JP2004211289A - 乾式二重床の支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾式二重床の支持構造において、日常の使用範囲では床の上下動がほとんどなくて良好な歩行感が得られ、大きな衝撃力が加わった場合には衝撃吸収機能を発揮して床衝撃音の発生を抑制し、しかも容易に施工できるようにする。
【解決手段】パーティクルボード2の下面に配された根太3に設けた受け金物6を支持脚5で支持する。支持脚5は、拘束金物10により上方向に位置規制された上部プレート8がコイルばね11で鉛直上方に支持され、両端に螺進方向の異なる雄ねじが設けられた支持ボルト7の下端ねじ部7bを上部プレート8に螺合してなる。支持ボルト7の上端ねじ部7aは、受け金物6に螺合されている。支持脚5は、防振シート12を介して床スラブ1に配置される。
【選択図】 図3
【解決手段】パーティクルボード2の下面に配された根太3に設けた受け金物6を支持脚5で支持する。支持脚5は、拘束金物10により上方向に位置規制された上部プレート8がコイルばね11で鉛直上方に支持され、両端に螺進方向の異なる雄ねじが設けられた支持ボルト7の下端ねじ部7bを上部プレート8に螺合してなる。支持ボルト7の上端ねじ部7aは、受け金物6に螺合されている。支持脚5は、防振シート12を介して床スラブ1に配置される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式二重床の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅性能表示制度の導入などを受け、集合住宅における床の遮音性能に対する関心が高まっている。特に重量床衝撃音に対しては、構造躯体そのものの性能が最終的な性能に大きく影響するものの、最近多く見られる乾式二重床の影響も少なくない。
従来、乾式二重床は、支持脚先端にゴムなどを設けて躯体上に配置するものが一般的に使用されている。このような乾式二重床は、重量床衝撃を受けた場合、衝撃がほとんど減衰することなく躯体に伝達されるので床の遮音性能が劣る傾向にあった。
そこで、軟らかいゴムを用いて衝撃吸収能力を増大させたり、特殊なディテールを採用したりする製品が提案されている。例えば、特許文献1には、あらかじめプレロードを導入したばね部材を用いた支持装置によって床部材を支持することにより、大きな衝撃力を受けたときに支持装置の弾性部材が圧縮されて衝撃力を吸収する緩衝床構造が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−125464号公報(第2−3頁、図3−7)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の乾式二重床の支持構造では、以下のような問題があった。
支持脚の先端に軟らかいゴムを設けた乾式二重床の場合、ゴムの変形範囲で衝撃を吸収するので、衝撃力の吸収範囲を拡大するために、ゴムを非常に軟らかくして変形量を大きくすることも考えられるが、そうすると低荷重でも床が上下するようになるから、例えば、日常生活における歩行移動などでも床が上下に弾み、良好な歩行感が得られないという問題がある。
また特許文献1に記載の技術では、重量床衝撃音は低減されるものの、平面方向に分割された床パネル2ごとに支持装置4で支える構成をとっているので、衝撃吸収性能を高めようとすれば、それぞれの床パネル2に配置する支持装置4の数を増やす必要があった。したがって、遮音性能を向上させようとすれば、調達コストが増大し施工の手間がかかる高コストの乾式二重床となってしまうものである。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、日常の使用範囲では床の上下動がほとんどなくて良好な歩行感が得られ、大きな衝撃力が加わった場合には衝撃吸収機能を発揮して床衝撃音の発生を抑制し、しかも容易に施工できる乾式二重床の支持構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、床下地部材と、該床下地部材を躯体の上方の所定高さに保持するための支持脚とを備え、該支持脚が弾性部材と該弾性部材により鉛直方向に支持された支柱部材とを有する乾式二重床の支持構造であって、前記弾性部材が、鉛直上方への弾性復元力を生ぜしめる所定のプレロードを導入された状態で、鉛直上方への変位を規制する拘束部材に、前記弾性部材の端部または該端部で押圧される押圧部材を介して係止されることにより、前記支柱部材からの荷重に応じて鉛直方向に可動に保持され、前記床下地部材が、その裏面の所定方向に延設された根太を介して、複数の前記支持脚上に支持された構成とする。
この発明によれば、鉛直上方に弾性復元力を生ぜしめる所定のプレロードを導入された弾性部材により床下地部材が支持されるので、プレロード以下の衝撃では床下地部材が沈み込むことがなく、プレロード以上の衝撃を受けた場合に弾性部材が弾性変形して床下地部材が沈み込んで衝撃エネルギーを吸収する。また、床下地部材は複数の支持脚上に根太を介して支持されるので、床下地部材が受けた衝撃は根太を支持する複数の支持脚に分散される。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の乾式二重床の支持構造において、前記支持脚が、前記プレロード以下の荷重による振動を減衰する防振部材を介して前記躯体上に設置された構成とする。
この発明によれば、防振部材を介して躯体上に支持脚を設置することにより、プレロード以下の衝撃力を受けてもそれによる振動を減衰することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の乾式二重床の支持構造において、前記支柱部材が、上下方向の端部に互いに螺進方向の異なる上端ねじ部と下端ねじ部とを備え、前記上端ねじ部が、前記根太の下面側に設けられた根太受け部材と螺合され、前記下端ねじ部が、前記弾性部材の端部または前記押圧部材と螺合され、前記支柱部材を軸方向回りに回転することにより、前記根太受け部材の保持高さの調整が可能とされた構成とする。
この発明によれば、支柱部材に互いに螺進方向が異なる上端ねじ部と下端ねじ部が形成されているから、支柱部材を軸方向回りに回転することにより、それぞれが螺合された根太受け部材と、弾性部材の端部または押圧部材とを同時にそれぞれ反対方向に駆動力を与えて、低トルクで根太の高さ調整を行うことができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の乾式二重床の支持構造において、前記拘束部材が、内側に前記弾性部材の端部または前記押圧部材を収容して鉛直方向の移動を案内する筒状部と、該筒状部の上側の開口において内径側に部分的に突出する爪状の係止部とを備え、該係止部によって、前記弾性部材の端部または前記押圧部材の鉛直上方への変位を規制する。
この発明によれば、拘束部材を、筒状部の開口に爪状の係止部を有する簡素な形状で形成するので、製作および組立が容易となる。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の乾式二重床の支持構造において、前記床下地部材が、長手方向に複数の前記根太にまたがる矩形状の板材を複数配列した構成からなり、該複数の板材の長手方向の継ぎ目が、根太上で該根太の延設方向に隣接しないように配列された構成とする。
この発明によれば、根太上には床下地部材間の継ぎ目が連続することがないので、根太と床下地部材との複合構造の曲げ剛性の偏りを低減することができ、床下地部材にかかる衝撃力を複数の根太に分散することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明に係る乾式二重床の支持構造の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同一部材または相当する部材には同一の符号を付し、共通部分の説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る乾式二重床30の概略構成を説明するための斜視説明図である。図2は、同じく乾式二重床30の概略構成を説明するための平面視の概略説明図である。図3(a)は図2におけるD−D断面図である。図3(b)は図3(a)におけるE−E断面図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る乾式二重床30の概略構成は、床材4、パーティクルボード2(床下地部材)、根太3、支持脚5および防振シート12(防振部材、図3(a)参照)からなる。そして、床スラブ1(躯体)上に防振シート12を介して支持脚5が配置され、その上部に根太3が固定され、根太3上に床部を構成するパーティクルボード2および床材4が配置されて、床部が床スラブ1に対して所定高さに支持されているものである。
【0013】
まず床部の構成について説明する。
パーティクルボード2は、床部の下地材として適宜の曲げ強度を有する厚さを備え、A×Bの矩形状に加工されている。例えば、住宅用としては、厚さ20mm、A=606mm(約600mm)、B=1818mm(約1800mm)などの寸法が採用できる。
根太3は、パーティクルボード2の下面に配設された矩形断面の根太材からなり、例えば、C=612mmのピッチで平行に揃えて床スラブ1と平行に複数本配置されている。根太材としては、例えば、住宅用としては、2×4材や2×6材などの木材を好適に用いることができる。
また根太3には、支持脚5の配設ピッチに応じて長手方向にわたって根太3の上下方向に複数の貫通孔3aが設けられている。そして、支持脚5を下面側に固定するために、貫通孔3aに後述する受け金物6(根太受け部材)が取り付けられている。その取付のため、本実施形態では、貫通孔3aの配設ピッチは、624mmとパーティクルボード2の短手方向長さよりわずかに長くしている。なお、貫通孔3aの水平方向の位置は、根太3の短手方向の幅の略中央に設けられる。
【0014】
図1、2に示したように、パーティクルボード2(図2では2点鎖線で表示)は、このような根太3の上にパーティクルボード2の長手方向が根太3の延設方向と交差する姿勢で、千鳥状に規則正しく配列されている。本実施形態では、上記の寸法B、Cの関係から、一つのパーティクルボード2が4本の根太3にわたって固定され、長手方向に隣り合う他のパーティクルボード2との間には、約18mmの隙間を有する継ぎ目2aを設けて固定されている。そして、根太3の延設方向には、他のパーティクルボード2との間に約12mmの隙間を有する継ぎ目2bを設けて固定されている。
この配列は千鳥状とされ、継ぎ目2aの位置が隣りの根太3上に形成されるように順次ずらされている。その結果、一つの根太3上には、継ぎ目2aが連続して形成されることはなく、本実施形態の場合、2つおきに形成されている。
パーティクルボード2の固定手段は、どのようなものでもよく、例えば、接着剤、くぎ、ねじなど適宜の手段により固定される。
パーティクルボード2の上面には、下地合板や化粧板などにより、床部の表層を形成する床材4が敷設されている。
【0015】
なお、継ぎ目2a、2bの間の隙間は、パーティクルボード2の配設誤差を吸収する余裕を持たせるように設定することが好ましい。少なくとも、後述する高さ調整を行うために、貫通孔3a内に、例えば、ドライバなどの高さ調整工具を差し入れて回転させる隙間などが確実に形成される寸法とする。
【0016】
次に、支持脚5および支持脚5による床部の支持構造について、主として図3を参照して説明する。
支持脚5の概略構成は、拘束金物10(拘束部材)、上部プレート8(押圧部材)、下部プレート9、コイルばね11(弾性部材)および支持ボルト7(支柱部材)からなる。
【0017】
拘束金物10は、鋼管などの管状部材からなる筒状部10aと、その上下の開口部において、筒状部10aの内径側に水平方向に突き出された上側拘束爪10b(係止部)および下側拘束爪10cとからなる。上側拘束爪10b、下側拘束爪10cは、下側拘束爪10cの開口部断面積に比べて小さい爪状部材であり、本実施形態では、開口部の円周方向の略等分位置に3個ずつ設けられている(図3b)参照)。これらは、例えば、別部材を開口部に溶接やボルト締めなどによって固定したり、筒状部10aの側部の一部を折り曲げたりして形成することができる。小さな爪状部材で係止部を設けることにより、絞り型などが不要となり、安価で容易に形成することができる。
【0018】
上部プレート8は、拘束金物10の筒状部10aの内径に沿って上下動可能な略円状の外形を有する水平方向に配置された押圧板部8bと、押圧板部8bの中心部に鉛直下方に延びる管部とからなり、管部の内径には、雌ねじ部8aが形成されている。
【0019】
なお、本実施形態では、上部プレート8は、後述するコイルばね11により押圧力を受けるために、拘束金物10に組み込まれて上下動する際にも摩擦力によって、筒状部10aの周方向に回転しないものであるが、より確実に回転を防止するために、上部プレート8および拘束金物10のそれぞれに回り止め機構を設けてもよい。例えば、筒状部10aの内面に軸方向にわたって突起を設けて押圧板部8bの外周部にその突起に係止可能な切欠き溝を設けるといった機構や、押圧板部8bに貫通孔を設け、拘束金物10の軸方向の上下にその貫通孔に挿通可能なガイド軸を設置するといった機構が採用することができる。
あるいは、押圧部材と弾性部材とを一体化して回り止め機構を省略してもよい。
【0020】
下部プレート9は、拘束金物10の筒状部10aの内部に収納可能な円板状の板部材であり、下側拘束爪10cに固定したり、下側拘束爪10cの上部に押圧したりして、抜け止めされるとともに、拘束金物10の下側の開口部を少なくとも外周から所定の中間部まで覆うものである。
【0021】
コイルばね11は、雌ねじ部8aの形成された管部の外径より大きい内径を備え、筒状部10aの内径より小さい外径を備える圧縮コイルばねである。
そして、支持脚5の組立状態では、拘束金物10の内部に組み込まれた上部プレート8の押圧板部8bと下部プレート9とによって、ばね伸縮方向の端部がそれぞれに係止され、所定のばね拘束長に圧縮された状態で挟持されている。
ここで、所定のばね拘束長とは、上側拘束爪10bと下側拘束爪10cとの軸方向の内寸法から押圧板部8bおよび下部プレート9の厚さを引いた長さである。
【0022】
コイルばね11の自然長は、ばね拘束長まで圧縮する荷重が所定のプレロードとなるように設定される。このプレロードは、それより大きい重量床衝撃力を受けたときにコイルばね11がさらに圧縮されて衝撃エネルギーを吸収し、それ以下の衝撃力ではコイルばね11が変形せず、コイルばね11により支持される上方のパーティクルボード2が鉛直方向に変位しないようにするために導入するものである。具体的には、例えば、日常頻繁に行う床上の歩行などによる衝撃力よりも大きく、子どもなどが床上で飛び跳ねたときの衝撃力よりは小さくするといった設定などを採用することができる。さらに衝撃の吸収の程度は、例えば、下階や隣接する部屋において衝撃力による床衝撃音が所定の騒音レベル以下となるようにするといった基準などにより決めることができる。
【0023】
支持ボルト7は、支持脚5に取り付けたときの上下方向に応じて、ボルト軸の両端部にそれぞれ上端ねじ部7a、下端ねじ部7bが設けられた両側ボルト部材である。そして、少なくとも上端ねじ部7aの先端部には、支持ボルト7を軸方向回りに回転するために、例えば、六角穴溝、十字溝や、軸中心を通る平行溝などを設けられている。
上端ねじ部7aと下端ねじ部7bとは、同一種類で、巻き方向が互いに異なる雄ねじが形成されている。そのため、上端ねじ部7aおよび下端ねじ部7bを、回り止めされて軸方向には可動とされた雌ねじにそれぞれ螺合して、支持ボルト7を軸回りの一方向に回転すると、それぞれの雌ねじの軸方向の位置が互いに逆方向に同距離だけ変位させることができるようになっている。
そして、支持ボルト7は、下端ねじ部7bが雌ねじ部8aに螺合され、上端ねじ部7aを上部プレート8の上側に突出して保持されている。
【0024】
以上に説明した支持脚5は、例えば、上部プレート8、下部プレート9に組込み時に上側拘束爪10b、下側拘束爪10cを避ける切欠きを設けておき、拘束金物10内に下部プレート9を落とし込んで、下側拘束爪10cに係止し、その上からコイルばね11を落とし込み、上部プレート8をコイルばね11の上端を押圧しながら拘束金物10内に押し込んでから上部プレート8を周方向に回転して上側拘束爪10bに係止させ、下端ねじ部7bを雌ねじ部8aに螺合する、といった工程で製作することができる。
【0025】
また、例えば、上側拘束爪10b、下側拘束爪10cのいずれかを形成する前に、上部プレート8と下部プレート9とでコイルばね11を挟持して拘束金物10内に配置し、所定のばね拘束長に圧縮するとともに、未形成の上側拘束爪10bまたは下側拘束爪10cをプレス加工により形成する、といった工程でも製作することができる。
【0026】
いずれの場合も、筒状部10aに爪状部材で係止部を設けるという簡素な拘束金物10を採用することで製作が容易となり、ボルト締結などを用いずにきわめて容易に組み立てることができるという利点がある。
【0027】
防振シート12は、支持脚5が上方から受ける衝撃力などによる振動を減衰するとともに、固体伝搬音を低減するために、下側拘束爪10cまたは下部プレート9の下面あるいはその両方と、床スラブ1との間に配置された防振部材である。防振シート12の材質は、変形時にエネルギー消費したり、固体伝搬振動の透過率を低減したりすることにより、振動減衰、衝撃吸収の作用を有するものであればどのようなものでもよいが、例えばシリコンゲル、合成または天然のゴム材料、エラストマーなどの合成樹脂材料、粘弾性体材料などを好適に用いることができる。形状はどんな形状でもよいが、本実施形態では、乾式二重床30の高さをコンパクトなものとし、設置が容易なシート状に加工して用いている。
【0028】
なお、防振シート12は、材質と形状を適宜選定し、振動減衰効果、衝撃吸収効果が、主としてコイルばね11に導入されるプレロード以下の荷重において有効となるようにする。すなわち、プレロード以下の軽荷重において防振シート12が十分変形し、エネルギーが有効に消費されるような材質と形状を選定する。また、衝撃力の周波数領域で言えば、軽量床衝撃において卓越する周波数領域を減衰することが好ましい。このような周波数領域は、一般には重量床衝撃に比べてより高周波側となる。
【0029】
ここで、上端ねじ部7aが螺合される受け金物6について説明する。
受け金物6は、貫通孔3aに外径が嵌合し、内径側に下端ねじ部7bと螺合する雌ねじ部6aが設けられた管状部材の一方の開口部にフランジ部6bを設けた部材である。
根太3とは、図3(a)に示したように、根太3の下方から、管状部を貫通孔3aに挿入し、フランジ部6bを根太3の下面に当接させた状態で固定されている。
【0030】
次に、本実施形態に係る乾式二重床30の支持構造の作用について説明する。
まず、プレロードが導入されたコイルばね11の動作について説明する。図4は、支持脚5に設けられたコイルばね11の変位荷重特性を説明するためのグラフである。横軸は、コイルばね11の鉛直変形、すなわち基準位置からの鉛直変位を示しており、縦軸は、コイルばね11が押圧板部8bを押圧する荷重を示している。
【0031】
コイルばね特性曲線22は、コイルばね11単体の変位荷重曲線であり、所定傾きを有する直線になっている。
変位荷重曲線21は、支持脚5に設けられたコイルばね11の変位荷重曲線であり、不感領域21a、弾性領域21b、非弾性領域21cが連続した曲線である。
符号P0は、一つの支持脚5あたりにかかる上部プレート8より上方の諸部材の荷重を表す初期荷重を示す。
符号P1(P1>P0)は、コイルばね11に導入されるプレロードを示す。
【0032】
符号P2は、弾性限界荷重を表す。弾性限界荷重P2は、コイルばね11が非線形変形を開始する荷重である。本実施形態では、P2以上の荷重ではすべて鉛直変形がδ1となる非線形となっている。例えば、コイルばね11のコイル間が密接してそれ以上の変形ができなくなるというような場合に相当する。また、拘束金物10に適宜のストッパを設けても同じ状態となる。
このような弾性限界荷重P2は、例えば地震時の落下物などの衝撃により床部が大きくたわみ、許容変形量を越えて損傷するなどといったことを防止するもので、床部の変形が許容される範囲でなるべく大きく設定する。
【0033】
不感領域21aは、コイルばね11に作用する静的または動的荷重が0からP1までの範囲の特性で、荷重変化によらず鉛直変位が0となる領域である。
弾性領域21bは、コイルばね11に作用する荷重がP1からP2までの範囲で、荷重と鉛直変形が比例する領域である。弾性領域21bのグラフ上の傾きはコイルばね特性曲線22の傾きと同一となっている。
【0034】
このような変位荷重曲線21の具体例として、例えば、P1=490N、P2=980N、δ1=4mmとなるような特性を採用することができる。このような条件において、コイルばね11のばね拘束長を約30〜40mm程度とし、床スラブ1から根太3の下面まで約60mm程度の薄型の支持脚5を設計することができる。
【0035】
変位荷重曲線21のような特性によれば、本実施形態の支持脚5に設けられたコイルばね11が、プレロードP1と弾性限界荷重P2との間の荷重で弾性変形するから、この範囲の衝撃力が加わったときに衝撃が吸収されて、床スラブ1に伝達される衝撃荷重が小さくなる。その結果、重量床衝撃音が低減されるという利点がある。
一方、衝撃力がプレロードP1以下のときは、コイルばね11は変形せず、支持脚5の支持高さも変わらないから、床部は、床部単体で可能な撓み以上に沈み込むことがない。その結果、例えば、日常の歩行などで生じる衝撃では、床部がほとんど上下動することがなく、床部が大きく撓むことによる歩行時の不快感や歩行しにくさなどが発生しないという利点がある。
【0036】
プレロードP1以下の衝撃力は、コイルばね11により吸収されないが、本実施形態では、支持脚5と床スラブ1との間に防振シート12を設けているので、防振シート12により減衰されてから床スラブ1に伝搬する。したがって、本実施形態によれば、プレロード以下の衝撃力による軽量床振動音も低減されるものである。
【0037】
また、本実施形態では、複数の支持脚5で根太3を支持して、その上にパーティクルボード2を固定する構成としている。そのため、床部全体を高剛性なものとすることができるから、床部に作用する衝撃が根太3を介して、広範囲の支持脚5に分散して伝搬される。このため、多数の支持脚5により衝撃力を吸収するので、個々の支持脚5の可動範囲を小さくしつつ、比較的大きな衝撃力まで吸収することができるという利点がある。その結果、支持脚5の配置個数を低減できるから、支持脚5の調達コストを低減することができるという利点がある。
また、支持脚5の上下の可動範囲を小さくできるから、床部の支持高さを低減し、コンパクトな乾式二重床30とすることができるという利点がある。
【0038】
さらに、本実施形態では、パーティクルボード2を千鳥状に並列して、一つの根太3の延設方向に継ぎ目2aが連続しないようにしているので、継ぎ目2aが連続することにより、根太3とパーティクルボード2との一体性が弱まるという剛性の偏りが分散されるようにしている。その結果、床部の剛性が比較的均一になり、衝撃力を比較的均一に分散することができるという利点がある。
【0039】
また、本実施形態では、根太3に貫通孔3bを設け、継ぎ目2a、2bの間に貫通孔3bが露出して、上方から支持ボルト7を回転させるための工具を挿入することができるようになっている。したがって、パーティクルボード2の上から支持ボルト7を容易に回転させることができ、根太3と上部プレート8との間の高さ調整を行うことできる。したがって、概略の高さを合わせて、パーティクルボード2を敷設した後に、細かくレベル調整作業を行うことができるから、施工および高さ調整の効率を向上することができるという利点がある。
【0040】
支持ボルト7には、螺進方向の異なる上端ねじ部7a、下端ねじ部7bが設けられている。
従来行われているねじ方式の調整は、一つの螺進方向を有するねじで行われており、そのため、ねじの設けられた軸に少なくとも一箇所は荷重を受けながら回転する回転支承を設ける必要があるが、軽荷重で調整しようとすれば高価な軸受を用いる必要があり、安価な装置を得ようとすればスラスト荷重による摩擦力のため調整作業に大きな労力を費やす必要があった。
本実施形態によれば、きわめて簡素な構成でありながら、両側ともねじ駆動されるので、比較的低荷重で調整作業を行うことができるという利点がある。
【0041】
次に、本実施形態に係る変形例について説明する。
図5(a)は、本実施形態の変形例に係る支持脚15を説明するための正面断面図である。図5(b)は、図5(a)におけるF−F断面図である。
本変形例の支持脚15は、上記に説明した支持脚5の拘束金物10、上部プレート8に代えて、それぞれ拘束金物16(拘束部材)、上部プレート17(押圧部材)を用い、新たに減衰部材18を追加してなるものである。
【0042】
拘束金物16は、上部プレート17を回り止めするために、拘束金物10において、筒状部10aの内面側に、鉛直方向に延びる回り止め突起10dを設けたものである。
上部プレート17は、上部プレート8の雌ねじ部8a、押圧板部8bに略対応する雌ねじ部17a、押圧板部17bとを備え、押圧板部17bの外周部に回り止め突起10dに嵌合する回り止め溝17cを形成してなるものである。
これらは押圧部材の回り止めの一例となっている。
【0043】
減衰部材18は、コイルばね11の外周を取り囲む位置において押圧板部17bと下部プレート9とで挟持され、押圧板部17bの鉛直方向の移動に追従して鉛直方向に伸縮することにより減衰力を作用させる部材である。
例えば、適宜の粘弾性体からなる防振ゴムをばね拘束長よりもわずかに長い高さを有する円筒状に成形した部材を採用することができる。また、所定方向に伸縮してエネルギーを消費するオイルダンパー、粘弾性ダンパーなどからなる制振装置を、鉛直方向に伸縮可能な状態で押圧板部17bと下部プレート9とに固定してもよい。
【0044】
減衰部材18によれば、衝撃力により押圧板部17bが押し下げられる変位が生じると、減衰力が作用するため、振動が減衰される。したがって、床部の振動が低減されるので、騒音の発生が抑制される。
本変形例によれば、コイルばね11の端部を押圧する押圧板部17bと固定部材9との間に減衰部材18を設けるので、組立が容易であり、支持脚5の高さを低く保つことができるという利点がある。
【0045】
なお、上記の説明では、弾性部材としてコイルばね11を用いた例で説明したが、他種類のばね、例えば、皿ばねや板ばねも好適に用いることができる。また、合成ゴムやエラストマーなどのゴム弾性を有する部材を用いてもよく、粘弾性を有するものであってもよい。
また、上記の説明では、コイルばね11を圧縮して用いる例で説明したが、引張側で用いてもよいことは言うまでもない。その場合、プレロードも引張荷重として導入する。
【0046】
また、上記の説明では、弾性部材として、線形ばねであるコイルばね11を用いた例で説明したが、衝撃力を吸収できれば、変位荷重曲線の傾きが変位により異なる非線形ばねを用いたものであってもよい。この場合、ヒステリシスが発生するので、エネルギーの消費が行われ、振動減衰効果が高まるという利点がある。
【0047】
また、上記の説明では、パーティクルボード2を4本の根太3にまたがるように配列した例で説明したが、配列方法は設計上必要な床部の剛性によって、適宜の配列を採用できることはいうまでもない。例えば、5本の根太3にまたがるものなどであってもよい。
また、パーティクルボード2の大きさも一例であって、上記の寸法、規格などに限定されるものではない。
【0048】
また、上記の説明では、パーティクルボード2上からの高さ調整を行うための貫通孔3bを露出させるために、パーティクルボード2の継ぎ目にあたる位置に支持脚5を配置した例で説明したが、パーティクルボード2に貫通孔を設けて継ぎ目以外の場所に支持脚5を配置してもよい。そうすれば、高さ調整時の作業性を損ねることなく、より多くの支持脚5を配置することができる。
【0049】
また、上記の説明では、拘束金物10の筒状部10aは、円筒形状として説明したが、筒状であれば、多角形断面を有する筒状部であってもよい。その場合、上部プレート8、17なども少なくとも一部をその断面形状に合わせて嵌合する形状を採用することが好ましい。そうすれば、そのような嵌合形状が上部プレート8、上部プレート17の回り止めとなるため、特に回り止め機構を設ける必要がなく、組立がさらに容易となるという利点がある。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、請求項1に記載の発明では、プレロード以下の衝撃では床下地部材が沈み込むことがなく、プレロード以上の衝撃を受けた場合に弾性部材が弾性変形して床下地部材が沈み込んで衝撃エネルギーを吸収するので、日常の歩行などでは歩行感に悪影響を与えるような床下地部材の上下動がなく、重量床衝撃が生じた際にその衝撃を吸収することができるという効果を奏する。
また、床下地部材が受けた衝撃が根太を支持する複数の支持脚に分散されるから、支持脚の設置数を少なくしたり、個々の衝撃吸収性能を小さくしたりしても、効果的に重量床衝撃音を低減でき、その結果、支持脚の設置などの施工が容易となるという効果を奏する。
【0051】
請求項2に記載の発明では、弾性部材では吸収できないプレロード以下の衝撃力を減衰することができるから、軽量床衝撃音も低減することができるという効果を奏する。
【0052】
請求項3に記載の発明では、支柱部材を軸方向回りに回転することにより、それぞれが螺合された根太受け部材と、弾性部材の端部または押圧部材とを同時にそれぞれ反対方向に駆動力を与えて、低トルクで根太の高さ調整を行うことができるという効果を奏する。また、一つの螺進方向を有するねじにより移動させる場合と異なり、スラスト荷重を受ける回転支承を省略できるという効果を奏する。
【0053】
請求項4に記載の発明では、拘束部材を、筒状部の開口に爪状の係止部を有する簡素な形状で形成するので、製作および組立が容易となるという効果を奏する。
【0054】
請求項5に記載の発明では、根太と床下地部材との複合構造の曲げ剛性の偏りを低減することができ、床下地部材にかかる衝撃力を複数の根太に分散することができるから、比較的大きな衝撃力を受けても床衝撃音を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る乾式二重床の概略構成を説明するための斜視説明図である。
【図2】同じく乾式二重床の概略構成を説明するための平面視の概略説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る乾式二重床の構成を説明するための図2におけるD−D断面図およびその平面視断面図である。
【図4】支持脚に設けられた弾性部材の変位荷重特性を説明するためのグラフである。
【図5】本実施形態の変形例に係る支持脚を説明するための正面断面図および平面断面図である。
【符号の説明】
1 床スラブ(躯体)
2 パーティクルボード(床下地部材)
2a、2b 継ぎ目
3 根太
3a 貫通孔
5、15 支持脚
6 受け金物(根太受け部材)
7 支持ボルト(支柱部材)
7a 上端ねじ部
7b 下端ねじ部
8、17 上部プレート(押圧部材)
10、16 拘束金物(拘束部材)
10a 筒状部
10b 上側拘束爪(係止部)
11 コイルばね(弾性部材)
12 防振シート(防振部材)
18 減衰部材
30 乾式二重床
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式二重床の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅性能表示制度の導入などを受け、集合住宅における床の遮音性能に対する関心が高まっている。特に重量床衝撃音に対しては、構造躯体そのものの性能が最終的な性能に大きく影響するものの、最近多く見られる乾式二重床の影響も少なくない。
従来、乾式二重床は、支持脚先端にゴムなどを設けて躯体上に配置するものが一般的に使用されている。このような乾式二重床は、重量床衝撃を受けた場合、衝撃がほとんど減衰することなく躯体に伝達されるので床の遮音性能が劣る傾向にあった。
そこで、軟らかいゴムを用いて衝撃吸収能力を増大させたり、特殊なディテールを採用したりする製品が提案されている。例えば、特許文献1には、あらかじめプレロードを導入したばね部材を用いた支持装置によって床部材を支持することにより、大きな衝撃力を受けたときに支持装置の弾性部材が圧縮されて衝撃力を吸収する緩衝床構造が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−125464号公報(第2−3頁、図3−7)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の乾式二重床の支持構造では、以下のような問題があった。
支持脚の先端に軟らかいゴムを設けた乾式二重床の場合、ゴムの変形範囲で衝撃を吸収するので、衝撃力の吸収範囲を拡大するために、ゴムを非常に軟らかくして変形量を大きくすることも考えられるが、そうすると低荷重でも床が上下するようになるから、例えば、日常生活における歩行移動などでも床が上下に弾み、良好な歩行感が得られないという問題がある。
また特許文献1に記載の技術では、重量床衝撃音は低減されるものの、平面方向に分割された床パネル2ごとに支持装置4で支える構成をとっているので、衝撃吸収性能を高めようとすれば、それぞれの床パネル2に配置する支持装置4の数を増やす必要があった。したがって、遮音性能を向上させようとすれば、調達コストが増大し施工の手間がかかる高コストの乾式二重床となってしまうものである。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、日常の使用範囲では床の上下動がほとんどなくて良好な歩行感が得られ、大きな衝撃力が加わった場合には衝撃吸収機能を発揮して床衝撃音の発生を抑制し、しかも容易に施工できる乾式二重床の支持構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、床下地部材と、該床下地部材を躯体の上方の所定高さに保持するための支持脚とを備え、該支持脚が弾性部材と該弾性部材により鉛直方向に支持された支柱部材とを有する乾式二重床の支持構造であって、前記弾性部材が、鉛直上方への弾性復元力を生ぜしめる所定のプレロードを導入された状態で、鉛直上方への変位を規制する拘束部材に、前記弾性部材の端部または該端部で押圧される押圧部材を介して係止されることにより、前記支柱部材からの荷重に応じて鉛直方向に可動に保持され、前記床下地部材が、その裏面の所定方向に延設された根太を介して、複数の前記支持脚上に支持された構成とする。
この発明によれば、鉛直上方に弾性復元力を生ぜしめる所定のプレロードを導入された弾性部材により床下地部材が支持されるので、プレロード以下の衝撃では床下地部材が沈み込むことがなく、プレロード以上の衝撃を受けた場合に弾性部材が弾性変形して床下地部材が沈み込んで衝撃エネルギーを吸収する。また、床下地部材は複数の支持脚上に根太を介して支持されるので、床下地部材が受けた衝撃は根太を支持する複数の支持脚に分散される。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の乾式二重床の支持構造において、前記支持脚が、前記プレロード以下の荷重による振動を減衰する防振部材を介して前記躯体上に設置された構成とする。
この発明によれば、防振部材を介して躯体上に支持脚を設置することにより、プレロード以下の衝撃力を受けてもそれによる振動を減衰することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の乾式二重床の支持構造において、前記支柱部材が、上下方向の端部に互いに螺進方向の異なる上端ねじ部と下端ねじ部とを備え、前記上端ねじ部が、前記根太の下面側に設けられた根太受け部材と螺合され、前記下端ねじ部が、前記弾性部材の端部または前記押圧部材と螺合され、前記支柱部材を軸方向回りに回転することにより、前記根太受け部材の保持高さの調整が可能とされた構成とする。
この発明によれば、支柱部材に互いに螺進方向が異なる上端ねじ部と下端ねじ部が形成されているから、支柱部材を軸方向回りに回転することにより、それぞれが螺合された根太受け部材と、弾性部材の端部または押圧部材とを同時にそれぞれ反対方向に駆動力を与えて、低トルクで根太の高さ調整を行うことができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の乾式二重床の支持構造において、前記拘束部材が、内側に前記弾性部材の端部または前記押圧部材を収容して鉛直方向の移動を案内する筒状部と、該筒状部の上側の開口において内径側に部分的に突出する爪状の係止部とを備え、該係止部によって、前記弾性部材の端部または前記押圧部材の鉛直上方への変位を規制する。
この発明によれば、拘束部材を、筒状部の開口に爪状の係止部を有する簡素な形状で形成するので、製作および組立が容易となる。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の乾式二重床の支持構造において、前記床下地部材が、長手方向に複数の前記根太にまたがる矩形状の板材を複数配列した構成からなり、該複数の板材の長手方向の継ぎ目が、根太上で該根太の延設方向に隣接しないように配列された構成とする。
この発明によれば、根太上には床下地部材間の継ぎ目が連続することがないので、根太と床下地部材との複合構造の曲げ剛性の偏りを低減することができ、床下地部材にかかる衝撃力を複数の根太に分散することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明に係る乾式二重床の支持構造の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同一部材または相当する部材には同一の符号を付し、共通部分の説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る乾式二重床30の概略構成を説明するための斜視説明図である。図2は、同じく乾式二重床30の概略構成を説明するための平面視の概略説明図である。図3(a)は図2におけるD−D断面図である。図3(b)は図3(a)におけるE−E断面図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る乾式二重床30の概略構成は、床材4、パーティクルボード2(床下地部材)、根太3、支持脚5および防振シート12(防振部材、図3(a)参照)からなる。そして、床スラブ1(躯体)上に防振シート12を介して支持脚5が配置され、その上部に根太3が固定され、根太3上に床部を構成するパーティクルボード2および床材4が配置されて、床部が床スラブ1に対して所定高さに支持されているものである。
【0013】
まず床部の構成について説明する。
パーティクルボード2は、床部の下地材として適宜の曲げ強度を有する厚さを備え、A×Bの矩形状に加工されている。例えば、住宅用としては、厚さ20mm、A=606mm(約600mm)、B=1818mm(約1800mm)などの寸法が採用できる。
根太3は、パーティクルボード2の下面に配設された矩形断面の根太材からなり、例えば、C=612mmのピッチで平行に揃えて床スラブ1と平行に複数本配置されている。根太材としては、例えば、住宅用としては、2×4材や2×6材などの木材を好適に用いることができる。
また根太3には、支持脚5の配設ピッチに応じて長手方向にわたって根太3の上下方向に複数の貫通孔3aが設けられている。そして、支持脚5を下面側に固定するために、貫通孔3aに後述する受け金物6(根太受け部材)が取り付けられている。その取付のため、本実施形態では、貫通孔3aの配設ピッチは、624mmとパーティクルボード2の短手方向長さよりわずかに長くしている。なお、貫通孔3aの水平方向の位置は、根太3の短手方向の幅の略中央に設けられる。
【0014】
図1、2に示したように、パーティクルボード2(図2では2点鎖線で表示)は、このような根太3の上にパーティクルボード2の長手方向が根太3の延設方向と交差する姿勢で、千鳥状に規則正しく配列されている。本実施形態では、上記の寸法B、Cの関係から、一つのパーティクルボード2が4本の根太3にわたって固定され、長手方向に隣り合う他のパーティクルボード2との間には、約18mmの隙間を有する継ぎ目2aを設けて固定されている。そして、根太3の延設方向には、他のパーティクルボード2との間に約12mmの隙間を有する継ぎ目2bを設けて固定されている。
この配列は千鳥状とされ、継ぎ目2aの位置が隣りの根太3上に形成されるように順次ずらされている。その結果、一つの根太3上には、継ぎ目2aが連続して形成されることはなく、本実施形態の場合、2つおきに形成されている。
パーティクルボード2の固定手段は、どのようなものでもよく、例えば、接着剤、くぎ、ねじなど適宜の手段により固定される。
パーティクルボード2の上面には、下地合板や化粧板などにより、床部の表層を形成する床材4が敷設されている。
【0015】
なお、継ぎ目2a、2bの間の隙間は、パーティクルボード2の配設誤差を吸収する余裕を持たせるように設定することが好ましい。少なくとも、後述する高さ調整を行うために、貫通孔3a内に、例えば、ドライバなどの高さ調整工具を差し入れて回転させる隙間などが確実に形成される寸法とする。
【0016】
次に、支持脚5および支持脚5による床部の支持構造について、主として図3を参照して説明する。
支持脚5の概略構成は、拘束金物10(拘束部材)、上部プレート8(押圧部材)、下部プレート9、コイルばね11(弾性部材)および支持ボルト7(支柱部材)からなる。
【0017】
拘束金物10は、鋼管などの管状部材からなる筒状部10aと、その上下の開口部において、筒状部10aの内径側に水平方向に突き出された上側拘束爪10b(係止部)および下側拘束爪10cとからなる。上側拘束爪10b、下側拘束爪10cは、下側拘束爪10cの開口部断面積に比べて小さい爪状部材であり、本実施形態では、開口部の円周方向の略等分位置に3個ずつ設けられている(図3b)参照)。これらは、例えば、別部材を開口部に溶接やボルト締めなどによって固定したり、筒状部10aの側部の一部を折り曲げたりして形成することができる。小さな爪状部材で係止部を設けることにより、絞り型などが不要となり、安価で容易に形成することができる。
【0018】
上部プレート8は、拘束金物10の筒状部10aの内径に沿って上下動可能な略円状の外形を有する水平方向に配置された押圧板部8bと、押圧板部8bの中心部に鉛直下方に延びる管部とからなり、管部の内径には、雌ねじ部8aが形成されている。
【0019】
なお、本実施形態では、上部プレート8は、後述するコイルばね11により押圧力を受けるために、拘束金物10に組み込まれて上下動する際にも摩擦力によって、筒状部10aの周方向に回転しないものであるが、より確実に回転を防止するために、上部プレート8および拘束金物10のそれぞれに回り止め機構を設けてもよい。例えば、筒状部10aの内面に軸方向にわたって突起を設けて押圧板部8bの外周部にその突起に係止可能な切欠き溝を設けるといった機構や、押圧板部8bに貫通孔を設け、拘束金物10の軸方向の上下にその貫通孔に挿通可能なガイド軸を設置するといった機構が採用することができる。
あるいは、押圧部材と弾性部材とを一体化して回り止め機構を省略してもよい。
【0020】
下部プレート9は、拘束金物10の筒状部10aの内部に収納可能な円板状の板部材であり、下側拘束爪10cに固定したり、下側拘束爪10cの上部に押圧したりして、抜け止めされるとともに、拘束金物10の下側の開口部を少なくとも外周から所定の中間部まで覆うものである。
【0021】
コイルばね11は、雌ねじ部8aの形成された管部の外径より大きい内径を備え、筒状部10aの内径より小さい外径を備える圧縮コイルばねである。
そして、支持脚5の組立状態では、拘束金物10の内部に組み込まれた上部プレート8の押圧板部8bと下部プレート9とによって、ばね伸縮方向の端部がそれぞれに係止され、所定のばね拘束長に圧縮された状態で挟持されている。
ここで、所定のばね拘束長とは、上側拘束爪10bと下側拘束爪10cとの軸方向の内寸法から押圧板部8bおよび下部プレート9の厚さを引いた長さである。
【0022】
コイルばね11の自然長は、ばね拘束長まで圧縮する荷重が所定のプレロードとなるように設定される。このプレロードは、それより大きい重量床衝撃力を受けたときにコイルばね11がさらに圧縮されて衝撃エネルギーを吸収し、それ以下の衝撃力ではコイルばね11が変形せず、コイルばね11により支持される上方のパーティクルボード2が鉛直方向に変位しないようにするために導入するものである。具体的には、例えば、日常頻繁に行う床上の歩行などによる衝撃力よりも大きく、子どもなどが床上で飛び跳ねたときの衝撃力よりは小さくするといった設定などを採用することができる。さらに衝撃の吸収の程度は、例えば、下階や隣接する部屋において衝撃力による床衝撃音が所定の騒音レベル以下となるようにするといった基準などにより決めることができる。
【0023】
支持ボルト7は、支持脚5に取り付けたときの上下方向に応じて、ボルト軸の両端部にそれぞれ上端ねじ部7a、下端ねじ部7bが設けられた両側ボルト部材である。そして、少なくとも上端ねじ部7aの先端部には、支持ボルト7を軸方向回りに回転するために、例えば、六角穴溝、十字溝や、軸中心を通る平行溝などを設けられている。
上端ねじ部7aと下端ねじ部7bとは、同一種類で、巻き方向が互いに異なる雄ねじが形成されている。そのため、上端ねじ部7aおよび下端ねじ部7bを、回り止めされて軸方向には可動とされた雌ねじにそれぞれ螺合して、支持ボルト7を軸回りの一方向に回転すると、それぞれの雌ねじの軸方向の位置が互いに逆方向に同距離だけ変位させることができるようになっている。
そして、支持ボルト7は、下端ねじ部7bが雌ねじ部8aに螺合され、上端ねじ部7aを上部プレート8の上側に突出して保持されている。
【0024】
以上に説明した支持脚5は、例えば、上部プレート8、下部プレート9に組込み時に上側拘束爪10b、下側拘束爪10cを避ける切欠きを設けておき、拘束金物10内に下部プレート9を落とし込んで、下側拘束爪10cに係止し、その上からコイルばね11を落とし込み、上部プレート8をコイルばね11の上端を押圧しながら拘束金物10内に押し込んでから上部プレート8を周方向に回転して上側拘束爪10bに係止させ、下端ねじ部7bを雌ねじ部8aに螺合する、といった工程で製作することができる。
【0025】
また、例えば、上側拘束爪10b、下側拘束爪10cのいずれかを形成する前に、上部プレート8と下部プレート9とでコイルばね11を挟持して拘束金物10内に配置し、所定のばね拘束長に圧縮するとともに、未形成の上側拘束爪10bまたは下側拘束爪10cをプレス加工により形成する、といった工程でも製作することができる。
【0026】
いずれの場合も、筒状部10aに爪状部材で係止部を設けるという簡素な拘束金物10を採用することで製作が容易となり、ボルト締結などを用いずにきわめて容易に組み立てることができるという利点がある。
【0027】
防振シート12は、支持脚5が上方から受ける衝撃力などによる振動を減衰するとともに、固体伝搬音を低減するために、下側拘束爪10cまたは下部プレート9の下面あるいはその両方と、床スラブ1との間に配置された防振部材である。防振シート12の材質は、変形時にエネルギー消費したり、固体伝搬振動の透過率を低減したりすることにより、振動減衰、衝撃吸収の作用を有するものであればどのようなものでもよいが、例えばシリコンゲル、合成または天然のゴム材料、エラストマーなどの合成樹脂材料、粘弾性体材料などを好適に用いることができる。形状はどんな形状でもよいが、本実施形態では、乾式二重床30の高さをコンパクトなものとし、設置が容易なシート状に加工して用いている。
【0028】
なお、防振シート12は、材質と形状を適宜選定し、振動減衰効果、衝撃吸収効果が、主としてコイルばね11に導入されるプレロード以下の荷重において有効となるようにする。すなわち、プレロード以下の軽荷重において防振シート12が十分変形し、エネルギーが有効に消費されるような材質と形状を選定する。また、衝撃力の周波数領域で言えば、軽量床衝撃において卓越する周波数領域を減衰することが好ましい。このような周波数領域は、一般には重量床衝撃に比べてより高周波側となる。
【0029】
ここで、上端ねじ部7aが螺合される受け金物6について説明する。
受け金物6は、貫通孔3aに外径が嵌合し、内径側に下端ねじ部7bと螺合する雌ねじ部6aが設けられた管状部材の一方の開口部にフランジ部6bを設けた部材である。
根太3とは、図3(a)に示したように、根太3の下方から、管状部を貫通孔3aに挿入し、フランジ部6bを根太3の下面に当接させた状態で固定されている。
【0030】
次に、本実施形態に係る乾式二重床30の支持構造の作用について説明する。
まず、プレロードが導入されたコイルばね11の動作について説明する。図4は、支持脚5に設けられたコイルばね11の変位荷重特性を説明するためのグラフである。横軸は、コイルばね11の鉛直変形、すなわち基準位置からの鉛直変位を示しており、縦軸は、コイルばね11が押圧板部8bを押圧する荷重を示している。
【0031】
コイルばね特性曲線22は、コイルばね11単体の変位荷重曲線であり、所定傾きを有する直線になっている。
変位荷重曲線21は、支持脚5に設けられたコイルばね11の変位荷重曲線であり、不感領域21a、弾性領域21b、非弾性領域21cが連続した曲線である。
符号P0は、一つの支持脚5あたりにかかる上部プレート8より上方の諸部材の荷重を表す初期荷重を示す。
符号P1(P1>P0)は、コイルばね11に導入されるプレロードを示す。
【0032】
符号P2は、弾性限界荷重を表す。弾性限界荷重P2は、コイルばね11が非線形変形を開始する荷重である。本実施形態では、P2以上の荷重ではすべて鉛直変形がδ1となる非線形となっている。例えば、コイルばね11のコイル間が密接してそれ以上の変形ができなくなるというような場合に相当する。また、拘束金物10に適宜のストッパを設けても同じ状態となる。
このような弾性限界荷重P2は、例えば地震時の落下物などの衝撃により床部が大きくたわみ、許容変形量を越えて損傷するなどといったことを防止するもので、床部の変形が許容される範囲でなるべく大きく設定する。
【0033】
不感領域21aは、コイルばね11に作用する静的または動的荷重が0からP1までの範囲の特性で、荷重変化によらず鉛直変位が0となる領域である。
弾性領域21bは、コイルばね11に作用する荷重がP1からP2までの範囲で、荷重と鉛直変形が比例する領域である。弾性領域21bのグラフ上の傾きはコイルばね特性曲線22の傾きと同一となっている。
【0034】
このような変位荷重曲線21の具体例として、例えば、P1=490N、P2=980N、δ1=4mmとなるような特性を採用することができる。このような条件において、コイルばね11のばね拘束長を約30〜40mm程度とし、床スラブ1から根太3の下面まで約60mm程度の薄型の支持脚5を設計することができる。
【0035】
変位荷重曲線21のような特性によれば、本実施形態の支持脚5に設けられたコイルばね11が、プレロードP1と弾性限界荷重P2との間の荷重で弾性変形するから、この範囲の衝撃力が加わったときに衝撃が吸収されて、床スラブ1に伝達される衝撃荷重が小さくなる。その結果、重量床衝撃音が低減されるという利点がある。
一方、衝撃力がプレロードP1以下のときは、コイルばね11は変形せず、支持脚5の支持高さも変わらないから、床部は、床部単体で可能な撓み以上に沈み込むことがない。その結果、例えば、日常の歩行などで生じる衝撃では、床部がほとんど上下動することがなく、床部が大きく撓むことによる歩行時の不快感や歩行しにくさなどが発生しないという利点がある。
【0036】
プレロードP1以下の衝撃力は、コイルばね11により吸収されないが、本実施形態では、支持脚5と床スラブ1との間に防振シート12を設けているので、防振シート12により減衰されてから床スラブ1に伝搬する。したがって、本実施形態によれば、プレロード以下の衝撃力による軽量床振動音も低減されるものである。
【0037】
また、本実施形態では、複数の支持脚5で根太3を支持して、その上にパーティクルボード2を固定する構成としている。そのため、床部全体を高剛性なものとすることができるから、床部に作用する衝撃が根太3を介して、広範囲の支持脚5に分散して伝搬される。このため、多数の支持脚5により衝撃力を吸収するので、個々の支持脚5の可動範囲を小さくしつつ、比較的大きな衝撃力まで吸収することができるという利点がある。その結果、支持脚5の配置個数を低減できるから、支持脚5の調達コストを低減することができるという利点がある。
また、支持脚5の上下の可動範囲を小さくできるから、床部の支持高さを低減し、コンパクトな乾式二重床30とすることができるという利点がある。
【0038】
さらに、本実施形態では、パーティクルボード2を千鳥状に並列して、一つの根太3の延設方向に継ぎ目2aが連続しないようにしているので、継ぎ目2aが連続することにより、根太3とパーティクルボード2との一体性が弱まるという剛性の偏りが分散されるようにしている。その結果、床部の剛性が比較的均一になり、衝撃力を比較的均一に分散することができるという利点がある。
【0039】
また、本実施形態では、根太3に貫通孔3bを設け、継ぎ目2a、2bの間に貫通孔3bが露出して、上方から支持ボルト7を回転させるための工具を挿入することができるようになっている。したがって、パーティクルボード2の上から支持ボルト7を容易に回転させることができ、根太3と上部プレート8との間の高さ調整を行うことできる。したがって、概略の高さを合わせて、パーティクルボード2を敷設した後に、細かくレベル調整作業を行うことができるから、施工および高さ調整の効率を向上することができるという利点がある。
【0040】
支持ボルト7には、螺進方向の異なる上端ねじ部7a、下端ねじ部7bが設けられている。
従来行われているねじ方式の調整は、一つの螺進方向を有するねじで行われており、そのため、ねじの設けられた軸に少なくとも一箇所は荷重を受けながら回転する回転支承を設ける必要があるが、軽荷重で調整しようとすれば高価な軸受を用いる必要があり、安価な装置を得ようとすればスラスト荷重による摩擦力のため調整作業に大きな労力を費やす必要があった。
本実施形態によれば、きわめて簡素な構成でありながら、両側ともねじ駆動されるので、比較的低荷重で調整作業を行うことができるという利点がある。
【0041】
次に、本実施形態に係る変形例について説明する。
図5(a)は、本実施形態の変形例に係る支持脚15を説明するための正面断面図である。図5(b)は、図5(a)におけるF−F断面図である。
本変形例の支持脚15は、上記に説明した支持脚5の拘束金物10、上部プレート8に代えて、それぞれ拘束金物16(拘束部材)、上部プレート17(押圧部材)を用い、新たに減衰部材18を追加してなるものである。
【0042】
拘束金物16は、上部プレート17を回り止めするために、拘束金物10において、筒状部10aの内面側に、鉛直方向に延びる回り止め突起10dを設けたものである。
上部プレート17は、上部プレート8の雌ねじ部8a、押圧板部8bに略対応する雌ねじ部17a、押圧板部17bとを備え、押圧板部17bの外周部に回り止め突起10dに嵌合する回り止め溝17cを形成してなるものである。
これらは押圧部材の回り止めの一例となっている。
【0043】
減衰部材18は、コイルばね11の外周を取り囲む位置において押圧板部17bと下部プレート9とで挟持され、押圧板部17bの鉛直方向の移動に追従して鉛直方向に伸縮することにより減衰力を作用させる部材である。
例えば、適宜の粘弾性体からなる防振ゴムをばね拘束長よりもわずかに長い高さを有する円筒状に成形した部材を採用することができる。また、所定方向に伸縮してエネルギーを消費するオイルダンパー、粘弾性ダンパーなどからなる制振装置を、鉛直方向に伸縮可能な状態で押圧板部17bと下部プレート9とに固定してもよい。
【0044】
減衰部材18によれば、衝撃力により押圧板部17bが押し下げられる変位が生じると、減衰力が作用するため、振動が減衰される。したがって、床部の振動が低減されるので、騒音の発生が抑制される。
本変形例によれば、コイルばね11の端部を押圧する押圧板部17bと固定部材9との間に減衰部材18を設けるので、組立が容易であり、支持脚5の高さを低く保つことができるという利点がある。
【0045】
なお、上記の説明では、弾性部材としてコイルばね11を用いた例で説明したが、他種類のばね、例えば、皿ばねや板ばねも好適に用いることができる。また、合成ゴムやエラストマーなどのゴム弾性を有する部材を用いてもよく、粘弾性を有するものであってもよい。
また、上記の説明では、コイルばね11を圧縮して用いる例で説明したが、引張側で用いてもよいことは言うまでもない。その場合、プレロードも引張荷重として導入する。
【0046】
また、上記の説明では、弾性部材として、線形ばねであるコイルばね11を用いた例で説明したが、衝撃力を吸収できれば、変位荷重曲線の傾きが変位により異なる非線形ばねを用いたものであってもよい。この場合、ヒステリシスが発生するので、エネルギーの消費が行われ、振動減衰効果が高まるという利点がある。
【0047】
また、上記の説明では、パーティクルボード2を4本の根太3にまたがるように配列した例で説明したが、配列方法は設計上必要な床部の剛性によって、適宜の配列を採用できることはいうまでもない。例えば、5本の根太3にまたがるものなどであってもよい。
また、パーティクルボード2の大きさも一例であって、上記の寸法、規格などに限定されるものではない。
【0048】
また、上記の説明では、パーティクルボード2上からの高さ調整を行うための貫通孔3bを露出させるために、パーティクルボード2の継ぎ目にあたる位置に支持脚5を配置した例で説明したが、パーティクルボード2に貫通孔を設けて継ぎ目以外の場所に支持脚5を配置してもよい。そうすれば、高さ調整時の作業性を損ねることなく、より多くの支持脚5を配置することができる。
【0049】
また、上記の説明では、拘束金物10の筒状部10aは、円筒形状として説明したが、筒状であれば、多角形断面を有する筒状部であってもよい。その場合、上部プレート8、17なども少なくとも一部をその断面形状に合わせて嵌合する形状を採用することが好ましい。そうすれば、そのような嵌合形状が上部プレート8、上部プレート17の回り止めとなるため、特に回り止め機構を設ける必要がなく、組立がさらに容易となるという利点がある。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、請求項1に記載の発明では、プレロード以下の衝撃では床下地部材が沈み込むことがなく、プレロード以上の衝撃を受けた場合に弾性部材が弾性変形して床下地部材が沈み込んで衝撃エネルギーを吸収するので、日常の歩行などでは歩行感に悪影響を与えるような床下地部材の上下動がなく、重量床衝撃が生じた際にその衝撃を吸収することができるという効果を奏する。
また、床下地部材が受けた衝撃が根太を支持する複数の支持脚に分散されるから、支持脚の設置数を少なくしたり、個々の衝撃吸収性能を小さくしたりしても、効果的に重量床衝撃音を低減でき、その結果、支持脚の設置などの施工が容易となるという効果を奏する。
【0051】
請求項2に記載の発明では、弾性部材では吸収できないプレロード以下の衝撃力を減衰することができるから、軽量床衝撃音も低減することができるという効果を奏する。
【0052】
請求項3に記載の発明では、支柱部材を軸方向回りに回転することにより、それぞれが螺合された根太受け部材と、弾性部材の端部または押圧部材とを同時にそれぞれ反対方向に駆動力を与えて、低トルクで根太の高さ調整を行うことができるという効果を奏する。また、一つの螺進方向を有するねじにより移動させる場合と異なり、スラスト荷重を受ける回転支承を省略できるという効果を奏する。
【0053】
請求項4に記載の発明では、拘束部材を、筒状部の開口に爪状の係止部を有する簡素な形状で形成するので、製作および組立が容易となるという効果を奏する。
【0054】
請求項5に記載の発明では、根太と床下地部材との複合構造の曲げ剛性の偏りを低減することができ、床下地部材にかかる衝撃力を複数の根太に分散することができるから、比較的大きな衝撃力を受けても床衝撃音を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る乾式二重床の概略構成を説明するための斜視説明図である。
【図2】同じく乾式二重床の概略構成を説明するための平面視の概略説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る乾式二重床の構成を説明するための図2におけるD−D断面図およびその平面視断面図である。
【図4】支持脚に設けられた弾性部材の変位荷重特性を説明するためのグラフである。
【図5】本実施形態の変形例に係る支持脚を説明するための正面断面図および平面断面図である。
【符号の説明】
1 床スラブ(躯体)
2 パーティクルボード(床下地部材)
2a、2b 継ぎ目
3 根太
3a 貫通孔
5、15 支持脚
6 受け金物(根太受け部材)
7 支持ボルト(支柱部材)
7a 上端ねじ部
7b 下端ねじ部
8、17 上部プレート(押圧部材)
10、16 拘束金物(拘束部材)
10a 筒状部
10b 上側拘束爪(係止部)
11 コイルばね(弾性部材)
12 防振シート(防振部材)
18 減衰部材
30 乾式二重床
Claims (5)
- 床下地部材と、該床下地部材を躯体の上方の所定高さに保持するための支持脚とを備え、該支持脚が弾性部材と該弾性部材により鉛直方向に支持された支柱部材とを有する乾式二重床の支持構造であって、
前記弾性部材が、鉛直上方への弾性復元力を生ぜしめる所定のプレロードを導入された状態で、鉛直上方への変位を規制する拘束部材に、前記弾性部材の端部または該端部で押圧される押圧部材を介して係止されることにより、前記支柱部材からの荷重に応じて鉛直方向に可動に保持され、
前記床下地部材が、その裏面の所定方向に延設された根太を介して、複数の前記支持脚上に支持されたことを特徴とする乾式二重床の支持構造。 - 請求項1に記載の乾式二重床の支持構造において、
前記支持脚が、前記プレロード以下の荷重による振動を減衰する防振部材を介して前記躯体上に設置されたことを特徴とする乾式二重床の支持構造。 - 請求項1または2に記載の乾式二重床の支持構造において、
前記支柱部材が、
上下方向の端部に互いに螺進方向の異なる上端ねじ部と下端ねじ部とを備え、
前記上端ねじ部が、前記根太の下面側に設けられた根太受け部材と螺合され、
前記下端ねじ部が、前記弾性部材の端部または前記押圧部材と螺合され、
前記支柱部材を軸方向回りに回転することにより、前記根太受け部材の保持高さの調整が可能とされたことを特徴とする乾式二重床の支持構造。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の乾式二重床の支持構造において、
前記拘束部材が、内側に前記弾性部材の端部または前記押圧部材を収容して鉛直方向の移動を案内する筒状部と、該筒状部の上側の開口において内径側に部分的に突出する爪状の係止部とを備え、
該係止部によって、前記弾性部材の端部または前記押圧部材の鉛直上方への変位を規制することを特徴とする乾式二重床の支持構造。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の乾式二重床の支持構造において、
前記床下地部材が、長手方向に複数の前記根太にまたがる矩形状の板材を複数配列した構成からなり、
該複数の板材の長手方向の継ぎ目が、根太上で該根太の延設方向に隣接しないように配列されたことを特徴とする乾式二重床の支持構造。
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-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002378410A patent/JP2004211289A/ja active Pending
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