JP2004206839A - 薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる薄膜磁気ヘッドを提供すること。
【解決手段】この薄膜磁気ヘッドMHは、MR素子7と、一対の電極層15と、MR素子7と接して配置される層構造体9とを備え、MR素子7は、磁化方向が固定されるピンド層23と、ピンド層23とフリー層27との間に配置される非磁性層25と、非磁性層25との間でピンド層23を挟むように配置され、ピンド層23の磁化方向を固定する反強磁性層21とを含み、層構造体9は、フリー層27にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層33と、フリー層27とバイアス層33との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層31とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】この薄膜磁気ヘッドMHは、MR素子7と、一対の電極層15と、MR素子7と接して配置される層構造体9とを備え、MR素子7は、磁化方向が固定されるピンド層23と、ピンド層23とフリー層27との間に配置される非磁性層25と、非磁性層25との間でピンド層23を挟むように配置され、ピンド層23の磁化方向を固定する反強磁性層21とを含み、層構造体9は、フリー層27にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層33と、フリー層27とバイアス層33との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層31とを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスク等の磁気記録媒体の高密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドの性能向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magneto Resistive)素子という)を有する再生ヘッドが含まれる。再生ヘッドの特性としては、バルクハウゼンノイズが小さいことが要求される。バルクハウゼンノイズを低減するためには、MR素子を挟むように強磁性層を配置して、MR素子に対してバイアス磁界を印加してMR素子に含まれるフリー層を単磁区化することが行われている。
【0003】
フリー層を単磁区化するバイアス方式の一例としては、スピンバルブ層の反強磁性層上に更に強磁性層が形成され、その両端に磁区制御手段と電極とが形成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。またバイアス方式の他の例としては、フリー層が、その直上に形成された強磁性層及び反強磁性層によって磁区制御されているものがある(例えば、特許文献2参照。)。またバイアス方式の他の例としては、フリー層にRu層を介して強磁性層が反強磁性結合されており、その反強磁性結合によって磁区制御しているものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−213344号公報
【特許文献2】
特開2000−173020号公報
【特許文献3】
特開2001−230470号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のバイアス方式では、強磁性層とフリー層が離れているために、強磁性層からのバイアス磁界が有効にフリー層に働かない。更に、強磁性層への分流により出力低下が起きる。上記特許文献2に記載のバイアス方式では、バイアス磁界が強すぎて出力低下が起きる。更に、分流による出力低下も発生する。上記特許文献3に記載のバイアス方式では、反強磁性結合が強いためフリー層が磁化回転しにくく、出力低下が起きる。更に、分流による出力低下も発生する。
【0006】
従って本発明では、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される強磁性層と、強磁性層とフリー層との間に配置される非磁性層と、非磁性層との間で強磁性層を挟むように配置され、強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、層構造体は、フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、フリー層とバイアス層との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、フリー層とこのフリー層を磁区制御するバイアス層との間に非磁性の分離層が設けられているので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層は高抵抗であるので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることが実質的に防止される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も回避できる。
【0009】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される強磁性層と、強磁性層とフリー層との間に配置される非磁性層と、非磁性層との間で強磁性層を挟むように配置され、強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、層構造体は、フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、フリー層とバイアス層との間に配置される非磁性の分離層と、を含み、電極層とバイアス層とが接触していないことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、フリー層とこのフリー層を磁区制御するバイアス層との間に非磁性の分離層が設けられているので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また電極層とバイアス層とが接触していないので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることが抑制される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0011】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される強磁性層と、強磁性層とフリー層との間に配置される非磁性層と、非磁性層との間で強磁性層を挟むように配置され、強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、層構造体は、フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、フリー層とバイアス層との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層と、を含み、電極層とバイアス層とが接触していないことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、フリー層とこのフリー層を磁区制御するバイアス層との間に非磁性の分離層が設けられているので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層は高抵抗であって、更にバイアス層は電極層と接触していないので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることがより効果的に防止される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も回避できる。
【0013】
本発明に係る薄膜磁気ヘッド組立体は、上記薄膜磁気ヘッドと、当該薄膜磁気ヘッドが取り付けられる可撓性部材と、を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る薄膜磁気ヘッド組立体では、薄膜磁気ヘッドが上記薄膜磁気ヘッドとされるので、上述したように、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0015】
本発明に係る記憶装置は、信号を磁気的に記録する磁気記録媒体と、磁気記録媒体から漏洩する磁界の変化を電気信号に変換する上記薄膜磁気ヘッドと、を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る記憶装置では、薄膜磁気ヘッドが上記薄膜磁気ヘッドとされるので、上述したように、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0017】
そして、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、磁気抵抗効果素子を構成する反強磁性層、強磁性層、非磁性層、フリー層、及び層構造体を構成する高抵抗で非磁性の分離層、バイアス層、を順次積層して層状生産物を形成する工程と、層状生産物の上に所望パターンのレジスト層を形成する工程と、レジスト層をマスクとして層状生産物の一部を除去して磁気抵抗効果素子及び層構造体を形成する工程と、磁気抵抗効果素子を挟んで層構造体に接触しないように電極層を形成する工程と、レジスト層を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、バイアス層とフリー層との間に高抵抗で非磁性の分離層が形成される。非磁性の分離層が形成されるので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層は高抵抗であるので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることが実質的に防止される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も回避できる。
【0019】
また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法において、磁気抵抗効果素子及び層構造体を形成する工程の後に、レジスト層の磁気抵抗効果素子及び層構造体に対する投影面積を増大させる工程を更に含むことが好適である。この場合には、層構造体の平面積よりもレジスト層の投影面積を広くし、レジスト層が層構造体を覆うように形成できるので、電極層が回りこんで形成されて層構造体に接触することをより効果的に抑制できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置及び薄膜磁気ヘッドの製造方法について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、「上」及び「下」なる語は図1、4、5の上下に従う。
【0021】
図1は薄膜磁気ヘッドMHの断面構造を説明するための概略図である。薄膜磁気ヘッドMHは、再生ヘッドとしての磁気検出素子MDと、記録ヘッドとしての磁界形成素子RDとを備えている。磁気検出素子MDは、非磁性基板1、下地層2、下部磁気シールド層3、下部ギャップ層5、MR素子7、層構造体9、電極層15、上部ギャップ層17、及び上部磁気シールド層19等を備えている。
【0022】
非磁性基板1は、Al2O3・TiC等を材料としている。下地層2は、Al2O3等を材料とし、非磁性基板1上に成膜される。下地層2の厚みは0.5〜3.0μmに設定される。下部磁気シールド層3は、NiFe、センダスト、FeCo、FeCoNi等の軟磁性体を材料とし、下地層2上に成膜される。下部磁気シールド層3の厚みは0.5〜3.0μmに設定される。下部ギャップ層5は、Al2O3、AlN、SiO2等の非磁性の絶縁体を材料とし、下部磁気シールド層3上に成膜される。下部ギャップ層5の厚みは5〜50μmに設定される。
【0023】
MR素子7はGMR(Giant Magneto Resistive)素子であって、反強磁性層21、ピンド層(強磁性層)23、非磁性層25、フリー層27を含んでいる。このMR素子7は、下部ギャップ層5上に、反強磁性層21、ピンド層23、非磁性層25、フリー層27を層構造体9(詳細は後述する)と一括して薄膜で順次積層成膜、パターンニング(イオンミリング、RIE等の手法が利用可能である)することにより構成される。反強磁性層21とピンド層23の界面では交換結合が生じ、これによりピンド層23の磁化の向きが一定の方向(トラック幅方向と直交する方向)に固定される。一方、フリー層27は磁気記録媒体からの漏洩磁界、すなわち、外部磁界に応じて磁化の向きが変化する。
【0024】
反強磁性層21は、PtMn、NiO等の反強磁性体を材料とし、下部ギャップ層5上に成膜される。反強磁性層21の厚みは8〜40μmに設定される。ピンド層23は、Fe、Co、Ni、NiFe、CoFe、CoZrNb、FeCoNi等の強磁性体を材料とし、反強磁性層21上に成膜される。ピンド層23の厚みは1〜3μmに設定される。非磁性層25は、Cu、Ru、Rh、Ir、Au、Ag等の非磁性体を材料とし、ピンド層23上に成膜される。非磁性層25の厚みは1.5〜3μmに設定される。フリー層27は、Fe、Co、Ni、NiFe、CoFe、CoZrNb、FeCoNi等の強磁性体を材料とし、非磁性層25上に成膜される。フリー層27の厚みは1〜10μmに設定される。
【0025】
層構造体9は、MR素子7と接するように配置されて、フリー層27にバイアス磁界を印加するものであって、分離層31、バイアス層33を含んでいる。この層構造体9は、MR素子7上に、分離層31、バイアス層33を薄膜で順次積層製膜、パターンニング(イオンミリング、RIE等の手法が利用可能である)することにより構成される。
【0026】
バイアス層33は、硬磁性膜又は強磁性膜と反強磁性膜との積層体によって構成される。バイアス層33が硬磁性膜で構成される場合には、CoPt、CoPtCr、SmCo、NbFeB等の高保磁力を有する硬磁性体を材料として設けられる。バイアス層33が強磁性膜と反強磁性膜とが反強磁性結合した積層体によって構成される場合には、強磁性膜はNiFe、NiFeCo、CoFe等を材料として、反強磁性膜はPtMn、NiMn、IrMn、NiO等を材料として設けられる。バイアス層33が強磁性膜と反強磁性膜とで構成される場合には、CoFe/Ru/CoFe/IrMnのようなシンセティック構成であることも好ましい。バイアス層33をシンセティック構成とすれば反強磁性結合が強くなり、外部磁界に対してバイアス磁界を動かないようにすることができる。バイアス層33の厚みは1〜15μmに設定される。バイアス層33が強磁性膜と反距磁性膜とで構成される場合には、それぞれの厚みは1〜10μm、3〜20μmに設定される。
【0027】
分離層31は、TaOxといった非磁性で絶縁性の材料又は高抵抗の材料で構成される。分離層31のシート抵抗値が100Ω/□以上であれば、実質的にバイアス層への分流を抑止できる。分離層31の厚みは1〜10μmに設定される。フリー層27の磁化の向きは、バイアス層33からのバイアス磁界によりトラック幅方向と平行な方向となっており、ピンド層23の磁化の向きと直交する方向である。
【0028】
電極層15は、フリー層27の層厚方向と交わる方向に互いに離間してフリー層27と接するように配置され、フリー層27に電流(センス電流)を供給する。この電極層15は、Au、Ag等の導電性材料からなり、MR素子7を挟むように下部ギャップ層5上に成膜される。この場合、電極層15は層構造体9の分離層31に接しない高さで成膜される。一方の電極層15から供給された電子は、フリー層27を介して、他方の電極層15に伝達される。なお、電流は電子とは逆方向に流れることとなる。
【0029】
上部ギャップ層17は、Al2O3、AlN、SiO2等の非磁性絶縁材料からなり、電極層15及び層構造体9上に成膜される。上部ギャップ層17の厚みは5〜50μmに設定される。尚、本実施形態では上部ギャップ層17は層構造体9上にも成膜されているけれども、層構造体9の分離層9が絶縁性であるから層構造体9上に上部ギャップ層17が形成されなくてもフリー層27の絶縁性は確保されることとなる。従って、上部ギャップ層17が電極層15上にのみ成膜されるようにしてもよい。
【0030】
上部磁気シールド層19は、NiFe、センダスト、FeCo、FeCoNi等の軟磁性体を材料とし、上部ギャップ層17上に成膜される。上部磁気シールド層19の厚みは0.5〜3μmに設定される。各シールド層3,19は軟磁性体材料からなるため、検出対象の磁化遷移領域からの漏洩磁界以外の漏洩磁界のMR素子7内部への導入を抑制する。
【0031】
上述の「軟磁性」及び「硬磁性」なる語は保持力の大きさを示す規定であるが、全体として「軟磁性」及び「硬磁性」の機能を奏するものであれば、たとえば、微視的或いは特定領域において規定外の材料或いは構造を有するものであってもよい。たとえば、異なる磁気特性の材料を磁気的に交換結合させたものや一部分に非磁性体が含まれるものでもあっても、全体として軟磁性及び硬磁性の機能を奏するものであればよい。
【0032】
次に、薄膜磁気ヘッドMHの機能について説明する。フリー層27は、層構造体9のバイアス層33によって、トラック幅方向に単磁区化されている。フリー層27の磁化の向きは、磁化遷移領域からの漏洩磁界によって、すなわち磁化遷移領域がN極であるかS極であるかによって、変化する。ピンド層23の磁化の向きは反強磁性層21によって固定されているので、フリー層27とピンド層23の磁化方向間の余弦に対応する抵抗変化により、一対の電極層15間における電子の伝達率(電流)が変化することとなる。この電流の変化を検出することで、磁気記録媒体の検出対象の磁化遷移領域からの漏洩磁界が検出される。なお、供給電流(センス電流)を一定としつつ電圧を検出することで磁界検出を行なうこともでき、一般にはこのような形式の検出が用いられる。
【0033】
なお、データの磁気記録についても若干の説明をしておく。薄膜磁気ヘッドMHの磁気検出素子MD上には磁気データを書き込むための磁界形成素子RDが機械的に結合している。磁気記録媒体の磁化遷移領域への書き込みは、磁界形成素子RDからの漏洩磁界によって行われる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、分離層31が非磁性となるので、バイアス層33からフリー層27へ印加されるバイアス磁界は強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合によってではなく磁化が回り込むことによって与えられる。また分離層31が絶縁性となるので、電極15からのセンス電流がバイアス層33へ分流することを防止できる。これにより、フリー層27の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0035】
次に、上述の薄膜磁気ヘッドMHを用いた薄膜磁気ヘッド組立体HGAについて説明する。図2は、薄膜磁気ヘッド組立体HGA主要部の側面図である。薄膜磁気ヘッド組立体HGAは、薄膜磁気ヘッドとして上記実施形態の薄膜磁気ヘッドMHを備えている。
【0036】
この薄膜磁気ヘッド組立体HGAは、薄膜磁気ヘッドMHに加えて可撓性部材51を備えている。可撓性部材51は、その長手方向と厚み方向を含む平面内において撓むことができる。薄膜磁気ヘッドMHは、MR素子7における各層21,23,25,27の積層方向と上記長手方向が略一致するように可撓性部材51に取り付けられる。薄膜磁気ヘッドMHは、非磁性基板1をスライダとする機能素子であって、スライダ1はMR素子7における各層21,23,25,27の積層方向に沿って延びる凹溝53を有している。この凹溝53は薄膜磁気ヘッドMH浮上時の空力特性を規定する。
【0037】
薄膜磁気ヘッドMH1が取り付けられた可撓性部材51は、薄膜磁気ヘッドMH1の受ける力によって厚み方向に撓むこととなる。MR素子7における各層21,23,25,27の積層方向(可撓性部材51の長手方向)は記録媒体の磁化遷移領域が連続してなるトラック周方向に略一致する。
【0038】
次に、上述の薄膜磁気ヘッドMH(薄膜磁気ヘッド組立体HGA)を用いた記憶装置HDについて説明する。
【0039】
図3は記憶装置HDの平面図である。この記憶装置HDは筐体61を備えている。筐体61内部には薄膜磁気ヘッドMH1を有する薄膜磁気ヘッド組立体HGAに加えて磁気記録媒体RMが配置される。なお、薄膜磁気ヘッド組立体HGAは、可撓性部材51の長手方向の一端部が固定されるアーム63を有するヘッド・ジンバル・アセンブリである。アーム63が中央部近傍に設けられた回転軸65を中心として回転すると、薄膜磁気ヘッドMHが磁気記録媒体RMの径方向に沿って移動する。また、磁気記録媒体RMは円盤状であって、その周方向に沿って磁化遷移領域が連続してなるトラックを有し、円盤の中心に設けられた回転軸67を中心として回転すると磁化遷移領域は薄膜磁気ヘッドMHに対して相対的に移動する。
【0040】
薄膜磁気ヘッドMH(MR素子7)は、MR素子7における各層21,23,25,27の積層方向に平行な面が磁気記録媒体RMに対向するように配置されており、磁気記録媒体RMの磁化遷移領域からの漏洩磁界を検出することができる。このMR素子7における各層21,23,25,27の積層方向に平行な面がエアベアリング面ABSとなる。なお、磁気記録媒体RMへの記録方式としては長手磁気記録方式や垂直磁気記録方式等を用いることができる。
【0041】
以上説明したように、上記の薄膜磁気ヘッド組立体HGA及び記憶装置HDでは、薄膜磁気ヘッドが本実施形態の薄膜磁気ヘッドMHとされるので、フリー層27の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0042】
次に、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)を参照して、薄膜磁気ヘッド、特に、薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法について説明する。図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)は、薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法を説明するための一連の説明図である。
【0043】
まず、図4(a)に示されるように、各層21,23,25,27,31,33を規定の厚みになるまで順次積層して、層状生産物70を形成する。各層21,23,25,27,31,33の形成方法としては、スパッタリング法を用いることができる。
【0044】
続いて、図4(b)に示されるように、上記工程によって形成された層状生産物70上に、所望パターンのレジスト層71を形成する。レジスト層71は、上レジスト層72と下レジスト層73とから構成される。レジスト層71の形成は、フォトリソグラフィ法を用いることができる。
【0045】
次に、図4(c)に示されるように、上記工程によって形成されたレジスト層71をマスクとして、層状生産物70の一部を除去し、MR素子7及び層構造体9を形成する。層状生産物79の一部を除去する方法としては、ミリングといったドライエッチング法を用いることができる。
【0046】
そして、図5(a)に示されるように、レジスト層71の周囲に皮膜74を形成し、MR素子7及び層構造体9に対する投影面積を増大させる。皮膜74を形成する方法の一例としては次の方法が採用される。レジスト層71の回りに架橋剤を添加した水溶性樹脂を、スピンコート法などを用いて塗布する。水溶性樹脂は熱処理によって上レジスト層72から拡散してきた酸を触媒として、上レジスト層72の表面で架橋し皮膜74を形成する。
【0047】
次に、図5(b)に示されるように、皮膜74が形成されたレジスト層をマスクとして、電極層15を形成する。電極層15はMR素子7に対応する高さまで積層されており、層構造体9とは接しないように形成されている。次に、図5(c)に示されるように、レジスト層71を除去(リフトオフ)する。これにより、MR素子7、層構造体9及び電極層15を形成することができる。
【0048】
以上のように、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)に示された製造方法によれば、バイアス層33とフリー層27との間に高抵抗で非磁性の分離層31が形成される。非磁性の分離層31が形成されるので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層33からフリー層27へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層31は高抵抗であるので、フリー層27に流れる電流が分流してバイアス層33に流れることが実質的に防止される。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、各層の構造は単一の材料からなる必要はなく、全体として規定の機能を奏するものであれば、複数の材料からなることとしてもよく、たとえば、合金として、混在して或いは層構造の組み合わせとしてもよい。また、これらの層間に他の層が介在することとしてもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、薄膜磁気ヘッドMHが再生ヘッドとしての磁気検出素子MDと、記録ヘッドとしての磁界形成素子RDとを備えているが、磁気検出素子MDのみを備えるものであってもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる薄膜磁気ヘッド、当該薄膜磁気ヘッドを備える薄膜磁気ヘッド組立体及び記憶装置、並びに薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構造を説明するための概略図である。
【図2】薄膜磁気ヘッド組立体主要部の側面図である。
【図3】図2に示す薄膜磁気ヘッド組立体を用いた記憶装置の平面図である。
【図4】薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2…下地層、3…下部磁気シールド層、5…下部ギャップ層、7…磁気抵抗効果素子(MR素子)、9…層構造体、15…電極層、17…上部ギャップ層、19…上部磁気シールド層、21…反強磁性層、23…ピンド層、25…非磁性層、27…フリー層、31…分離層、33…バイアス層、MD…磁気検出素子、MH…薄膜磁気ヘッド。
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスク等の磁気記録媒体の高密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドの性能向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magneto Resistive)素子という)を有する再生ヘッドが含まれる。再生ヘッドの特性としては、バルクハウゼンノイズが小さいことが要求される。バルクハウゼンノイズを低減するためには、MR素子を挟むように強磁性層を配置して、MR素子に対してバイアス磁界を印加してMR素子に含まれるフリー層を単磁区化することが行われている。
【0003】
フリー層を単磁区化するバイアス方式の一例としては、スピンバルブ層の反強磁性層上に更に強磁性層が形成され、その両端に磁区制御手段と電極とが形成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。またバイアス方式の他の例としては、フリー層が、その直上に形成された強磁性層及び反強磁性層によって磁区制御されているものがある(例えば、特許文献2参照。)。またバイアス方式の他の例としては、フリー層にRu層を介して強磁性層が反強磁性結合されており、その反強磁性結合によって磁区制御しているものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−213344号公報
【特許文献2】
特開2000−173020号公報
【特許文献3】
特開2001−230470号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のバイアス方式では、強磁性層とフリー層が離れているために、強磁性層からのバイアス磁界が有効にフリー層に働かない。更に、強磁性層への分流により出力低下が起きる。上記特許文献2に記載のバイアス方式では、バイアス磁界が強すぎて出力低下が起きる。更に、分流による出力低下も発生する。上記特許文献3に記載のバイアス方式では、反強磁性結合が強いためフリー層が磁化回転しにくく、出力低下が起きる。更に、分流による出力低下も発生する。
【0006】
従って本発明では、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される強磁性層と、強磁性層とフリー層との間に配置される非磁性層と、非磁性層との間で強磁性層を挟むように配置され、強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、層構造体は、フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、フリー層とバイアス層との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、フリー層とこのフリー層を磁区制御するバイアス層との間に非磁性の分離層が設けられているので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層は高抵抗であるので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることが実質的に防止される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も回避できる。
【0009】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される強磁性層と、強磁性層とフリー層との間に配置される非磁性層と、非磁性層との間で強磁性層を挟むように配置され、強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、層構造体は、フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、フリー層とバイアス層との間に配置される非磁性の分離層と、を含み、電極層とバイアス層とが接触していないことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、フリー層とこのフリー層を磁区制御するバイアス層との間に非磁性の分離層が設けられているので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また電極層とバイアス層とが接触していないので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることが抑制される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0011】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定される強磁性層と、強磁性層とフリー層との間に配置される非磁性層と、非磁性層との間で強磁性層を挟むように配置され、強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、層構造体は、フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、フリー層とバイアス層との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層と、を含み、電極層とバイアス層とが接触していないことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、フリー層とこのフリー層を磁区制御するバイアス層との間に非磁性の分離層が設けられているので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層は高抵抗であって、更にバイアス層は電極層と接触していないので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることがより効果的に防止される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も回避できる。
【0013】
本発明に係る薄膜磁気ヘッド組立体は、上記薄膜磁気ヘッドと、当該薄膜磁気ヘッドが取り付けられる可撓性部材と、を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る薄膜磁気ヘッド組立体では、薄膜磁気ヘッドが上記薄膜磁気ヘッドとされるので、上述したように、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0015】
本発明に係る記憶装置は、信号を磁気的に記録する磁気記録媒体と、磁気記録媒体から漏洩する磁界の変化を電気信号に変換する上記薄膜磁気ヘッドと、を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る記憶装置では、薄膜磁気ヘッドが上記薄膜磁気ヘッドとされるので、上述したように、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0017】
そして、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、電流が流れる方向に沿って磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、磁気抵抗効果素子を構成する反強磁性層、強磁性層、非磁性層、フリー層、及び層構造体を構成する高抵抗で非磁性の分離層、バイアス層、を順次積層して層状生産物を形成する工程と、層状生産物の上に所望パターンのレジスト層を形成する工程と、レジスト層をマスクとして層状生産物の一部を除去して磁気抵抗効果素子及び層構造体を形成する工程と、磁気抵抗効果素子を挟んで層構造体に接触しないように電極層を形成する工程と、レジスト層を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、バイアス層とフリー層との間に高抵抗で非磁性の分離層が形成される。非磁性の分離層が形成されるので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層からフリー層へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層は高抵抗であるので、フリー層に流れる電流が分流してバイアス層に流れることが実質的に防止される。これにより、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も回避できる。
【0019】
また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法において、磁気抵抗効果素子及び層構造体を形成する工程の後に、レジスト層の磁気抵抗効果素子及び層構造体に対する投影面積を増大させる工程を更に含むことが好適である。この場合には、層構造体の平面積よりもレジスト層の投影面積を広くし、レジスト層が層構造体を覆うように形成できるので、電極層が回りこんで形成されて層構造体に接触することをより効果的に抑制できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る薄膜磁気ヘッド、薄膜磁気ヘッド組立体、記憶装置及び薄膜磁気ヘッドの製造方法について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、「上」及び「下」なる語は図1、4、5の上下に従う。
【0021】
図1は薄膜磁気ヘッドMHの断面構造を説明するための概略図である。薄膜磁気ヘッドMHは、再生ヘッドとしての磁気検出素子MDと、記録ヘッドとしての磁界形成素子RDとを備えている。磁気検出素子MDは、非磁性基板1、下地層2、下部磁気シールド層3、下部ギャップ層5、MR素子7、層構造体9、電極層15、上部ギャップ層17、及び上部磁気シールド層19等を備えている。
【0022】
非磁性基板1は、Al2O3・TiC等を材料としている。下地層2は、Al2O3等を材料とし、非磁性基板1上に成膜される。下地層2の厚みは0.5〜3.0μmに設定される。下部磁気シールド層3は、NiFe、センダスト、FeCo、FeCoNi等の軟磁性体を材料とし、下地層2上に成膜される。下部磁気シールド層3の厚みは0.5〜3.0μmに設定される。下部ギャップ層5は、Al2O3、AlN、SiO2等の非磁性の絶縁体を材料とし、下部磁気シールド層3上に成膜される。下部ギャップ層5の厚みは5〜50μmに設定される。
【0023】
MR素子7はGMR(Giant Magneto Resistive)素子であって、反強磁性層21、ピンド層(強磁性層)23、非磁性層25、フリー層27を含んでいる。このMR素子7は、下部ギャップ層5上に、反強磁性層21、ピンド層23、非磁性層25、フリー層27を層構造体9(詳細は後述する)と一括して薄膜で順次積層成膜、パターンニング(イオンミリング、RIE等の手法が利用可能である)することにより構成される。反強磁性層21とピンド層23の界面では交換結合が生じ、これによりピンド層23の磁化の向きが一定の方向(トラック幅方向と直交する方向)に固定される。一方、フリー層27は磁気記録媒体からの漏洩磁界、すなわち、外部磁界に応じて磁化の向きが変化する。
【0024】
反強磁性層21は、PtMn、NiO等の反強磁性体を材料とし、下部ギャップ層5上に成膜される。反強磁性層21の厚みは8〜40μmに設定される。ピンド層23は、Fe、Co、Ni、NiFe、CoFe、CoZrNb、FeCoNi等の強磁性体を材料とし、反強磁性層21上に成膜される。ピンド層23の厚みは1〜3μmに設定される。非磁性層25は、Cu、Ru、Rh、Ir、Au、Ag等の非磁性体を材料とし、ピンド層23上に成膜される。非磁性層25の厚みは1.5〜3μmに設定される。フリー層27は、Fe、Co、Ni、NiFe、CoFe、CoZrNb、FeCoNi等の強磁性体を材料とし、非磁性層25上に成膜される。フリー層27の厚みは1〜10μmに設定される。
【0025】
層構造体9は、MR素子7と接するように配置されて、フリー層27にバイアス磁界を印加するものであって、分離層31、バイアス層33を含んでいる。この層構造体9は、MR素子7上に、分離層31、バイアス層33を薄膜で順次積層製膜、パターンニング(イオンミリング、RIE等の手法が利用可能である)することにより構成される。
【0026】
バイアス層33は、硬磁性膜又は強磁性膜と反強磁性膜との積層体によって構成される。バイアス層33が硬磁性膜で構成される場合には、CoPt、CoPtCr、SmCo、NbFeB等の高保磁力を有する硬磁性体を材料として設けられる。バイアス層33が強磁性膜と反強磁性膜とが反強磁性結合した積層体によって構成される場合には、強磁性膜はNiFe、NiFeCo、CoFe等を材料として、反強磁性膜はPtMn、NiMn、IrMn、NiO等を材料として設けられる。バイアス層33が強磁性膜と反強磁性膜とで構成される場合には、CoFe/Ru/CoFe/IrMnのようなシンセティック構成であることも好ましい。バイアス層33をシンセティック構成とすれば反強磁性結合が強くなり、外部磁界に対してバイアス磁界を動かないようにすることができる。バイアス層33の厚みは1〜15μmに設定される。バイアス層33が強磁性膜と反距磁性膜とで構成される場合には、それぞれの厚みは1〜10μm、3〜20μmに設定される。
【0027】
分離層31は、TaOxといった非磁性で絶縁性の材料又は高抵抗の材料で構成される。分離層31のシート抵抗値が100Ω/□以上であれば、実質的にバイアス層への分流を抑止できる。分離層31の厚みは1〜10μmに設定される。フリー層27の磁化の向きは、バイアス層33からのバイアス磁界によりトラック幅方向と平行な方向となっており、ピンド層23の磁化の向きと直交する方向である。
【0028】
電極層15は、フリー層27の層厚方向と交わる方向に互いに離間してフリー層27と接するように配置され、フリー層27に電流(センス電流)を供給する。この電極層15は、Au、Ag等の導電性材料からなり、MR素子7を挟むように下部ギャップ層5上に成膜される。この場合、電極層15は層構造体9の分離層31に接しない高さで成膜される。一方の電極層15から供給された電子は、フリー層27を介して、他方の電極層15に伝達される。なお、電流は電子とは逆方向に流れることとなる。
【0029】
上部ギャップ層17は、Al2O3、AlN、SiO2等の非磁性絶縁材料からなり、電極層15及び層構造体9上に成膜される。上部ギャップ層17の厚みは5〜50μmに設定される。尚、本実施形態では上部ギャップ層17は層構造体9上にも成膜されているけれども、層構造体9の分離層9が絶縁性であるから層構造体9上に上部ギャップ層17が形成されなくてもフリー層27の絶縁性は確保されることとなる。従って、上部ギャップ層17が電極層15上にのみ成膜されるようにしてもよい。
【0030】
上部磁気シールド層19は、NiFe、センダスト、FeCo、FeCoNi等の軟磁性体を材料とし、上部ギャップ層17上に成膜される。上部磁気シールド層19の厚みは0.5〜3μmに設定される。各シールド層3,19は軟磁性体材料からなるため、検出対象の磁化遷移領域からの漏洩磁界以外の漏洩磁界のMR素子7内部への導入を抑制する。
【0031】
上述の「軟磁性」及び「硬磁性」なる語は保持力の大きさを示す規定であるが、全体として「軟磁性」及び「硬磁性」の機能を奏するものであれば、たとえば、微視的或いは特定領域において規定外の材料或いは構造を有するものであってもよい。たとえば、異なる磁気特性の材料を磁気的に交換結合させたものや一部分に非磁性体が含まれるものでもあっても、全体として軟磁性及び硬磁性の機能を奏するものであればよい。
【0032】
次に、薄膜磁気ヘッドMHの機能について説明する。フリー層27は、層構造体9のバイアス層33によって、トラック幅方向に単磁区化されている。フリー層27の磁化の向きは、磁化遷移領域からの漏洩磁界によって、すなわち磁化遷移領域がN極であるかS極であるかによって、変化する。ピンド層23の磁化の向きは反強磁性層21によって固定されているので、フリー層27とピンド層23の磁化方向間の余弦に対応する抵抗変化により、一対の電極層15間における電子の伝達率(電流)が変化することとなる。この電流の変化を検出することで、磁気記録媒体の検出対象の磁化遷移領域からの漏洩磁界が検出される。なお、供給電流(センス電流)を一定としつつ電圧を検出することで磁界検出を行なうこともでき、一般にはこのような形式の検出が用いられる。
【0033】
なお、データの磁気記録についても若干の説明をしておく。薄膜磁気ヘッドMHの磁気検出素子MD上には磁気データを書き込むための磁界形成素子RDが機械的に結合している。磁気記録媒体の磁化遷移領域への書き込みは、磁界形成素子RDからの漏洩磁界によって行われる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、分離層31が非磁性となるので、バイアス層33からフリー層27へ印加されるバイアス磁界は強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合によってではなく磁化が回り込むことによって与えられる。また分離層31が絶縁性となるので、電極15からのセンス電流がバイアス層33へ分流することを防止できる。これにより、フリー層27の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0035】
次に、上述の薄膜磁気ヘッドMHを用いた薄膜磁気ヘッド組立体HGAについて説明する。図2は、薄膜磁気ヘッド組立体HGA主要部の側面図である。薄膜磁気ヘッド組立体HGAは、薄膜磁気ヘッドとして上記実施形態の薄膜磁気ヘッドMHを備えている。
【0036】
この薄膜磁気ヘッド組立体HGAは、薄膜磁気ヘッドMHに加えて可撓性部材51を備えている。可撓性部材51は、その長手方向と厚み方向を含む平面内において撓むことができる。薄膜磁気ヘッドMHは、MR素子7における各層21,23,25,27の積層方向と上記長手方向が略一致するように可撓性部材51に取り付けられる。薄膜磁気ヘッドMHは、非磁性基板1をスライダとする機能素子であって、スライダ1はMR素子7における各層21,23,25,27の積層方向に沿って延びる凹溝53を有している。この凹溝53は薄膜磁気ヘッドMH浮上時の空力特性を規定する。
【0037】
薄膜磁気ヘッドMH1が取り付けられた可撓性部材51は、薄膜磁気ヘッドMH1の受ける力によって厚み方向に撓むこととなる。MR素子7における各層21,23,25,27の積層方向(可撓性部材51の長手方向)は記録媒体の磁化遷移領域が連続してなるトラック周方向に略一致する。
【0038】
次に、上述の薄膜磁気ヘッドMH(薄膜磁気ヘッド組立体HGA)を用いた記憶装置HDについて説明する。
【0039】
図3は記憶装置HDの平面図である。この記憶装置HDは筐体61を備えている。筐体61内部には薄膜磁気ヘッドMH1を有する薄膜磁気ヘッド組立体HGAに加えて磁気記録媒体RMが配置される。なお、薄膜磁気ヘッド組立体HGAは、可撓性部材51の長手方向の一端部が固定されるアーム63を有するヘッド・ジンバル・アセンブリである。アーム63が中央部近傍に設けられた回転軸65を中心として回転すると、薄膜磁気ヘッドMHが磁気記録媒体RMの径方向に沿って移動する。また、磁気記録媒体RMは円盤状であって、その周方向に沿って磁化遷移領域が連続してなるトラックを有し、円盤の中心に設けられた回転軸67を中心として回転すると磁化遷移領域は薄膜磁気ヘッドMHに対して相対的に移動する。
【0040】
薄膜磁気ヘッドMH(MR素子7)は、MR素子7における各層21,23,25,27の積層方向に平行な面が磁気記録媒体RMに対向するように配置されており、磁気記録媒体RMの磁化遷移領域からの漏洩磁界を検出することができる。このMR素子7における各層21,23,25,27の積層方向に平行な面がエアベアリング面ABSとなる。なお、磁気記録媒体RMへの記録方式としては長手磁気記録方式や垂直磁気記録方式等を用いることができる。
【0041】
以上説明したように、上記の薄膜磁気ヘッド組立体HGA及び記憶装置HDでは、薄膜磁気ヘッドが本実施形態の薄膜磁気ヘッドMHとされるので、フリー層27の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる。
【0042】
次に、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)を参照して、薄膜磁気ヘッド、特に、薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法について説明する。図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)は、薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法を説明するための一連の説明図である。
【0043】
まず、図4(a)に示されるように、各層21,23,25,27,31,33を規定の厚みになるまで順次積層して、層状生産物70を形成する。各層21,23,25,27,31,33の形成方法としては、スパッタリング法を用いることができる。
【0044】
続いて、図4(b)に示されるように、上記工程によって形成された層状生産物70上に、所望パターンのレジスト層71を形成する。レジスト層71は、上レジスト層72と下レジスト層73とから構成される。レジスト層71の形成は、フォトリソグラフィ法を用いることができる。
【0045】
次に、図4(c)に示されるように、上記工程によって形成されたレジスト層71をマスクとして、層状生産物70の一部を除去し、MR素子7及び層構造体9を形成する。層状生産物79の一部を除去する方法としては、ミリングといったドライエッチング法を用いることができる。
【0046】
そして、図5(a)に示されるように、レジスト層71の周囲に皮膜74を形成し、MR素子7及び層構造体9に対する投影面積を増大させる。皮膜74を形成する方法の一例としては次の方法が採用される。レジスト層71の回りに架橋剤を添加した水溶性樹脂を、スピンコート法などを用いて塗布する。水溶性樹脂は熱処理によって上レジスト層72から拡散してきた酸を触媒として、上レジスト層72の表面で架橋し皮膜74を形成する。
【0047】
次に、図5(b)に示されるように、皮膜74が形成されたレジスト層をマスクとして、電極層15を形成する。電極層15はMR素子7に対応する高さまで積層されており、層構造体9とは接しないように形成されている。次に、図5(c)に示されるように、レジスト層71を除去(リフトオフ)する。これにより、MR素子7、層構造体9及び電極層15を形成することができる。
【0048】
以上のように、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)に示された製造方法によれば、バイアス層33とフリー層27との間に高抵抗で非磁性の分離層31が形成される。非磁性の分離層31が形成されるので、強磁性結合や反強磁性結合といった磁性的な結合ではなくバイアス層33からフリー層27へ磁化が回り込むことによってバイアス磁界が印加される。また分離層31は高抵抗であるので、フリー層27に流れる電流が分流してバイアス層33に流れることが実質的に防止される。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、各層の構造は単一の材料からなる必要はなく、全体として規定の機能を奏するものであれば、複数の材料からなることとしてもよく、たとえば、合金として、混在して或いは層構造の組み合わせとしてもよい。また、これらの層間に他の層が介在することとしてもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、薄膜磁気ヘッドMHが再生ヘッドとしての磁気検出素子MDと、記録ヘッドとしての磁界形成素子RDとを備えているが、磁気検出素子MDのみを備えるものであってもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、フリー層の磁化回転を良好に実現しつつバイアス磁界を有効に働かせ、更に分流も抑制できる薄膜磁気ヘッド、当該薄膜磁気ヘッドを備える薄膜磁気ヘッド組立体及び記憶装置、並びに薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構造を説明するための概略図である。
【図2】薄膜磁気ヘッド組立体主要部の側面図である。
【図3】図2に示す薄膜磁気ヘッド組立体を用いた記憶装置の平面図である。
【図4】薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】薄膜磁気ヘッドに含まれるMR素子、層構造体及び電極層の製造方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2…下地層、3…下部磁気シールド層、5…下部ギャップ層、7…磁気抵抗効果素子(MR素子)、9…層構造体、15…電極層、17…上部ギャップ層、19…上部磁気シールド層、21…反強磁性層、23…ピンド層、25…非磁性層、27…フリー層、31…分離層、33…バイアス層、MD…磁気検出素子、MH…薄膜磁気ヘッド。
Claims (7)
- 外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、前記フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて前記磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、前記電流が流れる方向に沿って前記磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
前記磁気抵抗効果素子は、
磁化方向が固定される強磁性層と、
前記強磁性層と前記フリー層との間に配置される非磁性層と、
前記非磁性層との間で前記強磁性層を挟むように配置され、前記強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、
前記層構造体は、
前記フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、
前記フリー層と前記バイアス層との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層と、
を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、前記フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて前記磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、前記電流が流れる方向に沿って前記磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
前記磁気抵抗効果素子は、
磁化方向が固定される強磁性層と、
前記強磁性層と前記フリー層との間に配置される非磁性層と、
前記非磁性層との間で前記強磁性層を挟むように配置され、前記強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、
前記層構造体は、
前記フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、
前記フリー層と前記バイアス層との間に配置される非磁性の分離層と、を含み、
前記電極層と前記バイアス層とが接触していないことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、前記フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて前記磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、前記電流が流れる方向に沿って前記磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
前記磁気抵抗効果素子は、
磁化方向が固定される強磁性層と、
前記強磁性層と前記フリー層との間に配置される非磁性層と、
前記非磁性層との間で前記強磁性層を挟むように配置され、前記強磁性層の磁化方向を固定する反強磁性層と、を含み、
前記層構造体は、
前記フリー層にバイアス磁界を印加して磁区制御するためのバイアス層と、
前記フリー層と前記バイアス層との間に配置される高抵抗であって非磁性の分離層と、を含み、
前記電極層と前記バイアス層とが接触していないことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜磁気ヘッドと、当該薄膜磁気ヘッドが取り付けられる可撓性部材と、を備えることを特徴とする薄膜磁気ヘッド組立体。
- 信号を磁気的に記録する磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体から漏洩する磁界の変化を電気信号に変換する請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする記憶装置。
- 外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層を含む磁気抵抗効果素子と、前記フリー層の層厚方向と交わる方向に互いに離間して配置されて前記磁気抵抗効果素子に電流を供給するための一対の電極層と、前記電流が流れる方向に沿って前記磁気抵抗効果素子と接して配置される層構造体と、を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
前記磁気抵抗効果素子を構成する反強磁性層、強磁性層、非磁性層、前記フリー層、及び前記層構造体を構成する高抵抗で非磁性の分離層、バイアス層、を順次積層して層状生産物を形成する工程と、
前記層状生産物の上に所望パターンのレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をマスクとして前記層状生産物の一部を除去して前記磁気抵抗効果素子及び前記層構造体を形成する工程と、
前記磁気抵抗効果素子を挟んで前記層構造体に接触しないように前記電極層を形成する工程と、
前記レジスト層を除去する工程と、を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁気抵抗効果素子及び前記層構造体を形成する工程の後に、前記レジスト層の前記磁気抵抗効果素子及び前記層構造体に対する投影面積を増大させる工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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-
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- 2002-12-26 JP JP2002377637A patent/JP2004206839A/ja active Pending
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