JP2004207090A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】上部電極を自己整合的に加工するために、従来は上部バス電極上にさらに成膜が必要であり、薄膜の総数や工程が多くなっていた。
【解決手段】上部バス電極の配線外側に絶縁体を側壁とする庇構造を形成し、上部電極の自己整合分離を行うことにより、簡易な構造、プロセスを有する薄膜型電子源を用いた画像表示装置を実現する。
【選択図】図1
【解決手段】上部バス電極の配線外側に絶縁体を側壁とする庇構造を形成し、上部電極の自己整合分離を行うことにより、簡易な構造、プロセスを有する薄膜型電子源を用いた画像表示装置を実現する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自発光型フラットパネルディスプレイに係り、特に、薄膜型電子源アレイを用いた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
微少で集積可能な冷陰極を利用するディスプレイは、FED(Field Emission Display)と呼称される。冷陰極には、電界放出型電子源とホットエレクトロン型電子源に分類され、前者には、スピント型電子源、表面伝導型電子源、カーボンナノチューブ型電子源等が属し、後者には金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal-Insulator-Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型、金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源がある。MIM型については例えば特開平7-65710号、金属―絶縁体―半導体型についてはMOS型(J. Vac. Sci. Techonol. B11 (2) p.429-432 (1993) )、金属―絶縁体―半導体−金属型ではHEED型(high-efficiency-electro-emission device、Jpn.J.Appl. Phys.、vol 36 、p L939などに記載)、EL型(Electroluminescence、応用物理 第63巻、第6号、592頁などに記載)、ポーラスシリコン型(応用物理 第66巻、第5号、437頁などに記載)などが報告されている。
MIM型電子源については、例えば特開平10-153979号に開示されている。MIM型電子源の構造と動作原理を図2に示す。上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層である絶縁層12の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなり、上部電極13の伝導帯へ流入する。これらのホットエレクトロンのうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーをもって上部電極13表面に達したものが真空20中に放出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
画像表示装置などに適用する薄膜型電子源では、電子加速層上にホットエレクトロンが透過できる薄い上部電極を形成する。上部電極を加工する際には電子加速層にダメージを与えず、かつ電子放出を妨げないように、上部電極をレジストなどで汚染しないで加工しなければならない。そのため、我々は、上部バス電極上に形成したパシベーション膜の庇を利用して、庇の段差で上部電極を自己整合的に分離する方法を提案した(特開2001−101965)。
しかしながら、この構造は上部バス電極上にパシベーション膜を成膜しなければならず、薄膜型電子源を構成する層数が増加し、成膜工程やホトエッチング工程などの工程数が多くなる課題がある。画像表示装置の低コスト化、高歩留まり化にはより簡易な構造を用い、工程数を削減することが望まれる。
そこで、我々はより簡便な構造として上部バス電極とパシベーション膜を1回のホト工程で加工できる構造として、上部バス電極配線外側で庇を形成する構造を提案した(特開2001−035357)。しかしながらこの構造もパシベーション膜が必要であり、また庇の側壁が上部バス電極の金属のため、分離した上部電極が接触しやすく、短絡が生じる可能性があり改良が望まれた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、上部バス電極の配線外側に形成された庇構造の側壁を絶縁体で形成することにより実現できる。特に下部電極と上部バス電極の間の層間膜を、上部バス電極配線の外側で、上部バス電極より内側に窪むように加工して上部バス電極の庇を形成し、上部電極を庇部分で自己整合的に分離することにより実現することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
上記目的を実現する本発明の第一の実施の形態をMIM電子源を例に図3〜8、図1で説明する。
はじめにガラス等の絶縁性の基板10上に下部電極11用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてはAlやAl合金を用いる。AlやAl合金を用いたのは、陽極酸化により良質の絶縁膜を形成できるからである。ここでは、Ndを2原子量%ドープしたAl-Nd合金を用いた。成膜には例えば、スパッタリング法を用いる。膜厚は300 nmとした。成膜後はホト工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成した。エッチングは例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる(図3)。
次に、電子放出部を制限し、下部電極エッジへの電界集中を防止する保護絶縁層14を形成する。まず下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化し,保護絶縁層14とする(図4)。
化成電圧を100Vとすれば、厚さ約136 nmの保護絶縁層14が形成される。陽極酸化後、レジストを剥離する。
次に層間膜15と、上部電極13への給電線となる上部バス電極16を例えばスパッタリング法等で成膜する。層間膜15としては、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化膜、シリコンなどを用いることができる。ここでは、シリコン窒化膜を用い膜厚は300nmとした。この層間膜15は、陽極酸化で形成する保護絶縁層14にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と上部バス電極16間の絶縁を保つ役割を果たす。上部バス電極16の材料としては、AlやCuなどの各種の金属材料を用いることができるが、ここではAl-Nd合金を用いた。(図5)。
続いて、ホトエッチング工程により上部バス電極16を下部電極11とは直交し、電子放出部に向かってテーパー状に膜厚が減少するように加工する(図6)。
続いて、ホトエッチング工程により層間膜15を加工する。層間膜15は上部バス電極16の配線外側では上部バス電極16より内側に窪むように加工し、上部バス電極16配線の電子放出部側では、電子放出部に向かって膜厚が減少するようにテーパー状に加工する。層間膜15としてシリコンまたはシリコン化合物を用いれば、加工は例えばCF4やSF6を主成分とする用いたドライエッチングによって行うことができる。テーパー加工はエッチングガスに酸素を添加し、レジストが後退するようにして行うことができる。(図7)。
次に絶縁層12を陽極酸化し、電子加速層を形成する。例えば化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約10 nmの絶縁層12が形成される(図8)。
最後に上部電極13膜の成膜を行う。成膜法は例えばスパッタ成膜を用いる。上部電極13としては例えばIr、Pt , Auの積層膜を用い膜厚は例えば6 nmとした。この時、上部電極13は、上部バス電極16配線の外側で、層間膜15が支える上部バス電極16の庇の部分で切断され、各上部バス電極16毎に分離される。一方、電子放出部側では、上部電極13が、テーパー状に加工された上部バス電極16、およびテーパー状に加工された層間膜を経て、絶縁層12を覆い給電される構造となる(図1)。
このように、本発明の構造では、上部バス電極外側の庇の側壁が絶縁層のため、分離した上部電極が接触し、短絡が生じる危険性がない。また、パシベーション膜を用いずとも、上部電極13を自己整合的に分離することができる。従って、成膜工程、ホト工程が少なくなり、製造歩留まりが高く、低コストの画像表示装置を実現できる。
(第2の実施例)
つぎに、一例として、第1の実施例によって作成した薄膜型電子源アレイ基板(図9)と蛍光面をスペーサを介し貼りあわせ、本発明の表示装置を形成する方法について説明する。
表示側基板の作成は以下のように行う(図10)。面板110には透光性のガラスなどを用いる。まず,表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス120を形成する。ブラックマトリクス120は,PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸ナトリウムとを混合した溶液を面板110に塗布し,ブラックマトリクス120を形成したい部分以外に紫外線を照射して感光させた後,未感光部分を除去し、そこに黒鉛粉末を溶かした溶液を塗布し、PVAをリフトオフすることにより形成する。
次に赤色蛍光体111を形成する。蛍光体粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸ナトリウムとを混合した水溶液を面板110上に塗布した後,蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光させた後,未感光部分を流水で除去する。このようにして赤色蛍光体111をパターン化する。パターンは図10に示したようなストライプ状にパターン化する。同様にして,緑色蛍光体112と青色蛍光体113を形成する。蛍光体としては,例えば赤色にY2O2S:Eu(P22-R),緑色にZnS:Cu,Al(P22-G),青色にZnS:Ag,Cl(P22-B)を用いればよい。
次いで,ニトロセルロースなどの膜でフィルミングした後,面板110全体にAlを,膜厚75 nm程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバック114が加速電極として働く。その後,面板110を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして,表示側基板が完成する。
このようにして製作した表示側基板と基板10とをスペーサ40を介し、周囲の枠116をフリットガラス115を用いて封着する。
図11に貼り合わせた表示パネルのA-A'断面、 B-B'断面に相当する部分を示す。面板110-基板10間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ40の高さを設定する。ここでは,説明のため、R(赤),G(緑),B(青)に発光するピクセル毎にスペーサ40を立てているが,実際は機械強度が耐える範囲で,スペーサ40の枚数(密度)を減らせばよい。
封着したパネルは,10-7Torr程度の真空に排気して,封じきる。封じ後、ゲッターを活性化し、パネル内の真空を維持する。例えば、Baを主成分とするゲッター材の場合、高周波誘導加熱等によりゲッター膜を形成できる。また、Zrを主成分とする非蒸発型ゲッターを用いてもよい。
このように本実施例では,面板110と基板10間の距離は1〜3mm程度と長いので,メタルバック114に印加する加速電圧を3〜6KVと高電圧に出来る。したがって,上述のように,蛍光体には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
図12はこのようにして製作した表示装置パネルの駆動回路への結線図である。下部電極11は下部電極駆動回路50へ結線し,上部バス電極16は上部電極駆動回路60に結線する。ここでは上部バス電極16側を走査線、下部電極11側を信号線として用いた。m番目の上部バス電極16 Cmと,n番目の下部電極11 Knの交点を(m,n)で表すことにする。メタルバック114には3〜6KV程度の加速電圧70を常時印加する。
図13は,各駆動回路の発生電圧の波形の一例を示す。時刻t0ではいずれの電極も電圧ゼロであるので電子は放出されず,したがって,蛍光体は発光しない。時刻t1において,上部バス電極16 C1にはV1なる電圧を,下部電極11 K1,K2には−V2なる電圧を印加する。交点(1,1),(1,2)の下部電極11−上部電極13間には(V1+V2)なる電圧が印加されるので,(V1+V2)を電子放出開始電圧以上に設定しておけば,この2つの交点の薄膜型電子源からは電子が真空中に放出される。放出された電子はメタルバック114に印加された加速電圧70により加速された後,蛍光体に入射し,発光させる。時刻t2において,上部バス電極16のC2にV1なる電圧を印加し,下部電極11のK1に−V2なる電圧を印加すると,同様に交点(2,1)が点灯する。このようにして,下部電極11に印加する信号を変えることにより所望の画像または情報を表示することが出来る。また,下部電極11への印加電圧−V2の大きさを適宜変えることにより,階調のある画像を表示することが出来る。絶縁層12中に蓄積される電荷を開放するための反転電圧の印加は、ここでは上部バス電極16の全てにV1を印加した後、全下部電極11にV3、全上部バス電極 16に−V3を印加することにより行った。
【0006】
【発明の効果】
以上により、上部電極を自己整合的に加工しつつ、薄膜電子源を構成する薄膜の層数を削減することができ、簡略なプロセスを用いることができるので、高歩留まりで低コストの画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜型電子源の構造を示す図である。
【図2】薄膜型電子源の動作原理を示す図である。
【図3】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図4】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図5】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図6】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図7】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図8】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図9】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の電子源基板を示す図である。
【図10】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の蛍光面基板を示す図である。
【図11】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の断面を示す図である。
【図12】本発明を用いた表示装置での駆動回路への結線を示した図である。
【図13】本発明の表示装置での駆動電圧波形を示した図である。
【符号の説明】
10・・・基板、11・・・下部電極、12・・・絶縁層、13・・・上部電極、14・・・保護絶縁層、15・・・層間膜、16・・・上部バス電極、20・・・真空、25・・・レジスト膜、40・・・スペーサ、50・・・下部電極駆動回路、 60・・・上部電極駆動回路、70・・・加速電圧、110・・・面板、111・・・赤色蛍光体、112・・・緑色蛍光体、113・・・青色蛍光体、114・・・メタルバック、115・・・フリットガラス、116・・・枠。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自発光型フラットパネルディスプレイに係り、特に、薄膜型電子源アレイを用いた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
微少で集積可能な冷陰極を利用するディスプレイは、FED(Field Emission Display)と呼称される。冷陰極には、電界放出型電子源とホットエレクトロン型電子源に分類され、前者には、スピント型電子源、表面伝導型電子源、カーボンナノチューブ型電子源等が属し、後者には金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal-Insulator-Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型、金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源がある。MIM型については例えば特開平7-65710号、金属―絶縁体―半導体型についてはMOS型(J. Vac. Sci. Techonol. B11 (2) p.429-432 (1993) )、金属―絶縁体―半導体−金属型ではHEED型(high-efficiency-electro-emission device、Jpn.J.Appl. Phys.、vol 36 、p L939などに記載)、EL型(Electroluminescence、応用物理 第63巻、第6号、592頁などに記載)、ポーラスシリコン型(応用物理 第66巻、第5号、437頁などに記載)などが報告されている。
MIM型電子源については、例えば特開平10-153979号に開示されている。MIM型電子源の構造と動作原理を図2に示す。上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層である絶縁層12の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなり、上部電極13の伝導帯へ流入する。これらのホットエレクトロンのうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーをもって上部電極13表面に達したものが真空20中に放出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
画像表示装置などに適用する薄膜型電子源では、電子加速層上にホットエレクトロンが透過できる薄い上部電極を形成する。上部電極を加工する際には電子加速層にダメージを与えず、かつ電子放出を妨げないように、上部電極をレジストなどで汚染しないで加工しなければならない。そのため、我々は、上部バス電極上に形成したパシベーション膜の庇を利用して、庇の段差で上部電極を自己整合的に分離する方法を提案した(特開2001−101965)。
しかしながら、この構造は上部バス電極上にパシベーション膜を成膜しなければならず、薄膜型電子源を構成する層数が増加し、成膜工程やホトエッチング工程などの工程数が多くなる課題がある。画像表示装置の低コスト化、高歩留まり化にはより簡易な構造を用い、工程数を削減することが望まれる。
そこで、我々はより簡便な構造として上部バス電極とパシベーション膜を1回のホト工程で加工できる構造として、上部バス電極配線外側で庇を形成する構造を提案した(特開2001−035357)。しかしながらこの構造もパシベーション膜が必要であり、また庇の側壁が上部バス電極の金属のため、分離した上部電極が接触しやすく、短絡が生じる可能性があり改良が望まれた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、上部バス電極の配線外側に形成された庇構造の側壁を絶縁体で形成することにより実現できる。特に下部電極と上部バス電極の間の層間膜を、上部バス電極配線の外側で、上部バス電極より内側に窪むように加工して上部バス電極の庇を形成し、上部電極を庇部分で自己整合的に分離することにより実現することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
上記目的を実現する本発明の第一の実施の形態をMIM電子源を例に図3〜8、図1で説明する。
はじめにガラス等の絶縁性の基板10上に下部電極11用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてはAlやAl合金を用いる。AlやAl合金を用いたのは、陽極酸化により良質の絶縁膜を形成できるからである。ここでは、Ndを2原子量%ドープしたAl-Nd合金を用いた。成膜には例えば、スパッタリング法を用いる。膜厚は300 nmとした。成膜後はホト工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成した。エッチングは例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる(図3)。
次に、電子放出部を制限し、下部電極エッジへの電界集中を防止する保護絶縁層14を形成する。まず下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化し,保護絶縁層14とする(図4)。
化成電圧を100Vとすれば、厚さ約136 nmの保護絶縁層14が形成される。陽極酸化後、レジストを剥離する。
次に層間膜15と、上部電極13への給電線となる上部バス電極16を例えばスパッタリング法等で成膜する。層間膜15としては、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化膜、シリコンなどを用いることができる。ここでは、シリコン窒化膜を用い膜厚は300nmとした。この層間膜15は、陽極酸化で形成する保護絶縁層14にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と上部バス電極16間の絶縁を保つ役割を果たす。上部バス電極16の材料としては、AlやCuなどの各種の金属材料を用いることができるが、ここではAl-Nd合金を用いた。(図5)。
続いて、ホトエッチング工程により上部バス電極16を下部電極11とは直交し、電子放出部に向かってテーパー状に膜厚が減少するように加工する(図6)。
続いて、ホトエッチング工程により層間膜15を加工する。層間膜15は上部バス電極16の配線外側では上部バス電極16より内側に窪むように加工し、上部バス電極16配線の電子放出部側では、電子放出部に向かって膜厚が減少するようにテーパー状に加工する。層間膜15としてシリコンまたはシリコン化合物を用いれば、加工は例えばCF4やSF6を主成分とする用いたドライエッチングによって行うことができる。テーパー加工はエッチングガスに酸素を添加し、レジストが後退するようにして行うことができる。(図7)。
次に絶縁層12を陽極酸化し、電子加速層を形成する。例えば化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約10 nmの絶縁層12が形成される(図8)。
最後に上部電極13膜の成膜を行う。成膜法は例えばスパッタ成膜を用いる。上部電極13としては例えばIr、Pt , Auの積層膜を用い膜厚は例えば6 nmとした。この時、上部電極13は、上部バス電極16配線の外側で、層間膜15が支える上部バス電極16の庇の部分で切断され、各上部バス電極16毎に分離される。一方、電子放出部側では、上部電極13が、テーパー状に加工された上部バス電極16、およびテーパー状に加工された層間膜を経て、絶縁層12を覆い給電される構造となる(図1)。
このように、本発明の構造では、上部バス電極外側の庇の側壁が絶縁層のため、分離した上部電極が接触し、短絡が生じる危険性がない。また、パシベーション膜を用いずとも、上部電極13を自己整合的に分離することができる。従って、成膜工程、ホト工程が少なくなり、製造歩留まりが高く、低コストの画像表示装置を実現できる。
(第2の実施例)
つぎに、一例として、第1の実施例によって作成した薄膜型電子源アレイ基板(図9)と蛍光面をスペーサを介し貼りあわせ、本発明の表示装置を形成する方法について説明する。
表示側基板の作成は以下のように行う(図10)。面板110には透光性のガラスなどを用いる。まず,表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス120を形成する。ブラックマトリクス120は,PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸ナトリウムとを混合した溶液を面板110に塗布し,ブラックマトリクス120を形成したい部分以外に紫外線を照射して感光させた後,未感光部分を除去し、そこに黒鉛粉末を溶かした溶液を塗布し、PVAをリフトオフすることにより形成する。
次に赤色蛍光体111を形成する。蛍光体粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸ナトリウムとを混合した水溶液を面板110上に塗布した後,蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光させた後,未感光部分を流水で除去する。このようにして赤色蛍光体111をパターン化する。パターンは図10に示したようなストライプ状にパターン化する。同様にして,緑色蛍光体112と青色蛍光体113を形成する。蛍光体としては,例えば赤色にY2O2S:Eu(P22-R),緑色にZnS:Cu,Al(P22-G),青色にZnS:Ag,Cl(P22-B)を用いればよい。
次いで,ニトロセルロースなどの膜でフィルミングした後,面板110全体にAlを,膜厚75 nm程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバック114が加速電極として働く。その後,面板110を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして,表示側基板が完成する。
このようにして製作した表示側基板と基板10とをスペーサ40を介し、周囲の枠116をフリットガラス115を用いて封着する。
図11に貼り合わせた表示パネルのA-A'断面、 B-B'断面に相当する部分を示す。面板110-基板10間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ40の高さを設定する。ここでは,説明のため、R(赤),G(緑),B(青)に発光するピクセル毎にスペーサ40を立てているが,実際は機械強度が耐える範囲で,スペーサ40の枚数(密度)を減らせばよい。
封着したパネルは,10-7Torr程度の真空に排気して,封じきる。封じ後、ゲッターを活性化し、パネル内の真空を維持する。例えば、Baを主成分とするゲッター材の場合、高周波誘導加熱等によりゲッター膜を形成できる。また、Zrを主成分とする非蒸発型ゲッターを用いてもよい。
このように本実施例では,面板110と基板10間の距離は1〜3mm程度と長いので,メタルバック114に印加する加速電圧を3〜6KVと高電圧に出来る。したがって,上述のように,蛍光体には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
図12はこのようにして製作した表示装置パネルの駆動回路への結線図である。下部電極11は下部電極駆動回路50へ結線し,上部バス電極16は上部電極駆動回路60に結線する。ここでは上部バス電極16側を走査線、下部電極11側を信号線として用いた。m番目の上部バス電極16 Cmと,n番目の下部電極11 Knの交点を(m,n)で表すことにする。メタルバック114には3〜6KV程度の加速電圧70を常時印加する。
図13は,各駆動回路の発生電圧の波形の一例を示す。時刻t0ではいずれの電極も電圧ゼロであるので電子は放出されず,したがって,蛍光体は発光しない。時刻t1において,上部バス電極16 C1にはV1なる電圧を,下部電極11 K1,K2には−V2なる電圧を印加する。交点(1,1),(1,2)の下部電極11−上部電極13間には(V1+V2)なる電圧が印加されるので,(V1+V2)を電子放出開始電圧以上に設定しておけば,この2つの交点の薄膜型電子源からは電子が真空中に放出される。放出された電子はメタルバック114に印加された加速電圧70により加速された後,蛍光体に入射し,発光させる。時刻t2において,上部バス電極16のC2にV1なる電圧を印加し,下部電極11のK1に−V2なる電圧を印加すると,同様に交点(2,1)が点灯する。このようにして,下部電極11に印加する信号を変えることにより所望の画像または情報を表示することが出来る。また,下部電極11への印加電圧−V2の大きさを適宜変えることにより,階調のある画像を表示することが出来る。絶縁層12中に蓄積される電荷を開放するための反転電圧の印加は、ここでは上部バス電極16の全てにV1を印加した後、全下部電極11にV3、全上部バス電極 16に−V3を印加することにより行った。
【0006】
【発明の効果】
以上により、上部電極を自己整合的に加工しつつ、薄膜電子源を構成する薄膜の層数を削減することができ、簡略なプロセスを用いることができるので、高歩留まりで低コストの画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜型電子源の構造を示す図である。
【図2】薄膜型電子源の動作原理を示す図である。
【図3】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図4】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図5】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図6】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図7】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図8】本発明の薄膜型電子源の製法を示す図である。
【図9】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の電子源基板を示す図である。
【図10】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の蛍光面基板を示す図である。
【図11】本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の断面を示す図である。
【図12】本発明を用いた表示装置での駆動回路への結線を示した図である。
【図13】本発明の表示装置での駆動電圧波形を示した図である。
【符号の説明】
10・・・基板、11・・・下部電極、12・・・絶縁層、13・・・上部電極、14・・・保護絶縁層、15・・・層間膜、16・・・上部バス電極、20・・・真空、25・・・レジスト膜、40・・・スペーサ、50・・・下部電極駆動回路、 60・・・上部電極駆動回路、70・・・加速電圧、110・・・面板、111・・・赤色蛍光体、112・・・緑色蛍光体、113・・・青色蛍光体、114・・・メタルバック、115・・・フリットガラス、116・・・枠。
Claims (4)
- 下部電極と上部電極、その間に挟持される電子加速層を有し、該下部電極と該上部電極間に電圧を印加することで該上部電極側より電子を放出する薄膜型電子源アレイと、蛍光面を有する画像表示装置において、該薄膜型電子源の上部電極は、該上部電極への給電線となる上部バス電極の配線外側に形成された庇構造により分離されており、該庇を支える側壁が絶縁体で形成されていることを特徴とする薄膜型電子源アレイを用いた画像表示装置。
- 下部電極と上部電極、その間に挟持される電子加速層を有し、該下部電極と該上部電極間に電圧を印加することで該上部電極側より電子を放出する薄膜型電子源アレイと、蛍光面を有する画像表示装置において、該薄膜型電子源アレイは、該上部電極への給電線となる上部バス電極と、該下部電極と該上部バス電極の間に層間膜を有しており、該層間膜は該上部バス電極の配線外側が窪んで上部バス電極の庇を支える側壁となっており、該上部電極は該庇構造で自己整合的に分離され、隣接する上部バス電極と絶縁されていることを特徴とする薄膜型電子源アレイを用いた画像表示装置。
- 上記層間膜は、上部バス電極の電子放出部側では膜厚が徐々に減少するようにテーパー状に加工されていることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 上記層間膜は、シリコン酸化物、シリコン窒化物などのシリコン化合物、又はシリコンであることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
Priority Applications (1)
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JP2006066199A (ja) * | 2004-08-26 | 2006-03-09 | Hitachi Displays Ltd | 自発光平面表示装置とその製造方法 |
JP2008147120A (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-26 | Hitachi Ltd | 発光型表示装置 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002375854A patent/JP2004207090A/ja active Pending
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