JP2004209486A - 自動車パネルの成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイル5 をドアアウタパネル11の張出部14に相当する部分の表面に金型2 側から近接させて設け、ポンチ3 に設けた張出部14の成形面3aを、プレス成形後のパネル11の張出部14に相当する部分の裏面に近接させて設ける。そして、コイル5 に電気エネルギーを投入して、矢印で示す磁場を発生させ、アルミニウム合金パネル11の張出部14と張出部周囲の平坦部14a に相当する部分を変形させるとともに、ポンチの成形面3aやその周囲面3bに押圧し、張出部14と張出部周囲部14a の成形を同時にかつ瞬時に行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドア、ラゲージ、フェンダーのアウタパネルなどの、アルミニウム合金自動車パネルの成形方法(以下、アルミニウムをAlとも言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車のフード、フェンダー、ドア、ラゲージ、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度Al合金パネル材として、成形性に優れたAl-Mg 系の5000系や、成形性や焼付硬化性に優れたAl-Mg-Si系の 6000 系アルミニウム合金板材(圧延板材)が使用され始めている。
【0003】
これら自動車パネルは、周知の通り、アルミニウム合金板のプレス成形によってパネル (製品) 形状とされる。自動車パネルの内、ドア、ラゲージ、フェンダーなどのアウタパネルには、例えば、把手座やランプ座、ライセンス (ナンバープレート) 座などの器具や部材を装着したり、あるいはホイールアーチを描く、所定深さの張出部(凹み部、エンボス部)が、部分的に設けられる。図4 (a) にドアアウタパネル11の把手座14、(b) にラゲージアウタパネル12の、ライセンス座15、ランプ座16、(c) にフェンダーアウタパネル13のホイールアーチ17を、各々斜視図で示す。
【0004】
通常、これらの張出部は、アルミニウム合金板を自動車パネルの全体形状にプレス成形後に、更に、張出部を部分的にプレス成形することで形成される。しかし、この張出部はある程度の深さが必要であるため、張出部を部分的にプレス成形した場合、鋼板には無い、アルミニウム合金板特有の問題として、張出部の成形に伴う面ひずみの発生が避けられない。
【0005】
即ち、図5(a)に、全体を成形後のドアアウタパネル11の把手座14の、従来のプレス成形方法をプレス装置の断面図で示す。図5(a)において、しわ押さえ4 によりドアアウタパネル11を固定しつつ、金型2 の把手座14の成形面2bに対し、ポンチ3 により矢印方向に、ドアアウタパネル11を部分的にプレス成形している。
【0006】
このような場合、成形中のドアアウタパネル11を図5(b)に平面的に示す通り、把手座14中に、材料 (アルミニウム合金板) が矢印A1方向に流入するにつれて、矢印A2やA3の水平方向にも材料が必然的に、また不均一に移動する。このため、把手座14の周辺部14a の四隅部には、面ひずみX が発生する。このように面ひずみX が発生した場合、金型を外すと、面ひずみX が生じたパネル部分には、図5 (c) に成形後のドアアウタパネル11を平面的に示す通り、凸部Y が生じる。したがって、面ひずみの発生は、自動車パネルの平坦度などの形状精度を悪化させ、特に、前記用途のアウタパネルでは、美観を損なう。このため、手間のかかる矯正作業が必要となったり、面ひずみの発生が著しい場合には、矯正によっても手直しができず、アウタパネルとして採用できなくなる。
【0007】
このような面ひずみX の発生原因は、他にも、把手座14のコーナー部での材料の微小流入に伴う、円周方向圧縮応力による肉寄り、曲げモーメントによる張出部 (エンボス) 周囲の盛り上がり、弾性回復による面ひずみの増大などが上げられている。また、このドアアウタパネル11の把手座14以外の、図4 (b) のラゲージアウタパネル12のライセンス座15、ランプ座16でも、また、図4(c)のフェンダーアウタパネル13のホイールアーチ17では曲げぐせの残留など、同様の、あるいは、これらの部位ならではの原因で、各々面ひずみが生じる。
【0008】
また、このような面ひずみの問題は、前記した張出部だけの問題ではなく、ドアアウタパネルのくら型部、フロントフェンダの縦壁部、リアフェンダのウインドコーナー部、トランクリッドやフードアウタのキャラクターラインの消滅部、リアフェンダピラーの付け根部など、面ひずみを生じるような凹凸部分 (張出部を含む) を一部に有するようなアルミニウム合金自動車パネルに共通する課題である。
【0009】
これに対し、アルミニウム合金材料側での成形性の改良によって、上記面ひずみ抑制するのは大きな限界がある。このため、前記張出部を一部に有するようなアルミニウム合金自動車パネルでは、必要ポンチ乃至金型部位の温度を80〜290 ℃などの温度に加熱して、所謂温間成形乃至熱間成形すること (特許文献1 参照) などが提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9-164445号公報(1〜2 頁、1 図)
【0011】
一方、パネルなどの成形技術として、電磁成形技術の適用が提案されている。電磁成形自体は、高電圧で蓄荷電されている電気エネルギー (電荷) を、通電コイルに瞬時に投入し (放電させ) 、極めて短時間の強力な磁場を形成することにより、この磁場内におかれたワーク (被加工物、金属部材) が磁場の反発力 (フレミングの左手の法則に従ったLorentz力) によって強い拡張力や収縮力を受けて、高速で塑性変形することを利用して、ワークを所定形状に、塑性加工乃至成形する技術である。
【0012】
この電磁成形のアルミニウム合金板の成形適用の具体例として、成形する板部分に対応した形状を有するコイルを板の表面側に近接させて設ける一方、金型成形面を板の反対表面側に近接させて設け、前記コイルに電気エネルギーを投入して、成形する板部分を変形させるとともに、変形した板表面の一方側のみを前記金型成形面に押圧して、所定の形状に成形するアルミニウム合金板の電磁成形技術が提案されている (非特許文献1参照) 。
【0013】
【非特許文献1】
佐野利男他4 名、" 電磁力を利用する塑性加工の研究" 、「機械技術研究所報告第150 号」、1990年3 月、機械技術研究所発行 (第3 章 板の成形、第7 〜28頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特に、3000系や6000系のアルミニウム合金板において、あるいは5000系アルミニウム合金板においても、前記張出部を面ひずみを発生させることなく、前記特許文献1 のように温間成形乃至熱間成形するためには、ポンチ乃至金型部位の、ある程度高温の加熱が必要であって、成形されるアルミニウム合金板自体が高温とならなければその効果が無い。
【0015】
このため、アルミニウム合金板自体の高温化によって、前記張出部を面ひずみ発生無しで成形できたとしても、成形後のアルミニウム合金パネル表面に肌荒れが生じやすい。この肌荒れが生じたパネルは、特に、外観が問題となるアウタパネルのような用途では、平滑かつ美麗なアルミニウム合金光沢がパネル表面から失われるため、その商品価値が大きく損なわれる。また、アルミニウム合金パネルの強度も高温化によって低下し、自動車パネルに必要な強度や、成形後のハンドリングに必要な強度確保できない事態も生じる。
【0016】
一方、前記した非特許文献1のような電磁成形方法が、アルミニウム合金パネルの成形に適用できれば、前記割れや形状不良などの成形不良発生の諸問題が解決できる。しかし、自動車アルミニウム合金パネルなどの広い面積の電磁成形技術は今だ実用化されていない。
【0017】
これは、アルミニウム合金板の電磁成形においては、この成形される部分に対応するコイルの大きさが必要となるが、広い成形面積を有するコイルの製作自体が困難かつ高価となる問題や、成形に必要な大電力に対するコイルの耐久性や寿命を保証するコイルの製作自体が困難かつ高価となる問題が大きい。
【0018】
したがって、現状では、面ひずみを避けるために有効な一体成形方法が無く、所定深さの張出部が部分的に設けられるようなアルミニウム合金アウタパネルでは、一体成形で生じる面ひずみを避けるために、これまで、種々の回避策が講じられていたのが実情であった。例えば、パネルの張出部のみを分割して成形後、別個に成形したパネル本体に溶接するなどして接合するような回避策がある。また、予測される面ひずみを吸収するために、本来の設計形状では余分な、別個のキャラクタラインと呼ばれる凹部を面ひずみ発生部位に沿って設けるような回避策などがある。
【0019】
しかし、前記張出部の分割成形、接合や、前記キャラクタラインの設置は、アウタパネルの外観性や設計自体を制約し、接合部の強度やアウタパネルの剛性も低下させるなどの種々の制約がある。また、張出部を一体に成形する場合に比して、余分な工程が増えるなど、成形工程自体を煩雑化させる問題も大きい。
【0020】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、所定深さの張出部などの凹凸部分が部分的に設けられるようなアルミニウム合金自動車パネルを、面ひずみを抑制しつつ、一体的に成形できる、成形方法を提供しようとするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のための本発明アルミニウム合金自動車パネルの成形方法の要旨は、張出部などの凹凸部分を一部に有するアルミニウム合金自動車パネルの成形方法であって、アルミニウム合金板を自動車パネルにプレス成形する際に、前記凹凸部分の部分的な成形を電磁成形により行うことを含み、前記凹凸部分とともに、この凹凸部分周辺部を合わせて同時に電磁成形し、前記凹凸部分の成形に伴う面ひずみの発生を抑制することである。
【0022】
本発明では、自動車パネルの内の、前記張出部などの、プレス成形の際に面ひずみを発生しやすい凹凸部分 (凹部や凸部、あるいはこれらの組み合わせ部分) を選択し、この凹凸部分の部分的な仕上げ成形または予備成形を電磁成形により行う。言い換えると、アルミニウム合金板を自動車パネルにプレス成形する前かプレス成形した後に、凹凸部分の部分的な成形を電磁成形により行う。但し、この際、凹凸部分だけではなく、凹凸部分周辺部を合わせて電磁成形して、凹凸部分の成形に伴う面ひずみの発生を抑制する。
【0023】
本発明では、また、他のプレス成形が容易なパネル部分は、基本的に、通常のプレス成形によって成形する。このように、電磁成形と通常のプレス成形とを組み合わせて行うことによって、電磁成形されるパネル部分の面積や大きさを限定し、また、成形されるアウタパネル部分に対応するコイルの大きさも限定して、電磁成形やコイルの製作を容易とする。これによって、アルミニウム合金自動車パネルへの電磁成形の適用と、前記形状部分の成形を可能とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて、本発明の実施態様を説明する。
本発明のプレス成形と電磁成形とを組み合わせて成形を行なう一実施態様を図1(a)、(b) に順に示す。図1(a)、(b) は、電磁成形に用いるコイルをプレス装置内に組み込んで、アルミニウム合金板プレス成形後のアルミニウム合金パネル( 場合によってアルミニウム合金板とも言う) の電磁成形を、プレス成形工程の中で連続的に行なう態様を示している。
【0025】
図1(a)、(b) はプレス装置の要部を示す断面図であって、2 は金型 (ダイス) 、3 はポンチ、3aはポンチにおける張出部 (ドアアウタパネル把手座) の部分成形部、4 はしわ押さえ、5 は金型2 の空間部2aに設けた電磁成形コイルである。また、1 は成形中のアルミニウム合金板であり、1aは張出部に相当する成形部分を示す。更に、図1(b)において、6 はコイルから発生した電磁力 (方向) 、14は電磁成形された張出部、14a は電磁成形された張出部周辺部 (平坦部) を各々示す。
【0026】
本発明成形方法において、先ず、図1(a)に示すように、アルミニウム合金板1 は一体的に図1(b)のドアアウタパネル11にプレス成形される。このプレス成形自体は、従来公知の方法と同じであり、金型2 、ポンチ3 、アルミニウム合金板のしわ押さえ4 の共働により行なわれる。
【0027】
このプレス成形後に、図1(b)に示すように、ドアアウタパネル11の張出部14が電磁成形にて部分的に成形される。この際、張出部14の部分だけではなく、張出部14周囲の周辺部14a を合わせて同時に電磁成形することによって、張出部14の成形に伴う、前記図5 (b) に示したような面ひずみX の発生を抑制する。張出部14だけの部分的な電磁成形では、従来のプレス成形と同様となり、前記図5 (b) に示したような面ひずみX の発生を抑制できない。また、張出部14とその周辺部14a との電磁成形とに時間的な遅れが出るなど、張出部14とその周辺部14a とを合わせて同時に電磁成形しなければ、面ひずみX の発生を抑制できない。
【0028】
張出部14とその周辺部14a とを合わせて同時に、しかも電磁成形の成形 (材料の変形) 速度がプレス成形に比して著しく早いため、電磁成形することで、張出部14に、アルミニウム合金板材料が拡径 (変形) する際には、前記図5(b)で示したような水平方向の材料移動が抑制されるか、または生じない。このため、張出部( 把手座)14 の周辺部14a の、前記図5(b)で示した、四隅部の面ひずみX が抑制される。
【0029】
図1(b)において、金型2 の空間部2aに設けるコイル5 は、図1(b)に示すように、ドアアウタパネル11の張出部14に相当する部分 (図1(a)で言うアルミニウム合金板1 の張出部に相当する成形部分1a) の表面に金型側から近接させて設ける。それとともに、ポンチ3 に設けた張出部の成形面 (凹面)3a を、前記パネルの張出部に相当する部分の裏面に近接させて設ける。
【0030】
ポンチ3 における張出部の成形面3aの周囲面(周囲成形面)3bは、張出部周囲の平坦部14a を成形するために平坦とする。ただ、この張出部14周囲の周辺部14a は、パネルの設計形状やパネル用途に応じ、必ずしも本態様のように平坦ではなく、任意の斜辺形状や曲面形状となる場合がある。このような場合には、ポンチ成形面3aの周囲面3bを本態様のように必ずしも平坦部としなくとも良く、周辺部14a 形状に応じた任意の形状とする。
【0031】
そして、コイル5 に、高電圧で蓄荷電されている高レベルの電気エネルギーを瞬時に投入して、極めて短時間に強力な磁場を、矢印で示すように、張出部14と張出部周囲の平坦部14a に相当する部分に発生させる。そして、この磁場内におかれた、アルミニウム合金板乃至パネル11の張出部14と張出部周囲の平坦部14a に相当する部分に、磁場の反発力によって強い拡張力を与え、図の下方に拡径 (変形) させるとともに、前記ポンチの成形面3aやその周囲面3bに押圧し、前記張出部14と張出部周囲部14a の成形を同時にかつ瞬時に行う。
【0032】
なお、図1(a)、(b) において、18は、電磁成形時に生じる空気圧を系外に排出する、ポンチ3 に設けた空気抜き孔である。図1(a)、(b) の態様のように、ポンチ3 側に閉空間が存在するなど、電磁成形する際に閉空間内に高い空気圧が生じて成形できない問題が生じる場合には、このような空気圧を閉空間内から系外に排出する空気抜き孔(貫通孔)を金型やポンチに適宜設けることが好ましい。
【0033】
これによって成形したドアアウタパネル成形品11を図2 に平面図で示す。成形品11は、張出部14の成形に伴う、面ひずみの発生が抑制されており、前記図5 (c) に示したような凸部Y が生じておらず、自動車パネルの平坦度などの形状精度や美観などに優れている。また、電磁成形によって面ひずみの発生が抑制されるため、プレス成形に比しても、より深い(高い)、より大きな張出部の成形が可能になり、パネルや張出部の形状設計の自由度が増す利点も大きい。
【0034】
本発明によれば、電磁成形コイルも、アルミニウム合金板の成形される張出部分などに対応するコイルの大きさで済むため、広い成形面積を有するコイルの製作が不要となる。したがって、成形に必要な大電力に対するコイルの耐久性や寿命を保証するコイルの製作も容易である。
【0035】
以上、ドアアウタパネルの成形方法について説明したが、本発明によれば、前記図4 (b) のラゲージアウタパネル12のライセンス座15、ランプ座16、図4(c)のフェンダーアウタパネル13のホイールアーチ17など、自動車アウタパネルの部分的な張出部乃至凹凸部を成形するとともに、アウタパネル自体の成形に、同様の要領で適用できる。
【0036】
更に、以上説明した連続的な成形方法以外に、ドアアウタパネルをアルミニウム合金板のプレス成形により予め製作しておき、このドアアウタパネルの張出部を、別途あるいは別工程にて、電磁成形して製作しても良い。また、電磁成形を予備成形として用い、張出部の形状に近似する形状に予め電磁成形により部分的に成形しておき、ドアアウタパネル自体の成形と張出部の成形とを、プレス成形により、同時あるいは連続的に行っても良い。
【0037】
電磁成形に用いるコイルの一実施態様を図3(a)、(b) に、斜視図と平面図で各々示す。図3(a)はコイル5 の断面も合わせて示す斜視図、図3(b)は図3(a)のコイル5 の平面図である。コイル5 は、本態様では、平面的な略四角形状を有しており、この形状は、前記電磁成形の際に、前記張出部14と張出部の周辺部14a 周囲部に対応した平面形状を (大きさを含め) 有する。成形部分に対応した形状とは、張出部14周囲の周辺部14a を合わせて電磁成形できる大きさ (広さ) と形状を有する意味であって、略円形状など、外形 (輪郭) 形状は、他にも適宜選択される。
【0038】
図3(a)において、コンデンサー27、結線26は、コイル5 に、図示しない衝撃電流発生装置に高電圧で蓄荷電されている電気エネルギーを十数〜数十kJ( 数百μF 、数十kV) 電気エネルギーを投入する。
【0039】
張出部の電磁成形において、電磁成形によって最終張出部形状まで成形し、設計形状に対する張出部やその周囲部の形状精度を向上させるためには、張出部やその周囲部の深さや面積、材料特性などの成形条件によって異なるが、コイルへの投入電気エネルギー量はできるだけ大きく、7.3kJ 以上とすることが好ましい。7.3 kJ未満では、1 回当たりのコイルへの投入電気エネルギー量が小さいため、張出部やその周囲部の形状精度が不足する可能性がある。
【0040】
ここで、コイル5 の断面構造は、好ましくは、図3(a)に示すように、樹脂7 などの絶縁物に埋設かつ図3(b)に示すように平面的に巻回された、断面が正方形 (または矩形) をなした導体素線8 と、導体素線8 自体の外側に巻回された絶縁性物質9 、導体素線8 の外表面側に配置された絶縁性物質10とからなる。隣接する導体素線8 間は隙間がないように密接し、絶縁層の厚みは均一とされている。素線8 表面は平行となるように巻回配置されている。これらの絶縁性物質は、ガラス繊維にエポキシ樹脂などを含浸させた繊維強化樹脂が好適に用いられる。
【0041】
このような繊維強化樹脂の使用と前記各絶縁物や、銅線などの導体素線8 の配置構成によって、導体素線8 周囲が補強され、コイル5 への通電時における強い膨張力を受けた際にも、導体素線8 自体の変形や絶縁層の破損が軽減される。更に、導体素線8 は、隣接する導体素線8 との表面同士が平行になるように配置されているので、樹脂含浸時に無用な空孔が入り込んで絶縁性を損ねてしまう余地が無い。
【0042】
本発明で成形に用いるアルミニウム合金は、通常、この種構造材などの用途に汎用される、AA乃至JIS 規格に規定された5000系、6000系等のアルミニウム合金が、高成形性や高強度を兼備している点で好ましい。Al-Mg 系の5000系アルミニウム合金は、電磁成形時の加工硬化量が大きく、高成形性である点で好ましい。また、Al-Mg-Si系の6000系アルミニウム合金は人工時効硬化性 (ベークハード性) を備えており、低耐力状態で成形しやすくし、成形後に人工時効硬化処理で高耐力化できるなどの点で好ましい。勿論、これ以外のアルミニウム合金でも、電磁成形可能であり、用途と要求特性に応じて選択可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プレス成形と電磁成形とを組み合わせることにより、所定深さの張出部などの凹凸部が部分的に設けられるようなアルミニウム合金自動車パネルを、面ひずみを抑制しつつ、一体的に成形できる、成形方法を提供することができる。言い換えると、面ひずみが生じやすい各種自動車パネル部位の成形を面ひずみを抑制しつつ行なえる。しかも、電磁成形コイルも、アルミニウム合金板の成形される張出部分などに対応するコイルの大きさで済むため、広い成形面積を有するコイルの製作が不要となり、コイルの製作自体も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形方法の一態様を順に示し、図1(a)はプレス成形、図1(b)は電磁成形を各々示す断面図である。
【図2】図1 の本発明成形方法によるパネル成形品を示す平面図である。
【図3】本発明の成形方法に用いる電磁成形用コイルを示し、図3(a)はコイルの斜視図、図3(b)はコイルの平面図である。
【図4】本発明が対象とするアウタパネル例を示し、図4 (a) はドアアウタパネル、図4 (b) はラゲージアウタパネル、図4 (c) はフェンダーアウタパネルを各々示す斜視図である。
【図5】従来のドアアウタパネルの把手座のプレス成形方法を示し、図5(a)はプレス成形の態様を示す断面図、図5(b)は成形中のドアアウタパネルの状態した場合を示す平面図、図5 (c) は成形後のドアアウタパネルを示す平面図である。
【符号の説明】
1:アルミニウム合金板、2:金型、3:ポンチ、4:しわ押さえ、
5:電磁成形コイル、6:コイルから発生した電磁力、7:絶縁性物質、
8:導体素線、9:絶縁性物質、10: 絶縁性物質、
11: ドアアウタパネル (パネル成形品) 、12: ラゲージアウタパネル、
13: フェンダーアウタパネル、14: 把手座 (張出部) 、15: ライセンス座、
16: ランプ座、17: ホイールアーチ、18: 空気抜き孔
X : 面ひずみ、Y : 凸部
Claims (3)
- 凹凸部分を一部に有するアルミニウム合金自動車パネルの成形方法であって、アルミニウム合金板を自動車パネルにプレス成形する際に、前記凹凸部分の部分的な成形を電磁成形により行うことを含み、前記凹凸部分とともに、この凹凸部分周辺部を合わせて同時に電磁成形し、前記凹凸部分の成形に伴う面ひずみの発生を抑制することを特徴とする自動車パネルの成形方法。
- 前記凹凸部分と凹凸部分の周辺部に対応した平面形状を有するコイルを、前記凹凸部分に相当するアルミニウム合金板部分の表面に金型側から近接させて設ける一方、ポンチ側に前記凹凸部分と凹凸部分の周辺部に対応した成形面を設けるとともに、この成形面を前記凹凸部分に相当するアルミニウム合金板部分の裏面に近接させて設け、前記コイルに電気エネルギーを投入することにより、前記ポンチ側の凹凸部分成形面によって、アルミニウム合金板の前記凹凸部分と凹凸部分の周辺部に相当する部分を電磁成形する請求項1に記載の自動車パネルの成形方法。
- 前記凹凸部分が張出部である請求項1または2に記載の自動車パネルの成形方法。
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