JP2004207592A - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

多層セラミック基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】いわゆる無収縮プロセスおよび多数個取りを適用しながら、分割線上に貫通孔を形成することによって、生の多層集合基板の内部に配置されていた導体を露出させ、これを外部電極とする方法を適用して多層セラミック基板を製造しようとするとき、貫通孔の形成によってバリが生じてしまう。
【解決手段】生の複合積層体38の第1の収縮抑制層36側から積層方向に打ち抜くことによって、貫通孔39を設けるに際して、第2の収縮抑制層37の厚みを300μm以下と薄くして、この第2の収縮抑制層37に接するセラミックグリーン層23において垂れ部42があまり生じないようにし、それによって、バリ45があまり生じないようする。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層セラミック基板の製造方法に関するもので、特に、複数の多層セラミック基板を取り出すための多層集合基板を製造した後、多層集合基板を分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出す、各工程を備える、多層セラミック基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層セラミック基板は、複数の積層されたセラミック層を備えている。このような多層セラミック基板には、種々の形態の配線導体が設けられている。配線導体としては、たとえば、多層セラミック基板の内部において、セラミック層間の特定の界面に沿って延びる内部導体膜が形成されたり、特定のセラミック層を貫通するように延びるビアホール導体が形成されたり、また、多層セラミック基板の外表面上において延びる外部導体膜が形成されたりしている。
【0003】
多層セラミック基板は、半導体チップ部品やその他のチップ部品等を搭載し、これらの電子部品を相互に配線するために用いられている。上述した配線導体は、この相互配線のための電気的経路を与えている。
【0004】
また、多層セラミック基板には、たとえばコンデンサ素子やインダクタ素子のような受動部品が内蔵されることがある。この場合には、上述した配線導体としての内部導体膜やビアホール導体の一部によって、これらの受動部品が与えられる。
【0005】
多層セラミック基板は、たとえば、移動体通信端末機器の分野において、LCR複合化高周波部品として用いられたり、コンピュータの分野において、半導体ICチップのような能動素子とコンデンサやインダクタや抵抗のような受動素子とを複合化した部品として、あるいは単なる半導体ICパッケージとして用いられたりしている。
【0006】
多層セラミック基板をより多機能化、高密度化、高性能化するためには、上述したような配線導体を高密度に配置することが有効である。
【0007】
しかしながら、多層セラミック基板を得るためには、必ず、焼成工程を経なければならないが、このような焼成工程においては、セラミックの焼結による収縮が生じるが、この収縮は多層セラミック基板全体において均一に生じにくい。そのため、焼結後の多層セラミック基板において、寸法誤差が生じたり、反りが生じたりする。その結果、外部導体膜の位置精度の低下、および内部配線導体において不所望な変形や歪みあるいは断線がもたらされることがある。このような配線導体において生じ得る不具合は、上述のような配線導体の高密度化を阻害してしまう。
【0008】
そこで、多層セラミック基板を製造するにあたって、焼成工程において多層セラミック基板の主面方向での収縮を実質的に生じさせないようにすることができる、いわゆる無収縮プロセスを適用することが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
無収縮プロセスによる多層セラミック基板の製造方法においては、セラミック絶縁材料として、たとえば1000℃以下の温度で焼結可能な低温焼結セラミック材料粉末が用意されるとともに、上述の低温焼結セラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない、収縮抑制用として機能する無機材料粉末が用意される。そして、焼成することによって目的とする多層セラミック基板となる生の積層体を作製するにあたっては、低温焼結セラミック材料を含み、かつ積層された、複数のセラミックグリーン層を挟むように、無機材料粉末を含む収縮抑制層が配置され、また、セラミックグリーン層に関連して、配線導体が設けられる。
【0010】
上述のようにして得られた生の複合積層体は、次いで、焼成される。この焼成工程において、収縮抑制層に含まれる無機材料粉末は実質的に焼結しないため、収縮抑制層においては、収縮が実質的に生じない。このことから、収縮抑制層がセラミックグリーン層を拘束し、それによって、セラミックグリーン層は、厚み方向にのみ実質的に収縮するが、主面方向での収縮が抑制される。その結果、生の複合積層体を焼成して得られた多層セラミック基板において不均一な変形がもたらされにくくなり、また、反りも軽減され、そのため、配線導体において前述のような不具合がもたらされにくくすることができ、配線導体の高密度化を可能にする。
【0011】
上述した収縮抑制層は、焼成後において、除去される。
【0012】
他方、多層セラミック基板を製造するに際して、その製造効率を高めるため、所定の分割線に沿って分割されることによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた多層集合基板を作製し、この多層集合基板を上述の分割線に沿って分割することによって、複数の多層セラミック基板を一挙に得ようとする方法、いわゆる多数個取りによる方法が採用されている。
【0013】
また、上述の多数個取りによる方法を用いながら、ビアホール導体またはスルーホール導体のような導体を備える複数のセラミックグリーンシートを積層することによって構成された生の多層集合基板に、貫通孔を設けることにより、導体を分断し、それによって、貫通孔の内周面上に導体の一部を露出させ、この露出した導体の一部を、多層集合基板を分割して得られた多層セラミック基板の側面上に形成される外部電極として使用しようとすることも提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0014】
上述した製造方法によって得られた多層セラミック基板によれば、その一方主面上での他の電子部品を搭載できる面積を広くとることができるとともに、外部電極の配置ピッチを細かくすることができ、また、外部電極を簡単かつ容易に形成することができ、さらに、製造途中の多層集合基板の段階で個々の多層セラミック基板についての電気的特性の測定が可能である、といった利点を有している。
【0015】
【特許文献1】
特開平4−243978号公報
【特許文献2】
特開平8−37251号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述した多数個取りによる方法では、ここの多層セラミック基板より大きい多層集合基板の状態で焼成工程が実施されるので、焼成工程において生じ得る寸法誤差や反りの問題は一層深刻である。そのため、前述した無収縮プロセスは、このような多数個取りによる方法において適用されると、その効果が一層顕著なものとなる。
【0017】
しかしながら、無収縮プロセスおよび多数個取りの双方を採用して、特許文献2に記載されるような方法で外部電極を形成すると、次のような問題に遭遇することがある。図9は、この問題を説明するためのものである。
【0018】
図9(1) には、複数のセラミックグリーン層1を有する生の多層集合基板2が収縮抑制層3によって積層方向に挟まれた状態にある、生の複合積層体4の一部が断面図で示されている。生の多層集合基板2は、焼成後において所定の分割線5に沿って分割されることによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされている。
【0019】
図9では、生の多層集合基板2の内部に設けられ、かつ得ようとする多層セラミック基板の外部電極となるべき導体の図示が省略されているが、この導体の一部によって外部電極を形成するため、生の複合積層体4には、積層方向に貫通する貫通孔6が分割線5上に形成される。より具体的には、生の複合積層体4が金型7上に置かれ、矢印8で示すように、上の収縮抑制層3側から積層方向に打ち抜くことによって、貫通孔6が形成される。
【0020】
上述のように貫通孔6を形成したとき、生の複合積層体4における貫通孔6を規定する壁部において、打ち抜き方向8に流動が生じ、そのため、セラミックグリーン層1および収縮抑制層3において、垂れ部9が形成される。
【0021】
次に、生の複合積層体4は、セラミックグリーン層1に含まれるセラミック絶縁材料粉末が焼結するが収縮抑制層3に含まれる無機材料粉末が焼結しない条件下で焼成される。これによって、収縮抑制層3によって挟まれた焼結後の多層集合基板2aが得られる。
【0022】
次いで、収縮抑制層3が除去され、それによって、図9(2)に示すように、焼結後の多層集合基板2aが取り出される。この多層集合基板2aは、次いで、分割線5に沿って分割され、それによって、複数の多層セラミック基板が取り出される。この多層セラミック基板の側面上には、貫通孔6の分断によってもたらされた凹部が形成されている。この凹部の内面上には、図示しないが、前述した導体の一部が外部電極を与えるように露出している。
【0023】
このような製造方法を実施したとき、図9(2)に示すように、焼結後の多層集合基板2aにおける貫通孔6の周囲には、バリ10が形成される。このバリ10は、前述した貫通孔6を形成する工程において最も下のセラミックグリーン層1に形成された垂れ部9に由来するものである。バリ10の突出寸法11は、たとえば50μmを超え100μm程度となることがある。このようなバリ10は、得られた多層セラミック基板の欠け等の損傷をもたらす原因となるので、その突出寸法11はできるだけ小さい方が好ましい。
【0024】
バリ10の突出寸法11を小さく抑えるには、まず、図9(1)に示した貫通孔6を形成する工程を、少なくとも下の収縮抑制層3のない生の多層集合基板2に対して実施し、貫通孔6を形成した後に、収縮抑制層3を配置するようにすることが考えられる。これによって、生の多層集合基板2の最も下のセラミックグリーン層1を金型7に接触させることができるので、矢印8方向へ打ち抜くことによって貫通孔6を形成しても、最も下のセラミックグリーン層1において垂れ部9を実質的に生じないようにすることができ、その結果、バリ10も実質的に生じないようにすることができる。
【0025】
しかしながら、収縮抑制層3のない生の多層集合基板2に対して、図9(1)に示すような貫通孔6を形成するための工程を実施すると、生の多層集合基板2の外表面上、すなわち金型7に接する主面上に導体膜(図示せず。)が形成されている場合、この導体膜が擦れて損傷しやすいという問題に遭遇する。すなわち、収縮抑制層3には、導体膜を保護するという機能もあり、この機能を考慮したとき、上述のような方法を単純には採用することができない。
【0026】
また、バリ10の突出寸法11を抑えるため、次のような方法も考えられる。すなわち、生の多層集合基板2は、セラミックグリーン層1となるべきセラミックグリーンシートを積層することによって作製されるのが通常であるが、貫通孔6となるべき貫通孔を、積層前の段階において、各セラミックグリーンシート毎に形成しておき、貫通孔が形成されたセラミックグリーンシートを積層して、図9(1)に示すような一連の貫通孔6とする方法が考えられる。
【0027】
しかしながら、上述の方法では、セラミックグリーンシートの加工が煩雑になるとともに、セラミックグリーンシートの積層工程において、各セラミックグリーンシートに設けられた貫通孔を位置合わせするための作業が煩雑となり、結果として、コストアップを招いてしまう。
【0028】
また、セラミックグリーンシートを積層する際に、貫通孔の位置合わせが適正でない場合、得られた多層セラミック基板の側面に形成された凹部内に段差が生じてしまう。
【0029】
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解消し得る、多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
この発明は、いわゆる無収縮プロセスおよび多数個取りによって、多層セラミック基板を製造しようとする方法に向けられるものであって、簡単に言えば、生の複合積層体の一方の収縮抑制層側から積層方向に打ち抜くことによって、貫通孔を設けるに際して、他方の収縮抑制層の厚みを薄くして、この他方の収縮抑制層に接するセラミックグリーン層において垂れ部があまり生じないようにし、それによって、バリがあまり生じないようにすることを特徴としている。
【0031】
より詳細には、この発明は、複数の積層されたセラミック層を備える、多層セラミック基板を製造する方法に向けられ、次のような工程を備えることを特徴としている。
【0032】
まず、セラミック絶縁材料を含みかつ焼成されることによって複数のセラミック層となる複数のセラミックグリーン層を有する生の多層集合基板を備え、生の多層集合基板は、焼成後において所定の分割線に沿ってそれぞれ分割されることによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされていて、セラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含む第1および第2の収縮抑制層が生の多層集合基板を積層方向に挟むように配置され、第2の収縮抑制層は300μm以下の厚みを有する、そのような生の複合積層体が作製される。
【0033】
次いで、第1の収縮抑制層側から積層方向に打ち抜くことによって、生の複合積層体を貫通する貫通孔が分割線上に形成される。
【0034】
次いで、上述の生の複合積層体が、セラミック絶縁材料粉末が焼結するが無機材料粉末が焼結しない条件下で焼成される。これによって、第1および第2の収縮抑制層によって挟まれた焼結後の多層集合基板が得られる。
【0035】
次いで、第1および第2の収縮抑制層が除去される。これによって、焼結後の多層集合基板が取り出される。
【0036】
次に、焼結後の多層集合基板が分割線に沿って分割される。これによって、分断された貫通孔によって与えられた凹部を側面上に位置させている複数の多層セラミック基板が取り出される。
【0037】
この発明は、生の複合積層体において、生の多層集合基板の、第1および第2の収縮抑制層の各々に接する主面上に、それぞれ、導体膜が形成されているとき、有利に適用される。
【0038】
上述した生の複合積層体を作製する工程において、第2の収縮抑制層の厚みは200μm以下とされることが好ましい。
【0039】
また、収縮抑制層による効果をより完璧に発揮させるため、貫通孔を形成する工程の後であって、生の複合積層体を焼成する工程の前に、生の複合積層体の第2の収縮抑制層上に、セラミックグリーン層に含まれるセラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含む第3の収縮抑制層を配置する工程をさらに備えることが好ましい。
【0040】
上述の場合、第2および第3の収縮抑制層の合計厚みと第1の収縮抑制層の厚みとの差は、200μm以下とされることがより好ましい。
【0041】
また、前述のように、第3の収縮抑制層を配置する工程の後であって、生の複合積層体を焼成する工程の前に、第3の収縮抑制層が配置された生の複合積層体を積層方向にプレスする工程が実施される場合には、貫通孔を形成する工程の後であって、このプレスする工程の前に、貫通孔に有機物を充填する工程を実施することが好ましい。この場合、有機物を充填する工程は、第3の収縮抑制層を配置する工程の前に実施されることがなお好ましい。
【0042】
この発明において、貫通孔を利用して外部電極を形成しようとする場合、好ましくは、次のような実施態様が採用される。
【0043】
すなわち、生の多層集合基板として、得ようとする多層セラミック基板の外部電極となるべき導体を内部に配置したものが用意され、生の複合積層体を作製する工程において、この導体は、その一部が貫通孔の内面上に露出する状態とされる。したがって、多層集合基板を分割することによって得られた複数の多層セラミック基板の側面上であって、分断された貫通孔によって与えられた凹部の内面上には、外部電極を与えるように導体の一部が外部に向かって露出する状態となる。
【0044】
上述した実施態様に係る生の複合積層体を作製する工程では、貫通孔が、導体を分断するように設けられることが好ましい。
【0045】
なお、外部電極を形成するため、焼成工程の後、多層集合基板を分割することによって得られた複数の多層セラミック基板の側面上であって、分断された貫通孔によって与えられた凹部の内面上に、導体を設けるようにしてもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6は、この発明の一実施形態を説明するためのものである。ここで、図1ないし図3は、多層セラミック基板の製造方法に含まれる典型的な工程を示す断面図である。図4ないし図6は、図1ないし図3に示した工程のうちの特定のものを説明するにあたって参照されるものである。
【0047】
図1ないし図3に示した各工程を経て製造される多層セラミック基板21は、図3(2)に示され、このような複数の多層セラミック基板21を取り出すことができる多層集合基板22aが図3(1)に示され、この多層集合基板22aを得るための焼成前の生の多層集合基板22が図1(1)に示されている。これら多層セラミック基板21、焼結後の多層集合基板22aおよび生の多層集合基板22は、いずれも、各々の一部のみが図示されている。
【0048】
多層セラミック基板21は、図3(2)に示すように、複数の積層されたセラミック層23aを備えている。多層セラミック基板21の内部には、相互配線を与え、また、必要に応じて、コンデンサやインダクタのような素子を構成するため、いくつかの内部導体膜24がセラミック層23a間の特定の界面に沿って形成され、また、いくつかの配線用ビアホール導体25が特定のセラミック層23aを貫通するように設けられている。
【0049】
また、多層セラミック基板21の第1の主面26上には、いくつかの外部導体膜27が形成され、第1の主面26と対向する第2の主面28上には、いくつかの外部導体膜29が形成されている。第1の主面26上にある外部導体膜27は、図示しないが、この多層セラミック基板21上に搭載される電子部品との電気的接続を図るために用いられる。第2の主面28上に形成される外部導体膜29は、この多層セラミック基板21が実装されるマザーボード30上の導電ランド31(図7参照)との電気的接続を図るために用いられる。
【0050】
また、多層セラミック基板21の側面には、凹部32が設けられ、この凹部32の内面上には、外部電極33が形成されている。この外部電極33の機能については、図7および図8を参照して後述する。
【0051】
このような多層セラミック基板21を製造するため、まず、図1(1)に示すような生の多層集合基板22が作製される。生の多層集合基板22は、図4に平面図でも示されている。生の多層集合基板22は、焼成後において所定の分割線34に沿ってそれぞれ分割されることによって複数の多層セラミック基板21を取り出すことができるようにされている。分割線34は、たとえば、格子状に配列されている。
【0052】
生の多層集合基板22は、セラミック絶縁材料を含みかつ焼成されることによって前述したセラミック層23aとなる複数のセラミックグリーン層23を備えている。また、生の多層集合基板22は、多層セラミック基板21において設けられていた内部導体膜24、配線用ビアホール導体25ならびに外部導体膜27および29を備えている。また、生の多層集合基板22は、多層セラミック基板21において設けられていた外部電極33を与えるための導体35を備えている。導体35は、分割線34上に位置している。また、導体35は、この実施形態では、生の多層集合基板22を積層方向に貫通するように設けられている。
【0053】
なお、図4では、図1に示した外部導体膜27の図示が省略されている。
【0054】
生の多層集合基板22におけるセラミックグリーン層23の積層構造は、通常、セラミックグリーンシートを積層することによって得られる。セラミックグリーンシートは、たとえば、セラミック絶縁材料粉末に、バインダ、可塑剤および溶剤等を加えて、ボールミルまたはアトラクタ等によって混合することによってスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法等の方法によってシート状に成形することによって得られる。セラミックグリーンシートの厚みについては、特に制限はないが、たとえば25〜200μm程度であることが好ましい。
【0055】
上述のセラミック絶縁材料粉末としては、従来の多層セラミック基板においても用いられている通常のセラミック絶縁材料粉末を用いることができる。セラミック絶縁材料粉末としては、たとえば、アルミナ粉末を用いることができ、さらに、軟化点600〜800℃の非晶質ガラス、結晶化温度600〜1000℃の結晶化ガラス等を含有させることにより、焼結温度を低下させることが好ましい。また、セラミック絶縁材料として、アルミナのほか、ジルコン、ムライト、コージェライト、アノーサイト、シリカ等を用いてもよい。
【0056】
セラミックグリーンシートには、積層前の段階で、前述した内部導体膜24、配線用ビアホール導体25ならびに外部導体膜27および29が形成される。導体膜24、27および29の形成にあたっては、たとえば導電性ペーストのスクリーン印刷等が適用される。また、配線用ビアホール導体25の形成にあたっては、セラミックグリーンシートに貫通孔を設け、この貫通孔に導電性ペーストを充填するようにされる。
【0057】
また、導体35についても、好ましくは、導電性ペーストによって与えられる。すなわち、セラミックグリーンシートに、積層前の段階で、貫通孔が設けられ、この貫通孔に導電性ペーストを充填することによって、セラミックグリーンシートを積層したとき、一連の導体35が形成されるようにされる。なお、セラミックグリーンシートを積層した後、そこに一連の貫通孔を設け、この貫通孔に導電性ペーストを充填するようにしてもよい。
【0058】
上述した導電性ペーストに含まれる導電成分としては、好ましくは、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Cu、AuおよびNiから選ばれた少なくとも1種が用いられる。
【0059】
次に、生の多層集合基板22を積層方向に挟むように、第1および第2の収縮抑制層36および37が配置され、それによって、図1(2)に示すような生の複合積層体38が作製される。第1および第2の収縮抑制層36および37は、前述したセラミックグリーン層23に含まれるセラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含んでいる。
【0060】
たとえば、セラミックグリーン層23に含まれるセラミック絶縁材料粉末として、その焼結温度が1100℃以下のものを用いる場合には、収縮抑制層36および37に含まれる無機材料粉末としては、たとえば、アルミナ、酸化ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化マグネシウム、炭化珪素等の粉末を用いることができる。なお、これらの無機材料粉末の粒度が粗すぎると、得られた多層セラミック基板21の表面粗さが粗くなるため、平均粒径0.5〜4μm程度であることが好ましい。
【0061】
収縮抑制層36および37は、通常、上述のような無機材料粉末を含む無機材料グリーンシートを積層することによって得られる。無機材料グリーンシートの作製方法は、前述したセラミックグリーンシートの場合と実質的に同様である。無機材料グリーンシートの厚みは、特に制限がないが、10〜200μm程度とされ、第1および第2の収縮抑制層36および37の各々の厚みは、たとえば、積層される無機材料グリーンシートの積層数によって調整される。
【0062】
図1(2)には、第1の収縮抑制層36においては、3枚の無機材料グリーンシートが積層され、第2の収縮抑制層37においては、1枚の無機材料グリーンシートが積層されているように図示されているが、これらは、第1の収縮抑制層36と第2の収縮抑制層37との間で厚みの差があることを明確に図示するためのもので、無機材料グリーンシートの積層数については一例にすぎない。
【0063】
上述した無機材料グリーンシートの積層数を変えることなどによって、第1の収縮抑制層36の厚みは、たとえば400μm程度と比較的厚くされるのに対し、第2の収縮抑制層37の厚みは、300μm以下、好ましくは200μm以下、一例として、50μm程度というように比較的薄くされる。
【0064】
ここで、第1の収縮抑制層36の厚みは、後述する焼成工程において、それによる収縮抑制効果が十分に発揮されるように選ばれ、他方、第2の収縮抑制層37の厚みは、これが接する生の多層集合基板22の主面上に形成された外部導体膜29を損傷等から保護するのに十分なように選ばれる。
【0065】
生の複合積層体38は、次いで、積層方向にプレスされる。このプレスは、生の複合積層体38を、以後の工程において取り扱う際、セラミックグリーン層23相互間、収縮抑制層36および37に備える無機材料グリーンシート相互間ならびに生の多層集合基板22と収縮抑制層36および37の各々との間のずれを生じにくくすることを目的とするものであり、たとえば、面圧30MPa以下の圧力が適用される。
【0066】
なお、図1(2)に示した生の複合積層体38を得るため、上述したように、生の多層集合基板22をまず得た後、これに収縮抑制層36および37を積層する方法を採用するのではなく、たとえば、第2の収縮抑制層37となるべき無機材料グリーンシートの上に、セラミックグリーン層23となるべき複数のセラミックグリーンシートを順次積層し、次いで、第1の収縮抑制層36となるべき無機材料グリーンシートを積層するようにしてもよい。
【0067】
次に、図1(3)に示すように、生の複合積層体38を積層方向に貫通する貫通孔39が分割線34上に形成される。この貫通孔39を形成した後の生の複合積層体38が、図5に平面図でも示されている。なお、図5において、第1の収縮抑制層36の一部は破断され、その下にある生の多層集合基板22の一部が図示されている。
【0068】
上述した貫通孔39の形成工程について、図6を参照して説明する。図6は、前述した図9に対応する図である。
【0069】
図6(1)に示すように、生の複合積層体38は金型40上に置かれ、第1の収縮抑制層36側から矢印41で示すように積層方向に打ち抜くことによって、貫通孔39が形成される。このとき、貫通孔39を規定する壁部において、生の複合積層体38を構成する材料の流動が打ち抜き方向41に生じ、セラミックグリーン層23ならびに収縮抑制層36および37において垂れ部42が形成される。
【0070】
しかしながら、金型40に対して、たとえば50μm程度の厚みしか有していない第2の収縮抑制層37を介在させて配置されている最も下のセラミックグリーン層23にあっては、垂れ部42はそれほど大きく形成されない。
【0071】
図6では、導体35の図示が省略されているが、貫通孔39は、図1(3)に示すように、導体35を貫通する位置に設けられる。これによって、導体35は、その一部が貫通孔39の内面上に露出する状態とされる。また、この実施形態では、貫通孔39を設けることによって、導体35は分断される。
【0072】
貫通孔39の平面形状すなわち断面形状については、図5に示されている。この実施形態では、貫通孔39は、長方形の断面形状を有していて、この断面形状の長手方向は、分割線34の延びる方向に向けられている。このようにすることによって、後述する分割工程において、複数の多層セラミック基板21を取り出すための多層集合基板22aの分割をより円滑に進めることができる。
【0073】
なお、貫通孔39の断面形状は、たとえば、正方形、円形、楕円形等の他の形状に変更されてもよい。
【0074】
次に、図2(1)に示すように、生の複合積層体38における分割線34の位置に沿って、切り込み溝43が設けられる。この切り込み溝43は、分割線34の場合と同様、格子状に配列される。切り込み溝43の形成には、たとえば、カッター刃を生の複合積層体38の表面に押し当てたり、回転刃で切り込む方法等を採用することができる。
【0075】
切り込み溝43は、第1および第2の収縮抑制層36および37のいずれか一方を厚み方向に貫通しかつ生の多層集合基板22の厚みの一部にまで届く深さをもって設けられる。この深さは、たとえば、生の多層集合基板22の厚みの1/10〜4/10程度まで届くようにされる。また、好ましくは、図2(1)に示したように、切り込み溝43は、第2の収縮抑制層37側に設けられる。
【0076】
次に、図2(2)に示すように、生の複合積層体38の第2の収縮抑制層37上に、第3の収縮抑制層44が配置される。第3の収縮抑制層44は、第1および第2の収縮抑制層36および37と同様、セラミックグリーン層23に含まれるセラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含むものである。この実施形態では、第3の収縮抑制層44は、第1および第2の収縮抑制層36および37と同様の材料から構成され、かつ無機材料粉末を含む無機材料グリーンシートを積層することによって形成される。
【0077】
第3の収縮抑制層44は、比較的薄い第2の収縮抑制層37による焼成工程における収縮抑制効果の不足を補うためのものである。焼成工程において、生の多層集合基板22に及ぼされる収縮抑制効果については、生の多層集合基板22の一方主面側と他方主面側とで均等であることが、焼結後の多層集合基板22aの反りを防止するためには好ましい。そのため、上述のように、第3の収縮抑制層44が配置される場合には、第2および第3の収縮抑制層37および44の合計厚みと第1の収縮抑制層36の厚みとの差は、200μm以下とされることが好ましい。
【0078】
次に、第3の収縮抑制層44が追加された生の複合積層体38が積層方向にプレスされる。このプレスに際しては、たとえば面圧50MPa以上といった比較的高い圧力が適用される。また、このプレス工程において、40〜90℃の温度が付与されることが好ましい。
【0079】
上述のプレス工程において、貫通孔39が埋まらないようにするための対策を施すことが好ましい。たとえば、焼成時に焼失する樹脂等の有機物を貫通孔39に充填した状態でプレス工程を実施したり、あるいは、貫通孔39内に入り込む弾性体をプレス工程において用いたりするなどの対策が講じられる。前者のように、樹脂等の有機物を貫通孔39に充填する場合、この充填工程は、図1(3)または図2(1)に示した段階、すなわち貫通孔39を形成した後であって、第3の収縮抑制層44を配置する前に実施することが好ましい。
【0080】
また、プレスされる生の複合積層体38にあっては、切り込み溝43が第3の収縮抑制層44によって覆われた状態となっている。この状態は、切り込み溝43の形状を維持するのに効果的であるとともに、焼成工程において、切り込み溝43の存在のために生じ得る生の多層集合基板22の反りを抑制するのに効果的である。
【0081】
次に、生の複合積層体38は、焼成工程に付される。これによって、図2(3)に示すように、生の多層集合基板22が焼結されて、焼結後の多層集合基板22aとなる。この焼成工程においては、セラミックグリーン層23に含まれるセラミック絶縁材料粉末が焼結し、セラミック層23aとなるが、収縮抑制層36、37および44に含まれる無機材料粉末が焼結しない条件が適用される。また、この焼成工程においては、生の複合積層体38をトレーに載せて焼成することが行なわれるが、トレーとしては、たとえば、通常のアルミナ板からなるものを用いることができる。また、トレーとして、通気性の良好な気孔率の高いアルミナ板からなるものを使用してもよい。
【0082】
焼成工程において、収縮抑制層36、37および44に含まれる無機材料粉末は実質的に焼結しないため、収縮抑制層36、37および44においては、収縮が実質的に生じない。そのため、収縮抑制層36、37および44が生の多層集合基板22を拘束し、それによって、生の多層集合基板22は、厚み方向にのみ実質的に収縮するが、主面方向での収縮が抑制される。その結果、焼結後の多層集合基板22aにおいて不均一な変形等がもたらされにくくなる。
【0083】
次に、収縮抑制層36、37および44が、たとえばブラシ等を用いて除去され、それによって、図3(1)に示すように、焼結後の多層集合基板22aが取り出される。
【0084】
図3(1)に示した焼結後の多層集合基板22aにおける貫通孔39を規定する壁部でのセラミック層23aの変形状態が図6(2)に示されている。
【0085】
図6(2)に示すように、焼結後の多層集合基板22aにおける貫通孔39の周囲には、バリ45が形成される。このバリ45は、図6(1)に示すように、前述した貫通孔39を形成する工程において最も下のセラミックグリーン層23に形成された垂れ部42に由来するものである。前述したように、生の複合積層体38を金型40上に置き、矢印41方向への打ち抜きによって貫通孔39を形成するとき、最も下のセラミックグリーン層23にあっては、金型40に対して、比較的薄い第2の収縮抑制層37を介在させた状態で位置しているので、それほど大きな垂れ部42が形成されない。したがって、バリ45の突出寸法46は、小さく抑えられることができる。たとえば、第2の収縮抑制層37の厚みが50μmである場合には、後述する実験例からわかるように、バリ45の突出寸法46は5μm以下に抑えることができる。
【0086】
次に、焼結後の多層集合基板22aに対して、必要に応じて、無電解めっきのような湿式めっきが施され、それによって、貫通孔39の内面に露出する導体35の表面にめっき膜を析出させる工程が実施される。より具体的には、無電解めっきによって、導体35の表面に、たとえば、ニッケルめっきが膜が形成され、その上に、金めっき膜が形成される。
【0087】
次に、焼結後の多層集合基板22aが、切り込み溝43に沿ってチョコレートブレイク態様で分割され、それによって、図3(2)に示すように、複数の多層セラミック基板21が取り出される。
【0088】
この多層セラミック基板21の側面には、貫通孔39の分断によって与えられた凹部32が形成され、この凹部32の内面上には、導体35の一部が露出し、外部電極33を与えている。
【0089】
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。この実験例では、図2(2)に示した状態において、第1の収縮抑制層36の厚みを400μmと一定にしながら、第2の収縮抑制層37の厚みおよび第3の収縮抑制層44の厚みを種々の変更した試料について、図6(2)に示したバリ45の突出寸法46および図3(1)に示した焼結後の多層集合基板22aの反りを評価した。なお、反りについては、焼結後において100mm角の多層集合基板を平坦面上に置き、多層集合基板の平面方向での中心部が平坦面に接する状態として、この状態において、多層集合基板の端縁部と平坦面との間の間隔を測定したものである。
【0090】
【表1】
Figure 2004207592
【0091】
表1において、「第2の収縮抑制層の厚み(A)」と「バリの突出寸法」とを対比すれば、「第2の収縮抑制層の厚み(A)」が小さくなるほど、「バリの突出寸法」が小さくなることがわかる。特に、「第2の収縮抑制層の厚み(A)」が300μm以下の試料では、「バリの突出寸法」を50μm以下に抑えることができ、さらに、「第2の収縮抑制層の厚み(A)」が200μm以下とされると、「バリの突出寸法」を15μm以下とすることができる。
【0092】
また、「(A+B)と第1の収縮抑制層の厚みの差」が小さいほど、「反り」がより小さくなっている。特に、「(A+B)と第1の収縮抑制層の厚みの差」が200μm以下とされたとき、「反り」を300μm以下とすることができる。
【0093】
次に、多層セラミック基板21において貫通孔39を分断することによって形成された凹部32およびその内面上に形成された外部電極33の使用方法について説明する。
【0094】
図7は、多層セラミック基板21がマザーボード30上に実装された状態を示している。この実装状態において、外部電極33は、マザーボード30上に設けられた導電ランド47に半田48を介して電気的に接続される。すなわち、図7に示した使用方法では、外部電極33は、多層セラミック基板21の第2の主面28上に形成された外部導体膜29と同様、マザーボード30に対する電気的接続を図るために用いられる。
【0095】
図8は、多層セラミック基板21にキャップ49が装着された状態を示している。キャップ49は、脚部50を備え、この脚部50が凹部32内に位置されることによって、キャップ49が多層セラミック基板21に対して位置合わせされる。そして、脚部50が、たとえば半田51によって、外部電極33に接合されることにより、キャップ49が多層セラミック基板21に対して機械的に固定される。この場合、キャップ49が導電性金属から構成されるとき、外部電極33とキャップ49とは電気的に接続された状態となる。
【0096】
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0097】
たとえば、図示の実施形態では、導体35は、生の多層集合基板22の積層方向に貫通するように配置されていたが、これに代えて、生の多層集合基板22の積層方向の一部においてのみ延びるように配置されていてもよい。この場合には、得られた多層セラミック基板21の側面に形成された凹部32内において、外部電極33が、多層セラミック基板21の厚み方向寸法の一部においてのみ延びることになる。この構成によれば、多層セラミック基板21を、図7に示すように、マザーボード30上に実装するとき、消費される半田48の量を低減することができるばかりでなく、半田48によって形成される半田フィレットの高さをより低くすることができ、かつ、一定にすることが容易である。したがって、多層セラミック基板21が高周波用途に向けられるとき、半田フィレットによって与えられるインダクタンス成分のばらつきを低減することができる。
【0098】
また、生の多層集合基板22の内部に、導体35が配置されていなくてもよい。この場合であっても、貫通孔39の存在は、焼結後の多層集合基板22aの分割線34に沿う分割を円滑に行なえるという効果を発揮させることができる。また、分割後において、分断された貫通孔39によって与えられた凹部32は、たとえば図8に示すようにキャップ49が装着される場合の脚部50の位置決めを可能にし、あるいは、マザーボード等に対する位置合わせのために用いられることができる。
【0099】
上述の場合において、凹部32内に外部電極33を設ける必要があるならば、凹部32の内面上に、外部電極33となる導電性ペーストのような導体を付与すればよい。このように導電性ペーストが付与される場合には、その後、導電性ペーストを焼き付けるための工程および必要なめっき工程が実施されることになる。
【0100】
また、図示の実施形態では、図1(3)に示すように、貫通孔39をまず設け、その後に、図2(1)に示すように、切り込み溝43を設けるようにしたが、貫通孔39を設ける工程と切り込み溝43を設ける工程とを逆の順序で実施してもよい。後者のように、逆の順序で実施される場合、切り込み溝43を設ける工程の前に実施されるプレス工程は、比較低い圧力での仮プレスとし、その後、切り込み溝43を設けた後、貫通孔39を設ける工程の前に、比較的高い圧力で本プレスすることが好ましい。
【0101】
また、図示の実施形態では、切り込み溝43は、焼成前の生の複合積層体38に対してこれを設けるようにしたが、焼結後の多層集合基板22aに切り込み溝を設け、この切り込み溝に沿って多層集合基板22aを分割するようにしてもよい。この場合、通常は、収縮抑制層36、37および44を除去した後の多層集合基板22aに切り込み溝が設けられることになるが、焼成後であって、収縮抑制層36、37および44が除去される前の段階で切り込み溝を設ける工程を実施してもよい。
【0102】
また、図示の実施形態では、生の複合積層体38を作製するにあたって、セラミックグリーン層23となるセラミックグリーンシートならびに収縮抑制層36、37および44となる無機材料グリーンシートをそれぞれ用意し、これらを積層する工程を採用したが、セラミックグリーンシートや無機材料グリーンシートを予め用意することなく、セラミックグリーン層23となるべきセラミックスラリーや収縮抑制層36、37および44となるべき無機材料スラリーを、印刷等の方法によって付与することを繰り返して、生の複合積層体38のための積層構造を得るようにしてもよい。
【0103】
また、図示の実施形態では、貫通孔39は、導体35を分断するように設けられたが、必ずしも導体35を分断する必要はなく、たとえば、貫通孔39が導体35の中心からずれた位置に設けられるなどして、単に、貫通孔39の内面上に導体35の一部が露出するように設けられてもよい。
【0104】
また、図示の実施形態では、生の複合積層体38を焼成する前に、比較的薄い第2の収縮抑制層37の厚みを補うため、第2の収縮抑制層37上に第3の収縮抑制層44を配置するようにしたが、第2の収縮抑制層37のみで必要とする収縮抑制効果が得られる場合には、第3の収縮抑制層44が配置されない状態で焼成工程が実施されてもよい。
【0105】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、いわゆる無収縮プロセスおよび多数個取りによって、多層セラミック基板を製造しようとする方法において、生の複合積層体の第1の収縮抑制層側から積層方向に打ち抜くことによって、貫通孔を設けるに際して、第2の収縮抑制層の厚みを300μm以下というように薄くしているので、この第2の収縮抑制層に接するセラミックグリーンシートにおいて垂れ部があまり生じないようにすることができる。その結果、焼成後の多層セラミック基板において、バリがあまり生じないようにすることができ、そのため、バリが原因となる多層セラミック基板の欠け等の損傷を生じさせにくくすることができる。
【0106】
生の複合積層体において、生の多層集合基板の、第1および第2の収縮抑制層の各々に接する主面上に、それぞれ、導体膜が形成される場合、この導体膜が第1および第2の収縮抑制層によって覆われた状態とすることができるので、貫通孔を形成する工程において、導体膜が擦れて損傷するという不都合には遭遇しない。
【0107】
この発明において、第2の収縮抑制層の厚みが200μm以下とされると、前述したバリの突出寸法をより小さくすることができる。
【0108】
貫通孔を形成した後、生の複合積層体を焼成する前に、生の複合積層体の第2の収縮抑制層上に、第3の収縮抑制層を配置すれば、この第3の収縮抑制層によって、比較的薄い第2の収縮抑制層による収縮抑制効果の不足を有利に補うことができる。
【0109】
上述の場合、第2および第3の収縮抑制層の合計厚みと第1の収縮抑制層の厚みとの差が200μm以下とされると、焼成後の多層集合基板において生じ得る反りを低減することができる。
【0110】
また、前述のように、第3の収縮抑制層を配置する工程の後であって、生の複合積層体を焼成する工程の前に、第3の収縮抑制層が配置された生の複合積層体を積層方向にプレスする工程が実施される場合には、貫通孔を形成する工程の後であって、このプレスする工程の前に、貫通孔に焼成工程において焼失する有機物を充填するようにすれば、プレス工程において、貫通孔が不所望にも埋まらないようにすることができる。また、有機物を充填する工程を、第3の収縮抑制層を配置する工程の前に実施するようにすれば、有機物の充填を容易に行なうことができる。
【0111】
生の多層集合基板が、得ようとする多層セラミック基板の外部電極となるべき導体を内部に配置しており、貫通孔を形成する工程において、この導体の一部が貫通孔の内面上に露出する状態とされ、多層集合基板を分割することによって得られた複数の多層セラミック基板の側面上であって、分断された貫通孔によって与えられた凹部の内面上に、外部電極を与えるように導体の一部が外部に向かって露出するようにされると、外部電極を形成するための特別な工程が不要となるとともに、外部電極が凹部の内面上に位置されるので、その位置および幅に関して高い精度を得ることができ、多層セラミック基板の小型化および配線の高密度化に有利に対応することができる。また、外部電極に対してめっきを施す場合、めっき膜の異常析出が生じても、隣り合う外部電極間で電気的短絡がもたらされにくくなる。
【0112】
上述の場合において、貫通孔が、導体を分断するように設けられると、1つの貫通孔の形成によって、2つの外部電極、すなわち2つの多層セラミック基板のための外部電極を形成することができる。
【0113】
また、多層セラミック基板の側面上であって、分断された貫通孔によって与えられた凹部の内面上に、外部電極を形成するための導体を設けるようにしても、外部電極に対して、その位置および幅に関して高い精度を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による多層セラミック基板21の製造方法に含まれるいくつかの典型的な工程を順次示す断面図である。
【図2】図1に示した工程に続いて実施されるいくつかの典型的な工程を順次示す断面図である。
【図3】図2に示した工程に続いて実施されるいくつかの典型的な工程を順次示す断面図である。
【図4】図1(1)に示した段階にある生の多層集合基板22を示す平面図である。
【図5】図1(3)に示した段階にある生の複合積層体38を示す平面図である。
【図6】(1)は、図1(3)に示した貫通孔39を形成する工程において生じ得る生の複合積層体38の挙動を図解的に示す断面図であり、(2)は、(1)に示した生の複合積層体38から得られた焼結後の多層集合基板22aを図解的に示す断面図である。
【図7】図3(2)に示した多層セラミック基板21がマザーボード30上に実装された状態を示す断面図である。
【図8】図3(2)に示した多層セラミック基板21にキャップ49を装着した状態を一部断面で示す正面図である。
【図9】図6に対応する図であって、この発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
【符号の説明】
21 多層セラミック基板
22 生の多層集合基板
22a 焼結後の多層集合基板
23 セラミックグリーン層
23a セラミック層
27,29 外部導体膜
32 凹部
33 外部電極
34 分割線
35 導体
36 第1の収縮抑制層
37 第2の収縮抑制層
38 生の複合積層体
39 貫通孔
41 打ち抜き方向を示す矢印
42 垂れ部
44 第3の収縮抑制層
45 バリ

Claims (10)

  1. 複数の積層されたセラミック層を備える、多層セラミック基板を製造する方法であって、
    セラミック絶縁材料粉末を含みかつ焼成されることによって複数の前記セラミック層となる複数のセラミックグリーン層を有する生の多層集合基板を備え、生の前記多層集合基板は、焼成後において所定の分割線に沿ってそれぞれ分割されることによって複数の前記多層セラミック基板を取り出すことができるようにされていて、前記セラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含む第1および第2の収縮抑制層が生の前記多層集合基板を積層方向に挟むように配置され、前記第2の収縮抑制層は300μm以下の厚みを有する、生の複合積層体を作製する工程と、
    前記第1の収縮抑制層側から積層方向に打ち抜くことによって、生の前記複合積層体を貫通する貫通孔を前記分割線上に形成する工程と、
    前記生の複合積層体を、前記セラミック絶縁材料粉末が焼結するが前記無機材料粉末が焼結しない条件下で焼成し、それによって、前記第1および第2の収縮抑制層によって挟まれた焼結後の前記多層集合基板を得る工程と、
    前記第1および第2の収縮抑制層を除去し、それによって、焼結後の前記多層集合基板を取り出す工程と、
    焼結後の前記多層集合基板を前記分割線に沿って分割し、それによって、分断された前記貫通孔によって与えられた凹部を側面上に位置させている複数の前記多層セラミック基板を取り出す工程と
    を備える、多層セラミック基板の製造方法。
  2. 前記生の複合積層体において、生の前記多層集合基板の、前記第1および第2の収縮抑制層の各々に接する主面上には、それぞれ、導体膜が形成されている、請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  3. 前記生の複合積層体を作製する工程において、前記第2の収縮抑制層の厚みは200μm以下とされる、請求項1または2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  4. 前記貫通孔を形成する工程の後であって、前記生の複合積層体を焼成する工程の前に、前記生の複合積層体の前記第2の収縮抑制層上に、前記セラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含む第3の収縮抑制層を配置する工程をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
  5. 前記第2および第3の収縮抑制層の合計厚みと前記第1の収縮抑制層の厚みとの差は、200μm以下とされる、請求項4に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  6. 前記第3の収縮抑制層を配置する工程の後であって、前記生の複合積層体を焼成する工程の前に、前記第3の収縮抑制層が配置された前記生の複合積層体を積層方向にプレスする工程をさらに備えるとともに、前記貫通孔を形成する工程の後であって、前記プレスする工程の前に、前記貫通孔に有機物を充填する工程をさらに備える、請求項4または5に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  7. 前記有機物を充填する工程は、前記第3の収縮抑制層を配置する工程の前に実施される、請求項6に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  8. 前記生の多層集合基板は、得ようとする前記多層セラミック基板の外部電極となるべき導体を内部に配置しており、前記貫通孔を形成する工程において、前記導体は、その一部が前記貫通孔の内面上に露出する状態とされ、前記多層集合基板を分割する工程によって得られた複数の前記多層セラミック基板の側面上であって、分断された前記貫通孔によって与えられた前記凹部の内面上には、前記外部電極を与えるように前記導体の一部が外部に向かって露出するようにされる、請求項1ないし7のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
  9. 前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔は、前記導体を分断するように設けられる、請求項8に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  10. 前記多層集合基板を分割する工程によって得られた複数の前記多層セラミック基板の側面上であって、分断された前記貫通孔によって与えられた前記凹部の内面上に、外部電極を形成するための導体を設ける工程をさらに備える、請求項1ないし7のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
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