JP2004211034A - 含フッ素樹脂材料 - Google Patents

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Nobuhiko Tsuda
暢彦 津田
Nobuo Fukita
延夫 吹田
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】透明性に優れかつガラス転移温度Tgが高く、したがって各種の塗料組成物または成形用組成物への使用に好適な含フッ素樹脂材料を提供する。
【解決手段】(a)C9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
(b)ヘキサフルオロプロピレン由来の構造単位、および
(c)該飽和カルボン酸ビニルエステル(a)およびヘキサフルオロプロピレン
(b)と共重合可能な官能基を有しない単量体由来の構造単位
からなり、構造単位(a)を30〜95モル%、構造単位(b)を4〜55モル%、構造単位(c)を0〜30モル%、および構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上有する熱可塑性含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘキサフルオロプロピレンと炭素数9の飽和脂肪酸のエステルを主要成分とする含フッ素樹脂を含み、被覆材料や成形材料、あるいは各種塗料材料として有用な透明性に優れ、かつガラス転移温度Tgが高い含フッ素樹脂材料に関する。
【0002】
さらには、より高分子量化でき、また均一組成の含フッ素共重合体を製造する方法にも関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、式(I):
CH=CH−O−CO−CR (I)
(式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも水素原子または飽和アルキル基であって、R、RおよびRの炭素数の合計が7である)で示される飽和カルボン酸ビニルエステル(以下、「C9カルボン酸ビニルエステル」という)は各種の単量体と共重合可能であり、共重合体に耐熱性や耐水性、紫外線耐性を与える構造単位として使用されている。
【0004】
特許文献1には、テトラフルオロエチレン(TFE)/C9カルボン酸ビニルエステル/水酸基含有ビニルモノマー共重合体が開示されている。ただ、この特許文献1では、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)はTFEに比べ反応性が低く、C9カルボン酸ビニルエステルと高収率で共重合することは困難であると記載されている。
【0005】
特許文献2には、フルオロオレフィン/C9カルボン酸ビニルエステル/水酸基含有ビニルモノマーの共重合体と粉末被覆用の架橋剤からなる粉体塗料組成物が記載されており、フルオロオレフィンとしてTFE、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などと共にHFPも例示されている。しかし、フルオロオレフィンを共重合する理由は、耐候性、非粘着性の発現であり、具体的に開示されている含フッ素共重合体は重合反応性に富むTFE系の共重合体であって、水酸基含有ビニルモノマーを30モル%を超えて含有する共重合体である。もちろん、HFPの特徴である透明性に優れたHFP系共重合体については具体的な示唆はない。
【0006】
特許文献3には、TFE、CTFEおよびHFPなどのフルオロオレフィンと不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを必須とする含フッ素共重合体と水酸基含有共重合体とのブレンド物が粉体塗料用の樹脂成分として取り扱い性、貯蔵安定性、耐熱黄変性に優れたものであることが記載されている。含フッ素共重合体の他の成分として、C9カルボン酸ビニルエステルを含む飽和カルボン酸ビニルエステルやビニルエーテル、オレフィンなどが任意成分として多数例示されている。しかし、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルとを70モル%以上含む共重合体は、具体的には記載されておらず、もちろん、透明性の向上やガラス転移温度の高い共重合体の製造といった視点からの教示はない。
【0007】
特許文献4に溶剤型の塗料組成物用の樹脂に有用な含フッ素共重合体が記載されており、その共重合体として、HFPやCTFEなどの含フッ素ビニル単量体とジエン系単量体を必須とし、任意成分としてC9カルボン酸ビニルエステルを含むビニル単量体や官能基を含有する単量体を共重合した含フッ素共重合体の記載がある。しかし、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルとを70モル%以上含む共重合体は、具体的には記載されておらず、もちろん、透明性の向上やガラス転移温度の高い共重合体の製造といった視点からの教示はない。
【0008】
特許文献5にも溶剤型の塗料組成物用の樹脂に有用な含フッ素共重合体が記載されており、その共重合体として、HFPやCTFEなどの含フッ素ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体を必須とし、任意成分としてC9カルボン酸ビニルエステルを含むビニル単量体やオレフィンなどを共重合した含フッ素共重合体の記載がある。しかし、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルとを70モル%以上含む共重合体は、具体的には記載されておらず、もちろん、透明性の向上やガラス転移温度の高い共重合体の製造といった視点からの教示はない。
【0009】
特許文献6にはHFPとカルボキシル基含有ビニル単量体を必須とする含フッ素共重合体が溶剤型塗料の樹脂成分として有用であるとの記載がある。しかし、C9カルボン酸ビニルエステルは多数の任意成分の例示の1つに過ぎず、また、HFPが汎用のフルオロオレフィンの中では最も構造的にTgが高くなるとの記載はあるものの、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルとを70モル%以上含む共重合体は、具体的には記載されておらず、もちろん、透明性の向上といった視点からの教示はない。
【0010】
特許文献7には、フルオロオレフィンとC9カルボン酸ビニルエステルとを必須とする含フッ素共重合体が溶剤型塗料の樹脂成分として有用であることが開示されている。しかし、重合反応性が低いHFPについては具体的に記載されておらず、もちろん、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルとを70モル%以上含む共重合体も具体的には記載されていない。さらに透明性の向上やガラス転移温度の高い共重合体の製造といった視点からの教示もない。
【0011】
特許文献8には、フルオロオレフィン、C9カルボン酸ビニルエステルを含むカルボン酸ビニルエステル、アルキルビニルエーテルおよび水酸基含有ビニルエーテルを必須とする4元以上の含フッ素共重合体が被覆材料や塗料の樹脂成分として有用であることが記載されている。しかし、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルとを70モル%以上含む共重合体は、具体的には記載されておらず、もちろん、透明性の向上やガラス転移温度の高い共重合体の製造といった視点からの教示はない。また、その重合においても、HFPの重合転化率は86%以上と極めて高く、ほぼ、仕込み量で目的組成の共重合体を製造している。
【0012】
一方、透明性に優れかつガラス転移温度の高い含フッ素共重合体については、たとえば特許文献9などにTFE系共重合体を中心とした記載がある。しかし、フルオロオレフィンの特異な共重合性および、フルオロオレフィン重合体の高結晶性の問題から、透明で高Tgを有する共重合体を形成し得るモノマーの種類が極めて限定されており、合成プロセスの煩雑な特殊なモノマーを使用する必要がある。
【0013】
さらに、TFEなどの単位が増えると含フッ素共重合体の透明性が低下することが知られており、これらのフルオロオレフィン共重合体の透明性を向上させるためには官能基含有ビニル化合物などの第三単量体を30モル%を超えて比較的多量に共重合することが必要である。
【0014】
【特許文献1】
特開昭63−182312号公報
【特許文献2】
特開平4−277569号公報
【特許文献3】
特開平9−302274号公報
【特許文献4】
特開平4−298513号公報
【特許文献5】
特開平4−258613号公報
【特許文献6】
特開平5−51551号公報
【特許文献7】
特開昭59−102962号公報
【特許文献8】
特開昭61−275311号公報
【特許文献9】
米国特許第4485250号明細書
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性に優れ、ガラス転移温度Tgが高い含フッ素共重合体を含む各種の含フッ素樹脂材料を提供することを目的とする。本発明者らは、フルオロオレフィンの中でもHFPとC9カルボン酸ビニルエステルの含有量が大きい共重合体が、ビニルエーテルなどの第三成分が存在しなくても、高ガラス移転温度でかつ透明な含フッ素共重合体となり、また、フルオロオレフィンの中でも特に重合反応性の低いHFPとC9カルボン酸ビニルエステルとの共重合をHFPを特定量で仕込むことにより、目的とする組成の共重合体を均一な組成でかつ高分子量化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(a)式(I):
CH=CH−O−CO−CR (I)
(式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも水素原子または飽和アルキル基であって、R、RおよびRの炭素数の合計が7である)で示される飽和カルボン酸ビニルエステル(C9カルボン酸ビニルエステル)由来の構造単位、
(b)ヘキサフルオロプロピレン由来の構造単位、および
(c)該C9カルボン酸ビニルエステル(a)およびHFP(b)と共重合可能な官能基を有しない単量体由来の構造単位
からなり、
(1)構造単位(a)を30〜95モル%、
(2)構造単位(b)を4〜55モル%、
(3)構造単位(c)を0〜30モル%、および
(4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
有する熱可塑性含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料(以下、「本発明の材料1」という)、または
(a)C9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
(b)HFP由来の構造単位、および
(d)該C9カルボン酸ビニルエステル(a)およびHFP(b)と共重合可能な官能基を有する単量体由来の構造単位
からなり、
(1)構造単位(a)を30〜95モル%、
(2)構造単位(b)を4.5〜55モル%、
(3)構造単位(d)を0.5〜30モル%、および
(4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
有する熱硬化性3元含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料(以下、「本発明の材料2」という)
に関する。
【0017】
本発明の材料1においては、構造単位(a)45〜95モル%および構造単位(b)5〜55モル%からなる熱可塑性の2元含フッ素共重合体、または
構造単位(a)と(b)に加えて、構造単位(c)の含有量が1〜30モル%であり、かつHFP以外のフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン構造単位(c1)および官能基を有しない他の単量体に由来する官能基不含構造単位(c2)よりなる群から選ばれた少なくとも1種である3元以上の熱可塑性含フッ素共重合体
が好ましい。
【0018】
また本発明の材料1においては、上記2元または3元共重合体に、必要に応じてさらに、該C9カルボン酸ビニルエステル(a)およびHFP(b)と共重合可能な官能基を有する単量体由来の構造単位(d)を0.5モル%未満含有させてもよい。
【0019】
この材料1は、成形用材料または非硬化型の被覆用材料として有用である。
【0020】
本発明の材料2は、官能基含有単量体(d)を必須とする3元共重合体であり、透明な塗膜を与える硬化性塗料組成物の樹脂成分として特に有用である。
【0021】
硬化性塗料組成物としては、好ましくは硬化剤を添加して、溶剤型塗料組成物、水性分散型塗料組成物、さらには粉体型塗料組成物に調製できる。
【0022】
水性分散型塗料組成物として使用する場合は、ガラス転移温度が30〜80℃である含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料の粒子と水性媒体とを含むように調製することが望ましい。
【0023】
粉体型塗料組成物として使用する場合は、ガラス転移温度が40〜120℃である含フッ素共重合体とすることが望ましい。
【0024】
本発明はまた、
(a)C9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
(b)ヘキサフルオロプロピレン由来の構造単位、および
(e)該C9カルボン酸ビニルエステル(a)およびHFP(b)と共重合可能な単量体由来の構造単位
からなり、
(1)構造単位(a)を30〜95モル%、
(2)構造単位(b)を4〜55モル%、
(3)構造単位(e)を0〜30モル%、および
(4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
有する含フッ素共重合体の製造法であって、重合系に供給するヘキサフルオロプロピレンの量を目的とする共重合体中に含まれる構造単位(b)の量の1.4〜30倍モル量に調整することを特徴とする含フッ素共重合体の製造法にも関する。
【0025】
かかる製造法において、HFPの転化率を70%以下に抑制しながら重合を進めることが、均一組成でかつ高分子量の含フッ素共重合体を得る点から好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の材料1に使用する熱可塑性含フッ素共重合体について説明する。かかる熱可塑性含フッ素共重合体は、式(I)で示されるC9カルボン酸ビニルエステル(a)とHFPを必須とし、これらと共重合可能な官能基を有しない単量体(c)を任意成分として含む。
【0027】
式(I)で示されるC9カルボン酸ビニルエステル(a)は、バーサティック酸ビニルまたはネオ酸と称され、ベオバ9という商品名(シェル化学社)で知られている炭素数9の飽和カルボン酸のビニルエステルである。
【0028】
C9カルボン酸ビニルエステル(a)は単量体として、得られる共重合体に高いガラス転移温度Tg、耐候性、透明性などの特性を付与できる。
【0029】
HFPは前述のとおり、ガラス転移温度Tgを高める働きをするものであるが、フルオロオレフィンの中でも重合反応性が低い単量体として知られており、重合反応性を高めるために従来はビニルエーテルなどの他の単量体を比較的多量に共重合していた。HFPは、得られる共重合体に透明性、高いガラス転移温度Tg、耐熱性、耐候性、低屈折率などの特性を与える。
【0030】
熱可塑性含フッ素共重合体は、C9カルボン酸ビニルエステル(a)とHFP(b)のみからなる2元共重合体であっても、さらに官能基不含単量体(c)の1種または2種以上を共重合した3元以上の共重合体でもよい。また、後述する官能基含有単量体(d)を熱可塑性を損なわない範囲で共重合した共重合体でもよい。
【0031】
2元熱可塑性含フッ素共重合体におけるC9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位(a)とHFP由来の構造単位(b)の組成は、構造単位(a)が45〜95モル%および構造単位(b)が5〜55モル%である。
【0032】
構造単位(a)が45モル%未満では、得られる共重合体の分子量が大きくならず、ガラス転移温度も低くなる。好ましい下限は、より硬度の高い成形品や膜を形成できる点から50モル%である。
【0033】
構造単位(a)の上限は95モル%である。95モル%を超えると耐候性や耐熱性が低下する。好ましい上限は85モル%、特に好ましくは70モル%である。
【0034】
構造単位(b)すなわちHFPの側からみると、HFP構造単位が少なくなると耐候性が低下し、多くなりすぎると重合速度が遅くなり、高分子量のものが得られにくくなる。
【0035】
2元含フッ素共重合体の数平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000、特に20,000〜200,000であり、後述する製造法により、従来に比して分子量の大きな共重合体を提供できる。
【0036】
構造単位(a)と(b)に加えて1種または2種以上の官能基を有しない単量体(c)を含む3元以上の熱可塑性含フッ素共重合体に使用する官能基を有しない他の単量体(c)としては、得られる含フッ素共重合体のガラス転移温度Tgを著しく損わないものが採用され、HFP以外のフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン(c1)および官能基を有しない他の単量体(c2)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のエチレン性不飽和基を有する単量体が好ましい。
【0037】
HFP以外のフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン(c1)の具体例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VdF)などがあげられる。
【0038】
官能基を有しない他の単量体(c2)の具体例としては、たとえばエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニルなどのアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどのアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステルなどのアルキルアリルエステル類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類などがあげられる。また、これらの部分的にフッ素置換された化合物も使用可能である。
【0039】
構造単位(c)としてHFP以外のフルオロオレフィン(c1)を使用する場合、これらが多くなると透明性やガラス転移温度を低下させることがあるので、10モル%以下、好ましくは5モル%以下とする。
【0040】
さらに、C9カルボン酸ビニルエステル(a)およびHFP(b)と共重合可能な官能基を有する単量体(d)を熱可塑性を維持できる範囲、たとえば0.5モル%未満共重合させてもよい。この場合、導入された官能基は架橋基として働くものではなく、基材への密着性の向上、樹脂表面の表面自由エネルギーのコントロールなどの作用効果を奏する。官能基を有する単量体(d)の具体例については後述する熱硬化性の共重合体で使用する官能基含有単量体が採用できる。
【0041】
3元以上の熱可塑性含フッ素共重合体において、C9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位(a)とHFP由来の構造単位(b)の組成は、構造単位(a)が30〜95モル%および構造単位(b)が4〜55モル%である。
【0042】
構造単位(a)が30モル%未満では、得られる共重合体の分子量が大きくならず、ガラス転移温度も低くなる。好ましい下限は35モル%、さらにより硬度の高い成形品や膜を形成できる点から特に好ましい下限は40モル%である。
【0043】
構造単位(a)の上限は95モル%である。95モル%を超えると耐候性や耐熱性、耐薬品性が低下する。好ましい上限は85モル%、特に好ましくは70モル%である。
【0044】
構造単位(b)すなわちHFPの側からみると、HFP構造単位の下限は4モル%であり、HFPが少なくなると耐候性が低下する。上限は55モル%であり、多くなりすぎると重合速度が遅くなり、高分子量のものが得られにくくなる。
【0045】
構造単位(a)と構造単位(b)の合計含有量は、70モル%以上である必要がある。合計含有量が70モル%未満となるとガラス転移温度が低下し、好ましくない。好ましい下限は特にガラス転移温度の高い共重合体が得られる点から80モル%、さらに好ましくは90モル%である。上限は他の単量体(c)および/または(d)の残部である。
【0046】
3元以上の含フッ素共重合体の数平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000、特に20,000〜200,000であり、後述する製造法により、従来に比して分子量の大きな共重合体を提供できる。
【0047】
3元以上の熱可塑性含フッ素共重合体の非限定的な具体例としては、つぎのものが例示できる。
(1)構造単位(a)/構造単位(b)/エチルビニルエーテル3元共重合体
好ましい組成は、44〜90/9〜55/1〜10(モル%)である。この範囲では特に透明性およびガラス転移温度の低下を生じることなく耐候性、耐薬品性、耐熱性に優れた共重合体が得られる。
(2)構造単位(a)/構造単位(b)/エチレン3元共重合体
好ましい組成は、44〜90/9〜50/1〜10(モル%)である。この範囲では、特に耐衝撃性に優れた共重合体が得られる。
(3)構造単位(a)/構造単位(b)/TFE3元共重合体
好ましい組成は、45〜91.5/8〜50/0.5〜10(モル%)である。この範囲では、特に透明性およびガラス転移温度の低下を生ずることなく、耐薬品性や耐熱性に優れ、また屈折率が低い共重合体を得ることができる。
(4)構造単位(a)/構造単位(b)/シクロヘキシルビニルエーテル3元共重合体
【0048】
好ましい組成は、44〜90/9〜55/1〜30モル%である。この範囲では特にガラス転移温度が高く、耐候性、耐薬品性、耐熱性に優れた共重合体が得られる。
【0049】
本発明の材料1に使用する熱可塑性含フッ素共重合体のガラス転移温度Tgは50℃以上であるのが、硬度が高く、耐汚染性や耐磨耗性、形状安定性などに優れた成形品や膜を形成できることから好ましい。Tgが60℃以上のものがさらに好ましく、このときには粉体として使用する場合の保存安定性が特に優れている。また2元共重合体ではTgが70℃以上のものも製造できる。Tgの上限は加工性や熱分解の点から200℃である。
【0050】
こうした熱可塑性含フッ素共重合体を含む本発明の材料1は、たとえば公知の成形機を用いる押出し成形用の成形材料として使用することができる。また薄膜として光ファイバーの鞘材、太陽電池用透明被覆材としても有用である。さらに押し出し、キャストなどの方法にて成形されるフィルムの材料としても有用である。この場合、共重合する単量体(c)または(d)の選択によっては、硬質フィルムから軟質フィルムまで調整可能である。また、乳化重合して得られた樹脂水性分散体を幅広い温度範囲で成膜し、水性分散体の形態でコーティングまたはフィルム用材料として使用することができる。
【0051】
本発明の材料1は、顔料、顔料分散剤、レベリング剤、充填剤などの公知の塗料化添加剤を添加して塗料の形態とすることもできる。
【0052】
つぎに本発明の材料2について説明する。
【0053】
本発明の材料2に使用する含フッ素共重合体は、構造単位(a)と、構造単位(b)と、C9カルボン酸ビニルエステルおよびHFP(b)と共重合可能な官能基を有する単量体由来の構造単位(d)からなり、構造単位(a)を30〜95モル%、構造単位(b)を4.5〜55モル%、構造単位(d)を0.5〜30モル%、および構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上有する熱硬化性の3元含フッ素共重合体である。ただし、ここでいう3元共重合体とは、構造単位(a)+(b)+(d)の3元をいい、官能基含有構造単位(d)は2種以上含まれていてもよい。
【0054】
構造単位(a)および(b)については、前記の材料1での説明を参照されたい。
【0055】
官能基含有単量体(d)は、3元共重合体に架橋点を導入するために共重合される。官能基としては、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、アミノ基、アミド基、ニトリル基、活性カルボニル基、シリル基などがあげられる。
【0056】
水酸基含有単量体としては、たとえばヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのヒドロキシアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、ヒドロキシイソブチルアリルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル、ヒドロキシイソブチルアリルエステル、ヒドロキシシクロヘキシルアリルエステルなどのヒドロキシアリルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;また、これらの部分的にフッ素置換された化合物などがあげられる。これらのうちの2種以上を併用してもよい。さらに、酢酸ビニルのようなエステル構造を有する単量体を共重合した後に、加水分解によって水酸基を導入することもできる。
【0057】
カルボキシル基を有する単量体としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸などのほか、パーフルオロブテン酸などのフッ素置換単量体があげられる。
【0058】
グリシジル基を有する単量体としては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテルなどがあげられる。
【0059】
アミノ基を有する単量体としては、たとえばアミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテルなどがあげられる。
【0060】
アミド基を有する単量体としては、たとえば(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミドなどがあげられる。
【0061】
ニトリル基を有する単量体としては、たとえば(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。
【0062】
活性カルボニル基を有する単量体としては、たとえばメタクリル酸アセトアセトキシエチル、アクリル酸アセトアセトキシエチル、アセト酢酸ビニルエステル、ダイアセトンアクリルアミド、アクロレイン、クロトンアルデヒドなどがあげられる。
【0063】
シリルを有する単量体としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、ビニルトリイソプロペニルオキシシラン、ビニルメチルジイソプロペニルオキシシラン、トリイソプロペニルオキシシリルエチルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルプロピルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルブチルビニルエーテル、ビニルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルイミノオキシ)シラン、ビニルメチルビス(ジメチルイミノオキシ)シラン、ビニルジメチル(ジメチルイミノオキシ)シラン、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエーテル、メチルビス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチルビニルエーテル、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルブチルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(ジメチルイミノオキシ)シラン、アリルトリメトキシシランなどがあげられる。
【0064】
これらの単量体(d)のうち、適度な温度範囲において硬化剤と組み合わせて透明性に優れた架橋体を生成しうる点から、水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、グリシジル基含有単量体が好ましく、とりわけヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)などのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEMA)などの(メタ)アクリレート類のヒドロキシアルキルエステル類;無水マレイン酸、アクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸類;グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのグリシジルエーテル類が好ましい。
【0065】
また、適度な温度範囲において必ずしも硬化剤を組み合わせなくても透明性に優れた架橋体を生成しうる点からは、シリル基含有単量体が好ましく、とりわけビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどが好ましい。
【0066】
官能基含有単量体(d)の含有量は0.5〜30モル%である。0.5モル%未満であると架橋点の数が少なくなり、熱硬化性が不充分になり、耐溶剤性が低下する。好ましい下限は2モル%であり、2モル%以上の場合硬度の高い塗膜や成形品が得られる。30モル%を超えると共重合体自体のガラス転移温度が低くなり、硬化しても充分な硬度が得られない。好ましい上限は20モル%であり、20モル%以下の場合、特にガラス転移温度Tgが高く、しかも充分に架橋された硬度の高い塗膜や成形品を得ることができる。
【0067】
3元以上の熱硬化性含フッ素共重合体において、C9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位(a)とHFP由来の構造単位(b)の組成は、構造単位(a)が30〜95モル%および構造単位(b)が4.5〜55モル%である。
【0068】
構造単位(a)が30モル%未満では、得られる共重合体の分子量が大きくならず、ガラス転移温度も低くなる。好ましい下限は35モル%、さらにより硬度の高い成形品や膜を形成できる点から特に好ましい下限は40モル%である。
【0069】
構造単位(a)の上限は95モル%である。95モル%を超えると耐候性や耐熱性が低下する。好ましい上限は85モル%、特に好ましくは80モル%である。
【0070】
構造単位(b)すなわちHFPの側からみると、HFP構造単位の下限は4.5モル%であり、HFPが少なくなると耐候性が低下する。上限は55モル%であり、多くなりすぎると重合速度が遅くなり、高分子量のものが得られにくくなる。
【0071】
構造単位(a)と構造単位(b)の合計含有量は、70モル%以上である必要がある。合計含有量が70モル%未満となると得られる共重合体のガラス転移温度が低下し、好ましくない。好ましい下限は特にガラス転移温度の高い共重合体が得られる点から80モル%、さらに好ましくは90モル%である。上限は他の単量体(c)および/または(d)の残部である。
【0072】
また、熱硬化性含フッ素共重合体においては、フッ素含有量を5重量%以上とするとき、耐候性を向上させることができる。好ましいフッ素含有量は10重量%以上、45重量%以下である。
【0073】
3元の熱硬化性含フッ素共重合体の数平均分子量は、好ましくは10,000〜200,000、特に15,000〜100,000であり、後述する製造法により、従来に比して分子量の大きな共重合体を提供できる。
【0074】
3元の熱硬化性含フッ素共重合体の非限定的な具体例としては、つぎのものが例示できる。
(1)構造単位(a)/構造単位(b)/HBVE3元共重合体
好ましい組成は、30〜90/5〜55/5〜15モル%である。この範囲では極めて透明性が高く、ガラス転移温度Tgが50℃以上の共重合体が得られる。
(2)構造単位(a)/構造単位(b)/無水マレイン酸3元共重合体
好ましい組成は、30〜90/5〜55/5〜20モル%である。この範囲では、特にガラス転移温度の高い重合体が得られる。
【0075】
本発明の材料2は熱硬化性の含フッ素樹脂材料であり、粉体型塗料組成物、溶剤型塗料組成物、水性分散型塗料組成物といった各種の塗料組成物の樹脂成分として有用である。
【0076】
本発明の粉体型塗料組成物は、上記の硬化性含フッ素3元共重合体を含む材料2と硬化剤を含む組成物である。
【0077】
粉体型塗料組成物に適当な硬化性含フッ素3元共重合体としては、ガラス転移温度が55〜100℃、さらに好ましくは55〜80℃という狭い範囲のものである。
【0078】
また粉体型塗料組成物に使用する場合、硬化反応に寄与する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基が採用され、特に水酸基が好ましい。したがって、上記官能基含有単量体(d)のうち、水酸基含有単量体を共重合した含フッ素共重合体が好適である。とくに好ましい官能基含有単量体としては、たとえばヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどがあげられる。
【0079】
粉体型塗料組成物に適当な硬化性含フッ素3元共重合体の具体例としては、C9カルボン酸ビニルエステル/HFP/HBVE=30〜70/10〜55/5〜20(モル%)があげられる。
【0080】
含フッ素共重合体の粉体としての平均粒径は、通常20〜500μm、好ましくは25〜250μmである。
【0081】
粉体型塗料組成物に使用する硬化剤としては、従来より粉体型塗料に使用されている硬化剤がそのまま使用できる。
【0082】
具体例としては、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアソート化合物や、これらの二量体、三量体やトリメチロールプロパンなどの多価アルコールで変性したポリイソシアネート化合物などのイソシアネート化合物のイソシアネート基をε−カプロラクタム、フェノール、ベンジルアルコール、メチルエチルケトキシムなどのブロック化剤でブロックした化合物などのブロックイソシアネート系硬化剤が好ましく使用される。
【0083】
含フッ素共重合体と硬化剤の配合割合は、重量比で1.0:0.3〜1.0:2.0であり、特に1.0:0.6〜1.0:1.5が好ましい。
【0084】
粉体型塗料組成物には、通常使用される添加剤を配合してもよい。添加剤としては、たとえば顔料、顔料分散剤、レベリング剤、脱泡剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、流動性調整剤、電荷制御剤、光沢調整剤などがあげられる。
【0085】
熱硬化性フッ素樹脂粉体型塗料は公知の熱硬化性粉体型塗料の製造法と同様に各成分をドライブレンドしたのち溶融混練し、粉砕して調製することができる。所望により、配合する第3成分を樹脂成分および硬化剤に予め配合しておいてもよい。
【0086】
塗装方法としては、従来の通常の方法が採用される。たとえば市販の静電粉体塗装機や流動浸漬装置などによる塗装方法が採用でき、均一に塗装したのち熱風炉、赤外炉、誘電加熱炉などで焼付けして塗膜が形成される。
【0087】
本発明の粉体塗料組成物を用いて得られる塗膜は、顔料などを用いない場合には透明性に優れ、また、顔料を配合した際には光沢が高く、平滑性に優れ、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性に優れた効果が奏される。
【0088】
本発明の水性分散型塗料組成物は、上記の熱可塑性含フッ素共重合体を含む材料1あるいは、硬化性含フッ素3元共重合体を含む材料2を水性媒体に均一に分散させて得られる組成物である。
【0089】
水性分散型塗料組成物に適当な熱可塑性含フッ素共重合体あるいは硬化性含フッ素3元共重合体としては、ガラス転移温度が30〜80℃という広い範囲のものが使用できる。
【0090】
また水性分散型塗料組成物に硬化性含フッ素共重合体を使用する場合、硬化反応に寄与する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、シリル基、活性カルボニル基などが好ましく採用される。この際に、水酸基に対しては、水分散性のイソシアネート、水溶性メラミン樹脂が組み合わされ、カルボキシル基に対しては、アジリジン、カルボジイミド、2以上の塩基性を有する金属およびその錯体が組み合わされ、活性カルボニル基に対しては、ヒドラジドなどの公知の架橋剤が組み合わされて用いられ得る。
【0091】
水性分散型塗料組成物には、通常使用される添加剤を配合してもよい。添加剤としては、たとえば顔料、顔料分散剤、レベリング剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤、成膜補助剤としての高沸点の有機溶剤などがあげられる。
【0092】
塗装方法としては、従来の通常の方法が採用される。たとえばスプレー、ローラー、刷毛塗り、ディッピング、ロールコーター、バーコーター塗装、ドクターブレード塗装などがあげられる。
【0093】
本発明の水性分散型塗料組成物を用いて得られる塗膜は透明性に優れ、顔料を添加した系では高光沢の塗膜が得られる。さらに得られた塗膜は、耐候性、耐薬品性に優れ、高硬度という優れた効果が奏される。
【0094】
本発明の溶剤型塗料組成物は、上記の熱可塑性含フッ素共重合体を含む材料1あるいは、硬化性含フッ素3元共重合体を含む材料2を有機溶剤に均一に溶解させて得られる。
【0095】
溶剤型塗料組成物に適当な硬化性含フッ素3元共重合体において、硬化反応に寄与する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シリル基などが好ましく採用される。
【0096】
溶剤型塗料組成物にも、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤としては、従来より溶剤型塗料に使用されている硬化剤がそのまま使用できる。
【0097】
代表例をあげると、水酸基に対して好ましく用いられる硬化剤としては、アミノプラスト、イソシアネート化合物、ブロック化イソシアネート化合物、多塩基酸またはその無水物などがあげられる。
【0098】
アミノプラストとしては、たとえばメラミン、尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミンなどのアミノ基含有化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザールなどのアルデヒド類との縮合反応生成物、さらにはこれらをアルコール類でエーテル化したものなどがあげられる。特に炭素数1〜4個のアルコール類で部分的あるいは完全にエーテル化されたアミノプラストが好ましい。特に好ましいアミノプラストとしては、たとえばヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン、イソブチルエーテル化メチロールメラミン、それらの縮合物などがあげられる。
【0099】
イソシアネート化合物としては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの環式脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;これらと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂または水などとの付加物;前記ジイソシアネートの重合体やイソシアネート・ビウレット体などがあげられ、これらをブロック化剤でブロックしたものも用いることができる。
【0100】
含フッ素共重合体と硬化剤の配合割合は、反応性部位(−OH基やエポキシ基、シリル基)1当量に対して0.01〜5当量、、特に0.3〜1.5当量が好ましい。
【0101】
溶剤型塗料組成物には、通常使用される添加剤を配合してもよい。添加剤としては、たとえば顔料、顔料分散剤、レベリング剤、脱泡剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光沢調整剤などがあげられる。
【0102】
塗装方法としては、従来の通常の方法が採用される。たとえばスプレー、ローラー、刷毛塗り、ディッピング、ロールコーター、バーコーター塗装、ドクターブレード塗装などがあげられる。
【0103】
本発明の溶剤型塗料組成物を用いて得られる塗膜は透明性に優れ、顔料を添加した系では高光沢の塗膜が得られる。さらに得られた塗膜は、耐候性、耐薬品性に優れ、高硬度という優れた効果が奏される。
【0104】
いずれの塗料組成物についても、被塗装物としては、金属、セラミックス、木材、プラスチック、紙などがあげられる。
【0105】
本発明はさらに、上記の材料1および2で使用する含フッ素共重合体も含め、構造単位(a)および構造単位(b)を必須の構造単位として含む含フッ素共重合体の製法にも関する。
【0106】
すなわち本発明の製造法は、(a)C9カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
(b)HFP由来の構造単位、および
(e)該C9カルボン酸ビニルエステル(a)およびHFP(b)と共重合可能な単量体由来の構造単位の1種または2種以上
からなり、
(1)構造単位(a)を30〜95モル%、
(2)構造単位(b)を4〜55モル%、
(3)構造単位(e)を0〜30モル%、および
(4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
有する含フッ素共重合体の製造法であって、重合系に供給するヘキサフルオロプロピレンの量を目的とする共重合体中に含まれる構造単位(b)の量の1.4〜30倍モル量に調整することを特徴とする含フッ素共重合体の製造法に関する。
【0107】
構造単位(e)としては、上記官能基不含単量体由来の構造単位(c)および/または官能基含有単量体由来の構造単位(d)を含むものである。
【0108】
従来、特許文献8などに記載されているように、HFPとC9カルボン酸ビニルエステルの共重合系では、重合反応性が低いHFPでもHFPの転化率が85%を超えている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、共重合体に取り込まれたHFP構造単位の組成分布は重合初期と重合終期で異なり、また重合鎖相互でも異なっていると推定される。したがって、構造分析や消費単量体量から算出された組成と実際に得られる共重合体の組成分布は必ずしも一致しておらず、均一な組成の共重合体は得られていないのが現状である。
【0109】
本発明の製造法は、かかる従来技術を背景にしたものであり、HFPを目的とする共重合組成比(構造単位(b)4〜55モル%)の1.4倍モル量以上30倍モル量以下で重合系に供給することにより、目的とする組成で均一に構成された共重合体を提供することができる。さらに、かかる条件で重合を行なうことにより、得られる共重合体の分子量を高分子量化でき、また、分子量分布もシャープにすることができる。この結果、同じような分子量と組成を有する共重合体であっても、非常に高いガラス転移温度を有する共重合体を得ることができる。
【0110】
この条件で重合を行なうことは、HFPの転化率を70%以下に抑制することとも言える。反応性の低いHFPを無理に共重合させると、上述のとおり組成分布や分子量に影響がでる。
【0111】
他の単量体(a)および(e)は、目的組成に対応したモル%比で供給すればよい。
【0112】
HFPの供給量が目的組成の1.4倍モル量未満の場合、HFPの転化率が70%を超えてしまい、得られる共重合体の組成分布に乱れが生じやすくなる。好ましい下限は1.5倍モル量である。上限は30倍モル量であり、これを超えると単位反応あたりの樹脂得量が低くなり、経済性が損なわれ、好ましくない。好ましい上限は15.0倍モル量、さらには10.0倍モル量である。
【0113】
本発明の製造法においては、重合方法として乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などが採用できる。また、上記の単量体仕込み量の条件以外は、それぞれの重合法で通常の重合条件が採用できる。
【0114】
乳化重合で本発明の共重合体を調製する場合には、公知のフッ素系および/または非フッ素系乳化剤を対水濃度約5%以下存在させ、HFPおよびC9カルボン酸ビニルエステル、さらに必要に応じて他の共重合可能な単量体(e)の共存下に、水溶性、油溶性重合開始剤を用いて重合を行なう。この重合形態で得られた水性分散液は、そのままで水性塗料用組成物として有用である。
【0115】
懸濁重合で本発明の共重合体を調製する場合には、非水溶性の分散溶媒の存在下に、HFPおよびC9カルボン酸ビニルエステル、さらに必要に応じて他の共重合可能な単量体(e)の共存下に、油溶性重合開始剤の存在下に重合を行なう。非水溶性の分散溶媒としては、公知の含フッ素系溶剤があげられる。さらに、HFP自体の沸点が比較的高いことから、HFP自体を分散溶媒として利用することも好ましい。この場合、溶剤への連鎖移動がなくなり、高い反応速度で高分子量の共重合体が得られるため好ましい。さらに、樹脂回収においても、残存のHFPモノマーを排気するだけで水に分散した固形樹脂が回収できるため、後処理工程も簡便かつ経済的に行なうことが可能である。特に、フィルムや各種の成形品の材料などにおいて、透明性を重視する用途向けに官能基を含まない共重合体を調製する場合に好ましい。
【0116】
溶液重合で本発明の共重合体を調製する場合には、樹脂溶解性の高い、たとえばメタノール、エタノール、IPA、NPAなどのアルコール類;アセトン、MEK、MIBKなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;キシレン、トルエンなどの芳香族類の存在下に、HFPおよびC9カルボン酸ビニルエステル、さらに必要に応じて他の共重合可能な単量体(e)の共存下に、油溶性重合開始剤の存在下に重合を行なう。この重合形態は、官能基含有単量体(d)などを共重合する際に、他の重合形態に比べて組成の均一性が高い共重合体が得られるため好ましい。特に、水酸基、エポキシ基、シリル基などの水と反応性の高い官能基を含む単量体を共重合成分として使用する場合には好ましい。さらに、乳化剤の存在下、水中に重合で得られた樹脂溶液を分散し、引き続いて溶剤を留去することにより、水分散型塗料とすることも可能である。この際、乳化剤を樹脂溶液に予め添加しておくか、水に添加しておくか、すべての成分を一括混合するかは、選択する溶媒の水への溶解度、攪拌条件、目的の水性分散液中の樹脂粒子の平均粒子径によって適宜選択される。この相転換法は、特に水の存在下で不安定な官能基を含有する単量体を含有する共重合体の水性分散液を調製する際に有用である。平均粒子径が50〜500nmの場合には、いわゆる水性エマルション型塗料のバインダー、ラテックスフィルム形成用材料として有用であり、また特に200〜500μmの場合にはスラリー型塗料のバインダーとして有用である。
【0117】
反応圧力については、いずれの反応形態においても、選択する単量体の組み合わせ、重合温度によって最適な圧力が設定されるが、通常0.1〜2MPaG、特に0.5〜1.5MPaG程度に設定することが好ましい。
【0118】
重合温度は、重合開始剤の種類によって最適な温度が決定されるが、通常20〜90℃、特に30〜80℃程度にすることが好ましい。
【0119】
重合開始剤は、重合媒体中でフリーラジカル反応に供しうるラジカルを20〜90℃の間で発生するものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。
【0120】
油溶性開始剤としては、たとえばジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;イソブチリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;クミルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−アミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオオクタネ−ト、t−ブチルパーオキシネオヘキサネート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ブチル2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−2エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどのパーオキシモノカーボネートなどがあげられる。
【0121】
また水溶性開始剤としては、たとえば過硫酸塩、過酸化水素、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩(AIBA);還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムなどをあげることができる。
【0122】
開始剤の使用量は、通常モノマーに対して、0.1〜5モル%の範囲である。
【0123】
また公知の連鎖移動剤を用いて、分子量調整を行なうことも可能である。連鎖移動剤としては、たとえばクロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;たとえばn−ラウリルメルカプタン、t−ラウリルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類などが用いられる。連鎖移動剤の使用量は、非フッ素系不飽和単量体100重量部あたり、通常0〜5.0重量部程度である。
【0124】
また、本発明の重合法は、回分式、連続式のいずれの方法でもよい。
【0125】
【実施例】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお実施例中の「%」は特記しない限り、重量%である。
【0126】
合成例1
容量300mlのシリンダー型ステンレス製オートクレーブに、アセトン72g、C9カルボン酸ビニルエステル34gを仕込み、−10℃の低温浴槽中で冷却後、窒素加圧、真空引きを3回繰り返し、溶存酸素を除いた。減圧下に、HFP110gを圧入し、60℃の振盪機を備えた恒温槽に入れ、圧力が一定に達した後に、パーヘキシルPV(日本油脂(株)製、70%トルエン溶液)を1.3g窒素で圧入し、反応を開始した。反応開始時点で1.0MPaGであった圧力が、6.1時間後に0.9MPaGとなったところで、30℃まで冷却し、残ったガス状のモノマーを排気して常圧に戻した。得られた溶液は200gであり、固形分濃度は26.5%であった。この樹脂溶液2gを20mlのメタノール中に滴下し、析出した樹脂を分離回収し、55℃で24時間真空乾燥機中で乾燥した。得られた樹脂は、数平均分子量(GPCによるスチレン換算)17000、Tg76℃、TGAを用いて空気中10℃/分の昇温速度において0.1%の重量減少で定義される熱分解開始温度(TG)が249℃、フッ素元素分析により求められたフッ素含有量より求めた組成は、C9カルボン酸ビニルエステル/HFP=72/28モル%であった。
【0127】
合成例2〜10
合成例1における仕込および反応時間を表1に示すように変更し、合成例2〜10の共重合体を得た。重合結果および得られた共重合体の特性を表1に示す。
【0128】
実施例1
合成例1〜10で得られた樹脂を、ヒートプレスを用いて80℃で溶融成形し、厚さ1mmのフィルムを作製した。このフィルムについて以下の項目を測定した。結果を表1に示す。
【0129】
透明性:(株)日立製作所製U−3310スペクトロフォトメーターを使用し、600nmの波長の光線の透過率を測定する。
着色度:色彩色差計(ミノルタ(株)製のCR300)を用いて、附属の白色標準板上に試験体を置き、b値を測定する。b値の値が大きい程、黄色味が強いことを表す。通常、肉眼で淡黄色の着色として認知される下限は、2.0〜3.0のときである。
耐候性:岩崎電気(株)製アイスパーUVテスターW−13型(Light/Dew/Rest=11/11/1HRを1サイクルとする)にて促進耐候性試験を1000時間行なったのち、色彩色差計(ミノルタ(株)製のCR300)で試験前後の色差(ΔE)を測定する。
【0130】
【表1】
Figure 2004211034
【0131】
合成例11〜14
合成例1における仕込および反応時間を表2に示すように変更し、合成例11〜14の共重合体を得た。重合結果および得られた共重合体の特性を表2に示す。
【0132】
【表2】
Figure 2004211034
【0133】
実施例2
合成例11〜14で得られた共重合体を酢酸ブチルに溶解し、固形分濃度50%の透明な共重合体溶液を得た。この共重合体溶液26重量部に顔料として酸化チタン26重量部、さらに酢酸ブチル10重量部を加え、50重量部のガラスビーズとともに分散し、濾過してガラスビーズを除きミルベースを調製した。得られたミルベース63重量部にさらに共重合体の50%酢酸ブチル溶液37重量部を添加し、オーバーヘッド攪拌機で均一になるまで混合し、塗料1−1〜1−4を調製した。
【0134】
この塗料組成物とタケネートD−140N(武田薬品工業(株)製のイソシアネート系架橋剤)を表3に示す量で加え、均一になるまで攪拌後、10ミルのドクターブレードを用いて、リン酸亜鉛処理アルミ板上に塗布し、室温で2週間乾燥して試験板を作製した。この試験板について以下の項目を測定した。結果を表3に示す。
【0135】
膜厚:ケット社製、渦巻き電流式膜厚測定器LZ−330を使用して測定する。表面光沢:ASTM D523−89に従い、60度の反射角を測定する。
耐溶剤性:ASTM D5402−93に準じて、キシレンを使って耐溶剤性試験を行なう。
耐候性:岩崎電気(株)製アイスパーUVテスターW−13型(Light/Dew/Rest=11/11/1HRを1サイクルとする)にて促進耐候性試験を1000時間行なったのち、白塗料(顔料入り)の塗板については、光沢保持率(初期光沢に対する試験後の光沢の割合)を測定する。
【0136】
【表3】
Figure 2004211034
【0137】
実施例3
合成例11〜14で得られた含フッ素共重合体35重量部および、硬化剤として、カプロラクタムブロックイソシアネート(商品名:ベスタゴンB−1530。ヒュルス社製)を表4に示す量、顔料として酸化チタン(商品名:タイピュアR−960。デュポン社製)17.9重量部、表面調整剤として低分子量アクリル共重合体(商品名:モダフロー。モンサント社製)0.8重量部、脱泡剤としてベンゾイン0.2重量部を、ヘンシェルミキサー((株)愛工舎製作所製)により、3分間均一に混合した。次に、組成物を120℃で二軸溶融混練機(プリズム社製16mmツインエクストルーダー)を使用して溶融混練し、冷却後、万能粉砕機(IKA社製)で室温で3分間粉砕し、得られた粉体を140メッシュのスクリーンを通して分級し、粉体塗料2−1〜2−4を得た。さらに、得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処理アルミ基材(厚さ1mm)上にコロナ式粉体塗装ガン(小野田セメント製GX3300)を用い、印加電圧40kVで塗装し、直後に200℃で15分間焼き付けを行なって塗装板を得た。この塗装板に対して以下の試験を行なった。特に記載のない場合、試験板は塗装後、25℃にて24時間以上静置した後、25℃で試験を行なった。
【0138】
さらに膜厚、光沢、耐候性については、上記と同様に測定した。加えて、表面平滑性、鉛筆硬度、貯蔵安定性を測定した。結果を表4に示す。
【0139】
表面平滑性:蛍光灯を塗膜に写して見たとき、塗膜表面に映る蛍光灯の形を目視で評価する。
A:ゆがみがない。
B:若干ゆがみがある。
C:ゆがみがある。
D:大きくゆがんでいる。
鉛筆硬度:ASTM D3363−00に準じて行なう。
貯蔵安定性:得られた塗料30gを50mlの蓋つきガラス瓶に入れ、50℃、50RH%の恒温恒湿器中で1ヵ月間保存し、塗料の凝集の有無を調べ、以下の基準で評価する。
A:初期の状態と変わらないもの
B:凝集が見られるが、振盪によって再分散し、使用可能なもの
C:凝集し、再分散不能で使用できないもの
【0140】
【表4】
Figure 2004211034
【0141】
合成例15および16
合成例1における仕込および反応時間を表5に示すように変更し、合成例15および16の4元共重合体を得た。重合結果および得られた共重合体の特性を表5に示す。ただし、EVEはエチルビニルエーテルの略である。4元共重合体であってもHFPの仕込み量を目標モル組成より1.4倍モル量以上とすることにより、均一で高分子量の共重合体が得られることがわかる。
【0142】
【表5】
Figure 2004211034
【0143】
【発明の効果】
本発明の含フッ素樹脂材料は、透明性に優れかつガラス転移温度Tgが高く、したがって各種の塗料組成物または成形用組成物として使用したときに、寸法安定性に優れる、汚染物質が付着しにくい、傷がつきにくいといった優れた効果が奏される。
【0144】
また本発明の含フッ素共重合体の製造法によれば、重合反応性が低いHFPを均一な目的組成で共重合体中に導入でき、しかも高分子量のものを製造できる。

Claims (13)

  1. (a)式(I):
    CH=CH−O−CO−CR (I)
    (式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも水素原子または飽和アルキル基であって、R、RおよびRの炭素数の合計が7である)で示される飽和カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
    (b)ヘキサフルオロプロピレン由来の構造単位、および
    (c)該飽和カルボン酸ビニルエステル(a)およびヘキサフルオロプロピレン
    (b)と共重合可能な官能基を有しない単量体由来の構造単位
    からなり、
    (1)構造単位(a)を30〜95モル%、
    (2)構造単位(b)を4〜55モル%、
    (3)構造単位(c)を0〜30モル%、および
    (4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
    有する熱可塑性含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料。
  2. 構造単位(a)45〜95モル%および構造単位(b)5〜55モル%からなる熱可塑性の2元含フッ素共重合体からなる請求項1記載の含フッ素樹脂材料。
  3. 構造単位(c)の含有量が1〜30モル%であり、かつヘキサフルオロプロピレン以外のフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン構造単位(c1)および官能基を有しない他の単量体に由来する官能基不含構造単位(c2)よりなる群から選ばれた少なくとも1種である3元以上の熱可塑性含フッ素共重合体からなる請求項1記載の含フッ素樹脂材料。
  4. 含フッ素共重合体が、さらに(d)該飽和カルボン酸ビニルエステル(a)およびヘキサフルオロプロピレン(b)と共重合可能な官能基を有する単量体由来の構造単位を0.5モル%未満含有する熱可塑性含フッ素共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素樹脂材料。
  5. 成形用材料または被覆用材料として用いる請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素樹脂材料。
  6. (a)式(I):
    CH=CH−O−CO−CR (I)
    (式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも水素原子または飽和アルキル基であって、R、RおよびRの炭素数の合計が7である)で示される飽和カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
    (b)ヘキサフルオロプロピレン由来の構造単位、および
    (d)該飽和カルボン酸ビニルエステル(a)およびヘキサフルオロプロピレン
    (b)と共重合可能な官能基を有する単量体由来の構造単位
    からなり、
    (1)構造単位(a)を30〜95モル%、
    (2)構造単位(b)を4.5〜55モル%、
    (3)構造単位(d)を0.5〜30モル%、および
    (4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
    有する熱硬化性の3元含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料。
  7. 請求項6記載の含フッ素樹脂材料を含む塗料組成物。
  8. 請求項6記載の含フッ素樹脂材料と有機溶剤とを含む溶剤可溶型塗料組成物である請求項7記載の塗料組成物。
  9. 請求項6記載の含フッ素共重合体であってガラス転移温度が30〜80℃である含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料の粒子と水性媒体とを含む水性分散型塗料組成物である請求項7記載の塗料組成物。
  10. 硬化剤を含む請求項7〜9のいずれかに記載の塗料組成物。
  11. 請求項7記載の含フッ素共重合体であってガラス転移温度が40〜120℃である含フッ素共重合体からなる含フッ素樹脂材料の粉体と硬化剤とを含む粉体型塗料組成物である請求項7記載の塗料組成物。
  12. (a)式(I):
    CH=CH−O−CO−CR (I)
    (式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも水素原子または飽和アルキル基であって、R、RおよびRの炭素数の合計が7である)で示される飽和カルボン酸ビニルエステル由来の構造単位、
    (b)ヘキサフルオロプロピレン由来の構造単位、および
    (e)該飽和カルボン酸ビニルエステル(a)およびヘキサフルオロプロピレン
    (b)と共重合可能な単量体由来の構造単位、
    からなり、
    (1)構造単位(a)を30〜95モル%、
    (2)構造単位(b)を4〜55モル%、
    (3)構造単位(e)を0〜30モル%、および
    (4)構造単位(a)と(b)の合計が70モル%以上、
    有する含フッ素共重合体の製造法であって、重合系に供給するヘキサフルオロプロピレンの量を目的とする共重合体中に含まれる構造単位(b)の量の1.4〜30倍モル量に調整することを特徴とする含フッ素共重合体の製造法。
  13. ヘキサフルオロプロピレンの転化率を70%以下に抑制しながら重合を進める請求項12記載の製造法。
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