JP2004212271A - 破断試料作製方法、試料観察方法及び破断試料作製装置 - Google Patents

破断試料作製方法、試料観察方法及び破断試料作製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】数mm以上の平坦な試料の割断面を容易に得る。
【解決手段】走査電子顕微鏡の試料ホルダを兼用する下部部材51と上部部材52とで構成される破断試料作製装置の上下の部材に、両者を重ねたとき連通する穴あるいは溝53,54を設け、その中に液状試料やフィルム状試料58を搭載し、冷媒中に浸漬して凍結した後に、上部部材52に衝撃59を加えて上部部材を下部部材に対してスライドさせることで搭載試料の断面を得る。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒を使った走査電子顕微鏡用の破断試料作製方法及びその方法に用いられる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走査電子顕微鏡(SEM)を用いてフィルム状の柔らかい試料や液状物質などの断面形状を評価する際には、液体窒素などの冷媒を使用して試料を凍結・硬化させた後、その試料を破断して破断試料を作製する。試料破断の第1の方法は、凍結した試料の両端をピンセットやペンチなどの工具によって固定し、折り曲げることによって試料の割断面を得る方法である。第2の方法は、鋭利な刃物を搭載した割断専用装置を使用する方法である。第3の方法は、走査電子顕微鏡のクライオステージに凍結試料を装着して、それに付属されているナイフを用いて断面を作製する方法である。その他の方法としては、FIB(Focused Ion Beam)法によって数十μmレベルの領域の試料断面を作製する方法がある。なお、この種の装置を記載した文献には、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−87706号公報
【特許文献2】
特開平5−99812号公報
【特許文献3】
特開2000−162103号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1から第3の方法は、凍結・硬化した試料の一部分を固定し、鋭利な刃物を試料側面に点接触あるいは線接触させて割断するため、試料が小さく粉砕されて割断面の判別が困難となることがある。また、数mm以上の大きさの平坦な割断面を得ることが容易ではなく、取扱うことのできる試料サイズに制限があった。また、FIB法による試料作製は、数mm以上の領域の断面を得る場合、膨大な加工時間を要するため現実的ではない。
【0005】
本発明は、走査電子顕微鏡用試料の断面作製法における従来の問題点に鑑み、フィルム状の試料や液状物質など断面作製において、数mm以上の平滑な試料断面を高い精度で且つ容易に得る方法及びその方法に適した装置を提供することを目的とする。また、本発明は、断面を作製した試料を走査電子顕微鏡によって確実かつ容易に観察できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、走査電子顕微鏡の試料ホルダを兼用しフィルム状の試料や液状試料を搭載できる穴もしくは溝を設けた下部部材と、下部部材の穴もしくは溝と連続する上下方向の貫通穴を設けた上部部材の2つの部材によって破断試料作製装置を構成する。下部部材と上部部材とは相互に分割できる。上下の部材を組合わせたとき、下部部材の穴もしくは溝と上部部材の貫通穴はその位置が合致し、試料をその中に包み込むような状態で搭載可能となっている。本発明の一態様によると、下部部材の穴もしくは溝及びそれと繋がる上部部材の貫通穴は、凝固点の低い溶媒や水などを注入して保持できる構造となっている。上下の部材を重ねてできた穴の中に試料を搭載して液体窒素などの冷媒中に浸漬して試料を凍結する。凍結後、上部部材の側面に衝撃を加えると、上部部材が下部部材に対してスライドし、その作用で搭載試料が破断し、搭載試料の大きさをほぼ反映した試料の割断面が容易に作製できる。
【0007】
すなわち、本発明による破断試料作製方法は、上面に開放した有底穴を有する下部部材の上に前記有底穴と連続する上下方向の貫通穴を有する上部部材を重ねて形成された上部部材及び下部部材を連通する穴に、試料を下部部材と上部部材に跨るようにして挿入するステップと、試料が挿入された上部部材と下部部材を重ねた状態で冷媒中に浸漬するステップと、上部部材及び下部部材を連通する穴の中で凍結した試料を含む上部部材及び部材を冷媒中から取り出すステップと、上部部材に側方から、下部部材と上部部材の境界面に平行な方向の衝撃を与えるステップとを有することを特徴とする。割断面を形成すべき試料は、フィルム状又は液状とすることができる。
【0008】
本発明による試料断面の観察方法は、上面に開放した有底穴を有する下部部材の上に前記有底穴と連続する上下方向の貫通穴を有する上部部材を重ねて形成された上部部材及び下部部材を連通する穴に、試料を下部部材と上部部材に跨るようにして挿入するステップと、試料が挿入された上部部材と部材を重ねた状態で冷媒中に浸漬するステップと、上部部材及び下部部材を連通する穴の中で凍結した試料を含む上部部材及び下部部材を冷媒中から取り出すステップと、上部部材に側方から、下部部材と上部部材の境界面に平行な方向の衝撃を与えるステップと、上面に試料の割断面が露出した下部部材を走査電子顕微鏡の試料ステージに装着するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明による破断試料作製装置は、上面に開放した有底穴を有する下部部材と、前記有底穴と連続する上下方向の貫通穴を有する上部部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の破断試料作製装置の一態様として、有底穴及び貫通穴は、深さ方向と直交する方向の断面を矩形形状とし、矩形の一方の長辺に対応する有底穴の内壁面及び貫通穴の内壁面に複数の突起状支持部を設け、矩形の他方の長辺に対応する有底穴の内壁面及び貫通穴の内壁面に突起状支持部に対向する位置から突出する複数のネジを設ける構成としてもよい。
【0011】
本発明の破断試料作製装置の他の態様として、有底穴及び前記貫通穴は、深さ方向と直交する方向の断面を矩形形状とし、矩形の一方の長辺に対応する有底穴の内壁面及び貫通穴の内壁面から突出する複数のネジを設け、下部部材の有底穴内でネジに押されて試料を押圧する下側試料押さえ板、及び上部部材の貫通穴内でネジに押されて試料を押圧する上側試料押さえ板を備える構成としてもよい。
【0012】
本発明の破断試料作製装置の下部部材は、走査電子顕微鏡の試料ホルダとして走査電子顕微鏡の試料ステージに装着できる構造とする。
【0013】
本発明によれば、試料の断面作製が容易に行え、平坦な割断面が得られるとともに、試料ホルダに固定された状態で試料断面が得られるため割断面の判別が必要なく、試料断面観察作業の信頼性も向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、走査電子顕微鏡の構成例を示す模式図である。電子銃1から放出された電子線2は、コンデンサーレンズ3によって縮小され、対物レンズ5を通過して、試料室6の試料ステージ7に装着された試料ホルダ8中の試料に照射される。電子線2の照射によって試料から放出された二次電子9は、二次電子検出器10によって検出される。偏向コイル4によって電子線2を試料の表面上で走査し、二次電子検出器10の出力を図示しないモニタに表示することにより、試料の表面形態が観察される。
【0016】
図2は、本発明による走査電子顕微鏡用の破断試料作製装置の一実施例を示す概略図であり、図2(a)は上面図、図2(b)はそのAA断面図である。図2は、破断試料作製装置にフィルム状の試料を保持した状態を示している。
【0017】
本実施例の破断試料作製装置20は、ネジ付き下部部材21、ネジ付き上部部材22、下側押さえ板26、上側押さえ板27からなる。銅、SUS材、アルミニウム等の熱伝導率が高い材質で造られた上下2つの部材21,22は別体として互いに分離可能であり、下部部材21の上に上部部材22を載せたときの全体寸法は、例えば20mm×20mm×20mm程度とすることができる。下部部材21には、上面に開放する穴状の有底溝23が設けられている。有底溝23は、水平方向の断面が例えば寸法15mm×3mm程度の矩形形状とすることができる。また、下部部材21には、前記矩形の長辺に対応する一方の側面から有底溝23に開口する複数のネジ穴が設けられ、先端が有底溝23内に突出可能なようにネジ25がねじ込まれている。
【0018】
上部部材22には、下部部材21の有底溝23に対応する位置に上下に貫通する貫通スリット24が設けられている。上部部材22の貫通スリット24にも、上部部材22の一方の側面から貫通スリット24に開口する複数のネジ穴が設けられ、先端が貫通スリット24内に突出可能なようにネジ25がねじ込まれている。
【0019】
下部部材21の有底溝23と上部部材22の貫通スリット24とは、下部部材21の上に上部部材22を重ねて置いたとき、少なくとも、下部部材21の有底溝23のネジ穴が設けられている内壁面に対向する側の内壁面と、上部部材22のネジ穴が設けられている内壁面に対向する側の貫通スリット24の内壁面とが連続する一つの平面を形成するように設計されている。
【0020】
下側押さえ板26と上側押さえ板27は、幅が有底溝23、貫通スリット24の幅とほぼ同じ幅で、厚さ1mm程度であり、例えば銅から造られた平板である。下側押さえ板26の上下方向の寸法は有底溝23の深さと同じであり、上側押さえ板27の上下方向の寸法は貫通スリット24の上下方向の寸法とほぼ同じである。
【0021】
次に、本実施例の試料破断装置20を用いた試料断面の作製方法について説明する。ビニール等のフィルム状試料28は、図示するように、下部部材21と上部部材22を積み重ねて形成された上下の部材21,22を連通する溝の中に挿入される。試料28のうち下部部材21の有底溝23に挿入された部分は、ネジ25によって締め付けられる下側押さえ板26によって押さえられて固定され、上部部材22の貫通スリット24中の部分はネジ25によって締め付けられる上側押さえ板27によって押さえられて固定される。
【0022】
なお、図2(b)において、破断試料作製装置20の溝に挿入されたフィルム状試料28は、その幅及び高さ寸法が破断試料作製装置20の溝の幅及び深さ寸法と同じに描かれているが、必ずしも同じ寸法にする必要はない。また、下部部材21に設けられて有底穴23及び/又は上部部材に設けられた貫通スリット24は、側方が外部に開放していてもよい。
【0023】
フィルム状の試料を内部に固定した破断試料作製装置20は、図3に示すように、液体窒素などの冷媒31が入った容器32に浸漬される。こうして、フィルム状の試料は、破断試料作製装置20内で凍結・硬化される。
【0024】
図4は、破断試料作製装置内で硬化したフィルム状試料を破断して断面が露出した破断試料を作製する方法を示す図である。フィルム状試料28を収容した破断試料作製装置20の温度が液体窒素などの冷媒31中で熱平衡に達した後、破断試料作製装置20を冷媒31から取り出す。次に、破断試料作製装置20の上部部材22の側面をハンマーなどで水平方向に叩き、衝撃33を与える。衝撃33が加えられたことによって、破断試料作製装置20の上部部材22は下部部材21の上面に沿って横方向にスライドする。そのとき、フィルム状試料28は下部部材21内の部分と上部部材22内の部分が下側押さえ板26及び上側押さえ板27によってそれぞれ別々に固定されているため応力が加わり、2つの押さえ板26,27の境界線に沿って破断され、フィルム状試料28の断面が作製される。この方法によると、長さ数mm以上の大きさの平坦な試料の割断面を安定して得ることができる。
【0025】
試料28の割断面が上部に露出している破断試料作製装置20の下部部材21は、試料ホルダとして、そのまま走査電子顕微鏡の試料ステージ7に装着され試料断面の観察に供される。このように本実施例によると、作製した試料断面をそのままの状態で走査電子顕微鏡によって観察することができるため、断面部位の判別が容易で信頼性の高い試料観察が行える。
【0026】
図5及び図6を用いて、破断試料作製装置の下部部分(試料ホルダ)21を走査電子顕微鏡の試料ステージ7に装着する方法について説明する。図5は、断面が上部に露出したフィルム状試料28を搭載した破断試料作製装置20の下部部材(試料ホルダ)21を走査電子顕微鏡の試料台40に搭載する方法の説明図である。図6は、試料台40に搭載された破断試料作製装置20の下部部材(試料ホルダ)21を走査電子顕微鏡の試料ステージ7に装着した状態を示す概略図である。
【0027】
図5に示すように、試料台40は、試料破断装置20の下部部材(試料ホルダ)21を搭載するためのシャフト42と、その高さを調節して固定するためのストッパリング41を有する。試料台40のシャフト42を下部部材(試料ホルダ)21の下面に設けられたネジ穴29にねじ込むことで、下部部材(試料ホルダ)21は試料台40に固定される。
【0028】
下部部材(試料ホルダ)21を上部に固定した試料台40は、図6に示すように、走査電子顕微鏡の試料交換装置が備える試料交換棒に試料台40のネジ穴43を使って装着され、その後、試料交換棒を操作して走査電子顕微鏡の試料室6中にある試料ステージ7のY軸駆動機構44及びX軸駆動機構45上の試料台装着部46に装着される。こうして、走査電子顕微鏡によるフィルム状試料の断面観察が可能となる。
【0029】
図7は、本発明による破断試料作製装置の他の実施例を示す図である。図7(a)は本実施例による破断試料作製装置の上面図、図7(b)はそのAA断面図である。図は、破断試料作製装置にフィルム上の試料を保持した状態を示している。
【0030】
本実施例の破断試料作製装置50は、ネジ付き下部部材51とネジ付き上部部材52とからなる。銅、SUS材、アルミニウム等の熱伝導率が高い材質で造られた上下2つの部材51,52は別体として互いに分離可能であり、下部部材51の上に上部部材52を載せたときの全体寸法は、例えば20mm×20mm×20mm程度とすることができる。下部部材51には、上面に開放する穴状の有底溝53が設けられている。有底溝53は、水平方向の断面が例えば寸法15mm×4mm程度の矩形形状を有する。また、下部部材51には、前記矩形の長辺に対応する一方の側面から有底溝53に開口する複数のネジ穴が設けられ、先端が有底溝53内に突出可能なようにネジ55がねじ込まれると共に、その反対側内壁面のネジ55に対向する位置に複数の突起状部材56が設けられている。
【0031】
上部部材52には、下部部材51の有底溝53に対応する位置に、上下に貫通するスリット54が設けられている。上部部材52の貫通スリット54にも、上部部材52の一方の側面から貫通スリット54に開口する複数のネジ穴が設けられ、先端が貫通スリット54内に突出可能なようにネジ55がねじ込まれている。また、貫通スリット54のネジ55が突出する内壁面と反対側の内壁面には、ネジ55に対向する位置に複数の突起状部材57が設けられている。
【0032】
次に、本実施例の破断試料作製装置50を用いた破断試料の作製方法について説明する。断面を形成すべきフィルム状試料58を、上下部材51,52を重ねたとき形成される下部部材51の有底溝53と上部部材52の貫通スリット54が連通した溝の中に挿入し、下部部材51のネジ55及び上部部材52のネジ55を軽く締め付けることで、フィルム状試料58を突起状部材56,57に押付けて固定する。その後、下部部材51の有底溝53と上部部材52の貫通スリット54が連通してできた溝の側面とフィルム状試料58との間の隙間に水もしくは凝固点の低い溶媒、例えばt−ブチルアルコールを注入して満たす。この状態で、図3に示したと同様に、破断試料作製装置50の全体を液体窒素などの冷媒中に浸漬する。
【0033】
冷媒中に浸漬された破断試料作製装置50中の水もしくは凝固点の低い溶媒は、フィルム状試料58の周囲を覆った状態で凍結し、フィルム状試料58は、破断試料作製装置50中に確実に固定される。その後、破断試料作製装置50を冷媒中から取り出し、破断試料作製装置50の上部部材52の側面をハンマーなどで水平方向に叩き、衝撃59を与える。衝撃59を与えたことによって、破断試料作製装置50の上部部材52は下部部材51の上面に沿って横方向にスライドする。そのとき、フィルム状試料58は下部部材51内の部分と上部部材52内の部分がそれぞれ別々に固定されているため応力が加わり、下部部材51の上面に沿って破断され、フィルム状試料58の断面が作製される。この方法によると、高い確度で長さ数mm以上の大きさの平坦な試料の割断面を得ることができる。
【0034】
試料58の割断面が上部に露出している破断試料作製装置50の下部部材51は、前記実施例の場合と同様に、試料ホルダとしてそのまま走査電子顕微鏡の試料ステージ7に装着され試料断面の観察に供される。このように、作製した試料断面をそのままの状態で走査電子顕微鏡によって観察することができるため、断面部位の判別が容易で信頼性の高い試料観察が行える。
【0035】
図8は、本発明による破断試料作製装置の他の実施例を示す図である。図8(a)は本実施例による破断試料作製装置の上面図、図8(b)はそのAA断面図である。本実施例の破断試料作製装置は、液状試料の断面作製に適する。
【0036】
本実施例の破断試料作製装置60は、有底穴63を有する下部部材61と、上下に貫通する貫通穴64を有する上部部材62からなる。上下部材61,62は銅、SUS材、アルミなどの熱伝導率の高い材料で造られ、下部部材61の上に上部部材62を重ねたときの大きさは、例えば直径25mm、高さ20mm程度とすることができる。穴の断面形状は、図示の例では円形であるが、必ずしも円形である必要はなく、矩形状、スリット状その他の形状であっても構わない。下部部材61の上に上部部材62を重ねたとき、上部部材62の貫通穴64と下部部材61の有底穴63とは、貫通穴64の側壁と有底穴63の側壁とが連続的に繋がって一つの有底穴を構成する。
【0037】
本実施例の破断試料作製装置60を用いた試料断面の作製に当たっては、下部部材61の上に上部部材62を重ね、下部部材61の有底穴63と上部部材62の貫通穴64とが連通してできた穴に、割断面を作製したい液状試料、例えば塗料や接着剤を注入し、図3に示したのと同様にして、全体を液体窒素などの冷媒に浸漬する。液体試料が凍結した後、破断試料作製装置60を冷媒中から取り出し、上部部材62の側面をハンマーなどで水平方向に叩き、衝撃65を与える。衝撃65を与えたことによって、破断試料作製装置60の上部部材62は下部部材61の上面に沿って横方向にスライドする。このとき、凍結して硬化した液状試料には応力が加わり、下部部材61の上面に沿って破断され、凍結硬化した液状試料の断面が作製される。この方法によると、凍結硬化した液状試料に対して、高い確度で数mm以上の広い範囲の割断面を容易に得ることができる。
【0038】
試料の割断面が上部に露出している破断試料作製装置60の下部部材61は、前記実施例の場合と同様に、試料ホルダとしてそのまま走査電子顕微鏡の試料冷却機能を備える試料ステージ7に装着され、試料を冷却した状態で試料断面の観察に供される。本実施例によると、凍結した液状試料の割断面をそのままの状態で走査電子顕微鏡によって観察することができるため、断面部位の判別が容易で信頼性の高い試料観察が行える。
【0039】
図9は、本発明による試料ホルダを兼ねた破断試料作製装置を用いた観察試料の作製から観察までの手順を示すフローチャートである。最初に断面を作製する試料を本発明による破断試料作製装置に搭載する(S11)。次に、試料を搭載した破断試料作製装置を液体窒素などの冷媒中に浸漬して、試料を凍結・硬化する(S12)。続いて、破断試料作製装置を冷媒から取り出し、素早く上部部材の側面に衝撃を与えて試料に応力を加える。衝撃が加えられた破断試料作製装置の上部部材が横方向にスライドして、搭載試料の断面が作製される(S13)。その後、破断試料作製装置の下部部材を走査電子顕微鏡に装着し(S14)、得られた試料断面の形態観察を行う(S15)。
【0040】
【発明の効果】
本発明によると、フィルム状試料や液状試料などに対して数mm以上の大きさの平坦な割断面を確実に得ることができる。また、破断試料作製装置が試料ホルダを兼用しており、割断面を作製した試料をそのままの状態で走査電子顕微鏡に装着して観察できることから、作製した試料断面の部位の誤判断を防ぎ信頼性の高い試料観察が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査電子顕微鏡の構成例を示す模式図。
【図2】本発明による走査電子顕微鏡用の破断試料作製装置の一実施例を示す概略図。
【図3】試料の凍結・硬化処理の説明図。
【図4】本発明によるフィルム状試料断面の作製方法を示す図。
【図5】本発明の試料ホルダを走査電子顕微鏡の試料台に搭載する方法を説明する図。
【図6】試料台を走査電子顕微鏡の試料ステージに装着した状態を示す図。
【図7】本発明による破断試料作製装置の他の実施例を示す図。
【図8】本発明による破断試料作製装置の他の実施例を示す図。
【図9】本発明による試料ホルダを兼ねた破断試料作製装置を用いた観察試料の作製から観察までの手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1:電子銃、2:電子線、3:コンデンサーレンズ、4:偏向コイル、5:対物レンズ、6:試料室、7:試料ステージ、8:試料ホルダ、9:二次電子、10:二次電子検出器、20:破断試料作製装置、21:下部部材、22:上部部材、23:有底溝、24:貫通スリット、25:ネジ、26:下側押さえ板、27:上側押さえ板、28:フィルム状試料、29:ネジ穴、31:冷媒、32:容器、33:衝撃、40:試料台、41:ストッパリング、42:シャフト、43:ネジ穴、44:Y軸駆動機構、45:X軸駆動機構、46:試料台装着部、50:破断試料作製装置、51:下部部材、52:上部部材、53:有底溝、54:貫通スリット、55:ネジ、56:突起状部材、57:突起状部材、58:フィルム状試料、59:衝撃、60:破断試料作製装置、61:下部部材、62:上部部材、63:有底溝、64:貫通穴、65:衝撃

Claims (7)

  1. 上面に開放した有底穴を有する下部部材の上に前記有底穴と連続する上下方向の貫通穴を有する上部部材を重ねて形成された前記上部部材及び前記下部部材を連通する穴に、試料を前記下部部材と上部部材に跨るようにして挿入するステップと、
    試料が挿入された前記上部部材と下部部材を重ねた状態で冷媒中に浸漬するステップと、
    前記上部部材及び前記下部部材を連通する穴の中で凍結した試料を含む前記上部部材及び下部部材を冷媒中から取り出すステップと、
    前記上部部材に側方から、前記下部部材と上部部材の境界面に平行な方向の衝撃を与えるステップとを有することを特徴とする破断試料作製方法。
  2. 請求項1記載の破断試料作製方法において、試料はフィルム状又は液状であることを特徴とする破断試料作製方法。
  3. 上面に開放した有底穴を有する下部部材の上に前記有底穴と連続する上下方向の貫通穴を有する上部部材を重ねて形成された前記上部部材及び前記下部部材を連通する穴に、試料を前記下部部材と上部部材に跨るようにして挿入するステップと、
    試料が挿入された前記上部部材と下部部材を重ねた状態で冷媒中に浸漬するステップと、
    前記上部部材及び前記下部部材を連通する穴の中で凍結した試料を含む前記上部部材及び下部部材を冷媒中から取り出すステップと、
    前記上部部材に側方から、前記下部部材と上部部材の境界面に平行な方向の衝撃を与えるステップと、
    上面に試料の割断面が露出した前記下部部材を走査電子顕微鏡の試料ステージに装着するステップとを含むことを特徴とする試料断面の観察方法。
  4. 上面に開放した有底穴を有する下部部材と、前記有底穴と連続する上下方向の貫通穴を有する上部部材とを備えることを特徴とする破断試料作製装置。
  5. 請求項4記載の破断試料作製装置において、前記有底穴及び前記貫通穴は、深さ方向と直交する方向の断面が矩形形状であり、前記矩形の一方の長辺に対応する前記有底穴の内壁面及び前記貫通穴の内壁面には複数の突起状支持部が設けられ、前記矩形の他方の長辺に対応する前記有底穴の内壁面及び前記貫通穴の内壁面には前記突起状支持部に対向する位置から突出する複数のネジが設けられていることを特徴とする破断試料作製装置。
  6. 請求項4記載の破断試料作製装置において、前記有底穴及び前記貫通穴は、深さ方向と直交する方向の断面が矩形形状であり、前記矩形の一方の長辺に対応する前記有底穴の内壁面及び前記貫通穴の内壁面から突出する複数のネジが設けられ、前記下部部材の前記有底穴内で前記ネジに押されて試料を押圧する下側試料押さえ板、及び前記上部部材の前記貫通穴内で前記ネジに押されて試料を押圧する上側試料押さえ板を備えることを特徴とする破断試料作製装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項記載の破断試料作製装置において、前記下部部材は走査電子顕微鏡の試料ホルダとして走査電子顕微鏡の試料ステージに装着できることを特徴とする破断試料作製装置。
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