JP2004214468A - リードレス部品および鉛フリーはんだ - Google Patents
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Abstract
【課題】バンプ形成に鉛フリーはんだを用いた従来のリードレス電子部品は、電子機器を長期間使用するうちに通電のON−OFFによるヒートサイクルでバンプが金属疲労を起こしてヒビ割れや剥離することがあった。
【解決手段】本発明のリードレス電子部品は、直径30〜700μmのバンプに対してCuを0.001〜0.1質量%添加した鉛フリーはんだでバンプを形成したことにある。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のリードレス電子部品は、直径30〜700μmのバンプに対してCuを0.001〜0.1質量%添加した鉛フリーはんだでバンプを形成したことにある。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な電極にはんだバンプが形成された電子部品、特に長いリードを有しないリードレス部品および該はんだバンプに適した鉛フリーはんだに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器が小型化されてきていることから、該電子機器に用いられる電子部品も小型で多機能化されてきている。この多機能化された電子部品としてはQFP、SOPのように電子部品本体の両側、或は四側に多数のリードを設置した所謂リード型部品がある。このリード型部品は、本体の側面にリードを設置するため、リードの設置数に限りがある。即ち、リード型電子部品は、長さが決まった二側または四側に一定間隔をあけて一定巾のあるリードを設置しなければならないことから大量のリード設置ができないものである。
【0003】
しかしながら電子部品の本体の裏面に点状に小さな電極を設けるようにすれば、リード型部品と同一大きさの電子部品であっても、リード型電子部品よりもさらに多くの電極を形成することができ、それだけ機能の容量を増やすことができる。このように電子部品の裏面に多数の電極を形成したものをリードレス電子部品といい、BGA(Ball Grid Arrey)、CSP(Chip Size Package)、MCM(MultiChip Module)等がある。
【0004】
これらのリードレス電子部品は、電極にはんだバンプを形成し、プリント基板に実装する際に該バンプでプリント基板と導通をとるようにする。このようにバンプにより導通をとるものとしては、リードレス電子部品の他にリードレス電子部品に使用するウエハー素子もある。ウエハー素子では、端子となるところにバンプを形成し、該バンプとリードレス電子部品の基板と接合するというフリップチップ実装を行っている。
【0005】
一般にリードレス部品やウエハー(以下、単にリードレス部品という)の電極は、円形であり、直径が50〜1000μmである。該電極にはんだバンプを形成するには、はんだボールやソルダペーストを用いて行う。はんだボールでリードレス部品の電極にはんだバンプを形成する場合、先ず電極に粘着性フラックスを塗布し、該塗布部にはんだボールを載置してからリフロー炉ではんだボールを溶融させることにより行う。またソルダペーストでウエハーの電極にはんだバンプを形成する場合、ウエハーの電極と一致した所に電極と同程度の穴が穿設されたメタルマスクを置き、メタルマスクの上からソルダペーストをスキージで掻きならしてウエハーの電極にソルダペーストを印刷塗布する。その後、ウエハーをリフロー炉で加熱し、ソルダペーストを溶融させることにより行う。
【0006】
ところで従来、リードレス部品は、はんだバンプがSn−Pbのはんだボールやソルダペーストを用いて形成されていた。これらSn−Pbはんだ使用のリードレス部品を組み込んだ電子機器が故障したり、古くなって使い勝手が悪くなったりした場合、修理や性能アップ等をせず、ほとんどが廃棄処分されていた。廃棄処分される電子機器の構成材料のうち、フレームの金属、ケースのプラスチック、ディスプレーのガラス等は回収して再使用されるが、リードレス部品は再使用できないため、埋め立て処分されていた。なぜならばリードレス部品は、樹脂と電極の銅が接着されており、また電極にははんだが金属的に接合されていて、それぞれを分離することができないばかりでなく、たとえそれが可能であっても微小なはんだを回収することは非常にコストが高くなってしまうからである。
【0007】
この埋め立て処分されたリードレス部品に地中に染み込んだ酸性雨が接触すると、はんだ中のPbが酸性雨により溶け出し、Pb成分を含んだ酸性雨がさらに地中に染み込んで地下水に混入する。このPb成分を含んだ地下水を人や家畜が長年月にわたって飲用した場合、体内にPbが蓄積されて、ついにはPb中毒を起こすとされている。そのため世界規模でPbの使用が規制されるようになってきており、Pbを含まない所謂「鉛フリーはんだ」が使用されるようになってきた。
【0008】
鉛フリーはんだとは、Snを主成分として、それにAg、Cu、Bi、In、Zn、Ni、Cr、P、Ge、Ga等を適宜添加したものである。
【0009】
鉛入りはんだの使用が規制されるようになってきてからは、リードレス部品もバンプ形成に鉛フリーはんだを使用するようになってきた。リードレス部品のバンプ形成用として多く使われている鉛フリーはんだは、Sn−3.5Ag、Sn−3Ag−0.5Cu、およびこれらに他の元素を少量添加したSn−Ag系やSn−Ag−Cu系のはんだボールやソルダペーストである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところでSn−Ag系鉛フリーはんだは、濡れ性や耐ヒートサイクル性が十分ではなく、その解決策としてSn−Ag−Cu系鉛フリーはんだがある。しかし、Sn−Ag−Cu系鉛フリーはんだにおいて、現在多く使用されているSn−3Ag−0.5CuやSn−3.9Ag−0.6Cuは、はんだバンプ形成時にボイドが発生するという問題があった。このボイドは、Sn−Cu系のSn−0.75CuやSn−Bi−Cu系のSn−58Bi−0.5Cu、Sn−Sb−Cu系のSn−5Sb−0.5Cuにおいても発生していた。はんだバンプ中にボイドが発生した場合に、耐ヒートサイクル性の低下を引き起こすことがある。特に、バンプ径が700μm以下でボイドによる影響が出ることが多い。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鉛フリーはんだで形成されたバンプ中のボイド発生の原因について鋭意研究を行った結果、鉛フリーはんだ中のCu含有量が影響していることを突き止めた。
【0012】
つまりリードレス部品のバンプにボイドが存在すると、はんだと電極との実際の接合面積が小さくなるため、金属疲労により接合部が容易に破断してしまう。金属疲労は、電子機器内におけるヒートサイクルによって起こる。電子機器では、使用時に回路に電気を通すとコイル、パワートランジスター、抵抗等の部品から熱を発し、電子機器のケース内が昇温する。そして電子機器の使用を止めるために通電を切ると、発熱部品からの熱の発生がなくなってケース内は室温に降温する。このように電子機器の使用・不使用を行うたびに、ケース内が昇温と降温を繰り返すというヒートサイクルが起こる。このヒートサイクルは、当然リードレス電子部品のバンプにも及び、はんだとリードレス部品の基板が熱膨張・収縮を起こす。ところが金属のはんだと樹脂の部品基板では熱膨張率が相違するため、はんだ付け部がヒートサイクルに曝された場合、はんだに膨張・収縮のストレスがかかって、ついには金属疲労により、はんだがヒビ割れや剥離を起こしてしまうものである。そのため、電子業界からは、耐ヒートサイクル性に優れたバンプを有するリードレス部品が要求されている。
【0013】
本発明者らは、鉛フリーはんだでバンプが形成されたリードレス部品において、少ボイドと耐ヒートサイクル性を備えることについて鋭意研究を重ねた結果、鉛フリーはんだに添加されたCuは耐ヒートサイクル性向上に効果はあるものの、ボイド発生にも多いに影響のあることが分かった。そこで本発明者らは、適当な量のCuが添加された鉛フリーはんだを用いてバンプを形成すれば、少ボイドと耐ヒートサイクル性を兼ね備えたリードレス部品が得られることを知り、本発明を完成させた。
【0014】
本発明は、直径が30〜700μmの円形電極に、少なくともSnとCuを含み、そのうちCuが0.001〜0.1質量%含有された鉛フリーはんだからなるはんだボール、またはソルダペーストではんだバンプが形成されていることを特徴とする電子部品である。
【0015】
また本発明は、少なくともSnとCuを含む鉛フリーはんだにおいて、Cuが0.001〜0.1質量%含有されていることを特徴とする鉛フリーはんだである。
【0016】
【発明の実施の形態】
現在、多く使用されているSn−3Ag−0.5Cuの鉛フリーはんだでバンプを形成し、電極からバンプを強制的に剥がしてみると、はんだの接合部にボイドが発生していることが多い。ところが一般に使われているリードレス電子部品の電極である直径が50〜1000μmの電極にバンプ形成用としてCu入り鉛フリーはんだを使用した場合、発生するボイドの面積はほとんど同じようになる。つまりリードレス電子部品の電極に発生するボイドは電極の大小にかかわらず、同じ大きさとなるため、大きな電極ではボイドが占める割合は小さくなり、一方、小さな電極ではボイドが占める割合は大きくなる。従って、大きな電極ではボイドの影響が少なく、小さな電極ではボイドの影響が大きくなる。この結果、小さな電極では実際にバンプと電極が接合している面積が小さくなるため、金属疲労により接合部が破壊し易くなるものである。ボイドの影響が少ない電極は直径が700μmよりも大きい電極であり、ボイドの影響が多く現れる電極は直径が700μm以下である。現在、実用化されている最も小さな電極は、ウエハーに使用されている50μmであるが、実用化が検討されている微小電極は直径が30μmのものもある。そこで本発明が対象とするリードレス電子部品は、直径が30〜700μmの電極を有するリードレス部品である。
【0017】
Cuを含む鉛フリーはんだで電子部品の電極にバンプを形成したときに、はんだ付け部にボイドを形成する原因がCuにあることは前述のように明らかとなったが、そのメカニズムは鉛フリーはんだ中のSnCuの金属間化合物がはんだボール、或いははんだペースト粉末の表面に偏析して、それが酸化される。そしてこのようなはんだ材料を使用した場合、はんだ付け時に、フラックス中の揮発物により発生した気泡が、酸化されたSnCu金属間化合物の存在により溶融はんだ中から外部に逃げにくくなるため、はんだ中に残留しボイドが形成されるためと推測される。
【0018】
バンプでのボイド発生の原因となるSnCuの金属間化合物が偏析するのは、鉛フリーはんだのバンプ中にCuが0.1質量%よりも多いと起こる。従って、鉛フリーはんだでバンプを形成するリードレス電子部品のバンプにはCuは0.1質量%よりも多く含まれないようにする。しかしながら、Cuは耐ヒートサイクル性に効果があるものであり、鉛フリーはんだのバンプ中にCuの含有量が0.001質量%よりも少ないと、その効果が現れない。そこで本発明のリードレス電子部品は、Cuの含有量が0.001〜0.1質量%の鉛フリーはんだでバンプが形成されている。
【0019】
本発明のリードレス電子部品は、バンプを形成する鉛フリーはんだとして、Sn−Ag−Cu系、Sn−Sb−Cu系、Sn−Bi−Cu系等如何なる系の鉛フリーはんだにも対応できる。ここでいう「系」とはこれらの組成に他の金属を少量添加したものも含まれる。ただし、ZnやInを含有する鉛フリーはんだでは、ZnやInがボイド発生の原因となるため、本発明のリードレス電子部品では、ZnやInを含有する鉛フリーはんだは使用しない。
【0020】
【実施例】
表1に本発明のリードレス電子部品に使用した鉛フリーはんだの組成および特性を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の特性試験の説明
ボイド:CSP基板にはんだバンプを形成し、ボイドを数える。
(ボイド試験の工程は以下のとおりである)
▲1▼直径0.25mmの電極が324個設置されたCSP用基板(大きさ10×10mm)を9枚並設した連結基板の電極にソルダペーストを印刷塗布し、該塗布部に直径0.3mmのはんだボールを載置する。
▲2▼はんだボールが載置された連結基板をリフロー炉で加熱して電極にはんだバンプを形成する。
▲3▼X線透過装置により、全バンプ数324個×9枚=2916個中で、ボイドが形成されているバンプ数をカウントする。
【0023】
耐ヒートサイクル:電子部品を実装したプリント基板にヒートサイクルをかけて、はんだ付け部の破壊が発生するまでの回数を測定する。
(ヒートサイクル試験の工程は以下のとおりである)
▲1▼直径0.25mmの電極が324個設置されたCSP用基板(大きさ10×10mm)9枚分の連結基板の電極にソルダペーストを印刷塗布し、該塗布部に直径0.3mmのはんだボールを載置する。
▲2▼はんだボールが載置された連結基板をリフロー炉で加熱して電極にはんだバンプを形成する。
▲3▼はんだバンプが形成された連結基板を分割し、各CSP用基板を120×140mmのガラエポのプリント基板に搭載した後、リフロー炉で加熱してCSP用基板をプリント基板にはんだ付けする。
▲4▼CSP用基板がはんだ付けされたプリント基板を、−40℃に10分間、+125℃に10分間それぞれ曝すというヒートサイクルをかけて、はんだ付け部にヒビ割れや破壊が発生して導通不良になるまでのサイクル数を測定する。
▲5▼ボイドによる導通不良は、繰り返し数による平均サイクル数ではなく、最小サイクル数に影響を及ぼすことから、最小サイクル数にて比較を行う。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリードレス電子部品は、はんだ付け性に問題のある鉛フリーはんだを用いているにもかかわらず、微小な電極のバンプの接合部におけるボイドの発生が極めて少なく、また電子機器の長期間の使用において通電のON−OFFの繰り返しによるヒートサイクルの熱膨張・収縮でバンプが金属疲労を起こしにくいという従来のリードレス電子部品にない優れた信頼性を有するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な電極にはんだバンプが形成された電子部品、特に長いリードを有しないリードレス部品および該はんだバンプに適した鉛フリーはんだに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器が小型化されてきていることから、該電子機器に用いられる電子部品も小型で多機能化されてきている。この多機能化された電子部品としてはQFP、SOPのように電子部品本体の両側、或は四側に多数のリードを設置した所謂リード型部品がある。このリード型部品は、本体の側面にリードを設置するため、リードの設置数に限りがある。即ち、リード型電子部品は、長さが決まった二側または四側に一定間隔をあけて一定巾のあるリードを設置しなければならないことから大量のリード設置ができないものである。
【0003】
しかしながら電子部品の本体の裏面に点状に小さな電極を設けるようにすれば、リード型部品と同一大きさの電子部品であっても、リード型電子部品よりもさらに多くの電極を形成することができ、それだけ機能の容量を増やすことができる。このように電子部品の裏面に多数の電極を形成したものをリードレス電子部品といい、BGA(Ball Grid Arrey)、CSP(Chip Size Package)、MCM(MultiChip Module)等がある。
【0004】
これらのリードレス電子部品は、電極にはんだバンプを形成し、プリント基板に実装する際に該バンプでプリント基板と導通をとるようにする。このようにバンプにより導通をとるものとしては、リードレス電子部品の他にリードレス電子部品に使用するウエハー素子もある。ウエハー素子では、端子となるところにバンプを形成し、該バンプとリードレス電子部品の基板と接合するというフリップチップ実装を行っている。
【0005】
一般にリードレス部品やウエハー(以下、単にリードレス部品という)の電極は、円形であり、直径が50〜1000μmである。該電極にはんだバンプを形成するには、はんだボールやソルダペーストを用いて行う。はんだボールでリードレス部品の電極にはんだバンプを形成する場合、先ず電極に粘着性フラックスを塗布し、該塗布部にはんだボールを載置してからリフロー炉ではんだボールを溶融させることにより行う。またソルダペーストでウエハーの電極にはんだバンプを形成する場合、ウエハーの電極と一致した所に電極と同程度の穴が穿設されたメタルマスクを置き、メタルマスクの上からソルダペーストをスキージで掻きならしてウエハーの電極にソルダペーストを印刷塗布する。その後、ウエハーをリフロー炉で加熱し、ソルダペーストを溶融させることにより行う。
【0006】
ところで従来、リードレス部品は、はんだバンプがSn−Pbのはんだボールやソルダペーストを用いて形成されていた。これらSn−Pbはんだ使用のリードレス部品を組み込んだ電子機器が故障したり、古くなって使い勝手が悪くなったりした場合、修理や性能アップ等をせず、ほとんどが廃棄処分されていた。廃棄処分される電子機器の構成材料のうち、フレームの金属、ケースのプラスチック、ディスプレーのガラス等は回収して再使用されるが、リードレス部品は再使用できないため、埋め立て処分されていた。なぜならばリードレス部品は、樹脂と電極の銅が接着されており、また電極にははんだが金属的に接合されていて、それぞれを分離することができないばかりでなく、たとえそれが可能であっても微小なはんだを回収することは非常にコストが高くなってしまうからである。
【0007】
この埋め立て処分されたリードレス部品に地中に染み込んだ酸性雨が接触すると、はんだ中のPbが酸性雨により溶け出し、Pb成分を含んだ酸性雨がさらに地中に染み込んで地下水に混入する。このPb成分を含んだ地下水を人や家畜が長年月にわたって飲用した場合、体内にPbが蓄積されて、ついにはPb中毒を起こすとされている。そのため世界規模でPbの使用が規制されるようになってきており、Pbを含まない所謂「鉛フリーはんだ」が使用されるようになってきた。
【0008】
鉛フリーはんだとは、Snを主成分として、それにAg、Cu、Bi、In、Zn、Ni、Cr、P、Ge、Ga等を適宜添加したものである。
【0009】
鉛入りはんだの使用が規制されるようになってきてからは、リードレス部品もバンプ形成に鉛フリーはんだを使用するようになってきた。リードレス部品のバンプ形成用として多く使われている鉛フリーはんだは、Sn−3.5Ag、Sn−3Ag−0.5Cu、およびこれらに他の元素を少量添加したSn−Ag系やSn−Ag−Cu系のはんだボールやソルダペーストである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところでSn−Ag系鉛フリーはんだは、濡れ性や耐ヒートサイクル性が十分ではなく、その解決策としてSn−Ag−Cu系鉛フリーはんだがある。しかし、Sn−Ag−Cu系鉛フリーはんだにおいて、現在多く使用されているSn−3Ag−0.5CuやSn−3.9Ag−0.6Cuは、はんだバンプ形成時にボイドが発生するという問題があった。このボイドは、Sn−Cu系のSn−0.75CuやSn−Bi−Cu系のSn−58Bi−0.5Cu、Sn−Sb−Cu系のSn−5Sb−0.5Cuにおいても発生していた。はんだバンプ中にボイドが発生した場合に、耐ヒートサイクル性の低下を引き起こすことがある。特に、バンプ径が700μm以下でボイドによる影響が出ることが多い。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鉛フリーはんだで形成されたバンプ中のボイド発生の原因について鋭意研究を行った結果、鉛フリーはんだ中のCu含有量が影響していることを突き止めた。
【0012】
つまりリードレス部品のバンプにボイドが存在すると、はんだと電極との実際の接合面積が小さくなるため、金属疲労により接合部が容易に破断してしまう。金属疲労は、電子機器内におけるヒートサイクルによって起こる。電子機器では、使用時に回路に電気を通すとコイル、パワートランジスター、抵抗等の部品から熱を発し、電子機器のケース内が昇温する。そして電子機器の使用を止めるために通電を切ると、発熱部品からの熱の発生がなくなってケース内は室温に降温する。このように電子機器の使用・不使用を行うたびに、ケース内が昇温と降温を繰り返すというヒートサイクルが起こる。このヒートサイクルは、当然リードレス電子部品のバンプにも及び、はんだとリードレス部品の基板が熱膨張・収縮を起こす。ところが金属のはんだと樹脂の部品基板では熱膨張率が相違するため、はんだ付け部がヒートサイクルに曝された場合、はんだに膨張・収縮のストレスがかかって、ついには金属疲労により、はんだがヒビ割れや剥離を起こしてしまうものである。そのため、電子業界からは、耐ヒートサイクル性に優れたバンプを有するリードレス部品が要求されている。
【0013】
本発明者らは、鉛フリーはんだでバンプが形成されたリードレス部品において、少ボイドと耐ヒートサイクル性を備えることについて鋭意研究を重ねた結果、鉛フリーはんだに添加されたCuは耐ヒートサイクル性向上に効果はあるものの、ボイド発生にも多いに影響のあることが分かった。そこで本発明者らは、適当な量のCuが添加された鉛フリーはんだを用いてバンプを形成すれば、少ボイドと耐ヒートサイクル性を兼ね備えたリードレス部品が得られることを知り、本発明を完成させた。
【0014】
本発明は、直径が30〜700μmの円形電極に、少なくともSnとCuを含み、そのうちCuが0.001〜0.1質量%含有された鉛フリーはんだからなるはんだボール、またはソルダペーストではんだバンプが形成されていることを特徴とする電子部品である。
【0015】
また本発明は、少なくともSnとCuを含む鉛フリーはんだにおいて、Cuが0.001〜0.1質量%含有されていることを特徴とする鉛フリーはんだである。
【0016】
【発明の実施の形態】
現在、多く使用されているSn−3Ag−0.5Cuの鉛フリーはんだでバンプを形成し、電極からバンプを強制的に剥がしてみると、はんだの接合部にボイドが発生していることが多い。ところが一般に使われているリードレス電子部品の電極である直径が50〜1000μmの電極にバンプ形成用としてCu入り鉛フリーはんだを使用した場合、発生するボイドの面積はほとんど同じようになる。つまりリードレス電子部品の電極に発生するボイドは電極の大小にかかわらず、同じ大きさとなるため、大きな電極ではボイドが占める割合は小さくなり、一方、小さな電極ではボイドが占める割合は大きくなる。従って、大きな電極ではボイドの影響が少なく、小さな電極ではボイドの影響が大きくなる。この結果、小さな電極では実際にバンプと電極が接合している面積が小さくなるため、金属疲労により接合部が破壊し易くなるものである。ボイドの影響が少ない電極は直径が700μmよりも大きい電極であり、ボイドの影響が多く現れる電極は直径が700μm以下である。現在、実用化されている最も小さな電極は、ウエハーに使用されている50μmであるが、実用化が検討されている微小電極は直径が30μmのものもある。そこで本発明が対象とするリードレス電子部品は、直径が30〜700μmの電極を有するリードレス部品である。
【0017】
Cuを含む鉛フリーはんだで電子部品の電極にバンプを形成したときに、はんだ付け部にボイドを形成する原因がCuにあることは前述のように明らかとなったが、そのメカニズムは鉛フリーはんだ中のSnCuの金属間化合物がはんだボール、或いははんだペースト粉末の表面に偏析して、それが酸化される。そしてこのようなはんだ材料を使用した場合、はんだ付け時に、フラックス中の揮発物により発生した気泡が、酸化されたSnCu金属間化合物の存在により溶融はんだ中から外部に逃げにくくなるため、はんだ中に残留しボイドが形成されるためと推測される。
【0018】
バンプでのボイド発生の原因となるSnCuの金属間化合物が偏析するのは、鉛フリーはんだのバンプ中にCuが0.1質量%よりも多いと起こる。従って、鉛フリーはんだでバンプを形成するリードレス電子部品のバンプにはCuは0.1質量%よりも多く含まれないようにする。しかしながら、Cuは耐ヒートサイクル性に効果があるものであり、鉛フリーはんだのバンプ中にCuの含有量が0.001質量%よりも少ないと、その効果が現れない。そこで本発明のリードレス電子部品は、Cuの含有量が0.001〜0.1質量%の鉛フリーはんだでバンプが形成されている。
【0019】
本発明のリードレス電子部品は、バンプを形成する鉛フリーはんだとして、Sn−Ag−Cu系、Sn−Sb−Cu系、Sn−Bi−Cu系等如何なる系の鉛フリーはんだにも対応できる。ここでいう「系」とはこれらの組成に他の金属を少量添加したものも含まれる。ただし、ZnやInを含有する鉛フリーはんだでは、ZnやInがボイド発生の原因となるため、本発明のリードレス電子部品では、ZnやInを含有する鉛フリーはんだは使用しない。
【0020】
【実施例】
表1に本発明のリードレス電子部品に使用した鉛フリーはんだの組成および特性を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の特性試験の説明
ボイド:CSP基板にはんだバンプを形成し、ボイドを数える。
(ボイド試験の工程は以下のとおりである)
▲1▼直径0.25mmの電極が324個設置されたCSP用基板(大きさ10×10mm)を9枚並設した連結基板の電極にソルダペーストを印刷塗布し、該塗布部に直径0.3mmのはんだボールを載置する。
▲2▼はんだボールが載置された連結基板をリフロー炉で加熱して電極にはんだバンプを形成する。
▲3▼X線透過装置により、全バンプ数324個×9枚=2916個中で、ボイドが形成されているバンプ数をカウントする。
【0023】
耐ヒートサイクル:電子部品を実装したプリント基板にヒートサイクルをかけて、はんだ付け部の破壊が発生するまでの回数を測定する。
(ヒートサイクル試験の工程は以下のとおりである)
▲1▼直径0.25mmの電極が324個設置されたCSP用基板(大きさ10×10mm)9枚分の連結基板の電極にソルダペーストを印刷塗布し、該塗布部に直径0.3mmのはんだボールを載置する。
▲2▼はんだボールが載置された連結基板をリフロー炉で加熱して電極にはんだバンプを形成する。
▲3▼はんだバンプが形成された連結基板を分割し、各CSP用基板を120×140mmのガラエポのプリント基板に搭載した後、リフロー炉で加熱してCSP用基板をプリント基板にはんだ付けする。
▲4▼CSP用基板がはんだ付けされたプリント基板を、−40℃に10分間、+125℃に10分間それぞれ曝すというヒートサイクルをかけて、はんだ付け部にヒビ割れや破壊が発生して導通不良になるまでのサイクル数を測定する。
▲5▼ボイドによる導通不良は、繰り返し数による平均サイクル数ではなく、最小サイクル数に影響を及ぼすことから、最小サイクル数にて比較を行う。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリードレス電子部品は、はんだ付け性に問題のある鉛フリーはんだを用いているにもかかわらず、微小な電極のバンプの接合部におけるボイドの発生が極めて少なく、また電子機器の長期間の使用において通電のON−OFFの繰り返しによるヒートサイクルの熱膨張・収縮でバンプが金属疲労を起こしにくいという従来のリードレス電子部品にない優れた信頼性を有するものである。
Claims (3)
- 直径が 30〜700μmの円形電極に、少なくともSnとCuを含み、そのうちCuが0.001〜0.1質量%含有された鉛フリーはんだからなるはんだボール、またはソルダペーストではんだバンプが形成されていることを特徴とするリードレス部品。
- 少なくともSnとCuを含む鉛フリーはんだにおいて、Cuが0.001〜0.1質量%含有されていることを特徴とする鉛フリーはんだ。
- 前記鉛フリーはんだは、Sn−Ag−Cu系、Sn−Sb−Cu系、Sn−Bi−Cu系のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の鉛フリーはんだ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003000787A JP2004214468A (ja) | 2003-01-07 | 2003-01-07 | リードレス部品および鉛フリーはんだ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003000787A JP2004214468A (ja) | 2003-01-07 | 2003-01-07 | リードレス部品および鉛フリーはんだ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004214468A true JP2004214468A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32818974
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003000787A Pending JP2004214468A (ja) | 2003-01-07 | 2003-01-07 | リードレス部品および鉛フリーはんだ |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004214468A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006011204A1 (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-02 | Senju Metal Industry Co., Ltd | 鉛フリーはんだ合金 |
JP2017177211A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 株式会社タムラ製作所 | はんだ合金およびはんだ組成物 |
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2003
- 2003-01-07 JP JP2003000787A patent/JP2004214468A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2006011204A1 (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-02 | Senju Metal Industry Co., Ltd | 鉛フリーはんだ合金 |
JP2017177211A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 株式会社タムラ製作所 | はんだ合金およびはんだ組成物 |
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