JP2004204401A - 花粉吸着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】花粉症を起こす原因となるアレルゲンを含む花粉及びオービクルをより効率的に吸着して再放出せず、洗浄が可能で繰り返しの使用が可能である花粉吸着材を提供する。
【解決手段】本発明は、有機高分子繊維材料の高分子主鎖上に、正電荷を持つ官能基を有する重合体側鎖が導入されていることを特徴とする花粉吸着材を提供する。本発明によれば、化学的に正電荷を持つ官能基をグラフト重合体側鎖上に有する有機高分子繊維材料を吸着材として用いるので、耐久性(吸着能の保持力)に優れた花粉吸着材を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、花粉症の原因である空気中に浮遊するアレルゲンを含む花粉及びオービクルを吸着除去する吸着材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
花粉症は、多くはスギ、ヒノキ、ブタクサ等の花粉を吸入することから生じるアレルギー疾患である。これの予防や症状悪化の防止のためには、花粉及びアレルゲンを吸入しないようにすることが最も効果的である。
【0003】
花粉及びアレルゲンの吸入防止方法としては、居住空間全体又は一部の空気から花粉及びアレルゲンを除去する方法や、更に簡便で一般的な方法として、個々人がマスクを着用する方法が挙げられる。しかしながら従来のマスクは、物理的効果(単純なふるい効果)のみでフィルター機能を発揮するものであったり、花粉除去剤をマスク素材に添加したものであった。従来のマスクで花粉除去剤を用いたものとしては、不織布やガーゼにスメクタイトのような水膨潤性粘土鉱物や、グアジノ基などを有する界面活性剤を練り込んだものによるか、或いは単に水分を含浸させたものによって、花粉を割裂させて花粉内部の蛋白質を吸着して、マスク内に保持する効果を利用したものが挙げられる(例えば、特許文献1)。
【0004】
このような従来のマスクは、充分な除去効果を持たないか、或いは効果は充分であるが所謂使い捨て製品であった。たとえ除去効果が優れていても、高価なマスクを使い捨てにすることは、経済的にも環境負荷の側面においても望ましくない。
【0005】
このような背景において、フィルター材料として、電石(エレクトレット)の静電気保持による吸着効果を利用した付加価値の高い機能性フィルターがあり、これをマスクとして使用することも提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、電石(エレクトレット)の静電気保持力については、改善は進んでいるものの、未だ時間の経過に連れて静電気が減衰することが知られている。
【0006】
更に、繊維が保持する静電気による吸着ではなく、繊維上のイオン性官能基によってアレルゲンを化学的に吸着することも提案されている(例えば、特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−179019号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平9−149944号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平6−158494号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような現状の下、花粉症を起こす原因となるアレルゲンを含む花粉及びオービクルをより効率的に吸着して再放出せず、洗浄が可能で繰り返しの使用が可能である花粉吸着材に対する要求が高まっている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
空気中に浮遊するアレルゲンを含む花粉及びオービクル粒子、更には細菌粒子の多くは負(−)に帯電している。例えば、スギ花粉は25℃においてゼータ電位−20mVに帯電する。従って、これらが正(+)に帯電するものに吸着することは明らかである。ある基材を正(+)に帯電させてこのような吸着材とするには、静電的、即ち摩擦、放電等によって帯電させることができる。しかしながら、帯電強度は呼気や室内の湿度に大きく依存するため、このような帯電材料では安定した吸着効果は得られない。また、電石(エレクトレット)を利用する方法(例えば上記の特許文献2)では、静電気保持には優れているが、それでも少なからず静電気の減衰が起こる。
【0012】
そこで、本発明者らは、基材に、静電気のように減衰しない方法で正(+)荷電を付与することで、耐久性に富む花粉吸着材を提供する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、化学的に正電荷を持つ官能基(例えば第4級アンモニウム基)を、織布や不織布のような繊維基材にグラフト重合法によってグラフト重合体側鎖の形態で導入することにより、極めて高い花粉等の吸着能を有し、且つ吸着能の保持力に優れた吸着材を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の一態様は、有機高分子繊維材料の高分子主鎖上に、正電荷を持つ官能基を有する重合体側鎖が導入されていることを特徴とする花粉吸着材に関する。従来技術では、アレルゲン物質を化学的に吸着する官能基を繊維基材に導入した花粉吸着材は提案されているが(例えば特許文献3)、化学的に正電荷を持つ官能基によって負電荷を持つ花粉若しくはオービクルの粒子を吸着するという技術思想を教示したものは、本発明者らが知る限りにおいては存在しない。
【0014】
本発明にかかる花粉吸着材によれば、化学的に正電荷を持つ官能基によって花粉等の粒子を吸着するので、基材に電石などの正電荷を持つ除去剤を保持させる方法と比べて、耐久性(吸着能の保持力)の点で有利であるばかりでなく、洗浄によって繰り返し使用することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各種態様について説明する。以下の記載は本発明の各種の具体例を示すもので、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
【0016】
上述したように、本発明の一態様は、有機高分子繊維材料の高分子主鎖上に、正電荷を持つ官能基を有する重合体側鎖が導入されていることを特徴とする花粉吸着材に関する。
【0017】
本発明の花粉吸着材を形成するための基材として用いる有機高分子繊維材料としては、通気性がよく、所期の官能基を高密度に付加できるものであればよい。繊維材料の形態としては、織布材料又は不織布材料が好適に用いられるが、製造コストや工程等で問題がなければ、編物布(ニット)を用いてもよい。基材を構成する有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン、PTFE、ポリビニリデンフルオライド、塩化ビニル等のようなハロゲン化ポリオレフィン、ポリカーボネート等のようなポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、セルロース、及びこれらの共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)等に代表されるオレフィン共重合体を挙げることができる。これらの有機高分子からなる織布/不織布材料は、後述する放射線グラフト重合用の基材として好適に用いることができると共に、軽量でマスクなどの形状に加工することが容易であるので、本発明に係る花粉吸着材を形成するのに用いる繊維材料として好適である。
【0018】
本発明において、有機高分子繊維材料に正電荷を持つ官能基を導入する手段としては、グラフト重合法が用いられ、中でも放射線グラフト重合法を好適に用いることができる。放射線グラフト重合法とは、有機高分子基材に放射線を照射してラジカルを生成させ、それにグラフトモノマーを反応させることによって、所望のグラフト重合体側鎖を基材の高分子主鎖上に導入することのできる方法であり、グラフト鎖の数や長さを自由にコントロールすることができ、また各種形状の既存の高分子材料の表面から内部まで均一に重合体側鎖を導入することができるので、本発明の目的のために用いるのに最適である。放射線グラフト重合法を用いると、正電荷を持つ官能基は、これらの官能基を有する重合体側鎖の形態で高分子基材に導入される。繊維材料に放射線グラフト重合法によって正電荷を持つ官能基を有するグラフト重合体側鎖を導入すると、グラフト側鎖を繊維材料の表面のみならず、その内部にまで付加することができるので、官能基の導入量を格段に向上させることができる。
【0019】
本発明の目的のために好適に用いることのできる放射線グラフト重合法において、用いることのできる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などを挙げることができるが、本発明において用いるのにはγ線や電子線が適している。放射線グラフト重合法には、グラフト用基材に予め放射線を照射した後、重合性単量体(グラフトモノマー)と接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後、モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などが挙げられるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
【0020】
織布/不織布は本発明に係る花粉吸着材を製造するための有機高分子繊維材料として用いるのに最も適した素材であるが、これはモノマー溶液を保持し易いので、含浸気相グラフト重合法において用いるのに適している。また、織布/不織布などの繊維材料は、それに放射線グラフト重合法によって官能基を導入しても機械的強度の低下を招くことがないので、大量の官能基を導入することが可能である。なお、放射線グラフト重合を使用して本発明にかかる花粉吸着材を製造する場合には、繊維材料としては、放射線に対して安定なポリエチレン又はポリプロピレンを用いることがより好ましい。また、繊維が芯/鞘構造を有していて、鞘部分にポリエチレン又はポリプロピレンを用いた繊維材料を用いることもできる。
【0021】
本発明において、有機高分子繊維材料に導入する正電荷を持つ官能基としては、例えば、第4級アンモニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基、オキソニウム塩などを挙げることができる。特に、第4級アンモニウム基はそれ自体抗菌性を有するため、花粉吸着除去剤を清潔に保つことができる。この抗菌効果をより良好に発揮させるためには、第4級アンモニウム基のグラフト重合体側鎖に直接結合していないアルキル基の内の少なくとも一つのアルキル基の炭素数が2〜18であることが好ましく、7〜18であることがより好ましい。このようなアルキル基は、線状であってもよく、或いはベンゼン環などの環状部分を有していてもよく、或いは、酸素、硫黄、窒素等の異元素を含むものであってよい。また、第4級アンモニウム基が塩化物イオン等の塩の形態である場合にはより抗菌性が増大するので、第4級アンモニウム基は、塩化物イオン等のハロゲン化物塩の形態であってもよい。
【0022】
本発明にかかる花粉吸着材を製造するには、上記の正電荷を持つ官能基を有する重合性単量体(モノマー)を、繊維材料の有機高分子主鎖上にグラフト重合する方法と、それ自体は上記の正電荷を持つ官能基を有していないが、これらの基に変換可能な官能基を有する重合性単量体を繊維材料の有機高分子主鎖上にグラフト重合した後に、グラフトされた重合体側鎖上の官能基を、正電荷を持つ官能基に変換する方法のいずれをも採用することができる。この目的で用いることのできる正電荷を持つ官能基を有する重合性単量体としては、例えば、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ビニルトリメチルアンモニウムクロライド等のビニルトリアルキルアンモニウムハライド等を挙げることができる。また、それ自体は正電荷を持つ官能基を有していないが、正電荷を持つ官能基に変換可能な官能基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸グリシジル、スチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、クロロメチルスチレン、ビニルトリアルキルベンジルアミン、ビニルベンジルハライド、ビニルアルキルハライドなどを挙げることができる。例えば、繊維材料にクロロメチルスチレンをグラフト重合した後、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して第4級アンモニウム化を行うことによって、第4級アンモニウム基を重合体側鎖上に導入することができる。
【0023】
本発明にかかる花粉吸着材は、正電荷を持つ官能基に加えて、更に親水基を有することが好ましい。花粉吸着材が親水基を有することで、花粉吸着材が水分を含浸し、これにより花粉を割裂させて、花粉内部の蛋白質を花粉吸着材内部に吸着して保持するという効果と、水分を含浸させなくても呼気による適度な加湿効果が得られ、更に使用後の水などによる洗浄が容易になるという効果が得られる。このような目的で本発明の花粉吸着材に導入することのできる親水基としては、水酸基、第1級〜第3級アミノ基、アミド基などを挙げることができる。これらの親水基は、上記に説明した正電荷を持つ官能基と同様に、放射線グラフト重合法によって花粉吸着材の繊維材料に導入することができる。
【0024】
親水基を繊維材料に導入する目的で使用することのできる重合性単量体(グラフトモノマー)としては、水酸基を有するモノマーとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等;アミノ基を有するモノマーとして、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)等;アミド基を有するモノマーとして、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン等;が挙げられる。また、例えば、メタクリル酸グリシジルをグラフト重合した後、硫酸水溶液で基材を加温処理してエポキシ基を開環させてジオール化することによって、水酸基を重合体側鎖上に導入することができる。また、ビニルアセテート等のアルキルカルボン酸又はアリルカルボン酸のビニルエステル、イソプロペニルエステル又はN−ビニルアルキルアミド等をグラフト重合した後、加水分解によって水酸基及びアミノ基を重合体側鎖上に導入することができる。
【0025】
また、第4級アンモニウム基を有するビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)は、単独で放射線グラフト重合をすることが困難なので、アクリルアミド系の親水性モノマーなどと併用して、放射線グラフト重合による官能基の導入を行うことが好ましい。
【0026】
なお、正電荷を持つ官能基の付加密度に関しては、花粉等の吸着性能を確保するためには、得られる花粉吸着材のゼータ電位が+30mV以上となるような付加密度とすることが好ましい。
【0027】
グラフト重合の際のグラフト率は、グラフト重合による重量の増加分を元の基材重量で除したときの商に100を乗じた数値(%)で表され、この数値が高くなれば、通気性が低下する代りに正電荷を持つ官能基の付加密度を高めることができる。本発明の花粉吸着材を、特にマスクとして使用する場合には、適度な通気性を確保した上で、花粉を吸着するのに十分な正電荷を持つ官能基の付加密度を得ることが重要であり、製造工程でのグラフト率及び正電荷を持つ官能基の付加密度の制御を行うことが望ましい。なお、マスクなどとして適当なグラフト率及び正電荷を持つ官能基の付加密度は、当業者が経験的に決定することができる。
【0028】
また、本発明にかかる花粉吸着材においては、花粉等の捕捉率を上げるためには、繊維の繊度を小さく、孔径を小さくすることが好ましい。しかしながら、繊度や孔径をあまり小さくすると、特にマスクとして用いる場合には圧力損失が大きくなり、呼吸に負担がかかりすぎる。従って、本発明の花粉吸着材をマスクとして使用する場合には、繊維材料の繊度を100〜500メッシュ程度にすることが好ましい。
【0029】
本発明にかかる花粉吸着材は、花粉症用の花粉除去マスクとして用いることができ、更に、室内空間に浮遊する花粉を除去するためのフィルター材料としても用いることができる。本発明の花粉吸着材をフィルター材料として用いる場合には、エアーコンディショナーの室内機吸い込み口、空気清浄機の吸い込み口、或いは室内換気口へ装着することが好ましい。また、機能性ハウスウエアとして、花粉吸着機能を有するカーテン、タペストリー、暖簾、カーペットなどの素材として用いることもできる。
【0030】
本発明の花粉吸着材をマスクとして用いる場合には、花粉吸着材の通気性をグラフト率などの調整で確保した上で、装着時のマスクと顔との隙間からの通気を抑えると共に、花粉吸着材が直接口或いは鼻に接しないように、マスクをカップ状に成形してもよい。このような成形は、繊維材料が溶融しない温度であれば、加熱によって行ってもよい。また、マスクの構造として、顔に近い順に内側フィルター層、花粉吸着材により構成される花粉吸着層、及び外側フィルター層の3層構造を形成することもできる。また、マスクとして使用する場合には、耳かけ部及び鼻当て部を更に形成することが好ましい。
【0031】
【発明の効果】
本発明にかかる花粉吸着材は、花粉症を起こす原因であるアレルゲンを含む花粉及びオービクルを吸着して再放出せず、耐久性が良好で、更に洗浄が可能で繰り返し使用することができるので、花粉除去マスクなどとしての利用価値が極めて高い。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例の記載は、本発明の可能な一つの形態を説明するものであり、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0033】
実施例1
ポリエチレン不織布(1.5g、目付23.7g/m2、繊度2デニール)に、窒素雰囲気中で電子線を照射した後、真空中で、N−ビニルピロリドンの25wt%水溶液4.8gと4−ビニル−N−ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドの25wt%水溶液1.2gとの混合溶液6gを含浸させ、50℃で2時間反応させた。得られたグラフト重合不織布を、水洗した後、減圧下で乾燥させた。重量変化より、得られたグラフト重合不織布のグラフト率を求めたところ、100%であった。中性塩交換容量から求めたN−ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドの付加量は、グラフト重合不織布中10%であった。また、得られた不織布のゼータ電位は+63.24mVであった。
【0034】
得られた不織布を赤外線吸収スペクトル及び13C-CP/MAS FT-NMRスペクトルで分析した。分析結果を下表に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004204401
【0036】
実施例2
実施例1で得られた花粉吸着不織布を用いて、花粉の吸着除去試験を行った。花粉試料としては、熟成したスギの雄花からスギ花粉を採取した。試験装置を図1に示す。花粉試料を含む空気1を、吸入口2から花粉除去室3に送り、花粉除去室3内に装着されている被検フィルター4によって、空気中の花粉を除去した。吸入口1は、漏斗状の円錐形とした。花粉除去室3に装着する被検フィルター4としては、花粉除去用マスクを想定して、空気流の上流側から、外側層(表生地):綿95wt%+ポリウレタン5wt%、芯材:ポリエステル100wt%、実施例1で得られた本発明の花粉吸着不織布、内側層(メッシュ):ポリエステル100wt%の順に積層した4層構造フィルター(直径25mmの円形、投影面積4.91cm2)を装着した。花粉除去室3を通過した空気を、次に通過花粉捕捉室5に送り、濾紙6(直径50mmの円形、アドバンテック東洋製No.5A)によって通過花粉を捕捉した。空気の流速は、吸引ポンプ8によって、ヒトの呼吸と同程度の流速として0.5m/secとなるように流量計7でモニターしながら制御した。
【0037】
試験は、簡易クリーンルーム内で行ない、花粉試料10mg(文献値では、花粉数約51,400個に相当する)を、室内空気と共に試験装置の吸入口2から少量ずつ、約1分間で吸入した。
【0038】
花粉試料の一部は試験装置内壁に付着する。この分を排除した実効花粉数を決定するために、まず、図1に示す装置で花粉除去室3に被検フィルター4を配置せずに通気を行なって、通過花粉捕捉室5の濾紙6上で捕捉した花粉数を計数した。その結果、実効花粉数(5回試験平均値)は21,300個であった。
【0039】
花粉数の計数は、通過花粉捕捉室5から濾紙6を取り外し、花粉を染色するカルベラ液(グリセリン5mL、エチルアルコール10mL、蒸留水15mL、塩基性フクシン飽和水溶液2〜3滴の混合液)を用いて染色した後、実体顕微鏡で観察して吸着した花粉粒子の数をカウントした。
【0040】
次に、花粉除去室3に上記の4層構造フィルター4を装着して同様の通気を行ない、花粉除去室3を通過した花粉を通過花粉捕捉室5の濾紙6によって捕捉した。濾紙6によって捕捉された通過花粉数を計数した結果、通過花粉数(10回試験平均値)は167.4個であった。従って、実効花粉数と通過花粉数とから本発明にかかる花粉除去材を組み込んだフィルターのスギ花粉除去率を計算すると、99.2%であった。これにより、本発明の花粉吸着材を用いると、空気中の花粉を良好に吸着除去することができることが確認された。
【0041】
また、上記とほぼ同等の条件で通気試験を行なった後の4層構造フィルター4を分解して本発明の花粉吸着不織布を取出して、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。顕微鏡写真を図2及び図3に示す。これらの顕微鏡写真から、本発明の花粉吸着材の繊維に、スギ花粉(大きな球状物)とオービクル粒子(小さい球状物)が吸着していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いた花粉吸着除去試験装置の概念図。
【図2】本発明の花粉吸着材が花粉及びオービクル粒子を吸着している状態を示す電子顕微鏡写真。
【図3】本発明の花粉吸着材が花粉及びオービクル粒子を吸着している状態を示す電子顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. 有機高分子繊維材料の高分子主鎖上に、正電荷を持つ官能基を有する重合体側鎖が導入されていることを特徴とする花粉吸着材。
  2. 重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を用いて有機高分子繊維材料の高分子主鎖上に導入されている請求項1に記載の花粉吸着材。
  3. 有機高分子繊維材料が、織布材料又は不織布材料から選択される請求項1又は2に記載の花粉吸着材。
  4. 正電荷を持つ官能基が第4級アンモニウム基であり、第4級アンモニウム基の、グラフト重合体側鎖に直接結合していないアルキル基の内の少なくとも一つのアルキル基の炭素数が2〜18である請求項1〜3のいずれかに記載の花粉吸着材。
  5. 更に親水性基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の花粉吸着材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の花粉吸着材を有する花粉症用マスク。
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