JP2004207204A - 電界放出表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エミッタから放出される電子量を増大可能にするだけでなく,各画素毎の電子放出程度の均一化を可能にする電界放出表示装置を提供する。
【解決手段】第1基板と,そこに形成される複数のゲート電極と,複数のゲート電極を覆いながら第1基板上に形成される絶縁層と,絶縁層上に形成される複数のカソード電極と,カソード電極に電気的に接触して形成されるエミッタと,第1基板と間隔を設け配置されると共に協働して真空容器を形成する第2基板と,第1基板と対向する第2基板の一面に形成されるアノード電極と,アノード電極上に形成される蛍光層とを含み,カソード電極がカソード電極の一部が除去されて形成されたエミッタ収容部を有し,エミッタ収容部は,それらの間にカソード電極により形成される壁が配置されるように形成され,エミッタは,少なくともエミッタ収容部内に配置され,カソード電極と電気的に接触される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は,電界放出表示装置にかかり,より詳しくはカーボン系物質,特にカーボンナノチューブ(CNT,Carbonnano tube)からなるエミッタを有する電界放出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷陰極電子を電子放出源として使用してイメージ形成をする装置である電界放出表示装置(FED)は,電子放出層であるエミッタの特性によって装置全体の品質が大きく左右される。
【0003】
初期の電界放出表示装置において,エミッタは,主にモリブデン(Mo)を主材質とする,いわゆる,スピント(Spindt氏)タイプの金属チップで形成されてきた。これに関する開示としては,電界放出カソードを有する表示装置について記載された米国特許第3,789,471号明細書(以下,特許文献1とする。)がある。
【0004】
しかし,金属チップ形状のエミッタを有する電界放出表示装置を製造する時には,半導体製造工程に似た技術,例えばエミッタが配置される凹部を形成するためのフォトリソグラフィ及びエッチング工程,金属チップを形成するためのモリブデンの蒸着工程などを使用するので,製造工程が複雑で難しい技術を必要とするだけでなく,高価な装備が必要であり製品製造単価が上がり,大量生産には,不適切という問題点がある。
【0005】
したがって,電界放出表示装置の関連業界では,低電圧(大略,10〜50V)の駆動条件でも電子放出ができ製造工程上にも便宜を図ることができるようにするために,エミッタを平坦な形状で形成する技術を研究開発している。
【0006】
今までの技術動向によれば,平坦な形状のエミッタとしては,カーボン系物質,例えば黒鉛,ダイアモンド,DLC(diamond like carbon),C60(Fulleren)または炭素ナノチューブ(CNT,Carbonnanotube)などが好適であると知られている。このうち特に炭素ナノチューブは,比較的低い駆動電圧(大略,10〜50V)でも電子放出が円滑に行われるので,電界放出表示装置のエミッタとして最も理想的な物質として期待されている。
【0007】
かかる炭素ナノチューブを利用した電界放出表示装置に関する従来技術としては,米国特許第6,062,931号明細書(以下,特許文献2とする。),米国特許第6,097,138号明細書(以下,特許文献3とする。)に開示された冷陰極電界放出表示装置がある。
【0008】
一方,電界放出表示装置がカソード,アノード及びゲート電極を有する3極管の構造を有する時,従来の電界放出表示装置の大半は,エミッタが配置される基板上に先にカソード電極を形成し,この上にエミッタを配置した後,かかるエミッタ上にゲート電極を配置する構造を有する。換言すると,従来の電界放出表示装置は,カソード電極とアノード電極との間にゲート電極を配置してエミッタから電子を放出し,これを蛍光体に誘導する構造を有する。
【0009】
しかし,電界放出表示装置の特性を高めるために3極管の構造を取る場合,炭素系物質,特に炭素ナノチューブを用いてエミッタを形成しょうとしても,ゲート電極及びかかるゲート電極の下に配置された絶縁層上に形成された孔の中に,エミッタを良好に形成するのが難しい問題点がある。
【0010】
このような問題点は,ペーストを印刷する方法でエミッタを形成する時,微細なサイズの孔内にペーストを配置させるのが容易ではないことに起因する。
【0011】
さらに,通常の3極管構造の電界放出表示装置においては,エミッタから放出された電子が電子ビーム化されて該当する蛍光体に向かって進行する時,(+)電圧を印加されたゲート電極の領域を通り過ぎる過程で,このゲート電極の影響を受けて,電子ビームの発散力が非常に強くなる場合がある。このような場合には,好ましくない電子ビーム拡散現象により,一つのエミッタから射出された電子ビームが該当する蛍光体の周囲にある蛍光体まで発光させて,表示された画像の色純度を低下させ鮮明な画像を実現することができなくなる。
【0012】
このような問題点を勘案して電界放出表示装置の業界では,カソード電極とアノード電極の間にメッシュ形態のメタルグリッドを設置し,エミッタから放出された電子の集束性を改善するように制御しようと試みられていて,これと関連した従来技術としては,特開2000−268704号公報(以下,特許文献4とする。)に開示された電界放出形表示素子がある。
【0013】
メタルグリッドを有する電界放出表示装置には,上記の長所以外にも,当該装置のアノード電極に印加される高電圧によってアーク放電が発生する時,エミッタをはじめとするカソードの構成要素に損傷が起こることを防止できる付随的な長所がある。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第3,789,471号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,062,931号明細書
【特許文献3】
米国特許第6,097,138号明細書
【特許文献4】
特開2000−268704号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,実際にエミッタから電子ビームを放出してみると,メタルグリッドの網目(透過孔)を通り抜けられず,このグリッドに衝突して遮断される電子ビームが発生する。このため電子ビームの利用効率が落ち,それによって目標とする蛍光体に到達する電子ビームの量が目標値より少なくなり,表示される画像の輝度を弱くするという短所がある。
【0016】
このような問題点は,特に本発明出願人の米国特許6,420,726号明細書で開示している電界放出表示装置でように,ゲート電極をカソード電極下方に配置し,前記カソード電極上方にエミッタを形成した場合に特に起こる可能性が高い。これは,かかる電界放出表示装置においては,電子ビーム放出の大部分がエミッタの端部から起こり,エミッタから放出された電子ビームが正常にメタルグリッドを通過できなければ,当該蛍光体を発光させるための電子ビームの量が著しく減少するためである。
【0017】
一方,電界放出表示装置をはじめとする画像表示装置においては,各画素別に発光(電界放出表示装置の場合には,冷陰極電子放出)が均一に起こらなければ良質の画像を消費者に提供することができない。しかし,この観点に照らしてエミッタの構造(カソード電極の端部分にエミッタが整列されている構造)は,各画素の均一な電子放出をするのに不利な点がある。
【0018】
上記の点は,エミッタとカソード電極の接触面積が少ないことによる接触抵抗の増大で電子放出に妨害が起こるだけでなく,エミッタをカソード電極上に形成する時,その配列状態が均一でないため電子放出が局部的に起こるためである。
【0019】
本発明は,従来の電界放出表示装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,エミッタから放出される電子量を増大させることができるだけでなく,画素間の電子放出程度を均一にすることの可能な,新規かつ改良された電界放出表示装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明による電界放出表示装置は,第1基板と,かかる第1基板上に任意のパターンを有して形成される複数のゲート電極と,かかる複数のゲート電極を覆いながら第1基板上に形成される絶縁層と,かかる絶縁層上に任意のパターンを有して形成される複数のカソード電極と,かかるカソード電極に電気的に接触して形成されるエミッタと,第1基板と任意の間隔をおいて配置されると共に,かかる第1基板と協働して真空容器を形成する第2基板と,第1基板と対向する第2基板の一面に形成されるアノード電極と,かかるアノード電極上に任意のパターンを有して形成される蛍光層と,を含有し,カソード電極がカソード電極の一部が除去されて形成されたエミッタ収容部を有し,かかるエミッタ収容部は,それらの間にカソード電極によって形成される壁が配置されるようにカソード電極に形成され,エミッタは,少なくとも収容部内に配置されてカソード電極と電気的に接触されて形成される。
【0021】
このとき,エミッタ収容部は,カソード電極の長さ方向に沿って一定の間隔をおいてカソード電極に形成することができる。また実質的に,エミッタ収容部は,カソード電極の一側端に沿ってカソード電極に形成され,かかるエミッタ収容部は,カソード電極の一側端に形成された凹部からなり,その形状は,略長方形であることが好ましい。
【0022】
また,このときエミッタは,エミッタ収容部内に周囲が閉鎖された空間を形成しながらエミッタ収容部内に形成されることとしてもよい。更に,このときエミッタは,その両側面をエミッタ収容部内のカソード電極側面に接触させて形成することができ,具体的には,例えばエミッタが長辺と短辺を有する長方形からなる場合,その短辺方向に対する幅を可変させてエミッタ収容部内に配置される。また,エミッタは,その両側部をエミッタ収容部内のカソード電極側面に形成された凹部に挿入させて形成することとしてもよい。
【0023】
更に,このときエミッタは,エミッタ収容部及びカソード電極上にかけて形成することができる。この際に,エミッタは,カソード電極の端に向かった先端をエミッタ収容部の内側に配置しながら形成され,またはカソード電極の端に向かうエミッタの先端が凹んで形成されることとしてもよい。
【0024】
また,このときエミッタは,エミッタ収容部内でカソード電極から延長された複数個の接触電極に接触しながらエミッタ収容部内に形成されることとしてもよい。この際に,接触電極は,カソード電極と同一物質で形成されたり,または電導性を有しながらカソード電極とは相異な物質で形成されることとしてもよい。さらに,このときエミッタは,カソード電極の端に向かう先端を凹んで形成することができ,カソード電極の端を向かう先端をエミッタ収容部の内側に配置したり,エミッタ収容部の外側に配置しながら形成されたり,またはカソード電極の端に一致させながらエミッタ収容部内に形成することができる。
【0025】
一方,本発明の電界放出表示装置は,ゲート電極と電気的に連結されながらエミッタと任意の間隔をおいて絶縁層上に配置されてエミッタに向かって電界を形成する複数のカウンタ(counter)電極を含むが,このとき,カウンタ電極は,絶縁層に形成される連結孔を通じてゲート電極と連結される。
【0026】
同時に,エミッタは,炭素系物質,つまり,炭素ナノチューブ,C60,ダイアモンド,DLC,黒鉛のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせからなり得る。
【0027】
また,本発明の電界放出表示装置は,カソード電極とアノード電極の間に配置されるメッシュ形態のグリッドと蛍光層上に形成された金属薄膜層を含有する構成とすることもできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
図1は,本発明の第1の実施の形態による電界放出表示装置を示した部分分解斜視図であり,図2は本発明の第1の実施の形態による電界放出表示装置の画素構造の部分結合断面図であって,図1の矢印A方向から見て示した図面である。
【0030】
図2のように,本実施形態の電界放出表示装置は,任意の大きさを有する第1基板2(または背面基板,以下,便宜上背面基板と称する。)と第2基板4(または前面基板,以下,便宜上前面基板と称する。)を内部空間部が形成されるように所定の間隔をおいて略平行に配置し,これらを,厚みのある接着封止剤を用いて,一つに接合させることによって,各部品を協働させて装置の外殻を兼ねる真空容器を形成している。
【0031】
基板2,4において,背面基板2上には,電界放出の実行を可能な構成が,前面基板4上には,電界放出によって放出された電子によって所定のイメージを実現することの可能な構成が提供されるが,かかる構成をより具体的に以下で説明する。
【0032】
まず,背面基板2上には,所定のパターン,例えば,図1のX方向に細長い形状の透明ゲート電極6が,Y方向に任意の間隔をおいて平行に,背面基板2の上面に沿って複数形成される。また,ゲート電極6上には,かかるゲート電極6を覆いながら背面基板2上に全体的に配置される絶縁層8が形成される。絶縁層8は,ガラス質,SiO,ポリイミド,窒化物,または,これらの組み合わせ,または,これらの積層構造として構成することができるが,本実施形態では,絶縁層8を透明な材質で形成している。
【0033】
また,かかる絶縁層8上には,所定のパターン,例えば,Y方向に細長い形状の不透明なカソード電極10が,X方向に任意の間隔をおいて,上記のゲート電極6と直交するように複数形成される。
【0034】
更に,カソード電極10に接触して背面基板2上に領域設定される画素部位には,電界放出によって電子を放出するためのエミッタ12が形成される。このときエミッタ12は,カソード電極10の長さ方向に沿って,さらに具体的には,カソード電極10の一側端に沿って各画素位置に合わせて順次に配列されている。
【0035】
通常の電界放出表示装置において,エミッタ12は,カソード電極10と電気的に連結されるので,本発明の本実施形態の電界放出表示装置においても,エミッタ12は,カソード電極10との電気的連結のためにカソード電極10上に形成されるエミッタ収容部10aに配置されてカソード電極10に電気的に接触している。
【0036】
エミッタ収容部10aは,図1に示すように,カソード電極10の一部が除去されて形成された陥入部位であって,本実施形態では,エミッタ収容部10aは,略長方形の凹部として形成されている。このようなエミッタ収容部10aがカソード電極10の長さ方向に沿って一定の間隔,つまり,各画素位置に対応して形成されることにより,隣接するエミッタ収容部10aの間には,カソード電極10の一部分からなる壁10bが形成される。
【0037】
エミッタ収容部10aにおけるエミッタ12の電気的連結構造を具体的に見ると,まずエミッタ12は,エミッタ収容部10aの形状に対応して長方形の形状を有しながら,その上面を前面基板4に向け,その短辺である両側面は,前記エミッタ収容部10aの内壁であるカソード電極10側面に密着させて,かかるカソード電極10に接触させるようにする。このとき,エミッタ12は,カソード電極10との間に任意の大きさを有する空間10cを形成するために,エミッタ収容部10a内に完全には充填されず,エミッタ収容部10aの長辺片側をカソード電極10から任意の間隔をおいてエミッタ収容部10a内に位置される。このようなエミッタ12の配置状態によって,空間10cの周囲は,閉鎖される。
【0038】
もちろん,前述したエミッタ12の配置形状は,一つの例に過ぎず,後述する他の実施形態を参考として多様に変形することは,可能である。
【0039】
本発明において,上記エミッタ12は,炭素系物質,例えば炭素ナノチューブ,C60(Fulleren),ダイアモンド,DLC,黒鉛またはこれらの組み合わせなどで形成され,その製造法としては,スクリーン印刷法,化学気相蒸着法(CVD)またはスパッタリング法などが使用できるが,本実施形態では,炭素ナノチューブを適用している。
【0040】
一方,絶縁層8の上には,ゲート電極6の駆動電圧が低い場合にもエミッタ12から良好に電子が放出されるようにするためのカウンタ電極14が形成されている。
【0041】
カウンタ電極14は,電界放出表示装置の動作時,ゲート電極6に所定の駆動電圧が印加してエミッタ12の周囲に電子放出のための電界を形成する時,自身もエミッタ12に向かい電子放出のための電界を追加的に形成する電極であって,これは背面基板2上に設定される画素領域部位に対応してそれぞれ配置される。
【0042】
本実施形態でカウンタ電極14は,略正方形の形状であるが,かかる形状は,必ずしも,これに限定されず,他のパターンでも形成可能である。
【0043】
カウンタ電極14は,ゲート電極6と電気的に連結されてゲート電極6の駆動と連動している。このために本実施形態では,絶縁層8上に形成された貫通孔8aを通じてゲート電極6とカウンタ電極14を電気的に連結しており,このとき,貫通孔8a内には,実質的なゲート電極6とカウンタ電極14の電気的連結のためにカウンタ電極14を形成する物質自体,または別途の電導性のある物質などが配置され得る。同時に,貫通孔8aは,カウンタ電極14に対応する形状を有し,実質的に貫通孔8aは,絶縁層8の製造方法,例えば印刷法,フォトリソグラフィ法などによって形成される。
【0044】
このような背面基板2上の構成に比べて,前面基板4上には,ITOからなる透明アノード電極16と共に,ゲート電極6に対応する方向(X)に沿って,R,G,B蛍光層18が任意の間隔をおいて形成される。さらに,前面基板4上には,蛍光層18の間にコントラスト向上用のブラックマトリックス20が形成され,蛍光層16とブラックマトリックス20上には,アルミニウムなどから構成される金属薄膜層22が形成されてもよく,かかる金属薄膜層22は,電界放出表示装置の耐電圧及び輝度特性向上に有効な役割を果たす。
【0045】
このように構成される背面基板2と基板4は,カソード電極10の長手方向と蛍光層18の長手方向が互いに交差するように対向配置される。両基板は,かかる状態で任意の間隔をおいて,所定真空領域の周囲に塗布されるフリート(接着用ガラス)のようなシーリング(封止)物質によって接合されて,その間に形成される内部空間を排気させて真空状態に維持することによって,一つの電界放出表示装置を構成する。このとき,両基板2,4の間に非画素領域には,両基板2,4の間の間隔を維持するためのスペーサ24が配置されるが,本実施形態でかかるスペーサ24は,前面基板4側に支持される上部スペーサ24aと背面基板2側に支持される下部スペーサ24bに区分される。
【0046】
同時に,両基板2,4が形成する真空容器内に上部スペーサ24aと下部スペーサ24bの間には,図1に示すように複数の透過孔26aを有するメッシュ形態のグリッド26が配置される。かかるグリッド26は,真空容器内でアーク放電が発生する場合,その被害がカソード電極10側に及ばないようにし,またエミッタ12から放出されて形成された電子ビームを集束させる役割を担当する。本実施形態でグリッド26は,その透過孔26aが背面基板2上に設定される各画素に対応して配置されるように構成されているが,透過孔26aは,場合によって画素にそれぞれ対応せず不規則に配列されることもある。
【0047】
このように構成される電界発光表示装置は,その外部からゲート電極6,カソード電極10,アノード電極16及びグリッド26に所定の電圧(ゲート電極には,数〜数十ボルトの+電圧,カソード電極には,数〜数十ボルトの−電圧,アノード電極には,数百〜数千ボルトの+電圧,グリッドには,数十〜数百ボルトの+電圧が印加される。)の供給を受け,ゲート電極6とカソード電極10の間に電界を形成して,これによりエミッタ12から電子を放出し,かかる放出された電子を電子ビーム化して蛍光層18に誘導することによって,かかる蛍光層18を打撃し,このとき発生する光で所定のイメージを実現する。
【0048】
電界放出表示装置が作用する時,カウンタ電極14は,前述のようにエミッタ12の一側(図2基準で右側)端から電子を放出できるようにする電界をゲート電極6と協働してエミッタ12との間に追加的に形成し,空間10cは,エミッタ12の他側(図2基準で左側)端から電子が放出できるようにする役割を果たす。
【0049】
図3(a)及び図3(b)は,本発明の発明者が前述の構成を有する電界放出表示装置に対してコンピュータシミュレーションを実施し,その結果を示した図面であり,本図によってエミッタ12から放出されて蛍光層18に照射される電子ビームの軌跡が示される。図3(a)は,エミッタ12周囲を拡大して,このエミッタ12から放出された電子ビームの軌跡を示し,図3(b)は,エミッタ12から放出された電子ビームが蛍光層18に向かって照射される全体的な軌跡を示す。
【0050】
図3(a)及び(b)に示す本発明装置の電子ビーム照射状況を,図4(a)及び図4(b)に示す従来装置の電子ビーム照射状況と比較して眺めると,本発明の本実施形態の電界放出表示装置において,エミッタ12から放出された電子ビーム(E/B)は,従来の電界放出表示装置から放出された電子ビーム(E/B)とは異なり,本実施形態では,蛍光層の中心より一側に偏って照射されることがなく,蛍光層の中心部に向かって左,右均衡を合せながら照射されることが分かる。ここで比較例として用いた従来の電界放出表示装置は,本実施形態とは異なってエミッタがカソード電極上に直接に形成された場合の電界放出表示装置である。
【0051】
本発明の本実施形態の電界放出表示装置が上述するような電子ビーム(E/B)の軌跡を形成することができるのは,エミッタ12の両端から電子を放出することができるためである。このことは,前述したように,エミッタ12とカソード電極10の間に形成された空間10c,つまりエミッタ12とカソード電極10の間に電子放出するための電界を形成できるようにすることは,当然として,エミッタ12の端が空間10c上に露出できるようにすることによっても可能になる。
【0052】
上記のような事情で,本実施形態の電界放出表示装置は,エミッタ12から従来より均一分布でありながらも多量の電子が放出できるようになり,これによって蛍光層18に到達する電子ビームの強さを強化させることができ,表示する画像の輝度を増大させることができる。さらに,本発明の本実施形態の電界放出表示装置は,エミッタ12の両端を使用して電子を放出させるが,これはエミッタ12の利用率を増大させることができるということを意味するので,このことからエミッタの寿命延長及び信頼度向上が期待できる。
【0053】
一方,本実施形態の電界放出表示装置の動作時,隣接するエミッタ12の間に配置された壁10bは,各画素別に電子放出するための電界が他の画素領域を侵犯できないようにする一種の遮蔽壁として作用する。
【0054】
したがって,本実施形態の電界放出表示装置において,画素別にそれぞれ放出される電子は,他の画素で形成される電界の影響を受けずに,各々良好な状態で該当する蛍光体に照射される。
【0055】
これに反し,比較例である従来の電界放出表示装置から放出された電子ビームは,図4(b)に示すように,一側(図面基準に右側)に偏って照射されるので,
相当量がグリッド26の透過孔26aを通過できず,かかるグリッド26で遮蔽されて消失することが分かる。
【0056】
このような状況により,本実施形態の電界放出表示装置は,エミッタ12から多量の電子を均一に放出させて,それによる画像の輝度向上及びエミッタの寿命延長,信頼度向上に利点を有する。
【0057】
次に,本発明の第1の実施の形態に対する変形例について説明する。図5は,第1変形例であって,この場合は,第1の実施の形態の構造を基本としながら,エミッタ収容部10a内にエミッタ12を少なくとも2つ以上配置して,本発明による他の電界放出表示装置が構成される場合を示した図面である。このような構造では,エミッタ収容部10aに複数のエミッタ12が配置され,さらに多くのエミッタ12の端から電子を放出してその効率を極大化させることができる利点がある。
【0058】
図6は,第1の実施の形態に基づく第2の変形例を示し,エミッタ12がエミッタ収容部10a内に配置されて,カソード電極10に実質的に接触する時,接触抵抗を減らすことができる構造である。
【0059】
例えばエミッタ12をドッグボーン形状などにして,左右端部の接触面積を広くする。つまり,図6に示すように,その短辺方向を幅W1,W2を可変させて全体的な形状を略長方形とし,かかる略長方形の幅のうち広い幅W2を有する両端部位をカソード電極10に接触させてエミッタ収容部10a内に配置することができる。
【0060】
他方,エミッタ12は,図7に示したように,その両端部位をエミッタ収容部10aのカソード電極10部位上に形成された凹部10dに挿入させてエミッタ収容部10a内に配置することができる。
【0061】
このような第2の変形例によれば,エミッタ12がカソード電極10との電気的連結のために,カソード電極10と接触する時,その接触面積が増大できるようにしてエミッタ12が有する接触抵抗を調節(接触抵抗が減るように)することで,接触抵抗による電子放出の被害を防止することができる。
【0062】
次に,本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は,本発明の第2の実施の形態による電界放出表示装置の重要部位を示した部分平面図であって,カソード電極上にエミッタが配置された状態を説明するために示した図面である。
【0063】
図示のように,この第2の実施の形態でも,電子放出のためのエミッタ40は,カソード電極42上に形成されたエミッタ収容部42aに配置されてカソード電極42に接触する基本構造を有するが,このとき,エミッタ40は,エミッタ収容部42a及びカソード電極42にかけて接触できるように形成される。つまり,エミッタ40は,エミッタ収容部42aに充填された状態で配置されながらカソード電極42の上面にかけて形成される。
【0064】
このようなエミッタ40の構造では,かかるエミッタ40自体が一種の抵抗層役割を果たして,局部的に電流密度の高い所では,抵抗による電圧降下で電子放射が抑制され,エミッタ40の端でも電界集中の効果が弱められて,その部位別に均一な電子放出が行われるようにする効果を期待することができる。
【0065】
つまり,従来は,エミッタがカソード電極上の角部上に形成される場合には,エミッタの製造状態によってエミッタの部位別に電子放出程度が変化する。換言するとエミッタの端全体を見る時,不均一な電子放出を行う場合があったが,本実施形態では,この不均一性が軽減される。
【0066】
このような場合に照らしてエミッタ40は,それ自体が前述した比抵抗値を有しながら抵抗層の役割を果たし,その縁部位別によってゲート電極44とカソード電極42間の電圧差が類似に構成されるようにし,これでエミッタ40の端全体部位で均一な電子放出が行われるようにする。
【0067】
このとき,かかるエミッタ40は,カウンタ電極46に向かった先端をカソード電極42の端に一致してエミッタ収容部42aに配置されることもあるが,エミッタ40から放出された電子ビームの集束関係を考慮すれば,図面のようにエミッタ収容部42aの内側に配置して形成されるのが好ましい。
【0068】
さらに,エミッタ40は,それ自体が放出する電子をその中心部内側に集まるようにし,これによって電子ビームの集束性をさらに容易にするために,図9に示したように,かかる先端を凹んだ形状で形成することもできる

【0069】
図10は,本発明の第3の実施の形態による電界放出表示装置の重要部位を示した平面図であって,本実施形態による電界放出表示装置も,やはり前述した実施形態による電界放出表示装置と同様に形成される。
【0070】
ただし,この第3の実施の形態の電界放出表示装置においては,エミッタがカソード電極間の接触抵抗を減らすことができるように,カソード電極のエミッタ収容部内に配列される構造は,前述の例と相異している。これを具体的に説明すると,エミッタ50は,カソード電極52のエミッタ収容部52a内に配置される時,エミッタ収容部52a内にカソード電極52から延びて配置された複数個の接触電極54と接触される。
【0071】
前述したように接触電極54は,略四角形形状で形成されながら,カソード電極52と同一物質,つまり,カソード電極52を形成する時,かかるカソード電極52と同時に形成されることができ,他方には,電導性を有しながらカソード電極52とは,異なる物質で形成されることもできる。このとき接触電極54は,四角形形状の以外に他の形状でも形成されることができる。
【0072】
また,エミッタ50は,図10に示したように,カソード電極52の端に向かう先端がエミッタ収容部52a内側に配置されるように形成することができ,場合によっては,図11に示したように,かかる先端がエミッタ収容部52aの外側に配置されるようにしたり,かかる先端がカソード電極52の端に一致して配置されるようにしたり,またはかかる先端が凹むよう形成することができる。
【0073】
このようにエミッタ50がエミッタ収容部52aに配置される時,かかるエミッタ収容部52a内に配列された複数の接触電極54と接触しながら配置されれば,かかるエミッタ50がカソード電極52に接触される面積が増加するので,接触抵抗を減らすようになり,より多量の電子を放出することに利点がある。さらに,第2の実施の形態のように各画素別にエミッタの接触抵抗を調節することができるので均一な電子放出特性を有する。
【0074】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば,本発明は,図12に示したように,エミッタ12が配置された位置に対応してカソード電極10上に任意のサイズを有する凹部12dをさらに形成して構成することもできるが,このような場合には,かかるエミッタ12周囲に,エミッタ12から電子放出に必要な電場を形成する時,かかる凹部12dによって電場がエミッタ12を囲むことができるように,換言すると,エミッタ収容部12a側だけでなく凹部12d側からでも電場を形成できるようにすることが可能であるので,エミッタ12の電子放出能力をさらに期待することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,カソード電極上に配置されるエミッタの配列構造を改善し,電子放出の特性を向上させることができる。
【0077】
したがって,本発明の電界放出表示装置は,向上した電子放出の特性によって画像の輝度向上及びエミッタの寿命,信頼度の向上で製品の品位を高めることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電界放出表示装置を示した部分斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による電界放出表示装置の画素構造を示した結合断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による電界放出表示装置のエミッタから放出された電子ビームの軌跡が分かるようにコンピュータシミュレーションしてその結果を示した図面である。
【図4】従来技術による電界放出表示装置のエミッタから放出された電子ビームの軌跡が分かるようにコンピュータシミュレーションしてその結果を示した図面であって,本発明との比較例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の変形例を説明するために示した部分平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例を説明するために示した部分平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例を説明するために示した部分平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による電界放出表示装置の主要部位を説明するために示した部分平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の変形例を説明するために示した部分平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による電界放出表示装置の主要部位を説明するために示した部分平面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の変形例を説明するために示した部分平面図である。
【図12】本発明の追加実施形態による電界放出表示装置を説明するために示した部分平面図である。
【符号の説明】
2 第1基板
4 第2基板
6 ゲート電極
8 絶縁層
8a 貫通孔
10 カソード電極
10a 収容部
10b 壁
10c 空間
12 エミッタ
14 カウンタ電極
16 アノード電極
18 蛍光層
20 ブラックマトリックス
22 金属箔膜層
24a 上部スペーサ
24b 下部スペーサ
26 グリッド
26a 透過孔

Claims (28)

  1. 第1基板と,
    該第1基板上に形成される複数のゲート電極と,
    該複数のゲート電極を覆いながら前記第1基板上に形成される絶縁層と,
    該絶縁層上に形成される複数のカソード電極と,
    該カソード電極に電気的に接触して形成されるエミッタと,
    前記第1基板と間隔をおいて配置されると共に,前記第1基板と協働して真空容器を形成する第2基板と,
    前記第1基板と対向する前記第2基板の一面に形成されるアノード電極と,
    該アノード電極上に形成される蛍光層と,
    を含有し,
    前記カソード電極が該カソード電極の一部が除去されて形成されたエミッタ収容部を有し,
    前記エミッタ収容部は,該エミッタ収容部の間に前記カソード電極によって形成される壁が配置されるように前記カソード電極に形成され,
    前記エミッタは,少なくとも前記エミッタ収容部内に配置されて前記カソード電極と電気的に接触されることを特徴とする,電界放出表示装置。
  2. 前記エミッタ収容部が前記カソード電極の長さ方向に沿って一定の間隔を設けて前記カソード電極に形成されることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  3. 前記エミッタ収容部が前記カソード電極の一側端に沿って前記カソード電極に形成されることを特徴とする,請求項2に記載の電界放出表示装置。
  4. 前記エミッタ収容部が前記カソード電極の一側端に形成された凹部からなることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  5. 前記凹部は,略長方形であることを特徴とする,請求項4に記載の電界放出表示装置。
  6. 前記エミッタは,前記エミッタ収容部内に周囲が閉鎖された空間を形成しながら前記エミッタ収容部内に形成されることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  7. 前記エミッタが該エミッタの両側面を前記エミッタ収容部内のカソード電極側面に接触させて形成されることを特徴とする,請求項6に記載の電界放出表示装置。
  8. 前記エミッタは,長辺と短辺を有する長方形からなり,前記短辺方向に対する幅を可変して形成されることを特徴とする,請求項7に記載の電界放出表示装置。
  9. 前記エミッタが該エミッタの両側部を前記エミッタ収容部内の前記カソード電極側面に形成された凹部に挿入して形成されることを特徴とする,請求項6に記載の電界放出表示装置。
  10. 前記エミッタが少なくとも2つ以上に分離されて形成されることを特徴とすることを特徴とする,請求項6に記載の電界放出表示装置。
  11. 前記エミッタが前記エミッタ収容部及び前記カソード電極上にかけて形成されることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  12. 前記エミッタが前記カソード電極の端に向かった先端を前記エミッタ収容部の内側に配置しながら形成されることを特徴とする,請求項11に記載の電界放出表示装置。
  13. 前記カソード電極の端に向かった前記エミッタの先端が凹んで形成されることを特徴とする,請求項11に記載の電界放出表示装置。
  14. 前記エミッタ収容部内で前記カソード電極から延長された複数個の接触電極が間隔をおいて配置され,前記エミッタが前記接触電極に接触されながら前記エミッタ収容部内に形成されることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  15. 前記接触電極が前記カソード電極と同一な物質で形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  16. 前記接触電極が電導性を有しながら前記カソード電極とは相異な物質で形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  17. 前記接触電極が略四角形形状で形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  18. 前記カソード電極の端に向かった前記エミッタの先端が凹んで形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  19. 前記エミッタが前記カソード電極の端に向かった先端を前記エミッタ収容部の内側に配置しながら形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  20. 前記エミッタが前記カソード電極の端に向かった先端を前記エミッタ収容部の外側に配置しながら形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  21. 前記エミッタが前記カソード電極の端に向かった先端を前記カソード電極の端に一致させながら前記エミッタ収容部内に形成されることを特徴とする,請求項14に記載の電界放出表示装置。
  22. 前記電界放出表示装置が,前記ゲート電極と電気的に連結されながら前記エミッタと間隔をおいて前記絶縁層上に配置されて前記エミッタに向かって電界を形成する複数のカウンタ電極をさらに含有することを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  23. 前記カウンタ電極が前記絶縁層に形成される連結孔を通じて前記ゲート電極と連結されることを特徴とする,請求項22に記載の電界放出表示装置。
  24. 前記エミッタが炭素系物質からなることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  25. 前記エミッタが炭素ナノチューブ,C60,ダイアモンド,DLC,黒鉛のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせからなることを特徴とする,請求項24に記載の電界放出表示装置。
  26. 前記カソード電極と前記アノード電極の間にメッシュ形態のグリッドが配置されることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  27. 前記電界放出表示装置が,前記蛍光層上に形成される金属薄膜層をさらに含有することを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
  28. 前記エミッタが配置された位置に対応して前記カソード電極上に凹部が形成されていることを特徴とする,請求項1に記載の電界放出表示装置。
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