JP2004214597A - 電子機器配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細配線パターンを形成することを可能とし、また電気的特性の優れた配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱して得られる熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂層からなる絶縁樹脂層の表面を酸素存在下、紫外線処理し、次いで、該絶縁樹脂層上に導体層を設けた後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する工程を経て配線板を製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱して得られる熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂層からなる絶縁樹脂層の表面を酸素存在下、紫外線処理し、次いで、該絶縁樹脂層上に導体層を設けた後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する工程を経て配線板を製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板、例えば、半導体素子収納用パッケージなどに適した多層配線板等の配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線板、例えば、半導体素子を収納するパッケージに使用される多層配線板として、樹脂を含む絶縁性基板表面に銅箔を接着した後、これをエッチングして微細な回路を形成し、しかるのちにこの基板を積層して多層化したプリント配線板が提案され使用されている。
また、最近では、更に精密で高密度な回路を有する多層プリント配線板が求められるようになっている。このような要求に対し、従来の多層プリント配線板では、基板を貫通するスルーホールを形成しその内部にメッキ等を施して層間の接続を行うため、スルーホールによって回路設計が制限され高密度配線が難しかった。
このため、所定の基板表面に絶縁層と配線回路層を交互にコーティング及びメッキ等、あるいはビアホール形成等を施して多層化する所謂ビルドアップ工法が開発されている。
【0003】
このように電気的絶縁層を層間で介在させて配線層を積層して形成するには、電気的絶縁性を有する樹脂材を下地上にコーティングし、あるいは電気的絶縁性を有する樹脂フィルムを圧着して電気的絶縁層を形成した後、当該電気的絶縁層の表面にめっき等によって導体層を形成することによっている。電気的絶縁層の表面に形成した導体層を所定のパターンにエッチングすることにより、当該電気的絶縁層の表面に配線パターンを形成することができる。
めっきにより電気的絶縁層の表面に導体層を形成する場合、めっきによって形成した導体層と電気的絶縁層との密着性を高めるため、電気的絶縁層の表面にあらかじめ粗面化処理(デスミア処理)を行った後、めっきを施すことが従来行われている。
【0004】
粗面化処理は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等のエッチング液を用いて電気的絶縁層(樹脂層)の表面をエッチングすることによって行われる。粗面化処理によって凹凸面に形成された電気的絶縁層の表面の凹部に導体が充填されることにより、所謂アンカー効果によって配線パターンが電気的絶縁層に密着される。
しかしながら、電気的絶縁層の表面の凹凸は、微細配線形成を精度よく形成することができないといった問題が生じるので好ましくない。また、電気的絶縁層の粗面化は、高周波信号の伝送損失を大きくするという問題も生じる。したがって、電気的絶縁層の表面粗度を小さくすることができ、かつ、電気的絶縁層と導体層の密着性を向上させ得ることが求められる。
【0005】
このようなビルドアップ工法に用いられる有機絶縁材料としては、従来エポキシ樹脂が主として用いられてきたが、論理LSIの動作速度が向上し、MIC(高周波用集積回路装置)の扱う周波数が高くなるにつれ、エポキシ樹脂の誘電特性では必要な信号伝達特性を得ることは難しくなってきた。
材料の電気特性として、より低い誘電率が求められるようになっている。また、半導体装置は、ますます小型化、高集積化が要求されつつあるため、半導体チップから引き出される配線の数が増加の一途をたどっている。
そのため半導体チップを搭載する基板上の配線密度が高くなり、配線の形成自体が難しくなる一方、絶縁材料の信頼性も従来以上のものが求められている。これらの問題、例えば誘電特性、信頼性を解決する材料として熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂が注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた誘電特性と信頼性を兼ね備える熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを用いたビルドアップ工法等の配線板の製造方法に関するものであり、電気的絶縁層の表面粗度を小さく抑えることができ、かつ、電気的絶縁層と導体層との密着性を良好にすることによって、微細配線パターンを形成することを可能とし、また電気的特性の優れた配線板の製造方法、さらには、本発明の製造方法で製造された配線板を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明の目的を達成するための配線基板の製造方法を完成するに到った。
すなわち、本願は以下の発明を提供する。
(1)熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱して得られる熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂層からなる絶縁樹脂層上に導体回路を形成する配線板の製造方法であって、該絶縁樹脂層の表面を酸素存在下、紫外線処理し、次いで、該絶縁樹脂層上に導体層を設けた後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する、工程を有することを特徴とする配線板の製造方法。
(2)上記(1)における紫外線処理が、300nm以下の波長の紫外線の照射によって行われることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
【0008】
(3)上記(1)における熱処理が、50〜400℃の範囲内で行われることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(4)上記(1)における導体層の形成が、蒸着、無電解めっき、またはスパッタリング法の少なくとも1つの方法により行われることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(5)上記(1)における熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂にトリアリルイソシアヌレート、及び/又は、トリアリルシアヌレートが含まれること特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(6)上記(1)における絶縁樹脂層の表面粗度Raが、0.01〜2μmであることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一つの方法で製造されたことを特徴とする配線板。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、通常、ポリフェニレンエーテル系樹脂と少なくとも1種類の熱硬化性を付与するための成分を含む組成物が用いられる。ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂自身が熱硬化性を有する場合には、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂として、このポリフェニレンエーテル系樹脂単独で用いることもできる。
【0010】
上記のポリフェニレンエーテル系樹脂には、変性物も含まれるが、一般的には下記一般式(1)で表される。
【化1】
[式中、mは1〜6の整数であり、Jは次式Aで表される単位から実質的に構成されるポリフェニレンエーテル鎖であり、
【化2】
(ここに、R1〜R4は各々独立に低級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素原子を示す。)
Qはmが1のとき水素原子を表し、mが2以上のときは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す。]
式(A)におけるR1〜R4の低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。ハロアルキル基の例としては、ブロモメチル基、クロロメチル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。
【0011】
上記一般式(1)中のQの代表的な例としては、下記4種の式で表される基が挙げられる。
【化3】
(式中、A1、A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、Xは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体を表し、Zは酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表しA2と直接結合した2つのフェニル基、A2とX、A2とY、A2とZの結合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位を示し、rは0〜4、sは2〜6の整数を表す。)
【0012】
上記の具体例としては、下記式で示される基等が挙げられる。
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
上記一般式(1)中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、式(A)で表される単位の他、下記式で表される単位(B)が含まれていてもよい。
【化6】
[式中、R5〜R9は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、またはハロアルキル基を表し、R10、R11は各々独立に水素原子、無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基または無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換されたアリール基を表し、R10、R11が同時に水素であることはない。]
【0015】
一般式Bの単位の例としては、
【化7】
等が挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる一般式(1)のポリフェニレンエーテル系樹脂の好ましい例としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のスチレングラフト重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2−メチル−6−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと下記式で表される多官能フェノール化合物の存在下で重合して得られた多官能性ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号公報、特開平1−297428号公報に記載されているような一般式(A)および(B)の単位を含む共重合体等が挙げられる。
【化8】
(式中、mは2〜6の整数を表す。Qは前記と同様に多官能フェノール化合物の残基を表す。)
【0017】
以上述べたポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量は、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂には変性物も含まれるが、具体的には、特開昭64−69628号公報、特開平1−113425号公報、特開平1−113426号公報に記載されている不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂、並びにポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物、さらには、国際公開第01/62828号パンフレットに記載されている変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0018】
また、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂以外に配合する樹脂としては、本発明の目的であるプリント基板用材料として基板物性を損なわないものであればどのようなものでも使用できるが、具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性マレイミド、多官能性シアン酸エステル、多官能性イソシアネート、不飽和ポリエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等の架橋性モノマー、ポリブタジエン等の架橋性ポリマー、熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−ペンテン)等のポリオレフィン類およびその誘導体、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12などのポリアミド類及びその誘導体、
【0019】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールブロック共重合体などのポリエステル類およびその誘導体、別のポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、ポリ塩化ビニリデンおよびその共重合体、ポリメチルメタクリレート類、アクリル酸(またはメタクリル酸)エステル共重合体類、ポリスチレン類、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンブタジエン系共重合体等のポリスチレン類およびその共重合体類、スチレンブタジエン共重合体、スチレンブタジエンスチレン共重合体、
【0020】
スチレンエチレンブテンスチレン共重合体等のスチレン系エラストマー、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール類、エチレン酢酸ビニル共重合体およびその加水分解物類、ポリビニルアルコール類、スチレンブタジエンブロック共重合体類、ポリブタジエン、ポリイソプレン類のゴム類、ポリメトキシエチレン、ポリエトキシエチレン等のポリビニルエーテル類、ポリアクリルアマイド、ポリホスファーゼン類、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイト、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、側鎖に液晶成分を含有する側鎖型液晶ポリマーなどのような熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0021】
これらのものは一般に積層成形して作製された配線板の物性を向上させる目的で配合されるもので、そのために2種以上を併用してもよい。
熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の配合に当たっては、少なくとも1種類の熱硬化性を付与するための成分が含まれればよいが、このような成分としては、特にトリアリルイソシアヌレート、及び/又は、トリアリルシアヌレートを含むものが好ましい。なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂自身が熱硬化性を有する場合には、このポリフェニレンエーテル系樹脂を単独で本発明に用いることもできる。
【0022】
好ましい樹脂の配合例としては、不飽和基を含まないポリフェニレンエーテル系樹脂並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;不飽和基を含まないポリフェニレンエーテル系樹脂およびエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレンブタジエンブロックコポリマー並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;不飽和基を含むポリフェニレンエーテル系樹脂並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;不飽和基を含むポリフェニレンエーテル系樹脂、トリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート並びにエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物並びにトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物およびエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物、トリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート並びにエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物と、フェノール性化合物とを反応開始剤の存在下に再分配反応させた低分子量ポリフェニレンエーテル反応生成物ならびにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物と、フェノール性化合物とを反応開始剤の存在下に再分配反応させた低分子量ポリフェニレンエーテル反応生成物等が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、特に不飽和基を含むポリフェニレンエーテル系樹脂並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物と、フェノール性化合物とを反応開始剤の存在下に再分配反応させた低分子量ポリフェニレンエーテル反応生成物ならびにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレートが好ましい。また配合量は、目的に応じて決定される。
【0024】
また、反応温度を低くしたり不飽和基の架橋反応を促進する目的で本発明の樹脂組成物にラジカル開始剤を含有させて使用してもよい。ラジカル開始剤の代表的な例としては、特に限定されないが、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始剤として使用できる。
【0025】
本発明に用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂には、上述したラジカル開始剤の他に、エポキシ樹脂を反応させる目的で硬化促進剤を含有させてもよい。硬化促進剤としては、例えばアミン系化合物、イミダゾール系化合物、ジアザビシクロウンデセンのような含窒素複素環式化合物、有機ホスフィン化合物、有機ホスフィン・有機ボロン錯体、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物等公知のものを用いることができる。〔硬化促進剤に関する技術の詳細については、例えば垣内弘編著、「エポキシ樹脂最近の進歩」昭晃堂(1990)第4章およびその引用文献参照〕
この他、上述の多官能性マレイミドの適した硬化剤としてはポリアミンが、多官能性シアン酸エステルに適した触媒としては鉱酸、ルイス酸、炭酸ナトリウムあるいは塩化リチウム等の塩類、トリブチルホスフィン等のリン酸エステル類等が、また多官能性イソシアネートに適した触媒、硬化剤としては、例えば岩田敬治編、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1987)第118〜123頁中に教示されているようなアミン類、有機金属、多価アルコール等がそれぞれ挙げられる。
【0026】
以上の触媒、開始剤、硬化剤等は、樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。本発明に用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂には、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合させることもできる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、具体的な例としては、シリカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。添加剤の具体的な例としては、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙げられる。
【0027】
次に本発明で用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムについて説明する。
熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを作成する方法としては、どのような手段によってもよいが、例えば樹脂を溶剤に溶解もしくは分散させたワニスを基材に塗布、乾燥させる方法、あるいは溶融成膜等が挙げられる。用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族系溶剤、クロロホルム、トリクロロエチレンのようなハロゲン系溶剤、あるいはテトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテル系溶剤等が使用できる。乾燥速度を調節するなどの目的でこれらの溶剤を混合して用いても良い。
また、乾燥工程の際に一部樹脂を硬化させて積層工程時の樹脂のフロー特性を調節することもできる。ワニスを塗布する基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムが用いられる。また、キャストフィルムと基材との剥離性をコントロールする目的で、ポリジメチルシロキサン等の剥離剤が塗布された基材を用いても良い。
【0028】
本発明の配線板の製造方法においては、熱硬化性ポリフェニレンエーテルフィルム表面に導体形成を行う前に熱硬化が必要となるが、硬化条件は特に限定されない。硬化は、温度80〜300℃、圧力0.01〜100MPa、時間1分〜10時間の範囲で行うことが好ましく、温度150〜250℃、圧力0.1〜50MPa、時間1分〜5時間の範囲で行うことがさらに好ましい。本発明の配線基板の製造方法において、多層基板に熱硬化性ポリフェニレンエーテルフィルムを加熱加圧接着させる方法としては、特に限定はされないが、熱ロールラミネーションと熱プレスが挙げられる。加熱加圧接着は基板あるいは逐次多層基板の片面だけに行っても良いし、両面同時に行ってもよい。
【0029】
次に本発明の配線板の製造方法における紫外線処理について説明する。
本発明では、フィルム表面に紫外線処理が施されるが、紫外線処理に使用されるガスとしては、酸素を必須とする。また、必要に応じて、CF4(4フッ化炭素)ガス、水素ガス、アルゴンガス、窒素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、SF6(6フッ化硫黄)ガスなどを混合してもかまわない。もちろん、空気中での紫外線処理でもかまわない。
混合ガスの場合、酸素濃度は、熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムと導体との接着強度の観点から、好ましくは10ppm以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上である。
【0030】
照射される紫外線の波長は、ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムと導体との接着強度の観点から、300nm以下であることが好ましい。用いられる紫外線照射ランプとしては、低圧水銀灯(紫外線波長:185nm及び254nm)、キセノンエキシマーランプ(紫外線波長172nm)などが好適である。
紫外線と基板との間隔は、ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムと導体との接着強度の観点から、好ましくは10cm以下、より好ましくは5cm以下、さらに好ましくは4cm以下である。 紫外線処理時間としては、改質性および樹脂表面の劣化防止の観点から、好ましくは0.01秒〜30分、より好ましくは0.1秒〜15分の範囲である。
【0031】
次に本発明の配線板の製造方法における導体層の形成について説明する。
本発明の導体層の形成に用いられる金属としては、配線基板に一般に用いられるものであり、特に限定はされないが銅が好ましい。導体層形成の手段としては、無電解めっき、スパッタリング、蒸着などの方法が好ましい。
また、導体層形成後、電解めっき等の方法で所定の厚みにすることも可能である。この際、後述する熱処理については、無電解めっき、スパッタリング、蒸着などの方法で導体を形成し、熱処理をした後、電解めっき等で所定の厚みにしてもよい。また、無電解めっき、スパッタリング、蒸着などの方法で導体層を形成し、電解めっき等で所定の厚みにした後に、熱処理をしてもよい。
【0032】
次に本発明の熱処理について説明する。
本発明の配線板の製造方法では、導体層形成後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理するが、熱処理の温度としては、樹脂と導体の密着性および熱劣化防止の観点から、好ましくは、50〜400℃、より好ましくは、80〜300℃、さらに好ましくは100〜250℃である。
熱処理の雰囲気は、空気雰囲気または不活性ガス雰囲気でもよい。また、熱処理は、複数回に分割して行うことも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明する。
(合成例1)
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.44のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(このポリフェニレンエーテルをAとする)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この反応生成物をBとする。
【0034】
(合成例2)
合成例1と同様の方法で測定した粘度数ηsp/Cが0.44のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この反応生成物をCとする。
【0035】
(合成例3)
不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂:平均置換率14%、合成例1と同様の方法で測定したηsp/C=0.44のアリル基置換ポリフェニレンエーテルを特開昭64−69629号公報に開示された公知の方法に従って、ηsp/C=0.46のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)より合成した。このアリル置換ポリフェニレンエーテルをDとする。
【0036】
(合成例4)(低分子量ポリフェニレンエーテルの製造)
国際公開第01/62828号パンフレットに開示された公知の方法に従って、合成例1の変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、フェノール性化合物として2,6−キシレノール1.5質量部、反応開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート2.5質量部、および溶剤としてトルエンを550質量部で配合し、80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。
得られた反応生成物を使用したトルエンと同容積のメタノールで再析出させて、この三倍量のメタノールで洗浄、乾燥を行い、低分子量ポリフェニレンエーテルを得た。この変性ポリフェニレンエーテルをEとする。
【0037】
【実施例1〜7】
A、B、C、D、Eのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を各種成分と表1、表2に示した組成で配合し、トルエンに各成分を溶解または分散してワニスを作成した。50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム((株)リンテック製、PET−GS50)にワニスをバーコーターで塗布、乾燥して厚み45μmの熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂膜を形成した。その後エアーオーブン中で乾燥させ熱硬化性ポリフェニレンエーテルフィルムを作製した。塗膜外観は全て光沢のある良好なフィルム状であった。
25μmの銅箔を両面に張った0.8mm厚の両面銅張積層板に写真法で配線を形成した両面配線板の両面に熱硬化性ポリフェニレンエーテルを加熱加圧接着し、180℃にて熱硬化を行った。
その後、表1、表2に示す紫外線照射処理を施し、続いて無電解銅めっきを30分行った。導体の厚みは、1μmであった。続いて、電解めっきを行い、導体の厚みを25μmとした。その後、表1、表2に示す条件で熱処理を行い、その後、接着強度を測定した。いずれも接着強度は強固なものであった。
上記実施例では、(i) 該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する工程を採ったが、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する工程を採っても同様の効果が得られる。
【0038】
【実施例8、9】
実施例6で使用したものと同様の乾燥後厚み45μmの熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂膜を用い、25μmの銅箔を両面に張った0.8mm厚の両面銅張積層板に写真法で配線を形成した両面配線板の両面に該熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂膜を加熱加圧接着して基板を得た。該基板に、表面粗度Raがそれぞれ、0.42μm(実施例8)、および、1.53μm(実施例9)で厚さ18μmの電解銅箔を重ねて180℃にて熱硬化を行った。これにより、銅箔粗面が熱硬化型ポリフェニレンエーテルに食い込んで熱硬化型ポリフェニレンエーテルに粗面が転写される。該銅箔を塩化第二銅エッチング液によりエッチング除去して、粗面が転写された熱硬化型ポリフェニレンエーテルを露出させた。
その後、表2に示す紫外線照射を施し、続いて無電解銅めっきを30分行なった。導体の厚みは1μmであった。続いて、電解銅めっきを行い、導体の厚みを25μmとした。その後、表2に示す条件で熱処理を行い、その後、接着強度を測定した。なお、本実施例では、熱硬化型ポリフェニレンエーテルフィルムを配線板に加熱加圧して粗面を熱硬化型ポリフェニレンエーテルに転写させているが、トルエンなどの溶剤に溶解した状態の熱硬化型ポリフェニレンエーテルワニスを電解銅箔に塗布・乾燥させて樹脂付銅箔として両面銅箔に加熱加圧接着しても同様の結果が得られる。
【0039】
【比較例1】
紫外線照射を行わずに無電解めっきを行ったこと以外は、実施例4と同じ処理を行ったところ、無電解めっき中に銅が剥がれてしまった。
【比較例2】
熱処理を行わないこと以外は、実施例5と同じ処理を行い、接着強度試験を行ったが、接着強度は低いものであった。
【比較例3】
酸素を含まない窒素雰囲気下で紫外線照射を行った以外は、実施例4と同じ処理を行ったが、無電解めっきは析出しなかった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
本発明の配線板の製造方法によれば、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の優れた誘電特性によって配線遅延および伝送損失が低減され、かつ熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の高い信頼性を兼ね備える、高速かつ高周波領域の電気信号を扱う配線板、特に高速CPUパッケージおよび高周波ICパッケージを製造することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板、例えば、半導体素子収納用パッケージなどに適した多層配線板等の配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線板、例えば、半導体素子を収納するパッケージに使用される多層配線板として、樹脂を含む絶縁性基板表面に銅箔を接着した後、これをエッチングして微細な回路を形成し、しかるのちにこの基板を積層して多層化したプリント配線板が提案され使用されている。
また、最近では、更に精密で高密度な回路を有する多層プリント配線板が求められるようになっている。このような要求に対し、従来の多層プリント配線板では、基板を貫通するスルーホールを形成しその内部にメッキ等を施して層間の接続を行うため、スルーホールによって回路設計が制限され高密度配線が難しかった。
このため、所定の基板表面に絶縁層と配線回路層を交互にコーティング及びメッキ等、あるいはビアホール形成等を施して多層化する所謂ビルドアップ工法が開発されている。
【0003】
このように電気的絶縁層を層間で介在させて配線層を積層して形成するには、電気的絶縁性を有する樹脂材を下地上にコーティングし、あるいは電気的絶縁性を有する樹脂フィルムを圧着して電気的絶縁層を形成した後、当該電気的絶縁層の表面にめっき等によって導体層を形成することによっている。電気的絶縁層の表面に形成した導体層を所定のパターンにエッチングすることにより、当該電気的絶縁層の表面に配線パターンを形成することができる。
めっきにより電気的絶縁層の表面に導体層を形成する場合、めっきによって形成した導体層と電気的絶縁層との密着性を高めるため、電気的絶縁層の表面にあらかじめ粗面化処理(デスミア処理)を行った後、めっきを施すことが従来行われている。
【0004】
粗面化処理は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等のエッチング液を用いて電気的絶縁層(樹脂層)の表面をエッチングすることによって行われる。粗面化処理によって凹凸面に形成された電気的絶縁層の表面の凹部に導体が充填されることにより、所謂アンカー効果によって配線パターンが電気的絶縁層に密着される。
しかしながら、電気的絶縁層の表面の凹凸は、微細配線形成を精度よく形成することができないといった問題が生じるので好ましくない。また、電気的絶縁層の粗面化は、高周波信号の伝送損失を大きくするという問題も生じる。したがって、電気的絶縁層の表面粗度を小さくすることができ、かつ、電気的絶縁層と導体層の密着性を向上させ得ることが求められる。
【0005】
このようなビルドアップ工法に用いられる有機絶縁材料としては、従来エポキシ樹脂が主として用いられてきたが、論理LSIの動作速度が向上し、MIC(高周波用集積回路装置)の扱う周波数が高くなるにつれ、エポキシ樹脂の誘電特性では必要な信号伝達特性を得ることは難しくなってきた。
材料の電気特性として、より低い誘電率が求められるようになっている。また、半導体装置は、ますます小型化、高集積化が要求されつつあるため、半導体チップから引き出される配線の数が増加の一途をたどっている。
そのため半導体チップを搭載する基板上の配線密度が高くなり、配線の形成自体が難しくなる一方、絶縁材料の信頼性も従来以上のものが求められている。これらの問題、例えば誘電特性、信頼性を解決する材料として熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂が注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた誘電特性と信頼性を兼ね備える熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを用いたビルドアップ工法等の配線板の製造方法に関するものであり、電気的絶縁層の表面粗度を小さく抑えることができ、かつ、電気的絶縁層と導体層との密着性を良好にすることによって、微細配線パターンを形成することを可能とし、また電気的特性の優れた配線板の製造方法、さらには、本発明の製造方法で製造された配線板を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明の目的を達成するための配線基板の製造方法を完成するに到った。
すなわち、本願は以下の発明を提供する。
(1)熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱して得られる熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂層からなる絶縁樹脂層上に導体回路を形成する配線板の製造方法であって、該絶縁樹脂層の表面を酸素存在下、紫外線処理し、次いで、該絶縁樹脂層上に導体層を設けた後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する、工程を有することを特徴とする配線板の製造方法。
(2)上記(1)における紫外線処理が、300nm以下の波長の紫外線の照射によって行われることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
【0008】
(3)上記(1)における熱処理が、50〜400℃の範囲内で行われることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(4)上記(1)における導体層の形成が、蒸着、無電解めっき、またはスパッタリング法の少なくとも1つの方法により行われることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(5)上記(1)における熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂にトリアリルイソシアヌレート、及び/又は、トリアリルシアヌレートが含まれること特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(6)上記(1)における絶縁樹脂層の表面粗度Raが、0.01〜2μmであることを特徴とする上記(1)記載の配線板の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一つの方法で製造されたことを特徴とする配線板。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、通常、ポリフェニレンエーテル系樹脂と少なくとも1種類の熱硬化性を付与するための成分を含む組成物が用いられる。ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂自身が熱硬化性を有する場合には、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂として、このポリフェニレンエーテル系樹脂単独で用いることもできる。
【0010】
上記のポリフェニレンエーテル系樹脂には、変性物も含まれるが、一般的には下記一般式(1)で表される。
【化1】
[式中、mは1〜6の整数であり、Jは次式Aで表される単位から実質的に構成されるポリフェニレンエーテル鎖であり、
【化2】
(ここに、R1〜R4は各々独立に低級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素原子を示す。)
Qはmが1のとき水素原子を表し、mが2以上のときは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す。]
式(A)におけるR1〜R4の低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。ハロアルキル基の例としては、ブロモメチル基、クロロメチル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。
【0011】
上記一般式(1)中のQの代表的な例としては、下記4種の式で表される基が挙げられる。
【化3】
(式中、A1、A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、Xは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体を表し、Zは酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表しA2と直接結合した2つのフェニル基、A2とX、A2とY、A2とZの結合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位を示し、rは0〜4、sは2〜6の整数を表す。)
【0012】
上記の具体例としては、下記式で示される基等が挙げられる。
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
上記一般式(1)中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、式(A)で表される単位の他、下記式で表される単位(B)が含まれていてもよい。
【化6】
[式中、R5〜R9は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、またはハロアルキル基を表し、R10、R11は各々独立に水素原子、無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基または無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換されたアリール基を表し、R10、R11が同時に水素であることはない。]
【0015】
一般式Bの単位の例としては、
【化7】
等が挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる一般式(1)のポリフェニレンエーテル系樹脂の好ましい例としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のスチレングラフト重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2−メチル−6−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと下記式で表される多官能フェノール化合物の存在下で重合して得られた多官能性ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号公報、特開平1−297428号公報に記載されているような一般式(A)および(B)の単位を含む共重合体等が挙げられる。
【化8】
(式中、mは2〜6の整数を表す。Qは前記と同様に多官能フェノール化合物の残基を表す。)
【0017】
以上述べたポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量は、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂には変性物も含まれるが、具体的には、特開昭64−69628号公報、特開平1−113425号公報、特開平1−113426号公報に記載されている不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂、並びにポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物、さらには、国際公開第01/62828号パンフレットに記載されている変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0018】
また、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂以外に配合する樹脂としては、本発明の目的であるプリント基板用材料として基板物性を損なわないものであればどのようなものでも使用できるが、具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性マレイミド、多官能性シアン酸エステル、多官能性イソシアネート、不飽和ポリエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等の架橋性モノマー、ポリブタジエン等の架橋性ポリマー、熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−ペンテン)等のポリオレフィン類およびその誘導体、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12などのポリアミド類及びその誘導体、
【0019】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールブロック共重合体などのポリエステル類およびその誘導体、別のポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、ポリ塩化ビニリデンおよびその共重合体、ポリメチルメタクリレート類、アクリル酸(またはメタクリル酸)エステル共重合体類、ポリスチレン類、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンブタジエン系共重合体等のポリスチレン類およびその共重合体類、スチレンブタジエン共重合体、スチレンブタジエンスチレン共重合体、
【0020】
スチレンエチレンブテンスチレン共重合体等のスチレン系エラストマー、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール類、エチレン酢酸ビニル共重合体およびその加水分解物類、ポリビニルアルコール類、スチレンブタジエンブロック共重合体類、ポリブタジエン、ポリイソプレン類のゴム類、ポリメトキシエチレン、ポリエトキシエチレン等のポリビニルエーテル類、ポリアクリルアマイド、ポリホスファーゼン類、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイト、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、側鎖に液晶成分を含有する側鎖型液晶ポリマーなどのような熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0021】
これらのものは一般に積層成形して作製された配線板の物性を向上させる目的で配合されるもので、そのために2種以上を併用してもよい。
熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の配合に当たっては、少なくとも1種類の熱硬化性を付与するための成分が含まれればよいが、このような成分としては、特にトリアリルイソシアヌレート、及び/又は、トリアリルシアヌレートを含むものが好ましい。なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂自身が熱硬化性を有する場合には、このポリフェニレンエーテル系樹脂を単独で本発明に用いることもできる。
【0022】
好ましい樹脂の配合例としては、不飽和基を含まないポリフェニレンエーテル系樹脂並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;不飽和基を含まないポリフェニレンエーテル系樹脂およびエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレンブタジエンブロックコポリマー並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;不飽和基を含むポリフェニレンエーテル系樹脂並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;不飽和基を含むポリフェニレンエーテル系樹脂、トリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート並びにエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物並びにトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物およびエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物、トリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート並びにエポキシ樹脂;ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物と、フェノール性化合物とを反応開始剤の存在下に再分配反応させた低分子量ポリフェニレンエーテル反応生成物ならびにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物と、フェノール性化合物とを反応開始剤の存在下に再分配反応させた低分子量ポリフェニレンエーテル反応生成物等が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、特に不飽和基を含むポリフェニレンエーテル系樹脂並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸及び/又は酸無水物との反応生成物並びにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレート;ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物と、フェノール性化合物とを反応開始剤の存在下に再分配反応させた低分子量ポリフェニレンエーテル反応生成物ならびにトリアリルイソシアヌレート及び/又はトリアリルシアヌレートが好ましい。また配合量は、目的に応じて決定される。
【0024】
また、反応温度を低くしたり不飽和基の架橋反応を促進する目的で本発明の樹脂組成物にラジカル開始剤を含有させて使用してもよい。ラジカル開始剤の代表的な例としては、特に限定されないが、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始剤として使用できる。
【0025】
本発明に用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂には、上述したラジカル開始剤の他に、エポキシ樹脂を反応させる目的で硬化促進剤を含有させてもよい。硬化促進剤としては、例えばアミン系化合物、イミダゾール系化合物、ジアザビシクロウンデセンのような含窒素複素環式化合物、有機ホスフィン化合物、有機ホスフィン・有機ボロン錯体、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物等公知のものを用いることができる。〔硬化促進剤に関する技術の詳細については、例えば垣内弘編著、「エポキシ樹脂最近の進歩」昭晃堂(1990)第4章およびその引用文献参照〕
この他、上述の多官能性マレイミドの適した硬化剤としてはポリアミンが、多官能性シアン酸エステルに適した触媒としては鉱酸、ルイス酸、炭酸ナトリウムあるいは塩化リチウム等の塩類、トリブチルホスフィン等のリン酸エステル類等が、また多官能性イソシアネートに適した触媒、硬化剤としては、例えば岩田敬治編、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1987)第118〜123頁中に教示されているようなアミン類、有機金属、多価アルコール等がそれぞれ挙げられる。
【0026】
以上の触媒、開始剤、硬化剤等は、樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。本発明に用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂には、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合させることもできる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、具体的な例としては、シリカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。添加剤の具体的な例としては、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙げられる。
【0027】
次に本発明で用いられる熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムについて説明する。
熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムを作成する方法としては、どのような手段によってもよいが、例えば樹脂を溶剤に溶解もしくは分散させたワニスを基材に塗布、乾燥させる方法、あるいは溶融成膜等が挙げられる。用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族系溶剤、クロロホルム、トリクロロエチレンのようなハロゲン系溶剤、あるいはテトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテル系溶剤等が使用できる。乾燥速度を調節するなどの目的でこれらの溶剤を混合して用いても良い。
また、乾燥工程の際に一部樹脂を硬化させて積層工程時の樹脂のフロー特性を調節することもできる。ワニスを塗布する基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムが用いられる。また、キャストフィルムと基材との剥離性をコントロールする目的で、ポリジメチルシロキサン等の剥離剤が塗布された基材を用いても良い。
【0028】
本発明の配線板の製造方法においては、熱硬化性ポリフェニレンエーテルフィルム表面に導体形成を行う前に熱硬化が必要となるが、硬化条件は特に限定されない。硬化は、温度80〜300℃、圧力0.01〜100MPa、時間1分〜10時間の範囲で行うことが好ましく、温度150〜250℃、圧力0.1〜50MPa、時間1分〜5時間の範囲で行うことがさらに好ましい。本発明の配線基板の製造方法において、多層基板に熱硬化性ポリフェニレンエーテルフィルムを加熱加圧接着させる方法としては、特に限定はされないが、熱ロールラミネーションと熱プレスが挙げられる。加熱加圧接着は基板あるいは逐次多層基板の片面だけに行っても良いし、両面同時に行ってもよい。
【0029】
次に本発明の配線板の製造方法における紫外線処理について説明する。
本発明では、フィルム表面に紫外線処理が施されるが、紫外線処理に使用されるガスとしては、酸素を必須とする。また、必要に応じて、CF4(4フッ化炭素)ガス、水素ガス、アルゴンガス、窒素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、SF6(6フッ化硫黄)ガスなどを混合してもかまわない。もちろん、空気中での紫外線処理でもかまわない。
混合ガスの場合、酸素濃度は、熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムと導体との接着強度の観点から、好ましくは10ppm以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上である。
【0030】
照射される紫外線の波長は、ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムと導体との接着強度の観点から、300nm以下であることが好ましい。用いられる紫外線照射ランプとしては、低圧水銀灯(紫外線波長:185nm及び254nm)、キセノンエキシマーランプ(紫外線波長172nm)などが好適である。
紫外線と基板との間隔は、ポリフェニレンエーテル樹脂フィルムと導体との接着強度の観点から、好ましくは10cm以下、より好ましくは5cm以下、さらに好ましくは4cm以下である。 紫外線処理時間としては、改質性および樹脂表面の劣化防止の観点から、好ましくは0.01秒〜30分、より好ましくは0.1秒〜15分の範囲である。
【0031】
次に本発明の配線板の製造方法における導体層の形成について説明する。
本発明の導体層の形成に用いられる金属としては、配線基板に一般に用いられるものであり、特に限定はされないが銅が好ましい。導体層形成の手段としては、無電解めっき、スパッタリング、蒸着などの方法が好ましい。
また、導体層形成後、電解めっき等の方法で所定の厚みにすることも可能である。この際、後述する熱処理については、無電解めっき、スパッタリング、蒸着などの方法で導体を形成し、熱処理をした後、電解めっき等で所定の厚みにしてもよい。また、無電解めっき、スパッタリング、蒸着などの方法で導体層を形成し、電解めっき等で所定の厚みにした後に、熱処理をしてもよい。
【0032】
次に本発明の熱処理について説明する。
本発明の配線板の製造方法では、導体層形成後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理するが、熱処理の温度としては、樹脂と導体の密着性および熱劣化防止の観点から、好ましくは、50〜400℃、より好ましくは、80〜300℃、さらに好ましくは100〜250℃である。
熱処理の雰囲気は、空気雰囲気または不活性ガス雰囲気でもよい。また、熱処理は、複数回に分割して行うことも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明する。
(合成例1)
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.44のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(このポリフェニレンエーテルをAとする)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この反応生成物をBとする。
【0034】
(合成例2)
合成例1と同様の方法で測定した粘度数ηsp/Cが0.44のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この反応生成物をCとする。
【0035】
(合成例3)
不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂:平均置換率14%、合成例1と同様の方法で測定したηsp/C=0.44のアリル基置換ポリフェニレンエーテルを特開昭64−69629号公報に開示された公知の方法に従って、ηsp/C=0.46のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)より合成した。このアリル置換ポリフェニレンエーテルをDとする。
【0036】
(合成例4)(低分子量ポリフェニレンエーテルの製造)
国際公開第01/62828号パンフレットに開示された公知の方法に従って、合成例1の変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、フェノール性化合物として2,6−キシレノール1.5質量部、反応開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート2.5質量部、および溶剤としてトルエンを550質量部で配合し、80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。
得られた反応生成物を使用したトルエンと同容積のメタノールで再析出させて、この三倍量のメタノールで洗浄、乾燥を行い、低分子量ポリフェニレンエーテルを得た。この変性ポリフェニレンエーテルをEとする。
【0037】
【実施例1〜7】
A、B、C、D、Eのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を各種成分と表1、表2に示した組成で配合し、トルエンに各成分を溶解または分散してワニスを作成した。50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム((株)リンテック製、PET−GS50)にワニスをバーコーターで塗布、乾燥して厚み45μmの熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂膜を形成した。その後エアーオーブン中で乾燥させ熱硬化性ポリフェニレンエーテルフィルムを作製した。塗膜外観は全て光沢のある良好なフィルム状であった。
25μmの銅箔を両面に張った0.8mm厚の両面銅張積層板に写真法で配線を形成した両面配線板の両面に熱硬化性ポリフェニレンエーテルを加熱加圧接着し、180℃にて熱硬化を行った。
その後、表1、表2に示す紫外線照射処理を施し、続いて無電解銅めっきを30分行った。導体の厚みは、1μmであった。続いて、電解めっきを行い、導体の厚みを25μmとした。その後、表1、表2に示す条件で熱処理を行い、その後、接着強度を測定した。いずれも接着強度は強固なものであった。
上記実施例では、(i) 該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する工程を採ったが、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する工程を採っても同様の効果が得られる。
【0038】
【実施例8、9】
実施例6で使用したものと同様の乾燥後厚み45μmの熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂膜を用い、25μmの銅箔を両面に張った0.8mm厚の両面銅張積層板に写真法で配線を形成した両面配線板の両面に該熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂膜を加熱加圧接着して基板を得た。該基板に、表面粗度Raがそれぞれ、0.42μm(実施例8)、および、1.53μm(実施例9)で厚さ18μmの電解銅箔を重ねて180℃にて熱硬化を行った。これにより、銅箔粗面が熱硬化型ポリフェニレンエーテルに食い込んで熱硬化型ポリフェニレンエーテルに粗面が転写される。該銅箔を塩化第二銅エッチング液によりエッチング除去して、粗面が転写された熱硬化型ポリフェニレンエーテルを露出させた。
その後、表2に示す紫外線照射を施し、続いて無電解銅めっきを30分行なった。導体の厚みは1μmであった。続いて、電解銅めっきを行い、導体の厚みを25μmとした。その後、表2に示す条件で熱処理を行い、その後、接着強度を測定した。なお、本実施例では、熱硬化型ポリフェニレンエーテルフィルムを配線板に加熱加圧して粗面を熱硬化型ポリフェニレンエーテルに転写させているが、トルエンなどの溶剤に溶解した状態の熱硬化型ポリフェニレンエーテルワニスを電解銅箔に塗布・乾燥させて樹脂付銅箔として両面銅箔に加熱加圧接着しても同様の結果が得られる。
【0039】
【比較例1】
紫外線照射を行わずに無電解めっきを行ったこと以外は、実施例4と同じ処理を行ったところ、無電解めっき中に銅が剥がれてしまった。
【比較例2】
熱処理を行わないこと以外は、実施例5と同じ処理を行い、接着強度試験を行ったが、接着強度は低いものであった。
【比較例3】
酸素を含まない窒素雰囲気下で紫外線照射を行った以外は、実施例4と同じ処理を行ったが、無電解めっきは析出しなかった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
本発明の配線板の製造方法によれば、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の優れた誘電特性によって配線遅延および伝送損失が低減され、かつ熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の高い信頼性を兼ね備える、高速かつ高周波領域の電気信号を扱う配線板、特に高速CPUパッケージおよび高周波ICパッケージを製造することが可能となる。
Claims (7)
- 熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱して得られる熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂層からなる絶縁樹脂層上に導体回路を形成する配線板の製造方法であって、該絶縁樹脂層の表面を酸素存在下、紫外線処理し、次いで、該絶縁樹脂層上に導体層を設けた後、(i)該導体層を熱処理し、その後、該導体層に回路を形成する、または、(ii)該導体層に回路を形成した後に、該導体回路を熱処理する、工程を有することを特徴とする配線板の製造方法。
- 紫外線処理が、300nm以下の波長の紫外線の照射によって行われることを特徴とする請求項1記載の配線板の製造方法。
- 熱処理が、50〜400℃の範囲内で行われることを特徴とする請求項1記載の配線板の製造方法。
- 導体層の形成が、蒸着、無電解めっき、またはスパッタリング法の少なくとも1つの方法により行われることを特徴とする請求項1記載の配線板の製造方法。
- 熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂にトリアリルイソシアヌレート、及び/又は、トリアリルシアヌレートが含まれていること特徴とする請求項1記載の配線板の製造方法。
- 絶縁樹脂層の表面粗度Raが、0.01〜2μmであることを特徴とする請求項1記載の配線板の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一つの方法で製造されたことを特徴とする配線板。
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