JP2004209652A - 被記録媒体 - Google Patents

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JP2004209652A
JP2004209652A JP2002378253A JP2002378253A JP2004209652A JP 2004209652 A JP2004209652 A JP 2004209652A JP 2002378253 A JP2002378253 A JP 2002378253A JP 2002378253 A JP2002378253 A JP 2002378253A JP 2004209652 A JP2004209652 A JP 2004209652A
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Hiroshi Asakawa
浩 浅川
Masanobu Asaoka
正信 朝岡
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Abstract

【課題】プリントの画像濃度が極めて高くかつインク吸収性の高い記録媒体を安いコストで提供すること、また高温多湿下でも画像の光安定性を損なわずにインクの滲みが発生しない記録媒体を提供すること。
【解決手段】被記録媒体を基材上に構成成分が同一である2層以上のインク受容層を設けることで形成し、その際、基材から最も遠い側の乾燥塗工量が5g/m2以上20g/m2未満であり、各層の乾燥塗工量が基材に最も近い層が最も多く、基材から最も遠い側が最も少ない構成とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀塩系写真としての質感や画質などを有するプリント(印画物)を、インク等の記録用の液滴を記録媒体に付与する方法、なかでもインクジェット記録法によって形成するのに好適な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インク等の記録用の液体(記録液)の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行うものである。このインクジェット記録方法は、高速低騒音、多色化が容易であり、記録パターンの融通性が大きく、現像が不要であるなどの特徴があり、プリンター単体への展開をはじめとして、複写機、ワープロ、ファクシミリ、プロッター等の情報機器における出力部への展開がさらに行われ、急速に普及している。また、近年、高性能のデジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナー等が安価に提供されつつあり、パーソナルコンピューターの普及と相まって、これらから得た画像情報の出力にインクジェット記録方式を採用したプリンターが極めて好適に用いられるようになってきている。このような背景において、銀塩系写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色のない画像を、手軽にインクジェット記録方式で出力する事が求められるようになってきた。
【0003】
このような要求を満たす為に、記録の高速化、高精細化、フルカラー化などプリンター自体の構造や記録方式に関する改良が行われてきていており、記録媒体の構造や特性に関する改良も盛んに検討されている。
【0004】
インクジェット記録等に用いられる記録媒体については、従来から多様多種の形態のものがされてきた。例えば、特開昭52−9074号公報(特許公報1)には、インク吸収速度を向上させる為に比表面積の大きなシリカ系顔料を主成分とした空隙を有する層をインク受容層として設けた記録媒体が開示され、また特開昭63−22997号公報(特許公報2)には、インク受容層を形成する顔料層の空隙を調整してなる記録媒体が開示されている。特開昭55−51583号公報(特許公報3)及び特開昭56−157号公報(特許公報4)には、インク受容層によってインク吸収性を上げ、高い印字濃度やインク滲みのない印字ドットを得る為に、非晶質シリカ粉末を配合する事が記載されている。
【0005】
記録媒体のインクを受ける部分の構成材料として、近年アルミナ水和物が注目を集めつつある。これは、アルミナ水和物が正電荷を有している微粒子であることからインク中の染料の定着性が良く透明な層を形成可能である為に、発色性が高く、しかも耐水性に優れる画像が得られるなどの特長を有している為である。このようなアルミナ水和物を用いた記録媒体としては、例えば、特開平7−232473号公報(特許公報5)、特開平10−95754号公報(特許公報6)には、プラスチックフィルム以外に、上質紙等の紙基材上にアルミナ水和物の凝集粒子を主体とするインク受容層を有する記録媒体が開示されている。
【0006】
また、特開平11−1060号公報(特許公報7)には、基材上に、硫酸バリウムを含む多孔質の層と、無配向性アルミナ水和物を含む層とをこの順に設けてインク受容層とし、インク吸収速度を高めてビーディングの発生を防止するとともに優れた印字品位を実現した記録媒体が開示されている。また、特開平6−79967号公報(特許公報8)には、高いインク吸収性と高い光沢度を両立させる方法としてアルミナ水和物を含有した層をキャストした記録媒体が開示されている。また、特許第2686670号明細書(特許公報9)には、インク受容層を上層と下層の2層構成とし、上層を比表面積の大きなアルミニウム酸化物を主成分として形成し、下層を比表面積の小さな顔料を主成分として形成することで高い画像濃度を得ることが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−9074号公報
【特許文献2】
特開昭63−22997号公報
【特許文献3】
特開昭55−51583号公報(特許公報3)
【特許文献4】
特開昭56−157号公報
【特許文献5】
特開平7−232473号公報
【特許文献6】
特開平10−95754号公報
【特許文献7】
特開平11−1060号公報
【特許文献8】
特開平6−79967号公報
【特許文献9】
特許第2686670号明細書
【特許文献10】
特許第3204749号明細書
【特許文献11】
特開2001−39026号公報
【特許文献12】
米国特許第4242271号明細書
【特許文献13】
米国特許第4202870号明細書
【特許文献14】
特公昭57−44605号公報
【非特許文献1】
Collect czech Chem Commun,56巻、1253〜1262、1991年
【非特許文献2】
Rocek J., etl., Applied catalysis,74巻、29〜36、1991年
なお、特許文献11〜14、非特許文献1及び2については後述する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
こうした記録媒体に於いて、近年プリンターの高速印字のために高いインク吸収性能が要求され、高い画像濃度を落すことなくそれらを達成するために現在いろいろな方法が提案されている。例えば、細孔容積の大きな顔料を用いてインクを吸収し保持する為の空隙を多く有する構造をインク受容層に形成したり、インク受容層の形成にインク吸収性の高分子材料を用いたりする事も試みられているが、光の乱反射などによりインク受容層内部でドットが白濁化してしまい、逆に所望の画像濃度や光沢度を得る事ができていない場合がある。また、インク吸収性を高めるために、インク受容層の塗工厚を大きくしなければならない場合も多く、その場合には、材料、製造工程ともにコストのかかる手法を取らざるを得ないのが現状である。
【0009】
また、インク受容層を2層構成とし、下層部と上層部が違う材料で構成されている場合、多量のインクを印字後に染料が下層部まで浸透し、それにより下層部と上層部の屈折率の違いが原因と考えられる印字濃度の低下を引き起こしてしまうことがある。例えば、特開平11−1060号公報(特許文献7)には、基材上に、硫酸バリウムを含む多孔質の層と、無配向性アルミナ水和物を含む層とをこの順に設けてインク受容層とし、インク吸収速度を高めて優れた印字品位を実現した記録媒体が開示されている。しかしながら、このようなインク受容層の構成において、アルミナ水和物を含む層の厚さを薄くした場合、硫酸バリウムの層に多量のインクが浸透した場合、印字濃度が低下してしまうため、十分な印字濃度を得るためにはアルミナ水和物を含む層を厚くする必要があった。
【0010】
また、印字後に印字物を高温多湿下で取り扱う場合、記録媒体中の染料が大気中の水分によって移動を起こす場合がある。例えば、特許第3204749号明細書(特許文献10)には、支持体上に1層以上のインク受容層を有し、最表層の下の層にカチオン性高分子染料定着剤を含有させることにより、印字後の水分によるインクの滲みを押さえた記録媒体が、特開2001−39026(特許文献11)には非吸収性支持体上に親水性バインダー及び無機微粒子からなる多孔質性インク吸収層中に少なくとも2種類以上カチオンポリマーを含ませることにより、高湿下でのインクの滲みをとブロンジングが改良された記録媒体がそれぞれ開示されている。しかしながら、カチオンポリマーをインク受容層中に含むような構成では、カチオンポリマーが染料の光安定性に影響を与えてしまい、画像の環境保存性を低下させてしまう場合があった。
【0011】
本発明の目的は、プリントの画像濃度が極めて高くかつインク吸収性の高い記録媒体を安いコストで提供すること、また高温多湿下でも画像の光安定性を損なわずにインクの滲みが発生しない記録媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成し得る本発明の被記録媒体は、構成成分が同一である2層以上のインク受容層が基材上に形成された被記録媒体であって、基材から最も遠い側の乾燥塗工量が5g/m2以上20g/m2未満であり、各層の乾燥塗工量が基材に最も近い層が最も多く、基材から最も遠い側が最も少ないことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、プリントの画像濃度が極めて高くかつ速いインク吸収性を有し、また同時に高温多湿下でも画像の光安定性を損なわずにインクの滲みが発生しないが可能となる。
【0014】
更に、被記録媒体の画像形成において極めて高い画像濃度が得られるので、銀塩系写真としての質感及び画質を有する画像を得る事ができる。また、デジタルカメラ等の入力システムを選択し、出力として、とりわけインクジェット記録方式を利用する事で、高精細で高品質であり、しかも銀塩系写真の質感および画質を有し、あるいはそれを超えた画像を有するプリントを銀塩系写真よりも簡便かつ高速なプロセスで提供する事が可能となる。
【0015】
また、少なくとも2層以上のインク受容層が基材上に形成されたインクジェット用被記録媒体において、各層を構成する成分が同一とすることによって、各層の塗工量を少なくすることができ、コストを下げると同時に製造時のひび割れによる歩留まりの低下などを防ぐことができる。
【0016】
本発明における上記の効果は次のような作用によるものと考えられる。
【0017】
本発明において、基材から最も遠い層の最表面に付着した記録液は被記録媒体内部へ浸透する過程において、染料の大部分は最表層の染料定着層に吸着され、溶媒とともに残りの染料は分離してより下の層に浸透する。最表層より下の層は繊維状基材と最表層との中間に形成されており、浸透してきた溶媒と染料を受容する機能を有する。
【0018】
また、この過程で最表層より下の層を最表層と同様の成分で構成するとともに、各層の乾燥塗工量が基材に最も近い層が最も多く、基材から最も遠い層が最も少なくすることで、溶媒の最表層から下の層への移動が速やかに行われるため、染料の大部分が存在する最表層から溶媒を除外することができ、高温多湿下での保存においても溶媒に起因するインクの滲みを押さえられることと同時に、染料が最表層より下の層に浸透しても各層での光の散乱の違いによる画像濃度の低下を防げることを見出した。
【0019】
このように特定の層構成により、より高い吸収性を確保しつつ、高い画像濃度を得られ、高温多湿化でも画像の光安定性を損なうことなくインクの滲みを押さえる効果が得られる。
【0020】
本発明の被記録媒体は、インクジェット用として特に好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の被記録媒体に使用する基材としては、適度なサイジングを施した紙、無サイズ紙などの主に木材パルプと填料からなる繊維状基体を挙げる事ができる。繊維状基体として銀塩系写真のような質感を持たせるためには好ましくは、秤量が120g/m2以上、更に150〜180g/m2、ステキヒトサイズ度100秒以上、より好ましくは200秒以上のものがよい。このような繊維状基体を用いる事で、例えばA4版、A3版程度の大きさにおいても高級感のある被記録媒体を提供する事ができる。
【0022】
本発明において上記のインク受容層に使用される材料としては、例えば、
1)インク吸収速度が速く、必要以上の滲みがないこと、
2)印字濃度及び発色性が高いこと、
3)耐候性に優れていること
などの所望とする特性を満たし、更に表面光沢性を有する塗工層を形成できるものであれば、いかなる材料も利用することができる。
【0023】
このような中で好ましくは、アルミニウム系顔料を挙げることができる。その一つとして下記一般式により表されるアルミナ水和物を好適なものとして挙げる事ができる。
【0024】
Al23-n(OH)2n・mH2
式中、nは1、2または3の整数のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mH2Oは、多くの場合mH2O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数または整数でない値を取ることもできる。またこの種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。アルミナ水和物は一般的には、米国特許第4242271号(特許文献12)、米国特許第4202870号(特許文献13)に記載されているようなアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解な、また、特公昭57−44605号公報(特許文献14)等に記載されているアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法などの公知の方法で製造することができる。
【0025】
なお、Rocekら(Collect czech Chem Commun,56巻、1253〜1262、1991年:非特許文献1)は、アルミナ水和物の多孔質構造は、析出温度、溶液pH、熟成時間、表面活性剤に影響されることを報告している。また、アルミナ水和物の中で擬ベーマイトには、文献(Rocek J., etl., Applied catalysis,74巻、29〜36、1991年:非特許文献2)に記載されているように繊毛状とそうでない形状があることが一般に知られている。
【0026】
更に、このアルミナ水和物としては、上述のように必要とされる透明性、光沢、染料などの記録液中の着色剤の定着性等の特性が得られる上に、インク受容層形成時にクラック等の欠陥の発生が無く、塗工性の良いものが好ましい。このような観点から、上述の公知の方法で製造されたものや、市販品から選択したアルミナ水和物をアルミナ系顔料としてインク受容層の構成材料として利用する事ができる。
【0027】
また、もう1つの好ましいアルミニウム系顔料としてアルミニウム酸化物をあげることができる。このアルミニウム酸化物としては、通常、バイヤー法とよばれ、天然鉱物であるボーキサイトを熱苛性ソーダ処理して得られる水酸化アルミニウムを焼成して製造されたものを用いることができる。この他にも、金属アルミニウムペレットを水中で火花放電させた後に、得られた水酸化アルミニウムを焼成する方法、無機のアルミニウム塩(ミョウバン等)を分解する方法等により製造されるものを使用できる。
【0028】
アルミニウム酸化物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、キブサイト型、ベーマイト型の水酸化アルミニウムからγ、σ、η、θ、α型のアルミニウム酸化物に転移していくことが知られている。もちろん、本発明に於いては、これらのいずれの製法および結晶構造のものも使用可能である。
【0029】
本発明では、構成成分が同一である2層以上を積層することによりインク受容層を形成する。この場合の構成成分とは、顔料、バインダー、その他の添加剤などのインク受容層を構成する成分をいい、各層においてこれらの組成が同一であっても、異なっていてもよい。インク受容層を形成する際の効率を考慮すると、同一組成の塗工液を用いて塗工量のことなる層からインク受容層を形成することが好ましい。
【0030】
インク受容層の最表層である染料定着層に使用するアルミニウム酸化物もしくはアルミナ水和物などのアルミニウム系顔料は、そのBET比表面積は100〜160m2/gの範囲であるものが好ましい。即ち、アルミニウム系顔料の比表面積が160m2/gを超えると、顔料の粒度にもよるがインクの吸収性が低下する場合がある。また、100m2/gより小さくなると光の散乱による色濃度の低下が生じる場合がある。本発明の染料定着層に用いるアルミニウム系顔料の平均粒子径は、150nm以上、1μm以下が好ましい。平均粒子径が150nm未満になるとインク吸収性が低下する場合があり、1μmを超えると光沢度がやや下がる傾向にある。
【0031】
これら顔料を結着させる為のバインダーとしては、結着能力のある高分子であれば本発明の効果を損なわない範囲内で特に制限無く利用できる。このようなバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、スチレン−ブタジエン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン等の合成高分子等をあげる事ができる。溶媒吸収層の顔料とバインダーとの配合比は、質量比で好ましくは100:8〜100:25の範囲から選択する事ができ、その上限は100:15が、下限は100:10がより好ましい。
【0032】
各層は、顔料を水などの適当な溶媒中に必要に応じてバインダーとともに添加して分散させて得た塗工液を、前記の繊維状基体の層を形成するべき面に塗工し、乾燥させる事により形成する事ができる。
【0033】
塗工、乾燥方法は、特に限定するものではない。
【0034】
なお、この塗工液には、更に、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を本発明の効果を損なわない範囲内で添加する事もできる。
【0035】
最表層形成時の塗工液の塗工量としては、染料などの記録液中の着色剤成分の定着性や溶媒の下の層への移動をより良好なものとする為に、乾燥固形分換算で20g/m2未満が好ましく、5g/m2以上、20g/m2未満がより好ましい。必要に応じてインク受容層を形成した後に、焼成処理を施す事も可能である。乾燥固形分の割合を5g/m2より小さくすると前記の溶媒吸収層と組み合わせてもインクの吸収性が低下する場合があり、また、染料の定着効果が不十分で、十分な発色性が得られない場合がある。
【0036】
最表層より下の層を形成時の塗工液の塗工量としては、最表層よりも多ければ特に限定されるものではない。
【0037】
3層以上でインク受容層を構成する場合においては、中間層と基材側の層との塗工量の合計が再表層の塗工量より多いことが好ましい。
【0038】
更に、インク受容層形成後にキャスト処理等の平滑処理を行う事が好ましい。キャスト処理の方法としては、直接法、ゲル化法およびリウェット法がある。このうち直接法は、塗工層形成時に基材上に塗布した塗工層が未だ湿潤状態にあるうちにその層の表面を加熱された鏡面ドラムに圧着して乾燥処理するものである。またゲル化法は、塗工層形成時に基材上にある塗工層がまだ湿潤状態にあるうちにこの層をゲル化剤浴に接触させ、ゲル状態にした後、この層の表面を加熱した鏡面ドラムに圧着して乾燥処理するものである。さらに、リウェット法は、塗工層を形成後に再度熱湯等により処理して湿潤状態に戻しこの塗工層の表面を加熱した鏡面ドラムに圧着して乾燥処理するものである。これらの方法によって、塗工層の表面に強光沢を得る事が出きる。ただし、本発明において提供される銀塩系写真の質感に匹敵するような被記録媒体を得る為に緻密な基材を用いる場合には、光沢処理として好ましくはリウェット法をあげる事ができる。これは、鏡面ドラムに圧着して湿潤状態の塗工層を乾燥する場合に、緻密な基材の場合、裏面からの水分の蒸発が極端に制限される為である。
【0039】
本発明の被記録媒体に画像を形成する場合に使用するインクとしては、従来公知の水系インクが使用可能である。本発明においては、特に、インク中にアニオン性基を有する水溶性染料等のアニオン性化合物が含有されたものを使用することが好ましい。この際に用いる水溶性染料としては、例えば、スルホン基やカルボキシル基等のアニオン性基を有する水溶性の直接染料、酸性染料、反応性染料等が挙げられる。このような水溶性染料は、従来のインク中において、一般には、約0.1〜20質量%を占める割合で使用されており、本発明においてもこの割合と同様でよい。また、本発明に用いる水系インクに使用する溶媒としては、水、または水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が好ましく、特に好適なものは、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であって、水溶性有機溶剤としてインクの乾燥防止効果を有する多価アルコールを含有するものである。
【0040】
インクジェット記録によって画像形成を行う際に用い得るインクジェット記録方式としては、圧電素子を用いた方式、発熱素子を用いた方式等、特に制限無く利用できる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0042】
インク受容層に使用するアルミニウム系顔料として下記のものを調製した。
(製造例)
アルミニウム系顔料A
米国特許第4242271号明細書(特許文献12)、同4202870号明細書(特許文献13)に記載された方法でアルミニウムオクタキシドを合成し、その後加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーにアルミナ水和物の固形分が5質量%になるまで、水を加えた。次にこれを80℃に昇温して10時間熟成反応を行った後、スプレー乾燥を行い粒子を形成した。この粒子を純水に混合し、塩酸によりpH4の調整してしばらく攪拌した後、限外濾過法によって小さい成分を除去し、脱塩処理した後に、酢酸を加えて解膠処理した。解膠処理後のコロイダルゾルを乾燥して得た粒子をX線回折により測定したところ、擬ベーマイトであった。以上のようにして、アルミニウム系顔料Aを調整した。
【0043】
アルミニウム系顔料B
上記方法のスプレー乾燥後の粒子を用いて、これを500℃のオーブンで2時間焼成を行った。粒子をX線回折により測定したところγ型結晶のアルミナであった。得られた粒子を酢酸を分散剤として20wt%の濃度で純水中に分散した。その後超音波分散機によって60分処理した後、遠心分離処理によって粗大粒子を取り除き、アルミニウム系顔料Bを調整した。
【0044】
実施例1
坪量が150g/m2、ステキヒトサイズ度200秒の繊維状基体上に、下記のように塗工層を形成した。
【0045】
まず、アルミニウム系顔料Aのコロイダルゾルを濃縮して17質量%の分散液を得た。
次にポリビニルアルコール PVA117(商品名:クラレ社製)を純水に溶解して9質量%の溶液を得た。前記のアルミニウム系顔料A分散液と、前記ポリビニルアルコール溶液をアルミニウム系顔料A分散液の固形分とポリビニルアルコール溶液の固形分が質量比で100:10になるように混合攪拌して、インク受容層用の塗工液とした。この塗工液を上記の基材体上に乾燥重量が25g/m2となるように塗工し塗工層を形成した。上記の塗工層上に、上記と同じ塗工液をダイコートにより塗工し、乾燥厚19g/m2のインク受容層を形成した。
【0046】
このインク受容層表面にリウエットキャストコーターを用いて、熱湯(80℃)を用いたリウエットキャスト処理を行い本発明の被記録媒体1を得た。
【0047】
実施例2
実施例1と同様の塗工液を用い、この塗工液を実施例1と同様の繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が35g/m2のとなるように塗工層を形成した。上記の塗工層上に、上記と同じ塗工液をダイコートにより塗工し、乾燥厚5g/m2のインク受容層を形成し、同様のキヤスト処理を行い本発明の被記録媒体2を得た。
【0048】
実施例3
アルミニウム系顔料Bを用いた以外は実施例1と同様に塗工液を作成し、この塗工液を実施例1と同様の繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が30g/m2のとなるように塗工層を形成した。上記の塗工層上に、上記と同じ塗工液をダイコートにより塗工し、乾燥厚15g/m2のインク受容層を形成し、同様のキヤスト処理を行い本発明の被記録媒体3を得た。
【0049】
実施例4
繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が35g/m2のとなるように塗工層を形成した。上記の塗工層上に、上記と同じ塗工液をダイコートにより塗工し、乾燥厚10g/m2とした以外は実施例3と同様にインク受容層を形成し、同様のキヤスト処理を行い本発明の被記録媒体4を得た。
【0050】
比較例1
実施例1と同様の塗工液を用い、この塗工液を実施例1と同様の繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が15g/m2となるように塗工層を形成した。上記の塗工層上に、上記と同じ塗工液をダイコートにより塗工し、乾燥厚19g/m2のインク受容層を形成し、同様のキヤスト処理を行い比較用の被記録媒体5を得た。
【0051】
比較例2
実施例2と同様の塗工液を用い、この塗工液を実施例1と同様の繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が23g/m2となるように塗工層を形成した。上記の塗工層上に、上記と同じ塗工液をダイコートにより塗工し、乾燥厚20g/m2のインク受容層を形成し、同様のキヤスト処理を行い比較用の被記録媒体6を得た。
【0052】
比較例3
実施例1と同様の繊維状基体上に実施例1と同様の塗工液を用い、この塗工液を実施例1と同様の繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が30g/m2となるように塗工層を形成した。上記の塗工層上に実施例3と同様の塗工液を用い、乾燥重量が15g/m2となるように塗工層を形成し、同様のキヤスト処理を行い比較用の被記録媒体7を得た。
【0053】
比較例4
実施例1と同様の塗工液を用い、この塗工液を実施例1と同様の繊維状基体上に同様の方法を用いて乾燥重量が30g/m2となるように塗工層を形成し、実施例1と同様のキヤスト処理を行い比較用の被記録媒体8を得た。
【0054】
下記の方法に従い、被記録媒体1〜8を評価し、結果を表1に記載した。
【0055】
インクジェット方式を使用したフォト用プリンター(商品名:BJ F870キヤノン製)を用いて画像を形成し、インク吸収性、画像濃度、高温多湿下保存後の印字部の滲みの3点について評価し、結果を表1に示した。画像は、写真調の画像を数種類用意し、上記の装置の最高級画質モードを用いて印刷して、得た画像から総合的に評価した。評価個所は、画像内のコンポジットブラック部分、葉緑色、空色の部分に注目して評価を行った。
【0056】
インク吸収性は、ビーディングの発生の有無を目視で判断し評価した。ビーディングは、最もインク量の多いコンポジットブラックでも発生のないものをA、コンポジットブラックでは認められるが葉緑色、空色では認めれないものをB、それ以外のものをCとした。
画像濃度に関しては最もインク量の多いコンポジットブラックの画像濃度で評価した。画像濃度の測定にはMacbeth RD918(Macbeth社製)を使用した。濃度が2.0を超えるものをA、1.9以上2.0未満のものをB、1.9未満のものをCとした。
【0057】
高温多湿下での保存後のインクの滲みについても同様に目視にて有無を判断し評価した。保存条件は温度30℃、湿度80%で保存期間は168時間である。最もインク量の多いコンポジットブラックでも発生のないものをA、コンポジットブラックでは認められるが葉緑色、空色では認めれないものをB、それ以外のものをCとした。
【0058】
【表1】
Figure 2004209652
【0059】
【発明の効果】
以上のような本発明によれば、フルカラーインクジェット記録方式、特に、インク量の多いフォトインクジェット記録方式に用いた場合にも、高濃度記録部における高温多湿下でのインクの滲みも発生せず、十分なインク吸収性を有するために、銀塩系写真に匹敵する鮮明な画像の形成が可能である。
【0060】
又、本発明によれば、受容層厚みが薄くとも上記の目的が達成できるために、記録シートを効率よく製造することも可能である。

Claims (1)

  1. 構成成分が同一である2層以上のインク受容層が基材上に形成された被記録媒体であって、基材から最も遠い側の乾燥塗工量が5g/m2以上20g/m2未満であり、各層の乾燥塗工量が基材に最も近い層が最も多く、基材から最も遠い側が最も少ないことを特徴とする被記録媒体。
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