JP2004209315A - 塗布物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】両端部にナーリング加工を有しないプラスチック樹脂フィルムの特性及び塗布液の特性に応じて初期巻き取り張力の大きさと最終巻き取り張力の大きさを調整する方法を提供することである。
【解決手段】第1の工程における最上層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をX(mN/m)、第2の工程に於ける最下層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をY(mN/m)、前記第2の工程で塗布層が塗布されるプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値をZ(mN/m)、及び前記第1の工程における支持体の初期巻き取り張力をW1(N/m)及び最終巻き取り張力W2(N/m)としたときに、下記の式1を満足することを特徴とする塗布物の製造方法。
150≦W2≦W1≦{Z×103−(Y−X)×103}×10−100(式1)
【選択図】 なし
【解決手段】第1の工程における最上層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をX(mN/m)、第2の工程に於ける最下層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をY(mN/m)、前記第2の工程で塗布層が塗布されるプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値をZ(mN/m)、及び前記第1の工程における支持体の初期巻き取り張力をW1(N/m)及び最終巻き取り張力W2(N/m)としたときに、下記の式1を満足することを特徴とする塗布物の製造方法。
150≦W2≦W1≦{Z×103−(Y−X)×103}×10−100(式1)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真感光材料、平版印刷版、インクジェット記録材料、感熱記録材料、磁気記録材料、感圧紙等のように、プラスチック樹脂フィルムに塗布層が塗布された塗布物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述した各種記録材料や平版印刷版のような塗布物は、プラスチック樹脂フィルムを支持体とするものがあり、該支持体上にそれぞれの目的用途に応じて塗布層が塗布される。塗布層の塗布に先立って、直前あるいは事前に、塗布層とプラスチック樹脂フィルムとの接着性を向上させるための前処理、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理(フレームプラズマ)、下引き加工等がプラスチック樹脂フィルムに施される。通常、塗布物の製造に際しては、長さが1000〜5000m程度で、幅が100〜500cm程度のロール状に巻かれたプラスチック樹脂フィルムが用意され、アンワインダー装置から送り出されたプラスチック樹脂フィルムは、必要に応じて設けられた表面処理工程を経て塗布工程へ搬送され、そこで塗布層が塗布され、次いで乾燥工程、更に必要に応じて設けられた調湿工程を経てワインダー装置で巻き取られる。このような一連の工程は、最終の塗布物を得るまでに2回以上行う場合がある。
【0003】
本発明は上記した塗布、乾燥及び巻き取りからなる一連の工程を2回以上行う塗布物の製造方法を対象とする。本発明は特に、上記した一連の工程をプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ1回以上行う製造方法に好適である。
【0004】
上述した各種記録材料及び平版印刷版は、プラスチック樹脂フィルムの両面に記録層あるいは感光層を設ける場合、またはプラスチック樹脂フィルムの一方の面に記録層あるいは感光層を設け、反対面にバッキング層を設ける場合がある。このようなケースにおいて、1回目の塗布、乾燥、巻き取りの一連の工程後、2回目の塗布を行うときに、塗布性が著しく低下する問題がある。特に、1回目の塗布層に固体微粒子(マット剤)を比較的多く含有し、塗布面の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)が、0.5μm以上の場合に上述した問題は益々起こりやすくなる。
【0005】
上記した問題は、1回目の巻き取り工程における初期巻き取り張力の影響を受けることが判明した。即ち、ロール状の巻き取り状態において支持体を挟んで1回目の塗布面と、次の2回目の塗布面とが強い圧力で接触することによって、1回目の塗布面が次の2回目に塗布しようとする面に対し、塗布性に支障をきたすほどの悪影響(例えば、傷を発生させたり、表面を剥離したり、更には塗布組成物が転写したりすること)を与えていることがわかった。この現象は、特に、1回目の一連の工程後、2回目の塗布を行うまでに巻き取り状態で長時間放置した場合、あるいは加熱処理した場合に起こりやすかった。
【0006】
さらに、ナーリング(又はローレットとも言う)加工の有無により、塗布性が大きく異なることも最近になってわかってきた。
【0007】
そもそもナーリングはエージング中の押し出し成形における残留応力の影響を排除させて巻き取られたプラスチック樹脂フィルムの巻き取り特性を改良し、その後の加工段階のハンドリング性を向上させるために設けられた縁部の物理的処理であり、更には巻き取り直後のプラスチック樹脂フィルムが収縮して巻締まり現象が生じて硬くなり、これにより巻のタルミが生じるため、これを回避する為にプラスチック樹脂フィルムの両縁部に厚み出し部(ナーリング)を設けて空気を巻き込むことにより、巻締まりを回避し、更に空気を巻き込むことにより生じる巻きズレを防止するためのものである。例えば、特公昭47−16064号、特開平11−277601号、特公昭50−36459号に開示されている。
【0008】
また、プラスチック樹脂フィルムの製造においては、塗布、加工等の次工程の場所に移送されるために一旦巻き取られる。そして、後続工程の処理が行われるまでに巻き取られたままの状態で長い間保管されることもある。これらの支持体の片面又は両面がプラスチック樹脂フィルムを接触させたまま、特に長く接触させておくかまたは大きな圧力を加えた状態で接触させておくと、その接触面が傷むことが少なくない。したがって、プラスチック樹脂フィルム、特に写真フィルム、各種記録材料及び平版印刷版を製造する場合には、縁部の厚み増大させて巻かれているプラスチック樹脂フィルムの中央部(面)を互いに離しておくかあるいは接触圧を十分に開放して前記傷み防止をすることが必要である.例えば、特公昭47−16064号、特開昭54−74862号、特公昭58−54007号に開示されている。
【0009】
つまり、プラスチック樹脂フィルムの両端部のナーリング加工は巻きズレ防止、巻締まり防止及び接触面の傷み等の効果を備えていることから種々のプラスチック樹脂フィルムに適用されている。近年、上記問題を回避できる巻き取り技術開発の進歩が徐々に現れてきたことにより、プラスチック樹脂フィルムに対する極度な性能を必要としない用途においては、ナーリング加工を施さないより安価なプラスチック樹脂フィルムの供給が行われるようになってきている。
【0010】
しかし、ナーリング加工のないプラスチック樹脂フィルムは安価であるが、ナーリング加工のあるもの以上に上述した塗布性への悪影響(例えば、傷を発生させたり、表面を剥離したり、更には塗布組成物が転写したりすること)がより顕著に現れることがわかった。さらに、巻き取り状態で長時間放置した場合、あるいは加熱処理した場合に顕著に起こりやすかった。
【0011】
一方、従来から行われている一般的な巻き取り方法は巻き取りモーターに負荷させるトルクが能力以上とならないように、巻き取り初期の巻き取り径が小さいときは、巻き取り張力を大きくし、巻き取り径が大きくなるにしたがって巻き取り張力が小さくなるように張力設定されている。
【0012】
プラスチック樹脂フィルムの巻き取り方法を改良した技術としては、特開2001−302044号公報、特開2001−3020445号公報及び特開2002−187649号公報に面圧増加による感光層の剥離、面圧減少による巻きズレ防止を行うための巻き取り方法が知られている(特許文献1,2,3)。特開2001−302044号公報及び特開2001−3020445号公報に於いては、張力パターンを初期巻き取り張力、テーパー、上乗せ張力、及びコーナー径又は上乗せ終了径の各制御因子を決定することにより多種多様な張力パターンを実現できることが記載されている。また、特開2002−187649号公報に於いては、巻芯に対してプラスチック樹脂フィルムを一定長だけ低張力で巻き取った後、所定の張力増加率で張力を増加させて、ある張力値に達した後、張力を巻き取る方法が記載されているが、巻き取り方法と塗布性及び巻き取った状態での時間経過と塗布性等に関してまったく記載されていない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−302044号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開2001−302045号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開2002−187649号公報(第2−6頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はプラスチック樹脂フィルムの特性及び塗布液の特性に応じて初期巻き取り張力の大きさきさと最終巻き取り張力の大きさを調整することで、裏面の影響による表面の傷及び剥離及び裏面塗布組成物の表面への転写により塗布性を低下させることを防止し、且つ巻きズレを防止する技術又は、巻き取った状態のままで長期保管することによる塗布性の低下を防止する技術を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、両端部にナーリング加工を有しないプラスチック樹脂フィルムの片面もしくは両面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取る第1の工程、及び前記第1の工程で巻き取られたプラスチック樹脂フィルムの前記第1の工程で塗布された面の反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布する第2の工程から少なくともなる塗布部の製造方法において、前記第1の工程における最上層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をX(mN/m)、前記第2の工程に於ける最下層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をY(mN/m)、前記第2の工程で塗布層が塗布されるプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値をZ(mN/m)、及び前記第1の工程におけるプラスチック樹脂フィルムの初期巻き取り張力をW(N/m)及び最終巻き取り張力W2(N/m)としたときに、下記の式1を満足することを特徴とする塗布物の製造方法。
150≦W2≦W1≦{Z×103−(Y−X)×103}×10−100(式1)
(但し、前記第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ少なくとも1層の塗布層が塗布されている場合、式中のXは、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布された最上層の相乗平均となり、X=√(X1×X2)となる。ここでX1及びX2は、両面に塗布されたそれぞれの最上層を形成した塗布液の表面張力(mN/m)を表す。)
また、上記した本発明の巻き取り雰囲気の露点が18℃以下である場合に好適である。
【0016】
【発明の実施形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の塗布物の製造方法は種々の巻き取り方法及び塗布方法が適用でき、これらの巻き取り方法及び塗布方法は様々な分野に適用できる。例えば、写真感光材料、平版印刷版、インクジェット記録材料、感熱記録材料、磁気記録材料等の分野等に適用することができる。本発明の塗布物の製造時に適用できる巻き取り方法は、例えば、写真感光材料における下塗り層、感光層、裏塗り層、物理現像核層等、インクジェット記録材料におけるインク受容層等、感熱記録材料におけるアンダーコート層、感熱記録層等、磁気記録材料におけるアンダーコート層、磁気記録層等が挙げられる。
【0017】
本発明の塗布物の製造方法において、第1の工程で本発明の式1より計算される巻き取り張力値で巻き取ることにより塗布性の低下及び巻き取り後の経時による塗布性の低下が防止できるのかを説明する。塗布性低下の一番の要因は塗布性低下物質の転写及び傷等による表面状態の変化であると考えられる。巻き取り張力が大きくなると表裏面間に大きな応力が存在することになり、言い換えると、大気圧を遥かに超えた圧力が表裏面に生じていることになる。本発明に用いるプラスチック樹脂フィルムは高分子を原材料にしており、又後述するように、塗布層中には一般的に種々の高分子(バインダー、コロイド及び塗布物等として)を有していることから、以下のことが考えられる。
【0018】
高分子が成膜した場合、自由体積が存在するが高圧下に於いては自由体積が減少する。自由体積の減少は高分子鎖の運動を助長し、結果とし物質の易動性が増すことになる。自由体積の減少は時間依存因子であり、時間経過とともに自由体積は緩和され、物質の易動性をさらに増すことになる。
プラスチック樹脂フィルムの厚み又は材質により剛性が異なるが、応力によりプラスチック樹脂フィルム又は塗布層の変形が生じる。この変形度合いにより上述した自由体積の減少度合いも異なり、剛性の小さいものほど自由体積の減少度合いが大きくなる。つまり、プラスチック樹脂フィルムの厚みが薄いもの又はガラス転移温度の低いものが自由体積の緩和が助長されやすくなる。
上述したようにプラスチック樹脂フィルム及び塗布層の変形も時間依存因子であり、時間経過とともに自由体積の緩和が助長される。顔料などが多量に存在する場合は接触面を傷つける。
【0019】
つまり、巻き取り張力が大きいと言うことはプラスチック樹脂フィルム又は塗布層内の自由体積の緩和を助長し、その中の物質易動性を高める。また、巻き取り張力が大きいとプラスチック樹脂フィルムの表裏面の接触(付着)度合いが増すことにより、表裏界面エネルギーを小さくしようとする駆動力が働くようになる。そのため、表裏面の表面エネルギー差が大きい場合は表面エネルギーの大きい方が小さくなろうとし、この場合は表面エネルギーの小さい方から大きい方に物質移動が起こり(通常、表面エネルギーを支配しているものは、特に介在する雰囲気下が空気中である場合は、疎水性物質又は疎水性基が支配的である。具体的には界面活性剤等が挙げられる。)、エネルギーバランスを保つ方向に推移するものと考えられる。更に、表裏面に傷又は剥離等の凸凹が生じた場合、上述した疎水性物質の移動により表面の疎水度がフラクタル理論より助長されることになる。このようなことは、上述した自由体積の減少による効果との相乗効果により、塗布性の低下が生じるものと考えられる。また、時間経過(巻き取った状態のままで放置する時間)は自由体積の緩和及びエネルギーバランスの緩和を促し、更なる塗布性の低下を招く結果になるものと考えられる。水分が存在する場合は、水による可塑化が生じ、上述した自由体積の減少効果、更には物質の易動性がより一層助長されることになるためと考えられる。
【0020】
ナーリング加工はプラスチック樹脂フィルムの両縁(端)部の厚み出しにより、表裏面の接触を回避する目的で行われた物理的手段であり、ナーリング加工のない場合は表裏面の接触頻度が増すため、上述した自由体積の緩和が一層助長されることになる。
【0021】
本発明で記載した式は経験式であるが、鋭意検討した膨大な試験結果を略完全に満足させるものであり、プラスチック樹脂フィルムの表面エネルギー及び塗布層塗布液の液性等の組み合わせにより、塗布性に影響を及ぼす巻き取り張力の臨界条件が存在するものと考えられる。
【0022】
本発明の具体的な態様について説明する。
本発明は、第1の工程で塗布された面の反対面に、第2の工程で塗布することを必須とする。本発明において、第1の工程では、プラスチック樹脂フィルムの片面もしくは両面に少なくとも1層の塗布層が塗布されるが、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの片面にのみ塗布された場合、第2の工程ではその反対面に塗布層が塗布され、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布層が塗布された場合は、第2の工程ではそのどちらの面に塗布してもよいことを意味する。
【0023】
上記態様について、更に具体的に説明すると、以下のような態様が挙げられる。
(1)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの片面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取り、次の第2の工程でプラスチック樹脂フィルムの反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。
上記態様としては、例えば、感光材料の場合、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの片面に裏塗り層を塗布、乾燥し、巻き取った後、第2の工程で、その反対面にハロゲン化銀乳剤層及び保護層を塗布する態様があり、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の場合は、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの片面に裏塗り層を塗布、乾燥し、巻き取った後、第2の工程で、その反対面に下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布する態様がある。
【0024】
(2)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取り、次の第2の工程でプラスチック樹脂フィルムのどちらかの面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。この場合、第2工程で塗布層を塗布するプラスチック樹脂フィルム表面には既に第1の工程で塗布層が塗布されているので、ここでプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値Z(mN/m)は塗布層表面の濡れ指数値である。
上記(2)の、第1の工程においてプラスチック樹脂フィルムの両面に塗布層を塗布する場合の態様としては、以下の態様が含まれる。
(2A)プラスチック樹脂フィルムの両面に同時もしくは逐次的(タンデム方式)に塗布して巻き取る態様。ここでタンデム方式とは、一方の面に塗布した後巻き取らずに連続して他方の面に塗布する方式である。
(2B)プラスチック樹脂フィルムの一方の面に塗布、乾燥し、一旦巻き取った後、その反対面に塗布乾燥して巻き取る態様。この場合、本発明の式1における初期巻き取り張力W1は、後の巻き取り時のものである。
【0025】
上記(2A)及び(2B)の態様の詳細な態様は、以下のようになる。
(2A)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの両面に同時もしくは逐次的(タンデム方式)にそれぞれ少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取り、次に第2の工程でプラスチック樹脂フィルムのどちらかの面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。
(2B)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの一方の面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥し、一旦巻き取った後、その反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥し、巻き取り、次の第2の工程でプラスチック樹脂フィルムのどちらかの面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。
【0026】
上記(2A)の態様について具体的に説明する。例えば、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の場合、第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの一方の面に裏塗り層、その反対面に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層(この場合、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層は同時重層塗布する)を、両面に同時もしくは逐次的に塗布、乾燥した後、巻き取り、第2の工程で前記ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を塗布する態様がある。
【0027】
上記(2B)の態様について具体的に説明する。例えば、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の場合、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの一方の面に裏塗り層、その反対面に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を同時重層塗布し、乾燥して巻き取り、次の第2の工程で前記ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を塗布する態様がある。
【0028】
上記(2A)及び(2B)の場合、第1の工程における最上層の塗布液の表面張力Xは、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布された最上層の相乗平均になる。即ち、裏塗り層塗布液の表面張力とハロゲン化銀乳剤層塗布液の表面張力の相乗平均値となる。
【0029】
上記した(2A)及び(2B)の態様においては、第1の工程と第2の工程の間に巻き取った塗布物の加熱処理工程を入れてもよい。平版印刷版としての印刷性能を考える場合は、加熱処理工程を入れる方が好ましく、加熱条件としては、35℃〜50℃で1日〜10日程度が適当である。しかしながら、前述したように、加熱処理工程を入れることによって、益々第2の工程での塗布性が悪化するという問題があり、したがって、本発明はこのようなケースにおいて特に有用である。
【0030】
本発明において、第1の工程で塗布される塗布層として、例えば裏塗り層がある。裏塗り層は1層のみであっても2層以上の複数構成であってもよい。1層構成の場合はその層の塗布液の表面張力が式1の対象となり、複数層で構成されている場合は、最上層を形成する塗布液の表面張力が本発明の式1での対象となる。
【0031】
裏塗り層は、バインダーとしてゼラチンを主体に含むのが好ましく、その他のポリマー、例えば、デキストラン、ポリアクリルアミド、デンプン、ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー、あるいはポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン等のポリマーラテックスを含んでもよい。裏塗り層には、感光材料あるいは平版印刷版の搬送性、印刷機への版掛け性を向上させるために、シリカ微粒子等の平均粒径が1〜10μm程度のマット剤を含有させるのが好ましい。しかしながら、裏塗り層にマット剤を含有させて、表面粗面化した場合、例えば、JIS−B0601に規定された中心線平均粗さRa値が0.5μm以上の場合に、第2の工程の塗布性が低下するという問題があり、本発明はこのような場合に特に有効である。
【0032】
裏塗り層には、更にカーボンブラック、染料、顔料、滑剤、ゼラチン硬膜剤、界面活性剤を含有させることができる。
【0033】
裏塗り層が塗布されたプラスチック樹脂フィルムの反対面には、感光材料の場合はハロゲン化銀乳剤層や保護層が塗布され、インクジェット記録材料の場合はインク受容層が塗布され、平版印刷版の場合は下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層が塗布される。
【0034】
感光材料又は銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版に用いられるハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものからなり、用途によりその種類及び構成比が異なる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10−8モル〜10−3モルである。ハロゲン化銀の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし14面体粒子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、その平均粒径は0.2μm〜0.8μmの範囲である。好ましい例の一つとしては、ロジウム塩もしくはイリジウム塩を含む、塩化銀が80モル%以上の単分散もしくは多分散結晶がある。
【0035】
ハロゲン化銀乳剤は、それが製造される時又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素によって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によって、又はこれらの両者の併用など当該技術分野において良く知られた方法で化学的に増感することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤は又、例えばシアニン、メロシアニン等の色素によってポジティブにもネガティブにも増感又は減感され得る。その増感又は減感され得る波長域に特に制限はない。従って、オルソ増感、パンクロ増感、ヘリウム−ネオンレーザー用増感、アルゴンレーザー用増感、LED用増感、半導体レーザー用増感もなし得るし、明室用にUV増感、可視光減感もなし得る。
【0036】
銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版における下塗り層は、ハレーション防止層を兼ねており、ゼラチンを主体とするバインダー中にカーボンブラックや着色染料、着色顔料を含有し、更に印刷特性を向上させるために平均粒径が1μm以上のシリカ微粒子を含有するのが好ましい。該シリカ微粒子は塗布液中に1〜4質量%の濃度で含有させる。上記平版印刷版を製造するに際し、下塗り層の上にハロゲン化銀乳剤層が積層され、更にその上に物理現像核層が塗布される。銀錯塩拡散転写法を応用した平版印刷版については、米国特許第3,728,114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号明細書等に記載されている。
【0037】
物理現像核層には、物理現像核、親水性コロイドが含まれる。物理現像核としては銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶であっても良い。物理現像核には、親水性コロイドとしては、例えば、特開昭53−21602号及び特開平8−211614号記載の多官能型合成ポリマー、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子又はそのオリゴマーを含むことができる。さらにホルマリン、ジクロロ−s−トリアジン等の公知の硬膜剤、例えば、ハイドロキノン類、カテコール、1−フェニル−3−ピラゾリドン等の現像主薬を含ませてもよい。また、物理現像核層には各種界面活性剤を含有することができる。特に、スルホ基を有するアニオン性界面活性剤が好ましく、例えば、アルキルスルホコハク酸が好ましい。
【0038】
保護層としては、コロイド状シリカ及び親水性コロイド物質としてゼラチン及びゼラチン誘導体、コロイド状アルブミン、カゼイン等のタンパク質、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、寒天、アルギン酸ナトリウム、澱粉等の糖誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の合成ポリマー等を単独あるいは適当な比率で混合して用いることもでき、表面の傷を防止する為にシリカ微粒子等の平均粒径が1〜10μm程度のマット剤を含有させるのが好ましい。また、適度に硬膜剤、界面活性剤及び防腐剤を含んでいることが好ましい。更に写真性及び種々の特性改良を目的として現像主薬、硬調化剤、増感剤、染料、カブリ抑制剤等に加えて色調剤や蛍光増白剤等及びポリマーラテックスを必要に応じて用いることも出来る。
【0039】
インクジェット記録材料におけるインク受容層には、2つのタイプがあり、1つは水溶性ポリマーを主体に含有する膨潤タイプであり、もう一つは固体微粒子を主体に含有する空隙タイプである。水溶性ポリマーを主体とするインク受容層には、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、目的に応じて、種々の界面活性剤、硬膜剤を含有することができる。更に、タック性の防止に平均粒径が1μm以上のシリカ微粒子を含有する。固体微粒子を主体に含有するインク受容層に適用される固体微粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等があるが、近年、インク吸収性が高く、かつフォトライクな高光沢な記録材料が開発されており、そのために、平均粒径1μm未満のシリカ微粒子(例えば、気相法によって合成されたシリカ;気相方シリカという)やアルミナ微粒子を含有するインク受容層の塗布液を、ポリエチレン被覆紙やポリエステルフィルムのような耐水性支持体に塗布することが行われている。
【0040】
本発明は塗布速度が150m/min以上の場合にその効果が著しく見られ、好ましくは200m/min以上の塗布速度であり、更に好ましくは250m/min以上である。
【0041】
本発明に於ける塗布方式は特に限定するものではないが、高速塗布に有効である一定塗布量をそのまま塗り切る前計量塗布方式の場合にその効果が顕著に現れることが鋭意研究の結果わかった。前計量塗布方式としては、スライドビード塗布方式、カーテン塗布方式、スロット塗布方式、エクストルージョン塗布方式等が挙げられる。特に、高速塗布適正の高く、多層塗布に優れた、スライドビード塗布方式及びカーテン塗布方式が好ましい前計量塗布方式である。
【0042】
本発明に於ける巻き取り張力の制御方法は初期巻き取り張力に見合った、巻きズレの生じない方法を選ぶことが好ましい。例えば、テーパー制御方法(巻径に応じ張力がテーパーに準じ漸減する方法)、定トルク制御方法(常に一定のトルクで巻き取る方法)、定張力制御方法(常に一定の張力で巻き取る方法)である。中でのテーパー制御方法及び定トルク制御方法が好ましい。また、テーパー制御法に於いては、テーパーを開始する開始径及びテーパーを任意に設定することも可能である。
【0043】
本発明における最終巻き取り張力の値としては、巻き取るプラスチック樹脂フィルムの長さにより異なってくるが、巻き緩みによる巻きズレ等による次工程でのトラブルを回避する為に(プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工が施していない分、ナーリング加工を施しているものよりも巻き緩みによる巻きズレが生じやすい)150N/m以上であることが好ましく、更に好ましいのは250N/m以上である。
【0044】
本発明に於けるプラスチック樹脂フィルムの濡れ指数の測定方法としては、JIS K 6768 に規定されている方法を用いて判定した。プラスチック樹脂フィルムに前処理を施した場合は、前処理後の濡れ指数値を用いる。
【0045】
本発明に於ける塗布液の表面張力値の適用は動的表面張力値又は静的表面張力値のどちらでもよいが、統一した方法で塗布液の表面張力を測定した値でなくてはならない。好ましくは表面張力値としては簡便に求められ且つ測定精度も高い静的表面張力値である。また、静的表面張力値の測定法にはペンダントドロップ法、毛細管上昇法、静滴法、静泡法、懸滴法、滴重法、滴容法、リング法、垂直板法、最大泡圧法等の種々の方法があるが、どの方法で塗布液を測定してもよい。
【0046】
塗布層には種々のバインダーが用いられており、そのバインダーすなわち塗布層を硬膜化させる為には架橋剤又は硬膜剤が使用されている。塗布層中の架橋剤又は硬膜剤の反応性を助長し、塗布層の硬膜化を助長させる助長剤として水分(水)があり、巻き取り雰囲気下の湿度(水分)を制御することにより塗布層の硬膜化の度合いを調節する手法が一般的に用いられている。本発明に於ける露点は、塗布層の硬膜化の促進を妨げることなく又、塗布性を低下させない、10℃から18℃の範囲が好ましく、更に好ましくは10℃から15℃の範囲である。
【0047】
本発明に於ける露点18℃以下の温度条件としては、25℃から50℃の範囲が好ましく、更に好ましくは25℃から45℃の範囲である。
【0048】
本発明に用いるプラスチック樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、テフロン(R)、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム等がある。これらのプラスチック樹脂フィルムのうちポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが特に好ましい。これらのプラスチック樹脂フィルムの厚みは50〜300μm、好ましくは80〜260μmのものが用いられる。また、上記プラスチック樹脂フィルムが接着性強化の為の下引き層を有しているものが好適である。尚、プラスチック樹脂フィルムに下引き層を設ける場合、該下引き層上に塗設される塗布層との接着性及び濡れ性を向上させる目的で設けられるため、下引き層面の濡れ指数は塗設される塗布層の塗布液の表面張力値よりも大きくなるのが一般的である。そのため、本発明においては、下引き層は本発明の塗布層に含めないで取り扱う。
【0049】
上述したプラスチック樹脂フィルムは、塗設される塗布層との接着性を上げるために、各種表面処理が施される。例えば、コロナ放電処理、火炎処理(フレームプラズマ)、紫外線照射処理、グロー放電処理、イオン照射処理等が施される。尚、上記の各種表面処理は下引き層処理を施した上述したプラスチック樹脂フィルムにも適用できる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0051】
プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施した100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にウレタンを含む下引き層(A)又はプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していない100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面ウレタンを含む下引き層(B)を有する2種類のプラスチック樹脂フィルム上に、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の作製ための、1工程目:プラスチック樹脂フィルム裏面に裏塗り下層と裏塗り上層の同時塗布、2工程目:プラスチック樹脂フィルム表面に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層の同時塗布、及び3工程目:ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層の単層塗布をそれぞれスライドビード塗布方式で行った。
【0052】
<裏塗り下層−1>
5質量%ゼラチン水溶液にカーボンブラックを7質量%及びアニオン系界面活性剤を0.24質量%となるように添加したものである。粘度は12.5mPa・sで、表面張力は33mN/mであった。湿潤塗布量は15g/m2である。
【0053】
<裏塗り上層−1>
5質量%ゼラチン水溶液に平均粒径5μmのシリカを2質量%、酸化チタン粒子を10量%、アニオン系界面活性剤とフッ素系ベタイン界面活性剤をそれぞれ0.36質量%と0.01質量%となるように添加したものである。粘度は17.6 mPa・sであった。表面張力は27mN/mであった。湿潤塗布量は43g/m2である。
【0054】
<下塗り層>
ゼラチンを9質量%、カーボンブラックを5質量%、平均粒径3.5μmのシリカ微粒子を5質量%、トリアジン系硬膜剤を1質量%、及びアニオン系界面活性剤を0.035質量%含有する下塗り層塗布液を作製した。該塗布液の粘度は22mPa・sで、表面張力は32.3mN/mであった。湿潤塗布量は40g/m2である。
【0055】
<ハロゲン化銀乳剤層>
オルソ増感されたハロゲン化銀乳剤(塩化銀を99モル%含有する塩沃化銀乳剤)にゼラチン、界面活性剤、及びホルマリン硬膜剤を添加したハロゲン化銀乳剤層の塗布液を作製した。該塗布液の粘度は24mPa・sで、表面張力は31.5mN/mであった。湿潤塗布量は15g/m2である。
【0056】
<物理現像核層>
特開平8−211614号の実施例1に記載の物理現像核塗布液No.2(但し、サポニンに替えて、ジオクチルスルホコハク酸ソーダを用いた)の粘度は1mPa・sで、表面張力は33mN/mであった。湿潤塗布量は15g/m2である。
【0057】
裏塗り層及び下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布する際は、支持体にワット密度50W・min/m2のコロナ放電処理を施した後、塗布を行った。物理現像核層はハロゲン化銀乳剤層上に塗布し、塗布する際にはコロナ放電処理は施さない。
【0058】
巻き取り時の巻き取り条件は下記に示す条件で実施した。
<条件1>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 600N/m、
最終巻き取り張力 517N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃50%(露点約13.7℃)で実施した。
【0059】
<条件2>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 600N/m、
最終巻き取り張力 517N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃75%(露点約20.4℃)で実施した。
【0060】
<条件3>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 420N/m、
最終巻き取り張力 328N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 30%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃50%(露点約13.7℃)で実施した。
【0061】
<条件4>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 420N/m、
最終巻き取り張力 328N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 30%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃75%(露点約20.4℃)で実施した。
【0062】
<条件5>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 134N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 85%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃50%(露点約13.7℃)で実施した。
【0063】
<条件6>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 134N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 85%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃75%(露点約20.4℃)で実施した。
【0064】
<条件7>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 301N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は40℃20%(露点約12.5℃)で実施した。
【0065】
<条件8>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 301N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は40℃50%(露点約27.5℃)で実施した。
【0066】
巻き取り後の保管条件は下記の条件で実施した。
<条件I>
25℃50%、24時間
<条件II>
25℃50%、336時間
<条件III>
40℃30%7日後、25℃50%24時間
<条件IV>
40℃30%15日後、25℃50%24時間
【0067】
実施例1
第1の工程としては上記1工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダ−で巻き取った。上記1工程目は塗布速度180m/minで実施し、上記の巻き取り張力条件(1〜4、5、及び7)及び保管条件(I及びII)で実施した。1工程目の塗布は特に問題なく実施できた。第2の工程は上記2工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った。上記2工程目は塗布速度150m/min、200m/min及び250m/minで実施し、その塗布結果を表2に示した。尚、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施したプラスチック樹脂フィルム(A)及びプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルム(B)面の上記コロナ放電処理後の濡れ指数は全て60mN/mであった。第1の工程(1工程目)の主な条件を表1に示した。また、1工程目の巻き取り終了後、該塗布面(裏塗り層の面)の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)を測定した結果、Ra値は1.12μmであった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
実施例2
第1の工程としては、上記1工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った後、上記2工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った。1工程目の塗布速度は150m/minで実施し、巻き取り張力条件及び保管条件は条件3及び条件Iで実施した。2工程目の塗布速度も150m/minで実施し、巻き取り張力条件及び保管条件は条件(1〜4及び6〜8)及び条件(III及びIV)で実施した。2工程目の塗布は特に問題なく実施できた。第2の工程としては上記3工程目の塗布後、乾燥工程を経て、ワインダーで巻き取った。3工程目の塗布速度180m/min、200m/min及び250m/minで実施し、その塗布結果を表4に示した。また、第1の工程(2工程目)の主な条件を表3に示した。尚、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルム面にハロゲン化銀乳剤層を塗布した後の濡れ指数は全て68mN/mであった。また、1工程目の巻き取り終了、該塗布面(裏塗り層の面)の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)を測定した結果、Raは1.12μmであった。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
実施例3
第1の工程として、1工程目及び2工程目をタンデム方式で塗布、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った。第1の工程の塗布速度は150m/minで実施し、巻き取り張力条件及び保管条件は条件(1、3及び7)及び条件(III及びIV)で実施した。1工程目の塗布は特に問題なく実施できた。第2の工程としては上記3工程目の塗布後、乾燥工程を経て、ワインダーで巻き取った。3工程目の塗布速度180m/min、200m/min及び250m/minで実施し、その塗布結果を表6に示した。また、第1の工程の主な条件を表5に示した。尚、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施したプラスチック樹脂フィルム(A)及びプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルム(B)面にハロゲン化銀乳剤層を塗布した後の濡れ指数はそれぞれ68mN/mであった。尚、第1の工程の巻き取り終了後、1工程目の塗布面(裏塗り層の面)の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)を測定した結果、Raは1.12μmであった。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
上記の塗布結果の表2、表4及び表6の内容は下記の通りである。
【0077】
液付き性
○ 液付きは良好
△ 液付きするが不安定(途中で液割れ等)
× 液付き不良
【0078】
下巻での塗布性
○ 塗布良好
△ 耳部液割れ等
× 全面液割れ(液付き不良)
【0079】
巻き姿(直後)に関する評価としては、
○ 見た目に問題なく、巻き直しても巻きズレない
△ 見た目に問題ないが、巻き直すと巻きズレる
× 見た目で巻きズレていることがわかる
【0080】
巻き姿(保管条件後)に関する評価としては、
○ 見た目に問題なく、巻き直しても巻きズレない
△ 見た目に問題ないが、巻き直すと巻きズレる
× 見た目で巻きズレていることがわかる
【0081】
上記の結果より、第1の工程で支持体を巻き取り、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルムとプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施しているプラスチック樹脂フィルムとを比較した場合、明らかにプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していない方が塗布性の劣ることがわかる(実施例1のNo.1及びNo.3)。しかし、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していない場合でも、本発明の巻き取り条件式を満たしていれば、特に塗布性に悪影響を及ぼすことがないこともわかる(実施例1のNo.2〜6及び9、実施例2のNo.1〜8及び11〜14、実施例3のNo.1〜8)。また、本発明の巻き取り条件式を満たしていない条件で巻き取り、その状態で長時間放置した場合(実施例1のNo.2及び4、実施例2のNo.2及び4及び実施例3のNo.3)、塗布性(液付き性及び下巻での塗布性)が著しく低下することがわかる。しかし、本発明の巻き取り条件式を満たした条件で巻き取っていれば、その状態で長時間放置しも、塗布性(液付き性及び下巻での塗布性)が著しく低下するということがないこともことがわかる(実施例1のNo.6、実施例2のNo.6、8、12及び14、実施例3のNo.4及び6)。更に、プラスチック樹脂フィルムの両端部のナーリング加工の有無により、最終巻き取り張力の大きさで最終巻き取り姿が著しく異なることもわかる(実施例1のNo.7及び8)。また、本発明のように第1の工程での巻き取り雰囲気の露点を18℃以下で巻き取った場合、その巻き取った条件で長時間放置した場合でも塗布性の向上効果があることがわかる(実施例2のNo.5〜8及びNo.11〜14)。更に、実施例2のNo.1〜2、No.5〜6、No.11〜12及び実施例3のNo.1〜6に示したものは、第1の工程の条件違いによる第2の工程での塗布性の違いを比較したものである。これらの結果より、第1の工程を(この場合、プラスチック樹脂フィルムの表裏面塗布終了)バッチ式で行ったものよりも、タンデム方式(逐次的に)で表裏塗布を行った方が、若干塗布性は良好になるが、第1の工程の違いにより大きく異ならないことより、本発明の式1の妥当性が十分にあることも同時に示せた。
【0082】
【発明の効果】
本発明により、プラスチック樹脂フィルムの特性及び塗布液の特性に応じて初期巻き取り張力の大きさと最終巻き取り張力の大きさを調整することで、裏面の影響による表面の傷及び剥離及び裏面塗布組成物の表面への転写による塗布性の低下を防止し且つ巻きズレを防止する又は巻き取った状態のままで長期保管することによる塗布性の低下を防止する技術を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真感光材料、平版印刷版、インクジェット記録材料、感熱記録材料、磁気記録材料、感圧紙等のように、プラスチック樹脂フィルムに塗布層が塗布された塗布物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述した各種記録材料や平版印刷版のような塗布物は、プラスチック樹脂フィルムを支持体とするものがあり、該支持体上にそれぞれの目的用途に応じて塗布層が塗布される。塗布層の塗布に先立って、直前あるいは事前に、塗布層とプラスチック樹脂フィルムとの接着性を向上させるための前処理、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理(フレームプラズマ)、下引き加工等がプラスチック樹脂フィルムに施される。通常、塗布物の製造に際しては、長さが1000〜5000m程度で、幅が100〜500cm程度のロール状に巻かれたプラスチック樹脂フィルムが用意され、アンワインダー装置から送り出されたプラスチック樹脂フィルムは、必要に応じて設けられた表面処理工程を経て塗布工程へ搬送され、そこで塗布層が塗布され、次いで乾燥工程、更に必要に応じて設けられた調湿工程を経てワインダー装置で巻き取られる。このような一連の工程は、最終の塗布物を得るまでに2回以上行う場合がある。
【0003】
本発明は上記した塗布、乾燥及び巻き取りからなる一連の工程を2回以上行う塗布物の製造方法を対象とする。本発明は特に、上記した一連の工程をプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ1回以上行う製造方法に好適である。
【0004】
上述した各種記録材料及び平版印刷版は、プラスチック樹脂フィルムの両面に記録層あるいは感光層を設ける場合、またはプラスチック樹脂フィルムの一方の面に記録層あるいは感光層を設け、反対面にバッキング層を設ける場合がある。このようなケースにおいて、1回目の塗布、乾燥、巻き取りの一連の工程後、2回目の塗布を行うときに、塗布性が著しく低下する問題がある。特に、1回目の塗布層に固体微粒子(マット剤)を比較的多く含有し、塗布面の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)が、0.5μm以上の場合に上述した問題は益々起こりやすくなる。
【0005】
上記した問題は、1回目の巻き取り工程における初期巻き取り張力の影響を受けることが判明した。即ち、ロール状の巻き取り状態において支持体を挟んで1回目の塗布面と、次の2回目の塗布面とが強い圧力で接触することによって、1回目の塗布面が次の2回目に塗布しようとする面に対し、塗布性に支障をきたすほどの悪影響(例えば、傷を発生させたり、表面を剥離したり、更には塗布組成物が転写したりすること)を与えていることがわかった。この現象は、特に、1回目の一連の工程後、2回目の塗布を行うまでに巻き取り状態で長時間放置した場合、あるいは加熱処理した場合に起こりやすかった。
【0006】
さらに、ナーリング(又はローレットとも言う)加工の有無により、塗布性が大きく異なることも最近になってわかってきた。
【0007】
そもそもナーリングはエージング中の押し出し成形における残留応力の影響を排除させて巻き取られたプラスチック樹脂フィルムの巻き取り特性を改良し、その後の加工段階のハンドリング性を向上させるために設けられた縁部の物理的処理であり、更には巻き取り直後のプラスチック樹脂フィルムが収縮して巻締まり現象が生じて硬くなり、これにより巻のタルミが生じるため、これを回避する為にプラスチック樹脂フィルムの両縁部に厚み出し部(ナーリング)を設けて空気を巻き込むことにより、巻締まりを回避し、更に空気を巻き込むことにより生じる巻きズレを防止するためのものである。例えば、特公昭47−16064号、特開平11−277601号、特公昭50−36459号に開示されている。
【0008】
また、プラスチック樹脂フィルムの製造においては、塗布、加工等の次工程の場所に移送されるために一旦巻き取られる。そして、後続工程の処理が行われるまでに巻き取られたままの状態で長い間保管されることもある。これらの支持体の片面又は両面がプラスチック樹脂フィルムを接触させたまま、特に長く接触させておくかまたは大きな圧力を加えた状態で接触させておくと、その接触面が傷むことが少なくない。したがって、プラスチック樹脂フィルム、特に写真フィルム、各種記録材料及び平版印刷版を製造する場合には、縁部の厚み増大させて巻かれているプラスチック樹脂フィルムの中央部(面)を互いに離しておくかあるいは接触圧を十分に開放して前記傷み防止をすることが必要である.例えば、特公昭47−16064号、特開昭54−74862号、特公昭58−54007号に開示されている。
【0009】
つまり、プラスチック樹脂フィルムの両端部のナーリング加工は巻きズレ防止、巻締まり防止及び接触面の傷み等の効果を備えていることから種々のプラスチック樹脂フィルムに適用されている。近年、上記問題を回避できる巻き取り技術開発の進歩が徐々に現れてきたことにより、プラスチック樹脂フィルムに対する極度な性能を必要としない用途においては、ナーリング加工を施さないより安価なプラスチック樹脂フィルムの供給が行われるようになってきている。
【0010】
しかし、ナーリング加工のないプラスチック樹脂フィルムは安価であるが、ナーリング加工のあるもの以上に上述した塗布性への悪影響(例えば、傷を発生させたり、表面を剥離したり、更には塗布組成物が転写したりすること)がより顕著に現れることがわかった。さらに、巻き取り状態で長時間放置した場合、あるいは加熱処理した場合に顕著に起こりやすかった。
【0011】
一方、従来から行われている一般的な巻き取り方法は巻き取りモーターに負荷させるトルクが能力以上とならないように、巻き取り初期の巻き取り径が小さいときは、巻き取り張力を大きくし、巻き取り径が大きくなるにしたがって巻き取り張力が小さくなるように張力設定されている。
【0012】
プラスチック樹脂フィルムの巻き取り方法を改良した技術としては、特開2001−302044号公報、特開2001−3020445号公報及び特開2002−187649号公報に面圧増加による感光層の剥離、面圧減少による巻きズレ防止を行うための巻き取り方法が知られている(特許文献1,2,3)。特開2001−302044号公報及び特開2001−3020445号公報に於いては、張力パターンを初期巻き取り張力、テーパー、上乗せ張力、及びコーナー径又は上乗せ終了径の各制御因子を決定することにより多種多様な張力パターンを実現できることが記載されている。また、特開2002−187649号公報に於いては、巻芯に対してプラスチック樹脂フィルムを一定長だけ低張力で巻き取った後、所定の張力増加率で張力を増加させて、ある張力値に達した後、張力を巻き取る方法が記載されているが、巻き取り方法と塗布性及び巻き取った状態での時間経過と塗布性等に関してまったく記載されていない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−302044号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開2001−302045号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開2002−187649号公報(第2−6頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はプラスチック樹脂フィルムの特性及び塗布液の特性に応じて初期巻き取り張力の大きさきさと最終巻き取り張力の大きさを調整することで、裏面の影響による表面の傷及び剥離及び裏面塗布組成物の表面への転写により塗布性を低下させることを防止し、且つ巻きズレを防止する技術又は、巻き取った状態のままで長期保管することによる塗布性の低下を防止する技術を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、両端部にナーリング加工を有しないプラスチック樹脂フィルムの片面もしくは両面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取る第1の工程、及び前記第1の工程で巻き取られたプラスチック樹脂フィルムの前記第1の工程で塗布された面の反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布する第2の工程から少なくともなる塗布部の製造方法において、前記第1の工程における最上層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をX(mN/m)、前記第2の工程に於ける最下層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をY(mN/m)、前記第2の工程で塗布層が塗布されるプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値をZ(mN/m)、及び前記第1の工程におけるプラスチック樹脂フィルムの初期巻き取り張力をW(N/m)及び最終巻き取り張力W2(N/m)としたときに、下記の式1を満足することを特徴とする塗布物の製造方法。
150≦W2≦W1≦{Z×103−(Y−X)×103}×10−100(式1)
(但し、前記第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ少なくとも1層の塗布層が塗布されている場合、式中のXは、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布された最上層の相乗平均となり、X=√(X1×X2)となる。ここでX1及びX2は、両面に塗布されたそれぞれの最上層を形成した塗布液の表面張力(mN/m)を表す。)
また、上記した本発明の巻き取り雰囲気の露点が18℃以下である場合に好適である。
【0016】
【発明の実施形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の塗布物の製造方法は種々の巻き取り方法及び塗布方法が適用でき、これらの巻き取り方法及び塗布方法は様々な分野に適用できる。例えば、写真感光材料、平版印刷版、インクジェット記録材料、感熱記録材料、磁気記録材料等の分野等に適用することができる。本発明の塗布物の製造時に適用できる巻き取り方法は、例えば、写真感光材料における下塗り層、感光層、裏塗り層、物理現像核層等、インクジェット記録材料におけるインク受容層等、感熱記録材料におけるアンダーコート層、感熱記録層等、磁気記録材料におけるアンダーコート層、磁気記録層等が挙げられる。
【0017】
本発明の塗布物の製造方法において、第1の工程で本発明の式1より計算される巻き取り張力値で巻き取ることにより塗布性の低下及び巻き取り後の経時による塗布性の低下が防止できるのかを説明する。塗布性低下の一番の要因は塗布性低下物質の転写及び傷等による表面状態の変化であると考えられる。巻き取り張力が大きくなると表裏面間に大きな応力が存在することになり、言い換えると、大気圧を遥かに超えた圧力が表裏面に生じていることになる。本発明に用いるプラスチック樹脂フィルムは高分子を原材料にしており、又後述するように、塗布層中には一般的に種々の高分子(バインダー、コロイド及び塗布物等として)を有していることから、以下のことが考えられる。
【0018】
高分子が成膜した場合、自由体積が存在するが高圧下に於いては自由体積が減少する。自由体積の減少は高分子鎖の運動を助長し、結果とし物質の易動性が増すことになる。自由体積の減少は時間依存因子であり、時間経過とともに自由体積は緩和され、物質の易動性をさらに増すことになる。
プラスチック樹脂フィルムの厚み又は材質により剛性が異なるが、応力によりプラスチック樹脂フィルム又は塗布層の変形が生じる。この変形度合いにより上述した自由体積の減少度合いも異なり、剛性の小さいものほど自由体積の減少度合いが大きくなる。つまり、プラスチック樹脂フィルムの厚みが薄いもの又はガラス転移温度の低いものが自由体積の緩和が助長されやすくなる。
上述したようにプラスチック樹脂フィルム及び塗布層の変形も時間依存因子であり、時間経過とともに自由体積の緩和が助長される。顔料などが多量に存在する場合は接触面を傷つける。
【0019】
つまり、巻き取り張力が大きいと言うことはプラスチック樹脂フィルム又は塗布層内の自由体積の緩和を助長し、その中の物質易動性を高める。また、巻き取り張力が大きいとプラスチック樹脂フィルムの表裏面の接触(付着)度合いが増すことにより、表裏界面エネルギーを小さくしようとする駆動力が働くようになる。そのため、表裏面の表面エネルギー差が大きい場合は表面エネルギーの大きい方が小さくなろうとし、この場合は表面エネルギーの小さい方から大きい方に物質移動が起こり(通常、表面エネルギーを支配しているものは、特に介在する雰囲気下が空気中である場合は、疎水性物質又は疎水性基が支配的である。具体的には界面活性剤等が挙げられる。)、エネルギーバランスを保つ方向に推移するものと考えられる。更に、表裏面に傷又は剥離等の凸凹が生じた場合、上述した疎水性物質の移動により表面の疎水度がフラクタル理論より助長されることになる。このようなことは、上述した自由体積の減少による効果との相乗効果により、塗布性の低下が生じるものと考えられる。また、時間経過(巻き取った状態のままで放置する時間)は自由体積の緩和及びエネルギーバランスの緩和を促し、更なる塗布性の低下を招く結果になるものと考えられる。水分が存在する場合は、水による可塑化が生じ、上述した自由体積の減少効果、更には物質の易動性がより一層助長されることになるためと考えられる。
【0020】
ナーリング加工はプラスチック樹脂フィルムの両縁(端)部の厚み出しにより、表裏面の接触を回避する目的で行われた物理的手段であり、ナーリング加工のない場合は表裏面の接触頻度が増すため、上述した自由体積の緩和が一層助長されることになる。
【0021】
本発明で記載した式は経験式であるが、鋭意検討した膨大な試験結果を略完全に満足させるものであり、プラスチック樹脂フィルムの表面エネルギー及び塗布層塗布液の液性等の組み合わせにより、塗布性に影響を及ぼす巻き取り張力の臨界条件が存在するものと考えられる。
【0022】
本発明の具体的な態様について説明する。
本発明は、第1の工程で塗布された面の反対面に、第2の工程で塗布することを必須とする。本発明において、第1の工程では、プラスチック樹脂フィルムの片面もしくは両面に少なくとも1層の塗布層が塗布されるが、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの片面にのみ塗布された場合、第2の工程ではその反対面に塗布層が塗布され、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布層が塗布された場合は、第2の工程ではそのどちらの面に塗布してもよいことを意味する。
【0023】
上記態様について、更に具体的に説明すると、以下のような態様が挙げられる。
(1)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの片面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取り、次の第2の工程でプラスチック樹脂フィルムの反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。
上記態様としては、例えば、感光材料の場合、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの片面に裏塗り層を塗布、乾燥し、巻き取った後、第2の工程で、その反対面にハロゲン化銀乳剤層及び保護層を塗布する態様があり、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の場合は、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの片面に裏塗り層を塗布、乾燥し、巻き取った後、第2の工程で、その反対面に下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布する態様がある。
【0024】
(2)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取り、次の第2の工程でプラスチック樹脂フィルムのどちらかの面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。この場合、第2工程で塗布層を塗布するプラスチック樹脂フィルム表面には既に第1の工程で塗布層が塗布されているので、ここでプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値Z(mN/m)は塗布層表面の濡れ指数値である。
上記(2)の、第1の工程においてプラスチック樹脂フィルムの両面に塗布層を塗布する場合の態様としては、以下の態様が含まれる。
(2A)プラスチック樹脂フィルムの両面に同時もしくは逐次的(タンデム方式)に塗布して巻き取る態様。ここでタンデム方式とは、一方の面に塗布した後巻き取らずに連続して他方の面に塗布する方式である。
(2B)プラスチック樹脂フィルムの一方の面に塗布、乾燥し、一旦巻き取った後、その反対面に塗布乾燥して巻き取る態様。この場合、本発明の式1における初期巻き取り張力W1は、後の巻き取り時のものである。
【0025】
上記(2A)及び(2B)の態様の詳細な態様は、以下のようになる。
(2A)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの両面に同時もしくは逐次的(タンデム方式)にそれぞれ少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取り、次に第2の工程でプラスチック樹脂フィルムのどちらかの面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。
(2B)第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの一方の面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥し、一旦巻き取った後、その反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥し、巻き取り、次の第2の工程でプラスチック樹脂フィルムのどちらかの面に少なくとも1層の塗布層を塗布する。
【0026】
上記(2A)の態様について具体的に説明する。例えば、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の場合、第1の工程で、プラスチック樹脂フィルムの一方の面に裏塗り層、その反対面に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層(この場合、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層は同時重層塗布する)を、両面に同時もしくは逐次的に塗布、乾燥した後、巻き取り、第2の工程で前記ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を塗布する態様がある。
【0027】
上記(2B)の態様について具体的に説明する。例えば、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の場合、第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの一方の面に裏塗り層、その反対面に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を同時重層塗布し、乾燥して巻き取り、次の第2の工程で前記ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を塗布する態様がある。
【0028】
上記(2A)及び(2B)の場合、第1の工程における最上層の塗布液の表面張力Xは、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布された最上層の相乗平均になる。即ち、裏塗り層塗布液の表面張力とハロゲン化銀乳剤層塗布液の表面張力の相乗平均値となる。
【0029】
上記した(2A)及び(2B)の態様においては、第1の工程と第2の工程の間に巻き取った塗布物の加熱処理工程を入れてもよい。平版印刷版としての印刷性能を考える場合は、加熱処理工程を入れる方が好ましく、加熱条件としては、35℃〜50℃で1日〜10日程度が適当である。しかしながら、前述したように、加熱処理工程を入れることによって、益々第2の工程での塗布性が悪化するという問題があり、したがって、本発明はこのようなケースにおいて特に有用である。
【0030】
本発明において、第1の工程で塗布される塗布層として、例えば裏塗り層がある。裏塗り層は1層のみであっても2層以上の複数構成であってもよい。1層構成の場合はその層の塗布液の表面張力が式1の対象となり、複数層で構成されている場合は、最上層を形成する塗布液の表面張力が本発明の式1での対象となる。
【0031】
裏塗り層は、バインダーとしてゼラチンを主体に含むのが好ましく、その他のポリマー、例えば、デキストラン、ポリアクリルアミド、デンプン、ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー、あるいはポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン等のポリマーラテックスを含んでもよい。裏塗り層には、感光材料あるいは平版印刷版の搬送性、印刷機への版掛け性を向上させるために、シリカ微粒子等の平均粒径が1〜10μm程度のマット剤を含有させるのが好ましい。しかしながら、裏塗り層にマット剤を含有させて、表面粗面化した場合、例えば、JIS−B0601に規定された中心線平均粗さRa値が0.5μm以上の場合に、第2の工程の塗布性が低下するという問題があり、本発明はこのような場合に特に有効である。
【0032】
裏塗り層には、更にカーボンブラック、染料、顔料、滑剤、ゼラチン硬膜剤、界面活性剤を含有させることができる。
【0033】
裏塗り層が塗布されたプラスチック樹脂フィルムの反対面には、感光材料の場合はハロゲン化銀乳剤層や保護層が塗布され、インクジェット記録材料の場合はインク受容層が塗布され、平版印刷版の場合は下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層が塗布される。
【0034】
感光材料又は銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版に用いられるハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものからなり、用途によりその種類及び構成比が異なる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10−8モル〜10−3モルである。ハロゲン化銀の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし14面体粒子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、その平均粒径は0.2μm〜0.8μmの範囲である。好ましい例の一つとしては、ロジウム塩もしくはイリジウム塩を含む、塩化銀が80モル%以上の単分散もしくは多分散結晶がある。
【0035】
ハロゲン化銀乳剤は、それが製造される時又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素によって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によって、又はこれらの両者の併用など当該技術分野において良く知られた方法で化学的に増感することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤は又、例えばシアニン、メロシアニン等の色素によってポジティブにもネガティブにも増感又は減感され得る。その増感又は減感され得る波長域に特に制限はない。従って、オルソ増感、パンクロ増感、ヘリウム−ネオンレーザー用増感、アルゴンレーザー用増感、LED用増感、半導体レーザー用増感もなし得るし、明室用にUV増感、可視光減感もなし得る。
【0036】
銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版における下塗り層は、ハレーション防止層を兼ねており、ゼラチンを主体とするバインダー中にカーボンブラックや着色染料、着色顔料を含有し、更に印刷特性を向上させるために平均粒径が1μm以上のシリカ微粒子を含有するのが好ましい。該シリカ微粒子は塗布液中に1〜4質量%の濃度で含有させる。上記平版印刷版を製造するに際し、下塗り層の上にハロゲン化銀乳剤層が積層され、更にその上に物理現像核層が塗布される。銀錯塩拡散転写法を応用した平版印刷版については、米国特許第3,728,114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号明細書等に記載されている。
【0037】
物理現像核層には、物理現像核、親水性コロイドが含まれる。物理現像核としては銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶であっても良い。物理現像核には、親水性コロイドとしては、例えば、特開昭53−21602号及び特開平8−211614号記載の多官能型合成ポリマー、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子又はそのオリゴマーを含むことができる。さらにホルマリン、ジクロロ−s−トリアジン等の公知の硬膜剤、例えば、ハイドロキノン類、カテコール、1−フェニル−3−ピラゾリドン等の現像主薬を含ませてもよい。また、物理現像核層には各種界面活性剤を含有することができる。特に、スルホ基を有するアニオン性界面活性剤が好ましく、例えば、アルキルスルホコハク酸が好ましい。
【0038】
保護層としては、コロイド状シリカ及び親水性コロイド物質としてゼラチン及びゼラチン誘導体、コロイド状アルブミン、カゼイン等のタンパク質、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、寒天、アルギン酸ナトリウム、澱粉等の糖誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の合成ポリマー等を単独あるいは適当な比率で混合して用いることもでき、表面の傷を防止する為にシリカ微粒子等の平均粒径が1〜10μm程度のマット剤を含有させるのが好ましい。また、適度に硬膜剤、界面活性剤及び防腐剤を含んでいることが好ましい。更に写真性及び種々の特性改良を目的として現像主薬、硬調化剤、増感剤、染料、カブリ抑制剤等に加えて色調剤や蛍光増白剤等及びポリマーラテックスを必要に応じて用いることも出来る。
【0039】
インクジェット記録材料におけるインク受容層には、2つのタイプがあり、1つは水溶性ポリマーを主体に含有する膨潤タイプであり、もう一つは固体微粒子を主体に含有する空隙タイプである。水溶性ポリマーを主体とするインク受容層には、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、目的に応じて、種々の界面活性剤、硬膜剤を含有することができる。更に、タック性の防止に平均粒径が1μm以上のシリカ微粒子を含有する。固体微粒子を主体に含有するインク受容層に適用される固体微粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等があるが、近年、インク吸収性が高く、かつフォトライクな高光沢な記録材料が開発されており、そのために、平均粒径1μm未満のシリカ微粒子(例えば、気相法によって合成されたシリカ;気相方シリカという)やアルミナ微粒子を含有するインク受容層の塗布液を、ポリエチレン被覆紙やポリエステルフィルムのような耐水性支持体に塗布することが行われている。
【0040】
本発明は塗布速度が150m/min以上の場合にその効果が著しく見られ、好ましくは200m/min以上の塗布速度であり、更に好ましくは250m/min以上である。
【0041】
本発明に於ける塗布方式は特に限定するものではないが、高速塗布に有効である一定塗布量をそのまま塗り切る前計量塗布方式の場合にその効果が顕著に現れることが鋭意研究の結果わかった。前計量塗布方式としては、スライドビード塗布方式、カーテン塗布方式、スロット塗布方式、エクストルージョン塗布方式等が挙げられる。特に、高速塗布適正の高く、多層塗布に優れた、スライドビード塗布方式及びカーテン塗布方式が好ましい前計量塗布方式である。
【0042】
本発明に於ける巻き取り張力の制御方法は初期巻き取り張力に見合った、巻きズレの生じない方法を選ぶことが好ましい。例えば、テーパー制御方法(巻径に応じ張力がテーパーに準じ漸減する方法)、定トルク制御方法(常に一定のトルクで巻き取る方法)、定張力制御方法(常に一定の張力で巻き取る方法)である。中でのテーパー制御方法及び定トルク制御方法が好ましい。また、テーパー制御法に於いては、テーパーを開始する開始径及びテーパーを任意に設定することも可能である。
【0043】
本発明における最終巻き取り張力の値としては、巻き取るプラスチック樹脂フィルムの長さにより異なってくるが、巻き緩みによる巻きズレ等による次工程でのトラブルを回避する為に(プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工が施していない分、ナーリング加工を施しているものよりも巻き緩みによる巻きズレが生じやすい)150N/m以上であることが好ましく、更に好ましいのは250N/m以上である。
【0044】
本発明に於けるプラスチック樹脂フィルムの濡れ指数の測定方法としては、JIS K 6768 に規定されている方法を用いて判定した。プラスチック樹脂フィルムに前処理を施した場合は、前処理後の濡れ指数値を用いる。
【0045】
本発明に於ける塗布液の表面張力値の適用は動的表面張力値又は静的表面張力値のどちらでもよいが、統一した方法で塗布液の表面張力を測定した値でなくてはならない。好ましくは表面張力値としては簡便に求められ且つ測定精度も高い静的表面張力値である。また、静的表面張力値の測定法にはペンダントドロップ法、毛細管上昇法、静滴法、静泡法、懸滴法、滴重法、滴容法、リング法、垂直板法、最大泡圧法等の種々の方法があるが、どの方法で塗布液を測定してもよい。
【0046】
塗布層には種々のバインダーが用いられており、そのバインダーすなわち塗布層を硬膜化させる為には架橋剤又は硬膜剤が使用されている。塗布層中の架橋剤又は硬膜剤の反応性を助長し、塗布層の硬膜化を助長させる助長剤として水分(水)があり、巻き取り雰囲気下の湿度(水分)を制御することにより塗布層の硬膜化の度合いを調節する手法が一般的に用いられている。本発明に於ける露点は、塗布層の硬膜化の促進を妨げることなく又、塗布性を低下させない、10℃から18℃の範囲が好ましく、更に好ましくは10℃から15℃の範囲である。
【0047】
本発明に於ける露点18℃以下の温度条件としては、25℃から50℃の範囲が好ましく、更に好ましくは25℃から45℃の範囲である。
【0048】
本発明に用いるプラスチック樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、テフロン(R)、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム等がある。これらのプラスチック樹脂フィルムのうちポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが特に好ましい。これらのプラスチック樹脂フィルムの厚みは50〜300μm、好ましくは80〜260μmのものが用いられる。また、上記プラスチック樹脂フィルムが接着性強化の為の下引き層を有しているものが好適である。尚、プラスチック樹脂フィルムに下引き層を設ける場合、該下引き層上に塗設される塗布層との接着性及び濡れ性を向上させる目的で設けられるため、下引き層面の濡れ指数は塗設される塗布層の塗布液の表面張力値よりも大きくなるのが一般的である。そのため、本発明においては、下引き層は本発明の塗布層に含めないで取り扱う。
【0049】
上述したプラスチック樹脂フィルムは、塗設される塗布層との接着性を上げるために、各種表面処理が施される。例えば、コロナ放電処理、火炎処理(フレームプラズマ)、紫外線照射処理、グロー放電処理、イオン照射処理等が施される。尚、上記の各種表面処理は下引き層処理を施した上述したプラスチック樹脂フィルムにも適用できる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0051】
プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施した100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にウレタンを含む下引き層(A)又はプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していない100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面ウレタンを含む下引き層(B)を有する2種類のプラスチック樹脂フィルム上に、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の作製ための、1工程目:プラスチック樹脂フィルム裏面に裏塗り下層と裏塗り上層の同時塗布、2工程目:プラスチック樹脂フィルム表面に下塗り層とハロゲン化銀乳剤層の同時塗布、及び3工程目:ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層の単層塗布をそれぞれスライドビード塗布方式で行った。
【0052】
<裏塗り下層−1>
5質量%ゼラチン水溶液にカーボンブラックを7質量%及びアニオン系界面活性剤を0.24質量%となるように添加したものである。粘度は12.5mPa・sで、表面張力は33mN/mであった。湿潤塗布量は15g/m2である。
【0053】
<裏塗り上層−1>
5質量%ゼラチン水溶液に平均粒径5μmのシリカを2質量%、酸化チタン粒子を10量%、アニオン系界面活性剤とフッ素系ベタイン界面活性剤をそれぞれ0.36質量%と0.01質量%となるように添加したものである。粘度は17.6 mPa・sであった。表面張力は27mN/mであった。湿潤塗布量は43g/m2である。
【0054】
<下塗り層>
ゼラチンを9質量%、カーボンブラックを5質量%、平均粒径3.5μmのシリカ微粒子を5質量%、トリアジン系硬膜剤を1質量%、及びアニオン系界面活性剤を0.035質量%含有する下塗り層塗布液を作製した。該塗布液の粘度は22mPa・sで、表面張力は32.3mN/mであった。湿潤塗布量は40g/m2である。
【0055】
<ハロゲン化銀乳剤層>
オルソ増感されたハロゲン化銀乳剤(塩化銀を99モル%含有する塩沃化銀乳剤)にゼラチン、界面活性剤、及びホルマリン硬膜剤を添加したハロゲン化銀乳剤層の塗布液を作製した。該塗布液の粘度は24mPa・sで、表面張力は31.5mN/mであった。湿潤塗布量は15g/m2である。
【0056】
<物理現像核層>
特開平8−211614号の実施例1に記載の物理現像核塗布液No.2(但し、サポニンに替えて、ジオクチルスルホコハク酸ソーダを用いた)の粘度は1mPa・sで、表面張力は33mN/mであった。湿潤塗布量は15g/m2である。
【0057】
裏塗り層及び下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布する際は、支持体にワット密度50W・min/m2のコロナ放電処理を施した後、塗布を行った。物理現像核層はハロゲン化銀乳剤層上に塗布し、塗布する際にはコロナ放電処理は施さない。
【0058】
巻き取り時の巻き取り条件は下記に示す条件で実施した。
<条件1>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 600N/m、
最終巻き取り張力 517N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃50%(露点約13.7℃)で実施した。
【0059】
<条件2>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 600N/m、
最終巻き取り張力 517N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃75%(露点約20.4℃)で実施した。
【0060】
<条件3>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 420N/m、
最終巻き取り張力 328N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 30%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃50%(露点約13.7℃)で実施した。
【0061】
<条件4>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 420N/m、
最終巻き取り張力 328N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 30%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃75%(露点約20.4℃)で実施した。
【0062】
<条件5>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 134N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 85%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃50%(露点約13.7℃)で実施した。
【0063】
<条件6>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 134N/m、テーパー開始径 300mm、テーパー 85%
尚、巻き取り時の雰囲気は25℃75%(露点約20.4℃)で実施した。
【0064】
<条件7>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 301N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は40℃20%(露点約12.5℃)で実施した。
【0065】
<条件8>
巻き取り張力条件:テーパー制御法、初期巻き取り張力 350N/m、
最終巻き取り張力 301N/m、テーパー開始径 450mm、テーパー 20%
尚、巻き取り時の雰囲気は40℃50%(露点約27.5℃)で実施した。
【0066】
巻き取り後の保管条件は下記の条件で実施した。
<条件I>
25℃50%、24時間
<条件II>
25℃50%、336時間
<条件III>
40℃30%7日後、25℃50%24時間
<条件IV>
40℃30%15日後、25℃50%24時間
【0067】
実施例1
第1の工程としては上記1工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダ−で巻き取った。上記1工程目は塗布速度180m/minで実施し、上記の巻き取り張力条件(1〜4、5、及び7)及び保管条件(I及びII)で実施した。1工程目の塗布は特に問題なく実施できた。第2の工程は上記2工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った。上記2工程目は塗布速度150m/min、200m/min及び250m/minで実施し、その塗布結果を表2に示した。尚、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施したプラスチック樹脂フィルム(A)及びプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルム(B)面の上記コロナ放電処理後の濡れ指数は全て60mN/mであった。第1の工程(1工程目)の主な条件を表1に示した。また、1工程目の巻き取り終了後、該塗布面(裏塗り層の面)の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)を測定した結果、Ra値は1.12μmであった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
実施例2
第1の工程としては、上記1工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った後、上記2工程目の塗布後、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った。1工程目の塗布速度は150m/minで実施し、巻き取り張力条件及び保管条件は条件3及び条件Iで実施した。2工程目の塗布速度も150m/minで実施し、巻き取り張力条件及び保管条件は条件(1〜4及び6〜8)及び条件(III及びIV)で実施した。2工程目の塗布は特に問題なく実施できた。第2の工程としては上記3工程目の塗布後、乾燥工程を経て、ワインダーで巻き取った。3工程目の塗布速度180m/min、200m/min及び250m/minで実施し、その塗布結果を表4に示した。また、第1の工程(2工程目)の主な条件を表3に示した。尚、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルム面にハロゲン化銀乳剤層を塗布した後の濡れ指数は全て68mN/mであった。また、1工程目の巻き取り終了、該塗布面(裏塗り層の面)の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)を測定した結果、Raは1.12μmであった。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
実施例3
第1の工程として、1工程目及び2工程目をタンデム方式で塗布、乾燥工程を経てワインダーで巻き取った。第1の工程の塗布速度は150m/minで実施し、巻き取り張力条件及び保管条件は条件(1、3及び7)及び条件(III及びIV)で実施した。1工程目の塗布は特に問題なく実施できた。第2の工程としては上記3工程目の塗布後、乾燥工程を経て、ワインダーで巻き取った。3工程目の塗布速度180m/min、200m/min及び250m/minで実施し、その塗布結果を表6に示した。また、第1の工程の主な条件を表5に示した。尚、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施したプラスチック樹脂フィルム(A)及びプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルム(B)面にハロゲン化銀乳剤層を塗布した後の濡れ指数はそれぞれ68mN/mであった。尚、第1の工程の巻き取り終了後、1工程目の塗布面(裏塗り層の面)の中心線平均粗さRa値(JIS−B0601で規定)を測定した結果、Raは1.12μmであった。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
上記の塗布結果の表2、表4及び表6の内容は下記の通りである。
【0077】
液付き性
○ 液付きは良好
△ 液付きするが不安定(途中で液割れ等)
× 液付き不良
【0078】
下巻での塗布性
○ 塗布良好
△ 耳部液割れ等
× 全面液割れ(液付き不良)
【0079】
巻き姿(直後)に関する評価としては、
○ 見た目に問題なく、巻き直しても巻きズレない
△ 見た目に問題ないが、巻き直すと巻きズレる
× 見た目で巻きズレていることがわかる
【0080】
巻き姿(保管条件後)に関する評価としては、
○ 見た目に問題なく、巻き直しても巻きズレない
△ 見た目に問題ないが、巻き直すと巻きズレる
× 見た目で巻きズレていることがわかる
【0081】
上記の結果より、第1の工程で支持体を巻き取り、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していないプラスチック樹脂フィルムとプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施しているプラスチック樹脂フィルムとを比較した場合、明らかにプラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していない方が塗布性の劣ることがわかる(実施例1のNo.1及びNo.3)。しかし、プラスチック樹脂フィルムの両端部にナーリング加工を施していない場合でも、本発明の巻き取り条件式を満たしていれば、特に塗布性に悪影響を及ぼすことがないこともわかる(実施例1のNo.2〜6及び9、実施例2のNo.1〜8及び11〜14、実施例3のNo.1〜8)。また、本発明の巻き取り条件式を満たしていない条件で巻き取り、その状態で長時間放置した場合(実施例1のNo.2及び4、実施例2のNo.2及び4及び実施例3のNo.3)、塗布性(液付き性及び下巻での塗布性)が著しく低下することがわかる。しかし、本発明の巻き取り条件式を満たした条件で巻き取っていれば、その状態で長時間放置しも、塗布性(液付き性及び下巻での塗布性)が著しく低下するということがないこともことがわかる(実施例1のNo.6、実施例2のNo.6、8、12及び14、実施例3のNo.4及び6)。更に、プラスチック樹脂フィルムの両端部のナーリング加工の有無により、最終巻き取り張力の大きさで最終巻き取り姿が著しく異なることもわかる(実施例1のNo.7及び8)。また、本発明のように第1の工程での巻き取り雰囲気の露点を18℃以下で巻き取った場合、その巻き取った条件で長時間放置した場合でも塗布性の向上効果があることがわかる(実施例2のNo.5〜8及びNo.11〜14)。更に、実施例2のNo.1〜2、No.5〜6、No.11〜12及び実施例3のNo.1〜6に示したものは、第1の工程の条件違いによる第2の工程での塗布性の違いを比較したものである。これらの結果より、第1の工程を(この場合、プラスチック樹脂フィルムの表裏面塗布終了)バッチ式で行ったものよりも、タンデム方式(逐次的に)で表裏塗布を行った方が、若干塗布性は良好になるが、第1の工程の違いにより大きく異ならないことより、本発明の式1の妥当性が十分にあることも同時に示せた。
【0082】
【発明の効果】
本発明により、プラスチック樹脂フィルムの特性及び塗布液の特性に応じて初期巻き取り張力の大きさと最終巻き取り張力の大きさを調整することで、裏面の影響による表面の傷及び剥離及び裏面塗布組成物の表面への転写による塗布性の低下を防止し且つ巻きズレを防止する又は巻き取った状態のままで長期保管することによる塗布性の低下を防止する技術を提供することができた。
Claims (3)
- 両端部にナーリング加工を有しないプラスチック樹脂フィルムの片面もしくは両面に少なくとも1層の塗布層を塗布、乾燥した後、該プラスチック樹脂フィルムを巻き取る第1の工程、及び前記第1の工程で巻き取られたプラスチック樹脂フィルムの前記第1の工程で塗布された面の反対面に少なくとも1層の塗布層を塗布する第2の工程から少なくともなる塗布物の製造方法において、前記第1の工程に於ける最上層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をX(mN/m)、前記第2の工程に於ける最下層を形成する塗布層の塗布液の表面張力をY(mN/m)、前記第2の工程で塗布層が塗布されるプラスチック樹脂フィルム表面の濡れ指数値をZ(mN/m)、及び前記第1の工程におけるプラスチック樹脂フィルムの初期巻き取り張力をW1(N/m)及び最終巻き取り張力W2(N/m)としたときに、下記の式1を満足することを特徴とする塗布物の製造方法。
150≦W2≦W1≦{Z×103−(Y−X)×103}×10−100(式1)
(但し、前記第1の工程でプラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ少なくとも1層の塗布層が塗布されている場合、式中のXは、プラスチック樹脂フィルムの両面にそれぞれ塗布された最上層の相乗平均となり、X=√(X1×X2)となる。ここでX1及びX2は、両面に塗布されたそれぞれの最上層を形成した塗布液の表面張力(mN/m)を表す。) - 前記第1の工程におけるプラスチック樹脂フィルムを巻き取るときの雰囲気が、露点18℃以下である請求項1に記載の塗布物の製造方法。
- 前記第2の工程における塗布層の塗布速度が150m/min以上である請求項1又は2に記載の塗布物の製造方法。
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JP2010030756A (ja) * | 2008-07-30 | 2010-02-12 | Nippon Shokubai Co Ltd | 光学フィルムロールの製法 |
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