JP2004206786A - 信号送出装置およびマスタリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コピープロテクションの秘密情報を開示することなく、コピープロテクションがされた信号と他の信号とを別々に送出し、二つの信号を光ディスクの二つのセッションにそれぞれ記録する。
【解決手段】マスターリーダ1からのマスター信号がコピープロテクションCDエンコーダ2に入力され、CDエンコーダ2によって、CIRCの処理と、EFM変調と、コピープロテクションの処理とがなされ、コピープロテクションがかかったCDフォーマット信号が第1セッションに記録される。マスタリーダ5は、CD−ROMデータとPIDの元の信号とをCDエンコーダ6に対して出力する。CDエンコーダ6は、CIRCの処理と、EFM変調とを行い、CDエンコーダ6の出力信号が第2セッションに記録される。スイッチ部3が二つの信号を切り替える。反射膜被覆後に元になる信号を加工することでPIDが追加記録される
【選択図】 図5
【解決手段】マスターリーダ1からのマスター信号がコピープロテクションCDエンコーダ2に入力され、CDエンコーダ2によって、CIRCの処理と、EFM変調と、コピープロテクションの処理とがなされ、コピープロテクションがかかったCDフォーマット信号が第1セッションに記録される。マスタリーダ5は、CD−ROMデータとPIDの元の信号とをCDエンコーダ6に対して出力する。CDエンコーダ6は、CIRCの処理と、EFM変調とを行い、CDエンコーダ6の出力信号が第2セッションに記録される。スイッチ部3が二つの信号を切り替える。反射膜被覆後に元になる信号を加工することでPIDが追加記録される
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば読み出し専用(ROM)タイプの光ディスクのマスタリング装置に対して適用される信号送出装置およびマスタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク例えばCD(Compact Disc)を作成する場合には、従来では、3/4インチの業務用VTRとPCMデータをVTRによってテープに記録し、また、テープか再生できる形式に変換するPCMプロセッサとが使用されている。すなわち、マスターテープをVTRによって再生し、PCMプロセッサによってPCMオーディオデータへ変換し、CD用信号発生器(CDエンコーダと適宜称する)にPCMオーディオデータを供給し、CDエンコーダからサブコードを含むCDフォーマットの信号を発生している。最近では、テープの代わりに、CD−R(Recordable)が使用されることが多くなりつつある。
【0003】
図6は、従来のCDまたはCD−ROMを作成するシステムの一例を概略的に示す。参照符号11がマスタテープまたはCD−Rのデータを再生するマスターリーダを示す。マスターリーダ11からのマスター信号がCDエンコーダ12に入力される。CDエンコーダ12は、CIRC(Cross Interleaved Reed Solomon Code) と称されるエラー訂正符号化の処理と、サブコードの発生と、EFM変調(eight to fourteen modulation)の処理とを行い、フレームシンク、サブコードを含むCDフォーマット信号を出力する。
【0004】
CDフォーマット信号がカッティングシステム13に対して入力される。カッティングシステム13では、感光記録剤としてのフォトレジストが塗布されたガラス原盤がターンテーブル上に置かれ、ターンテーブルが回転され、ガスレーザからのレーザビームが光変調器に入力され、光変調器において、CDフォーマット信号によってレーザビームの強度が変調される。強度が変調されたレーザビームによってフォトレジストが露光される。さらに、図示を省略するが、フォトレジストの現像処理等によって、メタルマスターが作成され、さらに、スタンパが作成される。そして、スタンパを使用して射出成形法によってディスク基板が製造される。ディスク基板に対して反射膜が被覆され、さらに、保護膜が被覆されることによってCD、CD−ROMが生産される。
【0005】
参照符号14は、カッティングシステム13を制御するコントローラを示す。コントローラ14は、カッティングシステム13のみならず、マスターリーダ11を制御し、マスターの読み出しとカッティング動作とが同期するように制御される。すなわち、カッティングシステム13において、ガラス原盤が載せられたターンテーブルが適正な回転速度となり、レーザの照射位置が適正な箇所に移動し、マスターリーダ11の準備が整った時に、カッティングシステム13がコントローラ14に対してスタート信号を出力する。コントローラ14がマスターリーダ11に対して読み出し開始を指示する。その後、コントローラ14の制御によって、マスターリーダ11とカッティングシステム13とが調相される。
【0006】
図7は、CDまたはCD−ROMを作成するシステムの他の例を概略的に示す。マスターリーダ21がマスターのテープまたはCD−R等の光ディスクを再生する。マスターリーダ21からのマスター信号がコピープロテクションCDエンコーダ22に供給される。コピープロテクションCDエンコーダ22は、基本的には、CDフォーマット信号であるが、特殊な信号処理を受けており、何ら処理しない場合には、コピー例えばパーソナルコンピュータへのコピーが不可能な信号を発生する。コピープロテクションCDエンコーダ22は、通常、コピープロテクション方法が破られるのを防止するために、その構成が秘密とされているのが普通である。
【0007】
コピープロテクションがなされたディジタル信号がカッティングシステム23に対して入力される。カッティングシステム23において、ガラス原盤上のフォトレジストが露光される。さらに、スタンパが作成され、スタンパを使用した射出成形法によってディスク基板が製造され、反射膜および保護膜が被覆されることによってCD、CD−ROMが生産される。上述したように、カッティングシステム23のカッティング動作と、マスターリーダ21の読み出し動作とが同期するように、コントローラ24によって両者が制御される。
【0008】
さらに、読み出し専用の光ディスクでありながら、ディスク1枚毎に個別情報を追加記録することが下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1では、追加記録領域が設定され、反射膜が被着された後に、追加記録領域内の所定位置の反射膜に高パワーのレーザビームを照射することによって、反射率を変化させている。それによって、レーザビームが照射された反射膜の箇所が例えばピットが形成されているのと同様の反射率を持つようにされる。それによってディスク毎に異なるシリアル番号等の個別情報を記録することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−135021号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、1枚のディスクにオーディオ用CDの領域とCD−ROMの領域とを持つCD−EXTRAの場合でも、図6に示すシステムのように、二つの領域の信号を1つのマスターに予め記録していた。CD−EXTRAの形式で、二つの領域の一方には、コピープロテクションがなされた音楽データを記録し、他方には、CD−ROMデータおよび個別情報を記録することが考えられる。この場合では、上述した個別情報を追加記録する場合には、追加記録領域が個別情報の元のデータとなっている必要があった。従って、図7に示すようなコピープロテクションCDエンコーダ22が設けられているシステムの場合では、通常のCDエンコーダ12(図6参照)を通った後に、追加記録領域が個別情報の元のデータとなるように設定することが困難であった。コピープロテクションCDエンコーダ22の内部構成を変更することも考えられるが、コピープロテクションCDエンコーダ22は、秘匿性を有するのが普通であり、その内部構成に手を加えることが困難であった。
【0011】
さらに、CDフォーマットで採用されているEFM変調は、Tmin(最小反転間隔)=3で、Tmax(最大反転間隔)=11のランレングスリミット符号であり、また、DSV(Digital Sum Variation)が収束するように、14ビット同士の間に配される3ビットのマージビットが選択される。
【0012】
ある特定のデータ系列は、通常のEFM変調を行うと、再生時にエラーが生じる可能性が高くなるほど、DSVが発散する。一方、通常のEFM変調と異なり、ランレングスリミットの条件を(Tmin=2、Tmax=12)と緩やかにした変調方法で特定のデータ系列を変調すると、DSVが発散しない。このことを利用してコピープロテクションを行うことを本出願人が先に提案している。すなわち、マスタリングの時には、ランレングスリミットの条件を緩やかにした特殊な変調を行うことによって正常に再生できる光ディスクを作成する。この光ディスクをコピーしようとして通常のEFM変調を行ってCD−Rに記録した時には、DSVが発散して正常にCD−Rを再生できないようになる。かかるコピープロテクションを実施する場合には、通常のEFM変調と異なるEFM変調を行うCDエンコーダを必要とするので、コピープロテクションCDエンコーダ22を使用できない問題があった。
【0013】
したがって、この発明の目的は、コピープロテクションの秘密情報の開示を必要とせずに、ディスク固有の識別情報を追加記録することを可能とし、また、DSVを制御することによってコピープロテクションを行う方式に適用することができる信号送出装置およびマスタリング装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、光ディスクの第1および第2の領域にそれぞれ記録されるディジタル信号を送出する信号送出装置において、
コピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
アプリケーションソフトウェアのデータと、光ディスクの個別情報の元になる情報とからなるディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と
からなる信号送出装置である。
【0015】
請求項8の発明は、光ディスクの第1および第2の領域にそれぞれ記録されるディジタル信号を送出する信号送出装置において、
第1のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
第1のコピープロテクションと異なる第2のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と
からなる信号送出装置である。
【0016】
請求項9の発明は、第1および第2の領域を有する光ディスクのマスタリング装置において、
コピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
アプリケーションソフトウェアのデータと、光ディスクの個別情報の元になる情報とからなるディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と、
切り替え部からの第1および第2のディジタル信号によって強度が変調されたレーザ光を感光記録媒体に照射する記録部と
からなるマスタリング装置である。
【0017】
請求項16の発明は、第1および第2の領域を有する光ディスクのマスタリング装置において、
第1のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
第1のコピープロテクションと異なる第2のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と、
切り替え部からの第1および第2のディジタル信号によって強度が変調されたレーザ光を感光記録媒体に照射する記録部と
からなるマスタリング装置である。
【0018】
この発明では、コピープロテクションが施されて光ディスクの第1の領域に記録される第1のディジタル信号を発生する第1の信号系と、第2の領域に記録される第2のディジタル信号を発生する第2の信号系とを別々に備えている。したがって、コピープロテクションの処理を行うことによって、個別情報の元になる信号を記録できなくなったり、各領域に記録される信号毎に異なるコピープロテクションの処理を行うことができない問題が生じない。また、コピープロテクションのエンコーダに手を加える必要がなく、コピープロテクションの秘匿性を保持することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について説明する。一実施形態では、1枚のディスクにCDフォーマットのディジタルオーディオ信号とCD−ROMフォーマットのディジタルデータとが記録される、CD−EXTRAに対してこの発明を適用したものである。なお、この発明は、CD−EXTRA以外に、マルチセッション形の光ディスクに対しても適用できる。また、ディジタルオーディオ信号に限らず、ディジタルビジュアルデータ(動画または静止画データ)を扱う場合に対してもこの発明を適用することができる。
【0020】
すなわち、光ディスクの第1セッションには、コピープロテクション処理がされたディジタルオーディオ信号が記録され、第2セッションには、CD−ROMデータ例えば第1セッションのディジタルオーディオ信号を圧縮・暗号化した圧縮オーディオ信号と、圧縮オーディオ信号をパーソナルコンピュータのハードディスクにコピーし、再生する再生用アプリケーションソフトウェアと、固有の識別番号(以下、PID(Postscribed ID:ソニー株式会社の商標)と適宜称する)とが記録されている。
【0021】
PIDは、個々のディスクを識別するための情報である。個々のディスクを識別できれば良いので、番号以外の記号、文字等を使用しても良い。また、PIDは、所定の枚数のディスクを識別できれば良い。例えば同一のアプリケーションソフトウェアを記録した所定の枚数の光ディスクがPIDによって識別される。PIDは、例えば既存のCDプレーヤまたはCD−ROMドライブによって読み取ることが可能なように記録される。最初に、一実施形態の理解を容易とするために、PIDについて説明する。
【0022】
図1は、既存のCD−ROMの一部を拡大して示すものである。所定のトラックピッチTp(例えば1.6μm)のトラック上に、ピットと呼ばれる凹部と、ピットが形成されてないランドとが交互に形成されている。ピットおよびランドの長さは、3T〜11Tの範囲内とされている。Tは、最短の反転間隔である。CD−ROMには、下側からレーザ光が照射される。
【0023】
レーザ光が当たる下側から順に、厚さ1.2mmの透明ディスク基板L1と、その上に被覆された反射膜L2と、反射膜L2に被覆された保護膜L3とが順に積層された構造とされている。反射膜L2は、高い反射率を持つものが使用される。CD−ROMは、読み出し専用ディスクであるが、後述するように、反射膜L2が被覆された後、または反射膜L2が被覆され、保護膜L3が被覆された後に、反射膜L2に対して高出力のレーザ光を使用してPIDが追加記録される。
【0024】
このようなCD−ROMの製造工程の流れを図2を参照して説明する。ステップS1(マスタリングマスタの作成工程)では、ガラス板に感光物質であるフォトレジストが塗布されたガラス原盤がスピンドルモータによって回転され、記録信号に応じてオン/オフされたレーザ光がフォトレジスト膜に照射され、マスタが作成される。フォトレジスト膜が現像処理され、ポジ形レジストの場合では、感光された箇所が溶け、凹凸パターンがフォトレジスト膜上に形成される。
【0025】
フォトレジスト原盤に対してメッキがなされる電鋳処理によって1枚のメタルマスタが作成される(ステップS2)。メタルマスタから複数枚のマザーが作成され(ステップS3)、さらに、このマザーから複数枚のスタンパが作成される(ステップS4)。スタンパを使用してディスク基板が作成される。ディスク基板の作成方法としては、圧縮成形、射出成形、光硬化法等が知られている。そして、ステップS6において、反射膜および保護膜が被着される。従来のディスク製造方法では、さらに、ラベル印刷を行うことでCD−ROMが製作されていた。
【0026】
一方、図2の例では、反射膜(ミラー部例えばランド)に対して高出力のレーザ光を照射して、さらに、PIDを追加記録する工程S7が付加される。反射膜上のランドは、レーザ光が照射される熱処理(熱記録)によって原子が移動して膜構造や結晶性が変化し、そこの箇所の反射率が低下する。その結果、ランドであっても、レーザ光が照射された後では、戻りレーザ光が少なくなり、読取装置からは、ピットと同様に認識される。これを利用してピット長またはランド長を変化させ、PIDを記録することができる。この場合、反射膜は、反射率がレーザ照射により変化する材料が使用される。反射率が低下するものに限らず、記録によって反射率が高くなる材料もある。
【0027】
具体的には、アルミニウムの合金膜Al100-xXxで反射膜が構成される。Xとしては、Ge,Ti,Ni,Si,Tb,Fe、Agのうちの少なくとも1種以上の元素が使用される。また、Al合金膜中の組成比xは、5<x<50〔原子%〕に選定される。
【0028】
また、反射膜をAg100-xXxのAg合金膜によって構成することもできる。その場合、Xとしては、Ge,Ti,Ni,Si,Tb,Fe、Alのうちの少なくとも1種以上の元素が使用される。また、Al合金膜中の組成比xは、5<x<50〔原子%〕に選定される。反射膜は、例えばマグネトロンスパッタリング法によって形成できる。
【0029】
一例として、AlGe合金による反射膜を50nmの膜厚で形成し、対物レンズを介して透明基板または保護膜側からレーザ光を照射した場合に、Geの組成比が20〔原子%〕の場合では、記録パワーが6〜7〔mW〕の場合に、反射率が6%程度低下し、Geの組成比が27.6〔原子%〕の場合では、記録パワーが5〜8〔mW〕の場合に、反射率が7〜8%程度低下する。このような反射率の変化が生じることによって、反射膜に対する追加記録が可能となる。
【0030】
図3は、PIDの追加記録の方法をより具体的に説明するための図である。記録データとピットおよびランドの対応の仕方は、前のパターンとの関係でパターンAと、パターンBとがありうる。
【0031】
最初にパターンAについて説明する。シンボル間に3ビットの例えばマージビット(000)が挿入される。追加記録をする場合、8ビットのデータシンボルが例えば(0x47)とされる。0xは、16進表記を意味する。この8ビットをEFM変調した結果の14ビットのパターン(00100100100100)が図3に示されている。
【0032】
そして、二つのピットの間の斜線領域に対して追加記録用のレーザビームを照射する。その結果、斜線領域の反射率が低下し、記録後では、二つのピットが結合した一つのピットとして再生される。この場合の14ビットのパターンが(00100100000000)となる。これは、EFM復調した場合には、(0x07)の8ビットとして復調される。
【0033】
パターンBの場合では、マージビットが(001)となる。この場合も、パターンAと同様に、斜線領域にレーザビームを照射することによって、8ビットを(0x47)から(0x07)へと変化させることができる。
【0034】
上述したように、元々は、(0x47)であったデータシンボルを(0x07)へ書き換えることができる。この例以外にも追加記録できるデータの種類としては、多々存在する。例えば元々(0x40)であったデータシンボルを(0x00)へ変化させることができる。このように、追加記録は、元々記録されているデータのミラー部に対してレーザを照射することによって、ピット長またランド長を変えるものであるので、追加記録できるデータの種類が制限される。
【0035】
図3は、追加記録の一例であり、PIDを記録する方法としては、予め決めている区間で、意図的にEFMエラーを生じさせ、EFMエラーの有無によってPIDを追記する方法、エラー訂正符号によって訂正できないエラーを意図的に追記する方法等の種々の方法が可能である。
【0036】
図4Aは、一実施形態におけるディスク例えばCD−EXTRAに記録されているデータ配置を示している。ディスクの内周側には、第1のリードインエリアLIと第1のリードアウトエリアLOとコピープロテクション処理を受けたディジタルオーディオ信号が記録された第1のプログラムエリアとからなる第1セッションが形成されている。第1のリードインエリアLIとプログラムエリアとの間にポーズ区間が設けられている。
【0037】
第1セッションの外周側には、リードインエリアLIとリードアウトエリアLOとプログラムエリアからなる第2セッションが設けられている。第2セッションのプログラムエリアには、CD−ROMデータおよびPIDが記録されている。第2セッションのリードインエリアLIとROMアプリケーションのデータの先頭の間に例えば2秒間のポーズ区間が設けられている。
【0038】
第1セッションに記録されているディジタルオーディオ信号は、例えば既存のCDプレーヤによって再生することが可能な反面、パーソナルコンピュータによっては、再生・コピーが不可能とされている。通常、パーソナルコンピュータとCD−R/RWドライブとを使用してCD−RへCDの情報がコピーされるので、パーソナルコンピュータによって再生不可能とすることによって、実質的にコピープロテクションを行うことができる。
【0039】
第2セッションに記録されているCD−ROMデータは、例えば第1セッションと同一のディジタルオーディオ信号を圧縮および暗号化したオーディオファイルと、このオーディオファイルをパーソナルコンピュータにコピーして再生するためのアプリケーションソフトウェアである。PIDは、インターネット経由で認証を行う時に必要な情報で有り、PIDを使用した認証が成功すると、パーソナルコンピュータのハードディスクにコピーした圧縮および暗号化オーディオデータの復号・再生が可能となる。
【0040】
例えば図4Aに示す光ディスクをパーソナルコンピュータのCD−ROMドライブに挿入すると、自動的にアプリケーションが立ち上がり、再生用ソフトウェアがインストールされ、圧縮および暗号化されたオーディオファイルがパーソナルコンピュータのハードディスクにコピーされる。次に、インターネットを介してライセンス管理会社のホームページに対してアクセスがなされ、ライセンスダウンロード画面が表示される。画面の表示にしたがって手続きを進めていくと、音楽再生ソフトウェアが起動し、ライセンスのダウンロードが開始される。ライセンスのダウンロードが完了すると、音楽再生ソフトウェアによってハードディスクに取り込んだ音楽を再生することが可能となる。ライセンスのダウンロードの時にPIDを使用して認証が行われる。なお、各セッションに記録されているデータは、一例であり、CD−ROMデータが第1セッションのオーディオデータと無関係のアプリケーションソフトウェア、ゲーム等のデータであっても良い。
【0041】
図5は、上述したデータが記録されたCD−EXTRAを作成するのに適用される一実施形態のマスタリング装置を示す。マスタリング装置は、第1セッションの記録データを発生する第1の信号系と、第2セッションの記録データを発生する第2の信号系とからなる。第1の信号系は、マスターリーダ1とコピープロテクションCDエンコーダ2とからなる。CDエンコーダ2の出力信号がスイッチ部3の一方の入力端子aと出力端子cとを介してカッティングシステム4に入力される。
【0042】
マスターリーダ1は、マスタテープまたはCD−Rのデータを再生し、マスターリーダ1からのマスター信号がコピープロテクションCDエンコーダ2に入力される。CDエンコーダ2は、CIRCと称されるエラー訂正符号化の処理と、サブコードの発生と、EFM変調の処理と、コピープロテクションの処理とを行い、フレームシンク、サブコードを含むCDフォーマット信号を出力する。一例として、第1セッションのCD信号は、民生用オーディオ機器によって再生できるが、パーソナルコンピュータによって再生不可能なコピープロテクションが施される。
【0043】
第2の信号系は、マスターリーダ5とPID用CDエンコーダ6とからなる。マスタリーダ5は、CD−ROMデータとPIDの元の信号とをCDエンコーダ6に対して出力する。PIDの元の信号とは、前述したように、追加記録の処理によって所定のPIDとなる信号のことを意味する。CDエンコーダ6は、マスタリーダ5からの信号に対してCIRCと称されるエラー訂正符号化の処理と、サブコードの発生と、EFM変調の処理とを行い、フレームシンク、サブコードを含むCDフォーマット信号を出力する。CDエンコーダ6の出力信号がスイッチ部3の一方の入力端子bと出力端子cとを介してカッティングシステム4に入力される。
【0044】
スイッチ部3の出力信号が時間コードリーダ8に供給される。CDフォーマットでは、サブコードのQチャンネルに含まれている絶対時間コード(分、秒、フレーム)がディスク上の位置に対応している。二つのCDエンコーダ2および6は、互いに同期した絶対時間コードを発生し、出力信号中のQチャンネルのサブコードに絶対時間コードを挿入している。したがって、時間コードリーダ8は、スイッチ部3の出力に含まれるCDフォーマットの信号を復号して絶対時間コードを読み取ることによって、第1セッション(第1の信号系)と第2セッション(第2の信号系)との切り替えを指示する制御信号を生成する。この制御信号によって、スイッチ部3の入力端子aから入力端子bへ切り替えがなされる。
【0045】
カッティングシステム4では、フォトレジストが塗布されたガラス原盤がターンテーブル上に置かれ、ターンテーブルが回転される。ガスレーザからのレーザビームが光変調器に入力され、光変調器において、スイッチ部3から入力された信号によってレーザビームの強度が変調される。強度変調されたレーザビームによってフォトレジストが露光される。さらに、図示を省略するが、フォトレジストの現像処理等によって、メタルマスターが作成され、さらに、スタンパが作成される。そして、スタンパを使用して射出成形法によってディスク基板が製造される。ディスク基板に対して反射膜が被覆され、さらに、保護膜が被覆されることによってCD、CD−ROMが生産される。
【0046】
参照符号7は、カッティングシステム4を制御するコントローラを示す。コントローラ7は、カッティングシステム4のみならず、マスターリーダ1および5を制御し、マスターの読み出しとカッティング動作とが同期するように制御される。すなわち、カッティングシステム4において、ガラス原盤が載せられたターンテーブルが適正な回転速度となり、レーザの照射位置が適正な箇所に移動し、マスターリーダ1および5の準備が整った時に、カッティングシステム4がコントローラ7に対してスタート信号を出力する。コントローラ7がマスターリーダ1および5に対して読み出し開始を指示する。
【0047】
一例として、マスタリーダ1および5において再生されるマスタテープまたはマスタディスクには、自分のセッションのみならず、他方のセッションのデータまたはダミーデータが記録されており、各CDエンコーダからは、ディスク全体にわたって記録される共通の絶対時間コードを含むディジタル信号が出力される。読み出しの開始した後に、コントローラ7の制御によって、マスターリーダ1とカッティングシステム4とが調相される。
【0048】
コピープロテクションCDエンコーダ2の出力信号がスイッチ部3の端子a−cを介してカッティングシステム4に供給され、第1セッションのリードインエリア、プログラムエリアおよびリードアウトエリアが記録される。一例として、図4Aにおいて矢印で示すように、スイッチ部3が第1セッションのリードインエリアの終端付近、またはポーズ区間で切り替えられ、スイッチ部3の端子b−cが接続される。図4Aに示す切り替えポイントは、第1セッションのコピープロテクションが第1セッションのTOCまたはポーズ区間のみで完結する場合に適用される。後述するように、切り替えポイントは、図4Aに示す以外にいくつかの位置に選定可能である。
【0049】
これによってCDエンコーダ6からのCD−ROMデータおよびPIDの元になる信号がスイッチ部3を介してカッティングシステム4に供給され、第2セッションのリードインエリア、プログラムエリアおよびリードアウトエリアが記録される。PID用のCDエンコーダ6によって信号処理を行うので、PIDの元になる信号が意図しない信号に変更されることがなく、PIDを追加記録することができる。そして、ディスク基板を作成し、反射膜を被覆し、反射膜の被覆後、または保護膜の被覆後に追加記録を行うことで、図4Aに示すようなデータ配置のCD−EXTRAを作成することができる。
【0050】
図4B、図4Cおよび図4Dは、それぞれスイッチ部3の切り替えポイントの他の三つの例を示す。図4Bの例では、第1セッションのリードアウトエリアの終端付近が切り替えポイントとされている。図4Cの例では、第2セッションのリードインエリアの終端部近傍が切り替えポイントとされている。図4Dの例では、第2セッションのCD−ROMデータの開始位置の直前のデータが無い期間であるポーズ期間に切り替えポイントが選ばれている。図4Cおよび図4Dの例では、コピープロテクションCDエンコーダ2が第1セッションのデータに加えて第2セッションのリードインエリアのデータを送出する必要がある。
【0051】
切り替えポイントの位置は、例えばコピープロテクションの方法等によって最適な位置が選択される。例えば第1セッションのコピープロテクションが第1セッションのTOCまたはポーズ期間のみで完結する場合では、図4Aに示すように、第1セッションのリードインエリアの終端付近、またはポーズ区間で切り替えることが最適である。第1セッションのコピープロテクションが第1セッションのみで完結する場合では、図4Bに示すように、第1セッションのリードアウトエリアの終端付近で切り替えることが最適である。第1セッションのコピープロテクションが第2セッションのTOCにも関係している場合では、図4Cまたは図4Dに示すように、第2セッションのリードインエリアの終端付近、またはポーズ区間で切り替えることが最適である。これらの領域で、切り替えることは、CDプレーヤなどに与える不具合の影響が一番少ない場所であるからである。
【0052】
この発明は、上述したこの発明の一実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば上述した説明では、第2セッションにPIDを記録しているが、PIDを記録しないで第1セッションと異なるコピープロテクションの方法が適用されたCD−ROMデータを記録するようにしても良い。例えばDSVの変化を利用してコピープロテクションを行う方法を使用しても良い。
【0053】
すなわち、ある特定のデータ系列は、通常のランレングスリミットの条件(Tmin=3、Tmax=11)でEFM変調を行うと、再生時にエラーが生じる可能性が高くなるほど、DSVが発散する。一方、通常のEFM変調と異なり、ランレングスリミットの条件を(Tmin=2、Tmax=12)と緩やかにした変調方法で特定のデータ系列を変調すると、DSVが発散しない。このことを利用してコピープロテクションを行うことが可能である。より具体的には、マスタリングの時には、ランレングスリミットの条件を緩やかにした特殊な変調を行うことによって正常に再生できる光ディスクを作成する。この光ディスクをコピーしようとして通常のEFM変調を行ってCD−Rに記録した時には、DSVが発散して正常にCD−Rを再生できないようになり、コピープロテクションを行うことができる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、少なくとも二つのセッションを有する光ディスクに対して記録されるディジタル信号を別々の信号系によって発生することができる。したがって、コピープロテクションの処理がされたディジタル信号を記録する場合でも、コピープロテクションに関する秘密の情報を開示する必要がなく、二つの信号を組み合わせることができる。また、この発明は、既存の信号系と組み合わせたり、新規に開発されたエンコード技術を容易に応用できる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のCDの記録パターンとCDの構造を説明するための略線図である。
【図2】この発明の一実施形態におけるディスクの製造工程を説明するための略線図である。
【図3】この発明の一実施形態における追加記録の説明に用いる略線図である。
【図4】この発明の一実施形態における光ディスクのデータ配置と信号切り替えポイントのいくつかの例を示す略線図である。
【図5】この発明の一実施形態におけるマスタリング装置のブロック図である。
【図6】従来のマスタリング装置の一例のブロック図である。
【図7】従来のマスタリング装置の他の例のブロック図である。
【符号の説明】
L2・・・反射膜、1,5・・・マスターリーダ、2・・・コピープロテクションCDエンコーダ、3・・・スイッチ部、4・・・カッティングシステム、6・・・PID用CDエンコーダ
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば読み出し専用(ROM)タイプの光ディスクのマスタリング装置に対して適用される信号送出装置およびマスタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク例えばCD(Compact Disc)を作成する場合には、従来では、3/4インチの業務用VTRとPCMデータをVTRによってテープに記録し、また、テープか再生できる形式に変換するPCMプロセッサとが使用されている。すなわち、マスターテープをVTRによって再生し、PCMプロセッサによってPCMオーディオデータへ変換し、CD用信号発生器(CDエンコーダと適宜称する)にPCMオーディオデータを供給し、CDエンコーダからサブコードを含むCDフォーマットの信号を発生している。最近では、テープの代わりに、CD−R(Recordable)が使用されることが多くなりつつある。
【0003】
図6は、従来のCDまたはCD−ROMを作成するシステムの一例を概略的に示す。参照符号11がマスタテープまたはCD−Rのデータを再生するマスターリーダを示す。マスターリーダ11からのマスター信号がCDエンコーダ12に入力される。CDエンコーダ12は、CIRC(Cross Interleaved Reed Solomon Code) と称されるエラー訂正符号化の処理と、サブコードの発生と、EFM変調(eight to fourteen modulation)の処理とを行い、フレームシンク、サブコードを含むCDフォーマット信号を出力する。
【0004】
CDフォーマット信号がカッティングシステム13に対して入力される。カッティングシステム13では、感光記録剤としてのフォトレジストが塗布されたガラス原盤がターンテーブル上に置かれ、ターンテーブルが回転され、ガスレーザからのレーザビームが光変調器に入力され、光変調器において、CDフォーマット信号によってレーザビームの強度が変調される。強度が変調されたレーザビームによってフォトレジストが露光される。さらに、図示を省略するが、フォトレジストの現像処理等によって、メタルマスターが作成され、さらに、スタンパが作成される。そして、スタンパを使用して射出成形法によってディスク基板が製造される。ディスク基板に対して反射膜が被覆され、さらに、保護膜が被覆されることによってCD、CD−ROMが生産される。
【0005】
参照符号14は、カッティングシステム13を制御するコントローラを示す。コントローラ14は、カッティングシステム13のみならず、マスターリーダ11を制御し、マスターの読み出しとカッティング動作とが同期するように制御される。すなわち、カッティングシステム13において、ガラス原盤が載せられたターンテーブルが適正な回転速度となり、レーザの照射位置が適正な箇所に移動し、マスターリーダ11の準備が整った時に、カッティングシステム13がコントローラ14に対してスタート信号を出力する。コントローラ14がマスターリーダ11に対して読み出し開始を指示する。その後、コントローラ14の制御によって、マスターリーダ11とカッティングシステム13とが調相される。
【0006】
図7は、CDまたはCD−ROMを作成するシステムの他の例を概略的に示す。マスターリーダ21がマスターのテープまたはCD−R等の光ディスクを再生する。マスターリーダ21からのマスター信号がコピープロテクションCDエンコーダ22に供給される。コピープロテクションCDエンコーダ22は、基本的には、CDフォーマット信号であるが、特殊な信号処理を受けており、何ら処理しない場合には、コピー例えばパーソナルコンピュータへのコピーが不可能な信号を発生する。コピープロテクションCDエンコーダ22は、通常、コピープロテクション方法が破られるのを防止するために、その構成が秘密とされているのが普通である。
【0007】
コピープロテクションがなされたディジタル信号がカッティングシステム23に対して入力される。カッティングシステム23において、ガラス原盤上のフォトレジストが露光される。さらに、スタンパが作成され、スタンパを使用した射出成形法によってディスク基板が製造され、反射膜および保護膜が被覆されることによってCD、CD−ROMが生産される。上述したように、カッティングシステム23のカッティング動作と、マスターリーダ21の読み出し動作とが同期するように、コントローラ24によって両者が制御される。
【0008】
さらに、読み出し専用の光ディスクでありながら、ディスク1枚毎に個別情報を追加記録することが下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1では、追加記録領域が設定され、反射膜が被着された後に、追加記録領域内の所定位置の反射膜に高パワーのレーザビームを照射することによって、反射率を変化させている。それによって、レーザビームが照射された反射膜の箇所が例えばピットが形成されているのと同様の反射率を持つようにされる。それによってディスク毎に異なるシリアル番号等の個別情報を記録することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−135021号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、1枚のディスクにオーディオ用CDの領域とCD−ROMの領域とを持つCD−EXTRAの場合でも、図6に示すシステムのように、二つの領域の信号を1つのマスターに予め記録していた。CD−EXTRAの形式で、二つの領域の一方には、コピープロテクションがなされた音楽データを記録し、他方には、CD−ROMデータおよび個別情報を記録することが考えられる。この場合では、上述した個別情報を追加記録する場合には、追加記録領域が個別情報の元のデータとなっている必要があった。従って、図7に示すようなコピープロテクションCDエンコーダ22が設けられているシステムの場合では、通常のCDエンコーダ12(図6参照)を通った後に、追加記録領域が個別情報の元のデータとなるように設定することが困難であった。コピープロテクションCDエンコーダ22の内部構成を変更することも考えられるが、コピープロテクションCDエンコーダ22は、秘匿性を有するのが普通であり、その内部構成に手を加えることが困難であった。
【0011】
さらに、CDフォーマットで採用されているEFM変調は、Tmin(最小反転間隔)=3で、Tmax(最大反転間隔)=11のランレングスリミット符号であり、また、DSV(Digital Sum Variation)が収束するように、14ビット同士の間に配される3ビットのマージビットが選択される。
【0012】
ある特定のデータ系列は、通常のEFM変調を行うと、再生時にエラーが生じる可能性が高くなるほど、DSVが発散する。一方、通常のEFM変調と異なり、ランレングスリミットの条件を(Tmin=2、Tmax=12)と緩やかにした変調方法で特定のデータ系列を変調すると、DSVが発散しない。このことを利用してコピープロテクションを行うことを本出願人が先に提案している。すなわち、マスタリングの時には、ランレングスリミットの条件を緩やかにした特殊な変調を行うことによって正常に再生できる光ディスクを作成する。この光ディスクをコピーしようとして通常のEFM変調を行ってCD−Rに記録した時には、DSVが発散して正常にCD−Rを再生できないようになる。かかるコピープロテクションを実施する場合には、通常のEFM変調と異なるEFM変調を行うCDエンコーダを必要とするので、コピープロテクションCDエンコーダ22を使用できない問題があった。
【0013】
したがって、この発明の目的は、コピープロテクションの秘密情報の開示を必要とせずに、ディスク固有の識別情報を追加記録することを可能とし、また、DSVを制御することによってコピープロテクションを行う方式に適用することができる信号送出装置およびマスタリング装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、光ディスクの第1および第2の領域にそれぞれ記録されるディジタル信号を送出する信号送出装置において、
コピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
アプリケーションソフトウェアのデータと、光ディスクの個別情報の元になる情報とからなるディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と
からなる信号送出装置である。
【0015】
請求項8の発明は、光ディスクの第1および第2の領域にそれぞれ記録されるディジタル信号を送出する信号送出装置において、
第1のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
第1のコピープロテクションと異なる第2のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と
からなる信号送出装置である。
【0016】
請求項9の発明は、第1および第2の領域を有する光ディスクのマスタリング装置において、
コピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
アプリケーションソフトウェアのデータと、光ディスクの個別情報の元になる情報とからなるディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と、
切り替え部からの第1および第2のディジタル信号によって強度が変調されたレーザ光を感光記録媒体に照射する記録部と
からなるマスタリング装置である。
【0017】
請求項16の発明は、第1および第2の領域を有する光ディスクのマスタリング装置において、
第1のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
第1のコピープロテクションと異なる第2のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
第1の信号系から送出される第1のディジタル信号と第2の信号系から送出される第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と、
切り替え部からの第1および第2のディジタル信号によって強度が変調されたレーザ光を感光記録媒体に照射する記録部と
からなるマスタリング装置である。
【0018】
この発明では、コピープロテクションが施されて光ディスクの第1の領域に記録される第1のディジタル信号を発生する第1の信号系と、第2の領域に記録される第2のディジタル信号を発生する第2の信号系とを別々に備えている。したがって、コピープロテクションの処理を行うことによって、個別情報の元になる信号を記録できなくなったり、各領域に記録される信号毎に異なるコピープロテクションの処理を行うことができない問題が生じない。また、コピープロテクションのエンコーダに手を加える必要がなく、コピープロテクションの秘匿性を保持することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について説明する。一実施形態では、1枚のディスクにCDフォーマットのディジタルオーディオ信号とCD−ROMフォーマットのディジタルデータとが記録される、CD−EXTRAに対してこの発明を適用したものである。なお、この発明は、CD−EXTRA以外に、マルチセッション形の光ディスクに対しても適用できる。また、ディジタルオーディオ信号に限らず、ディジタルビジュアルデータ(動画または静止画データ)を扱う場合に対してもこの発明を適用することができる。
【0020】
すなわち、光ディスクの第1セッションには、コピープロテクション処理がされたディジタルオーディオ信号が記録され、第2セッションには、CD−ROMデータ例えば第1セッションのディジタルオーディオ信号を圧縮・暗号化した圧縮オーディオ信号と、圧縮オーディオ信号をパーソナルコンピュータのハードディスクにコピーし、再生する再生用アプリケーションソフトウェアと、固有の識別番号(以下、PID(Postscribed ID:ソニー株式会社の商標)と適宜称する)とが記録されている。
【0021】
PIDは、個々のディスクを識別するための情報である。個々のディスクを識別できれば良いので、番号以外の記号、文字等を使用しても良い。また、PIDは、所定の枚数のディスクを識別できれば良い。例えば同一のアプリケーションソフトウェアを記録した所定の枚数の光ディスクがPIDによって識別される。PIDは、例えば既存のCDプレーヤまたはCD−ROMドライブによって読み取ることが可能なように記録される。最初に、一実施形態の理解を容易とするために、PIDについて説明する。
【0022】
図1は、既存のCD−ROMの一部を拡大して示すものである。所定のトラックピッチTp(例えば1.6μm)のトラック上に、ピットと呼ばれる凹部と、ピットが形成されてないランドとが交互に形成されている。ピットおよびランドの長さは、3T〜11Tの範囲内とされている。Tは、最短の反転間隔である。CD−ROMには、下側からレーザ光が照射される。
【0023】
レーザ光が当たる下側から順に、厚さ1.2mmの透明ディスク基板L1と、その上に被覆された反射膜L2と、反射膜L2に被覆された保護膜L3とが順に積層された構造とされている。反射膜L2は、高い反射率を持つものが使用される。CD−ROMは、読み出し専用ディスクであるが、後述するように、反射膜L2が被覆された後、または反射膜L2が被覆され、保護膜L3が被覆された後に、反射膜L2に対して高出力のレーザ光を使用してPIDが追加記録される。
【0024】
このようなCD−ROMの製造工程の流れを図2を参照して説明する。ステップS1(マスタリングマスタの作成工程)では、ガラス板に感光物質であるフォトレジストが塗布されたガラス原盤がスピンドルモータによって回転され、記録信号に応じてオン/オフされたレーザ光がフォトレジスト膜に照射され、マスタが作成される。フォトレジスト膜が現像処理され、ポジ形レジストの場合では、感光された箇所が溶け、凹凸パターンがフォトレジスト膜上に形成される。
【0025】
フォトレジスト原盤に対してメッキがなされる電鋳処理によって1枚のメタルマスタが作成される(ステップS2)。メタルマスタから複数枚のマザーが作成され(ステップS3)、さらに、このマザーから複数枚のスタンパが作成される(ステップS4)。スタンパを使用してディスク基板が作成される。ディスク基板の作成方法としては、圧縮成形、射出成形、光硬化法等が知られている。そして、ステップS6において、反射膜および保護膜が被着される。従来のディスク製造方法では、さらに、ラベル印刷を行うことでCD−ROMが製作されていた。
【0026】
一方、図2の例では、反射膜(ミラー部例えばランド)に対して高出力のレーザ光を照射して、さらに、PIDを追加記録する工程S7が付加される。反射膜上のランドは、レーザ光が照射される熱処理(熱記録)によって原子が移動して膜構造や結晶性が変化し、そこの箇所の反射率が低下する。その結果、ランドであっても、レーザ光が照射された後では、戻りレーザ光が少なくなり、読取装置からは、ピットと同様に認識される。これを利用してピット長またはランド長を変化させ、PIDを記録することができる。この場合、反射膜は、反射率がレーザ照射により変化する材料が使用される。反射率が低下するものに限らず、記録によって反射率が高くなる材料もある。
【0027】
具体的には、アルミニウムの合金膜Al100-xXxで反射膜が構成される。Xとしては、Ge,Ti,Ni,Si,Tb,Fe、Agのうちの少なくとも1種以上の元素が使用される。また、Al合金膜中の組成比xは、5<x<50〔原子%〕に選定される。
【0028】
また、反射膜をAg100-xXxのAg合金膜によって構成することもできる。その場合、Xとしては、Ge,Ti,Ni,Si,Tb,Fe、Alのうちの少なくとも1種以上の元素が使用される。また、Al合金膜中の組成比xは、5<x<50〔原子%〕に選定される。反射膜は、例えばマグネトロンスパッタリング法によって形成できる。
【0029】
一例として、AlGe合金による反射膜を50nmの膜厚で形成し、対物レンズを介して透明基板または保護膜側からレーザ光を照射した場合に、Geの組成比が20〔原子%〕の場合では、記録パワーが6〜7〔mW〕の場合に、反射率が6%程度低下し、Geの組成比が27.6〔原子%〕の場合では、記録パワーが5〜8〔mW〕の場合に、反射率が7〜8%程度低下する。このような反射率の変化が生じることによって、反射膜に対する追加記録が可能となる。
【0030】
図3は、PIDの追加記録の方法をより具体的に説明するための図である。記録データとピットおよびランドの対応の仕方は、前のパターンとの関係でパターンAと、パターンBとがありうる。
【0031】
最初にパターンAについて説明する。シンボル間に3ビットの例えばマージビット(000)が挿入される。追加記録をする場合、8ビットのデータシンボルが例えば(0x47)とされる。0xは、16進表記を意味する。この8ビットをEFM変調した結果の14ビットのパターン(00100100100100)が図3に示されている。
【0032】
そして、二つのピットの間の斜線領域に対して追加記録用のレーザビームを照射する。その結果、斜線領域の反射率が低下し、記録後では、二つのピットが結合した一つのピットとして再生される。この場合の14ビットのパターンが(00100100000000)となる。これは、EFM復調した場合には、(0x07)の8ビットとして復調される。
【0033】
パターンBの場合では、マージビットが(001)となる。この場合も、パターンAと同様に、斜線領域にレーザビームを照射することによって、8ビットを(0x47)から(0x07)へと変化させることができる。
【0034】
上述したように、元々は、(0x47)であったデータシンボルを(0x07)へ書き換えることができる。この例以外にも追加記録できるデータの種類としては、多々存在する。例えば元々(0x40)であったデータシンボルを(0x00)へ変化させることができる。このように、追加記録は、元々記録されているデータのミラー部に対してレーザを照射することによって、ピット長またランド長を変えるものであるので、追加記録できるデータの種類が制限される。
【0035】
図3は、追加記録の一例であり、PIDを記録する方法としては、予め決めている区間で、意図的にEFMエラーを生じさせ、EFMエラーの有無によってPIDを追記する方法、エラー訂正符号によって訂正できないエラーを意図的に追記する方法等の種々の方法が可能である。
【0036】
図4Aは、一実施形態におけるディスク例えばCD−EXTRAに記録されているデータ配置を示している。ディスクの内周側には、第1のリードインエリアLIと第1のリードアウトエリアLOとコピープロテクション処理を受けたディジタルオーディオ信号が記録された第1のプログラムエリアとからなる第1セッションが形成されている。第1のリードインエリアLIとプログラムエリアとの間にポーズ区間が設けられている。
【0037】
第1セッションの外周側には、リードインエリアLIとリードアウトエリアLOとプログラムエリアからなる第2セッションが設けられている。第2セッションのプログラムエリアには、CD−ROMデータおよびPIDが記録されている。第2セッションのリードインエリアLIとROMアプリケーションのデータの先頭の間に例えば2秒間のポーズ区間が設けられている。
【0038】
第1セッションに記録されているディジタルオーディオ信号は、例えば既存のCDプレーヤによって再生することが可能な反面、パーソナルコンピュータによっては、再生・コピーが不可能とされている。通常、パーソナルコンピュータとCD−R/RWドライブとを使用してCD−RへCDの情報がコピーされるので、パーソナルコンピュータによって再生不可能とすることによって、実質的にコピープロテクションを行うことができる。
【0039】
第2セッションに記録されているCD−ROMデータは、例えば第1セッションと同一のディジタルオーディオ信号を圧縮および暗号化したオーディオファイルと、このオーディオファイルをパーソナルコンピュータにコピーして再生するためのアプリケーションソフトウェアである。PIDは、インターネット経由で認証を行う時に必要な情報で有り、PIDを使用した認証が成功すると、パーソナルコンピュータのハードディスクにコピーした圧縮および暗号化オーディオデータの復号・再生が可能となる。
【0040】
例えば図4Aに示す光ディスクをパーソナルコンピュータのCD−ROMドライブに挿入すると、自動的にアプリケーションが立ち上がり、再生用ソフトウェアがインストールされ、圧縮および暗号化されたオーディオファイルがパーソナルコンピュータのハードディスクにコピーされる。次に、インターネットを介してライセンス管理会社のホームページに対してアクセスがなされ、ライセンスダウンロード画面が表示される。画面の表示にしたがって手続きを進めていくと、音楽再生ソフトウェアが起動し、ライセンスのダウンロードが開始される。ライセンスのダウンロードが完了すると、音楽再生ソフトウェアによってハードディスクに取り込んだ音楽を再生することが可能となる。ライセンスのダウンロードの時にPIDを使用して認証が行われる。なお、各セッションに記録されているデータは、一例であり、CD−ROMデータが第1セッションのオーディオデータと無関係のアプリケーションソフトウェア、ゲーム等のデータであっても良い。
【0041】
図5は、上述したデータが記録されたCD−EXTRAを作成するのに適用される一実施形態のマスタリング装置を示す。マスタリング装置は、第1セッションの記録データを発生する第1の信号系と、第2セッションの記録データを発生する第2の信号系とからなる。第1の信号系は、マスターリーダ1とコピープロテクションCDエンコーダ2とからなる。CDエンコーダ2の出力信号がスイッチ部3の一方の入力端子aと出力端子cとを介してカッティングシステム4に入力される。
【0042】
マスターリーダ1は、マスタテープまたはCD−Rのデータを再生し、マスターリーダ1からのマスター信号がコピープロテクションCDエンコーダ2に入力される。CDエンコーダ2は、CIRCと称されるエラー訂正符号化の処理と、サブコードの発生と、EFM変調の処理と、コピープロテクションの処理とを行い、フレームシンク、サブコードを含むCDフォーマット信号を出力する。一例として、第1セッションのCD信号は、民生用オーディオ機器によって再生できるが、パーソナルコンピュータによって再生不可能なコピープロテクションが施される。
【0043】
第2の信号系は、マスターリーダ5とPID用CDエンコーダ6とからなる。マスタリーダ5は、CD−ROMデータとPIDの元の信号とをCDエンコーダ6に対して出力する。PIDの元の信号とは、前述したように、追加記録の処理によって所定のPIDとなる信号のことを意味する。CDエンコーダ6は、マスタリーダ5からの信号に対してCIRCと称されるエラー訂正符号化の処理と、サブコードの発生と、EFM変調の処理とを行い、フレームシンク、サブコードを含むCDフォーマット信号を出力する。CDエンコーダ6の出力信号がスイッチ部3の一方の入力端子bと出力端子cとを介してカッティングシステム4に入力される。
【0044】
スイッチ部3の出力信号が時間コードリーダ8に供給される。CDフォーマットでは、サブコードのQチャンネルに含まれている絶対時間コード(分、秒、フレーム)がディスク上の位置に対応している。二つのCDエンコーダ2および6は、互いに同期した絶対時間コードを発生し、出力信号中のQチャンネルのサブコードに絶対時間コードを挿入している。したがって、時間コードリーダ8は、スイッチ部3の出力に含まれるCDフォーマットの信号を復号して絶対時間コードを読み取ることによって、第1セッション(第1の信号系)と第2セッション(第2の信号系)との切り替えを指示する制御信号を生成する。この制御信号によって、スイッチ部3の入力端子aから入力端子bへ切り替えがなされる。
【0045】
カッティングシステム4では、フォトレジストが塗布されたガラス原盤がターンテーブル上に置かれ、ターンテーブルが回転される。ガスレーザからのレーザビームが光変調器に入力され、光変調器において、スイッチ部3から入力された信号によってレーザビームの強度が変調される。強度変調されたレーザビームによってフォトレジストが露光される。さらに、図示を省略するが、フォトレジストの現像処理等によって、メタルマスターが作成され、さらに、スタンパが作成される。そして、スタンパを使用して射出成形法によってディスク基板が製造される。ディスク基板に対して反射膜が被覆され、さらに、保護膜が被覆されることによってCD、CD−ROMが生産される。
【0046】
参照符号7は、カッティングシステム4を制御するコントローラを示す。コントローラ7は、カッティングシステム4のみならず、マスターリーダ1および5を制御し、マスターの読み出しとカッティング動作とが同期するように制御される。すなわち、カッティングシステム4において、ガラス原盤が載せられたターンテーブルが適正な回転速度となり、レーザの照射位置が適正な箇所に移動し、マスターリーダ1および5の準備が整った時に、カッティングシステム4がコントローラ7に対してスタート信号を出力する。コントローラ7がマスターリーダ1および5に対して読み出し開始を指示する。
【0047】
一例として、マスタリーダ1および5において再生されるマスタテープまたはマスタディスクには、自分のセッションのみならず、他方のセッションのデータまたはダミーデータが記録されており、各CDエンコーダからは、ディスク全体にわたって記録される共通の絶対時間コードを含むディジタル信号が出力される。読み出しの開始した後に、コントローラ7の制御によって、マスターリーダ1とカッティングシステム4とが調相される。
【0048】
コピープロテクションCDエンコーダ2の出力信号がスイッチ部3の端子a−cを介してカッティングシステム4に供給され、第1セッションのリードインエリア、プログラムエリアおよびリードアウトエリアが記録される。一例として、図4Aにおいて矢印で示すように、スイッチ部3が第1セッションのリードインエリアの終端付近、またはポーズ区間で切り替えられ、スイッチ部3の端子b−cが接続される。図4Aに示す切り替えポイントは、第1セッションのコピープロテクションが第1セッションのTOCまたはポーズ区間のみで完結する場合に適用される。後述するように、切り替えポイントは、図4Aに示す以外にいくつかの位置に選定可能である。
【0049】
これによってCDエンコーダ6からのCD−ROMデータおよびPIDの元になる信号がスイッチ部3を介してカッティングシステム4に供給され、第2セッションのリードインエリア、プログラムエリアおよびリードアウトエリアが記録される。PID用のCDエンコーダ6によって信号処理を行うので、PIDの元になる信号が意図しない信号に変更されることがなく、PIDを追加記録することができる。そして、ディスク基板を作成し、反射膜を被覆し、反射膜の被覆後、または保護膜の被覆後に追加記録を行うことで、図4Aに示すようなデータ配置のCD−EXTRAを作成することができる。
【0050】
図4B、図4Cおよび図4Dは、それぞれスイッチ部3の切り替えポイントの他の三つの例を示す。図4Bの例では、第1セッションのリードアウトエリアの終端付近が切り替えポイントとされている。図4Cの例では、第2セッションのリードインエリアの終端部近傍が切り替えポイントとされている。図4Dの例では、第2セッションのCD−ROMデータの開始位置の直前のデータが無い期間であるポーズ期間に切り替えポイントが選ばれている。図4Cおよび図4Dの例では、コピープロテクションCDエンコーダ2が第1セッションのデータに加えて第2セッションのリードインエリアのデータを送出する必要がある。
【0051】
切り替えポイントの位置は、例えばコピープロテクションの方法等によって最適な位置が選択される。例えば第1セッションのコピープロテクションが第1セッションのTOCまたはポーズ期間のみで完結する場合では、図4Aに示すように、第1セッションのリードインエリアの終端付近、またはポーズ区間で切り替えることが最適である。第1セッションのコピープロテクションが第1セッションのみで完結する場合では、図4Bに示すように、第1セッションのリードアウトエリアの終端付近で切り替えることが最適である。第1セッションのコピープロテクションが第2セッションのTOCにも関係している場合では、図4Cまたは図4Dに示すように、第2セッションのリードインエリアの終端付近、またはポーズ区間で切り替えることが最適である。これらの領域で、切り替えることは、CDプレーヤなどに与える不具合の影響が一番少ない場所であるからである。
【0052】
この発明は、上述したこの発明の一実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば上述した説明では、第2セッションにPIDを記録しているが、PIDを記録しないで第1セッションと異なるコピープロテクションの方法が適用されたCD−ROMデータを記録するようにしても良い。例えばDSVの変化を利用してコピープロテクションを行う方法を使用しても良い。
【0053】
すなわち、ある特定のデータ系列は、通常のランレングスリミットの条件(Tmin=3、Tmax=11)でEFM変調を行うと、再生時にエラーが生じる可能性が高くなるほど、DSVが発散する。一方、通常のEFM変調と異なり、ランレングスリミットの条件を(Tmin=2、Tmax=12)と緩やかにした変調方法で特定のデータ系列を変調すると、DSVが発散しない。このことを利用してコピープロテクションを行うことが可能である。より具体的には、マスタリングの時には、ランレングスリミットの条件を緩やかにした特殊な変調を行うことによって正常に再生できる光ディスクを作成する。この光ディスクをコピーしようとして通常のEFM変調を行ってCD−Rに記録した時には、DSVが発散して正常にCD−Rを再生できないようになり、コピープロテクションを行うことができる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、少なくとも二つのセッションを有する光ディスクに対して記録されるディジタル信号を別々の信号系によって発生することができる。したがって、コピープロテクションの処理がされたディジタル信号を記録する場合でも、コピープロテクションに関する秘密の情報を開示する必要がなく、二つの信号を組み合わせることができる。また、この発明は、既存の信号系と組み合わせたり、新規に開発されたエンコード技術を容易に応用できる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のCDの記録パターンとCDの構造を説明するための略線図である。
【図2】この発明の一実施形態におけるディスクの製造工程を説明するための略線図である。
【図3】この発明の一実施形態における追加記録の説明に用いる略線図である。
【図4】この発明の一実施形態における光ディスクのデータ配置と信号切り替えポイントのいくつかの例を示す略線図である。
【図5】この発明の一実施形態におけるマスタリング装置のブロック図である。
【図6】従来のマスタリング装置の一例のブロック図である。
【図7】従来のマスタリング装置の他の例のブロック図である。
【符号の説明】
L2・・・反射膜、1,5・・・マスターリーダ、2・・・コピープロテクションCDエンコーダ、3・・・スイッチ部、4・・・カッティングシステム、6・・・PID用CDエンコーダ
Claims (16)
- 光ディスクの第1および第2の領域にそれぞれ記録されるディジタル信号を送出する信号送出装置において、
コピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
アプリケーションソフトウェアのデータと、光ディスクの個別情報の元になる情報とからなるディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
上記第1の信号系から送出される上記第1のディジタル信号と上記第2の信号系から送出される上記第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と
からなる信号送出装置。 - 請求項1において、
上記光ディスクが読み出し専用タイプであり、上記個別情報は、反射膜の被覆後に上記元になる情報を加工することによって追加記録されるものである信号送出装置。 - 請求項1において、
上記第2の信号系は、さらに、上記第1のディジタル信号の圧縮データを含む第2のディジタル信号を送出し、上記アプリケーションソフトウェアが上記圧縮データをコンピュータで再生するソフトウェアであり、上記個別情報によって認証が成功した場合にのみ、上記圧縮データがコンピュータで再生可能とされた信号送出装置。 - 請求項1において、
上記コピープロテクションは、民生用の再生装置による再生を許容し、コンピュータおよび光ディスクドライブによる再生を禁止するものである信号送出装置。 - 請求項1において、
上記第1の領域は、第1のリードインエリアあるいは第1のリードインエリアとポーズとからなり、上記第2の領域は、第1のプログラムエリアと第1のリードアウトエリア、第2のリードインエリアと第2のプログラムエリアと第2のリードアウトエリアとからなり、上記切り替え部が上記第1のリードインエリアと上記第1のポーズエリアとからなる領域内で上記第1および第2のディジタル信号を切り替える信号送出装置。 - 請求項1において、
上記第1の領域は、第1のリードインエリアと第1のプログラムエリアと第1のリードアウトエリアとからなり、上記第2の領域は、第2のリードインエリアと第2のプログラムエリアと第2のリードアウトエリアとからなり、上記切り替え部が上記第1のリードアウトエリアと上記第2のリードインエリアとからなる領域内で上記第1および第2のディジタル信号を切り替える信号送出装置。 - 請求項1において、
上記第1の領域は、第1のリードインエリアと第1のプログラムエリアと第1のリードアウトエリアとからなり、上記第2の領域は、第2のリードインエリアと第2のプログラムエリアと第2のリードアウトエリアとからなり、上記切り替え部が上記第2のプログラムエリア内の最初のポーズ領域内で上記第1および第2のディジタル信号を切り替える信号送出装置。 - 光ディスクの第1および第2の領域にそれぞれ記録されるディジタル信号を送出する信号送出装置において、
第1のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
上記第1のコピープロテクションと異なる第2のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
上記第1の信号系から送出される上記第1のディジタル信号と上記第2の信号系から送出される上記第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と
からなる信号送出装置。 - 第1および第2の領域を有する光ディスクのマスタリング装置において、
コピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
アプリケーションソフトウェアのデータと、光ディスクの個別情報の元になる情報とからなるディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
上記第1の信号系から送出される上記第1のディジタル信号と上記第2の信号系から送出される上記第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と、
上記切り替え部からの上記第1および第2のディジタル信号によって強度が変調されたレーザ光を感光記録媒体に照射する記録部と
からなるマスタリング装置。 - 請求項9において、
上記光ディスクが読み出し専用タイプであり、上記個別情報は、反射膜の被覆後に上記元になる情報を加工することによって追加記録されるものであるマスタリング装置。 - 請求項9において、
上記第2の信号系は、さらに、上記第1のディジタル信号の圧縮データを含む第2のディジタル信号を送出し、上記アプリケーションソフトウェアが上記圧縮データをコンピュータで再生するソフトウェアであり、上記個別情報によって認証が成功した場合にのみ、上記圧縮データがコンピュータで再生可能とされたマスタリング装置。 - 請求項9において、
上記コピープロテクションは、民生用の再生装置による再生を許容し、コンピュータおよび光ディスクドライブによる再生を禁止するものであるマスタリング装置。 - 請求項9において、
上記第1の領域は、第1のリードインエリアあるいは第1のリードインエリアとポーズとからなり、上記第2の領域は、第1のプログラムエリアと第1のリードアウトエリア、第2のリードインエリアと第2のプログラムエリアと第2のリードアウトエリアとからなり、上記切り替え部が上記第1のリードインエリアと上記第1のポーズエリアとからなる領域内で上記第1および第2のディジタル信号を切り替えるマスタリング装置。 - 請求項9において、
上記第1の領域は、第1のリードインエリアと第1のプログラムエリアと第1のリードアウトエリアとからなり、上記第2の領域は、第2のリードインエリアと第2のプログラムエリアと第2のリードアウトエリアとからなり、上記切り替え部が上記第1のリードアウトエリアと上記第2のリードインエリアとからなる領域内で上記第1および第2のディジタル信号を切り替えるマスタリング装置。 - 請求項9において、
上記第1の領域は、第1のリードインエリアと第1のプログラムエリアと第1のリードアウトエリアとからなり、上記第2の領域は、第2のリードインエリアと第2のプログラムエリアと第2のリードアウトエリアとからなり、上記切り替え部が上記第2のプログラムエリア内のポーズ領域内で上記第1および第2のディジタル信号を切り替えるマスタリング装置。 - 第1および第2の領域を有する光ディスクのマスタリング装置において、
第1のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第1の領域に記録される第1のディジタル信号として送出する第1の信号系と、
上記第1のコピープロテクションと異なる第2のコピープロテクションがなされたディジタル信号を第2の領域に記録される第2のディジタル信号として送出する第2の信号系と、
上記第1の信号系から送出される上記第1のディジタル信号と上記第2の信号系から送出される上記第2のディジタル信号とを第1および第2の領域の境界近傍で切り替える切り替え部と、
上記切り替え部からの上記第1および第2のディジタル信号によって強度が変調されたレーザ光を感光記録媒体に照射する記録部と
からなるマスタリング装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002374186A JP2004206786A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 信号送出装置およびマスタリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002374186A JP2004206786A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 信号送出装置およびマスタリング装置 |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2004206786A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7928865B2 (en) | 2006-06-12 | 2011-04-19 | Thomson Licensing | Method and apparatus for embedding second code into optical disc data by data modulation rule variation |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002374186A patent/JP2004206786A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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