JP2004209508A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置 - Google Patents

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滋 田口
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Abstract

【課題】穴の底面の形状を、穴の開口部の形状に近づける。
【解決手段】貫通孔を透過したパルスレーザビームを、第1の方向に厚さを有する加工対象物の表面上に入射させる。この際、貫通孔を、加工対象物の表面上に結像させる。第1の方向に、貫通孔の結像位置が移動するように、加工対象物と結像位置との少なくとも一方を移動させるとともに、加工対象物にパルスレーザビームを入射させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザビームを照射して加工対象物に穴を開けるレーザ加工方法及びレーザ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、レーザビームを用いた、従来の穴開け加工に使用されるレーザ加工装置の概略図である。レーザ光源1、たとえばCOレーザ発振器から、パルスエネルギ30mJのパルスレーザビームが出射する。パルスレーザビームは、たとえば円形の貫通孔2aを有するマスク2により、ビーム断面を円形に整形された後、コリメーションレンズ3に入射する。コリメーションレンズ3は、入射したパルスレーザビームを平行光にして出射する。コリメーションレンズ3を出射したレーザビームは、必要に応じて配置される反射ミラー4、fθレンズ5を経て、たとえば鉛直上方から、加工対象物7に入射する。
【0003】
加工対象物7は、たとえば、ガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂で形成された支持層13上に、厚さ15μmの金属層12が積層され、更にその表面上に、厚さ100μmの樹脂層11が積層された基板であり、ステージ8上に水平に保持されている。パルスレーザビームは、加工対象物7の樹脂層11の上面から、同一箇所に複数ショット入射する。fθレンズ5は、貫通孔2aを樹脂層11の表面上に結像させる。貫通孔2aの像は、たとえば直径が2mmの円形である。加工対象物7には、樹脂層11を貫通し、底面に金属層12表面を露出させる穴が開く。樹脂層11表面における穴の開口の縁は、たとえば直径100μmの円形状である。(たとえば、特許文献1参照。)
図5は、fθレンズ5により、貫通孔2aを樹脂層11の表面上に結像させて、3ショットのパルスレーザビームを入射させ、加工対象物7に形成した穴を示す概略的な平面図である。穴は、樹脂層11を貫通し、底面に金属層12表面を露出させる穴である。樹脂層11表面における開口の縁を実線で示した。開口の縁は、直径が100μmの円形状であった。また、形成された穴の底面を点線で示した。穴の底面は、長径80μm、短径70μmの楕円形状であった。穴の開口の縁は、結像位置で加工されているため、真円となる。穴の底面は、結像位置からはずれた位置で加工されているため、レーザビームのモードの影響を受けて、楕円になる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−277261
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、たとえば厚い樹脂層を貫通する穴を形成する場合、穴の底面の形状が、開口の縁の形状と一致しない場合がある。この現象は、樹脂層の厚さが焦点深度よりも大きい場合に顕著に現れる。
【0006】
本発明の目的は、穴の底面の形状を、穴の開口部の形状に近づけることのできるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、貫通孔を透過したパルスレーザビームを、第1の方向に厚さを有する加工対象物の表面上に入射させる工程であって、前記貫通孔を、前記加工対象物の表面上に結像させて、パルスレーザビームを入射させる工程と、前記第1の方向に、前記貫通孔の結像位置が移動するように、前記加工対象物と結像位置との少なくとも一方を移動させるとともに、前記加工対象物にパルスレーザビームを入射させる工程とを有するレーザ加工方法が提供される。
【0008】
また、本発明の他の観点によれば、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたパルスレーザビームの光路内に配置される貫通孔を有するマスクと、加工対象物を保持するステージと、前記貫通孔を透過したパルスレーザビームが入射し、前記貫通孔を前記ステージに保持された加工対象物上に結像させる結像レンズと、前記結像レンズ及び前記ステージの少なくとも一方を、パルスレーザビームの光軸方向に移動させる移動機構とを有するレーザ加工装置が提供される。
【0009】
たとえば金属層の表面上に積層された樹脂層を貫通する穴を形成する場合に、このレーザ加工方法またはレーザ加工装置を用いると、まず、樹脂層の表面(上面)上に貫通孔を結像させて、樹脂層の表面近傍に、貫通孔の像に一致する形状の穴を形成し、次に、樹脂層の底面(下面)に貫通孔を結像させて、底面近傍の樹脂層に、貫通孔の像に一致する形状の穴を形成することができる。このため、樹脂層には、開口の縁の形状と、底面の形状とがほぼ一致する、高品質の穴が形成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例によるレーザ加工方法に用いるレーザ加工装置の概略図である。図4に示した、従来の穴開け加工に用いるレーザ加工装置に、ガルバノボックス6及び制御装置15が加入されている。その他の構成は、すべて図4のレーザ加工装置と等しい。
【0011】
前述のように、レーザ光源1、たとえばCOレーザ発振器から出射した、パルスエネルギ30mJのパルスレーザビームが、貫通孔2aを有するマスク2、コリメーションレンズ3、反射ミラー4、fθレンズ5を経て、たとえば鉛直上方から加工対象物7の樹脂層11に入射する。fθレンズ5は、貫通孔2aの像を、樹脂層11表面に結像させる。加工対象物7は、ステージ8上に、水平に載置されている。なお、本実施例においては、ステージ8は、可動ステージであり、加工対象物7を、厚さ方向(この場合は、レーザビームの光軸方向、鉛直方向)に移動させることができる。
【0012】
ガルバノボックス6内にレンズ昇降機構9が配置され、レンズ昇降機構9が、fθレンズ5をレーザビームの光軸方向(加工対象物の厚さ方向、鉛直方向)に移動可能に保持する。また、ガルバノボックス6内には、ガルバノスキャナ10が配置されている。ガルバノスキャナ10は、2枚の揺動可能な反射鏡を含んで構成され、レーザビームを、2次元方向に高速で走査し、加工対象物7上の所望の位置にレーザビームを入射させる。制御装置15は、レーザ光源1からのパルスレーザビームの出射に同期させて、レンズ昇降機構9によるfθレンズ5の変位、及びステージ8による加工対象物7の変位を制御する。
【0013】
図2は、実施例によるレーザ加工方法を説明するための図である。ここでは、加工対象物7に、パルスレーザビームを3ショット入射させ、樹脂層11を貫通する穴を開ける。
【0014】
まず、コリメートされたパルスレーザビームを、たとえば2ショット、fθレンズ5により、加工対象物7上に集束させる。fθレンズ5は、加工対象物7の樹脂層11の表面に円形の貫通孔2aを結像させる。これにより、表面近傍の樹脂層11には、開口の縁が真円形である穴が形成される。次に、制御装置15がレンズ昇降機構9に、fθレンズ5をレーザビームの光軸に沿って、鉛直下向きに、たとえば樹脂層11の厚さ(100μm)だけ移動させるような制御信号を送る。レンズ昇降機構9は、fθレンズ5に、伝達された制御信号に応じた変位を与える。その結果、貫通孔2aの結像位置は、加工対象物7の深い方に移動し、貫通孔2aは、樹脂層11と金属層12との界面の位置に結像される。
【0015】
図2においては、変位した後のfθレンズ5、レンズ昇降機構9、及び樹脂層11と金属層12との界面にレーザビームが結像される様子を、点線で記した。fθレンズ5を変位させた後、照射されるパルスレーザビームは、たとえば1ショットである。合計3ショットのパルスレーザビームの照射により、加工対象物7には、樹脂層11を貫通する穴が形成される。
【0016】
図3は、上記のように、貫通孔2aの結像位置を変化させて、合計3ショットのパルスレーザビームを入射させたときに、加工対象物7に形成される穴を示す概略的な平面図である。穴は、樹脂層11を貫通し、底面に金属層12表面を露出させる穴である。樹脂層11表面における開口の縁を実線で示した。開口の縁は、直径が100μmの円形状であった。また、形成された穴の底面を点線で示した。穴の底面は、直径が90μmの円形状であった。穴の開口の縁及び底面は、ともに結像位置で加工されているため、真円となる。なお、貫通孔2aの像を、樹脂層11と金属層12との界面にまで移動させるのでなくても、加工対象物7(樹脂層11)の深い方に移動させることによって、穴の底面の形状を穴の開口部の形状に近づけることができる。
【0017】
上記実施例においては、レンズ昇降機構9によりfθレンズ5を、レーザビームの光軸方向(加工対象物7の厚さ方向)に移動させることによって、貫通孔2aの結像位置を、加工対象物7の深い方へ変位させ、穴開け加工を行った。結像位置を移動させるのではなく、ステージ8により、加工対象物7を移動させることもできる。たとえば2ショットのパルスレーザビームを、樹脂層11の表面に貫通孔2aが結像するように、加工対象物7に入射させた後、ステージ8により、加工対象物7を、レーザビームの進行方向と逆向き(鉛直上方)に移動させる。移動距離は、たとえば、樹脂層11の厚さ(100μm)である。ここでパルスレーザビームを1ショット照射すると、貫通孔2aの像は、樹脂層11と金属層12との界面に結ばれるので、開口の縁、底面、ともに真円形であるような、高品質の穴を形成することができる。なお、ステージ8の制御は、制御装置15から伝達される制御信号によって行われる。更に、fθレンズ5と加工対象物7との両方を移動させて、加工を行ってもよい。
【0018】
なお、このレーザ加工方法の使用は、貫通孔を形成する場合に限らない。層の途中まで、穴を形成する場合にも用いることができる。更に、加工対象物は、金属層上に樹脂層が積層された基板に限らない。加工を行おうとする部材に、貫通孔、もしくは部材の途中までの穴を形成することもできる。
【0019】
また、COレーザ発振器以外のレーザ光源を用いてもよい。たとえば、Nd:YAGレーザやUVレーザ等を使用することができる。
【0020】
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、穴の底面の形状を穴の開口部の形状に近づけることのできるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるレーザ加工方法に用いるレーザ加工装置の概略図である。
【図2】実施例によるレーザ加工方法を説明するための図である。
【図3】パルスレーザビームを入射させ、加工対象物に形成した穴を示す概略的な平面図である。
【図4】レーザビームを用いた、従来の穴開け加工に使用されるレーザ加工装置の概略図である。
【図5】パルスレーザビームを入射させ、加工対象物に形成した穴を示す概略的な平面図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 マスク
2a 貫通孔
3 コリメーションレンズ
4 反射ミラー
5 fθレンズ
6 ガルバノボックス
7 加工対象物
8 ステージ
9 レンズ昇降機構
10 ガルバノスキャナ
11 樹脂層
12 金属層
13 支持層
15 制御装置

Claims (5)

  1. (A)貫通孔を透過したパルスレーザビームを、第1の方向に厚さを有する加工対象物の表面上に入射させる工程であって、前記貫通孔を、前記加工対象物の表面上に結像させて、パルスレーザビームを入射させる工程と、
    (B)前記第1の方向に、前記貫通孔の結像位置が移動するように、前記加工対象物と結像位置との少なくとも一方を移動させるとともに、前記加工対象物にパルスレーザビームを入射させる工程と
    を有するレーザ加工方法。
  2. 前記工程(B)において、前記貫通孔の結像位置が、前記加工対象物の深い方へ移動するように、前記加工対象物と結像位置との少なくとも一方を移動させるとともに、前記加工対象物にパルスレーザビームを入射させる請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記加工対象物が、金属層の表面上に樹脂層が形成された基板であり、前記工程(A)において、前記樹脂層の表面上に前記貫通孔を結像させてパルスレーザビームを入射させ、前記工程(B)において、前記金属層の表面上に前記貫通孔の結像位置を移動させてパルスレーザビームを入射させる請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されたパルスレーザビームの光路内に配置される貫通孔を有するマスクと、
    加工対象物を保持するステージと、
    前記貫通孔を透過したパルスレーザビームが入射し、前記貫通孔を前記ステージに保持された加工対象物上に結像させる結像レンズと、
    前記結像レンズ及び前記ステージの少なくとも一方を、パルスレーザビームの光軸方向に移動させる移動機構と
    を有するレーザ加工装置。
  5. 更に、前記貫通孔を前記ステージに保持された加工対象物の表面上に結像させて、パルスレーザビームを入射させた後、前記ステージに保持された加工対象物の深い方に、前記貫通孔の結像位置が移動するように、前記ステージに保持された加工対象物と結像位置との少なくとも一方を移動させるように、前記移動機構を制御する制御装置を有する請求項4に記載のレーザ加工装置。
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