JP2004217322A - 振動式パーツフィーダの設計方法、振動式パーツフィーダ、およびそれを用いた部品搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パーツフィーダ本体が配置されたベースと、ベースを保持するフレームとの間に、少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制する振動抑制ばねを備え、パーツフィーダ本体の振動周波数f(Hz)、振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、振動抑制ばねにかかる総質量M(kg)、振動抑制ばねにかかる最大質量変動量ΔM(kg)、振動抑制ばねにかかる想定外力F(N)、重力加速度g(m/s2)が、
【数式1】
【数式2】
を満たすようにする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動式パーツフィーダ、特に高い供給位置精度が要求されるチップ部品等の供給に用いられる振動式パーツフィーダ、およびその設計方法、ならびに振動式パーツフィーダを用いた部品搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、積層型コンデンサや積層型インダクタ等のチップ部品について、出荷前に特性不良検査や外観検査を行ったりする際に、所定の位置にチップ部品を精度よく供給する必要がある。このための装置として、チップ部品を移送するための部品通路に対し、振動源から50〜60Hzもしくは100〜120Hzの加振周波数で振動を付与することで、部品通路に一定方向の振動を生じさせ、この振動によりチップ部品を一定方向に供給する振動式のパーツフィーダが一般的に広く用いられている。
【0003】
この振動式パーツフィーダとしては、例えば以下に示すようなものがある。すなわち、内周壁にスパイラル状のトラックが形成され、このトラックに沿って部品を排出する椀状のボウルと、ボウルの排出端部に連通して水平方向に配置され、本発明の部品通路に該当するトラフ(部品通路)と、このトラフに対し、直線振動を付与する振動源とを備えた振動式パーツフィーダである。振動源とトラフとは、前後一対の傾斜板ばねによって取り付けられており、振動源と基台ブロック(ベース)とは、別の前後一対の傾斜板ばねによって取り付けられ、基台ブロックは基台に直接固定されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、トレイにフレキシャ振動体を振動源として取り付け、この振動源をベッド(ベース)上に支持固定するとともに、ベッドを基台上にコイルスプリング(振動抑制ばね)を介して保持するものもある(特許文献2参照)。
【0005】
これらの振動式パーツフィーダには、被供給物であるチップ部品の小型化に伴い、部品供給口から次工程への受け渡しなどにおいて、より高い供給精度を求められるようになってきており、近年特にその要望が強くなっている。また、より高速に供給することも同時に強く求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−75846号公報
【特許文献2】
特開平5−246526号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されているような振動源が板ばねを介して支持されている振動式パーツフィーダは、強固な定盤上に搭載した場合には固有の部品供給能力を十分に発揮できる。しかしながら、実際の工程において用いられるような金属製のフレーム上に搭載した場合には振動源からの振動がフレームに伝わることによって、フレームが大きく振動してしまう。その結果、フレーム振動の反力が部品通路に不要振動として伝わるため、本来、部品供給に寄与するはずの振動を阻害してしまい、振動式パーツフィーダが有する部品供給能力の低下する要因となっている。また、同じフレーム上に次の工程の装置が載置されている場合は、その装置による処理に悪影響が出る場合がある。これは板ばねを斜めに起立させた状態で使用しているため、水平方向の振動についてはよく吸収されるが、鉛直方向の振動についてはほとんど吸収されないからである。
【0008】
また、特許文献2に開示されているような振動源がコイルばねを介して支持されている振動式パーツフィーダは、ベースの下面に鉛直方向の振動を吸収できるコイルばねが設けられているため、振動源からの振動がフレームにほとんど伝わらず、フレームからの不要振動による振動式パーツフィーダの部品供給能力はほとんど阻害されることがない。これは振動源からの振動を十分に吸収できるだけのばね定数の低いコイルばねが用いられているからである。しかしながら、ベース上に部品収納部を並設していると、部品を供給していくにつれて、振動抑制ばねが支持する総質量のうち供給した部品に該当する質量分が変動することになる。通常、振動源からの振動を十分に吸収するために、振動抑制ばねとしては、ばね定数が十分に低いものが用いられており、そのような振動抑制ばねの撓み量は振動抑制ばね上の質量変動に影響されやすくなる。その結果、部品供給口の高さが振動抑制ばねの撓み量によって変動することになり、部品の供給位置が一定しないという新たな問題が生じている。また、振動抑制ばねの撓み量は、振動抑制ばね上の質量だけでなく、部品収納部への部品の補充時の衝撃や、外部からのパーツフィーダへの接触による物理的衝撃によっても影響を受ける。したがって、厳密な供給位置精度が要求される微小な電子部品の供給に用いる場合には、十分な振動抑制効果を有するばね定数のコイルばねを採用することができないため、フレームからの不要振動が抑制しきれてなかった。
【0009】
本発明の目的は、フレームからの不要振動を原因とする部品供給能力の低下を抑制し、かつ部品の供給位置の変化を所望の値以下にすることができる振動式パーツフィーダの設計方法、および振動式パーツフィーダを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に基づいてなされたものである。◆
本発明の振動式パーツフィーダの設計方法は、被供給物である部品を外部に供給する部品供給口を有する部品通路と、振動源を有し、前記振動源からの振動が前記部品通路上にある部品を前記部品供給口の方向に移動させるものとなるように前記部品通路に係合された加振機構とを備えるパーツフィーダ本体と、前記パーツフィーダ本体が配置されたベースと、前記ベースを保持するフレームと、前記ベースと前記フレームとの間に配置され、少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制する振動抑制ばねとを備える振動式パーツフィーダの設計方法であって、前記パーツフィーダ本体の振動周波数をf(Hz)、前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる総質量をM(kg)としたとき、
【0011】
【数式1】
【0012】
を満たし、前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる最大質量変動量をΔM(kg)、前記振動抑制ばねにかかる想定外力をF(N)、前記部品供給口の垂直位置の許容変動量をΔX(m)、重力加速度をg(m/s2)としたとき、
【0013】
【数式2】
【0014】
を満たすことを特徴とする。
【0015】
このような条件を満たすように各パラメータを設定することによって、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動を抑制し、かつ部品供給口の位置変動も所望の精度を満足する振動式パーツフィーダを得ることができる。
【0016】
また、本発明の振動式パーツフィーダの設計方法においては、前記パーツフィーダ本体の振動周波数f(Hz)、前記振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、および前記振動抑制ばねにかかる総質量M(kg)が
【0017】
【数式3】
【0018】
を満たすことが好ましい。
【0019】
このような条件となるように各パラメータを設定することによって、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動抑制効果がより顕著なものとなる。
【0020】
また、本発明の振動式パーツフィーダは、被供給物である部品を外部に供給する部品供給口を有する部品通路と、振動源を有し、前記振動源からの振動が前記部品通路上にある部品を前記部品供給口の方向に移動させるものとなるように前記部品通路に係合された加振機構とを備えるパーツフィーダ本体と、前記パーツフィーダ本体が配置されたベースと、前記ベースを保持するフレームと、前記ベースと前記フレームとの間に配置され、少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制する振動抑制ばねとを備える振動式パーツフィーダであって、前記パーツフィーダ本体の振動周波数をf(Hz)、前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる総質量をM(kg)としたとき、
【0021】
【数式1】
【0022】
を満たし、前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる最大質量変動量をΔM(kg)、前記振動抑制ばねにかかる想定外力をF(N)、重力加速度をg(m/s2)としたとき、
【0023】
【数式4】
【0024】
を満たすことを特徴とする。
【0025】
このような構成となるように各パラメータを設定することによって、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動を抑制し、かつ部品供給口の位置変動を0.0001m(100μm)以内である振動式パーツフィーダとすることができる。
【0026】
また、本発明の振動式パーツフィーダにおいては、前記パーツフィーダ本体の振動周波数f(Hz)、前記振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、および前記振動抑制ばねにかかる総質量M(kg)が、
【0027】
【数式3】
【0028】
を満たすことが好ましい。
【0029】
このような構成となるように各パラメータを設定することによって、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動抑制効果がより顕著なものとなる。
【0030】
また、本発明の部品搬送装置は、前記振動式パーツフィーダにおいて、
前記フレーム上に、前記部品供給口に連通するように、部品搬送機構を配置したことを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
(作用)
以下、各パラメータの数値限定の作用について説明する。本発明の振動式パーツフィーダの設計方法は、次の二つの目的を達成することを課題としている。すなわち、フレームからの不要振動を原因とする部品供給能力の低下を抑制するということと、部品の供給位置の変化を所望の値以下にすることである。
【0032】
まず、フレームからの不要振動抑制については、パーツフィーダ本体の振動周波数におけるフレーム自体の振動に対する耐性を高めるのではなく、パーツフィーダ本体からの振動のフレームへの伝達効率を抑制することでフレームからの不要振動を抑制するものである。本発明者らは、フレームへの振動の伝達効率がパーツフィーダ本体の振動周波数と、振動抑制ばねおよびこれが支持する構成の共振周波数との差に起因すること、振動抑制ばねおよびこれが支持する構成の共振周波数が振動抑制ばねのばね定数により変化することに着目し、このパーツフィーダ本体からフレームに伝達する振動を抑制するための条件が、
【0033】
【数式1】
【0034】
となることを見出した。(I)式においては、左辺が振動抑制ばねおよびこれが支持する構成の共振周波数に該当する。すなわち(I)式は、振動抑制ばねおよびこれが支持する構成の共振周波数が振動源の振動周波数の70%未満となったときに、振動源からフレームへの実質的な振動抑制効果が表れることを示している。なお、(III)式にあるように、振動抑制ばねおよびこれが支持する構成の共振周波数が振動源の振動周波数の50%未満とした場合には、振動源からフレームへの振動抑制効果が特に顕著となり、フレームとして比較的振動しやすい螺合部位を有するものやアルミニウム製のものを用いても十分実用に供することができるようになる。
【0035】
なお、パーツフィーダ本体の振動周波数としては、基本的に振動源の振動周波数をそのまま適用すればよいが、部品通路への部品の供給に別の振動フィーダを用いており、かつその振動エネルギーがパーツフィーダ本体の振動周波数に影響を及ぼす程度に大きい場合は、振動源の振動周波数と振動フィーダの振動周波数とを比べてより周波数が低い方をパーツフィーダ本体の振動周波数として適用すればよい。
【0036】
次に、部品供給位置の変化の抑制については、供給位置の変化の主要因となっていた振動抑制ばねのばね定数を、要求される供給位置精度に合わせて調整するようにしている。そして、部品の供給位置の変化を所望の値(ΔX)以下にするための条件が、
【0037】
【数式2】
【0038】
となることを見出した。ここで、振動抑制ばねの撓み量ΔXは、想定しうる振動抑制ばねの最大撓み量を設定する必要がある。このΔXは(ΔM・g+F)/Kで表されるから、これを変形すれば(II)式が得られる。なお、(II)式におけるFは供給すべき部品を一度に大量に投入したりするときや、外部からのパーツフィーダへの接触等があったときにかかる振動抑制ばねへの一時的な衝撃力であり、このような力が振動抑制ばねにかかっても、常に所望の供給位置精度が得られるようにあらかじめ想定外力として組み込んでいるものである。なお、一度に投入された部品が与える衝撃力が十分小さかったり、外部からのパーツフィーダへの接触等が想定されないような場合は、F=0(N)として設計しても構わない。
【0039】
また、(II)式においてΔX=0.0001(m)(=100μm)を代入したものが(IV)式であり、常に部品の供給位置精度が100μm以下となるような振動式パーツフィーダを示している。なお、ΔMが0.01(kg)以上としているのは、ΔMが0.01kgより小さい場合、一度に投入できる部品の量が少なく非効率的であるためである。
【0040】
ここで、本発明の振動式パーツフィーダの稼動条件についてより具体的に説明する。一般的な振動式パーツフィーダには、供給すべき部品の質量に応じて、およそ50〜60Hzもしくは100〜120Hzの振動周波数の振動源が広く用いられている。しかしながら、このような振動周波数の振動源からの振動を抑制するためには、一般的に想定できる振動式パーツフィーダの稼動条件を考慮すると、振動抑制ばねのばね定数を十分に低く設定する必要がある。このため、上記(I)式および(II)式を同時に満たすようなばね定数の振動抑制ばねというものが存在しないか、存在しても、振動源からフレームに伝達する振動を抑制する効果と供給位置精度の向上という効果とを高いレベルで実現することはできないという制約がある。
【0041】
これに対し、微小な部品を安定的に供給するには、一般的に150Hz以上という高い振動周波数の振動源を用いたほうが効率がよいといわれている。そしてこのような振動源を用いれば、上記(I)式および(II)式を同時に満たすばね定数が設定できるようになる。
【0042】
ただし、振動源の振動周波数が高い場合、部品通路に与える振幅が小さくなるので、比較的質量が大きい部品を供給するような用途にはもともとの供給能力が低くあまり効率的とはいえない。また、このような大型部品の場合、供給位置精度を厳密に要求されることも少ない。
【0043】
したがって、質量が50mg以下であるような微小部品を供給するような振動式パーツフィーダにおいて、本発明の振動式パーツフィーダの設計方法をより効果的に適用できる。
(実施例)
まず、本発明の振動式パーツフィーダおよびこれを用いた部品搬送装置の構成について説明する。なお、図1は本発明の振動式パーツフィーダの一実施例を示す概略断面図、図2は本発明の一実施例の振動式パーツフィーダにおける振動抑制ばね周辺を示す断面図、図3は本発明の他の実施例の振動式パーツフィーダにおける振動抑制ばね周辺を示す断面図である。
【0044】
図1に示すように、本発明の振動式パーツフィーダ1は、チップ部品Wを載置して部品供給口3aからチップ部品を供給するトラフ(部品通路)3と、トラフ3を加振するための振動源4と、振動源4からの振動を部品通路3に伝達できるようにトラフ3に係合された加振機構5とを備えるパーツフィーダ本体2と、パーツフィーダ本体2が配置されたベース6と、ベース6を保持するフレーム7と、ベース6とフレーム7との間に配置され、少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制するコイルばね(振動抑制ばね)8と、トラフ3上にチップ部品を供給する振動フィーダ10とからなる。
【0045】
トラフ3は、底面部と側面部とからなる断面コの字状の直線通路であり、底面部が略水平となるように配置されている。また、その一方端側がトラフ3上を移動してきたチップ部品を排出する部品供給口3aに該当し、所望の部品供給位置とこの部品供給口3aとが一致するように配置位置が調整されている。
【0046】
振動源4は、所定の振動周波数で振動する圧電振動体であり、トラフ3にこの振動を伝達することによってトラフ3上のチップ部品を部品供給口3a方向に移動させるためのものである。なお、本実施形態では振動源として圧電振動体を用いているが、電気コイルと永久磁石とを組み合わせた電磁式の振動体を用いてもよい。
【0047】
加振機構5は、一方端がトラフ3の底面部下面に係合し、かつトラフ3の長手方向に平行配置された一対の板ばね5aと、この板ばね5aの他方端と係合し、板ばね5aを保持する保持具5bとからなる。また、板ばね5aはトラフ3の長手方向に撓むように斜めに傾いた状態で保持されており、この板ばねの両主面に振動源4が設けられている。
【0048】
ベース6は、その一方主面側に保持具5bおよび振動フィーダ9が固定された平板であり、他方主面側にはコイルばね8を設けるための凹部が形成されている。
【0049】
コイルばね8は、振動源4からの振動がフレーム7に伝達するのを抑制するためのものである。図2に示すように、コイルばね8は、ベース6に設けられた凹部6a内に収納されている。また、コイルばね8の両端は雌ネジが形成されたプレート8aに固定されており、コイルばね8の一方端がベース6側に、他方端がフレーム7側にそれぞれ雄ネジ8bによって螺合されている。
【0050】
振動フィーダ10は、トラフ3上にチップ部品Wを供給するためのものである。振動フィーダ10の構成は、螺旋状に振動するボウル部10aと、ボウル部10aを振動させるボウル部振動源(図示しない)と、ボウル部10aに連通する排出口10bとを有している。チップ部品Wは、このボウル部10aに図示しない部品投入機構によって投入され、ボウル部10aに形成された通路を通って排出口から順次トラフ3上に供給される。
【0051】
また、図3は、コイルばねに代えてU字型板ばね9を設けたものである。U字型板ばね9は、平板部9aと湾曲部9bとから構成され、2つの平板部9aが湾曲部9bを介して繋がっており、この湾曲部9bでばね性を付与している。平板部9aはそれぞれ固定板9bに螺合され、この上下2つの固定板4bはそれぞれベース6とフレーム7とに螺合されている。
【0052】
次に、上記振動式パーツフィーダの各構成のパラメータを以下のようにして設定した。まず、振動式パーツフィーダの稼動条件として、質量が10mgのチップ部品を供給すること、チップ部品を補充するときは一度に1kgずつ投入する(ΔM)こととし、振動源の振動周波数fを200Hz、想定外力Fを10Nとした。なお、コイルばねにかかる総質量Mは10kgであった。そして、上記稼動条件のもと要求される部品供給位置精度を100μm以内に設定した。以上の条件を(I)式および(II)式にあてはめて、コイルばねのばね定数を設定した。このうち、(III)式を満たすようにばね定数を設定したものを実施例1,2、(I)式は満たすが(III)式を満たさないものを実施例3,4とした。
【0053】
また、比較例として、振動源の振動周波数が100Hzでコイルばねのばね定数が0.1×106N/mのもの(比較例1)、振動源の振動周波数が100Hzでコイルばねのばね定数が3×106N/mのもの(比較例2)、振動源の振動周波数が100Hzでコイルばねのばね定数が5×106N/mのもの(比較例3)、振動源の振動周波数が200Hzでコイルばねのばね定数が0.05×106N/mのもの(比較例4)、振動源の振動周波数が200Hzでコイルばねのばね定数が10×106N/mのもの(比較例5)を用意し、本発明の振動式パーツフィーダと同様の条件で、振動式パーツフィーダの供給能力および供給位置最大誤差を評価した。その結果を表1に示す。なお、振動式パーツフィーダの供給能力については、フレームの代わりに定盤を用いた振動式パーツフィーダの供給能力を100%としたとき、95%以上の場合には「○」、80%以上95%未満の場合には「△」、80%未満の場合には「×」を付している。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、実施例1〜4の振動式パーツフィーダは部品供給能力の低下が比較例2,3,5に比べて小さく、特に実施例1,2で高い効果が得られていることがわかる。さらに、供給位置精度も100μm以内に抑えられていることがわかる。
【0056】
一方、比較例1,4の振動式パーツフィーダは、部品供給能力の低下こそほとんどないものの、供給位置精度において100μmを超える誤差が出てきており好ましくない。また、比較例2,3,5の振動式パーツフィーダは、供給位置精度こそ100μm以内に抑えられているが、部品供給能力に大幅な低下が見られるため好ましくない。
【0057】
なお、実施例1と実施例4とを比較すると、供給位置精度は同程度であるが供給能力に差が見られる。また、実施例2と比較例2とを比較するとわかるように、より厳密な供給位置精度を実現しようとした場合、振動周波数が100Hzの比較例3はその供給能力が本来の80%未満しか発揮できないことがわかる。したがって、振動周波数はより高い方が好ましいといえる。
【0058】
ここで、本発明の振動式パーツフィーダを用いた部品搬送装置について説明する。図4は本発明の部品搬送装置の一例を示す概略斜視図である。この部品搬送装置100は、チップ部品の外観検査に用いられるものであり、振動式パーツフィーダ1のフレーム7上に、チップ部品Wを搬送する搬送板11aおよび搬送板の駆動手段11bを備える部品搬送機構11と、搬送板11a上に載置されたチップ部品Wの外観を撮像するためのカメラ12と、搬送板11a上に載置されたチップ部品Wを所定位置において搬送板11a上から除去・回収するためのエアブロー機構(図示しない)が設けられている。振動式パーツフィーダ1の部品供給口3aから搬送板11a上に供給されたチップ部品Wは、図示しない整列部材によって円周方向に整列させられた後、搬送板11aが図中の矢印の方向に回転するのに伴って搬送される。搬送板11aは透明部材で構成されており、所定位置において上下方向からチップ部品Wの撮像ができるようになっている。撮像を終えたチップ部品Wは、その良否を判定され、所定位置において良否別にエアブロー機構により搬送板11a上から除去・回収される。
【0059】
上記のようなチップ部品の外観検査に用いるような部品搬送装置の場合、位置精度よくチップ部品を供給する必要があるため、本発明のような振動式パーツフィーダは特に有用である。また、本実施例においては、部品搬送装置の用途として外観検査を挙げたが、特にこれに限定するものではなく、例えば部品の吸着ノズルを有する搬送機構への部品供給などにも適用できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の振動式パーツフィーダの設計方法に基づく振動式パーツフィーダであれば、パーツフィーダ本体を保持するベースと、ベースを保持するフレームとの間に少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制する振動抑制ばねを配置し、かつ駆動源の振動周波数f(Hz)、振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、および振動抑制ばねにかかる総質量M(kg)が、(I)式を満たしているので、パーツフィーダ本体からの振動のフレームへの伝達効率を低く抑えることができ、その結果、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動を抑制して部品供給能力の低下を抑制することができる。また、振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、振動抑制ばねにかかる最大質量変動量ΔM(kg)、振動抑制ばねにかかる想定外力F(N)、部品供給口の垂直位置の許容変動量ΔX(m)、および重力加速度g(m/s2)が、(II)式を満たしているので、部品供給口の位置変動も所望の精度を達成することができる。
【0061】
また、駆動源の振動周波数f(Hz)、振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、および振動抑制ばねにかかる総質量M(kg)が、(III)式を満たす場合は、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動抑制効果がより顕著なものとなる。
【0062】
また、本発明の振動式パーツフィーダは、駆動源の振動周波数f(Hz)、振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、および振動抑制ばねにかかる総質量M(kg)が、(I)式を満たし、かつ振動抑制ばねのばね定数K(N/m)、振動抑制ばねにかかる最大質量変動量ΔM(kg)、前記振動抑制ばねにかかる想定外力F(N)、重力加速度g(m/s2)が(IV)式を満たしているので、パーツフィーダ本体からの振動に起因するフレームの振動を抑制して部品供給能力の低下を抑制し、部品供給口の位置変動を100μm以下に抑えることができる。
【0063】
また、本発明の部品搬送装置は、上記振動式パーツフィーダを用いているので、安定した部品搬送が可能になり、より高精度な位置決めを要求される処理にも対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動式パーツフィーダの一実施例を示す概略断面図。
【図2】本発明の本発明の一実施例の振動式パーツフィーダにおける振動抑制ばね周辺を示す断面図。
【図3】本発明の他の実施例の振動式パーツフィーダにおける振動抑制ばね周辺を示す断面図。
【図4】本発明の部品搬送装置の一例を示す概略斜視図。
【符号の説明】
1 振動式パーツフィーダ
2 パーツフィーダ本体
3 トラフ(部品通路)
4 振動源
5 加振機構
6 ベース
7 フレーム
8 コイルばね(振動抑制ばね)
9 U字型板ばね
11 部品搬送機構
100 部品搬送装置
Claims (5)
- 被供給物である部品を外部に供給する部品供給口を有する部品通路と、振動源を有し、前記振動源からの振動が前記部品通路上にある部品を前記部品供給口の方向に移動させるものとなるように前記部品通路に係合された加振機構とを備えるパーツフィーダ本体と、
前記パーツフィーダ本体が配置されたベースと、
前記ベースを保持するフレームと、
前記ベースと前記フレームとの間に配置され、少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制する振動抑制ばねと、
を備える振動式パーツフィーダの設計方法であって、
前記パーツフィーダ本体の振動周波数をf(Hz)、前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる総質量をM(kg)としたとき、
【数式1】
を満たし、
前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる最大質量変動量をΔM(kg)、前記振動抑制ばねにかかる想定外力をF(N)、前記部品供給口の垂直位置の許容変動量をΔX(m)、重力加速度をg(m/s2)としたとき、
【数式2】
を満たすことを特徴とする振動式パーツフィーダの設計方法。 - 被供給物である部品を外部に供給する部品供給口を有する部品通路と、振動源を有し、前記振動源からの振動が前記部品通路上にある部品を前記部品供給口の方向に移動させるものとなるように前記部品通路に係合された加振機構とを備えるパーツフィーダ本体と、
前記パーツフィーダ本体が配置されたベースと、
前記ベースを保持するフレームと、
前記ベースと前記フレームとの間に配置され、少なくとも鉛直方向に対する振動を抑制する振動抑制ばねと、
を備える振動式パーツフィーダであって、
前記パーツフィーダ本体の振動周波数をf(Hz)、前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる総質量をM(kg)としたとき、
【数式1】
を満たし、
前記振動抑制ばねのばね定数をK(N/m)、前記振動抑制ばねにかかる最大質量変動量をΔM(kg)、前記振動抑制ばねにかかる想定外力をF(N)、重力加速度をg(m/s2)としたとき、
【数式4】
を満たすことを特徴とする振動式パーツフィーダ。 - 請求項3または請求項4のいずれかに記載の振動式パーツフィーダにおいて、
前記フレーム上に、前記部品供給口に連通するように、部品搬送機構を配置したことを特徴とする部品搬送装置。
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