JP2004209921A - 液滴吐出ヘッド・液滴吐出ヘッドの製造方法・液体カートリッジ・画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド・液滴吐出ヘッドの製造方法・液体カートリッジ・画像形成装置 Download PDF

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邦博 三浦
Shigeru Kanehara
滋 金原
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Abstract

【課題】液体抵抗流動部の流体抵抗値のバラツキを小さくでき、高周波での噴射の場合もノズルへ十分なインク供給が可能であり、噴射バラツキによる画質劣化を抑制できるようにする。
【解決手段】記録ヘッド14における加圧液室51bは、外部から液体を流入させる液体流入口51jと該加圧液室51bよりも狭い液体抵抗流動部56で連結されており、加圧液室51bで発生させた圧力を液体流入口51j方向に逃がすことなく効率良くノズルに伝えることが可能となっている。液体抵抗流動部56の長さ方向寸法Lを400μm以下にすることにより、液体抵抗流動部56の流体抵抗値を低下させ、高周波での噴射の場合もノズルへの十分なインク供給を可能とし、噴射バラツキを抑えることが可能となる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク等の液滴を吐出する液滴吐出ヘッド、該液滴吐出ヘッドの製造方法、該液滴吐出ヘッドを有する液体カートリッジ及び該液滴吐出ヘッドを有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像形成装置として用いられるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、圧力室、加圧液室、流路とも称される。)と、この液室内のインクを振動板を介して加圧するための駆動手段(圧力発生手段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載している。
液滴吐出ヘッドとしては、例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明をする。
インクジェットヘッドとしては、駆動手段が圧電素子であるもの(特公平2−51734号公報参照)や、インクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインクを吐出させる方式のもの(特公昭61−59911号公報参照)、駆動手段に静電気力を利用したもの(特開平5−50601号公報参照)などがある。
【0003】
インクジェットヘッドは記録媒体上のドットをインク滴により構成する関係上、インク滴のサイズを小さくすることにより、極めて高い解像度での記録、印刷が可能である。しかしながら、効率よく記録するためには、インク開口(ノズル)の数を多くする必要があり、また圧力室(加圧液室)を大きくする必要がある。
このことはヘッドの小型化要請とは相反することである。このような相反する問題を解消するため、通常隣り合う圧力室を区画している壁(隔壁)を薄くすると共に圧力室の形状を長手方向に大きくして容積を稼ぐことが行われている。
このような圧力室やリザーバ(液溜め室)は振動板とノズルプレートの間隔を所定の値に保持する部材である液室形成部材に形成されているが、上述したように極めて小さく、しかも複雑な形状を備えた加圧液室を形成する必要上、加圧液室形成部材の加工には通常エッチング技術が使用されている。
【0004】
このような加圧液室形成部材を形成する材料としては感光性樹脂膜が使用されることが多いが、これは機械的強度が低いためクロストークや撓み等が生じやすく、高い解像度を得ようとすると印字品質が低下するという問題がある。
そこで比較的簡単な手法で微細な形状を高い精度で加工が可能なシリコン単結晶基板の異方性エッチングを用いた部品製作技術、いわゆるマイクロマシニング技術を適用してインクジェット式記録ヘッドを構成する部材を加工することが検討され、種々な技術や手法が提案されている。
特に結晶方位(110)の単結晶シリコン基板を加圧液室形成部材に用いて、異方性エッチングを行い、圧力室やリザーバを形成することが提案されている。単結晶シリコンを使用したスペーサは機械的剛性が高いため、特に圧電振動子を圧力発生手段として使用する場合に圧電振動子の変形に伴う記録ヘッド全体の撓みを小さくできるとともに、エッチングを受けた壁面が表面に対してほぼ垂直であるため圧力発生室を均一に構成することが可能であるという大きな利点を備えている。
【0005】
特開2001−63047号公報には、ヘッド筐体内部に形成された複数の圧力室の各々が、少なくとも先端部に液滴噴射ノズルを備えた液滴噴射流路と、共通液室から圧力室にインクを供給する流体抵抗流路と連結され、ピエゾ圧電素子により振動板を上下振動させる圧力制御により、ノズルからインク液滴を噴射させるインクジェットヘッドが開示されている。
圧力室に加圧する時に同時に、流体抵抗路を狭めて流体抵抗値を大きくして逆流を阻止し、加圧を開放した時は、流体抵抗路を広げてインクの供給をしやすくするものである。
特開2000−6402号公報には、ノズル開口に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発生室に対応する領域に少なくとも下電極、圧電体層、上電極を含む圧電素子を設けたインクジェット式記録ヘッドが開示されている。
外部からインクが供給されるインク供給口に連通される連通部と、前記圧力発生室とが該圧力発生室の幅よりも狭い幅を有する部分を介して連通され、前記圧力発生室の前記幅の狭い部分の端部近傍にその幅が徐々に狭くなる部分を設け、圧電体層の破壊等を防止することを特徴とするものである。
【0006】
特開平10−264383号公報には、シリコン基板に形成されてインクが収容されるインクキャビティと、該インクキャビティ内の圧力を変化させ、インクキャビティ内に収容されたインクを外部に吐出させる圧電素子とを備えたインクジェット式記録ヘッドが開示されている。
インクキャビティの内壁表面に親水性及び耐アルカリ性を備えた膜、例えばニッケル酸化膜やシリコン酸化膜を形成したことを特徴とするものである。
特開平7−125198号公報には、ノズル開口の各々と連通する圧力発生室と、圧力発生室にインクを供給するための共通のインク室と、圧力発生室と共通のインク室と接続するインク供給口とを形成する流路形成基板のインク供給口に、インク滴吐出性能を支配する最狭部を形成し、ここから複数の段差部を経由して圧力発生室に向けて拡開するよう構成して、流体抵抗を変化させることなく長さをかせいで、インク供給口近傍の接着面積を拡大する構成が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特公昭61−59911号公報
【特許文献2】
特開平7−125198号公報
【特許文献3】
特開平10−264383号公報
【特許文献4】
特開2000−6402号公報
【特許文献5】
特公平2−51734号公報
【特許文献6】
特開平5−50601号公報
【特許文献7】
特開2001−63047号公報
【特許文献8】
特開2002−254638号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法によって形成された加圧液室形成部材には、加圧液室に発生する圧力を効率よく液滴吐出に利用するため、加圧液室より狭い液体流動部(液体抵抗流動部)を設ける必要があるが、液体流入口からノズルまでの液体流動路全体としては、流体抵抗値は小さいほどよい。
しかしながら、チャンネル(流路)の高密度化(高解像度化)に伴い、加圧液室幅は必然的に小さくなり、液体流入口から加圧液室、加圧液室からノズルへの液体流動路、ノズルを含めた1チャンネルの流体抵抗値は大きくなる。
このため、加圧液室よりも狭い液体抵抗流動部の抵抗を小さくして1チャンネル全体の流体抵抗値を小さくする必要がある。液体抵抗流動部の幅方向にはチャンネルの高密度化に伴い限度があるため、長さ方向を短くすることで流体抵抗値を小さくすることにより上記不具合を解決することができる。
【0009】
ここでいう、加圧液室より狭い液体抵抗流動部とは、加圧液室より単位長あたりの流体抵抗値が大きい部分という意味である。
但し、加圧液室よりも狭い液体抵抗流動部の流体抵抗値は液滴の噴射特性に大きく影響するため、液体抵抗流動部の流体抵抗値のバラツキを小さく抑える必要がある。液体抵抗流動部の長さ方向を短くした場合、相対的に流体抵抗値のバラツキは大きくなる。
【0010】
そこで、本発明は、液体抵抗流動部の流体抵抗値のバラツキを小さくでき、高周波での噴射の場合もノズルへ十分なインク供給が可能であり、噴射バラツキによる画質劣化を抑制できる液滴吐出ヘッド、該液滴吐出ヘッドの製造方法、該液滴吐出ヘッドを有する液体カートリッジ、該液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置の提供を、その目的とする。
また、本発明は、チップサイズの縮小によるシリコン基板からのチップ取れ数の増加(製造コストの低下)及びヘッドの小型化の向上を、その目的とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図9に基づいて説明する。
まず、図8及び図9に基づいて、本実施形態における画像形成装置としてのインクジェット記録装置の構成の概要を説明する。
記録装置本体1の内部には、主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドヘのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印宇機構部2等が収納されている。
給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙するようになっている。
【0012】
印宇機構部2では、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12によりキャリッジ13が主走査方向(図8で紙面垂直方向)に摺動自在に保持されている。キャリッジ13には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドとしての記録ヘッド14がインク滴吐出方向を下方に向けて装着され、キャリッジ13の上側には記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15が交換可能に装着されている。
インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクを僅かな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクを記録ヘッド14の各インクジェットヘッド内に供給する。
【0013】
本実施形態では記録ヘッド14として、各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。記録ヘッド14を構成する個々のインクジェットヘッドとしては、圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるバブル型のもの、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板とこれに対向する電極とを備え、静電力で振動板を変形変位させてインクを加圧する静電型のものなどを用いることができるが、本実施形態では、後述するように、静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0014】
キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装され、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置されている。キャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルレト20が掛け回されている。このタイミングベルト20にキャリッジ13が固定されており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
給紙カセット4にセットされた用紙3を記録ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給送する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25と、搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26が設けられている。搬送ローラ24は主走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0015】
キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して、搬送回一ラ24から送り出された用紙3を記録記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29が設けられている。印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32が設けられ、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ロ一ラ33及び抽車34と、排紙経路を形成するガイド部材35、36が配設されている。
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号、または用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0016】
キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37が配置されている。回復装置37は、図示しないキャッピング手段、吸引手段、クリーニング手段等を有している。
キャリッジ13は印字待機中には回復装置37側に移動され、上記キャッピング手段により記録ヘッド14をキャッピングされる。これにより、吐出口部(ノズル孔)が湿潤状態に保たれ、インク乾燥による吐出不良が防止される。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持するように制御される。
【0017】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段により記緑ヘッド14の吐出口(ノズルまたはノズル孔)が密封され、チューブを通して上記吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等が吸い出される。このように、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。
吸引されたインクは、装置本体下部に設置された図示しない廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0018】
次に、図1に基づいて記録ヘッド14の要部の構成を説明する。
記録ヘッド14は、ノズル形成部材50と、加圧液室形成部材51と、振動板52と、圧力発生手段(アクチュエータ)53を有している。
ノズル形成部材50には、インク滴を飛翔させるための微細孔である多数のノズル(ノズル孔)50aが各加圧液室の先端部分(後述する連通管51a)に対応して形成されており、各ノズル50aの径は20〜35μmに設定されている。
ノズル形成部材50は、本実施形態では電鋳工法によって製造したNiの金属プレートを用いて形成されている。Niの金属プレートに限定される趣旨ではなく、シリコンやその他金属材料、あるいはポリイミド等の樹脂フィルムを用いることができる。なお、ノズル形成部材50の表面には撥水性の表面処理膜を成膜している。
【0019】
加圧液室形成部材(流路板)51には、各ノズル50aに連通する連通管51aがノズル50aに対応して形成されているとともに、振動板52に対する接合面側には、連通管51aに連通する加圧液室51bが複数形成されている。また、加圧液室形成部材51のノズル形成部材50に対する接合面側には、接合時の反りを低減するために、振動板52に対する接合面との凹部体積比を同等にするための擬似液室パターン51cが複数形成されている。
加圧液室形成部材51は、シリコンで形成されており、シリコン基板の面方位は(110)を使用している。Si(110)基板を使用することにより、ノズル50aのピッチ方向に対して垂直に加圧液室51bを形成することができるため、微細化、狭ピッチ化に有利となる。
連通管51aは、例えばドライエッチング法と異方性エッチング方法により形成されている。加圧液室51b、擬似液室パターン51cは、シリコンの異方性エッチング法により形成されている。また、加圧液室形成部材51の表面には酸化膜が形成されている。酸化膜が形成されていることで、インクに対して溶出しにくく、また濡れ性も向上するため気泡の滞留が生じにくい構造となる。これは酸化膜に限らず窒化チタン(TiN)膜、またはポリイミド膜でもかまわない。
【0020】
振動板52は、Ni電鋳工法で形成した金属プレートからなり、該振動板52の振動機能部は、圧電素子53内の非駆動部に接合する梁部52aと、圧電素子53内の駆動部に接合する島状凸部51bと、該島状凸部51bの周囲に形成された厚み2〜10μm程度の最薄膜部分(ダイヤフラム領域)52cを有している。
圧力発生手段53は、セラミックス基板、例えばチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶縁性の基板54上に、電気機械変換素子である複数の積層型圧電素子55を列状に2列配列して接合し、これら2列の各圧電素子55をダイシングにより切断を行って形成されている。
各列の複数の圧電素子55はチャンネル方向で駆動波形を印加する駆動部55aと、駆動波形を印加しない非駆動部55bを交互に構成している。圧電素子55は、厚さ10〜50μm/層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)と、厚さ数μm/層の銀パラジューム(AgPd)からなる内部電極とを交互に積層したものである。
【0021】
圧電素子55を厚さ10〜55μm/層の積層型とすることによって低電圧駆動を可能としている。なお、加圧液室51b内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段53としては、電気機械変換素子として圧電素子55を有する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、静電気で振動板を変形させる静電型、あるいは熱エネルギーによってインクにバブルを発生させるサーマルインクジェット型、音響波エネルギーによってインクを吐出する音響型、放電のエネルギーによってインクを吐出するスパークジェット型なども適用可能である。
圧力発生手段53における圧力発生は次のようになされる。例えば、特開2002−254638号公報に開示されているように、圧電素子55の内部電極を交互に端面に取り出して端面電極とし、一方、基板上に共通電極パターン及び個別電極パターンを駆動部となる圧電素子55の端面電極に導電性接着剤等を介して電気的に接続し、共通電極パターン及び共通電極パターンに接続したFPCケーブルを介してPCB基板と接続して駆動部に駆動波形を印加することによって積層方向の伸びの変位を発生させる。
【0022】
図2は、本実施形態における記録ヘッド14の3bit分の加圧液室51bの形状を示している。加圧液室51bは、外部から液体を流入させる液体流入口51jと該加圧液室51bよりも狭い液体抵抗流動部56で連結されており、加圧液室51bで発生させた圧力を液体流入口51j方向に逃がすことなく効率良くノズル50aに伝えることが可能となっている。
本実施形態では、各加圧液室51bに対して液体抵抗流動部56が一対一で対応する構成を採っている。各加圧液室51bに対して液体抵抗流動部56を1箇所形成することにより、各加圧液室51bに対して複数配設されている場合(例えば特開2001−63047号公報に開示された構成)に比べて、液体流動時の複数の液体流動に起因する干渉及びインクの滞りといった不具合を解消することが可能となる。
【0023】
液体抵抗流動部56の寸法制御に関しては、シリコンエッチングをドライエッチングの深堀プロセスで行う場合、幅方向寸法W及び長さ方向寸法Lはマスク膜で規定することにより形成することが可能となる。
シリコンエッチングをアルカリウェットプロセスで行う場合、幅方向寸法Wはシリコン(111)面により規定することにより、制御よく形成することが可能となる。
長さ方向寸法Lは、加圧液室51bと液体抵抗流動部56との接続部57、外部からの液体流動路、すなわち液体流入口51jと液体抵抗流動部56との接続部58にシリコンの高次面が出現することから、この部分のマスクとして図3に示す補正パターン59、60を形成することにより高精度な寸法制御が可能となる。
【0024】
長さ方向寸法Lを400μm以下にすることにより、加圧液室51bよりも狭い液体抵抗流動部56の流体抵抗値を低下させ、高周波での噴射の場合もノズル50aへの十分なインク供給を可能とし、噴射バラツキを抑えることが可能となる。
また、ヘッドチップサイズの縮小によるシリコン基板からのチップ取れ数増加により製造コストの低減を図れるとともに、ヘッドの小型化を実現できる。上記構成の加圧液室形成部材51を使用することにより、高性能で高信頼性の液摘吐出ヘッドを提供することが可能となる。
【0025】
図4に基づいて本実施形態における加圧液室形成部材51の製造方法を示す。本実施形態では、加圧液室形成部材51をドライエッチングによる深堀で形成することを特徴としている。
図4(a)に示すように、厚さ400μmのシリコン基板61を用意し、該シリコン基板61の表面に、厚さ0.1μmのシリコン熱酸化膜62及び0.6μmのALスパッタ膜63を形成した。
ALスパッタ膜63は、シリコンドライエッチング時にマスク膜として高い選択性を有するが、その他CrやWSiなどの同様に高い選択性を示す他のメタル膜でもよい。使用するウェハの種類は両面研磨ウェハ、両面未研磨ウェハ、片面未研磨ウェハのどのウェハを使用してもかまわない。また、比抵抗も揃っている必要は無く、例えば本実施例では比抵抗0.1〜100Ωcmのウェハを使用している。
【0026】
次に、図4(b)に示すように、加圧液室51b側の面及びノズル50a側の面にそれぞれレジストパターニング64を行い、その後メタルドライエッチャーにてALスパッタ膜63をエッチングし、ALマスク膜パターン65の形成を行う。次に、図4(c)に示すように、フッ酸によるウェットエッチングによりシリコン熱酸化膜62をエッチングすることにより、加圧液室51b側の面に流路パターン66、ノズル50a側の面に擬似液室パターン67を形成する。
次に、レジスト64の除去を行い、その後、図4(d)に示すように、加圧液室51b側の面に連通管51a形成用の厚膜レジストパターニング68を行い、これをマスクにドライエッチングを行って、シリコン基板61に連通管部69を形成する。
この時のエッチングの深さは、以後の工程で実施する加圧液室51bの深さに依存するが、例えば加圧液室51bの深さを90μmとした場合には、ドライエッチングの面内均一性やシリコン基板61の厚みバラツキを考慮して320〜340μm程度とする。
【0027】
次に、図4(e)に示すように、レジスト68の除去を行った後に、図4(f)に示すように、AL膜パターン65をマスクに加圧液室51bの深さ分のドライエッチングを行う。これにより加圧液室51b側の面に所定の流路パターン70(最終的に加圧液室51bとなる)が形成される。また、連通管部69は前記のエッチングに加えエッチングが進行し、エッチングはシリコン基板61を貫通する。これにより連通管51aが完成する。
この時、エッチングはある程度のオーバーエッチが必要であり、これによりシリコン基板61の裏面の薄いシリコン熱酸化膜62も貫通する。しかし、最外面のALスパッタ膜63はドライエッチングに対し高い選択性を有するため、該ALスパッタ膜63でエッチングをストップさせることができ、これによりシリコン基板61の貫通孔から図示しないエッチング装置ウェハステージへプラズマが直接照射されることを防ぐことができる。
また、このドライエッチングにおいて、順テ−パプロファイルもしくは垂直形状でエッチングすることにより、気泡排出性のよい連通管形状が得られる。
【0028】
次に、図4(g)に示すように、ノズル50a側の面について、上記と同様にAL膜パターン65をマスクに所定の深さにICPドライエッチングを行い、擬似液室部71を形成する。次に、図4(h)に示すように、ウェットエッチングによりALスパッタ膜63及びシリコン熱酸化膜62を除去し、その後耐インク接液膜としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成してインクジェット用の加圧液室形成部材51の形成(加工)を行った。
【0029】
図5は、加圧液室51bよりも狭い液体抵抗流動部56が長さ方向にバラツキを持った場合の、インクジェットヘッドのインク噴射速度バラツキ(Max−Min)との関係の測定実験の結果を示すグラフである。
図6は、本実施形態における加圧液室形成部材51を使用した記録ヘッド14のインク噴射速度バラツキ(Max−Min)と液体抵抗流動部56の長さとの関係の測定実験の結果を示すグラフである。
図5から明らかなように、液体抵抗流動部56がその長さ方向にバラツキを持った場合のインクジェットヘッドでは、液体抵抗流動部56の長さが短くなった場合に長さ方向のバラツキによる影響が支配的となり、噴射速度差が大きくなるため画像の劣化につながっていた。
【0030】
一方、図6から明らかなように、本実施形態における加圧液室形成部材51を使用した場合の液体抵抗流動部56の長さのバラツキは3μm程であった。このため、噴射速度差の流体抵抗の長さ依存性はほとんど無くなくなっていると言える。
図7は、高周波領域にてマルチ噴射を実施したときの噴射不良率を測定した実験結果を示すグラフである。チャンネルの密度は300dpiである。本発明(本実施形態)による加圧液室形成部材51を使用した場合は、高周波領域でも噴射ダウンは生じていないが、液体抵抗流動部56の長さが400μm以上の場合はノズル50aへのインクの供給が間に合わなくなり、噴射ダウンが生じている。
上記各実験結果から明らかなように、本実施形態における加圧液室形成部材51を用いた記録ヘッド14によれば、高品質の画像を形成することができる。
また、高周波でのインク吐出の際にも噴射ダウンのない液滴吐出ヘッドを形成することができる。
【0031】
以下に他の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要が無い限り既にした構成上及び機能上の説明は省略し、要部のみ説明する。
図10に基づいて、第2の実施形態(加圧液室形成部材の製造方法)を説明する。本実施形態では、加圧液室形成部材をドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用することにより形成することを特徴としている。
まず、図10(a)に示すように、厚さが400μmでSi(110)のシリコン基板72を用意し、その表面に厚さ1μmのシリコン酸化膜73、厚さ0.15μmの厚さのシリコン窒化膜74を形成した。なお、実際の厚みと図面上の厚みは必ずしも一致していない。
【0032】
使用するウェハの厚さ寸法は、そのまま連通管51aの高さ寸法となるため、厚さ600μm以下のウェハを使用している。ウェハの種類は両面研磨ウェハ、両面未研磨ウェハ、片面未研磨ウェハのどのウェハを使用してもかまわない。また、比抵抗も揃っている必要は無く、例えば本実施形態では比抵抗0.1〜100Ωcmのウェハを使用している。
次に、図10(b)に示すように、ノズル接合面にノズル50a面側連通管パターン75と、接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜きパターン76の形状を有するように、レジストのパターニング77を行い、その後ドライエッチングにてシリコン窒化膜74のみのパターニングを行った。次に、図10(c)に示すように、連通管パターン75の形状にレジストのパターニング78及びシリコン酸化膜73のみのパターニングを行った。
【0033】
この工程では肉抜きパターン76を加圧液室とほぼ同じ形状にて形成した。次に図10(d)に示すように、ノズル接合面のレジスト78を除去するとともに、加圧液室のパターン79及び振動板52との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜きパターン80の形状にレジストのパターニング81及びシリコン窒化膜74のみのパターニングを行った。
次に図10(e)に示すように、連通管パターン82の形状にレジストのパターニング83及びシリコン酸化膜73のみのパターニングを行った。次に図10(f)に示すように、レジスト83を除去するとともに、ICPドライエッチャーによるシリコンエッチングのためのマスク形成を行った。この際のレジスト84の膜厚は8μmにて行った。本実施形態ではICPエッチングをノズル板接合面側より行っている。次に、ICPドライエッチャーを使用して連通管形状85のパターニングを行った。
【0034】
その後、図10(g)に示すように、レジスト84を除去し、水酸化カリウム水溶液によりシリコンの異方性エッチングを行い、連通管51dの貫通を行った。
次に、図10(h)に示すように、加圧液室51e及び振動板52との接合時の肉抜き部86に対応するシリコン酸化膜73をウェットエッチングにて除去した。また、シリコン酸化膜73のウェットエッチングにより接合肉抜き部87を形成した。
その後、図10(i)に示すように、最終的に加圧液室51f及び擬似液室パターン86aと、振動板接合時の肉抜き部87aの形成を行った。加圧液室51f形成時のシリコンの異方性エッチングは水酸化カリウム水溶液濃度35%、処理温度85℃で行った。最後に、図10(j)に示すように、シリコン窒化膜74、シリコン酸化膜73の除去を行い、次いで耐インク接液膜としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成してインクジェット用の加圧液室形成部材51Aの形成を行った。
本実施形態ではノズル接合面と振動板接合面との接合面積がほぼ同じになるように、またノズル接合面の形状は疑似加圧液室の形状88になるようにパターニングを行った。本実施形態により得られた加圧液室形成部材51Aを有する記録ヘッド14においても第1の実施形態と同様の機能を得ることができた。
【0035】
図11に基づいて、第3の実施形態(加圧液室形成部材の製造方法)を説明する。本実施形態では、加圧液室形成部材をドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用することにより形成する際、異方性ウェットエッチングのマスクとして、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を使用することを特徴としている。
まず、図11(a)に示すように、厚さが400μmでSi(110)のシリコン基板72を用意し、その表面に厚さ1μmのシリコン酸化膜73を形成した。使用するウェハの厚さ寸法は、そのまま連通管51aの高さ寸法となるため、厚さ600μm以下のウェハを使用している。ウェハの種類は両面研磨ウェハ、両面未研磨ウェハ、片面未研磨ウェハのどのウェハを使用してもかまわない。また、比抵抗も揃っている必要は無く、例えば本実施形態では比抵抗0.1〜100Ωcmのウェハを使用している。
【0036】
次に、図11(b)に示すように、ノズル接合面にノズル面側連通管パターン89と、擬似液室パターン90と、接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜きパターン91の形状を有するようにレジスト92のパターニングを行った。
次に、図11(c)に示すように、シリコン酸化膜73をドライエッチングにてパターニングを行った。次に、図11(d)に示すように、レジスト92を除去するとともに、加圧液室のパターン93と、振動板52との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜きパターン94の形状を有するようにレジスト95のパターニングを行った。
次に、図11(e)に示すように、シリコン酸化膜73をドライエッチングにてパターニングを行った。次に、図11(f)に示すように、ICPドライエッチャーによるシリコンエッチングのためのマスク形成を行った。この際のレジスト96の膜厚は8μmにて行った。本実施形態は、ICPエッチングをノズル板接合面側より行っている。次に、ICPドライエッチャーを使用して連通管形状97のパターニングを行った。
【0037】
その後、図11(g)に示すように、レジスト96を除去して水酸化カリウム水溶液によりシリコンの異方性エッチングを行い、連通管51gの貫通と、加圧液室51h及び擬似液室パターン90aと、振動板接合時の肉抜き部91aの形成を行った。
連通管51g及び加圧液室51h形成時のシリコンの異方性エッチングは水酸化カリウム水溶液濃度35%、処理温度85℃で行った。最後に図11(j)に示すように、シリコン酸化膜73の除去を行い、その後耐インク接液膜としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成してインクジェット用の加圧液室形成部材51Bの形成を行った。本実施形態により得られた加圧液室形成部材51Aを有する記録ヘッド14においても第1の実施形態と同様の機能を得ることができた。
【0038】
図12に、液体カートリッジとしてのインクカートリッジ(第4の実施形態)を示す。
インクカートリッジ100は、ノズル50a等を有する上記各実施形態のいずれかのインクジェットヘッド(記録ヘッド)101と、このインクジェットヘッド101に対してインクを供給するインクタンク102とを一体化したものである。
このようにインクタンク一体型のヘッドの場合、ヘッドの歩留まり不良は直ちにインクカートリッジ100全体の不良につながるので、上述したようにパーティクルなどによる製造不良を低減することで、インクカートリッジ100の歩留まりが向上し、ヘッド一体型のインクカートリッジ100の低コスト化を図れる。
【0039】
上述のように、インクジェット記録装置において、本発明を実施した寸法精度の高い加圧液室形成部材51を使用した記録ヘッド14(インクジェットヘッド)を搭載した場合、安定したインク滴吐出特性が得られ、画像品質が向上する。また、製造コストの低減により低価格で製品を供給することができる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、複数のノズルが形成されるノズル形成部材と、前記ノズルに連通する加圧液室が形成される加圧液室形成部材とを備え、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力を前記加圧液室に伝搬させる機能を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室形成部材がシリコンで形成されており、該加圧液室形成部材中の外部から液体を流入させる液体流入口から前記加圧液室までの間に、該加圧液室よりも狭い液体抵抗流動部が配設されており、該液体抵抗流動部の長さが400μm以下に設定されている構成としたので、加圧液室よりも狭い液体抵抗流動部の流体抵抗値を低下させることができ、高周波での噴射の場合もノズルへ十分なインク供給が可能となり、噴射バラツキを抑えることが可能となる。
また、ヘッドチップサイズの縮小によるシリコン基板からのチップ取れ数増加によって製造コストの低減を実現できるとともに液滴吐出ヘッドの小型化を実現できる。
【0041】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液体抵抗流動部は、補正パターン付マスクを使って形成されている構成としたので、シリコンエッチングをアルカリウェットプロセスで行う場合、液体抵抗流動部(長さ方向寸法L)には、加圧液室との接続部と、外部からのインク流入口との接続部にシリコンの高次面が出現することから、この部分のマスクとして補正パターンを形成することにより高精度な寸法制御が可能となり、噴射バラツキの無い信頼性の高い液滴吐出ヘッドを得ることができる。
【0042】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室と前記液体抵抗流動部がシリコン基板のハーフエッチングにより形成され、且つ、前記加圧液室と前記液体抵抗流動部のエッチング深さが略等しい構成としたので、ハーフエッチングで加圧液室及び加圧液室よりも狭い液体抵抗流動部56を形成することにより、フルエッチングで形成する場合に比べ、加圧液室形成部材の剛性を高くすることが可能となり、安定した噴射を行うことができる液滴吐出ヘッドを得ることができる。
また、加圧液室と液体抵抗流動部のエッチング深さを略等しくすることにより、寸法制御がしやすく、少ない工程数で形成が可能であるため液滴吐出ヘッドの製造コストの低減を図ることができる。
【0043】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液体抵抗流動部の長さ方向と直交する方向の幅はシリコン(111)面によって規定されている構成としたので、流体抵抗値として最も噴射特性に影響を及ぼす液体抵抗流動部の最短幅を制御のしやすいシリコン(111)面で規定することにより、噴射バラツキの少ない液滴吐出ヘッドを得ることができる。
【0044】
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至4のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、少なくとも前記加圧液室形成部材における液体が流動する領域の壁面には酸化膜または窒化チタン膜が成膜されている構成としたので、アルカリ系のインクを使用する場合にシリコンがインクに溶出してしまうことを防止することが可能となり、高信頼性の液滴吐出ヘッドを得ることができる。
【0045】
請求項6記載の発明によれば、複数のノズルが形成されるノズル形成部材と、前記ノズルに連通する加圧液室が形成される加圧液室形成部材とを備え、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力を前記加圧液室に伝搬させる機能を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室形成部材をドライエッチングによる深堀(貫通を含む)で形成することとしたので、マスクに対する形状再現性が高く、液室内部にテーパ部分が無いため、マスクに対する寸法精度が高いので安定した液滴吐出ヘッドを形成することができる。
また、アルカリエッチングプロセスを必要としないため、使用するシリコンウエハはSi(100)を使用でき、製造コストを安価に抑えることが可能となる。
【0046】
請求項7記載の発明によれば、複数のノズルが形成されるノズル形成部材と、前記ノズルに連通する加圧液室が形成される加圧液室形成部材とを備え、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力を前記加圧液室に伝搬させる機能を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室形成部材をドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用することにより形成することとしたので、精度良く加圧液室形成部材を形成することができ、噴射バラツキのない液滴吐出ヘッドを形成することができる。
【0047】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、異方性ウェットエッチングのマスクとして、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を使用することとしたので、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜を各々アルカリエッチングのマスクとして使用することが可能となり、寸法制御に優れた液滴吐出ヘッドを形成することができる。
【0048】
請求項9記載の発明によれば、請求項7記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、異方性ウェットエッチングのマスクとして、シリコン酸化膜を使用することとしたので、マスク作成工程が非常に簡単且つ短工期でできるため、低価格の液滴吐出ヘッドを形成することができる。
【0049】
請求項10記載の発明によれば、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化した液体カートリッジにおいて、前記液滴吐出ヘッドが、請求項1乃至5のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項6乃至9のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法により得られた液滴吐出ヘッドである構成としたので、製造不良を減少でき、低コスト化を図ることができる。
【0050】
請求項11記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドにより液滴を吐出させて画像を形成する画像形成装置において、前記液滴吐出ヘッドが、請求項1乃至5のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項6乃至9のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法により得られた液滴吐出ヘッドである構成としたので、加圧液室で生じさせた圧力をインク流入口に戻すことなく効率的にノズルへ圧力を伝えることができ、振動板の変位量が小さくても十分に液滴を吐出することができる。また、上述した各効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における液滴吐出ヘッドの要部分解斜視図である。
【図2】加圧液室形成部材の要部概要平面図である。
【図3】液体抵抗流動部の接続部におけるマスクの補正パターンを示す図である。
【図4】加圧液室形成部材の製造工程を示す図である。
【図5】従来品における液体抵抗流動部の長さと噴射速度差との関係を示す実験結果のグラフである。
【図6】本発明における液体抵抗流動部の長さと噴射速度差との関係を示す実験結果のグラフである。
【図7】液体抵抗流動部の長さと噴射ダウン率との関係を示す実験結果のグラフである。
【図8】画像形成装置としてのインクジェット記録装置の概要正面図である。
【図9】インクジェット記録装置の要部斜視図である。
【図10】第2の実施形態における加圧液室形成部材の製造工程を示す図である。
【図11】第3の実施形態における加圧液室形成部材の製造工程を示す図である。
【図12】第4の実施形態における液体カートリッジとしてのインクカートリッジの斜視図である。
【符号の説明】
14 液滴吐出ヘッドとしての記録ヘッド
50 ノズル形成部材
50a ノズル
51、51A、51B 加圧液室形成部材
51b、51f、51h 加圧液室
51j 液体流入口
56 液体抵抗流動部
61、72 シリコン基板
73 シリコン酸化膜
74 シリコン窒化膜
100 液体カートリッジとしてのインクカートリッジ

Claims (11)

  1. 複数のノズルが形成されるノズル形成部材と、前記ノズルに連通する加圧液室が形成される加圧液室形成部材とを備え、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力を前記加圧液室に伝搬させる機能を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記加圧液室形成部材がシリコンで形成されており、該加圧液室形成部材中の外部から液体を流入させる液体流入口から前記加圧液室までの間に、該加圧液室よりも狭い液体抵抗流動部が配設されており、該液体抵抗流動部の長さが400μm以下に設定されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記液体抵抗流動部は、補正パターン付マスクを使って形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項1または2記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記加圧液室と前記液体抵抗流動部がシリコン基板のハーフエッチングにより形成され、且つ、前記加圧液室と前記液体抵抗流動部のエッチング深さが略等しいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1乃至3のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記液体抵抗流動部の長さ方向と直交する方向の幅はシリコン(111)面によって規定されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項1乃至4のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    少なくとも前記加圧液室形成部材における液体が流動する領域の壁面には酸化膜または窒化チタン膜が成膜されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 複数のノズルが形成されるノズル形成部材と、前記ノズルに連通する加圧液室が形成される加圧液室形成部材とを備え、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力を前記加圧液室に伝搬させる機能を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記加圧液室形成部材をドライエッチングによる深堀で形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  7. 複数のノズルが形成されるノズル形成部材と、前記ノズルに連通する加圧液室が形成される加圧液室形成部材とを備え、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧力を前記加圧液室に伝搬させる機能を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記加圧液室形成部材をドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用することにより形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 請求項7記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、
    異方性ウェットエッチングのマスクとして、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を使用することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 請求項7記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、
    異方性ウェットエッチングのマスクとして、シリコン酸化膜を使用することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化した液体カートリッジにおいて、
    前記液滴吐出ヘッドが、請求項1乃至5のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項6乃至9のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法により得られた液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液体カートリッジ。
  11. 液滴吐出ヘッドにより液滴を吐出させて画像を形成する画像形成装置において、
    前記液滴吐出ヘッドが、請求項1乃至5のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項6乃至9のうちの何れか1つに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法により得られた液滴吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
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