JP2004210896A - ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

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JP2004210896A JP2002380310A JP2002380310A JP2004210896A JP 2004210896 A JP2004210896 A JP 2004210896A JP 2002380310 A JP2002380310 A JP 2002380310A JP 2002380310 A JP2002380310 A JP 2002380310A JP 2004210896 A JP2004210896 A JP 2004210896A
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Takashi Nozaki
貴司 野崎
Akio Fujiwara
昭夫 藤原
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Abstract

【課題】遷移金属化合物成分を変えることなく得られる重合体の分子量を向上させることができる、ポリオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】[A]遷移金属化合物、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物、(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる化合物とからなるオレフィン重合用触媒を、[C]水素化剤と予め反応させてから重合に使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィンの製造方法に関する。詳細には予め水素化剤で処理した触媒を用いることにより、得られる重合体の分子量を大幅に向上させる方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から遷移金属化合物を触媒成分としたオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合させるに際し、オレフィンオレフィンの重合体の分子量を調節する方法として、水素やシランのような連鎖移動剤を用いた分子量の低下方法は良く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などには、Si‐H結合を持つシラン化合物の存在下、オレフィンを重合または共重合する方法が開示されているが、いずれの場合においてもシラン化合物は連鎖移動剤として作用している。
【0004】
一方、遷移金属化合物成分を変えることなく分子量を向上させる方法としては、重合温度を下げる以外に効果的な方法がなく、その場合活性が大幅に低下するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−503732号公報
【特許文献2】
WO00/43426号公報
【特許文献3】
特開平10−298227号公報
【特許文献4】
特表2000−509747号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遷移金属化合物成分を変えることなく得られる重合体の分子量を向上させることができる、ポリオレフィンの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような現状に鑑み、オレフィン重合触媒を用いたポリオレフィンの製造において、重合温度以外に分子量を高くする方法を見出すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、従来連鎖移動剤として使用されていた水素やシラン化合物を触媒の処理剤として使用すると、活性が大幅に低下することなく、分子量が高くなることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は次の構成を有する。
【0008】
(1)[A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物および/または(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を、[C]水素化剤と予め反応させてから重合に使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【0009】
(2)[A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物および/または(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種の化合物と、[C]水素化剤とから形成されるオレフィン重合用触媒を用いて、100万以上の粘度平均分子量を有する重合体を製造することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【0010】
(3)[A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物と、(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種の化合物と、[D]担体とからなるオレフィン重合用触媒を、[C]水素化剤と予め反応させてから重合に使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【0011】
(4)水素化剤[C]が水素、RSiH4−n(式中、0≦n≦1、Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数6ないし12のアリール基、炭素原子数7ないし20のアルキルアリール基、炭素原子数7ないし20のアリールアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基からなる群より選ばれる炭化水素基である)の中から選ばれる化合物であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
(5)遷移金属化合物[A]成分が下記の式(1)で表されることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
MXX’ (1)
(式中、Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基、及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり、
Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη結合している遷移金属を表し、
Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、
Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し、
X’は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基、及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり、
kは0または1であり、
pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、qは0、1または2である)
【0012】
(6)前記イオン性化合物(B−1)成分が下記の式(2)で表されることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
[L−H]d+[Md− (2)
(式中、[L−H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは中性のルイス塩基を表し、dは1〜7の整数であり;[Md−は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Mは、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属またはメタロイドを表し、Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、但し、ハライドであるQの数は1以下であり、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは上で定義した通りであり、p−m=dである。)
上記の本発明の1つの態様に依れば、[A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物および/または(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる化合物とからなるオレフィン重合用触媒を、[C]水素化剤と予め反応させてから重合に使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。このようなポリオレフィンの製造方法は、活性が高くかつ、分子量の高いポリオレフィンが得られることから、超高分子量ポリオレフィンの製造において生産性の向上が期待できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において用いられる遷移金属化合物[A]成分としては、各種のものが使用可能であるが、周期律表4〜6族遷移金属化合物または8〜10族遷移金属化合物が好ましく用いられる。これらの遷移金属化合物としては、例えば特開2000−86717号公報、WO00/43426号公報等に開示されている遷移金属化合物を挙げることができる。
【0014】
具体的には、まず下記の式(1)で表される化合物を挙げることができる。
MXX’ (1)
(式中、Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり、
Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη結合している遷移金属を表し、
【0015】
Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、
【0016】
Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し、
【0017】
X′は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、
【0018】
jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり、
【0019】
kは0または1であり、
pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、
qは0、1または2である)。
【0020】
上記式(1)の化合物中の配位子Xの例としては、ハライド、炭素数1〜60の炭化水素基、炭素数1〜60のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜60のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、これらの複合基等が挙げられる。
【0021】
上記式(1)の化合物中の中性ルイス塩基配位性化合物X’の例としては、フォスフィン、エーテル、アミン、炭素数2〜40のオレフィン、炭素数1〜40のジエン、これらの化合物から誘導される2価の基等が挙げられる。
本発明において用いられる[A]成分の例としては、次に下記の式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0022】
【化1】
Figure 2004210896
【0023】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、RとRはたがいに結合して環を形成していてもよく、X及びYは、それぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、Mは、周期律表8〜10族の遷移金属を示す)で表される錯体化合物を挙げることができる。
【0024】
上記一般式(3)において、R及びRのうちの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換基が導入されていてもよい。
【0025】
また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状,分岐状又は環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR及びRとしては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基が好適である。R及びRは、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0026】
また、R及びRのうちの炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基,炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、前記R及びRのうちの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。また炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,メチルナフチル基などが挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。
【0027】
このR及びRは、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、たがいに結合して環を形成していてもよい。一方、X及びYのうちのハロゲン原子としては、塩素,臭素またはヨウ素原子などが挙げられ、また、炭素数1〜20の炭化水素基は、上記R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX及びYとしては、特に臭素原子またはメチル基が好ましい。また、XとYは、たがいに同一であってもよく異なっていてもよい。
【0028】
その他、本発明において用いられる[A]成分の例として、下記の式(4)で表される化合物とニッケル化合物との錯体を挙げることができる。
【0029】
【化2】
Figure 2004210896
【0030】
(式中、R、R、R及びRは、各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状,分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基または水素、またはビニル基を表す)
【0031】
ニッケル化合物の具体例としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(シクロオクタテトラエン)ニッケル(0)、テトラカルボニルニッケル(0)、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、ビス(アリル)ニッケル(II)等が挙げられる。
【0032】
本発明において、[A]成分としては、前記式(1)(ただし、j=1)で表される遷移金属化合物が好ましい。
前記式(1)(ただし、j=1)で表される化合物の好ましい例としては、下記の式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
【化3】
Figure 2004210896
【0034】
(式中、Mは、チタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群より選ばれる遷移金属であって、形式酸化数が+2、+3または+4である遷移金属を表し、Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン原子及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、該置換基Rが炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である時、場合によっては2つの隣接する置換基Rが互いに結合して2価の基を形成し、これにより該2つの隣接する該置換基Rにそれぞれ結合するシクロペンタジエニル環の2つの炭素原子間の結合と共働して環を形成し、
【0035】
X″は、各々独立して、ハライド、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミノ基、シリル基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルスルフィド基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、場合によっては2つの置換基X″が共働して炭素数4〜30の中性共役ジエンまたは2価の基を形成し、
【0036】
Y´は、−O−、−S−、−NR−または−PR−を表し、但し、Rは、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜8のヒドロカルビルオキシ基、シリル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、またはこれらの複合基を表し、
ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR またはGeR を表し、但し、Rは上で定義した通りであり、
nは1、2または3である)。
【0037】
本発明において用いられる[A]成分の具体例としては、以下に示すような化合物が挙げられる。
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
【0038】
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、
【0039】
エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス−(4,7−ジメトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
【0040】
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジメチル、
シリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、
【0041】
[(N−メチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−フェニルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−ベンジルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル]チタニウムジメチル、
【0042】
[(N−t−ブチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−メチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N−メチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(η−インデニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−ベンジルアミド)(η−インデニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、
【0043】
ジブロモビストリフェニルホスフィンニッケル、ジクロロビストリフェニルホスフィンニッケル、ジブロモジアセトニトリルニッケル、ジブロモジベンゾニトリルニッケル、ジブロモ(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケル、ジブロモ(1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン)ニッケル、ジブロモ(1,1’−ジフェニルビスホスフィノフェロセン)ニッケル、ジメチルビスジフェニルホスフィンニッケル、ジメチル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケル、メチル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケルテトラフルオロボレート、(2−ジフェニルホスフィノ−1−フェニルエチレンオキシ)フェニルピリジンニッケル、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロジベンゾニトリルパラジウム、ジクロロジアセトニトリルパラジウム、ジクロロ (1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)パラジウム、ビストリフェニルホスフィンパラジウムビステトラフルオロボレート、ビス(2,2’−ビピリジン)メチル鉄テトラフルオロボレートエーテラート等。
【0044】
本発明において用いられる[A]成分の具体例としては、さらに、[A]成分の具体例として上に挙げた各ジルコニウム及びチタン化合物の名称の「ジメチル」の部分(これは、各化合物の名称末尾の部分、すなわち「ジルコニウム」または「チタニウム」という部分の直後に現れているものであり、前記式(4)中のX″の部分に対応する名称である)を、以下に掲げる任意のものに替えてできる名称を持つ化合物も挙げられる。
【0045】
「ジクロル」、「ジブロム」、「ジヨード」、「ジエチル」、「ジブチル」、「ジフェニル」、「ジベンジル」、「2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル」、「2−ブテン−1,4−ジイル」、「s−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン」、「s−トランス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン」、「s−トランス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン」、「s−トランス−η−2,4−ヘキサジエン」、「s−トランス−η−1,3−ペンタジエン」、「s−トランス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン」、「s−トランス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン」、
「s−シス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン」、「s−シス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン」、「s−シス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン」、「s−シス−η−2,4−ヘキサジエン」、「s−シス−η−1,3−ペンタジエン」、「s−シス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン」、「s−シス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン」等。
【0046】
本発明において用いられる[A]成分は、一般に公知の方法で合成できる。
本発明においてこれら遷移金属化合物[A]成分は単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
【0047】
次に本発明において用いられる[B]成分について説明する。本発明における[B]成分は、上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物(B−1)、粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物(B−2)からなる化合物群の中から選ばれる少なくとも一種が用いられる。
上記(B−1)成分のイオン性化合物として例えば、以下の一般式(6)で定義される化合物が挙げられる。
[L−H]d+[Md− (6)
但し、式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
【0048】
また、式中[Md−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、mは1乃至7の整数であり、pは2乃至14の整数であり、dは1乃至7の整数であり、p−m=dである。
【0049】
本発明の相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、例えば、テトラキスフェニルボレート、トリ(p−トリル)(フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(フェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ナフチル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられる。
【0050】
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHR基で置き換えられたボレートが挙げられる。ここで、Rは好ましくは、メチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
また、本発明のプロトン付与性のブレンステッド酸の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム及びトリ(n−オクチル)アンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオンが挙げられ、
【0051】
また、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。
さらに、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム等のようなジアルキルアンモニウムカチオンも好適であり、トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のようなトリアリールフォスフォニウムカチオン、またはジメチルスルフォニウム、ジエチルフルフォニウム、ジフェニルスルフォニウム等も好適である。
【0052】
本発明において(B−2)成分としては、粘土、粘土鉱物又はイオン交換性層状化合物が挙げられる。
本発明で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成されるのが好ましく、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であって含有するイオンが交換可能なものが好ましい。また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0053】
このような粘土、粘土鉱物として具体的には、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ−Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HOなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0054】
このような粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、重合活性の観点から、水銀圧入法で測定した半径2nm以上の細孔容積が0.1cm/g以上のものが好ましく、0.3〜5cm/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積の測定は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により細孔半径として2〜3×10nmの範囲で測定される。
【0055】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物は、化学処理を施すこともできる。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0056】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物を得ることもできる。ここで嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、ピラーと呼ばれる。また、層状物質の層間に別の物質(ゲスト化合物)を導入することをインターカレーションという。
【0057】
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl、ZrClなどの陽イオン性無機化合物;Ti(OR)、Zr(OR)、PO(OR)、B(OR)、(Rは炭化水素基など)などの金属アルコラート;[Al13(OH)247+、[Zr(OH)142+、[FeO(OCOCHなどの金属水酸化物イオン;ZnSO、Cr(NO、Ti(SOなどの金属酸塩などが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0058】
また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)、Al(OR)、Ge(OR)(Rは炭化水素基など)などの金属アルコラートなどを加水分解して得た重合物、SiOなどのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーの他の例としては上記水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0059】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよいし、ボールミルによる粉砕、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイトである。
【0060】
本発明においては、(B−2)成分を単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、[B]成分として、(B−1)成分、(B−2)成分を単独で用いてもよく、また、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0061】
次に本発明において用いられる[C]成分について説明する。本発明における[C]成分は、水素化剤である。水素化剤としては例えば、水素、Rr−n(Mt)H(式中、Mtは周期律表第1〜3族及び14、15族に属する原子であり、Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数6ないし12のアリール基、炭素原子数7ないし20のアルキルアリール基、炭素原子数7ないし20のアリールアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基からなる群より選ばれる炭化水素基であり、n>0、r−n≧0、rはMtの原子価)が挙げられる。これらの中で、好ましいものは水素またはRSiH4−n(式中、0≦n≦1、Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数6ないし12のアリール基、炭素原子数7ないし20のアルキルアリール基、炭素原子数7ないし20のアリールアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基からなる群より選ばれる炭化水素基である)で表されるシラン化合物あり、特にシラン化合物が好ましい。
【0062】
[C]成分の具体例としては、例えば、水素、ナトリウムハイドライド、カルシウムハイドライド、水素化リチウムアルミニウム、SiH、メチルシラン、エチルシラン、n−ブチルシラン、オクチルシラン、オクタデシルシラン、フェニルシラン、ベンジルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジn−ブチルシラン、ジオクチルシラン、ジオクタデシルシラン、ジフェニルシラン、ジベンジルシラン、エテニルシラン、3−ブテニルシラン、5−ヘキセニルシラン、シクロヘキセニルシラン、7−オクテニルシラン、17−オクタデセニルシラン、等が挙げられ、好ましくはシランまたはオクチルシランまたはフェニルシランである。
【0063】
本発明においては、成分[A]及び成分[B]とからなるオレフィン重合用触媒に予め成分[C]を反応させてから重合に使用する。使用に際しては、成分[C]を一日以上反応させてから重合に使用することが好ましい。
本発明において、各成分の使用量、使用量の比は特に制限されないが、成分[C]は成分[A]に対して1〜1000倍モルが好ましく、より好ましくは10〜100倍モルである。
【0064】
次にポリオレフィンの製造の具体的な態様について説明する。本発明において、エチレンを単独重合させるか、あるいはエチレンと好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、炭素数3〜20の環状オレフィン、式CH=CHR(但し、Rは炭素数6〜20のアリール基である。)で表される化合物、及び炭素数4〜20の直鎖状、分岐状または環状のジエンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合させることによりポリオレフィンが製造できる。
【0065】
本発明で、炭素数3〜20のα−オレフィンとは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンよりなる群から選ばれ、炭素数3〜20の環状オレフィンとは、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1.4,5.8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれ、一般式CH=CHR(式中Rは炭素数6〜20のアリール基である。)で表わされる化合物とは、例えば、スチレン、ビニルシクロヘキサン等であり、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状または環状のジエンとは、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる。
【0066】
エチレンと上記オレフィン(コモノマー)との共重合により、ポリエチレンの密度や物性を制御することが可能である。本発明によるポリオレフィンの製造は、溶液重合法、懸濁重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。溶液重合法及び懸濁重合法においては、媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0067】
かかる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0068】
本発明における重合温度は、通常、0℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、且つ150℃以下が好ましく、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下の範囲である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜5MPa、さらに好ましくは0.5〜3MPaの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができる。また、重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行なうことも可能である。さらに、例えば、西独国特許出願公開第3127133号明細書に記載されているように、得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を変化させることによって調節することもできる。なお、本発明では、上記のような各成分以外にもポリオレフィンの製造に有用な他の成分を含むことができる。
【0069】
本発明において、特に懸濁重合又は気相重合によるポリオレフィンの製造では、担体[D]成分を用いることが好ましい。
[D]成分としては、無機酸化物、無機ハロゲン化物等を例示することができる。具体的な無機酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア等の典型元素の無機酸化物、チタニア、ジルコニア等の遷移金属元素の無機酸化物およびシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、ゼオライト、粘土、イオン交換性層状化合物等の複合酸化物が挙げられる。また、無機ハロゲン化物の例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン等が挙げられる。さらに有機の担体も使用可能である。具体的な例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはその共重合体、シリコーン樹脂またはイオン交換樹脂等が挙げられる。
【0070】
本発明において用いられる成分[D]の、B.E.T.(Brunauer−Emmett−Teller)による窒素ガス吸着法で求められる比表面積は、好ましくは10〜1000m/gであり、より好ましくは100〜600m/gである。このような高い比表面積を有する成分[D]の代表例の一つは、多くの細孔を有する多孔質材料を含む成分である。
【0071】
本発明において、窒素ガス吸着法で求められる成分[D]の細孔容積は、通常5cm/g以下が好ましく、より好ましくは0.1〜3cm/gであり、さらに好ましくは0.2〜2cm/gである。
【0072】
本発明において用いられる成分[D]の平均粒径に関しては、特に制限はない。成分[D]の平均粒径は、通常0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmであり、さらに好ましくは10〜100μmである。
また本発明においては、成分[D]に含まれる水分や水酸基或いはその他触媒毒として作用するものを予め有機金属化合物との反応或いは焼成によって取り除くことも可能である。
【0073】
本発明において、担体に触媒成分を担持させる担持方法に特に制限はないが、化学結合で触媒成分を担体に結合させる方法、化学吸着もしくは物理吸着させる方法またはオレフィン等を予備重合させて担持させる方法等を例示することができる。
【0074】
次に本発明の製造方法によって得られるポリオレフィンについて説明する。本発明の製造方法によって得られるポリオレフィンの粘度平均分子量は通常1万以上であり、好ましくは10万以上、より好ましく100万以上である。粘度平均分子量が100万を超える超高分子量ポリオレフィンは、耐摩耗性や強度に優れていることから、ギヤーなどの摺動部材、軸受部材、人工関節代替品、スキー用滑走面材、研磨材、各種磁気テープのスリップシート、フレキシブルディスクのライナー、防弾部材、電池用セパレータ、各種フィルター、発泡体、フィルム、パイプ、繊維、糸、釣り糸、まな板、の用途の材料としても好適である等の特長を有している。
【0075】
【実施例】
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例及び比較例において得られたポリオレフィンの、MI、HMI及び粘度平均分子量の測定方法は次のとおりである。
【0076】
<MIの測定>
JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値で、単位はg/10分である。
【0077】
<HMIの測定>
JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重21.6kgの条件下で測定した値で、単位はg/10分である。
【0078】
<粘度平均分子量の測定>
粘度平均分子量は、20mlのデカリンにポリマー20mgをいれ、150℃、2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の高温糟で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(t)を測定した。なお、ブランクとしてポリマーを入れていない、デカリンのみの落下時間(t )を測定した。以下の式に従いポリマーの粘度平均分子量(Mη)を求めた。
【0079】
【数1】
Figure 2004210896
【0080】
[実施例1]
(触媒の調製)
1gのシリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.4mmol/g−SiOであった。この脱水シリカ1gをヘキサン40ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーにトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を1.5ml加え、1時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させた。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー50mlを得た。
一方、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略記する)1.14gをトルエン10mlに添加して溶解し、ボレートの0.1Mトルエン溶液を得た。
【0081】
このボレートのトルエン溶液にトリエチルアルミニウムの1Mトルエン溶液0.5mlを室温で加え、さらにトルエンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が50mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物1.6mlを、上で得られたスラリー50mlに加え、1時間攪拌した。続いて、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)10mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]100mlに溶解して得られる溶液0.8mlを加え、3時間攪拌した。更に、フェニルシランのヘキサン溶液(0.5mol/リットル)を2mmol添加し、20℃で48時間反応させて、触媒を調製した。
【0082】
(エチレンの重合)
容量1.8lのオートクレーブにヘキサン800mlを入れ、n−ブチルエチルマグネシウムのヘキサン溶液を0.2mmol加えた。このオートクレーブに加圧されたエチレンを入れてオートクレーブの内圧を1MPaに高め、次いで、オートクレーブの内温を65℃に高め、上で得られた触媒のスラリーを、触媒の重量が20mgとなるような量だけオートクレーブに加え、エチレンの重合を開始した。オートクレーブの内圧が1MPaに維持されるようにエチレンをオートクレーブに加えながら、60分間重合を行った。共重合終了後、オートクレーブから反応混合物(ポリマーのスラリー)を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、ポリマーの乾燥粉末60gを得た。このポリマーのデカリン(135℃)中における極限粘度から求めた粘度平均分子量は600万であった。
【0083】
[比較例1]
実施例1において、フェニルシランを反応させなかった以外は、同様の方法で触媒を調製し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末80gを得た。このポリマーのデカリン(135℃)中における極限粘度から求めた粘度平均分子量は320万であった。
【0084】
[実施例2]
(触媒の調製)
1gのシリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.4mmol/g−SiOであった。この脱水シリカ1gをヘキサン40ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーにトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を1.5ml加え、1時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させた。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウムで処理されたシリカのヘキサンスラリー50mlを得た。
一方、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略記する)1.14gをトルエン10mlに添加して溶解し、ボレートの0.1Mトルエン溶液を得た。
【0085】
このボレートのトルエン溶液にジエチルエトキシアルミニウムの1Mトルエン溶液1mlを室温で加え、さらにトルエンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が50mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物1.6mlを、上で得られたスラリー50mlに加え、1時間攪拌した。続いて、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)10mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]100mlに溶解して得られる溶液0.8mlを加え、3時間攪拌した。更に、フェニルシランのヘキサン溶液(0.5mol/リットル)を2mmol添加し、20℃で67時間反応させて、触媒を調製した。
【0086】
(エチレンの重合)
容量1.8lのオートクレーブにヘキサン800mlを入れ、n−ブチルエチルマグネシウムのヘキサン溶液を0.2mmol加えた。このオートクレーブに加圧されたエチレンを入れてオートクレーブの内圧を1MPaに高め、次いで、オートクレーブの内温を70℃に高め、上で得られた触媒のスラリーを、触媒の重量が30mgとなるような量だけオートクレーブに加え、エチレンの重合を開始した。オートクレーブの内圧が1MPaに維持されるようにエチレンを、また分子量調節剤として水素をエチレンの消費量に対して7.5Nml/gで添加しながら、60分間重合を行った。重合終了後、オートクレーブから反応混合物(ポリマーのスラリー)を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、ポリマーの乾燥粉末78gを得た。このポリマーのMIは0.17であった。
【0087】
[比較例2]
実施例2において、フェニルシランを反応させなかった以外は、同様の方法で触媒を調製し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末105gを得た。このポリマーのMIは249であった。
【0088】
[比較例3]
(エチレンの重合)
比較例2において、n−ブチルエチルマグネシウムのヘキサン溶液を0.2mmol加えた後に、フェニルシランを0.1mmol加えた以外は、同様の方法で重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末95gを得た。このポリマーのMIは270であった。
【0089】
[実施例3]
実施例2において、フェニルシランの代わりに水素1Nmlを使用した以外は、同様の方法で触媒を調製し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末45gを得た。このポリマーのMIは50であった。
【0090】
[実施例4]
(触媒の調製)
1gのシリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.4mmol/g−SiOであった。この脱水シリカ1gをヘキサン40ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーにトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を1.4ml加え、1時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させた。続いて、2−エチルヘキサノールのヘキサン溶液(濃度1M)を0.1ml加え、30分攪拌した。その後、ヘキサンを適量加え、ヘキサンスラリー50mlを得た。
一方、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略記する)1.14gをトルエン10mlに添加して溶解し、ボレートの0.1Mトルエン溶液を得た。
【0091】
このボレートのトルエン溶液にジエチルエトキシアルミニウムの1Mトルエン溶液1mlを室温で加え、さらにトルエンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が50mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物1.6mlを、上で得られたスラリー50mlに加え、1時間攪拌した。続いて、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)10mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]100mlに溶解して得られる溶液0.8mlを加え、3時間攪拌した。更に、フェニルシランのヘキサン溶液(0.5mol/リットル)を2mmol添加し、20℃で24時間反応させて、触媒を調製した。
【0092】
(エチレンの重合)
容量1.8lのオートクレーブにヘキサン800mlを入れ、n−ブチルエチルマグネシウムのヘキサン溶液を0.2mmol加えた。このオートクレーブに加圧されたエチレンを入れてオートクレーブの内圧を1MPaに高め、次いで、オートクレーブの内温を70℃に高め、実施例1で得られた触媒のスラリーを、触媒の重量が30mgとなるような量だけオートクレーブに加え、エチレンの重合を開始した。オートクレーブの内圧が1MPaに維持されるようにエチレンを、また分子量調節剤として水素をエチレンの消費量に対して2Nml/gで添加しながら、60分間重合を行った。重合終了後、オートクレーブから反応混合物(ポリマーのスラリー)を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、ポリマーの乾燥粉末70gを得た。このポリマーのHMIは0.03であった。
【0093】
[比較例4]
実施例4において、フェニルシランを反応させなかった以外は、同様の方法で触媒を調製し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末120gを得た。このポリマーのHMIは82.2であった。
【0094】
[実施例5]
実施例4において、フェニルシランの代わりにオクチルシランを用いた以外は、同様の方法で触媒を調製し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末72gを得た。このポリマーのHMIは0.4であった。
【0095】
[比較例5]
実施例4において、フェニルシランの代わりにジフェニルシランを用いた以外は、同様の方法で触媒を調製し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末110gを得た。このポリマーのHMIは79.8であった。
以上の測定結果を表1にまとめて示した。
【0096】
【表1】
Figure 2004210896
【0097】
【発明の効果】
本発明は、予め水素化剤で処理した触媒を用いることにより、得られる重合体の分子量を大幅に向上させる方法を提供するものであり、遷移金属化合物成分を変えることなく得られる重合体の分子量を向上させることができるポリオレフィンの製造方法を提供するものである。本発明のポリオレフィンの製造方法では、活性が高くかつ、分子量の高いポリオレフィンが得られることから、超高分子量ポリオレフィンの製造において生産性の向上が期待できる。

Claims (6)

  1. [A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物および/または(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を、[C]水素化剤と予め反応させてから重合に使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  2. [A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物および/または(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種の化合物と、[C]水素化剤とから形成されるオレフィン重合用触媒を用いて、100万以上の粘度平均分子量を有する重合体を製造することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  3. [A]遷移金属化合物と、[B](B−1)上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換しうるイオン性化合物と、(B−2)粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種の化合物と、[D]担体とからなるオレフィン重合用触媒を、[C]水素化剤と予め反応させてから重合に使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  4. 水素化剤[C]が水素、RSiH4−n(式中、0≦n≦1、Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数6ないし12のアリール基、炭素原子数7ないし20のアルキルアリール基、炭素原子数7ないし20のアリールアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基からなる群より選ばれる炭化水素基である)の中から選ばれる化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
  5. 遷移金属化合物[A]成分が下記の式(1)で表されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
    MXX’ (1)
    (式中、Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基、及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり、
    Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη結合している遷移金属を表し、
    Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、
    Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し、
    X’は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基、及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり、
    kは0または1であり、
    pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、qは0、1または2である)
  6. 前記イオン性化合物(B−1)成分が下記の式(2)で表されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
    [L−H]d+[Md− (2)
    (式中、[L−H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは中性のルイス塩基を表し、dは1〜7の整数であり;[Md−は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Mは、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属またはメタロイドを表し、Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、但し、ハライドであるQの数は1以下であり、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは上で定義した通りであり、p−m=dである。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015168755A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 旭化成ケミカルズ株式会社 エチレン系重合体パウダー及びその製造方法、並びに、成形体

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