b)に示す。この光ファイバコリメータ200は、光通信用レンズ系10とシングルモード光ファイバ(以下SMF)20によって構成されている。なお、図8(a)は、SMF20から出射される光に対するコリメータとして、また、図8(b)は、光通信用レンズ系10に入射するコリメート光をSMF20に結合するための集光レンズとしてそれぞれ機能する場合を示している。
【0066】
ここで、光通信用レンズ系10には、具体例1で示したBa系GRINレンズを採用しており、これは図5に示したように色収差が良好に補正されていることから、波長範囲が980〜1650nmにおいて図8(a)、図8(b)のいずれの用途に対しても良好に機能する。
【0067】
ところで、本具体例4においては、光通信用レンズ系10として具体例1で示したBaOを分布させたラディアル型GRINレンズを採用したが、前述の金属群G(Nb、Ta、Ti、Zr、Fe)と金属群F(Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Ta)の組合せによるラディアル型GRINレンズや前述の具体例3で示したDOEを有するラディアル型GRINレンズを用いても同様の効果を得ることが出来る。但し、DOEを有するラディアル型GRINレンズは、DOEの面がSMF20に対して反対側に位置するように配置する。
【0068】
また、本具体例4ではSMF20を用いているが、代わりに分散シフトファイバやErドープファイバなど他の光ファイバでもよい。
【0069】
(具体例5)
具体例5の二心光ファイバコリメータ210は図9に示すように光通信用レンズ系10とSMF20、21によって構成されている。光通信用レンズ系10には具体例2で示したLa系のラディアル型GRINレンズを用いており、SMF20、21は光通信用レンズ系10の光軸を中心に対称に結合されている。具体例2で示したようにLa系のラディアル型GRINレンズは、像高が0.125mmでも色収差以外の諸収差も良好に補正されているので、SMF20、21から光通信レンズ用系10に980〜1650nmの範囲内の光を入射させても良好にコリメートされる。また、波長が980〜1650nm内にあるコリメート光が光通信用レンズ系10にそれぞれSMF20、21へ所望の角度を有して入射しても波長に依存せず高い効率で結合される。
【0070】
また、本具体例5の光通信用レンズ系10に使用するラディアル型GRINレンズは、具体例1に示されるBa系ラディアル型GRINレンズや具体例3に示されるDOEを有するラディアル型GRINレンズであっても良く、光ファイバもSMF以外のものでも良い。
【0071】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、前述の第2実施形態で示された光ファイバコリメータとフリースペース型光アイソレータ30によって構成されるインライン型光アイソレータである。以下に本第3実施形態の具体例について示す。
【0072】
(具体例6)
本発明の具体例6のインライン型光アイソレータは図10に示すようにフリースペース型光アイソレータ30と具体例4で示した光ファイバコリメータ200、201によって構成される。ここで、光ファイバコリメータ200及び201は同じ仕様のものである。
【0073】
本実施の形態におけるフリースペース型光アイソレータが良好に機能するためには、出来るだけ厳密にコリメート光を入射させる必要があるが、具体例4で示した光ファイバコリメータ200は、980〜1650nmの幅広い波長範囲の光に対して波長に依存せずに良好にコリメート光を発生することが出来るのでインライン型光アイソレータとしても良好に機能する。
【0074】
また、ここではインライン型光アイソレータを例として示したが、第1実施形態で示した光通信用レンズ系はLD用の光アイソレータにも充分利用することが出来る。
【0075】
ここでは、本発明の光通信用レンズ系を用いた光通信用部品として光アイソレータを取り上げた。しかし、これ以外にも本発明の光通信用レンズ系は、3−ポート光サーキュレータ、4−ポート光サーキュレータ、光アッテネータ、光ADM(add/drop multiplexer)などを始めとした光ファイバコリメータを利用した光通信用部品にも用いることができる。
【0076】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ゾル−ゲル法によって作製する屈折率分布型レンズ、もしくはDOEを有する屈折率分布型レンズを用いることにより、光通信波長域(980〜1650nm)に亘って色収差が良好に補正された光通信用レンズ系を提供することが可能となる。
【0078】
また、この光通信用レンズ系を利用することで波長に依存せずに良好な性能を発揮する光ファイバコリメータやインライン型光アイソレータなどを始めとする光通信用部品を実現することができる。
【0079】
更に、本発明に示したラディアル型GRINレンズにはいずれも人体の健康を脅かすような毒性を持つ成分は含まれていないので、作製や使用時の取り扱いが安全な光通信用レンズ及びそのような光通信用レンズを利用した光通信用部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸上色収差が良好に補正されるラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数の関係を表す図。
【図2】1価の酸化物のモル数比をラディアル方向に変化させることによって実現されるラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数との関係図。
【図3】2価の酸化物のモル数比をラディアル方向に変化させることによって実現されるラディアル型GRINレンズの屈折率と分散係数との関係図。
【図4】図4(a)は本発明の第1実施形態の具体例1に係る光通信用レンズ系の収差図、図4(b)は本発明の第1実施形態の具体例1に係る光通信用レンズ系の光路について説明するための断面図。
【図5】図5(a)は本発明の第1実施形態の具体例2に係る光通信用レンズ系の収差図、図5(b)は本発明の第1実施形態の具体例2に係る光通信用レンズ系の光路について説明するための断面図。
【図6】図6(a)は本発明の第1実施形態の具体例3に係る光通信用レンズ系の収差図、図6(b)は本発明の第1実施形態の具体例3に係る光通信用レンズ系の光路について説明するための断面図。
【図7】第1実施形態の具体例3と同様の仕様で非球面DOEを有さない場合の光通信用レンズ系の収差図。
【図8】本発明の第2実施形態の具体例4に係る光ファイバコリメータの構成図。
【図9】本発明の第2実施形態の具体例5に係る二心ファイバコリメータの構成図。
【図10】本発明の第3実施形態の具体例6に係る光アイソレータの構成図。
【符号の説明】10,11…光通信用レンズ系、20,21,22…シングルモード光ファイバ(SMF)、30…フリースペース型光アイソレータ、200,201…光ファイバコリメータ、210…二心ファイバコリメータ
Claims (10)
- 2価以上の金属酸化物のモル数比を変化させて形成される屈折率分布を有する屈折率分布型レンズを具備することを特徴とする光通信用レンズ系。
- 上記屈折率分布型レンズは、上記金属酸化物としてFe2O3を含むことを特徴とする請求項1に記載の光通信用レンズ系。
- 上記屈折率分布型レンズは、Nb、Ta、Ti、Zr、Feのうち少なくとも一つの金属元素を含む第1の金属酸化物の濃度と、Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Trのうち少なくとも一つの金属元素を含む第2の金属酸化物の濃度を、それぞれ逆方向に分布させてなる屈折率分布を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光通信用レンズ系。
- 上記屈折率分布型レンズは、Nb、Ta、Ti、Zr、Feのうち少なくとも一つの金属元素を含む第1の金属酸化物の濃度と、Ca、Sr、Ba、Zn、La、In、Y、Zr、Trのうち少なくとも一つの金属元素を含む第2の金属酸化物の濃度のうち、少なくとも一方の金属酸化物の濃度を変化させてなる屈折率分布を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光通信用レンズ系。
- 上記屈折率分布型レンズは、以下の(1)式により求められる屈折率分布による分散係数V1が、V1>100を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系。
V1=N1,1550/(N1,980−N1,1650) (1)
ここで、 N1,1550:波長1550nmにおける屈折率の2次の係数
N1,980:波長980nmにおける屈折率の2次の係数
N1,1650:波長1650nmにおける屈折率の2次の係数 - 上記屈折率分布型レンズは、ゾル−ゲル法により作成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系。
- 正のパワーを有する回折型光学素子を更に設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系。
- 上記屈折率分布型レンズの両端面が平面であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系。
- 請求項1乃至8のいずれか一つに記載の光通信用レンズ系と少なくとも1本の光ファイバとによって構成されることを特徴とする光ファイバコリメータ。
- 請求項9に記載の光ファイバコリメータと、光アイソレータとを含んで構成されることを特徴とする光アイソレータ。
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