JP2004213855A - 磁気ディスクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】外径が2インチ(50.8mm)以下の磁気ディスクを備えた小型磁気ディスクカートリッジにおいて、磁気ディスクの回転面振れを低減する。
【解決手段】磁気ディスク5を90μm以下の厚さを有する両面粘着性テープを介してセンタコア10のディスク貼付面上に固着する。
【選択図】 図2
【解決手段】磁気ディスク5を90μm以下の厚さを有する両面粘着性テープを介してセンタコア10のディスク貼付面上に固着する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外径が2インチ(50.8mm)以下の小径の可撓性磁気ディスクを備えた磁気ディスクカートリッジに関し、特に、上記磁気ディスクの中心部にセンタコアが両面粘着性テープを介して固着されてなる磁気ディスクカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録媒体としての回転型磁気ディスクの高容量化、小径化が進んでおり、このような磁気ディスクを収容する小型磁気ディスクカートリッジの一例として、「clik!(R)」と呼ばれるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この磁気ディスクカートリッジは、例えば幅50mm、奥行き55mm、厚さ1.95mmの扁平な金属薄板からなる上下シェルを備えたハウジング内に、40MBの記憶容量を有する直径約1.8インチ(約47mm)の可撓性磁気ディスクを情報記録媒体として回転自在に収容したものである。
【0004】
このような可撓性磁気ディスクは、厚さ約32μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる基材フィルムの両面に磁性層を設けたものであり、その中心部に固着されたセンタコアによって支持されている。センタコアは、ディスク貼付面としての平坦な上面を備えた外径約12.5mmの円盤状部分と、この円盤状部分の下部に一体に連接されたより小径の係合部とを備えた鉄系金属からなるものであり、この磁気ディスクカートリッジがドライブ装置に装填された際には、ドライブ装置が備えているドライブスピンドルにセンタコアの上記係合部が磁気的に吸着されてドライブスピンドルにチャッキングされるように構成されている。
【0005】
そして、磁気ディスクの中心部をセンタコアのディスク貼付面上に同軸的に固着するための手段として、不織布を基材としてこれに粘着剤を含浸させた厚さ100〜150μm程度の両面粘着性テープが用いられてきた。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第6256168号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような小型磁気ディスクカートリッジにおいては、その記録媒体としての磁気ディスクのさらなる高容量化(1GB以上)および高転送レート化が望まれており、磁気ディスクを外径2インチ(50.8mm)以下に小径化し、かつ磁気ディスクの回転数を2000〜8000rpm と高速化することが図られようとしているが、そのような小径化および高速化を図ろうとする場合に、従来ではさほど問題にならなかった磁気ディスクの情報記録領域における僅かな回転面振れに起因するオフトラック等が大きな障害になってきた。
【0008】
そこで、本発明者は、磁気ディスクの回転面振れを低減すべく、種々の実験に基づいて磁気ディスクの回転面振れの要因を探求した結果、両面粘着性テープを介してセンタコアのディスク貼付面上に固着された磁気ディスクの中心領域において貼付により発生した歪みが、磁気ディスクの中心領域から外周側の記録領域に向って伝播して、記録領域において回転面振れを生じさせていることを確認した。
【0009】
すなわち、磁気ディスクの回転面振れは、図5(a)に概略的に示すように、磁気ディスクのセンタコアに対する貼付歪みの増大に伴って増大する傾向があることが判明した。
【0010】
さらに、磁気ディスクの貼付歪みは、図5(b)に概略的に示すように、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在する両面粘着性テープの厚さの増大に伴って増大する傾向があることも判明した。
【0011】
またさらに、磁気ディスクの貼付歪みは、図5(c)に概略的に示すように、磁気ディスクの厚さ(基材フィルムの厚さ)の増大に伴って減少する傾向があることも判明した。
【0012】
なお、図5(a)〜(c)に示すグラフは直線となっているが、これは傾向を概略的に示したものであって、必ずしもリニアな関係があることを意味するものではない。
【0013】
上述の傾向から、本発明者は、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在する両面粘着性テープの厚さが磁気ディスクの回転面振れに関係していることに想到し、回転面振れの低減を目的とする本発明を提案するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外径が2インチ(50.8mm)以下の可撓性磁気ディスクを備え、この磁気ディスクの中心部に、センタコアが両面粘着性テープを介して固着されてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、上記両面粘着性テープが90μm以下の厚さを有することを特徴とするものである。
【0015】
上記両面粘着性テープの厚さは、回転面振れを低減する点からは薄い方が望ましいが、薄過ぎると接着性および組立て作業性の点で問題になるので、20μm以上の厚さを有することが好ましい。
【0016】
また、上記両面粘着性テープの厚さは、上記磁気ディスクの厚さ(基材フィルムの厚さ)の1.8倍以下であることが好ましく、さらに、上記両面粘着性テープの厚さが、上記磁気ディスクの厚さの0.4倍以上であることがより好ましい。
【0017】
上記両面粘着性テープとしては、フィルム基材の両面に粘着剤を塗布したものが一般的であるが、それ以外に、1層の粘着剤層のみからなるもの、あるいは、不織布に粘着剤を含浸させたものも使用することができる。フィルム基材の両面に粘着剤を塗布した両面粘着性テープの場合には、フィルム基材がポリエステル系樹脂からなることが好ましい。
【0018】
また、上記両面粘着性テープが、フィルム基材の両面に粘着剤を塗布した両面粘着性テープの場合、各粘着剤の厚さは40μm以下であることが好ましい。その場合に、各粘着剤の厚さが8μm以上であることがより好ましい。
【0019】
さらに上記粘着剤は、アクリル系樹脂からなることが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性磁気ディスクをセンタコアのディスク貼付面上に固着する両面粘着性テープの厚さの上限を90μm以下に設定することにより、図5(b)から明らかなように、100μm以上の厚さを有する両面粘着性テープを使用した従来のこの種磁気ディスクカートリッジディスクにおけるよりも貼付歪みが減少し、これに伴って、図5(a)から明らかなように、磁気ディスクの回転面振れを低減することができた。したがって、外径2インチ(50.8mm)以下の可撓性磁気ディスクを備えた小型磁気ディスクカートリッジにおいて高容量化を図ることが可能になった。
【0021】
そして、両面粘着性テープの厚さの下限を20μm以上に設定することにより、組立て作業性等の点での問題も生じない。
【0022】
また、図5(c)から明らかなように、磁気ディスクの回転面振れの要因であるディスク貼付歪みは、磁気ディスクの厚さ(フィルム基材の厚さ)が厚くなる程減少するが、厚過ぎると、磁気ヘッドに対する追従性に問題を生じるので、厚さ50μm程度が適当である。したがって、磁気ディスクの厚さに対する両面粘着性テープの厚さの関係に着目すると、50μmの磁気ディスクの厚さに対して、90μm以下20μm以上の両面粘着性テープの厚さは、1.8倍以下0.4倍以上となる。
【0023】
さらに、磁気ディスクの中心部にセンタコアを固着する手段としては、上述した両面粘着性テープに限らず、接着剤またはホットメルト接着を用いた場合でも、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在している接着性層の厚さが90μm以下であれば、両面粘着性テープを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディスクカートリッジの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1(a),(b)は、本発明が適用される磁気ディスクカートリッジの平面図および底面図、図2は図1(b)のII−II線に沿った要部拡大断面図である。
【0026】
この磁気ディスクカートリッジ1は、押込み部2aを含むスタビライザと呼ばれる樹脂製のフレーム2と、厚さ0.2mm程度のステンレス鋼板(例えば、SUS304等)からなる上シェル3および下シェル4とによって構成された、幅50mm、奥行き55mm、厚さ1.95mmの扁平なハウジング内に、1GBの記憶容量を有する直径1.8インチ(約46mm)の磁気ディスク5を、ドライブ装置に装填されたときに回転自在になるように収容している。磁気ディスク5の中央部には、中心孔10aを備えたセンタコア10が固着されている。
【0027】
この磁気ディスクカートリッジ1は、幅53mm、奥行き85mm、厚さ5mmの外寸を有するTYPEII PCカード型のドライブ装置(図略)が備えているスロットに挿入形式でローディングされるように構成され、上下シェル3,4には、上記ドライブ装置が備えている記録再生用磁気ヘッドを磁気ディスク5の表面にアクセスさせるための略V字状の開口部6が形成され、上下シェル3,4の内側には、上記開口部6を回転式に開閉するための開口部7aを備えたロータリーシャッタ7が、図示しないバネ部材によって閉方向に付勢された態様で設けられている。
【0028】
ロータリーシャッタ7は、周縁部で互いに係合された上下のシャッタ部材7U,7Dからなり、図2から明らかなように、上シャッタ部材7Uは、上シェル3の下面から内方へ突出する小径の円筒体3aによって回転可能に軸支され、かつ円筒体3aの先端には、上シャッタ部材7Uの円筒体3aからの抜出しを防止するためのセンタピンと呼ばれる抜止め部材9が溶接されて、センタコア10の中心孔10a内に介入している。
【0029】
下シェル4の中央部には、センタコア10を外部に臨ませる円形の中心孔4aが形成され、下シャッタ部材7Dの中心部には、下シェル4の中心孔4aの周縁に遊嵌される大径の円筒体7Daが下方へ向かって突設されて、この円筒体7Daによって下シャッタ部材7Dが下シェル4に回転可能に支持されているとともに、円筒体7Daの先端部がカシメられて、下シャッタ部材7Dの下シェル4からの抜出しを防止するフランジ12が形成されている。上下のシャッタ部材7U,7Dの内面にはライナ13が貼り付けられている。
【0030】
さらに下シェル4には、ロータリーシャッタ7と同心的な円弧状溝4bが形成され、下シャッタ部材7Dには、図1(b)に示すように、上記円弧状溝4bから突出しかつこの円弧状溝4bに沿って移動してロータリーシャッタ7を開閉するシャッタノブ7bが固設されている。そして、ドライブ装置に対する磁気ディスクカートリッジ1のローディング動作に伴って、ドライブ装置の係合壁面がシャッタノブ7bに係合して、ロータリーシャッタ7がその開口部7aを上下シェル3,4の開口部6に一致させた開位置まで約60度回転されることにより、磁気ディスク5を上下シェル3,4の開口部6から露出させ、かつドライブ装置からの磁気ディスクカートリッジ1のアンローディング動作に伴って、ロータリーシャッタ7は図示しないバネ部材によって図1(a),(b)に示す閉位置に復帰するように構成されている。
【0031】
図3(a),(b)は、磁気ディスク5をセンタコア10のディスク貼付面10a上に両面粘着性テープ20を用いて固着する場合の構成を概略的に示す拡大断面図である。
【0032】
図3(a)に示すように、磁気ディスク5はPET樹脂またはPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂で形成された厚さ53μmの可撓性フィルム基材B1の両面に例えばBaFeを強磁性粉末として含む磁性層M,Mを備えたものからなり、両面粘着性テープ20は、可撓性フィルム基材B2の両面に粘着剤層A,Aを備えている。そして、この両面粘着性テープ20は、その上面の粘着剤層Aによって磁気ディスク5に貼り付けられた後、下面の粘着剤層Aがセンタコア10のディスク貼付面10a上に貼り付けられることによって、磁気ディスク5をセンタコア10のディスク貼付面10a上に固着している。
【0033】
両面粘着性テープ20には、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル系樹脂で形成されたフィルム基材B2と、このフィルム基材B2の両面に設けられたアクリル系樹脂からなる粘着剤層A,Aを含んだ総厚さが90μm以下20μm以上のものが用いられている。
【0034】
図4は、厚さ53μmのPET樹脂をフィルム基材B2に用いた磁気ディスク10を、厚さの異なる5種類の両面粘着性テープ20を用いてセンタコア10のディスク貼付面10a上に貼り付けた場合のディスク回転面振れの実測値を示すグラフである。磁気ディスク10におけるディスク回転面振れ値は、半径20mmの外側記録領域で測定した。
【0035】
実測に際しては、東京都渋谷区神宮前6−19−20所在のテサテープ株式会社が販売している品番テサ4983(厚さ30μm)、テサ4972(厚さ48μm)、テサ4980(厚さ80μm)、テサ4967(厚さ160μm)、およびテサ4965(厚さ205μm)の5種類の両面粘着性テープ20をそれぞれ複数サンプル用いて、それぞれのディスク回転面振れ値をプロットした。そして、同一品番の両面粘着性テープ20におけるディスク回転面振れ値の平均値を結んだところ、図示のような曲線が得られた。
【0036】
図4から明らかなように、90μm以下の厚さを有する両面粘着性テープを用いた場合に、100μm以上の厚さを有する両面粘着性テープを用いた場合よりもディスク回転面振れが低減されることが裏づけられた。両面粘着性テープ20の各粘着剤層Aの厚さは、40μm以下8μmが好ましい。
【0037】
なお、本実施の形態は、可撓性フィルム基材B2の両面に粘着剤層A,Aを備えた両面粘着性テープ20の場合であるが、その場合に、フィルム基材B2にポリエステル系樹脂を用い、粘着剤層にアクリル系樹脂を用いた場合にさらに良好な結果が得られることが確認された。
【0038】
また、両面粘着性テープ20がフィルム基材B2を備えておらず1層の接着剤層のみの場合、および不織布基材に粘着剤を含浸させたものの場合であっても、厚さが90μm以下であれば、同様の効果が得られることも確認することができた。
【0039】
さらには、磁気ディスクの中心部にセンタコアを固着する手段としては、上述した両面粘着性テープに限らず、接着剤またはホットメルト接着を用いた場合でも、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在している接着性層の厚さが90μm以下であれば、両面粘着性テープを用いた場合と同様の効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b)は、本発明による磁気ディスクカートリッジの実施の形態を平面図および底面図
【図2】図1(b)のII−II線に沿った要部拡大断面図
【図3】磁気ディスクをセンタコアのディスク貼付面上に両面粘着性テープを用いて固着する場合の構成を概略的に示す拡大断面図
【図4】両面粘着性テープの厚さに対する磁気ディスク回転振れ値の関係を示すグラフ
【図5】図5(a)はディスク貼付歪みに対するディスク回転振れの関係を概略的に示すグラフ、図5(b)は両面粘着性テープの厚さに対するディスク貼付歪みの関係を概略的に示すグラフ、図5(c)はディスクの厚さに対するディスク貼付歪みの関係を概略的に示すグラフ
【符号の説明】
1 磁気ディスクカートリッジ
3 上シェル
4 下シェル
5 磁気ディスク
7 ロータリーシャッタ
10 センタコア
20 両面粘着性テープ
【発明の属する技術分野】
本発明は、外径が2インチ(50.8mm)以下の小径の可撓性磁気ディスクを備えた磁気ディスクカートリッジに関し、特に、上記磁気ディスクの中心部にセンタコアが両面粘着性テープを介して固着されてなる磁気ディスクカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録媒体としての回転型磁気ディスクの高容量化、小径化が進んでおり、このような磁気ディスクを収容する小型磁気ディスクカートリッジの一例として、「clik!(R)」と呼ばれるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この磁気ディスクカートリッジは、例えば幅50mm、奥行き55mm、厚さ1.95mmの扁平な金属薄板からなる上下シェルを備えたハウジング内に、40MBの記憶容量を有する直径約1.8インチ(約47mm)の可撓性磁気ディスクを情報記録媒体として回転自在に収容したものである。
【0004】
このような可撓性磁気ディスクは、厚さ約32μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる基材フィルムの両面に磁性層を設けたものであり、その中心部に固着されたセンタコアによって支持されている。センタコアは、ディスク貼付面としての平坦な上面を備えた外径約12.5mmの円盤状部分と、この円盤状部分の下部に一体に連接されたより小径の係合部とを備えた鉄系金属からなるものであり、この磁気ディスクカートリッジがドライブ装置に装填された際には、ドライブ装置が備えているドライブスピンドルにセンタコアの上記係合部が磁気的に吸着されてドライブスピンドルにチャッキングされるように構成されている。
【0005】
そして、磁気ディスクの中心部をセンタコアのディスク貼付面上に同軸的に固着するための手段として、不織布を基材としてこれに粘着剤を含浸させた厚さ100〜150μm程度の両面粘着性テープが用いられてきた。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第6256168号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような小型磁気ディスクカートリッジにおいては、その記録媒体としての磁気ディスクのさらなる高容量化(1GB以上)および高転送レート化が望まれており、磁気ディスクを外径2インチ(50.8mm)以下に小径化し、かつ磁気ディスクの回転数を2000〜8000rpm と高速化することが図られようとしているが、そのような小径化および高速化を図ろうとする場合に、従来ではさほど問題にならなかった磁気ディスクの情報記録領域における僅かな回転面振れに起因するオフトラック等が大きな障害になってきた。
【0008】
そこで、本発明者は、磁気ディスクの回転面振れを低減すべく、種々の実験に基づいて磁気ディスクの回転面振れの要因を探求した結果、両面粘着性テープを介してセンタコアのディスク貼付面上に固着された磁気ディスクの中心領域において貼付により発生した歪みが、磁気ディスクの中心領域から外周側の記録領域に向って伝播して、記録領域において回転面振れを生じさせていることを確認した。
【0009】
すなわち、磁気ディスクの回転面振れは、図5(a)に概略的に示すように、磁気ディスクのセンタコアに対する貼付歪みの増大に伴って増大する傾向があることが判明した。
【0010】
さらに、磁気ディスクの貼付歪みは、図5(b)に概略的に示すように、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在する両面粘着性テープの厚さの増大に伴って増大する傾向があることも判明した。
【0011】
またさらに、磁気ディスクの貼付歪みは、図5(c)に概略的に示すように、磁気ディスクの厚さ(基材フィルムの厚さ)の増大に伴って減少する傾向があることも判明した。
【0012】
なお、図5(a)〜(c)に示すグラフは直線となっているが、これは傾向を概略的に示したものであって、必ずしもリニアな関係があることを意味するものではない。
【0013】
上述の傾向から、本発明者は、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在する両面粘着性テープの厚さが磁気ディスクの回転面振れに関係していることに想到し、回転面振れの低減を目的とする本発明を提案するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外径が2インチ(50.8mm)以下の可撓性磁気ディスクを備え、この磁気ディスクの中心部に、センタコアが両面粘着性テープを介して固着されてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、上記両面粘着性テープが90μm以下の厚さを有することを特徴とするものである。
【0015】
上記両面粘着性テープの厚さは、回転面振れを低減する点からは薄い方が望ましいが、薄過ぎると接着性および組立て作業性の点で問題になるので、20μm以上の厚さを有することが好ましい。
【0016】
また、上記両面粘着性テープの厚さは、上記磁気ディスクの厚さ(基材フィルムの厚さ)の1.8倍以下であることが好ましく、さらに、上記両面粘着性テープの厚さが、上記磁気ディスクの厚さの0.4倍以上であることがより好ましい。
【0017】
上記両面粘着性テープとしては、フィルム基材の両面に粘着剤を塗布したものが一般的であるが、それ以外に、1層の粘着剤層のみからなるもの、あるいは、不織布に粘着剤を含浸させたものも使用することができる。フィルム基材の両面に粘着剤を塗布した両面粘着性テープの場合には、フィルム基材がポリエステル系樹脂からなることが好ましい。
【0018】
また、上記両面粘着性テープが、フィルム基材の両面に粘着剤を塗布した両面粘着性テープの場合、各粘着剤の厚さは40μm以下であることが好ましい。その場合に、各粘着剤の厚さが8μm以上であることがより好ましい。
【0019】
さらに上記粘着剤は、アクリル系樹脂からなることが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性磁気ディスクをセンタコアのディスク貼付面上に固着する両面粘着性テープの厚さの上限を90μm以下に設定することにより、図5(b)から明らかなように、100μm以上の厚さを有する両面粘着性テープを使用した従来のこの種磁気ディスクカートリッジディスクにおけるよりも貼付歪みが減少し、これに伴って、図5(a)から明らかなように、磁気ディスクの回転面振れを低減することができた。したがって、外径2インチ(50.8mm)以下の可撓性磁気ディスクを備えた小型磁気ディスクカートリッジにおいて高容量化を図ることが可能になった。
【0021】
そして、両面粘着性テープの厚さの下限を20μm以上に設定することにより、組立て作業性等の点での問題も生じない。
【0022】
また、図5(c)から明らかなように、磁気ディスクの回転面振れの要因であるディスク貼付歪みは、磁気ディスクの厚さ(フィルム基材の厚さ)が厚くなる程減少するが、厚過ぎると、磁気ヘッドに対する追従性に問題を生じるので、厚さ50μm程度が適当である。したがって、磁気ディスクの厚さに対する両面粘着性テープの厚さの関係に着目すると、50μmの磁気ディスクの厚さに対して、90μm以下20μm以上の両面粘着性テープの厚さは、1.8倍以下0.4倍以上となる。
【0023】
さらに、磁気ディスクの中心部にセンタコアを固着する手段としては、上述した両面粘着性テープに限らず、接着剤またはホットメルト接着を用いた場合でも、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在している接着性層の厚さが90μm以下であれば、両面粘着性テープを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディスクカートリッジの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1(a),(b)は、本発明が適用される磁気ディスクカートリッジの平面図および底面図、図2は図1(b)のII−II線に沿った要部拡大断面図である。
【0026】
この磁気ディスクカートリッジ1は、押込み部2aを含むスタビライザと呼ばれる樹脂製のフレーム2と、厚さ0.2mm程度のステンレス鋼板(例えば、SUS304等)からなる上シェル3および下シェル4とによって構成された、幅50mm、奥行き55mm、厚さ1.95mmの扁平なハウジング内に、1GBの記憶容量を有する直径1.8インチ(約46mm)の磁気ディスク5を、ドライブ装置に装填されたときに回転自在になるように収容している。磁気ディスク5の中央部には、中心孔10aを備えたセンタコア10が固着されている。
【0027】
この磁気ディスクカートリッジ1は、幅53mm、奥行き85mm、厚さ5mmの外寸を有するTYPEII PCカード型のドライブ装置(図略)が備えているスロットに挿入形式でローディングされるように構成され、上下シェル3,4には、上記ドライブ装置が備えている記録再生用磁気ヘッドを磁気ディスク5の表面にアクセスさせるための略V字状の開口部6が形成され、上下シェル3,4の内側には、上記開口部6を回転式に開閉するための開口部7aを備えたロータリーシャッタ7が、図示しないバネ部材によって閉方向に付勢された態様で設けられている。
【0028】
ロータリーシャッタ7は、周縁部で互いに係合された上下のシャッタ部材7U,7Dからなり、図2から明らかなように、上シャッタ部材7Uは、上シェル3の下面から内方へ突出する小径の円筒体3aによって回転可能に軸支され、かつ円筒体3aの先端には、上シャッタ部材7Uの円筒体3aからの抜出しを防止するためのセンタピンと呼ばれる抜止め部材9が溶接されて、センタコア10の中心孔10a内に介入している。
【0029】
下シェル4の中央部には、センタコア10を外部に臨ませる円形の中心孔4aが形成され、下シャッタ部材7Dの中心部には、下シェル4の中心孔4aの周縁に遊嵌される大径の円筒体7Daが下方へ向かって突設されて、この円筒体7Daによって下シャッタ部材7Dが下シェル4に回転可能に支持されているとともに、円筒体7Daの先端部がカシメられて、下シャッタ部材7Dの下シェル4からの抜出しを防止するフランジ12が形成されている。上下のシャッタ部材7U,7Dの内面にはライナ13が貼り付けられている。
【0030】
さらに下シェル4には、ロータリーシャッタ7と同心的な円弧状溝4bが形成され、下シャッタ部材7Dには、図1(b)に示すように、上記円弧状溝4bから突出しかつこの円弧状溝4bに沿って移動してロータリーシャッタ7を開閉するシャッタノブ7bが固設されている。そして、ドライブ装置に対する磁気ディスクカートリッジ1のローディング動作に伴って、ドライブ装置の係合壁面がシャッタノブ7bに係合して、ロータリーシャッタ7がその開口部7aを上下シェル3,4の開口部6に一致させた開位置まで約60度回転されることにより、磁気ディスク5を上下シェル3,4の開口部6から露出させ、かつドライブ装置からの磁気ディスクカートリッジ1のアンローディング動作に伴って、ロータリーシャッタ7は図示しないバネ部材によって図1(a),(b)に示す閉位置に復帰するように構成されている。
【0031】
図3(a),(b)は、磁気ディスク5をセンタコア10のディスク貼付面10a上に両面粘着性テープ20を用いて固着する場合の構成を概略的に示す拡大断面図である。
【0032】
図3(a)に示すように、磁気ディスク5はPET樹脂またはPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂で形成された厚さ53μmの可撓性フィルム基材B1の両面に例えばBaFeを強磁性粉末として含む磁性層M,Mを備えたものからなり、両面粘着性テープ20は、可撓性フィルム基材B2の両面に粘着剤層A,Aを備えている。そして、この両面粘着性テープ20は、その上面の粘着剤層Aによって磁気ディスク5に貼り付けられた後、下面の粘着剤層Aがセンタコア10のディスク貼付面10a上に貼り付けられることによって、磁気ディスク5をセンタコア10のディスク貼付面10a上に固着している。
【0033】
両面粘着性テープ20には、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル系樹脂で形成されたフィルム基材B2と、このフィルム基材B2の両面に設けられたアクリル系樹脂からなる粘着剤層A,Aを含んだ総厚さが90μm以下20μm以上のものが用いられている。
【0034】
図4は、厚さ53μmのPET樹脂をフィルム基材B2に用いた磁気ディスク10を、厚さの異なる5種類の両面粘着性テープ20を用いてセンタコア10のディスク貼付面10a上に貼り付けた場合のディスク回転面振れの実測値を示すグラフである。磁気ディスク10におけるディスク回転面振れ値は、半径20mmの外側記録領域で測定した。
【0035】
実測に際しては、東京都渋谷区神宮前6−19−20所在のテサテープ株式会社が販売している品番テサ4983(厚さ30μm)、テサ4972(厚さ48μm)、テサ4980(厚さ80μm)、テサ4967(厚さ160μm)、およびテサ4965(厚さ205μm)の5種類の両面粘着性テープ20をそれぞれ複数サンプル用いて、それぞれのディスク回転面振れ値をプロットした。そして、同一品番の両面粘着性テープ20におけるディスク回転面振れ値の平均値を結んだところ、図示のような曲線が得られた。
【0036】
図4から明らかなように、90μm以下の厚さを有する両面粘着性テープを用いた場合に、100μm以上の厚さを有する両面粘着性テープを用いた場合よりもディスク回転面振れが低減されることが裏づけられた。両面粘着性テープ20の各粘着剤層Aの厚さは、40μm以下8μmが好ましい。
【0037】
なお、本実施の形態は、可撓性フィルム基材B2の両面に粘着剤層A,Aを備えた両面粘着性テープ20の場合であるが、その場合に、フィルム基材B2にポリエステル系樹脂を用い、粘着剤層にアクリル系樹脂を用いた場合にさらに良好な結果が得られることが確認された。
【0038】
また、両面粘着性テープ20がフィルム基材B2を備えておらず1層の接着剤層のみの場合、および不織布基材に粘着剤を含浸させたものの場合であっても、厚さが90μm以下であれば、同様の効果が得られることも確認することができた。
【0039】
さらには、磁気ディスクの中心部にセンタコアを固着する手段としては、上述した両面粘着性テープに限らず、接着剤またはホットメルト接着を用いた場合でも、磁気ディスクとセンタコアとの間に介在している接着性層の厚さが90μm以下であれば、両面粘着性テープを用いた場合と同様の効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b)は、本発明による磁気ディスクカートリッジの実施の形態を平面図および底面図
【図2】図1(b)のII−II線に沿った要部拡大断面図
【図3】磁気ディスクをセンタコアのディスク貼付面上に両面粘着性テープを用いて固着する場合の構成を概略的に示す拡大断面図
【図4】両面粘着性テープの厚さに対する磁気ディスク回転振れ値の関係を示すグラフ
【図5】図5(a)はディスク貼付歪みに対するディスク回転振れの関係を概略的に示すグラフ、図5(b)は両面粘着性テープの厚さに対するディスク貼付歪みの関係を概略的に示すグラフ、図5(c)はディスクの厚さに対するディスク貼付歪みの関係を概略的に示すグラフ
【符号の説明】
1 磁気ディスクカートリッジ
3 上シェル
4 下シェル
5 磁気ディスク
7 ロータリーシャッタ
10 センタコア
20 両面粘着性テープ
Claims (12)
- 外径が50.8mm以下の可撓性磁気ディスクを備え、該磁気ディスクの中心部に、センタコアが両面粘着性テープを介して固着されてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、
前記両面粘着性テープが90μm以下の厚さを有することを特徴とする磁気ディスクカートリッジ。 - 前記両面粘着性テープが、20μm以上の厚さを有することを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記両面粘着性テープの厚さが、前記磁気ディスクの厚さの1.8倍以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記両面粘着性テープの厚さが、前記磁気ディスクの厚さの0.4倍以上であることを特徴とする請求項3記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記両面粘着性テープが、フィルム基材の両面に粘着剤を塗布したものであることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記フィルム基材がポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項5記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記フィルム基材の両面にそれぞれ厚さ40μm以下の粘着剤が塗布されていることを特徴とする請求項5または6記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記フィルム基材の両面にそれぞれ厚さ8μm以上の粘着剤が塗布されていることを特徴とする請求項7記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記両面粘着性テープが、1層の粘着剤層のみからなることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記両面粘着性テープが、不織布に粘着剤を含浸させたものであることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 前記粘着剤がアクリル系樹脂からなることを特徴とする請求項5,9,10のいずれかに記載の磁気ディスクカートリッジ。
- 外径が50.8mm以下の可撓性磁気ディスクを備え、該磁気ディスクの中心部に、センタコアが接着性層を介して固着されてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、
前記接着性層が90μm以下の厚さを有することを特徴とする磁気ディスクカートリッジ。
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- 2003-06-30 JP JP2003187146A patent/JP2004213855A/ja active Pending
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