JP2004210717A - アリルアミンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物から、蒸留によって高純度のアリルアミンを製造できる方法を提供すること。
【解決手段】アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に、ヒドラジン誘導体又は水素化金属化合物等の還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させた後、蒸留して高純度のアリルアミンを得る。
【選択図】 なし
【解決手段】アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に、ヒドラジン誘導体又は水素化金属化合物等の還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させた後、蒸留して高純度のアリルアミンを得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度のアリルアミンを製造する方法に関する。アリルアミンは、医薬や農薬の中間体などとして有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、アリルアミンの高選択率製造法として、イソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめてアリルアミンを製造する方法が知られている(特許文献1参照)。当該方法はアリルアミンを選択的に且つ好収率で製造できることから工業的に有利な方法といえる。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−103563号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来法の場合でも、得られる反応物には目的とするアリルアミンの他に、反応によって副生する水や未反応原料等が含まれており、工業製品としてのアリルアミンを得るためには、反応終了後に副生成物等を除去する精製工程が必要である。精製は蒸留で行うのが簡便であるが、本発明者らが上記イソプロパノールアミンの気相脱水反応によって得られる反応混合物を蒸留したところ、蒸留ではアリルアミンとの分離が困難な副生物が存在することが判明した。本発明の課題は、上記イソプロパノールアミンの気相脱水反応によって得られる反応混合物のような、アリルアミン及びアリルアミンとの蒸留による分離が困難な化合物を含む混合物から、蒸留によって簡便に高純度のアリルアミンを製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、イソプロパノールアミンの気相脱水反応により得られる反応生成物に含まれるアリルアミンとの蒸留による分離が困難な化合物が、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンであることが判明した。そしてこの化合物の除去法につき検討したところ、上記気相脱水反応生成物に還元剤を添加して反応させると、反応生成物中の上記の分離困難な化合物を、アリルアミンと容易に蒸留分離可能な化合物に転化せしめることができ、その結果、還元剤との反応後の蒸留によって高純度のアリルアミンが得られたのである。
このように、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元することによって、その後の蒸留操作によって高純度のアリルアミンを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させることを特徴とするアリルアミンの製造方法に関する。
【0007】
なお、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンは上記気相脱水反応における副生物であるアセトンがアリルアミンと反応して生成し、そして蒸留の際に逆反応によりアセトンが生成するため、当該アセトンが、アリルアミンと蒸留による分離が困難であり蒸留後に再びアリルアミンと反応してN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンが生成するものと予想される。
本発明において、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンと還元剤の反応には、アセトンと還元剤の反応が包含される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるアリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物は、通常、アリルアミンがN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンよりも多く含有するものであるが、両者の含有量は特に限定されない。当該混合物は、如何なる方法によって得られたものであってもよく、例えば、脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめてアリルアミンを製造する方法により得られる反応混合物が挙げられる。なお、脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめる方法は、特開平4−103563号公報に記載の方法で実施すればよい。
【0009】
本発明に用いる還元剤は、好ましくはヒドラジン誘導体及び水素化金属化合物、より好ましくは一般式(1)
【0010】
R1R2NNH2 (1)
(式中、R1及びR2は互いに同じか又は異なってそれぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)で示される化合物及び一般式(2):
AMHmR3 n (2)
(式中、Aは第1族元素、Mは第12族元素又は第13族元素を、R3はアルコキシ基又はアシロキシ基を表し、mは1〜4の整数、nは0〜3の整数であり、m+n=4である。)で示される化合物である。
【0011】
一般式(1)においてR1及びR2で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基である。またアリール基としては、好ましくはフェニル基である。
【0012】
ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン(水和物を含む)、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ジフェニルヒドラジン等が挙げられる。
【0013】
一般式(2)においてAは第1族元素であり、具体的にはナトリウム、カリウム及びリチウムが挙げられ、好ましくはナトリウムである。また、Mは第12族元素又は第13族元素であり、具体的には、ホウ素、アルミニウム及び亜鉛が挙げられ、好ましくはホウ素である。またR3で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルキルオキシ基、及び当該アルキルオキシ基の水素原子をアルキルオキシ基で置換した基、例えば、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。またアシロキシ基としては、アセトキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0014】
水素化金属化合物の具体例としては、例えば、水素化ホウ素=リチウム、水素化ホウ素=ナトリウム、水素化ホウ素=カリウム、水素化アルミニウム=リチウム、水素化アルミニウム=ナトリウム、水素化アルミニウム=カリウム、水素化ホウ素=亜鉛、ナトリウム=ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド等が挙げられる。
【0015】
還元剤の使用量はN−(1−メチルエチリデン)アリルアミン1重量部に対して通常0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0016】
本発明は、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加して、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させる。なお、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物が水を含む場合には、該混合物から水を除去した後に還元剤を添加して反応させるのが好ましい。水の除去は蒸留によって行うのが簡便であるが、これに限定されない。
【0017】
上記還元剤との反応は、0〜70℃、好ましくは10〜50℃で、0.2時間〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、還元剤添加後の混合物を攪拌することで実施できる。
【0018】
そして還元剤との反応後に得られる反応混合物を蒸留すれば高純度のアリルアミンを得ることができる。蒸留は一般に公知の方法で実施すればよい。一例を示すと、常圧又は加圧下に、還流比を通常30以下、好ましくは15以下として蒸留する。還流比が30より大きいと蒸留に長時間要するため、経済的に好ましくない。蒸留設備は、特に限定されず、連続式や回分式のいずれでもよく、蒸留塔は充填塔や棚段塔などの精留塔を用いることができる。
【0019】
本発明の特に好ましい実施態様は、(1)脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめ、得られる反応混合物に還元剤を添加し、該反応混合物に含まれるN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させる方法、(2)脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめ、得られる反応混合物に還元剤を添加し、該反応混合物に含まれるN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させ、次いで蒸留してアリルアミンを得る方法、及び(3)脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめ、得られる反応混合物を蒸留して粗アリルアミンを得た後、これに還元剤を添加し、粗アリルアミンに含まれるN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させ、次いで蒸留してアリルアミンを得る方法である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、これら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例においてアリルアミン、イソプロパノールアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンの含有量はガスクロマトグラフィーで、水の含有量はカールフイッシャー水分計で測定した。
【0021】
参考例1
粗製のアリルアミンを次のようにして得た。
縦型石英製反応管(内径26mm、長さ500mm)にジルコニウム酸化物126mlを充填した。環状電気炉により反応管の外部から触媒充填部が370〜400℃に保持されるように調節した。反応管頂部からイソプロパノールアミン及び窒素[イソプロパノールアミン/窒素(モル比)=1/2]を供給して、これらの混合ガスを前記触媒上に導いた。なおイソプロパノールアミンの液空間速度(LHSV)を2/時間となるように調整した。反応管から流出するガス状の反応生成物を氷水で冷却した凝縮器に導き、凝縮物を得た。得られた凝縮物の組成はつぎのとおりであった。
【0022】
アリルアミン 48.0重量%
水 25.1重量%
イソプロパノールアミン 15.3重量%
その他 11.6重量%
【0023】
上記で得られた凝縮物5079.3gを用い、塔径20mm、理論段数20段のガラス製蒸留塔を用い、常圧下、還流比を3に保って蒸留を行い、粗アリルアミンを得た。得られた粗アリルアミン組成は次の通りであり、アリルアミンの回収率は98%であった。
【0024】
アリルアミン 97.4重量%
N−(1−メチルエチリデン)アリルアミン 1.0重量%
その他 1.6重量%
水 2.8重量%
【0025】
実施例1
参考例1で得た粗アリルアミン2490.5gにヒドラジン1水和物(試薬)を63.2g加え、25℃で2時間攪拌して反応させた。反応終了後の反応混合物には、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンは確認されなかった。次に得られた反応混合物を、塔径20mm、理論段数40段のガラス製蒸留塔を用い、常圧下、還流比を15に保って蒸留し、アリルアミンを留出させた。得られたアリルアミンは次の通りでありアリルアミンの回収率は91%であった。
【0026】
アリルアミン 99.3重量%
N−(1−メチルエチリデン)アリルアミン 0重量%
その他 0.7重量%
水 0.1重量%
【0027】
比較例1
実施例1においてヒドラジン1水和物を使用しなかった以外は実施例1と同様に行った。その結果、得られたアリルアミンは、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミン0.8重量%を含有していた。
【0028】
実施例2
比較例1で得られたアリルアミン20gに、水素化ホウ素ナトリウム0.11g及び水6.3gからなる溶液を加え、25℃で1時間攪拌した結果、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンは消失していた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度のアリルアミンを製造する方法に関する。アリルアミンは、医薬や農薬の中間体などとして有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、アリルアミンの高選択率製造法として、イソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめてアリルアミンを製造する方法が知られている(特許文献1参照)。当該方法はアリルアミンを選択的に且つ好収率で製造できることから工業的に有利な方法といえる。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−103563号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来法の場合でも、得られる反応物には目的とするアリルアミンの他に、反応によって副生する水や未反応原料等が含まれており、工業製品としてのアリルアミンを得るためには、反応終了後に副生成物等を除去する精製工程が必要である。精製は蒸留で行うのが簡便であるが、本発明者らが上記イソプロパノールアミンの気相脱水反応によって得られる反応混合物を蒸留したところ、蒸留ではアリルアミンとの分離が困難な副生物が存在することが判明した。本発明の課題は、上記イソプロパノールアミンの気相脱水反応によって得られる反応混合物のような、アリルアミン及びアリルアミンとの蒸留による分離が困難な化合物を含む混合物から、蒸留によって簡便に高純度のアリルアミンを製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、イソプロパノールアミンの気相脱水反応により得られる反応生成物に含まれるアリルアミンとの蒸留による分離が困難な化合物が、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンであることが判明した。そしてこの化合物の除去法につき検討したところ、上記気相脱水反応生成物に還元剤を添加して反応させると、反応生成物中の上記の分離困難な化合物を、アリルアミンと容易に蒸留分離可能な化合物に転化せしめることができ、その結果、還元剤との反応後の蒸留によって高純度のアリルアミンが得られたのである。
このように、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元することによって、その後の蒸留操作によって高純度のアリルアミンを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させることを特徴とするアリルアミンの製造方法に関する。
【0007】
なお、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンは上記気相脱水反応における副生物であるアセトンがアリルアミンと反応して生成し、そして蒸留の際に逆反応によりアセトンが生成するため、当該アセトンが、アリルアミンと蒸留による分離が困難であり蒸留後に再びアリルアミンと反応してN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンが生成するものと予想される。
本発明において、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンと還元剤の反応には、アセトンと還元剤の反応が包含される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるアリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物は、通常、アリルアミンがN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンよりも多く含有するものであるが、両者の含有量は特に限定されない。当該混合物は、如何なる方法によって得られたものであってもよく、例えば、脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめてアリルアミンを製造する方法により得られる反応混合物が挙げられる。なお、脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめる方法は、特開平4−103563号公報に記載の方法で実施すればよい。
【0009】
本発明に用いる還元剤は、好ましくはヒドラジン誘導体及び水素化金属化合物、より好ましくは一般式(1)
【0010】
R1R2NNH2 (1)
(式中、R1及びR2は互いに同じか又は異なってそれぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)で示される化合物及び一般式(2):
AMHmR3 n (2)
(式中、Aは第1族元素、Mは第12族元素又は第13族元素を、R3はアルコキシ基又はアシロキシ基を表し、mは1〜4の整数、nは0〜3の整数であり、m+n=4である。)で示される化合物である。
【0011】
一般式(1)においてR1及びR2で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基である。またアリール基としては、好ましくはフェニル基である。
【0012】
ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン(水和物を含む)、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ジフェニルヒドラジン等が挙げられる。
【0013】
一般式(2)においてAは第1族元素であり、具体的にはナトリウム、カリウム及びリチウムが挙げられ、好ましくはナトリウムである。また、Mは第12族元素又は第13族元素であり、具体的には、ホウ素、アルミニウム及び亜鉛が挙げられ、好ましくはホウ素である。またR3で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルキルオキシ基、及び当該アルキルオキシ基の水素原子をアルキルオキシ基で置換した基、例えば、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。またアシロキシ基としては、アセトキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0014】
水素化金属化合物の具体例としては、例えば、水素化ホウ素=リチウム、水素化ホウ素=ナトリウム、水素化ホウ素=カリウム、水素化アルミニウム=リチウム、水素化アルミニウム=ナトリウム、水素化アルミニウム=カリウム、水素化ホウ素=亜鉛、ナトリウム=ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド等が挙げられる。
【0015】
還元剤の使用量はN−(1−メチルエチリデン)アリルアミン1重量部に対して通常0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0016】
本発明は、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加して、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させる。なお、アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物が水を含む場合には、該混合物から水を除去した後に還元剤を添加して反応させるのが好ましい。水の除去は蒸留によって行うのが簡便であるが、これに限定されない。
【0017】
上記還元剤との反応は、0〜70℃、好ましくは10〜50℃で、0.2時間〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、還元剤添加後の混合物を攪拌することで実施できる。
【0018】
そして還元剤との反応後に得られる反応混合物を蒸留すれば高純度のアリルアミンを得ることができる。蒸留は一般に公知の方法で実施すればよい。一例を示すと、常圧又は加圧下に、還流比を通常30以下、好ましくは15以下として蒸留する。還流比が30より大きいと蒸留に長時間要するため、経済的に好ましくない。蒸留設備は、特に限定されず、連続式や回分式のいずれでもよく、蒸留塔は充填塔や棚段塔などの精留塔を用いることができる。
【0019】
本発明の特に好ましい実施態様は、(1)脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめ、得られる反応混合物に還元剤を添加し、該反応混合物に含まれるN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させる方法、(2)脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめ、得られる反応混合物に還元剤を添加し、該反応混合物に含まれるN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させ、次いで蒸留してアリルアミンを得る方法、及び(3)脱水能を有する触媒の存在下にイソプロパノールアミンを気相脱水反応せしめ、得られる反応混合物を蒸留して粗アリルアミンを得た後、これに還元剤を添加し、粗アリルアミンに含まれるN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させ、次いで蒸留してアリルアミンを得る方法である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、これら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例においてアリルアミン、イソプロパノールアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンの含有量はガスクロマトグラフィーで、水の含有量はカールフイッシャー水分計で測定した。
【0021】
参考例1
粗製のアリルアミンを次のようにして得た。
縦型石英製反応管(内径26mm、長さ500mm)にジルコニウム酸化物126mlを充填した。環状電気炉により反応管の外部から触媒充填部が370〜400℃に保持されるように調節した。反応管頂部からイソプロパノールアミン及び窒素[イソプロパノールアミン/窒素(モル比)=1/2]を供給して、これらの混合ガスを前記触媒上に導いた。なおイソプロパノールアミンの液空間速度(LHSV)を2/時間となるように調整した。反応管から流出するガス状の反応生成物を氷水で冷却した凝縮器に導き、凝縮物を得た。得られた凝縮物の組成はつぎのとおりであった。
【0022】
アリルアミン 48.0重量%
水 25.1重量%
イソプロパノールアミン 15.3重量%
その他 11.6重量%
【0023】
上記で得られた凝縮物5079.3gを用い、塔径20mm、理論段数20段のガラス製蒸留塔を用い、常圧下、還流比を3に保って蒸留を行い、粗アリルアミンを得た。得られた粗アリルアミン組成は次の通りであり、アリルアミンの回収率は98%であった。
【0024】
アリルアミン 97.4重量%
N−(1−メチルエチリデン)アリルアミン 1.0重量%
その他 1.6重量%
水 2.8重量%
【0025】
実施例1
参考例1で得た粗アリルアミン2490.5gにヒドラジン1水和物(試薬)を63.2g加え、25℃で2時間攪拌して反応させた。反応終了後の反応混合物には、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンは確認されなかった。次に得られた反応混合物を、塔径20mm、理論段数40段のガラス製蒸留塔を用い、常圧下、還流比を15に保って蒸留し、アリルアミンを留出させた。得られたアリルアミンは次の通りでありアリルアミンの回収率は91%であった。
【0026】
アリルアミン 99.3重量%
N−(1−メチルエチリデン)アリルアミン 0重量%
その他 0.7重量%
水 0.1重量%
【0027】
比較例1
実施例1においてヒドラジン1水和物を使用しなかった以外は実施例1と同様に行った。その結果、得られたアリルアミンは、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミン0.8重量%を含有していた。
【0028】
実施例2
比較例1で得られたアリルアミン20gに、水素化ホウ素ナトリウム0.11g及び水6.3gからなる溶液を加え、25℃で1時間攪拌した結果、N−(1−メチルエチリデン)アリルアミンは消失していた。
Claims (7)
- アリルアミン及びN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを含む混合物に還元剤を添加し、該混合物中のN−(1−メチルエチリデン)アリルアミンを還元剤と反応させることを特徴とするアリルアミンの製造方法。
- 還元剤が、ヒドラジン誘導体又は水素化金属化合物である請求項1記載の方法。
- ヒドラジン誘導体が、一般式(1):
R1R2NNH2 (1)
(式中、R1及びR2は互いに同じか又は異なってそれぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)で示される化合物である請求項2に記載の方法。 - ヒドラジン誘導体が、ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、フェニルヒドラジン及びセミカルバジドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 水素化金属化合物が、一般式(2):
AMHmR3 n (2)
(式中、Aは第1族元素、Mは第12族元素又は第13族元素を、R3はアルコキシ基又はアシロキシ基を表し、mは1〜4の整数、nは0〜3の整数であり、m+n=4である。)で示される化合物である請求項2に記載の方法。 - 水素化金属化合物が、水素化ホウ素アルカリ及び水素化アルミニウムアルカリからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項2に記載の方法。
- 水素化金属化合物が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素亜鉛、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミナト=ナトリウム、ナトリウム=トリアセトキシボロヒドリドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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