JP2004218447A - クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法およびクローズドデッキ型シリンダブロック - Google Patents

クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法およびクローズドデッキ型シリンダブロック Download PDF

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Abstract

【課題】品質および耐久性に優れたクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法およびクローズドデッキ型シリンダブロックを提供する。
【解決手段】オープンデッキ型シリンダブロック2のウォータジャケット4の上端部に、ブリッジ母材7の表面を軟質な被覆材8で被覆したブリッジ材5を圧入した後、オープンデッキ型シリンダブロック2とブリッジ材5との接合部を電子ビーム9により溶接してクローズドデッキ型シリンダブロック1を製造する。圧入の際に被覆材が容易に塑性変形して圧入抵抗が緩和され、シリンダブロック1側に発生する残留応力が軽減される。また、接合部を電子ビーム溶接により溶接するので、圧入領域全体に亘って溶接でき、かつ溶接による溶融・凝固収縮のよってシリンダブロック1にはブリッジ材5の圧入時とは逆方向の応力が発生するので、残留応力が解消される。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのシリンダブロックおよびその製造方法に関し、詳しくは、オープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケット上端部にブリッジ材を接合して形成されたクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法およびクローズドデッキ型シリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法として、オープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケットの上端部に、ウォータジャケットの幅よりも狭い幅を有するブリッジ材を収納した後、トップデッキから所定寸法離れたウォータジャケットの両側壁とブリッジ材の両側壁との間隙の下部にロウ材を挿入し、その後、ウォータジャケットの両側壁とブリッジ材の両側壁とをトップデッキ側からレーザ溶接することにより、ブリッジ材の下部側壁をロウ付けにより接合し、上部側壁をレーザ溶接により接合してクローズドデッキ型シリンダブロックを製造するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の製造方法として、オープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケットのブリッジ材接合部に超音波振動を印加して亜鉛合金はんだ層を形成すると共に、ブリッジ材にも同様に亜鉛合金はんだ層を形成し、その後、ブリッジ材を所定の加圧力でブリッジ材接合部に挿入し、続いてブリッジ材接合部の周囲を一様に加熱すると共に、ブリッジ材を加圧しながら超音波振動を印加することにより、ブリッジ材をブリッジ材接合部に接合してクローズドデッキ型シリンダブロックを製造するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに他の製造方法として、オープンデッキ型シリンダブロック及び低融点合金を付着したブリッジ材を加熱した状態で、ブリッジ材をウォータジャケット上端部に押し込んだ後、パンチにより凹状を塑性変形させたり、ブリッジ材を塑性流動させながら圧入したりして、シリンダブロックとブリッジ材とを塑性流動拡散接合し、その後、シリンダブロック全体を加熱してクローズドデッキ型シリンダブロックを製造するようにしたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−103064号公報(段落0005〜0010、図1、図2)
【特許文献2】
特開平9−280102号公報(段落0031)
【特許文献3】
特開平11−236850号公報(段落0007〜0015)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示の製造方法にあっては、レーザ溶接を施すため、溶け込み深さが浅く、かつ溶接線幅が太くなる。このため、シリンダブロックへの熱影響が大きくなって、シリンダブロックの内部欠陥が加熱により体積膨張して表面が膨れる、いわゆるブリスタが発生し、品質が低下することが懸念される。
【0007】
また、特許文献2や特許文献3に開示の製造方法にあっては、図11に示すように、シリンダブロック51のウォータジャケット52の上端部にブリッジ材53を圧入するため、ブリッジ材53の圧入の際にシリンダブロック51側に矢印で示すような残留応力が発生する。このため、歪等が発生してシリンダボア54の真円度が低下し、シリンダブロック51の耐久性が低下する恐れがある。特に、シリンダブロック51を薄肉化すると、残留応力および歪の発生が顕著になる。また、シリンダブロック51を加熱するため、ブリスタが発生して品質が低下することも懸念される。
【0008】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、品質及び耐久性に優れたクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法およびクローズドデッキ型シリンダブロックを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法の発明は、オープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケット上端部に、ブリッジ母材の表面を軟質な被覆材で被覆したブリッジ材を圧入した後、上記オープンデッキ型シリンダブロックと上記ブリッジ材との接合部を電子ビーム溶接により溶接してクローズドデッキ型シリンダブロックを製造することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によると、軟質な被覆材で被覆したブリッジ材を圧入するので、圧入の際に被覆材が容易に塑性変形してある程度外部に押出されて圧入抵抗が緩和され、圧入後にシリンダブロック側に発生する残留応力が軽減される。しかも、圧入後、接合部を電子ビーム溶接により溶接するので、ブリッジ材をウォータジャケットの両側壁に圧入領域の必要一部または全体に亘って溶接でき、十分な接合強度が得られると共に、溶接による溶融・凝固収縮のよってシリンダブロックにはブリッジ材の圧入時とは逆方向の応力が発生するので、残留応力が解消され、歪等が発生することもなくなり、シリンダボアの真円度を確保することができる。従って、シリンダブロックを薄肉化しても耐久性に優れたクローズドデッキ型シリンダブロックを製造することが可能となる。また、電子ビーム溶接は、その溶接線幅が狭いことからブリスタの発生を確実に抑えることができるので、高品質のクローズドデッキ型シリンダブロックを製造することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、上記被覆材の厚さを、上記電子ビーム溶接による溶接線幅よりも薄くしたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によると、被覆材の厚さが電子ビーム溶接の溶接線幅よりも薄いので、溶接部の組成をシリンダブロック材の組成物と、ブリッジ母材の組成物と、被覆材の組成物との混合組成とすることができて、局所的な強度低下を防止することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、上記ブリッジ母材として、固溶強化型合金を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によると、ブリッジ母材が固溶強化型合金からなるので、溶接部の強度低下を防止することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、上記固溶強化型合金としてAl−Mg系合金展伸材を用い、上記オープンデッキ型シリンダブロックとしてADC12で鋳造したものを用いることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明によると、オープンデッキ型シリンダブロックがADC12で鋳造され、ブリッジ母材をAl−Mg系合金展伸材とすることで、溶接部の硬度低下を防止できると共に、入手し易くかつ安価な材料を選定でき、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、上記Al−Mg系合金として、Si;0.3〜0.45質量%、Fe;0.40〜0.50質量%、Cu;0〜0.1質量%、Mn;0.10〜0.7質量%、Mg;3.1〜5.6質量%、Cr;0.15〜0.25質量%、Zn;0.10〜0.25質量%、Ti;0〜0.2質量%、残部をAlとする合金を用いることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明によると、ブリッジ材の強度をADC12からなるシリンダブロック材と同等にすることができ、より品質の安定したクローズドデッキ型シリンダブロックを製造することが可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、上記被覆材として、Si;0.25質量%以下、Fe;0.35質量%以下、Cu;0〜0.05質量%以下、Mn;0.03質量%以下、Mg;0.03質量%以下、Zn;0.05質量%以下、Ti;0.03質量%以下で、Alが99.60質量%以上の工業用純Alを用いることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明によると、工業用純Alは入手し易くかつ安価であるので、製造コストの低減を図ることが可能となり、特にブリッジ母材が請求項5のAl−Mg系合金からなる場合は、ブリッジ母材に工業用純Alを被覆したものを極めて簡便な間接押出しにより生産でき、これを所定の長さに切断してブリッジ材として用いることができるので、よりコストダウンを図ることが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法において、上記ブリッジ材を室温または加熱した状態で、上記ウォータジャケットの上端部に圧入することを特徴とする。
【0022】
請求項7の発明によると、ブリッジ材を室温状態としてウォータジャケットの上端部に圧入することで、簡易に圧入できる。また、ブリッジ材を加熱してウォータジャケットの上端部に圧入すれば、よりスムーズに圧入でき、圧入後にシリンダブロック側に発生する残留応力をより軽減することが可能となる。
【0023】
請求項8に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの発明は、請求項1〜7の製造方法により製造され、上記ブリッジ材が上記ウォータジャケットの両側壁に圧入領域の必要一部または全体に亘って溶接されていることを特徴とする。
【0024】
請求項8の発明によると、クローズドデッキ型シリンダブロックが請求項1〜7の製造方法によって製造されて、ブリッジ材がシリンダブロックに確実に溶接されるので、品質および耐久性を向上することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0026】
図1および図2は本発明によるクローズドデッキ型シリンダブロックの要部の構成を示すもので、図1はトップデッキ側から見た平面図、図2は図1のI−I線断面図である。
【0027】
本実施の形態によるクローズドデッキ型シリンダブロック1は、オープンデッキ型シリンダブロック2のシリンダボア3の周囲に形成されたウォータジャケット4の上端部の所定位置にブリッジ材5を挿入して、ブリッジ材5をウォータジャケット4の両側壁に挿入領域の必要一部または全体に亘って溶接したものである。
【0028】
次に、図1および図2に示したクローズドデッキ型シリンダブロック1の製造方法の実施の形態について、図3乃至図9を参照して説明する。
【0029】
図3は製造方法の順次の工程を示すもので、図4は本実施の形態で用いるオープンデッキ型シリンダブロックの要部の構成を示す断面図、図5は同じくブリッジ材の構成を示す断面図、図6は図5に示すブリッジ材の組成を示す図、図7はブリッジ材圧入後のシリンダブロックの状態を示す断面図、図8は溶接工程を説明するための図、図9は溶接による残留応力の解消効果を説明するための図である。
【0030】
図3に示すように、本実施の形態の製造方法は、オープンデッキ型シリンダブロックをダイカスト鋳造する工程(ステップS1)と、鋳造されたオープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケットの上端部所定位置にブリッジ材を圧入する工程(ステップS2)と、圧入したブリッジ材とシリンダブロックとの接合部を電子ビーム溶接により溶接する工程(ステップS3)とを有している。
【0031】
本実施の形態では、ステップS1において、図4に示すように、シリンダボア3の周囲にウォータジャケット4を有すると共に、ウォータジャケット4の上端部にブリッジ材位置決め用凹部6を有するオープンデッキ型シリンダブロック2を、例えばADC12により鋳造する。
【0032】
また、ステップS2では、図5に示すように、ブリッジ材5として、固溶強化型合金であるAl−Mg系合金の展伸材をブリッジ母材7とし、その少なくともウォータジャケットの両側壁側の表面を軟質な被覆材8としての工業用純Alで被覆したものを用い、このブリッジ材5をオープンデッキ型シリンダブロック2のウォータジャケット4の上端部所定位置に軽圧入してブリッジ材位置決め用凹部6に位置決めする。なお、圧入の際、ブリッジ材5は、溶接時の収縮応力とバランスする圧入応力になるように加熱温度を設定することが望ましい(例えば340℃程度)。なお、室温状態でも可能であり、室温状態の場合は、ブリッジ材を加熱することなく簡易に実現できる。
【0033】
ここで、ブリッジ材5を構成する被覆材8である工業用純Al及びブリッジ母材7であるAl−Mg系合金は、図6に示す組成のものを用いる。すなわち、工業用純Al(A1000系)は、Si;0.25質量%以下、Fe;0.35質量%以下、Cu;0.05質量%以下、Mn;0.03質量%以下、Mg;0.03質量%以下、Zn;0.05質量%以下、Ti;0.03質量%以下、Al;99.60質量%以上で、なまし材における耐力が15MPa以上、強度が95MPa以下のもの、例えばA1060を用いる。
【0034】
また、Al−Mg系合金は、例えばA5000系のもので、Si;0.3〜0.45質量%、Fe;0.40〜0.50質量%、Cu;0〜0.1質量%、Mn;0.10〜0.7質量%、Mg;3.1〜5.6質量%、Cr;0.15〜0.25質量%、Zn;0.10〜0.25質量%、Ti;0〜0.2質量%、残部がAlで、なまし材における耐力が120〜150MPa、強度が245〜295MPaのもの、例えばA5056を用いる。
【0035】
また、被覆材8の厚さは、電子ビーム溶接による溶接線幅よりも薄くする。例えば、ブリッジ材5の圧入深さが8〜10mmの場合には、電子ビーム溶接による溶接線幅を1mm程度に抑えることができるので、被覆材8の厚さは0.3〜0.5mmとする。
【0036】
このようなブリッジ材5は、例えば極めて簡便な間接押出しによって、Al−Mg系合金からなるブリッジ母材7の表面に工業用純Alからなる被覆材8を被覆したものを生産し、これを所定の長さに切断して用いることができる。
【0037】
ステップS2において、図4に示したオープンデッキ型シリンダブロック2のウォータジャケット4の上端部所定位置に、図5に示したブリッジ材5を軽く圧入すると、圧入の際に被覆材8が容易に塑性変形してある程度外部に押出されるので、圧入抵抗が緩和される。従って、圧入後は、図7に矢印で示すように、シリンダブロック2側に発生する残留応力が軽減される。なお、この残留応力の軽減効果は、ブリッジ材5を加熱して圧入することにより、より顕著となる。
【0038】
ステップS3では、図8に示すように、圧入したブリッジ材5とウォータジャケット4の側壁との接合部に電子ビーム9を投射して溶接する。
【0039】
このように、ブリッジ材5とウォータジャケット4の側壁との接合部を電子ビーム9により溶接すれば、ブリッジ材5をウォータジャケット4への圧入領域全体(ブリッジ材位置決め用凹部6の深さ全体)に亘って溶接でき、その溶接部10の組成をシリンダブロック材の組成物と、ブリッジ母材7の組成物と、被覆材8の組成物との混合組成とすることができるので、局所的な強度低下を防止することができると共に、被覆材8の厚さが電子ビーム溶接の溶接線幅よりも薄いので、溶接によるシリンダブロック2の加熱領域を、図8に一点鎖線で示すように最表層部に抑えることができる。従って、ブリッジ材5の接合強度に優れ、ブリスタのない高品質のクローズドデッキ型シリンダブロック1を製造することができる。
【0040】
しかも、溶接時には、溶接部10が溶融・再凝固により収縮して、シリンダブロック2には、図9に矢印で示すように、ブリッジ材5の圧入時とは逆方向の応力が発生するので、図7に示したブリッジ材5の圧入時にシリンダブロック2に生じた残留応力が解消される。従って、歪等が発生することもなくなるので、シリンダボア3の真円度を確保することができ、シリンダブロック2が薄肉であっても、耐久性に優れたクローズドデッキ型シリンダブロック1を製造することができる。
【0041】
このシリンダブロック2の薄肉化により、シリンダブロック2を鋳造する際の鋳造性が向上し、鋳巣発生などの鋳造欠陥が抑制できると共に、シリンダブロック2の軽量化が得られ、燃費の向上が期待できる。
【0042】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ブリッジ母材7はAl−Mg系合金のA5056に限らず、A5154〜A5053の任意のAl−Mg系合金を用いたり、シリンダブロック材と同じ例えばADC12を用いたりすることもできる。
【0043】
図10は、ADC12の平板を溶製、均質化処理後、焼き入れたもの(Cu原子が固溶した状態)を突き合わせ溶接した場合の強度を示すもので、横軸は溶接中心からの位置を示しており、縦軸は溶接部強度/母材強度を示している。従って、図10から明らかなように、ブリッジ母材をシリンダブロック材と同じADC12とした場合でも溶接部10の強度を充分確保することができる。なお、上記実施の形態のように、シリンダブロック材をADC12とし、ブリッジ母材をAl−Mg系合金とした場合にも、図10と同様な溶接強度を得ることができる。
【0044】
また、被覆材8は、A1060に限らず、A1030の純Alを用いたり、純Al以外のもの、例えばA3000系のAl−Mn系合金(例えば、A3030等)を用いたりすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、オープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケット上端部に、ブリッジ母材の表面を軟質な被覆材で被覆したブリッジ材を圧入して、その接合部を電子ビーム溶接により溶接するようにしたので、品質および耐久性に優れたクローズドデッキ型シリンダブロックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるクローズドデッキ型シリンダブロックの要部の構成を示す平面図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】本発明による製造方法の順次の工程を示す図である。
【図4】本発明による製造方法で用いるオープンデッキ型シリンダブロックの要部の構成を示す断面図である。
【図5】同じく、ブリッジ材の構成を示す断面図である。
【図6】図5に示すブリッジ材の組成を示す図である。
【図7】本発明の製造方法によるブリッジ材圧入後のシリンダブロックの状態を示す断面図である。
【図8】本発明の製造方法による溶接工程を説明するための図である。
【図9】図8に示した溶接工程での残留応力の解消効果を説明するための図である。
【図10】ADC12の突き合わせ溶接による溶接部強度/母材強度を示す図である。
【図11】従来のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 クローズドデッキ型シリンダブロック
2 オープンデッキ型シリンダブロック
3 シリンダボア
4 ウォータジャケット
5 ブリッジ材
6 ブリッジ材位置決め用凹部
7 ブリッジ母材
8 被覆材
9 電子ビーム
10 溶接部

Claims (8)

  1. オープンデッキ型シリンダブロックのウォータジャケット上端部に、ブリッジ母材の表面を軟質な被覆材で被覆したブリッジ材を圧入した後、上記オープンデッキ型シリンダブロックと上記ブリッジ材との接合部を電子ビーム溶接により溶接してクローズドデッキ型シリンダブロックを製造することを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  2. 上記被覆材の厚さを、上記電子ビーム溶接による溶接線幅よりも薄くしたことを特徴とする請求項1に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  3. 上記ブリッジ母材として、固溶強化型合金を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  4. 上記固溶強化型合金としてAl−Mg系合金展伸材を用い、上記オープンデッキ型シリンダブロックとしてADC12で鋳造したものを用いることを特徴とする請求項3に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  5. 上記Al−Mg系合金として、Si;0.3〜0.45質量%、Fe;0.40〜0.50質量%、Cu;0〜0.1質量%、Mn;0.10〜0.7質量%、Mg;3.1〜5.6質量%、Cr;0.15〜0.25質量%、Zn;0.10〜0.25質量%、Ti;0〜0.2質量%、残部をAlとする合金を用いることを特徴とする請求項4に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  6. 上記被覆材として、Si;0.25質量%以下、Fe;0.35質量%以下、Cu;0.05質量%以下、Mn;0.03質量%以下、Mg;0.03質量%以下、Zn;0.05質量%以下、Ti;0.03質量%以下で、Alが99.60質量%以上の工業用純Alを用いることを特徴とする請求項1〜5に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  7. 上記ブリッジ材を室温または加熱した状態で、上記ウォータジャケットの上端部に圧入することを特徴とする請求項1〜6に記載のクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  8. 請求項1〜7に記載の製造方法により製造され、上記ブリッジ材が上記ウォータジャケットの両側壁に圧入領域の必要一部または全体に亘って溶接されていることを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロック。
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