JP2004203984A - エチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】医療用材料のエチレンオキサイドガス滅菌検知用インジケーターの包装物等を作製するときに用いるヒートシールのように加熱されても、変色の色が設定の色と比べ変化しないエチレンオキサイドガス滅菌用検知用インキ組成物を提供する。
【解決手段】エチレンオキサイドガス滅菌用検知用インキ組成物において、チアゾールアゾ染料の変色触媒としてフェノール樹脂を用いることで、エチレンオキサイドガス滅菌用包装材を作製するときのヒートシール等の加熱にて塗膜から変色触媒が流れ出し又は昇華することがなく、エチレンオキサイドガス滅菌したとき設定通りの変色の色に変化がなく明確な識別性が得られるとともに、変色触媒が飛んでカーゼ等の滅菌医療具を有機酸で汚染する移染性の問題もない。
【選択図】なし
【解決手段】エチレンオキサイドガス滅菌用検知用インキ組成物において、チアゾールアゾ染料の変色触媒としてフェノール樹脂を用いることで、エチレンオキサイドガス滅菌用包装材を作製するときのヒートシール等の加熱にて塗膜から変色触媒が流れ出し又は昇華することがなく、エチレンオキサイドガス滅菌したとき設定通りの変色の色に変化がなく明確な識別性が得られるとともに、変色触媒が飛んでカーゼ等の滅菌医療具を有機酸で汚染する移染性の問題もない。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレンオキサイドガス滅菌における滅菌処理検知用インキ組成物に関するものであり、ヒートシール等の高温処理された場合でも変色不良及び酸性触媒の移染性等の不具合のないエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療用のガーゼ、包帯、脱脂綿等の材料あるいは、メス、ハサミ、注射器等の器具は一般に、それらのメーカーで予め滅菌されて病院等に納入されている。また、これらの医療用材料あるいは器具のうちで使い捨てでなく繰り返し使用できる種類のものに関しては、使用した後、病院内の中央材料室で洗浄および滅菌されて再使用に供される。これらの滅菌方法としてはエチレンオキサイドガス滅菌法や高圧蒸気滅菌法が多く用いられている。
【0003】
ところで、医療用材料あるいは器具を滅菌する場合には、滅菌後、使用時まで無菌保存する必要から、それらを個々に予め紙、布、不織布あるいはプラスチックフィルムなどから成る袋やその他の包装材料で包装し、包装のまま滅菌処理することが行われる。これらの滅菌処理される医療用材料あるいは器具の包装物の外部の目立つ箇所に、滅菌処理前と処理後とで色相が変化する滅菌インジケーターインキを印刷するか、あるいは該インジケーターインキを予め印刷してある粘着ラベル、粘着テープなどを貼着しておくことによって、滅菌処理済みの医療用材料あるいは器具の包装物と未処理のそれらとが混同されることを防止できるようにしている。ここで、該包装物に滅菌インジケーターインキを印刷する場合、エチレンオキサイドガス滅菌用インジケーターインキと高圧蒸気滅菌インジケーターインキの両方を印刷し、どちらの滅菌方法が行われても滅菌処理の有無を検知できるようにされていることが多い。
【0004】
従来、エチレンオキサイドガス滅菌用インジケーターインキとしては、特開昭51−49805号公報(特許文献1)、特開昭59−36172号公報(特許文献2)、特開昭59−219375号公報(特許文献3)、特開平04−364854号公報(特許文献4)に記載されるものが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−49805号公報
【0006】
【特許文献2】特開昭59−36172号公報
【0007】
【特許文献3】特開昭59−219375号公報
【0008】
【特許文献4】特開平04−364854号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭51−49805号公報、特開昭59−36172号公報、特開昭59−219375号公報及び特開平04−364854号公報に記載されているエチレンオキサイドガス滅菌用インジケーターインキ組成物では、変色染料の変色促進剤に酸性触媒としてアジピン酸やマロン酸等の有機酸やその金属塩、シリカ酸性白土等の無機固体酸を用いており、有機酸を使用した場合はエチレンオキサイドガス滅菌用包装材を作製するときのヒートシール等で200℃程度に加熱されると有機酸が塗膜から流れ出し又は昇華して塗膜中の有機酸が減少し、エチレンオキサイドガス滅菌したとき設定通りの変色の色とならないことがある。また塗膜から流れ出し又は昇華した有機酸がカーゼ等の滅菌医療具に移染し汚染する問題があった。かかる有機酸の移染性は、当該有機酸が紫外線発光物質である場合、病院等での紫外線消毒において移染性が目で明確に確認できることとなるので、医療器具等が非衛生的な印象を与えてしまうという問題があった。一方、無機固体酸を用いた場合は、熱に強いものの変色が不十分で顕著な識別性が得られないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、ヒートシール等の加熱に晒されても上記変色の不良や変色触媒による移染を起こさず、かつ顕著な識別性のあるエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため鋭意検討した結果、チアゾールアゾ系染料の変色促進剤に酸性触媒を用いるエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物において、酸性触媒としてフェノール樹脂を用いることを特徴とするエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物とすることで、エチレンオキサイドガス滅菌検知用インジケータが高温に晒されたとしても設定通りの変色が確保できるとともに、変色触媒の飛散による移染もなく、さらに十分顕著な識別性が得られる効果があることを見出した。
【0012】
また、前記酸性触媒として、前記フェノール樹脂とアルキルフェノール樹脂を併用するエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物とすることで、さらに変色触媒の耐熱性が高くなるため加熱による変色の防止及び耐移染性が向上する。さらに、上記エチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物を印刷したエチレンオキサイドガス滅菌用包装材とすれば、当該包装材の作製時にヒートシール等を用いたとしても上記変色及び変色触媒の移染性という問題もなく、また高圧蒸気滅菌用の包装材としても兼用できる効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるチアゾールアゾ系染料としては、例えば、C.I.Disperse Red 58、C.I.Disperse Red 88、C.I.Disperse Red 110、C.I.Disperse Red 117、C.I.Disperse Red 137、C.I.Disperse Red 177、C.I.Disperse Red 179、C.I.Disperse Red 194、C.I.Disperse Violet 43、C.I.Disperse Blue 102等を挙げることができる。これらチアゾールアゾ染料の中でも、特にC.I.Disperse Red 58 及びC.I.Disperse Red 88が、エチレンオキサイドガス滅菌インジケータとしての色相変化や色濃度等の観点から好ましい。当該チアゾールアゾ系染料の使用量は、インキ組成物全量に対し0.01〜5.0重量%の範囲で使用でき、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲で使用できる。当該使用量が0.01重量%未満のときは、色が薄くなり変色の差が小さくなり識別性に劣り、5.0重量%を超えるときは、色が濃くなり変色の差が小さくなり識別性に劣る。
【0014】
本発明に使用する変色触媒は、酸性触媒の中で耐熱性のあるものが使用できる。具体的には、フェノール樹脂であればノボラックフェノール樹脂であっても、レゾールフェノール樹脂であってもよい。また、フェノール樹脂には、酸価、軟化点、比重、色調、粘度などのその物性によりさまざまな種類のものが存在するが、軟化点が60〜180℃のものまたはノボラック型のものが塗膜の耐熱性の点で好ましく、さらに軟化点が60〜180℃であって、かつノボラック型のものがより好ましい。かかるフェノール樹脂の使用量は、インキ組成物全量に対し1〜30重量%の範囲で使用でき、好ましくは5〜20重量%の範囲で使用できる。当該使用量が1重量%未満のときは、十分な触媒効果が得られない。また、変色触媒としては、フェノール樹脂を必須としフェノール樹脂のベンゼン環に分子量150以下のアルキル基を置換したアルキルフェノール樹脂をフェノール樹脂の触媒機能を低下させない範囲で併用できる。併用することでエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物の耐熱性が向上するため、変色性及び耐移染性がさらに良くなる。アルキルフェノールの具体的商品としては、タマノル100S(荒川化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0015】
溶剤としては、通常、印刷用のインキ組成物に用いられる溶剤であればいずれも使用できる。例えば、アルコール系、エステル系、エーテル系、ケトン系、炭化水素系等の各種溶剤が使用でき、使用する染料、樹脂の溶解性等に応じて適宜選択すれば良い。
【0016】
樹脂としては、印刷用のインキ組成物に用いられている公知の樹脂成分を使用でき、具体的にはロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレンアクリル酸共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリアミドが使用できる。インキ組成物の耐熱性の点で軟化点が100℃以上のものを用いると良い。
当該樹脂の使用量は、印刷インキの種類により異なるが、通常インキ組成物全量に対し1〜50重量%の範囲で使用できる。当該使用量が1重量%未満のときは、塗膜の耐久性に劣り、50重量%を超えるときは、印刷インキに適さなくなる。
添加剤としては、染料の溶解性を良くすることができれば、特に制限されず、例えば1,3-Dimethyl-2-Imidazolidinone等が挙げられる。これら添加剤を添加することにより、主として色濃度を向上させることができる。その他溶解助剤、非変色色素、消泡剤、レベリング剤等が添加することができる。
これら各成分は、同時に又は順次に配合し、デゾルバー等の公知の撹拌機を用いて均一に混合すれば良い。例えば、まず溶剤にフェノール樹脂、樹脂、チアゾールアゾ系染料、添加剤等を順に配合し、混合・撹拌すれば良い。
以上の様な工程でインキ化できるが、印刷条件に適する様に溶剤の選択添加、その他の補助剤も加えて最終インキとする。出来上がったインキはグラビア印刷、フレキソ印刷に適したものである。
本発明のエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物は、滅菌紙に印刷することで、ラベル状、テープ状等のインジケータとすることができる。また、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等と滅菌紙を重ね中に滅菌する医療器具等を入れ周囲をヒートシールで密着することで滅菌用包装材とすることができる。当該包装材の滅菌紙にエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物及び高圧蒸気滅菌検知用インキ組成物の両方を印刷することで、当該包装材は、エチレンオキサイドガス滅菌検知用にも高圧蒸気滅菌検知用にも使用できる効果がある。かかる場合、本発明のインキ組成物を用いると、高圧蒸気滅菌に使用しても、さらにエチレンオキサイドガス滅菌に何の支障のなく使用できる利便性がある。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明の特徴をより一層明確にする。具体的には、表1に実施例、表2に比較例の組成及びその結果を示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
尚、表中の組成の詳細を以下に記す・
フェノール樹脂1:スーパーベッカサイト1001(大日本インキ化学工業株式会社製)
フェノール樹脂2:スーパーベッカサイト3011(大日本インキ化学工業株式会社製)
フェノール樹脂3:タマノルPA(荒川化学工業株式会社製)
フェノール樹脂4:タマノル758(荒川化学工業株式会社製)
ロジン変性マレイン酸樹脂:マルキードNo.31(荒川化学工業株式会社製)
スチレンアクリル酸共重合体:ジョンクリル611(ジョンソンポリマー製)
アルキルフェノール樹脂:ヒタノール1002(日立化成工業株式会社製)
エチルセルロース:エトセル10(ダウケミカル製)
ニトロセルロース:硝化綿FQRS1/8(ダイセル株式会社製)
表中、作製したインキ組成物は実施例1〜4及び比較例1〜3はグラビア印刷にて、実施例5〜8及び比較例4〜6はフレキソ印刷にてそれぞれ滅菌紙に印刷した。また、評価はサンプル塗膜をアイロンテスターで200℃、2秒間加熱したものと加熱していないものをそれぞれエチレンオキサイドガス(エチレンオキサイド20%、炭酸ガス80%の混合ガス)で50℃3時間滅菌処理した。次に処理後の変色の色を加熱したものと加熱していないものの色の相違を目視にて比較した。その結果、実施例では、当該色の相違は認められなかったが、比較例においては当該色の相違が認められた。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、変色触媒として耐熱性の高いフェノール樹脂を用いるため、エチレンオキサイドガス滅菌用包装材を作製するときのヒートシール等の加熱にて塗膜から変色触媒が流れ出し又は昇華することがなく、エチレンオキサイドガス滅菌したとき設定通りの変色の色に変化がなく明確な識別性が得られるとともに、変色触媒が飛んでカーゼ等の滅菌医療具を有機酸で汚染する移染性の問題もない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレンオキサイドガス滅菌における滅菌処理検知用インキ組成物に関するものであり、ヒートシール等の高温処理された場合でも変色不良及び酸性触媒の移染性等の不具合のないエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療用のガーゼ、包帯、脱脂綿等の材料あるいは、メス、ハサミ、注射器等の器具は一般に、それらのメーカーで予め滅菌されて病院等に納入されている。また、これらの医療用材料あるいは器具のうちで使い捨てでなく繰り返し使用できる種類のものに関しては、使用した後、病院内の中央材料室で洗浄および滅菌されて再使用に供される。これらの滅菌方法としてはエチレンオキサイドガス滅菌法や高圧蒸気滅菌法が多く用いられている。
【0003】
ところで、医療用材料あるいは器具を滅菌する場合には、滅菌後、使用時まで無菌保存する必要から、それらを個々に予め紙、布、不織布あるいはプラスチックフィルムなどから成る袋やその他の包装材料で包装し、包装のまま滅菌処理することが行われる。これらの滅菌処理される医療用材料あるいは器具の包装物の外部の目立つ箇所に、滅菌処理前と処理後とで色相が変化する滅菌インジケーターインキを印刷するか、あるいは該インジケーターインキを予め印刷してある粘着ラベル、粘着テープなどを貼着しておくことによって、滅菌処理済みの医療用材料あるいは器具の包装物と未処理のそれらとが混同されることを防止できるようにしている。ここで、該包装物に滅菌インジケーターインキを印刷する場合、エチレンオキサイドガス滅菌用インジケーターインキと高圧蒸気滅菌インジケーターインキの両方を印刷し、どちらの滅菌方法が行われても滅菌処理の有無を検知できるようにされていることが多い。
【0004】
従来、エチレンオキサイドガス滅菌用インジケーターインキとしては、特開昭51−49805号公報(特許文献1)、特開昭59−36172号公報(特許文献2)、特開昭59−219375号公報(特許文献3)、特開平04−364854号公報(特許文献4)に記載されるものが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−49805号公報
【0006】
【特許文献2】特開昭59−36172号公報
【0007】
【特許文献3】特開昭59−219375号公報
【0008】
【特許文献4】特開平04−364854号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭51−49805号公報、特開昭59−36172号公報、特開昭59−219375号公報及び特開平04−364854号公報に記載されているエチレンオキサイドガス滅菌用インジケーターインキ組成物では、変色染料の変色促進剤に酸性触媒としてアジピン酸やマロン酸等の有機酸やその金属塩、シリカ酸性白土等の無機固体酸を用いており、有機酸を使用した場合はエチレンオキサイドガス滅菌用包装材を作製するときのヒートシール等で200℃程度に加熱されると有機酸が塗膜から流れ出し又は昇華して塗膜中の有機酸が減少し、エチレンオキサイドガス滅菌したとき設定通りの変色の色とならないことがある。また塗膜から流れ出し又は昇華した有機酸がカーゼ等の滅菌医療具に移染し汚染する問題があった。かかる有機酸の移染性は、当該有機酸が紫外線発光物質である場合、病院等での紫外線消毒において移染性が目で明確に確認できることとなるので、医療器具等が非衛生的な印象を与えてしまうという問題があった。一方、無機固体酸を用いた場合は、熱に強いものの変色が不十分で顕著な識別性が得られないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、ヒートシール等の加熱に晒されても上記変色の不良や変色触媒による移染を起こさず、かつ顕著な識別性のあるエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため鋭意検討した結果、チアゾールアゾ系染料の変色促進剤に酸性触媒を用いるエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物において、酸性触媒としてフェノール樹脂を用いることを特徴とするエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物とすることで、エチレンオキサイドガス滅菌検知用インジケータが高温に晒されたとしても設定通りの変色が確保できるとともに、変色触媒の飛散による移染もなく、さらに十分顕著な識別性が得られる効果があることを見出した。
【0012】
また、前記酸性触媒として、前記フェノール樹脂とアルキルフェノール樹脂を併用するエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物とすることで、さらに変色触媒の耐熱性が高くなるため加熱による変色の防止及び耐移染性が向上する。さらに、上記エチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物を印刷したエチレンオキサイドガス滅菌用包装材とすれば、当該包装材の作製時にヒートシール等を用いたとしても上記変色及び変色触媒の移染性という問題もなく、また高圧蒸気滅菌用の包装材としても兼用できる効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるチアゾールアゾ系染料としては、例えば、C.I.Disperse Red 58、C.I.Disperse Red 88、C.I.Disperse Red 110、C.I.Disperse Red 117、C.I.Disperse Red 137、C.I.Disperse Red 177、C.I.Disperse Red 179、C.I.Disperse Red 194、C.I.Disperse Violet 43、C.I.Disperse Blue 102等を挙げることができる。これらチアゾールアゾ染料の中でも、特にC.I.Disperse Red 58 及びC.I.Disperse Red 88が、エチレンオキサイドガス滅菌インジケータとしての色相変化や色濃度等の観点から好ましい。当該チアゾールアゾ系染料の使用量は、インキ組成物全量に対し0.01〜5.0重量%の範囲で使用でき、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲で使用できる。当該使用量が0.01重量%未満のときは、色が薄くなり変色の差が小さくなり識別性に劣り、5.0重量%を超えるときは、色が濃くなり変色の差が小さくなり識別性に劣る。
【0014】
本発明に使用する変色触媒は、酸性触媒の中で耐熱性のあるものが使用できる。具体的には、フェノール樹脂であればノボラックフェノール樹脂であっても、レゾールフェノール樹脂であってもよい。また、フェノール樹脂には、酸価、軟化点、比重、色調、粘度などのその物性によりさまざまな種類のものが存在するが、軟化点が60〜180℃のものまたはノボラック型のものが塗膜の耐熱性の点で好ましく、さらに軟化点が60〜180℃であって、かつノボラック型のものがより好ましい。かかるフェノール樹脂の使用量は、インキ組成物全量に対し1〜30重量%の範囲で使用でき、好ましくは5〜20重量%の範囲で使用できる。当該使用量が1重量%未満のときは、十分な触媒効果が得られない。また、変色触媒としては、フェノール樹脂を必須としフェノール樹脂のベンゼン環に分子量150以下のアルキル基を置換したアルキルフェノール樹脂をフェノール樹脂の触媒機能を低下させない範囲で併用できる。併用することでエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物の耐熱性が向上するため、変色性及び耐移染性がさらに良くなる。アルキルフェノールの具体的商品としては、タマノル100S(荒川化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0015】
溶剤としては、通常、印刷用のインキ組成物に用いられる溶剤であればいずれも使用できる。例えば、アルコール系、エステル系、エーテル系、ケトン系、炭化水素系等の各種溶剤が使用でき、使用する染料、樹脂の溶解性等に応じて適宜選択すれば良い。
【0016】
樹脂としては、印刷用のインキ組成物に用いられている公知の樹脂成分を使用でき、具体的にはロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレンアクリル酸共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリアミドが使用できる。インキ組成物の耐熱性の点で軟化点が100℃以上のものを用いると良い。
当該樹脂の使用量は、印刷インキの種類により異なるが、通常インキ組成物全量に対し1〜50重量%の範囲で使用できる。当該使用量が1重量%未満のときは、塗膜の耐久性に劣り、50重量%を超えるときは、印刷インキに適さなくなる。
添加剤としては、染料の溶解性を良くすることができれば、特に制限されず、例えば1,3-Dimethyl-2-Imidazolidinone等が挙げられる。これら添加剤を添加することにより、主として色濃度を向上させることができる。その他溶解助剤、非変色色素、消泡剤、レベリング剤等が添加することができる。
これら各成分は、同時に又は順次に配合し、デゾルバー等の公知の撹拌機を用いて均一に混合すれば良い。例えば、まず溶剤にフェノール樹脂、樹脂、チアゾールアゾ系染料、添加剤等を順に配合し、混合・撹拌すれば良い。
以上の様な工程でインキ化できるが、印刷条件に適する様に溶剤の選択添加、その他の補助剤も加えて最終インキとする。出来上がったインキはグラビア印刷、フレキソ印刷に適したものである。
本発明のエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物は、滅菌紙に印刷することで、ラベル状、テープ状等のインジケータとすることができる。また、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等と滅菌紙を重ね中に滅菌する医療器具等を入れ周囲をヒートシールで密着することで滅菌用包装材とすることができる。当該包装材の滅菌紙にエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物及び高圧蒸気滅菌検知用インキ組成物の両方を印刷することで、当該包装材は、エチレンオキサイドガス滅菌検知用にも高圧蒸気滅菌検知用にも使用できる効果がある。かかる場合、本発明のインキ組成物を用いると、高圧蒸気滅菌に使用しても、さらにエチレンオキサイドガス滅菌に何の支障のなく使用できる利便性がある。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明の特徴をより一層明確にする。具体的には、表1に実施例、表2に比較例の組成及びその結果を示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
尚、表中の組成の詳細を以下に記す・
フェノール樹脂1:スーパーベッカサイト1001(大日本インキ化学工業株式会社製)
フェノール樹脂2:スーパーベッカサイト3011(大日本インキ化学工業株式会社製)
フェノール樹脂3:タマノルPA(荒川化学工業株式会社製)
フェノール樹脂4:タマノル758(荒川化学工業株式会社製)
ロジン変性マレイン酸樹脂:マルキードNo.31(荒川化学工業株式会社製)
スチレンアクリル酸共重合体:ジョンクリル611(ジョンソンポリマー製)
アルキルフェノール樹脂:ヒタノール1002(日立化成工業株式会社製)
エチルセルロース:エトセル10(ダウケミカル製)
ニトロセルロース:硝化綿FQRS1/8(ダイセル株式会社製)
表中、作製したインキ組成物は実施例1〜4及び比較例1〜3はグラビア印刷にて、実施例5〜8及び比較例4〜6はフレキソ印刷にてそれぞれ滅菌紙に印刷した。また、評価はサンプル塗膜をアイロンテスターで200℃、2秒間加熱したものと加熱していないものをそれぞれエチレンオキサイドガス(エチレンオキサイド20%、炭酸ガス80%の混合ガス)で50℃3時間滅菌処理した。次に処理後の変色の色を加熱したものと加熱していないものの色の相違を目視にて比較した。その結果、実施例では、当該色の相違は認められなかったが、比較例においては当該色の相違が認められた。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、変色触媒として耐熱性の高いフェノール樹脂を用いるため、エチレンオキサイドガス滅菌用包装材を作製するときのヒートシール等の加熱にて塗膜から変色触媒が流れ出し又は昇華することがなく、エチレンオキサイドガス滅菌したとき設定通りの変色の色に変化がなく明確な識別性が得られるとともに、変色触媒が飛んでカーゼ等の滅菌医療具を有機酸で汚染する移染性の問題もない。
Claims (3)
- チアゾールアゾ系染料の変色促進剤に酸性触媒を用いるエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物において、酸性触媒としてフェノール樹脂を用いることを特徴とするエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物。
- 前記酸性触媒として、前記フェノール樹脂とアルキルフェノール樹脂を併用する請求項1記載のエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物。
- 請求項1及び請求項2に記載のエチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物を印刷したエチレンオキサイドガス滅菌用包装材。
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JP2002373329A JP2004203984A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | エチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物 |
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JP2002373329A JP2004203984A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | エチレンオキサイドガス滅菌検知用インキ組成物 |
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ID=32811635
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