JP2004212639A - 回折光学素子を備えたカタディオプトリックレンズ - Google Patents

回折光学素子を備えたカタディオプトリックレンズ Download PDF

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Abstract

【課題】デジタルカメラ等の小型撮像素子用の撮像レンズとして好適であり、特に回折光学素子を用いて小型で高性能なカタディオプトリックレンズを提供する。
【解決手段】本発明の回折光学素子を備えたカタディオプトリックレンズL11は、光の進行方向より順に、光が入射する輪帯状の入射面Sと、該入射面Sを透過した光に対して凹面を向けた輪帯状の主ミラーR11と、該主ミラーR11によって反射した光に対して凸面を向けた2次ミラーR12とを少なくとも有するカタディオプトリックレンズにおいて、該主ミラーR11と該2次ミラーR12との間はガラスで充填され、主ミラーR11を除くいずれかの光学面に回折光学面Gfを有する。なお、回折光学面Gfの有効径(直径)をΦc、主ミラーR11の有効径(直径)ΦMとしたときに、条件式0.1<Φc/ΦM<1.0の条件を満足して構成される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カタディオプトリックレンズ(反射屈折式レンズ)に関し、特に小型撮像素子用の撮像レンズとして用いるに適したカタディオプトリックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、35mm版フィルムを使用する撮像装置では、長焦点距離レンズ、特に超望遠レンズとして、反射屈折式レンズがしばしば用いられている。
【0003】
例えば、35mm版フィルム用の撮像レンズとして用いられる従来の反射屈折式レンズとして、光線の入射方向より順に、入射面、主ミラー、2次ミラーが配置されているものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。入射面としては、平面でもよいが、一般に凸面の入射面が用いられ、主ミラーとしては凹面鏡が用いられ、2次ミラーとしては凸面鏡が用いられ、したがってそのパワー配置は、正、正、負の成分で構成されている。このような構成の反射屈折式レンズは、色収差、特に2次スペクトルの劣化を招くことなく、屈折作用のみによって長焦点距離レンズを構成する場合よりもレンズ全長を短くすることができ、操作上大変有利である。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−205124号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年デジタルカメラ等の小型化に伴い、その撮像素子であるCCD(電荷結合素子)も小型化が進んでいる。また、高画質への要求により撮像素子の高細密化が進み、撮像レンズの性能への要求も厳しくなってきている。このような要求を解決する一つの手段として、35mm版フィルム用の撮像レンズとして開発された反射屈折式レンズを縮小して小型の撮像素子用の撮像レンズとして利用することが考えられる。ここで、小型の撮像素子の撮像レンズとして反射屈折式レンズを用いる場合には、より小型で高性能である必要がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、デジタルカメラ等の小型撮像素子用の撮像レンズとして好適であり、特に回折光学素子を用いて小型で高性能なカタディオプトリックレンズを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、請求項1に記載の回折光学素子を備えたカタディオプトリックレンズは、光の進行方向より順に、光が入射する輪帯状の入射面と、該入射面を透過した光に対して凹面を向けた輪帯状の主ミラーと、該主ミラーによって反射した光に対して凸面を向けた2次ミラーとを少なくとも有するカタディオプトリックレンズにおいて、該主ミラーと該2次ミラーとの間はガラスで充填され、主ミラーを除くいずれかの光学面に回折光学面を有し、回折光学面の有効径(直径)をΦc、主ミラーの有効径(直径)ΦMとしたときに、条件式0.1<Φc/ΦM<1.0の条件を満足することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のカタディオプトリックレンズは、請求項1に記載のカタディオプトリックレンズにおいて、輪帯状の入射面よりも光の進行方向手前側に透明な平行平板を有し、回折光学面は平行平板のいずれかの面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカタディオプトリックレンズ。
【0009】
請求項3に記載のカタディオプトリックレンズは、請求項1又は2に記載のカタディオプトリックレンズにおいて、像面から回折光学面まで光軸に沿って測った距離をW、前記カタディオプトリックレンズ全体の焦点距離fdとしたときに、条件式0.1<W/fd<1.0の条件を満足することを特徴とする
【0010】
請求項4に記載のカタディオプトリックレンズは、請求項1〜3のいずれかに記載のカタディオプトリックレンズにおいて、回折光学面は、回折光学素子を有する面の曲率半径をraとしたとき、条件式0.0≦|fd/ra|<2.0の条件を満足して形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のカタディオプトリックレンズは、請求項1〜4のいずれかに記載のカタディオプトリックレンズにおいて、カタディオプトリックレンズを構成するレンズ面中の、いずれかの透過屈折面に回折光学面を設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明のカタディオプトリックレンズのように、入射面と主ミラーと2次ミラーとを備えた反射屈折式レンズでは、各像点の結像に寄与する光束の断面は、輪帯状あるいは輪帯の一部が欠けた馬蹄形状となっている。したがって、それらの光線の重心位置となる主光線は、実際には遮光されている。しかしながら簡単のために、本明細書では、実際には遮光されていても、各光線の重心位置となる光線を主光線と呼ぶこととする。
【0013】
本発明に係るカタディオプトリックレンズは、光の進行方向より順に、光が入射する輪帯状の入射面と、該入射面を透過した光に対して凹面を向けた輪帯状の主ミラーと、該主ミラーによって反射した光に対して凸面を向けた2次ミラーとを少なくとも有して構成される。そして、該主ミラーと該2次ミラーとの間はガラスで充填され、主ミラーを除くいずれかの光学面に回折光学面を有している。
【0014】
ここで、回折光学素子について説明する。一般に、光線を曲げる方法としては屈折と反射が知られているが、第3番目の方法として回折がある。従来知られた回折格子やフレネルゾーンプレートはこのような光の回折現象を利用した光学素子であり、回折光学素子と呼ばれる。このような回折光学素子は屈折や反射とは異なる振る舞いを示すことが知られており、その振る舞いの具体的な例としては、負の分散値を有することが挙げられる。この性質は、色収差補正に極めて有名であり、高価な特殊低分散ガラスでしか達し得ない(通常のガラスでは達し得ない)良好な色収差補正が可能である。
【0015】
本発明においては、ガラスやプラスチック等の光学部材の表面に回折格子やフレネルゾーンプレートのように回折現象を応用して光線を曲げる作用を有する面を創製して、その作用により良好な光学性能を得るものである。なお、このような回折光学素子については、「『回折光学素子入門』応用物理学会日本光学会監修平成9年第1発行」に詳しい。
【0016】
上記構成である本発明のカタディオプトリックレンズにおいて、前記回折光学面の有効径(直径)をΦc、前記主ミラーの有効径(直径)ΦMとしたときに、条件式(1)が満足されることが望ましい。
【0017】
【数1】
0.1 < Φc/ΦM < 1.0 (1)
【0018】
上記条件式(1)は、前記回折光学面の適切な有効径Φcを規定する。条件式(1)の上限値を上回ると、主ミラーに対する径が大きくなりすぎ、回折光学素子の製作が困難となりコストアップに繋がる。また、回折光学面に外部からの有害光が入りやすくなり、フレア等による画質低下を招きやすくなる。反対に、条件式(1)の下限値を下回ると、前記回折光学面を有するレンズの適切な有効径が小さくなりすぎて、回折光学面の格子ピッチが小さくなる傾向が強まり、回折光学素子の製作が困難となりコストアップに繋がるばかりか、格子によるフレア発生が大きくなり、画質の低下を招きやすくなる。なお、本発明の効果を十分に発揮するには、上限値を0.8とすることが望ましい。また、下限値を0.2とすることが望ましい。
【0019】
また、本発明に係るカタディオプトリックレンズにおいて、像面から回折光学面まで光軸に沿って測った距離をW、前記カタディオプトリックレンズ全体の焦点距離fdとしたときに、条件式(2)が満足されることが望ましい。
【0020】
【数2】
0.1 < W /fd < 1.0 (2)
【0021】
上記条件式(2)は、前記回折光学面の適切な位置を規定する。条件式(2)の上限値を上回ると、回折光学素子の径が大きくなりすぎて、製造上困難となる不都合が生じる。反対に、条件式(2)の下限を下回ると、像面に近くなりすぎてしまい、格子のピッチが画像に写りこみやすくなる不都合が生じるばかりか、色収差の補正効果が弱まってしまうため、良好な結像性能が得にくくなる。
【0022】
本発明に係るカタディオプトリックレンズにおいて、前記回折光学面は、前記回折光学面の曲率半径をraとしたとき、条件式(3)が満足されることが望ましい。
【0023】
【数3】
0.0 ≦| fd/ra | <2.0 (3)
【0024】
上記条件式(3)は、前記回折光学面の曲率半径raの適切な範囲を規定する。条件式(3)の上限値を上回ると、回折光学面の曲率半径raが小さくなりすぎてしまい、回折光学素子自身を製造しづらくなる不都合が生じるばかりか、コマ収差や像面湾曲収差の発生が甚大となってしまう。なお、回折光学面が平面上に形成されているときは、raは無限大なので、|fd/ra|=0である。また、本発明の効果を十分に発揮するには、上限値を1.0とすることが望ましい。
【0025】
次に、本発明においては、主ミラーから2次ミラーに至る光路を満たすレンズは、少なくとも1面の貼り合わせ面を有することが好ましい。この構成により、回折光学面の作用と共同して、凹面の入射面で発生する色収差を補正することができる。また、入射面は輪帯状となっているが、この入射面の中央部は、2次ミラーと同一の曲面を共有するように形成するか、あるいは主ミラーから2次ミラーに至る光路に少なくとも一面の貼り合わせ面を設けたときには、入射面の中央部がいずれか1面の貼り合わせ面と同一の曲面を共有するように形成することが好ましい。この構成により、カタディオプトリックレンズの構成が簡素化されることとなる。
【0026】
また、主ミラーと2次ミラーとの間をガラスで充填することは、両者の間に埃や水滴等、画質を損ねる異物が入らないので好都合である。
【0027】
さて、本発明に係るカタディオプトリックレンズにおいては、回折光学面を有する一般の光学系の場合と同様に、回折光学面を通過する光線角度は、できるだけ小さい方が好ましい。これは、上記光線角度が大きくなると、回折光学面によるフレアが発生しやすくなり、画質を損ねてしまうからである。そこで、回折光学面によるフレアがあまり影響を及ぼさずに、良好な画像を得るためには、本光学系の場合、その角度が10度以下とすることが望ましい。このような条件が満たされるのであれば、回折光学面は本カタディオプトリックレンズ中のどこに配置してもよいが、その効果を十分に得るには、光線角度が5度以下であることがより好ましい。
【0028】
また、本発明に係るカタディオプトリックレンズにおいては、前記回折光学面を有する回折光学素子の最も物体側の面から最終面までの光軸上の厚さをL、回折光学面を有する回折光学素子の焦点距離をfkとしたとき、条件式(4)が満たされることが望ましい。
【0029】
【数4】
0.0 ≦ L/|fk| <0.5 (4)
【0030】
上記条件式(4)は、Lとfkとの適切なる比を規定する。条件式(4)の上限値を上回ると、fkの絶対値が大きくなりすぎてしまい、回折光学素子の偏芯誤差感度が敏感となりすぎてしまい、僅かな位置誤差によっても大きな性能劣化を引き起こしてしまう不都合を生じる。なお、回折光学面が、屈折力を持たない光学素子上に形成されているときは、fk=∞である。
【0031】
本発明に係るカタディオプトリックレンズにおいては、主ミラーと2次ミラーとの頂点間隔をA、全系の焦点距離をfとしたとき、条件式(5)が満たされることが望ましい。
【0032】
【数5】
0.1 < A/f <0.6 (5)
【0033】
上記条件式(5)の上限値を上回ると、全長が長くなりすぎてしまい、小型のカタディオプトリックレンズが達成できなくなる。また、条件式(5)の下限値を下回ると、現実的な設計が不可能となる。なお、条件式(5)の上限値を0.4とすることが望ましい。また、条件式(5)の下限値を0.25とすることが望ましい。
【0034】
なお、実際にカタディオプトリックレンズを構成するときは、前記正レンズ群中の回折光学面はレンズ面上に形成され、Pを前記回折光学面の最小格子ピッチとしたとき、条件式(6)が満たされることが望ましい。
【0035】
【数6】
10μm < P (6)
【0036】
上記条件式(6)の下限値を下回ると、製造技術的に製作が困難となる。
【0037】
次に、本発明に係るカタディオプトリックレンズは、輪帯状の主ミラーの中央部は、主ミラーと曲面を共用するレンズ面に形成され、2次ミラーから、主ミラーと曲面を共有するレンズ面に至る光路は、レンズによって満たされていることが好ましい。この構成により、カタディオプトリックレンズの構成が簡素化されることとなる。その際、2次ミラーから、主ミラーと曲面を共有するレンズ面に至る光路を満たすレンズに、さらに別のレンズが貼り合わせられた構成とすることもできる。なお、さらに貼り合わせる別のレンズは、当然主ミラーと曲面とを共有するレンズ面の像側に貼り合わせられる。
【0038】
そして、前記カタディオプトリックレンズを構成するレンズ面中の、いずれかの透過屈折面に回折光学面を設けることが好ましい。反射面に回折光学面を設けると、製作誤差に対する感度が、屈折面のそれよりも大きくなってしまい、実際に製作した際の光学性能の劣化が大きくなってしまうからである。より具体的には、回折光学面を創製するには、レンズの表面にフレネルゾーンプレートのように、光軸に対して回転対称である格子構造を作ることが製作上容易であって好ましい。このとき、通常の非球面レンズを製作するのと同じく、精研削でもガラスモールドでも可能である。さらには、レンズ表面に薄い樹脂層で格子構造を重ねることにより、回折効率の波長特性や画角特性を向上させることができるので好都合である。
【0039】
なお、本発明に用いる回折光学面は、アッベ数νdが65以下の光学ガラスのレンズ面上に形成することが望ましい。これは回折格子が製造しやすく、良好な光学性能が得られるからである。
【0040】
さらに、本発明に係るカタディオプトリックレンズは、撮影レンズのブレを検出するブレ検出手段と、ブレ検出手段からの信号とカメラの作動シークエンスの制御を行う制御手段からの信号とに基づいて適正なブレ補正量を定めるブレ制御装置と、ブレ補正量に基づき防振レンズ群を移動させる駆動機構とを組みあわせ、防振レンズシステムを構成することもできる。この場合、本発明においては、小型の負レンズ群GR又はその一部を光軸と直交する方向にシフトするように構成することが好ましい。また、本発明に係るズームレンズを構成する各レンズに加えて、屈折率分布型レンズ等を用いることにより、さらに良好な光学性能が得られることは言うまでもない。
【0041】
なお、カメラに装着した際の重量バランスやコンパクト化のために、光の進行方向より順に最も像側の面から像面までの距離をBfとしたとき、条件式(7)が満たされることが望ましい。
【0042】
【数7】
0.2 < Bf/fd <0.35 (7)
【0043】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、各実施例において、回折光学面の位相差は、通常の屈折率と後述する非球面式(8)、(9)とを用いて行う超高屈折法により計算した。超高屈折法とは、非球面形状と回折光学面の格子ピッチとの間の一定の等価関係を利用するものであり、本実施例においては回折光学面は超高屈折法のデータとして、すなわち、後述する非球面式(8)、(9)及びその係数により示している。なお、本実施例では収差特性の算出対象として、d線、g線、C線、F線を選んでいる。本実施例において用いたこれらd線、g線、C線、F線の波長と、各スペクトル線に対して設定した超高屈折法の計算に用いるための屈折率の値を下の表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004212639
【0045】
各実施例において、非球面は光軸に垂直な方向の高さ(入射高)をhとし、非球面の頂点における接平面から高さhにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(非球面量)をxとし、基準球面の曲率半径をrとし、近軸曲率半径をRとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCとしたとき、条件式(8)、(9)で表される。
【0046】
【数8】
x=(h/r)/(1+(1−κ(h/r1/2
+C+C+C+C+C1010 (8)
R=1/((1/r)+2C) (9)
【0047】
なお、各実施例において、非球面形状に形成されたレンズ面には、表中の面番号の右側に*印を付している。また、各実施例において、回折光学面の位相差は、通常の屈折率と上記非球面式(8)、(9)とを用いて行う超高屈折率法により計算した。このため、非球面レンズ面及び回折光学面のいずれにも非球面式(8)、(9)が用いられるが、非球面レンズ面に用いられる非球面式(8)、(9)はレンズ面の非球面形状そのものを示し、一方、回折光学面に用いられる非球面式(8)、(9)は回折光学面の性能の諸元を示す。
【0048】
(第1実施例)
図1は、第1実施例を示し、この実施例のカタディオプトリックレンズは、焦点距離fd=60.10241mmであり、物体側に凹面を向けた単一のメニスカスレンズL11によって構成されている。この実施例では、レンズL11の物体側のレンズ面の周辺部が輪帯状の入射面S1になっており、像側レンズ面の周辺部は反射材がコーティングされて輪帯状の主ミラーR11になっており、物体側レンズ面の中央部は反射材がコーティングされて2次ミラーR12となっており、射出面は回折光学面Gfとなっている。
【0049】
このように図1に示した本発明の第1実施例における各レンズの諸元を表2に示す。表中、第1欄mは物体側からの各光学面の番号(右の*印は非球面形状に形成されているレンズ面)、第2欄rは各光学面の曲率半径(非球面の場合には基準球面の曲率半径)、第3欄dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離、さらに第4欄nd、第5欄ng、第6欄nC、第7欄nFはそれぞれd線、g線、C線、F線に対する屈折率をそれぞれ示している。そして、第8欄は各光学面の記号を表す。また、表中dと、nd,ng,nC,nFについては、1回反射するたびに符号を反転して表示している。非球面データにおいて、0(ゼロ)となるn次の非球面係数Cは省略している。また、表には前記条件式(1)〜(7)に対応する値、すなわち条件対応値も示している。以上の表の説明は、他の実施例及び比較例においても同様である。
【0050】
なお、本実施例では、面番号1が入射面S1、面番号2が主ミラーR11、面番号3が2次ミラーR12、面番号4及び5が回折光学面Gfに相当している。また、面番号4及び5には、この回折光学面Gfの諸元を超高屈折法を用いて示している。
【0051】
【表2】
Figure 2004212639
【0052】
このように第1実施例では、上記条件式(1)〜(7)は全て満たされることが分かる。図2に第1実施例の球面収差、非点収差、歪曲収差、コマ収差及び倍率色収差を示す。各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、dはd線を、gはg線を、CはC線を、FはF線をそれぞれ示している。なお、球面収差図において最大口径に対応するFナンバーの値、非点収差図と歪曲収差図では、像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。また、非点収差図では実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。以上の収差図の説明は、他の実施例においても同様である。図2中の各収差図から明らかなように、第1実施例では、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
【0053】
ここで、上記の第1実施例においてレンズL11の射出面に回折光学面Gfを用いない場合について、以下に比較例を示して概説する。
【0054】
(比較例)
図3は、比較例を示しており、上記の第1実施例の射出面から回折光学面Gfを除いたものである。すなわち、この比較例のカタディオプトリックレンズは、物体側に凹面を向けた単一のメニスカスレンズL11´によって構成されており、レンズL11´の物体側のレンズ面の周辺部が輪帯状の入射面S1aになっており、像側レンズ面の周辺部は反射材がコーティングされて輪帯状の主ミラーR11´になっており、物体側レンズ面の中央部は反射材がコーティングされて2次ミラーR12´となっており、射出面は非球面状に形成されている。なお、fd=52.09087mmであり、Bf=12.29778である。
【0055】
このように図3に示した本発明の比較例における各レンズの諸元を表3に示す。なお、本比較例では、面番号1が入射面S1´、面番号2が主ミラーR11´、面番号3が2次ミラーR12´に相当している。
【0056】
【表3】
Figure 2004212639
【0057】
図4は、比較例の諸収差図である。図4中の各収差図から明らかなように、射出面に回折光学面Gfを設けていない比較例では、射出面に回折光学面Gfを備えている上記の第1実施例と比べて(図2参照)、諸収差の補正が劣っていることが分かる。すなわち、本発明のカタディオプトリックレンズは回折光学面を用いることにより、諸収差を良好に補正できることを示している。
【0058】
(第2実施例)
図5は、第2実施例を示し、この実施例のカタディオプトリックレンズは、焦点距離fd=54.17081mmであり、物体側に平行平板L21と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL22によって構成されている。この実施例では、平行平板L21の像側の面が回折光学面Gfとなっており、レンズL22の物体側のレンズ面の周辺部が輪帯状の入射面S21になっており、像側レンズ面の周辺部は反射材が備えられて輪帯状の主ミラーR21になっており、物体側レンズ面の中央部は反射材がコーティングされて2次ミラーR22となっている。
【0059】
このように図5に示した本発明の第2実施例における各レンズの諸元を表4に示す。なお、本実施例では、面番号2及び3が回折光学面Gf、面番号4が(輪帯状の)入射面S2、面番号5が主ミラーR21、面番号6が2次ミラーR22に相当する。また、面番号2及び3には、この回折光学面Gfの諸元を超高屈折法を用いて示している。
【0060】
【表4】
Figure 2004212639
【0061】
このように第2実施例では、上記条件式(1)〜(7)は全て満たされることが分かる。図6は、第2実施例の諸収差図である。各収差図から明らかなように、第2実施例では、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
【0062】
(第3実施例)
図7は第3実施例を示し、このカタディオプトリックレンズは、焦点距離fd=52.64759mmであり、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL31と、レンズL31に貼り合わせられた両凹レンズL32と、レンズL32に貼り合わされた両凸レンズL33と、レンズL33に貼り合わせられた両凹レンズL34と、レンズL34に貼り合わせられた両凸レンズL35によって構成されている。この実施例においても、レンズL32の物体側レンズ面の周辺部が輪帯状の入射面S3になっており、レンズL33の像側レンズ面の周辺部が輪帯状の主ミラーR31になっており、レンズL31の物体側レンズ面が2次ミラーR32となっている。
【0063】
このように図7に示した本発明の第3実施例における各レンズの諸元を表5に示す。なお、本実施例では、面番号1が入射面S3、面番号3が主ミラーR31、面番号6が2次ミラーR32、面番号11及び12が回折光学面Gfに相当する。また、面番号11及び12には、この回折光学面Gfの諸元を超高屈折法を用いて示している。
【0064】
【表5】
Figure 2004212639
Figure 2004212639
【0065】
このように第3実施例では、上記条件式(1)〜(5)は全て満たされることが分かる。図8は、第3実施例の諸収差図である。各収差図から明らかなように、第3実施例では、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカタディオプトリックレンズでは、諸収差(色収差も含む)が高度に補正されており、各収差図に見られる通りの高性能な反射屈折式レンズが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施例のカタディオプトリックレンズを示す断面図である。
【図2】第1実施例の光学系の諸収差図である。
【図3】比較例のカタディオプトリックレンズを示す断面図である。
【図4】比較例の光学系の諸収差図である。
【図5】本発明による第2実施例のカタディオプトリックレンズを示す断面図である。
【図6】第2実施例の光学系の諸収差図である。
【図7】本発明による第3実施例のカタディオプトリックレンズを示す断面図である。
【図8】第3実施例の光学系の諸収差図である。
【0067】
【符号の説明】
L11 第1実施例に用いられたレンズ
L21,L22 第2実施例に用いられたレンズ
L31〜L35 第3実施例に用いられたレンズ
S1 ,S2 ,S3 入射面
R11,R21,R31 主ミラー
R12,R22,R32 2次ミラー
Gf 回折光学面
I 像面

Claims (5)

  1. 光の進行方向より順に、前記光が入射する輪帯状の入射面と、該入射面を透過した前記光に対して凹面を向けた輪帯状の主ミラーと、該主ミラーによって反射した前記光に対して凸面を向けた2次ミラーとを少なくとも有するカタディオプトリックレンズにおいて、該主ミラーと該2次ミラーとの間はガラスで充填され、前記主ミラーを除くいずれかの光学面に回折光学面を有し、前記回折光学面の有効径(直径)をΦc、前記主ミラーの有効径(直径)ΦMとしたときに、条件式
    0.1 < Φc/ΦM < 1.0
    の条件を満足することを特徴とする回折光学素子を備えたカタディオプトリックレンズ。
  2. 前記輪帯状の入射面よりも光の進行方向手前側に透明な平行平板を有し、前記回折光学面は前記平行平板のいずれかの面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカタディオプトリックレンズ。
  3. 像面から前記回折光学面まで光軸に沿って測った距離をW、前記カタディオプトリックレンズ全体の焦点距離fdとしたときに、条件式
    0.1 < W /fd < 1.0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のカタディオプトリックレンズ。
  4. 前記回折光学面は、前記回折光学面の曲率半径をraとしたとき、条件式
    0.0 ≦| fd/ra | <2.0
    の条件を満足して形成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載のカタディオプトリックレンズ。
  5. 前記カタディオプトリックレンズを構成するレンズ面中の、いずれかの透過屈折面に回折光学面を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカタディオプトリックレンズ。
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