JP2004203850A - 胃腸用組成物及び口腔用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】粘膜底部に存在するヘリコバクター・ピロリ菌の炎症誘発物質リポポリサッカライドに対して高い毒性抑制作用を有し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防又は治療、並びに口臭、歯周病などの口腔疾患の予防等に効果がある胃腸用組成物及び口腔用組成物を提供する。
【解決手段】ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)と非FGF糖タンパク質(B)とを含有することを特徴とする胃腸用組成物及び口腔用組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)と非FGF糖タンパク質(B)とを含有することを特徴とする胃腸用組成物及び口腔用組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、口臭、歯周病などの原因菌であるとされているヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の炎症誘発物質であるリポポリサッカライドの毒性を抑制し、消化器系潰瘍発症及び口腔疾患の予防・治療に有用な組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリコバクター・ピロリは、ヒトの慢性胃炎、消化器系潰瘍、口腔疾患の原因菌であり、更に胃ガンとの関連性も高く、1994年6月、WHOの国際ガン研究機関(IACR)により、最高ランクの“もっとも危険な発ガン要因”として分類されている。我国におけるこの菌の感染率は約5割であると報告されており(非特許文献1参照)、感染、発症予防技術の確立が急務である。現在、ピロリ菌感染者は、抗生物質2種類と、プロトンポンプ阻害剤による3剤療法により80〜90%の確率で除菌が可能になっている。しかし、保険適用は潰瘍発症者に限られ多くの感染者は治療を受けられない。さらに、治療には、下痢、嘔吐などの副作用、耐性菌の出現など、多くの問題点がある。よって、より安全性が高く、かつ一般の人が手軽に使用可能なヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制効果を有する胃腸用組成物が望まれている。更に、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃粘膜底部に存在しているため、毒性抑制剤を効率よく運搬するドラッグデリバリーシステムの考案も強く望まれている。また近年、FGF(繊維芽細胞成長因子)、特にFGF−10が消化管組織再生賦活剤として機能することが報告された(特許文献1)が、これらはピロリ菌の毒性を低減することが出来ないため、ピロリ菌誘発性発症の根本的な予防・治療効果は期待できないのが現状である。更に又、口腔分野においても、より安全性が高く、かつ一般の人が手軽に使用可能なヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制効果を有する口腔用組成物が望まれている。
【0003】
【非特許文献1】
福田能啓、他4名,「H.pylori感染の疫学」,日本臨牀,2001−2,第59巻,第2号,p.234−238
【特許文献1】
特開平10−330283号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤と併用するとヘリコバクター・ピロリの炎症誘発物質リポポリサッカライド対して毒性抑制効果が高まる物質を見出し、それを応用した胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防・治療や、口臭、歯周病などの口腔疾患の予防等に有用な組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者ら前記課題を達成するため鋭意検討の結果、問題点の多い抗生物質や消化管組織再生賦活化剤を併用するのではなく、非FGF糖タンパク質を併用することにより毒性抑制効果が顕著に向上することを見いだした。
【0006】
即ち、本発明によれば、ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)と非FGF糖タンパク質(B)とを含有することを特徴とする胃腸用組成物及び口腔用組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0008】
本発明で用いるヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)とは、ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制作用を有する薬剤成分の単独もしくは2種以上の混合物をいう。好適には、リゾチーム、ポリリジン、ポリミキシン及びそれらの塩を挙げることができ、これらを単独もしくは2種以上併用して用いることができる。これらの好適な薬剤成分は、一般的な方法で抽出・精製することによって得ることができるものである。
【0009】
ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)の胃腸用組成物及び口腔用組成物における配合量は、組成物全量に対して0.001〜5%(質量百分率、以下同様)、特に0.01〜2%とすることが好ましく、0.001%に満たないとその毒性抑制作用が十分に発揮されず、満足な効果が得られない場合があり、5%を超えると経済的に不利になる場合がある。
【0010】
次に、本発明で用いる非FGF糖タンパク質(B)とは、限定されるものではないが、好適にはムチン、ムコタンパク質、ムコイド及びその塩を挙げることができ、これらを単独もしくは2種以上併用して用いることができる。これらの好適な糖タンパク質は一般的な方法で抽出・精製することによって得ることができる。
【0011】
非FGF糖タンパク質(B)の胃腸用組成物及び口腔用組成物における配合量は、ヘリコバクターピロリ菌毒性抑制剤(A)に対して0.01〜10%、特に0.1〜2%とすることが好ましい。0.01%に満たないとその毒性抑制作用が十分に発揮されず、満足な効果が得られない場合があり、10%を超えると経済的に不利になる場合がある。
【0012】
本発明の胃腸用組成物及び口腔用組成物は、前記毒性抑制剤(A)と前記タンパク質とを併用配合するものであるが、胃腸用組成物分野及び口腔用組成物分野で用いられる各種の他の活性成分を含んでいてもよい。このような活性成分には、胃腸薬配合成分、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化マグネシウム・炭酸マグネシウム共沈生成物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートなどの制酸剤、ゲンチアナ、センブリ、ホミカ、リュウタン、トウヒ、ウイキョウ、塩化カルニチン、グルタミン酸塩酸塩、塩酸ベタイン、塩化ベタネコールなどの健胃剤、パンクレアチン、ペプシン、塩酸リモナーゼ、ウルソデヌオキソコール酸、コール酸、胆汁末、デヒドロコール酸などの消化剤、赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコなどの整腸剤、ロペラミド、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、塩化ベルベリンなどの止瀉剤、塩酸ジサイクロミン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルスコポラミン、塩酸パパベリン、ヨウ化イソプロパミド、ベラドンナエキス、ロートエキスなどの鎮痛鎮痙剤、スクラルファート、スルピリド、ゲファルナート、テプレノンなどの粘膜修復剤などが含まれる。これらの活性成分は一種又は二種以上使用できる。
【0013】
また、必要であれば、他の種々の健胃生薬成分、例えば、ダイオウ、ショウキョウ、モッコウ、クジン、セキショウコン、アセンヤク、アロエ末、サンナ、シャクヤク、チョウジ、ケイヒ、コウブシ、サンショウ、ガジュツ、オウバクなどの生薬末又は抽出成分を含んでいてもよい。さらに、必要に応じて、ビスマス製剤、メトロニダゾール、チニダゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンなどの各種抗菌薬と併用してもよい。さらに、抗潰瘍薬、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジンなどのヒスタミンH2受容体拮抗剤やオメプラゾール、ランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤などとの併用も可能である。
【0014】
本発明の剤型は特に制限されず、胃腸用組成物及び口腔用組成物において用いられる通常の剤型を採用し得る。例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル剤、ガム剤などの固形製剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、ドリンク剤などの液剤である。
【0015】
製剤の調製には、製剤の種類に応じて慣用の担体成分が使用できる。例えば、固形製剤の調製には、慣用の成分、例えば、デンプン、乳糖、ショ糖、キシリトール、マンニトール、コーンスターチなどの糖類、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、軽質無水ケイ酸などの賦形剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカなどの滑沢剤;デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤、崩壊助剤、保湿剤、界面活性剤などが使用できる。液剤の調製には、慣用の成分、例えば水、エチルアルコール、エチレングリコールなどの溶剤、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの溶解補助剤、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などの懸濁化剤、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどの等張化剤、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝剤、ベンジルアルコールなどの無痛化剤、ブドウ糖、アミノ酸などが使用できる。
【0016】
前記固形製剤や液剤には、必要に応じて、保存剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、増粘剤、可塑剤、吸着剤、香料、着色剤、矯味矯臭剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用できる。本発明の胃腸用組成物及び口腔用組成物は、製剤の剤型に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造できる。なお、製剤の製造に関しては、日本薬局方製剤総則の各項を参照できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の胃腸用組成物及び口腔用組成物は、粘膜底部に存在するヘリコバクター・ピロリ菌の炎症誘発物質リポポリサッカライドに対して高い毒性抑制作用を有し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防又は治療、並びに口臭、歯周病などの口腔疾患の予防等に効果がある。
【0018】
【実施例】
以下に、実験例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0019】
[実験例]
標準株Helicobacter pylori ATCC 43504より抽出、精製したリポポリサッカライドを0.1%含み、アラビアゴムを配合することにより胃滞留性を向上させた懸濁液1.5mLを、ラット(SD系、オス、5週齢)に胃内投与した。2時間後、さらにHelicobacter pylori ATCC 43504懸濁液1.5mLを胃内投与した。2時間放置後、(i)蒸留水、(ii)0.1%リゾチーム水溶液、(iii)1%ムチン水溶液、(iv)1%ムチン+0.1%リゾチーム水溶液、(v)1%ムチン+0.1%ポリリジン水溶液、(vi)1%ムチン+0.1%ポリミキシン水溶液、(vii)1%ムコタンパク質+0.1%リゾチーム水溶液、(viii)1%ムコイド+0.1%リゾチーム水溶液、(ix)1%ムコイド+0.1%ポリミキシン水溶液1.5mLをそれぞれ上記ラットに胃内投与(各3匹)した。尚、ムチン、ムコイド、ムコタンパク質は、それぞれ、ブタ胃由来ムチン、ウシ血清由来オロソムコイド、チキン由来プロテオグリカンを用いた。又、リゾチーム、ポリリジン、ポリミキシンは、それぞれ、卵白由来リゾチーム、ポリ−L−リジン、ポリミキシンBを用いた。4時間後、胃を摘出し、切開後ADAMIの判定基準により、胃障害度を判定した。結果を表1に示す。
【0020】
<ADAMIの判定基準>
0:正常
1:出血またはびらん
2:1〜4個の小潰瘍(直径3mm以下)
3:5個以上の小潰瘍又は直径3mm以下の大潰瘍1個
4:多数の大潰瘍
5:穿孔性潰瘍
【0021】
【表1】
【0022】
表1から明らかなように、リゾチームは、ヘリコバクター・ピロリ菌の毒性抑制作用を有し、かつ糖タンパク質のムチンが、その効果を顕著に増大させることが解る。即ち、粘膜底部に存在するヘリコバクター・ピロリ菌に対して高い毒性抑制作用を有し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防又は治療、さ並びに口臭、歯周病などの口腔疾患の予防に有用であることが理解される。
【0023】
以下に、各種製剤での配合例(実施例)を示す。
【0024】
上記原料を配合し、打錠して錠剤(500mg)とした。
【0025】
上記原料を混合し、分包(500mg)した。
【0026】
上記原料を混合し、カプセル中に分包(300mg)した。
【0027】
上記原料を混合し、ガム剤型(1個1.5g)とした。
【0028】
上記原料を混合し、シロップ剤型(10mL)とした。
【発明の属する技術分野】
本発明は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、口臭、歯周病などの原因菌であるとされているヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の炎症誘発物質であるリポポリサッカライドの毒性を抑制し、消化器系潰瘍発症及び口腔疾患の予防・治療に有用な組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリコバクター・ピロリは、ヒトの慢性胃炎、消化器系潰瘍、口腔疾患の原因菌であり、更に胃ガンとの関連性も高く、1994年6月、WHOの国際ガン研究機関(IACR)により、最高ランクの“もっとも危険な発ガン要因”として分類されている。我国におけるこの菌の感染率は約5割であると報告されており(非特許文献1参照)、感染、発症予防技術の確立が急務である。現在、ピロリ菌感染者は、抗生物質2種類と、プロトンポンプ阻害剤による3剤療法により80〜90%の確率で除菌が可能になっている。しかし、保険適用は潰瘍発症者に限られ多くの感染者は治療を受けられない。さらに、治療には、下痢、嘔吐などの副作用、耐性菌の出現など、多くの問題点がある。よって、より安全性が高く、かつ一般の人が手軽に使用可能なヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制効果を有する胃腸用組成物が望まれている。更に、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃粘膜底部に存在しているため、毒性抑制剤を効率よく運搬するドラッグデリバリーシステムの考案も強く望まれている。また近年、FGF(繊維芽細胞成長因子)、特にFGF−10が消化管組織再生賦活剤として機能することが報告された(特許文献1)が、これらはピロリ菌の毒性を低減することが出来ないため、ピロリ菌誘発性発症の根本的な予防・治療効果は期待できないのが現状である。更に又、口腔分野においても、より安全性が高く、かつ一般の人が手軽に使用可能なヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制効果を有する口腔用組成物が望まれている。
【0003】
【非特許文献1】
福田能啓、他4名,「H.pylori感染の疫学」,日本臨牀,2001−2,第59巻,第2号,p.234−238
【特許文献1】
特開平10−330283号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤と併用するとヘリコバクター・ピロリの炎症誘発物質リポポリサッカライド対して毒性抑制効果が高まる物質を見出し、それを応用した胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防・治療や、口臭、歯周病などの口腔疾患の予防等に有用な組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者ら前記課題を達成するため鋭意検討の結果、問題点の多い抗生物質や消化管組織再生賦活化剤を併用するのではなく、非FGF糖タンパク質を併用することにより毒性抑制効果が顕著に向上することを見いだした。
【0006】
即ち、本発明によれば、ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)と非FGF糖タンパク質(B)とを含有することを特徴とする胃腸用組成物及び口腔用組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0008】
本発明で用いるヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)とは、ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制作用を有する薬剤成分の単独もしくは2種以上の混合物をいう。好適には、リゾチーム、ポリリジン、ポリミキシン及びそれらの塩を挙げることができ、これらを単独もしくは2種以上併用して用いることができる。これらの好適な薬剤成分は、一般的な方法で抽出・精製することによって得ることができるものである。
【0009】
ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)の胃腸用組成物及び口腔用組成物における配合量は、組成物全量に対して0.001〜5%(質量百分率、以下同様)、特に0.01〜2%とすることが好ましく、0.001%に満たないとその毒性抑制作用が十分に発揮されず、満足な効果が得られない場合があり、5%を超えると経済的に不利になる場合がある。
【0010】
次に、本発明で用いる非FGF糖タンパク質(B)とは、限定されるものではないが、好適にはムチン、ムコタンパク質、ムコイド及びその塩を挙げることができ、これらを単独もしくは2種以上併用して用いることができる。これらの好適な糖タンパク質は一般的な方法で抽出・精製することによって得ることができる。
【0011】
非FGF糖タンパク質(B)の胃腸用組成物及び口腔用組成物における配合量は、ヘリコバクターピロリ菌毒性抑制剤(A)に対して0.01〜10%、特に0.1〜2%とすることが好ましい。0.01%に満たないとその毒性抑制作用が十分に発揮されず、満足な効果が得られない場合があり、10%を超えると経済的に不利になる場合がある。
【0012】
本発明の胃腸用組成物及び口腔用組成物は、前記毒性抑制剤(A)と前記タンパク質とを併用配合するものであるが、胃腸用組成物分野及び口腔用組成物分野で用いられる各種の他の活性成分を含んでいてもよい。このような活性成分には、胃腸薬配合成分、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化マグネシウム・炭酸マグネシウム共沈生成物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートなどの制酸剤、ゲンチアナ、センブリ、ホミカ、リュウタン、トウヒ、ウイキョウ、塩化カルニチン、グルタミン酸塩酸塩、塩酸ベタイン、塩化ベタネコールなどの健胃剤、パンクレアチン、ペプシン、塩酸リモナーゼ、ウルソデヌオキソコール酸、コール酸、胆汁末、デヒドロコール酸などの消化剤、赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコなどの整腸剤、ロペラミド、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、塩化ベルベリンなどの止瀉剤、塩酸ジサイクロミン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルスコポラミン、塩酸パパベリン、ヨウ化イソプロパミド、ベラドンナエキス、ロートエキスなどの鎮痛鎮痙剤、スクラルファート、スルピリド、ゲファルナート、テプレノンなどの粘膜修復剤などが含まれる。これらの活性成分は一種又は二種以上使用できる。
【0013】
また、必要であれば、他の種々の健胃生薬成分、例えば、ダイオウ、ショウキョウ、モッコウ、クジン、セキショウコン、アセンヤク、アロエ末、サンナ、シャクヤク、チョウジ、ケイヒ、コウブシ、サンショウ、ガジュツ、オウバクなどの生薬末又は抽出成分を含んでいてもよい。さらに、必要に応じて、ビスマス製剤、メトロニダゾール、チニダゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシンなどの各種抗菌薬と併用してもよい。さらに、抗潰瘍薬、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジンなどのヒスタミンH2受容体拮抗剤やオメプラゾール、ランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤などとの併用も可能である。
【0014】
本発明の剤型は特に制限されず、胃腸用組成物及び口腔用組成物において用いられる通常の剤型を採用し得る。例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル剤、ガム剤などの固形製剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、ドリンク剤などの液剤である。
【0015】
製剤の調製には、製剤の種類に応じて慣用の担体成分が使用できる。例えば、固形製剤の調製には、慣用の成分、例えば、デンプン、乳糖、ショ糖、キシリトール、マンニトール、コーンスターチなどの糖類、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、軽質無水ケイ酸などの賦形剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカなどの滑沢剤;デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤、崩壊助剤、保湿剤、界面活性剤などが使用できる。液剤の調製には、慣用の成分、例えば水、エチルアルコール、エチレングリコールなどの溶剤、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの溶解補助剤、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などの懸濁化剤、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどの等張化剤、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝剤、ベンジルアルコールなどの無痛化剤、ブドウ糖、アミノ酸などが使用できる。
【0016】
前記固形製剤や液剤には、必要に応じて、保存剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、増粘剤、可塑剤、吸着剤、香料、着色剤、矯味矯臭剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用できる。本発明の胃腸用組成物及び口腔用組成物は、製剤の剤型に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造できる。なお、製剤の製造に関しては、日本薬局方製剤総則の各項を参照できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の胃腸用組成物及び口腔用組成物は、粘膜底部に存在するヘリコバクター・ピロリ菌の炎症誘発物質リポポリサッカライドに対して高い毒性抑制作用を有し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防又は治療、並びに口臭、歯周病などの口腔疾患の予防等に効果がある。
【0018】
【実施例】
以下に、実験例及び実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0019】
[実験例]
標準株Helicobacter pylori ATCC 43504より抽出、精製したリポポリサッカライドを0.1%含み、アラビアゴムを配合することにより胃滞留性を向上させた懸濁液1.5mLを、ラット(SD系、オス、5週齢)に胃内投与した。2時間後、さらにHelicobacter pylori ATCC 43504懸濁液1.5mLを胃内投与した。2時間放置後、(i)蒸留水、(ii)0.1%リゾチーム水溶液、(iii)1%ムチン水溶液、(iv)1%ムチン+0.1%リゾチーム水溶液、(v)1%ムチン+0.1%ポリリジン水溶液、(vi)1%ムチン+0.1%ポリミキシン水溶液、(vii)1%ムコタンパク質+0.1%リゾチーム水溶液、(viii)1%ムコイド+0.1%リゾチーム水溶液、(ix)1%ムコイド+0.1%ポリミキシン水溶液1.5mLをそれぞれ上記ラットに胃内投与(各3匹)した。尚、ムチン、ムコイド、ムコタンパク質は、それぞれ、ブタ胃由来ムチン、ウシ血清由来オロソムコイド、チキン由来プロテオグリカンを用いた。又、リゾチーム、ポリリジン、ポリミキシンは、それぞれ、卵白由来リゾチーム、ポリ−L−リジン、ポリミキシンBを用いた。4時間後、胃を摘出し、切開後ADAMIの判定基準により、胃障害度を判定した。結果を表1に示す。
【0020】
<ADAMIの判定基準>
0:正常
1:出血またはびらん
2:1〜4個の小潰瘍(直径3mm以下)
3:5個以上の小潰瘍又は直径3mm以下の大潰瘍1個
4:多数の大潰瘍
5:穿孔性潰瘍
【0021】
【表1】
【0022】
表1から明らかなように、リゾチームは、ヘリコバクター・ピロリ菌の毒性抑制作用を有し、かつ糖タンパク質のムチンが、その効果を顕著に増大させることが解る。即ち、粘膜底部に存在するヘリコバクター・ピロリ菌に対して高い毒性抑制作用を有し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の予防又は治療、さ並びに口臭、歯周病などの口腔疾患の予防に有用であることが理解される。
【0023】
以下に、各種製剤での配合例(実施例)を示す。
【0024】
上記原料を配合し、打錠して錠剤(500mg)とした。
【0025】
上記原料を混合し、分包(500mg)した。
【0026】
上記原料を混合し、カプセル中に分包(300mg)した。
【0027】
上記原料を混合し、ガム剤型(1個1.5g)とした。
【0028】
上記原料を混合し、シロップ剤型(10mL)とした。
Claims (3)
- ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)と非FGF糖タンパク質(B)とを含有することを特徴とする胃腸用組成物及び口腔用組成物。
- ヘリコバクター・ピロリ菌毒性抑制剤(A)が、リゾチーム、ポリリジン、ポリミキシンから選ばれる1種もしくは2種以上である請求項1記載の胃腸用組成物及び口腔用組成物。
- 非FGF糖タンパク質(B)が、ムチン、ムコタンパク質、ムコイドから選ばれる1種もしくは2種以上である請求項1又は2記載の胃腸用組成物及び口腔用組成物。
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---|---|---|---|
JP2002383533A JP2004203850A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 胃腸用組成物及び口腔用組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2022525509A (ja) * | 2019-03-12 | 2022-05-17 | 杭州英健生物科技有限公司 | 消化管粘膜用保護接着剤 |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002383533A patent/JP2004203850A/ja active Pending
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