JP2004219497A - ホログラム光学素子の製造方法及びホログラム露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像再生時の光学系を簡単なものとした場合でも、明るく高性能な再生画像を得ることができるホログラム光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】所定の波長のレーザー光を射出するレーザー光源1R、1G、1Rからのレーザー光は、ビームスプリッタ4R、4G、4Bにより参照光と物体光に分離される。参照光は光量・偏光調整部材群5R、5G、5Bにより光量調整と偏光調整を受けた後、コリメータレンズ8R、8G、8Bにより平行光とされて、プリズム14の感光面に照射される。物体光は、光量・偏光調整部材群10R、10G、10Bにより光量調整と偏光調整を受け、各波長ごとに最適化された露光レンズ群13R、13G、13Bにより、所望の波面変換を受けた後、非球面波となって、プリズム14の感光面に照射される。レーザー光は、各波長毎に、異なった光路を通り、別々に調整されるので、最適な露光を行うことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】所定の波長のレーザー光を射出するレーザー光源1R、1G、1Rからのレーザー光は、ビームスプリッタ4R、4G、4Bにより参照光と物体光に分離される。参照光は光量・偏光調整部材群5R、5G、5Bにより光量調整と偏光調整を受けた後、コリメータレンズ8R、8G、8Bにより平行光とされて、プリズム14の感光面に照射される。物体光は、光量・偏光調整部材群10R、10G、10Bにより光量調整と偏光調整を受け、各波長ごとに最適化された露光レンズ群13R、13G、13Bにより、所望の波面変換を受けた後、非球面波となって、プリズム14の感光面に照射される。レーザー光は、各波長毎に、異なった光路を通り、別々に調整されるので、最適な露光を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラム光学素子の製造方法およびホログラム露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、画像表示装置の結像光学系にはホログラム素子(HOE:HolographicOptical Element)がコンバイナとして広く用いられている。このようなホログラムの作成は、参照光と物体光を感光フィルム上で干渉させ、その干渉縞を記録することで行う。R,G,Bの三原色のレーザーを用いてそれぞれ対応するホログラムを作成すれば、再生の際、加法混色によりフルカラー再生するホログラムを作成することが可能である。その光学配置は例えば特開2000−214747公報や特開2002−258488公報に開示されているような方法で行うことができる。
【0003】
これらの方法のうち、特開2000−214747号公報に記載されているカラー露光システムの概要を図4に示す。このカラー露光システムは、所定の波長のレーザー光を出射するレーザー光源と、レーザー光源からのレーザー光の光軸上に配された可変ビームスプリッタとを備えている。可変ビームスプリッタは、レーザー光源から出射されたレーザー光を、参照光と物体光とに分離するためのものである。ここで、レーザー光源としては、緑色用レーザー光源として波長532nmのYAGレーザー41が用いられる。また、青色用レーザー光源としては波長477nmのArレーザ42が用いられ、赤色用レーザー光源としては波長647nmのKrレーザー43が用いられる。
【0004】
そして、YAGレーザー41から出射した緑色レーザーGは、全反射ミラー44によって全反射され、可変ビームスプリッタ45に入射する。ここで、可変ビームスプリッタ45によって反射された光が参照光G1となり、可変ビームスプリッタ45を透過した光が物体光G2となる。
【0005】
また、Arレーザ42から出射した青色レーザーBは、全反射ミラー46によって全反射され、可変ビームスプリッタ47に入射する。ここで、可変ビームスプリッタ47によって反射された光が参照光B1となり、可変ビームスプリッタ47を透過した光が物体光B2となる。
【0006】
また、Krレーザ43から出射した赤色レーザーRは、全反射ミラー48によって全反射され、可変ビームスプリッタ49に入射する。ここで、可変ビームスプリッタ49を透過した光が参照光R1となり、可変ビームスプリッタ49によって反射された光が物体光R2となる。
【0007】
可変ビームスプリッタ45,47,49によって分離された各色毎の参照光G1,B1,R1は、ダイクロイックミラー50,51によって色合成される。そして色合成された参照光L1は、参照光用のビーム整形光学系52を介して、ホログラム基板53上に配されたホログラム感光フィルム54に入射する。なお、この参照光の光路中には、当該参照光の進行方向を変えるための全反射ミラー55,56,57が配されている。
【0008】
一方、可変ビームスプリッタ45,47,49によって分離された各色毎の物体光G2,B2,R2は、ダイクロイックミラー58,59によって色合成される。そして色合成された物体光L2は、物体光用のビーム整形光学系60を介して、ホログラム感光フィルム54に入射する。なお、これら物体光の光路中には、当該物体光の進行方向を変えるための全反射ミラー61、62が配されている。
【0009】
ここで、参照光L1及び物体光L2は、参照光L1がホログラム感光フィルム54の一方の主面に入射し、物体光L2がホログラム感光フィルム54の他方の主面に入射するようにする。すなわち、ホログラム感光フィルム54の一方の主面に、参照光L1を所定の入射角度にて入射させるとともに、ホログラム感光フィルム54の他方の主面に物体光L2を入射させる。これにより、参照光L1と物体光L2とがホログラム感光フィルム54の感光層上において干渉し、参照光L1と物体光L2との干渉によって生じる干渉縞が、ホログラム感光フィルム54の感光層に屈折率の変化として記録される。
【0010】
【特許文献1】特開2000−214747公報
【特許文献2】特開2002−258488公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の方法では、参照光発生手段(参照光用ビーム整形光学系)および物体光発生手段(物体光用ビーム整形光学系)がR,G,Bに関して同一の光学系を使用している。
【0012】
一方、HOEはHUD(Headup display)やHMD(Head mounted display)等のコンバイナとして波長選択反射フィルタの作用の他に、接眼光学系としてレンズ作用をもたせて使用することも可能である。その場合、材質の波長分散や、周辺の補助光学系による残存収差の補正機能をも持たせた光学素子としてHOEを利用すれば、より高性能の映像表示を行うことができる。
【0013】
しかしながら、そのような高機能のHOEでは、R,G,Bに対する接眼光学系としての作用が全く同一であることはなく、それぞれ個別に複雑な波面変換作用が必要となる。
【0014】
また、露光の際のレーザーの波長と、コンバイナとして画像を再生する際の画像の照明光の波長が、R,G,Bに対してすべて同一ということはまれである。それは、露光時は可干渉性が重要なので一般にレーザー光源を用いるが、コンバイナとして利用するときは、軽量であることが重要であるため、LED等の小型の照明装置を利用するのが一般的であるためである。すなわち、この場合、露光時に使用したレーザー光の波長と、画像再生時に使用するLED光の波長は、近接しているものの一般に異なっており、その差もR,G,Bで異なっている。
【0015】
よって、画像再生時の光学系を簡単なものとした場合、従来の方法によってホログラムを形成していたのでは、明るく高性能な再生画像が得られないという問題点があった。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、R,G,B光それぞれに対して、個別に複雑な波面変換作用が可能なホログラム素子、画像再生時の光学系を簡単なものとした場合でも、明るく高性能な再生画像を得ることができるホログラム光学素子の製造方法、及びそれに使用するための露光装置を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光してホログラム光学素子を製造する方法であって、前記レーザー光の光源からホログラム感光体までの光路を、各レーザー光毎に別々として露光を行うことを特徴とするホログラム光学素子の製造方法(請求項1)である。
【0018】
本手段においては、複数のレーザー光源からホログラム感光体までの光路を、各レーザー光毎に異ならせているので、各レーザー光に応じて、異なる入射角で物体光と参照光をホログラム感光体に入射させることができる。よって、この入射角の調整により、ホログラム形成時の使用波長ではなく、画像再生時の使用波長に、HOE回折効率が最大となる波長を合わせることができる。また、波面形成光学系を各レーザー光毎に別にすることができるので、例えば、R,G,B光毎に、個別に複雑な波面変換作用を行うことができ、材質の波長分散や、周辺の補助光学系による残存収差の補正機能をも持たせた、高性能のHOEを製造することができる。
【0019】
また、各レーザー光毎に光路が別になっているので、一つのレーザー光についての光学系が従来の光学系に比べてシンプルになり、その分ノイズの発生を抑えることができる。
【0020】
前記課題を解決するための第2の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光してホログラム光学素子を製造する方法であって、前記ホログラム感光体に照射するレーザー光の波面を、各レーザー光毎に別々に形成し、このレーザー光をホログラム感光体に照射してホログラム光学素子を形成することを特徴とするホログラム光学素子の製造方法(請求項2)である。
【0021】
本手段においては、レーザー光の光路は、その一部が複数のレーザー光について同一であり、同一の光学系を使用していてもよいが、ホログラム感光体を照射するレーザー光の波面は、レーザー光毎に別々に形成し、このレーザー光をホログラム感光体に照射してホログラム光学素子を形成する。よって、各レーザー光に応じて、異なる入射角で物体光と参照光をホログラム感光体に入射させることができる。よって、この入射角の調整により、ホログラム形成時の使用波長ではなく、画像再生時の使用波長に対して、HOEの回折効率が最大となるように合わせることができる。また、例えば、R,G,B光毎に、個別に複雑な波面変換作用を行うことができ、材質の波長分散や、周辺の補助光学系による残存収差の補正機能をも持たせた、高性能のHOEを製造することができる。
【0022】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、ホログラム感光体を塗布した基板を、各レーザー光毎に別々に形成された光路に順次移動して、順次露光することを特徴とするもの(請求項3)である。
【0023】
本手段においては、異なるレーザー光毎に異なる光路に、ホログラム感光体を塗布した基板を順次移動して、それぞれのレーザー光に対応する干渉縞を形成する。よって、光学系の方は移動させる必要がないので、調整を頻繁に行う必要が無くなり、かつ露光装置全体の機構も簡単になる。
【0024】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記レーザー光の光量調整と偏光調整を、各レーザー光毎に独立して行い、このレーザー光を用いて露光を行うことを特徴とするもの(請求項4)である。
【0025】
本手段においては、光路や一部の光学系は、複数のレーザー光で共用してもよいが、レーザー光の光量調整と偏光調整を、各レーザー光毎に独立して行う。よって、これらの量を、各レーザー光毎に最適なものとすることができる。
【0026】
前記課題を解決するための第5の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光するホログラム露光装置であって、レーザー光の光源からホログラム感光体までの光路が、各レーザー光毎に別々とされていることを特徴とするホログラム露光装置(請求項5)である。
【0027】
前記課題を解決するための第6の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる感光作用を持つ波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を順次露光するホログラム露光装置であって、前記ホログラム感光体を照射するレーザー光の波面を形成する光学系を、各レーザー光毎に別々に有することを特徴とするホログラム露光装置(請求項6)である。
【0028】
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第5の手段又は第6の手段であって、ホログラム感光体を塗布した基板を搭載し、当該基板を前記各レーザー毎に設けられた光路中に順次移動するステージが設けられていること特徴とするもの(請求項7)である。
【0029】
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第5の手段から第7の手段のいずれかであって、前記レーザー光の光量調整と偏光調整を行う光学系を、各レーザー光毎に独立して有することを特徴とするもの(請求項8)である。
【0030】
これら、第5の手段から第8の手段によれば、それぞれ前記第1の手段から第4の手段を実施することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。所定の波長のレーザー光を射出するレーザー光源1R、1G、1Bと、レーザー光源からのレーザー光の光軸上に配されたビームスプリッタ4R、4G、4Bとを備えている。ビームスプリッタ4R、4G、4Bはレーザー光源1R、1G、1Bから射出されたレーザー光を参照光と物体光に分離するためのものである。
【0032】
ここでレーザー光源としては赤色光源として、レーザー光1Rである波長647nmのKrレーザー、レーザー光1Gである緑色光源として、レーザー光1Bである波長532nmのYAGレーザー、青色光源として波長476nmのArレーザーが用いられる。
【0033】
各レーザー光は、シャッター2R、2G、2Bで照射タイミングを制御される。シャッター2R、2G、2Bを通過したレーザー光は、反射ミラー3R、3G、3Bで反射され、それぞれのビームスプリッタ4R、4G、4Bで参照光と物体光に分離される。
【0034】
参照光は光量・偏光調整部材群5R、5G、5Bにより光量調整と偏光調整を受けた後、反射ミラー6R、6G、6Bで反射され、さらに対物レンズとピンホールを組み合わせたスペイシャルフィルタ付対物レンズ7R、7G、7Bでノイズ光をカットされ、コリメータレンズ8R、8G、8Bにより平行光とされて、プリズム14の感光面に照射される。
【0035】
物体光は、反射ミラー9R、9G、9Bで反射された後、光量・偏光調整部材群10R、10G、10Bにより光量調整と偏光調整を受け、さらに対物レンズとピンホールを組み合わせたスペイシャルフィルタ付対物レンズ11R、11G、11Bでノイズ光をカットされ、コリメータレンズ12R、12G、12Bにより平行光とされる。そして各波長ごとに最適化された露光レンズ群13R、13G、13Bにより、所望の波面変換を受けた後、非球面波となって、プリズム14の感光面に照射される。
【0036】
参照光、物体光の両光束はプリズム14の感光部のホログラム感光材料内の感光層で干渉し、その結果生じる干渉縞が、感光層に屈折率や濃度の変化として記録される。
【0037】
プリズム14は、水平面内のスライドステージに搭載されており、矢印で示すように、R,G,Bに対する所定の位置に、スムーズに移動することが可能である。移動量はステッピングモータ等で精密に制御される。
【0038】
この構成において、光量・偏光調整部材群5R、5G、5Bにより参照光の光量調整と偏光調整が行われ、光量・偏光調整部材群10R、10G、10Bにより物体光の光量調整と偏光調整が行われる。また、露光レンズ群13R、13G、13Bにより、物体光の波面変換が行われる。この実施の形態においては、各レーザー1R、1G、1Bから出射するレーザー光の光路は異なっており、よって、これら光量・偏光調整部材群、露光レンズ群も各レーザー光毎に別々に設けられている。よって、光量・偏光の調整と、物体光の波面の調整を、各レーザー光毎に別々に行うことができる。
【0039】
また、感光部を設けたプリズム14は、スライドステージに搭載されて移動し、それぞれのレーザー光に対応する感光位置で露光を受ける。よって、光学系については、移動させる必要が無く、そのための調整は不要である。
【0040】
露光の際は、プリズム14を所定の位置にスライドし、赤色、緑色、青色を順次露光する。露光時間はシャッターによって制御され、適正にバランスされた露光量で感光材料に多重露光される。以上説明した露光装置による露光方法によって、R,G,Bそれぞれ個別に最適化された露光レンズを用い、最適な入射角でHOEを露光することが可能になる。
【0041】
また、露光レンズの色収差の問題を考慮せずに設計できるので、露光光学系を容易に製造することができ、HOEのコストダウンにつながる。さらに、反射ミラー3R、3G、3Bなども、それぞれの波長に最適化された高反射率のものを使用することが可能になる。
【0042】
図2に、図1に示されたプリズム14の構成を示す。図2(a)がプリズム14の構成の概要を示す図である。プリズム14は、プリズム本体15を、それと同じ材質で形成されたダミープリズム(やとい)16中に嵌め込んだものである。プリズム本体15とダミープリズム16の界面で反射が起こらないように、両者の間にはマッチングオイルが充填されている。プリズム本体15のダミープリズム6と接しない外面には、HOEを構成する感光基板17が設けられている。
【0043】
露光時において参照光は直接感光基板17を照射する。物体光は感光基板17の裏側から、ダミープリズム16、プリズム本体15を介して感光基板17を照射する。プリズム本体15が直角三角形をしているので、これに直接物体光を照射したのでは、その有効光束内に角部があるために、正しく感光基板17を感光させることができない。よって、やといとしてダミープリズム16を設け、物体光の入射面を平面にして、そのまま感光基板17に達するようにしている。
【0044】
使用時には、図2(b)に示すように、プリズム本体15をそれと材質が同じである基板18に埋め込んで使用する。基板18中を全反射して伝搬してきた光は、感光基板17で形成されたHOEによって反射されると共に回折を受け、回折光が基板18の表面とほぼ直角に出射して、Eye Pointに入射する。
【0045】
図3は、本発明の第2の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。赤色レーザー21R、緑色レーザー21G、青色レーザー21Bから出た光は、シャッター22R、22G、22Bを通り、1/2波長板23R、23G、23B、偏光ビームスプリッタ24R、24G、24B、スペイシャルフィルタ付ビームエキスパンダ25R、25G、25B、1/2波長板26R、26G、26B、1/4波長板27R、27G、27Bを順に通って、光量と偏光(偏光面と位相)の調整を受け、かつ、ノイズ分がカットされる。
【0046】
これらの光は、反射ミラー28B、ダイクロイックミラー28G、28Rで、それぞれ反射・透過され、一つの光束にまとめられる。そして、ハーフミラー29により、参照光と物体光に分離される。
【0047】
物体光は、ダイクロイックミラー30B、30G、及び反射ミラー30Rを通ることにより、再び青、緑、赤の3つの成分の光に分離される。これらの光は、可変NDフィルタ31R、31G、31Bを通り、さらにスペイシャルフィルタ付対物レンズ32R、32G、32Bを通り、コリメータレンズ33R、33G、33Bで平行光とされ、露光レンズ群34R、34G、34Bに入って波面変換を受け、物体光としてプリズム14に照射される。
【0048】
参照光は、ダイクロイックミラー35B、35G、及び反射ミラー35Rを通ることにより、再び青、緑、赤の3つの成分の光に分離されそれぞれ、参照光としてプリズム14に照射される。なお、プリズム14がステージに搭載されて各照射位置を移動することは、図1に示した実施の形態と同じである。
【0049】
この実施の形態においては、各レーザー光の光路に共通の部分が有るが、光量と偏光(偏光面と位相)の調整、及び物体光の波面の形成は、各レーザー毎に別の光学系により行われている。よって、これらの量を別々に調整することができる。また、物体光、参照光とも、別々の光路でプリズム14を照射するので、R,G,B光毎にこれらの入射角を変えることができる。よって、図1に示した実施の形態と、ほとんど同じ作用効果が得られる。
【0050】
ホログラム感光材料としては、例えば、フォトポリマー、フォトレジスト、フォトクロミック、フォトダイクロミック、銀塩乳剤、重クロム酸ゼラチン、ダイクロメートゼラチン、プラスチック、強誘電体、磁気光学材料、電気光学材料、非晶質半導体、フォトリフラクチィブ材料等が用いられる。
【0051】
ここで用いる材料は、先のレーザー光の波長帯全てを含む広帯域の感光剤を含んだ感光層を持つた単層の材料、もしくは各レーザー光の波長帯それぞれに対応する狭帯域の感光剤を含んだ感光層がバリア層をはさんで配置された多層構造の材料等である。
【0052】
本発明は上述の形態に限定されるものではない。例えば、プリズム14はスライドステージを使用して移動させる必要はなく、各照射位置に基準面を設け、押え金物にプリズム14をあてることで位置再現性よくそれぞれ所定の位置に置き直すことも可能である。順次露光の順番は比視感度の弱い方から赤、青、緑の順とすることも可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、R,G,B光それぞれに対して、個別に複雑な波面変換作用が可能なホログラム素子、画像再生時の光学系を簡単なものとした場合でも、明るく高性能な再生画像を得ることができるホログラム光学素子の製造方法、及びそれに使用するための露光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。
【図2】図1に示されたプリズムの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。
【図4】従来の露光システムの概要を示す図である
【符号の説明】
1R、1G、1R:レーザー光源、2R、2G、2B:シャッター、3R、3G、3B:反射ミラー、4R、4G、4B:ビームスプリッタ、5R、5G、5B:光量・偏光調整部材群、6R、6G、6B:反射ミラー、7R、7G、7B:スペイシャルフィルタ付対物レンズ、8R、8G、8B:コリメータレンズ、9R、9G、9B:反射ミラー、10R、10G、10B:光量・偏光調整部材群、11R、11G、11B:スペイシャルフィルタ付対物レンズ、12R、12G、12B:コリメータレンズ、13R、13G、13B:露光レンズ群、14:プリズム、15:プリズム本体、16:ダミープリズム、17:感光基板、18:基板、21R:赤色レーザー、21G:緑色レーザー、21B:青色レーザー、22R、22G、22B:シャッター、23R、23G、23B:1/2波長板、24R、24G、24B:偏光ビームスプリッタ、25R、25G、25B:スペイシャルフィルタ付ビームエキスパンダ、26R、26G、26B:1/2波長板、27R、27G、27B:1/4波長板、28B:反射ミラー、28G、28R:ダイクロイックミラー、29:ハーフミラー、30B、30G:ダイクロイックミラー、30R:反射ミラー、31R、31G、31B:可変NDフィルタ、32R、32G、32B:スペイシャルフィルタ付対物レンズ、33R、33G、33B:コリメータレンズ、34R、34G、34B:露光レンズ群、35B、35G:ダイクロイックミラー、35R:反射ミラー
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラム光学素子の製造方法およびホログラム露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、画像表示装置の結像光学系にはホログラム素子(HOE:HolographicOptical Element)がコンバイナとして広く用いられている。このようなホログラムの作成は、参照光と物体光を感光フィルム上で干渉させ、その干渉縞を記録することで行う。R,G,Bの三原色のレーザーを用いてそれぞれ対応するホログラムを作成すれば、再生の際、加法混色によりフルカラー再生するホログラムを作成することが可能である。その光学配置は例えば特開2000−214747公報や特開2002−258488公報に開示されているような方法で行うことができる。
【0003】
これらの方法のうち、特開2000−214747号公報に記載されているカラー露光システムの概要を図4に示す。このカラー露光システムは、所定の波長のレーザー光を出射するレーザー光源と、レーザー光源からのレーザー光の光軸上に配された可変ビームスプリッタとを備えている。可変ビームスプリッタは、レーザー光源から出射されたレーザー光を、参照光と物体光とに分離するためのものである。ここで、レーザー光源としては、緑色用レーザー光源として波長532nmのYAGレーザー41が用いられる。また、青色用レーザー光源としては波長477nmのArレーザ42が用いられ、赤色用レーザー光源としては波長647nmのKrレーザー43が用いられる。
【0004】
そして、YAGレーザー41から出射した緑色レーザーGは、全反射ミラー44によって全反射され、可変ビームスプリッタ45に入射する。ここで、可変ビームスプリッタ45によって反射された光が参照光G1となり、可変ビームスプリッタ45を透過した光が物体光G2となる。
【0005】
また、Arレーザ42から出射した青色レーザーBは、全反射ミラー46によって全反射され、可変ビームスプリッタ47に入射する。ここで、可変ビームスプリッタ47によって反射された光が参照光B1となり、可変ビームスプリッタ47を透過した光が物体光B2となる。
【0006】
また、Krレーザ43から出射した赤色レーザーRは、全反射ミラー48によって全反射され、可変ビームスプリッタ49に入射する。ここで、可変ビームスプリッタ49を透過した光が参照光R1となり、可変ビームスプリッタ49によって反射された光が物体光R2となる。
【0007】
可変ビームスプリッタ45,47,49によって分離された各色毎の参照光G1,B1,R1は、ダイクロイックミラー50,51によって色合成される。そして色合成された参照光L1は、参照光用のビーム整形光学系52を介して、ホログラム基板53上に配されたホログラム感光フィルム54に入射する。なお、この参照光の光路中には、当該参照光の進行方向を変えるための全反射ミラー55,56,57が配されている。
【0008】
一方、可変ビームスプリッタ45,47,49によって分離された各色毎の物体光G2,B2,R2は、ダイクロイックミラー58,59によって色合成される。そして色合成された物体光L2は、物体光用のビーム整形光学系60を介して、ホログラム感光フィルム54に入射する。なお、これら物体光の光路中には、当該物体光の進行方向を変えるための全反射ミラー61、62が配されている。
【0009】
ここで、参照光L1及び物体光L2は、参照光L1がホログラム感光フィルム54の一方の主面に入射し、物体光L2がホログラム感光フィルム54の他方の主面に入射するようにする。すなわち、ホログラム感光フィルム54の一方の主面に、参照光L1を所定の入射角度にて入射させるとともに、ホログラム感光フィルム54の他方の主面に物体光L2を入射させる。これにより、参照光L1と物体光L2とがホログラム感光フィルム54の感光層上において干渉し、参照光L1と物体光L2との干渉によって生じる干渉縞が、ホログラム感光フィルム54の感光層に屈折率の変化として記録される。
【0010】
【特許文献1】特開2000−214747公報
【特許文献2】特開2002−258488公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の方法では、参照光発生手段(参照光用ビーム整形光学系)および物体光発生手段(物体光用ビーム整形光学系)がR,G,Bに関して同一の光学系を使用している。
【0012】
一方、HOEはHUD(Headup display)やHMD(Head mounted display)等のコンバイナとして波長選択反射フィルタの作用の他に、接眼光学系としてレンズ作用をもたせて使用することも可能である。その場合、材質の波長分散や、周辺の補助光学系による残存収差の補正機能をも持たせた光学素子としてHOEを利用すれば、より高性能の映像表示を行うことができる。
【0013】
しかしながら、そのような高機能のHOEでは、R,G,Bに対する接眼光学系としての作用が全く同一であることはなく、それぞれ個別に複雑な波面変換作用が必要となる。
【0014】
また、露光の際のレーザーの波長と、コンバイナとして画像を再生する際の画像の照明光の波長が、R,G,Bに対してすべて同一ということはまれである。それは、露光時は可干渉性が重要なので一般にレーザー光源を用いるが、コンバイナとして利用するときは、軽量であることが重要であるため、LED等の小型の照明装置を利用するのが一般的であるためである。すなわち、この場合、露光時に使用したレーザー光の波長と、画像再生時に使用するLED光の波長は、近接しているものの一般に異なっており、その差もR,G,Bで異なっている。
【0015】
よって、画像再生時の光学系を簡単なものとした場合、従来の方法によってホログラムを形成していたのでは、明るく高性能な再生画像が得られないという問題点があった。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、R,G,B光それぞれに対して、個別に複雑な波面変換作用が可能なホログラム素子、画像再生時の光学系を簡単なものとした場合でも、明るく高性能な再生画像を得ることができるホログラム光学素子の製造方法、及びそれに使用するための露光装置を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光してホログラム光学素子を製造する方法であって、前記レーザー光の光源からホログラム感光体までの光路を、各レーザー光毎に別々として露光を行うことを特徴とするホログラム光学素子の製造方法(請求項1)である。
【0018】
本手段においては、複数のレーザー光源からホログラム感光体までの光路を、各レーザー光毎に異ならせているので、各レーザー光に応じて、異なる入射角で物体光と参照光をホログラム感光体に入射させることができる。よって、この入射角の調整により、ホログラム形成時の使用波長ではなく、画像再生時の使用波長に、HOE回折効率が最大となる波長を合わせることができる。また、波面形成光学系を各レーザー光毎に別にすることができるので、例えば、R,G,B光毎に、個別に複雑な波面変換作用を行うことができ、材質の波長分散や、周辺の補助光学系による残存収差の補正機能をも持たせた、高性能のHOEを製造することができる。
【0019】
また、各レーザー光毎に光路が別になっているので、一つのレーザー光についての光学系が従来の光学系に比べてシンプルになり、その分ノイズの発生を抑えることができる。
【0020】
前記課題を解決するための第2の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光してホログラム光学素子を製造する方法であって、前記ホログラム感光体に照射するレーザー光の波面を、各レーザー光毎に別々に形成し、このレーザー光をホログラム感光体に照射してホログラム光学素子を形成することを特徴とするホログラム光学素子の製造方法(請求項2)である。
【0021】
本手段においては、レーザー光の光路は、その一部が複数のレーザー光について同一であり、同一の光学系を使用していてもよいが、ホログラム感光体を照射するレーザー光の波面は、レーザー光毎に別々に形成し、このレーザー光をホログラム感光体に照射してホログラム光学素子を形成する。よって、各レーザー光に応じて、異なる入射角で物体光と参照光をホログラム感光体に入射させることができる。よって、この入射角の調整により、ホログラム形成時の使用波長ではなく、画像再生時の使用波長に対して、HOEの回折効率が最大となるように合わせることができる。また、例えば、R,G,B光毎に、個別に複雑な波面変換作用を行うことができ、材質の波長分散や、周辺の補助光学系による残存収差の補正機能をも持たせた、高性能のHOEを製造することができる。
【0022】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、ホログラム感光体を塗布した基板を、各レーザー光毎に別々に形成された光路に順次移動して、順次露光することを特徴とするもの(請求項3)である。
【0023】
本手段においては、異なるレーザー光毎に異なる光路に、ホログラム感光体を塗布した基板を順次移動して、それぞれのレーザー光に対応する干渉縞を形成する。よって、光学系の方は移動させる必要がないので、調整を頻繁に行う必要が無くなり、かつ露光装置全体の機構も簡単になる。
【0024】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記レーザー光の光量調整と偏光調整を、各レーザー光毎に独立して行い、このレーザー光を用いて露光を行うことを特徴とするもの(請求項4)である。
【0025】
本手段においては、光路や一部の光学系は、複数のレーザー光で共用してもよいが、レーザー光の光量調整と偏光調整を、各レーザー光毎に独立して行う。よって、これらの量を、各レーザー光毎に最適なものとすることができる。
【0026】
前記課題を解決するための第5の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光するホログラム露光装置であって、レーザー光の光源からホログラム感光体までの光路が、各レーザー光毎に別々とされていることを特徴とするホログラム露光装置(請求項5)である。
【0027】
前記課題を解決するための第6の手段は、ホログラム感光体に対して、異なる感光作用を持つ波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を順次露光するホログラム露光装置であって、前記ホログラム感光体を照射するレーザー光の波面を形成する光学系を、各レーザー光毎に別々に有することを特徴とするホログラム露光装置(請求項6)である。
【0028】
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第5の手段又は第6の手段であって、ホログラム感光体を塗布した基板を搭載し、当該基板を前記各レーザー毎に設けられた光路中に順次移動するステージが設けられていること特徴とするもの(請求項7)である。
【0029】
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第5の手段から第7の手段のいずれかであって、前記レーザー光の光量調整と偏光調整を行う光学系を、各レーザー光毎に独立して有することを特徴とするもの(請求項8)である。
【0030】
これら、第5の手段から第8の手段によれば、それぞれ前記第1の手段から第4の手段を実施することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。所定の波長のレーザー光を射出するレーザー光源1R、1G、1Bと、レーザー光源からのレーザー光の光軸上に配されたビームスプリッタ4R、4G、4Bとを備えている。ビームスプリッタ4R、4G、4Bはレーザー光源1R、1G、1Bから射出されたレーザー光を参照光と物体光に分離するためのものである。
【0032】
ここでレーザー光源としては赤色光源として、レーザー光1Rである波長647nmのKrレーザー、レーザー光1Gである緑色光源として、レーザー光1Bである波長532nmのYAGレーザー、青色光源として波長476nmのArレーザーが用いられる。
【0033】
各レーザー光は、シャッター2R、2G、2Bで照射タイミングを制御される。シャッター2R、2G、2Bを通過したレーザー光は、反射ミラー3R、3G、3Bで反射され、それぞれのビームスプリッタ4R、4G、4Bで参照光と物体光に分離される。
【0034】
参照光は光量・偏光調整部材群5R、5G、5Bにより光量調整と偏光調整を受けた後、反射ミラー6R、6G、6Bで反射され、さらに対物レンズとピンホールを組み合わせたスペイシャルフィルタ付対物レンズ7R、7G、7Bでノイズ光をカットされ、コリメータレンズ8R、8G、8Bにより平行光とされて、プリズム14の感光面に照射される。
【0035】
物体光は、反射ミラー9R、9G、9Bで反射された後、光量・偏光調整部材群10R、10G、10Bにより光量調整と偏光調整を受け、さらに対物レンズとピンホールを組み合わせたスペイシャルフィルタ付対物レンズ11R、11G、11Bでノイズ光をカットされ、コリメータレンズ12R、12G、12Bにより平行光とされる。そして各波長ごとに最適化された露光レンズ群13R、13G、13Bにより、所望の波面変換を受けた後、非球面波となって、プリズム14の感光面に照射される。
【0036】
参照光、物体光の両光束はプリズム14の感光部のホログラム感光材料内の感光層で干渉し、その結果生じる干渉縞が、感光層に屈折率や濃度の変化として記録される。
【0037】
プリズム14は、水平面内のスライドステージに搭載されており、矢印で示すように、R,G,Bに対する所定の位置に、スムーズに移動することが可能である。移動量はステッピングモータ等で精密に制御される。
【0038】
この構成において、光量・偏光調整部材群5R、5G、5Bにより参照光の光量調整と偏光調整が行われ、光量・偏光調整部材群10R、10G、10Bにより物体光の光量調整と偏光調整が行われる。また、露光レンズ群13R、13G、13Bにより、物体光の波面変換が行われる。この実施の形態においては、各レーザー1R、1G、1Bから出射するレーザー光の光路は異なっており、よって、これら光量・偏光調整部材群、露光レンズ群も各レーザー光毎に別々に設けられている。よって、光量・偏光の調整と、物体光の波面の調整を、各レーザー光毎に別々に行うことができる。
【0039】
また、感光部を設けたプリズム14は、スライドステージに搭載されて移動し、それぞれのレーザー光に対応する感光位置で露光を受ける。よって、光学系については、移動させる必要が無く、そのための調整は不要である。
【0040】
露光の際は、プリズム14を所定の位置にスライドし、赤色、緑色、青色を順次露光する。露光時間はシャッターによって制御され、適正にバランスされた露光量で感光材料に多重露光される。以上説明した露光装置による露光方法によって、R,G,Bそれぞれ個別に最適化された露光レンズを用い、最適な入射角でHOEを露光することが可能になる。
【0041】
また、露光レンズの色収差の問題を考慮せずに設計できるので、露光光学系を容易に製造することができ、HOEのコストダウンにつながる。さらに、反射ミラー3R、3G、3Bなども、それぞれの波長に最適化された高反射率のものを使用することが可能になる。
【0042】
図2に、図1に示されたプリズム14の構成を示す。図2(a)がプリズム14の構成の概要を示す図である。プリズム14は、プリズム本体15を、それと同じ材質で形成されたダミープリズム(やとい)16中に嵌め込んだものである。プリズム本体15とダミープリズム16の界面で反射が起こらないように、両者の間にはマッチングオイルが充填されている。プリズム本体15のダミープリズム6と接しない外面には、HOEを構成する感光基板17が設けられている。
【0043】
露光時において参照光は直接感光基板17を照射する。物体光は感光基板17の裏側から、ダミープリズム16、プリズム本体15を介して感光基板17を照射する。プリズム本体15が直角三角形をしているので、これに直接物体光を照射したのでは、その有効光束内に角部があるために、正しく感光基板17を感光させることができない。よって、やといとしてダミープリズム16を設け、物体光の入射面を平面にして、そのまま感光基板17に達するようにしている。
【0044】
使用時には、図2(b)に示すように、プリズム本体15をそれと材質が同じである基板18に埋め込んで使用する。基板18中を全反射して伝搬してきた光は、感光基板17で形成されたHOEによって反射されると共に回折を受け、回折光が基板18の表面とほぼ直角に出射して、Eye Pointに入射する。
【0045】
図3は、本発明の第2の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。赤色レーザー21R、緑色レーザー21G、青色レーザー21Bから出た光は、シャッター22R、22G、22Bを通り、1/2波長板23R、23G、23B、偏光ビームスプリッタ24R、24G、24B、スペイシャルフィルタ付ビームエキスパンダ25R、25G、25B、1/2波長板26R、26G、26B、1/4波長板27R、27G、27Bを順に通って、光量と偏光(偏光面と位相)の調整を受け、かつ、ノイズ分がカットされる。
【0046】
これらの光は、反射ミラー28B、ダイクロイックミラー28G、28Rで、それぞれ反射・透過され、一つの光束にまとめられる。そして、ハーフミラー29により、参照光と物体光に分離される。
【0047】
物体光は、ダイクロイックミラー30B、30G、及び反射ミラー30Rを通ることにより、再び青、緑、赤の3つの成分の光に分離される。これらの光は、可変NDフィルタ31R、31G、31Bを通り、さらにスペイシャルフィルタ付対物レンズ32R、32G、32Bを通り、コリメータレンズ33R、33G、33Bで平行光とされ、露光レンズ群34R、34G、34Bに入って波面変換を受け、物体光としてプリズム14に照射される。
【0048】
参照光は、ダイクロイックミラー35B、35G、及び反射ミラー35Rを通ることにより、再び青、緑、赤の3つの成分の光に分離されそれぞれ、参照光としてプリズム14に照射される。なお、プリズム14がステージに搭載されて各照射位置を移動することは、図1に示した実施の形態と同じである。
【0049】
この実施の形態においては、各レーザー光の光路に共通の部分が有るが、光量と偏光(偏光面と位相)の調整、及び物体光の波面の形成は、各レーザー毎に別の光学系により行われている。よって、これらの量を別々に調整することができる。また、物体光、参照光とも、別々の光路でプリズム14を照射するので、R,G,B光毎にこれらの入射角を変えることができる。よって、図1に示した実施の形態と、ほとんど同じ作用効果が得られる。
【0050】
ホログラム感光材料としては、例えば、フォトポリマー、フォトレジスト、フォトクロミック、フォトダイクロミック、銀塩乳剤、重クロム酸ゼラチン、ダイクロメートゼラチン、プラスチック、強誘電体、磁気光学材料、電気光学材料、非晶質半導体、フォトリフラクチィブ材料等が用いられる。
【0051】
ここで用いる材料は、先のレーザー光の波長帯全てを含む広帯域の感光剤を含んだ感光層を持つた単層の材料、もしくは各レーザー光の波長帯それぞれに対応する狭帯域の感光剤を含んだ感光層がバリア層をはさんで配置された多層構造の材料等である。
【0052】
本発明は上述の形態に限定されるものではない。例えば、プリズム14はスライドステージを使用して移動させる必要はなく、各照射位置に基準面を設け、押え金物にプリズム14をあてることで位置再現性よくそれぞれ所定の位置に置き直すことも可能である。順次露光の順番は比視感度の弱い方から赤、青、緑の順とすることも可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、R,G,B光それぞれに対して、個別に複雑な波面変換作用が可能なホログラム素子、画像再生時の光学系を簡単なものとした場合でも、明るく高性能な再生画像を得ることができるホログラム光学素子の製造方法、及びそれに使用するための露光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。
【図2】図1に示されたプリズムの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態である露光光学系の構成及びその光線の概略の経路を示す図である。
【図4】従来の露光システムの概要を示す図である
【符号の説明】
1R、1G、1R:レーザー光源、2R、2G、2B:シャッター、3R、3G、3B:反射ミラー、4R、4G、4B:ビームスプリッタ、5R、5G、5B:光量・偏光調整部材群、6R、6G、6B:反射ミラー、7R、7G、7B:スペイシャルフィルタ付対物レンズ、8R、8G、8B:コリメータレンズ、9R、9G、9B:反射ミラー、10R、10G、10B:光量・偏光調整部材群、11R、11G、11B:スペイシャルフィルタ付対物レンズ、12R、12G、12B:コリメータレンズ、13R、13G、13B:露光レンズ群、14:プリズム、15:プリズム本体、16:ダミープリズム、17:感光基板、18:基板、21R:赤色レーザー、21G:緑色レーザー、21B:青色レーザー、22R、22G、22B:シャッター、23R、23G、23B:1/2波長板、24R、24G、24B:偏光ビームスプリッタ、25R、25G、25B:スペイシャルフィルタ付ビームエキスパンダ、26R、26G、26B:1/2波長板、27R、27G、27B:1/4波長板、28B:反射ミラー、28G、28R:ダイクロイックミラー、29:ハーフミラー、30B、30G:ダイクロイックミラー、30R:反射ミラー、31R、31G、31B:可変NDフィルタ、32R、32G、32B:スペイシャルフィルタ付対物レンズ、33R、33G、33B:コリメータレンズ、34R、34G、34B:露光レンズ群、35B、35G:ダイクロイックミラー、35R:反射ミラー
Claims (8)
- ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光してホログラム光学素子を製造する方法であって、前記レーザー光の光源からホログラム感光体までの光路を、各レーザー光毎に別々として露光を行うことを特徴とするホログラム光学素子の製造方法。
- ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光してホログラム光学素子を製造する方法であって、前記ホログラム感光体に照射するレーザー光の波面を、各レーザー光毎に別々に形成し、このレーザー光をホログラム感光体に照射してホログラム光学素子を形成することを特徴とするホログラム光学素子の製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載のホログラム光学素子の製造方法であって、ホログラム感光体を塗布した基板を、各レーザー光毎に別々に形成された光路に順次移動して、順次露光することを特徴とするホログラム光学素子の製造方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のホログラム光学素子の製造方法であって、前記レーザー光の光量調整と偏光調整を、各レーザー光毎に独立して行い、このレーザー光を用いて露光を行うことを特徴とするホログラム光学素子の製造方法。
- ホログラム感光体に対して、異なる波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を露光するホログラム露光装置であって、レーザー光の光源からホログラム感光体までの光路が、各レーザー光毎に別々とされていることを特徴とするホログラム露光装置。
- ホログラム感光体に対して、異なる感光作用を持つ波長帯域のレーザー光を照射することにより、上記の感光体を順次露光するホログラム露光装置であって、前記ホログラム感光体を照射するレーザー光の波面を形成する光学系を、各レーザー光毎に別々に有することを特徴とするホログラム露光装置。
- 請求項5又は請求項6に記載のホログラム露光装置であって、ホログラム感光体を塗布した基板を搭載し、当該基板を前記各レーザー毎に設けられた光路中に順次移動するステージが設けられていること特徴とするホログラム露光装置。
- 請求項5から請求項7のうちいずれか1項に記載のホログラム露光装置であって、前記レーザー光の光量調整と偏光調整を行う光学系を、各レーザー光毎に独立して有することを特徴とするホログラム露光装置。
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