JP2004202408A - 吸着体及びそれを用いた二酸化炭素の大容量連続除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】二酸化炭素吸着容量が大きく、中容量から大容量のガス発生源から排出される大量、高流速の二酸化炭素含有混合気体から、省スペース、省エネルギー、かつ、低コストで二酸化炭素を除去する吸着体を提供する。また、それを用いて、石炭火力発電所等から排出される大容量・高流速の燃焼ガスから、二酸化炭素を連続除去する方法を提供する。
【解決手段】ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有する吸着体。前記の吸着体を、大容量、高流速のガス流通経路中もしくはバイパス中に設置し、二酸化炭素を1〜90(vol%)含有する混合ガスから二酸化炭素を連続除去する。
【選択図】 図1
【解決手段】ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有する吸着体。前記の吸着体を、大容量、高流速のガス流通経路中もしくはバイパス中に設置し、二酸化炭素を1〜90(vol%)含有する混合ガスから二酸化炭素を連続除去する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所のボイラーもしくは焼却炉等の燃焼炉から排出される燃焼排ガスや製鉄所の副生ガス等の大量の排ガス中の二酸化炭素を吸着分離する吸着体、及びそれを用いた二酸化炭素の連続除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化を防止するために、温室効果ガスである二酸化炭素ガスの大気放出の抑制が求められている。特に、火力発電所における石炭、石油、LNGの燃焼排ガスや、プラスチック焼却炉等の燃焼炉から排出される燃焼排ガス、あるいは熱風炉排ガス、高炉排ガス、転炉排ガス、燃焼排ガス等の製鉄所副生ガスは、大量に発生する。これらのガス中には二酸化炭素が1〜40vol%含有されている。従って、二酸化炭素ガスの大気放出の抑制には、火力発電所などからの二酸化炭素を含む排ガスを大気へ排出する前に、排ガスから二酸化炭素を吸着除去することが必要である。
【0003】
ところで、排ガス中の二酸化炭素を除去、回収する技術は、化学吸収法と物理吸着法に大別される。大容量の二酸化炭素除去、回収技術として、アミン系の水溶液を吸収液に用いた化学吸収法がある。しかし、化学吸収法は、二酸化炭素脱着時に吸収液を100〜120℃に加熱するため、吸収液が分解あるいは酸化により変質し、定期的な吸収液の交換が必要となる。また、二酸化炭素除去のガス中に化学吸収液が混入し、アルカリ水溶液が煙突から周囲に飛散する問題点がある。また、化学吸収液は飛散するため、定期的に補充しなければならず、コスト高となり、かつ、吸収液の改良の余地は少ない。
【0004】
それに反して物理吸着法は、無機結晶であり化学的に安定な吸着剤(ゼオライト等)を用いるため、熱などによる劣化はなく、長期間吸着剤の交換は不要(メンテナンスフリー)で、初期の吸着性能を維持する。また、回収二酸化炭素ガス及び脱二酸化炭素ガスに、薬剤等の混入がない。さらに、吸着剤は研究開発により高性能化する可能性が大きい。
【0005】
二酸化炭素の物理吸着法として、例えば、特開2000−140549号公報には、骨格Si/Al原子比が実質的に1.0で、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの70当量%以上がアルカリ金属イオン(Naイオン、Kイオン、Liイオン等)の内の1種のイオンであるX型ゼオライトを、粉末、ペレットあるいはビーズ状に成形した吸着剤により、二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
同様に、特開2002−18226号公報には、アルカリ金属(Na、K、Li)イオンとアルカリ土類金属(Mg、Ca)イオンによるイオン交換率が80%以上であるX型ゼオライトを、粉末、ペレットあるいはビーズ状に成形した吸着剤により、二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開2000−140549号公報(請求項1、段落番号0015等)
【特許文献2】
特開2002−18226号公報(請求項1、段落番号0031等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献に記載されているX型ゼオライトあるいはA型ゼオライトを用いた二酸化炭素の吸着方法は、吸着塔内に粒状(ペレット、ビーズ)吸着剤を充填し、混合気体を塔内に注入し、バッチ方式で気体の回収・精製を行う技術である。粒状吸着剤は数mm程度の厚さを有しているため、吸着剤の径方向への気体の浸透に時間がかかり、同様に脱着にも時間がかかる。また、圧力損失があるため、気体を注入するための流速も0.3m/sec以上は上げられない。そのため、この方式用に開発されたX型ゼオライトあるいはA型ゼオライトの高性能化は、低流速で気体との接触時間が長い条件で確認されているにすぎない。また、上記のペレット形状の吸着剤を用いた物理吸着法は、気体流速を上げられないことから高流量の処理が出来ず、二酸化炭素の大容量連続処理技術として適用することは困難である。
【0008】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、ガス発生源中の二酸化炭素を吸着除去する吸着体であって、高性能の二酸化炭素吸着力を有すると共に、100(m3N/h)程度の中容量から1.5×107(m3N/h)程度の300万kW級石炭火力発電所、もしくはLNGコンバインドサイクル発電所燃料排ガスに相当する大容量で、低流速ないし高流速の混合気体から二酸化炭素を吸着除去することが可能で、省スペース、省エネルギー、かつ、低コストで二酸化炭素を除去することのできる吸着体を提供することを目的とする。また、本発明はそれを用いて、特に石炭火力発電所等から排出される大容量・高流速の燃焼ガスから、二酸化炭素を連続除去する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の二酸化炭素の吸着体は、ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有することを特徴とする。
【0010】
前記吸着体によれば、A型ゼオライトもしくはX型ゼオライトを主成分とするため二酸化炭素吸着力に優れると共に、圧力損失が少ないため100(m3N/h)程度の中容量から1.5×107(m3N/h)程度の大容量の煙道に設置することができ、特に大容量・高流速の燃焼排ガスから二酸化炭素を連続除去、回収処理するのに好適である。
【0011】
本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上がLiイオン又はMgイオンであり、残りのカチオンがNaイオンであることが好ましい。計算化学で求めたゼオライトへの気体の吸着エネルギー計算によれば、LiイオンやMgイオンでイオン交換されたゼオライトは吸着エネルギーが大きい。そのため、二酸化炭素を強固に吸着させることが可能で、一旦吸着された二酸化炭素分子は他の気体分子の衝突によっても離脱し難くなるので、多量の二酸化炭素を吸着することができる。さらに、その吸着エネルギーは適度な大きさであるため、容易に二酸化炭素を脱着させることができる。
【0012】
また、本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上がAgイオンであり、残りのカチオンの90当量%以上がLiイオンであってもよい。
【0013】
また、本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの80当量%以上がNaイオンであってもよい。
【0014】
また、本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上のイオンであってもよい。
【0015】
次に、本発明の二酸化炭素の連続除去方法は、前記の二酸化炭素の吸着体を、ガス量が1.0×102〜1.5×107(m3N/h)、かつ、ガス流速が0.001〜30(m/sec)であるガス流通経路中もしくはバイパス中に設置し、二酸化炭素を1〜90(vol%)含有する混合ガスから二酸化炭素を吸着除去することを特徴とする。
【0016】
ここで、「ガス量」とは、ガス流通経路やバイパス等の煙道を通過するガス量をいい、「ガス流速」とは、煙道を通過するときのガス流速をいう。
【0017】
前記除去方法は、低濃度の二酸化炭素含有ガスのほか、燃焼排ガス等の比較的高濃度の二酸化炭素含有混合ガスの処理にも適用できるが、特に、中容量ないし大容量・高流速の燃焼ガスから二酸化炭素を連続除去、回収処理するのに好適である。
【0018】
本発明の二酸化炭素の連続除去方法においては、二酸化炭素を吸着させる時の温度が−50℃〜100℃で、圧力が1〜5atmであることが好ましい。かかる吸着条件とすることで、吸着体の二酸化炭素吸着容量が増大する。
【0019】
また、二酸化炭素を脱着させるときの温度(T)と圧力(P)が、以下の式の少なくとも1つを満たすことが好ましい。かかる脱着条件とすることで、ゼオライトのカチオンと吸着ガスのマイナス分極部分との相互作用で吸着された二酸化炭素を、低エネルギーで効率よく脱着させることができる
5℃≦T≦350℃
0.001atm≦P≦1atm
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による二酸化炭素の吸着体は、ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の吸着体で使用される吸着剤としては、骨格のSi/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトが用いられる。ここで、ゼオライト骨格のSi/Al原子比は1.0以上であって、1.0未満にはならないことが知られている。また、骨格Si/Al原子比が1.0に近づくにしたがって、二酸化炭素を吸着する容量が増加し、実際の使用面において、電力原単位の低減が可能となる。したがって、Si/Al原子比が1.0〜1.2であることが好ましく、Si/Alが1.0〜1.1であることがより好ましい。Si/Al原子比は実質的に1.0であることが特に好ましい。
【0022】
また、前記のSi/Al原子比を満足するゼオライトとしては、A型もしくはX型ゼオライトが用いられる。中でも、A型ゼオライトはX型ゼオライトに比べ細孔の径が小さいため、選択するカチオンの種類によっては十分な二酸化炭素の吸着容量が得られない傾向があることから、X型ゼオライトが好適に用いられる。
【0023】
本発明で使用されるゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上のイオンが好ましい。アルカリ金属イオンとしては、Naイオン、Kイオン、Liイオン等が挙げられるが、特にLiイオンが好ましい。アルカリ土類金属イオンとしては、Caイオン、Mgイオン等が挙げられるが、特にMgイオンが好ましい。一般に混合ガスより二酸化炭素を吸着した後、二酸化炭素を脱着してゼオライトを再生するという繰返しが行われるため、二酸化炭素を吸着するのみならず脱着する能力にも優れることが重要だからである。
【0024】
前記カチオンの中でも、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上、好ましくは80当量%以上、より好ましくは95当量%以上がLiイオン又はMgイオンであり、残りのカチオンがNaイオンであることが、二酸化炭素吸着容量を増大させる点より好ましい。あるいは、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上、好ましくは80当量%以上、より好ましくは95当量%以上がAgイオンであり、残りのカチオンがLiイオンであってもよい。この場合、残りのカチオンの90当量%以上、好ましくは95当量%以上がLiイオンであるのがよい。その他、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの80当量%以上、好ましくは95当量%以上、より好ましくは99当量%以上がNaイオンであってもよい。前記したイオンが含まれるX型ゼオライトとすることで二酸化炭素の吸着容量が大幅に増加し、さらにその含有量が増加するに応じて二酸化炭素の吸着容量も増加する。
【0025】
前記のゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンは、本発明に用いられるゼオライトを製造した際に構成カチオンとなっているものであっても、また、ゼオライト製造後イオン交換によりゼオライトに導入されたカチオンであってもよい。イオン交換によりゼオライトに所望の金属イオンを導入する場合は、通常用いられるゼオライトのイオン交換で実施することができる。例えば、Liイオンをゼオライトへ導入するにはLiイオンを含む水溶液などの溶液をゼオライトと接触させることでよい。さらに、1種のイオンを導入するのみならず、2種以上のイオンをゼオライトへ導入する場合には、Na、K、Liなどのアルカリ金属の主成分イオンと、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、鉄などの遷移金属イオン、ランタンなどの希土類元素のイオンとを共存させてイオン交換しても目的の吸着剤を得ることは可能であるし、それぞれのイオンを個別の溶液としてイオン交換することもできる。
【0026】
本発明で使用されるゼオライトは、圧力損失が少ない等から、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造の成形体として使用される。図1(a)は、本発明に係るハニカム構造の吸着体の一例を示す斜視図、同図(b)は同図(a)の一部を拡大して示す図である。このハニカム構造の吸着体10は波形の吸着シート11を平板状の吸着シート12を介して多数枚積層して成形したものである。吸着シート中に吸着剤及び必要に応じてのバインダーが含有されている。図1(a)には全体形状が角柱状の吸着体を示している。この吸着体10を貫通孔13が排ガスの流れに沿うように配置すれば、貫通孔13を通過するガス中の特定成分が吸着シートに吸着される。図1(b)には、N2、CO2、O2を含む排ガスを流して、CO2のみが吸着される様子を示している。
【0027】
成形した吸着体において、ゼオライトの担持率(吸着剤中に占めるゼオライトの割合)は5〜100質量%とする。担持率が5%未満の場合は二酸化炭素の吸着容量が不十分となる。吸着体を通過するガスの圧力損失を出来るだけ小さくし、かつ吸着容量を一定量以上維持するため、ゼオライトの担持率は20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜100質量%であるのがよい。成形体を形成する場合は、ゼオライトの粉末に、カオリンやセピオライト等の粘土やシリカゾル等の無機系、あるいは有機系のバインダーを加え、押出成形、ダンボール原紙等の型材への吹付塗装、ゼオライト紙の成形等の通常用いられる方法により成形して使用される。また、用いられるバインダーは成形体の製造中にX型ゼオライトに変化させうる、バインダーレス成形体とするものであってもよい。
【0028】
本発明において、吸着体の嵩密度は0.05〜1.00g/cm3であり、好ましくは0.20〜0.90g/cm3、より好ましくは0.40〜0.70g/cm3であるのがよい。嵩密度が小さすぎる場合は吸着容量を一定以上維持することが困難となり、嵩密度が大きすぎる場合は通過するガスの圧力損失が大きくなり、吸着体をガスが通過することが困難となる。
【0029】
なお、イオン交換はゼオライト粉末をイオン交換に供してもよいし、ゼオライトを成形体に成形した後に行ってもよく、特に制限されない。また、イオン交換の回数は、得られるゼオライト中のイオンの種類や含有量にもよるが、1回であっても、複数回反復して実施してもよい。イオン交換によりゼオライト中のイオン交換可能なカチオンを所望のイオンに交換した後、ゼオライトを通常の方法にて洗浄、乾燥する。
【0030】
本発明の対象となる、ガス発生源としては、二酸化炭素が含まれていれば特に限定されず、二酸化炭素を1〜90vol%含む混合ガス発生源に用いられる。このような二酸化炭素を含む混合ガス発生源としては、例えば、石炭、石油、LNG、及びLNGコンバインドサイクル等の火力発電所から排出される燃焼排ガスが挙げられる。かかる燃焼排ガスには、通常、二酸化炭素が5〜20vol%含まれており、二酸化炭素以外の成分として、窒素、酸素、水等が挙げられる。
【0031】
また、二酸化炭素を含む混合ガス発生源として、例えば、熱風炉排ガス、高炉排ガス、転炉排ガス、燃焼排ガス等の製鉄所副生ガスを挙げることもできる。かかる副生ガスには、通常、二酸化炭素が10〜50vol%含まれており、二酸化炭素以外の成分として、窒素、酸素、一酸化炭素、水素、水等が挙げられる。
【0032】
さらに、二酸化炭素を含む混合ガス発生源として、例えば、廃プラスチック燃焼ガス、木質系バイオマス等の燃焼排ガスを挙げることもできる。かかる燃焼排ガスには、通常、二酸化炭素が1〜40vol%含まれており、二酸化炭素以外の成分として、窒素、酸素、一酸化炭素、水素、アンモニア、塩素、水等が挙げられる。
【0033】
混合ガスに水やアンモニア等のような極性の強いガスが共存していても、これらのガス成分の含有量に応じて用いるゼオライト吸着剤の量を増減させることで、極性の強い順に吸着剤に吸着させ、除去することができる。あるいは、前処理としてこれらのガスを従来の吸着剤等で予め除去することもできる。なお、本発明の吸着体は、二酸化炭素を2〜50vol%、特に3〜35vol%含む混合ガス発生源に用いることにより、その効果が顕著となる。
【0034】
次に、本発明の二酸化炭素を含む混合ガスのガス流から二酸化炭素を連続吸着除去する方法について説明する。本発明の吸着体は、混合ガスのガス量が1.0×102〜1.5×107m3N/hで、かつ、ガス流速は0.001〜30m/secの煙道に設置されうる。ガス量が1.0×102m3N/h未満の場合は、大量のガス処理が出来ないため二酸化炭素の吸着処理容量が低下し、一方、ガス量が1.5×107m3N/hを超える場合は、吸着装置が巨大化し、システム設計が困難となる。また、ガス流速が0.001m/sec未満の場合は大量のガス処理が出来ず、30m/secを超える場合は、吸着体での圧力損失が大きくなり、送風に必要なエネルギーが多大となる。
【0035】
本発明の方法によれば、このような中容量ないし大容量の混合ガス中の二酸化炭素の吸着除去を省エネルギー、低コストで行うことができるが、特に、ガス量が1.0×104〜4.0×106m3N/hの大容量の混合ガス中の二酸化炭素の吸着除去に効果を発揮する。また、低速から高速まで幅広いガス流速に対応可能であるが、特に、流速が1〜30m/secの高速ガス流速の流に対して吸着能力が優れる利点がある。
【0036】
混合ガスと吸着体とを接触させて二酸化炭素を吸着するときの温度や圧力条件については特に限定されるものではないが、通常、温度−50℃〜100℃、圧力1〜5atmで行われるのがよい。
【0037】
吸着体は、混合ガス流通経路中もしくはバイパス中等の煙道に設置され、混合ガスを吸着体に接触させることにより、二酸化炭素が吸着除去される。吸着体の煙道での設置場所は特に限定されない。
【0038】
図2を参照して、本発明に係る吸着体を排ガス煙道に取り付ける場合について説明する。図2(a)は、図1に示した二酸化炭素吸着体を用いて形成したドラム回転体を、ガス流通経路300に取り付けた例を示す。この図においては、除湿部ドラム回転体100及びCO2回収部ドラム回転体200のそれぞれ約半分がガス流通経路300内に配置される。一方、各配管部(図示せず)はガス流通経路の外側に配置されている。このように、二酸化炭素吸着体をガス流通経路に直接取り付けることによって、省スペース化が図られる。この場合、煙道内に配置されるドラム回転体の断面積の煙道の断面積に対する比が、排ガスからの二酸化炭素回収率となる。
【0039】
図2(b)は、図1に示した二酸化炭素吸着体を用いて形成したドラム回転体を、ガス流通経路300から分岐したバイパスに取り付けた例を示す。この図においては、バイパス310は半円形状の断面を有するように作製されており、各ドラム回転体100、200のそれぞれ約半分(半円形状)がバイパス310内に配置されている。
【0040】
また、吸着された二酸化炭素を脱着する条件については特に限定されるものではなく、例えば、温度を吸着する際の温度よりも高くするか、圧力を吸着する際の圧力よりも減圧するか、あるいは精製ガスや他の二酸化炭素を含まないガス等のパージガスなどを加熱し、流通することで吸着されている二酸化炭素を除去することができる。
【0041】
例えば、二酸化炭素を脱着させるときの温度(T)は、5℃以上350℃以下とするのが一般的であるが、好ましくは80℃以上300℃以下、特に好ましくは100℃以上250℃以下として、加熱する方法がある。脱着温度が低すぎる場合は、CO2脱着が不十分となり、吸着剤の吸着容量の低下となり、脱着温度が高すぎる場合は、脱着エネルギーの増大となり、回収コスト高となる。
【0042】
また、二酸化炭素を脱着させるときの圧力(P)は、0.001atm以上1atm以下とするのが一般的であるが、好ましくは0.1atm以上0.95atm以下、特に好ましくは0.3atm以上0.95atm以下として、減圧にて行う方法がある。脱着圧力が低すぎる場合は、真空ポンプ等の動力の増大と脱着時間が長くなること等からの回収コストの増大となり、脱着圧力が高すぎる場合は、加熱温度が不十分な時は、脱着が不完全となり吸着容量の低下となる。
【0043】
本発明の二酸化炭素の連続除去方法においては、前記の脱着温度(T)と脱着圧力(P)とが前記条件のいずれか一方を満たすことが望ましいが、二酸化炭素の脱着速度および回収率を向上させる観点より、双方満たすのがよい。ただし、脱着圧力は吸脱着温度と密接に関係する。即ち、CO2吸着量は低温では大きく高温では小さくなるため、吸着体の加熱によってCO2が脱着されるが、吸着温度と脱着温度の差(Δt)が小さい場合は脱着を減圧で行い、Δtが大きい場合は常圧ないし若干の減圧で行えばよい。なお、温度と圧力条件とで脱着条件を決定する場合は、パージガスは流しても、流さなくてもどちらでもよい。
【0044】
吸脱着処理を行った後に再度二酸化炭素の除去を行う場合には、特開2001−205045号公報に記載されているように、脱着後、吸着剤にそのまま混合ガスを流通してもよいが、必要に応じて、吸着剤を活性化して再生した後に二酸化炭素の除去を行ってもよい。
【0045】
本発明の二酸化炭素の連続除去方法は、二酸化炭素を含む2種以上の成分からなる混合ガスから二酸化炭素を吸着し、吸着された二酸化炭素を吸着剤から脱着させる用途であれば、制限なく用いることができる。従って、本発明の吸着剤を充填した二酸化炭素除去装置、例えば、回転式吸着塔、固定式吸着塔等の公知の二酸化炭素除去装置に適用することができる。また、TSA方式、PSA方式、PTSA方式のいずれの方式にも適用することができ、吸着、脱着、再生等の処理方法は従来公知の方法を用いればよい。
【0046】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0047】
(吸着容量)
CO2濃度計(HORIBA製、VIA−510)により測定した。
【0048】
(実施例1)
特開平11−290635号公報に記載の試験装置を用いて、燃焼排ガスCO2吸着試験を行った。表1に示す、Si/Al比及びカチオン組成を有するX型ゼオライトを準備し、これにバインダーとしてカオリン粘土を所定量加え、ハニカム構造の成形体を作製した。得られた吸着体を、図3に示す回転式吸着塔400に装填し、4rphで回転させながら、燃焼排ガスからなる混合ガス(二酸化炭素:13.5vol%/窒素:69.2vol%/酸素:17.3vol%)を、ガス量5〜15m3N/h、流速0.05m/secで流通させた。温度は33℃、圧力は1.03atmとした。二酸化炭素を吸着した吸着体をパージガスでパージしながら、温度160℃、圧力0.92atmの条件下で処理し、二酸化炭素を脱着させた。
【0049】
図3(b)に二酸化炭素除去装置の配管の構成を示した。吸着体に吸着された二酸化炭素は、加熱により脱着され、冷却後再生された吸着体によって再度吸着処理が行われ、二酸化炭素が連続除去される。
【0050】
以上の実験結果をCO2吸着容量比とともに、表1にまとめて示した。
【0051】
【表1】
【0052】
実験より本発明の吸着体は、大容量の排ガスに対して優れた二酸化炭素除去性能を示すことがわかった。また、ゼオライト骨格のSi/Al原子比が1に近い程、Liイオン含有比率が高い程、CO2吸着容量が大きくなることがわかった。
【0053】
(実施例2)
2塔式吸着試験装置を用いて、燃焼排ガスCO2吸着試験を行った。表2に示すカチオン組成を有するX型ゼオライト(Si/Al比=1.25)を準備し、これにバインダーとしてカオリン粘土を所定量加え、ハニカム構造の成形体を作製した。得られた吸着体を、図4に模式図を示す回転式吸着塔500に装填し、燃焼排ガスからなる混合ガス1(二酸化炭素:13.5vol%/窒素:69.2vol%/酸素:17.3vol%)を、ガス量10m3N/h、流速0.05〜1.0m/secで流通させた。温度は33℃、圧力は1.03atmとした。二酸化炭素を吸着した吸着体を再生パージガス4でパージしながら、温度160℃、圧力0.92atmの条件下で処理し、二酸化炭素を脱着させた。
【0054】
比較例としてペレット形状の吸着体(No.5)を、実施例2と同様の試験に供した。ただし、脱着圧力は0.30atm、加熱温度は60℃とした。
【0055】
以上の実験結果をCO2吸着容量比とともに、表2にまとめて示した。
【0056】
【表2】
【0057】
実験より、ハニカム型の吸着体はペレット形状の吸着剤と比べて、CO2の吸着容量が大きく、また、大容量かつ高流速のガスに対しても優れた二酸化炭素除去性能を示すことがわかった。
【0058】
(実施例3)
実施例2のペレット吸着剤(No.5)及びハニカム吸着体(No.6)を配置した固定式吸着塔の入口と出口に圧力計を設置し、空塔速度による圧力変化試験を行った。その結果を図5に示した。
【0059】
図から明らかなように、ペレット形状の吸着剤は、空塔速度が大きくなると共に圧力損失が大きくなり、空塔速度が0.3m/sec以上になると実用に供し得なくなるのに対し、本発明のハニカム型の吸着体は空塔速度を大きくしても圧力損失が大きくならないため、高流速のガス流にも対応できる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の吸着体は、二酸化炭素の吸着容量が大きく、圧力損失が小さいため、火力発電所のボイラーもしくは焼却炉等の燃焼炉から排出される排ガスや製鉄所の副生ガス等の大量の排ガス中の二酸化炭素を吸着分離することができ、大容量かつ高流速の混合ガスから、二酸化炭素を省スペース、省エネルギー、低コストで吸着除去することができる。したがって、100(m3N/h)程度の中容量から1.5×107(m3N/h)程度の300万kW級石炭火力発電所等の排ガス除去装置に配置することにより、大容量・高流速の燃焼ガスから二酸化炭素を連続的に吸着除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハニカム型吸着体の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る二酸化炭素吸着体を煙道に取り付けた例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る吸着体を回転式吸着塔に配置した場合の一例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る吸着体を固定式吸着塔に配置した場合の一例を示す模式図である。
【図5】本発明に係るハニカム型吸着体を固定式吸着塔に配置した場合の空塔速度と圧力損失の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 入口ガス
2 出口ガス
3 回収CO2ガス
4 再生パージガス
10 ハニカム構造の吸着体
11、12 吸着シート
13 貫通孔
100 除湿部ドラム回転体
200 二酸化炭素回収部ドラム回転体
300 ガス流通経路
310 バイパス
400 回転式吸着塔
500 固定式吸着塔
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所のボイラーもしくは焼却炉等の燃焼炉から排出される燃焼排ガスや製鉄所の副生ガス等の大量の排ガス中の二酸化炭素を吸着分離する吸着体、及びそれを用いた二酸化炭素の連続除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化を防止するために、温室効果ガスである二酸化炭素ガスの大気放出の抑制が求められている。特に、火力発電所における石炭、石油、LNGの燃焼排ガスや、プラスチック焼却炉等の燃焼炉から排出される燃焼排ガス、あるいは熱風炉排ガス、高炉排ガス、転炉排ガス、燃焼排ガス等の製鉄所副生ガスは、大量に発生する。これらのガス中には二酸化炭素が1〜40vol%含有されている。従って、二酸化炭素ガスの大気放出の抑制には、火力発電所などからの二酸化炭素を含む排ガスを大気へ排出する前に、排ガスから二酸化炭素を吸着除去することが必要である。
【0003】
ところで、排ガス中の二酸化炭素を除去、回収する技術は、化学吸収法と物理吸着法に大別される。大容量の二酸化炭素除去、回収技術として、アミン系の水溶液を吸収液に用いた化学吸収法がある。しかし、化学吸収法は、二酸化炭素脱着時に吸収液を100〜120℃に加熱するため、吸収液が分解あるいは酸化により変質し、定期的な吸収液の交換が必要となる。また、二酸化炭素除去のガス中に化学吸収液が混入し、アルカリ水溶液が煙突から周囲に飛散する問題点がある。また、化学吸収液は飛散するため、定期的に補充しなければならず、コスト高となり、かつ、吸収液の改良の余地は少ない。
【0004】
それに反して物理吸着法は、無機結晶であり化学的に安定な吸着剤(ゼオライト等)を用いるため、熱などによる劣化はなく、長期間吸着剤の交換は不要(メンテナンスフリー)で、初期の吸着性能を維持する。また、回収二酸化炭素ガス及び脱二酸化炭素ガスに、薬剤等の混入がない。さらに、吸着剤は研究開発により高性能化する可能性が大きい。
【0005】
二酸化炭素の物理吸着法として、例えば、特開2000−140549号公報には、骨格Si/Al原子比が実質的に1.0で、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの70当量%以上がアルカリ金属イオン(Naイオン、Kイオン、Liイオン等)の内の1種のイオンであるX型ゼオライトを、粉末、ペレットあるいはビーズ状に成形した吸着剤により、二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
同様に、特開2002−18226号公報には、アルカリ金属(Na、K、Li)イオンとアルカリ土類金属(Mg、Ca)イオンによるイオン交換率が80%以上であるX型ゼオライトを、粉末、ペレットあるいはビーズ状に成形した吸着剤により、二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開2000−140549号公報(請求項1、段落番号0015等)
【特許文献2】
特開2002−18226号公報(請求項1、段落番号0031等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献に記載されているX型ゼオライトあるいはA型ゼオライトを用いた二酸化炭素の吸着方法は、吸着塔内に粒状(ペレット、ビーズ)吸着剤を充填し、混合気体を塔内に注入し、バッチ方式で気体の回収・精製を行う技術である。粒状吸着剤は数mm程度の厚さを有しているため、吸着剤の径方向への気体の浸透に時間がかかり、同様に脱着にも時間がかかる。また、圧力損失があるため、気体を注入するための流速も0.3m/sec以上は上げられない。そのため、この方式用に開発されたX型ゼオライトあるいはA型ゼオライトの高性能化は、低流速で気体との接触時間が長い条件で確認されているにすぎない。また、上記のペレット形状の吸着剤を用いた物理吸着法は、気体流速を上げられないことから高流量の処理が出来ず、二酸化炭素の大容量連続処理技術として適用することは困難である。
【0008】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、ガス発生源中の二酸化炭素を吸着除去する吸着体であって、高性能の二酸化炭素吸着力を有すると共に、100(m3N/h)程度の中容量から1.5×107(m3N/h)程度の300万kW級石炭火力発電所、もしくはLNGコンバインドサイクル発電所燃料排ガスに相当する大容量で、低流速ないし高流速の混合気体から二酸化炭素を吸着除去することが可能で、省スペース、省エネルギー、かつ、低コストで二酸化炭素を除去することのできる吸着体を提供することを目的とする。また、本発明はそれを用いて、特に石炭火力発電所等から排出される大容量・高流速の燃焼ガスから、二酸化炭素を連続除去する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の二酸化炭素の吸着体は、ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有することを特徴とする。
【0010】
前記吸着体によれば、A型ゼオライトもしくはX型ゼオライトを主成分とするため二酸化炭素吸着力に優れると共に、圧力損失が少ないため100(m3N/h)程度の中容量から1.5×107(m3N/h)程度の大容量の煙道に設置することができ、特に大容量・高流速の燃焼排ガスから二酸化炭素を連続除去、回収処理するのに好適である。
【0011】
本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上がLiイオン又はMgイオンであり、残りのカチオンがNaイオンであることが好ましい。計算化学で求めたゼオライトへの気体の吸着エネルギー計算によれば、LiイオンやMgイオンでイオン交換されたゼオライトは吸着エネルギーが大きい。そのため、二酸化炭素を強固に吸着させることが可能で、一旦吸着された二酸化炭素分子は他の気体分子の衝突によっても離脱し難くなるので、多量の二酸化炭素を吸着することができる。さらに、その吸着エネルギーは適度な大きさであるため、容易に二酸化炭素を脱着させることができる。
【0012】
また、本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上がAgイオンであり、残りのカチオンの90当量%以上がLiイオンであってもよい。
【0013】
また、本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの80当量%以上がNaイオンであってもよい。
【0014】
また、本発明の二酸化炭素の吸着体においては、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上のイオンであってもよい。
【0015】
次に、本発明の二酸化炭素の連続除去方法は、前記の二酸化炭素の吸着体を、ガス量が1.0×102〜1.5×107(m3N/h)、かつ、ガス流速が0.001〜30(m/sec)であるガス流通経路中もしくはバイパス中に設置し、二酸化炭素を1〜90(vol%)含有する混合ガスから二酸化炭素を吸着除去することを特徴とする。
【0016】
ここで、「ガス量」とは、ガス流通経路やバイパス等の煙道を通過するガス量をいい、「ガス流速」とは、煙道を通過するときのガス流速をいう。
【0017】
前記除去方法は、低濃度の二酸化炭素含有ガスのほか、燃焼排ガス等の比較的高濃度の二酸化炭素含有混合ガスの処理にも適用できるが、特に、中容量ないし大容量・高流速の燃焼ガスから二酸化炭素を連続除去、回収処理するのに好適である。
【0018】
本発明の二酸化炭素の連続除去方法においては、二酸化炭素を吸着させる時の温度が−50℃〜100℃で、圧力が1〜5atmであることが好ましい。かかる吸着条件とすることで、吸着体の二酸化炭素吸着容量が増大する。
【0019】
また、二酸化炭素を脱着させるときの温度(T)と圧力(P)が、以下の式の少なくとも1つを満たすことが好ましい。かかる脱着条件とすることで、ゼオライトのカチオンと吸着ガスのマイナス分極部分との相互作用で吸着された二酸化炭素を、低エネルギーで効率よく脱着させることができる
5℃≦T≦350℃
0.001atm≦P≦1atm
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による二酸化炭素の吸着体は、ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の吸着体で使用される吸着剤としては、骨格のSi/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトが用いられる。ここで、ゼオライト骨格のSi/Al原子比は1.0以上であって、1.0未満にはならないことが知られている。また、骨格Si/Al原子比が1.0に近づくにしたがって、二酸化炭素を吸着する容量が増加し、実際の使用面において、電力原単位の低減が可能となる。したがって、Si/Al原子比が1.0〜1.2であることが好ましく、Si/Alが1.0〜1.1であることがより好ましい。Si/Al原子比は実質的に1.0であることが特に好ましい。
【0022】
また、前記のSi/Al原子比を満足するゼオライトとしては、A型もしくはX型ゼオライトが用いられる。中でも、A型ゼオライトはX型ゼオライトに比べ細孔の径が小さいため、選択するカチオンの種類によっては十分な二酸化炭素の吸着容量が得られない傾向があることから、X型ゼオライトが好適に用いられる。
【0023】
本発明で使用されるゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上のイオンが好ましい。アルカリ金属イオンとしては、Naイオン、Kイオン、Liイオン等が挙げられるが、特にLiイオンが好ましい。アルカリ土類金属イオンとしては、Caイオン、Mgイオン等が挙げられるが、特にMgイオンが好ましい。一般に混合ガスより二酸化炭素を吸着した後、二酸化炭素を脱着してゼオライトを再生するという繰返しが行われるため、二酸化炭素を吸着するのみならず脱着する能力にも優れることが重要だからである。
【0024】
前記カチオンの中でも、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上、好ましくは80当量%以上、より好ましくは95当量%以上がLiイオン又はMgイオンであり、残りのカチオンがNaイオンであることが、二酸化炭素吸着容量を増大させる点より好ましい。あるいは、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上、好ましくは80当量%以上、より好ましくは95当量%以上がAgイオンであり、残りのカチオンがLiイオンであってもよい。この場合、残りのカチオンの90当量%以上、好ましくは95当量%以上がLiイオンであるのがよい。その他、ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの80当量%以上、好ましくは95当量%以上、より好ましくは99当量%以上がNaイオンであってもよい。前記したイオンが含まれるX型ゼオライトとすることで二酸化炭素の吸着容量が大幅に増加し、さらにその含有量が増加するに応じて二酸化炭素の吸着容量も増加する。
【0025】
前記のゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンは、本発明に用いられるゼオライトを製造した際に構成カチオンとなっているものであっても、また、ゼオライト製造後イオン交換によりゼオライトに導入されたカチオンであってもよい。イオン交換によりゼオライトに所望の金属イオンを導入する場合は、通常用いられるゼオライトのイオン交換で実施することができる。例えば、Liイオンをゼオライトへ導入するにはLiイオンを含む水溶液などの溶液をゼオライトと接触させることでよい。さらに、1種のイオンを導入するのみならず、2種以上のイオンをゼオライトへ導入する場合には、Na、K、Liなどのアルカリ金属の主成分イオンと、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、鉄などの遷移金属イオン、ランタンなどの希土類元素のイオンとを共存させてイオン交換しても目的の吸着剤を得ることは可能であるし、それぞれのイオンを個別の溶液としてイオン交換することもできる。
【0026】
本発明で使用されるゼオライトは、圧力損失が少ない等から、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造の成形体として使用される。図1(a)は、本発明に係るハニカム構造の吸着体の一例を示す斜視図、同図(b)は同図(a)の一部を拡大して示す図である。このハニカム構造の吸着体10は波形の吸着シート11を平板状の吸着シート12を介して多数枚積層して成形したものである。吸着シート中に吸着剤及び必要に応じてのバインダーが含有されている。図1(a)には全体形状が角柱状の吸着体を示している。この吸着体10を貫通孔13が排ガスの流れに沿うように配置すれば、貫通孔13を通過するガス中の特定成分が吸着シートに吸着される。図1(b)には、N2、CO2、O2を含む排ガスを流して、CO2のみが吸着される様子を示している。
【0027】
成形した吸着体において、ゼオライトの担持率(吸着剤中に占めるゼオライトの割合)は5〜100質量%とする。担持率が5%未満の場合は二酸化炭素の吸着容量が不十分となる。吸着体を通過するガスの圧力損失を出来るだけ小さくし、かつ吸着容量を一定量以上維持するため、ゼオライトの担持率は20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜100質量%であるのがよい。成形体を形成する場合は、ゼオライトの粉末に、カオリンやセピオライト等の粘土やシリカゾル等の無機系、あるいは有機系のバインダーを加え、押出成形、ダンボール原紙等の型材への吹付塗装、ゼオライト紙の成形等の通常用いられる方法により成形して使用される。また、用いられるバインダーは成形体の製造中にX型ゼオライトに変化させうる、バインダーレス成形体とするものであってもよい。
【0028】
本発明において、吸着体の嵩密度は0.05〜1.00g/cm3であり、好ましくは0.20〜0.90g/cm3、より好ましくは0.40〜0.70g/cm3であるのがよい。嵩密度が小さすぎる場合は吸着容量を一定以上維持することが困難となり、嵩密度が大きすぎる場合は通過するガスの圧力損失が大きくなり、吸着体をガスが通過することが困難となる。
【0029】
なお、イオン交換はゼオライト粉末をイオン交換に供してもよいし、ゼオライトを成形体に成形した後に行ってもよく、特に制限されない。また、イオン交換の回数は、得られるゼオライト中のイオンの種類や含有量にもよるが、1回であっても、複数回反復して実施してもよい。イオン交換によりゼオライト中のイオン交換可能なカチオンを所望のイオンに交換した後、ゼオライトを通常の方法にて洗浄、乾燥する。
【0030】
本発明の対象となる、ガス発生源としては、二酸化炭素が含まれていれば特に限定されず、二酸化炭素を1〜90vol%含む混合ガス発生源に用いられる。このような二酸化炭素を含む混合ガス発生源としては、例えば、石炭、石油、LNG、及びLNGコンバインドサイクル等の火力発電所から排出される燃焼排ガスが挙げられる。かかる燃焼排ガスには、通常、二酸化炭素が5〜20vol%含まれており、二酸化炭素以外の成分として、窒素、酸素、水等が挙げられる。
【0031】
また、二酸化炭素を含む混合ガス発生源として、例えば、熱風炉排ガス、高炉排ガス、転炉排ガス、燃焼排ガス等の製鉄所副生ガスを挙げることもできる。かかる副生ガスには、通常、二酸化炭素が10〜50vol%含まれており、二酸化炭素以外の成分として、窒素、酸素、一酸化炭素、水素、水等が挙げられる。
【0032】
さらに、二酸化炭素を含む混合ガス発生源として、例えば、廃プラスチック燃焼ガス、木質系バイオマス等の燃焼排ガスを挙げることもできる。かかる燃焼排ガスには、通常、二酸化炭素が1〜40vol%含まれており、二酸化炭素以外の成分として、窒素、酸素、一酸化炭素、水素、アンモニア、塩素、水等が挙げられる。
【0033】
混合ガスに水やアンモニア等のような極性の強いガスが共存していても、これらのガス成分の含有量に応じて用いるゼオライト吸着剤の量を増減させることで、極性の強い順に吸着剤に吸着させ、除去することができる。あるいは、前処理としてこれらのガスを従来の吸着剤等で予め除去することもできる。なお、本発明の吸着体は、二酸化炭素を2〜50vol%、特に3〜35vol%含む混合ガス発生源に用いることにより、その効果が顕著となる。
【0034】
次に、本発明の二酸化炭素を含む混合ガスのガス流から二酸化炭素を連続吸着除去する方法について説明する。本発明の吸着体は、混合ガスのガス量が1.0×102〜1.5×107m3N/hで、かつ、ガス流速は0.001〜30m/secの煙道に設置されうる。ガス量が1.0×102m3N/h未満の場合は、大量のガス処理が出来ないため二酸化炭素の吸着処理容量が低下し、一方、ガス量が1.5×107m3N/hを超える場合は、吸着装置が巨大化し、システム設計が困難となる。また、ガス流速が0.001m/sec未満の場合は大量のガス処理が出来ず、30m/secを超える場合は、吸着体での圧力損失が大きくなり、送風に必要なエネルギーが多大となる。
【0035】
本発明の方法によれば、このような中容量ないし大容量の混合ガス中の二酸化炭素の吸着除去を省エネルギー、低コストで行うことができるが、特に、ガス量が1.0×104〜4.0×106m3N/hの大容量の混合ガス中の二酸化炭素の吸着除去に効果を発揮する。また、低速から高速まで幅広いガス流速に対応可能であるが、特に、流速が1〜30m/secの高速ガス流速の流に対して吸着能力が優れる利点がある。
【0036】
混合ガスと吸着体とを接触させて二酸化炭素を吸着するときの温度や圧力条件については特に限定されるものではないが、通常、温度−50℃〜100℃、圧力1〜5atmで行われるのがよい。
【0037】
吸着体は、混合ガス流通経路中もしくはバイパス中等の煙道に設置され、混合ガスを吸着体に接触させることにより、二酸化炭素が吸着除去される。吸着体の煙道での設置場所は特に限定されない。
【0038】
図2を参照して、本発明に係る吸着体を排ガス煙道に取り付ける場合について説明する。図2(a)は、図1に示した二酸化炭素吸着体を用いて形成したドラム回転体を、ガス流通経路300に取り付けた例を示す。この図においては、除湿部ドラム回転体100及びCO2回収部ドラム回転体200のそれぞれ約半分がガス流通経路300内に配置される。一方、各配管部(図示せず)はガス流通経路の外側に配置されている。このように、二酸化炭素吸着体をガス流通経路に直接取り付けることによって、省スペース化が図られる。この場合、煙道内に配置されるドラム回転体の断面積の煙道の断面積に対する比が、排ガスからの二酸化炭素回収率となる。
【0039】
図2(b)は、図1に示した二酸化炭素吸着体を用いて形成したドラム回転体を、ガス流通経路300から分岐したバイパスに取り付けた例を示す。この図においては、バイパス310は半円形状の断面を有するように作製されており、各ドラム回転体100、200のそれぞれ約半分(半円形状)がバイパス310内に配置されている。
【0040】
また、吸着された二酸化炭素を脱着する条件については特に限定されるものではなく、例えば、温度を吸着する際の温度よりも高くするか、圧力を吸着する際の圧力よりも減圧するか、あるいは精製ガスや他の二酸化炭素を含まないガス等のパージガスなどを加熱し、流通することで吸着されている二酸化炭素を除去することができる。
【0041】
例えば、二酸化炭素を脱着させるときの温度(T)は、5℃以上350℃以下とするのが一般的であるが、好ましくは80℃以上300℃以下、特に好ましくは100℃以上250℃以下として、加熱する方法がある。脱着温度が低すぎる場合は、CO2脱着が不十分となり、吸着剤の吸着容量の低下となり、脱着温度が高すぎる場合は、脱着エネルギーの増大となり、回収コスト高となる。
【0042】
また、二酸化炭素を脱着させるときの圧力(P)は、0.001atm以上1atm以下とするのが一般的であるが、好ましくは0.1atm以上0.95atm以下、特に好ましくは0.3atm以上0.95atm以下として、減圧にて行う方法がある。脱着圧力が低すぎる場合は、真空ポンプ等の動力の増大と脱着時間が長くなること等からの回収コストの増大となり、脱着圧力が高すぎる場合は、加熱温度が不十分な時は、脱着が不完全となり吸着容量の低下となる。
【0043】
本発明の二酸化炭素の連続除去方法においては、前記の脱着温度(T)と脱着圧力(P)とが前記条件のいずれか一方を満たすことが望ましいが、二酸化炭素の脱着速度および回収率を向上させる観点より、双方満たすのがよい。ただし、脱着圧力は吸脱着温度と密接に関係する。即ち、CO2吸着量は低温では大きく高温では小さくなるため、吸着体の加熱によってCO2が脱着されるが、吸着温度と脱着温度の差(Δt)が小さい場合は脱着を減圧で行い、Δtが大きい場合は常圧ないし若干の減圧で行えばよい。なお、温度と圧力条件とで脱着条件を決定する場合は、パージガスは流しても、流さなくてもどちらでもよい。
【0044】
吸脱着処理を行った後に再度二酸化炭素の除去を行う場合には、特開2001−205045号公報に記載されているように、脱着後、吸着剤にそのまま混合ガスを流通してもよいが、必要に応じて、吸着剤を活性化して再生した後に二酸化炭素の除去を行ってもよい。
【0045】
本発明の二酸化炭素の連続除去方法は、二酸化炭素を含む2種以上の成分からなる混合ガスから二酸化炭素を吸着し、吸着された二酸化炭素を吸着剤から脱着させる用途であれば、制限なく用いることができる。従って、本発明の吸着剤を充填した二酸化炭素除去装置、例えば、回転式吸着塔、固定式吸着塔等の公知の二酸化炭素除去装置に適用することができる。また、TSA方式、PSA方式、PTSA方式のいずれの方式にも適用することができ、吸着、脱着、再生等の処理方法は従来公知の方法を用いればよい。
【0046】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0047】
(吸着容量)
CO2濃度計(HORIBA製、VIA−510)により測定した。
【0048】
(実施例1)
特開平11−290635号公報に記載の試験装置を用いて、燃焼排ガスCO2吸着試験を行った。表1に示す、Si/Al比及びカチオン組成を有するX型ゼオライトを準備し、これにバインダーとしてカオリン粘土を所定量加え、ハニカム構造の成形体を作製した。得られた吸着体を、図3に示す回転式吸着塔400に装填し、4rphで回転させながら、燃焼排ガスからなる混合ガス(二酸化炭素:13.5vol%/窒素:69.2vol%/酸素:17.3vol%)を、ガス量5〜15m3N/h、流速0.05m/secで流通させた。温度は33℃、圧力は1.03atmとした。二酸化炭素を吸着した吸着体をパージガスでパージしながら、温度160℃、圧力0.92atmの条件下で処理し、二酸化炭素を脱着させた。
【0049】
図3(b)に二酸化炭素除去装置の配管の構成を示した。吸着体に吸着された二酸化炭素は、加熱により脱着され、冷却後再生された吸着体によって再度吸着処理が行われ、二酸化炭素が連続除去される。
【0050】
以上の実験結果をCO2吸着容量比とともに、表1にまとめて示した。
【0051】
【表1】
【0052】
実験より本発明の吸着体は、大容量の排ガスに対して優れた二酸化炭素除去性能を示すことがわかった。また、ゼオライト骨格のSi/Al原子比が1に近い程、Liイオン含有比率が高い程、CO2吸着容量が大きくなることがわかった。
【0053】
(実施例2)
2塔式吸着試験装置を用いて、燃焼排ガスCO2吸着試験を行った。表2に示すカチオン組成を有するX型ゼオライト(Si/Al比=1.25)を準備し、これにバインダーとしてカオリン粘土を所定量加え、ハニカム構造の成形体を作製した。得られた吸着体を、図4に模式図を示す回転式吸着塔500に装填し、燃焼排ガスからなる混合ガス1(二酸化炭素:13.5vol%/窒素:69.2vol%/酸素:17.3vol%)を、ガス量10m3N/h、流速0.05〜1.0m/secで流通させた。温度は33℃、圧力は1.03atmとした。二酸化炭素を吸着した吸着体を再生パージガス4でパージしながら、温度160℃、圧力0.92atmの条件下で処理し、二酸化炭素を脱着させた。
【0054】
比較例としてペレット形状の吸着体(No.5)を、実施例2と同様の試験に供した。ただし、脱着圧力は0.30atm、加熱温度は60℃とした。
【0055】
以上の実験結果をCO2吸着容量比とともに、表2にまとめて示した。
【0056】
【表2】
【0057】
実験より、ハニカム型の吸着体はペレット形状の吸着剤と比べて、CO2の吸着容量が大きく、また、大容量かつ高流速のガスに対しても優れた二酸化炭素除去性能を示すことがわかった。
【0058】
(実施例3)
実施例2のペレット吸着剤(No.5)及びハニカム吸着体(No.6)を配置した固定式吸着塔の入口と出口に圧力計を設置し、空塔速度による圧力変化試験を行った。その結果を図5に示した。
【0059】
図から明らかなように、ペレット形状の吸着剤は、空塔速度が大きくなると共に圧力損失が大きくなり、空塔速度が0.3m/sec以上になると実用に供し得なくなるのに対し、本発明のハニカム型の吸着体は空塔速度を大きくしても圧力損失が大きくならないため、高流速のガス流にも対応できる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の吸着体は、二酸化炭素の吸着容量が大きく、圧力損失が小さいため、火力発電所のボイラーもしくは焼却炉等の燃焼炉から排出される排ガスや製鉄所の副生ガス等の大量の排ガス中の二酸化炭素を吸着分離することができ、大容量かつ高流速の混合ガスから、二酸化炭素を省スペース、省エネルギー、低コストで吸着除去することができる。したがって、100(m3N/h)程度の中容量から1.5×107(m3N/h)程度の300万kW級石炭火力発電所等の排ガス除去装置に配置することにより、大容量・高流速の燃焼ガスから二酸化炭素を連続的に吸着除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハニカム型吸着体の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る二酸化炭素吸着体を煙道に取り付けた例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る吸着体を回転式吸着塔に配置した場合の一例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る吸着体を固定式吸着塔に配置した場合の一例を示す模式図である。
【図5】本発明に係るハニカム型吸着体を固定式吸着塔に配置した場合の空塔速度と圧力損失の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 入口ガス
2 出口ガス
3 回収CO2ガス
4 再生パージガス
10 ハニカム構造の吸着体
11、12 吸着シート
13 貫通孔
100 除湿部ドラム回転体
200 二酸化炭素回収部ドラム回転体
300 ガス流通経路
310 バイパス
400 回転式吸着塔
500 固定式吸着塔
Claims (8)
- ガス発生源中の二酸化炭素の吸着体であって、Si/Al原子比が1.0〜1.5のA型もしくはX型ゼオライトの担持率が5〜100(質量%)で、嵩密度が0.05〜1.00(g/cm3)であり、ハニカム型、格子状型もしくはスパイラル型の構造を有することを特徴とする二酸化炭素の吸着体。
- ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上がLiイオンまたはMgイオンであり、残りのカチオンがNaイオンである請求項1に記載の二酸化炭素の吸着体。
- ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの60当量%以上がAgイオンであり、残りのカチオンの30当量%以上がLiイオンである請求項1に記載の二酸化炭素の吸着体。
- ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンの80当量%以上がNaイオンである請求項1に記載の二酸化炭素の吸着体。
- ゼオライトに含まれるイオン交換可能なカチオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上のイオンである請求項1に記載の二酸化炭素の吸着体。
- 請求項1〜5に記載の二酸化炭素の吸着体を、ガス量が1.0×102〜1.5×107(m3N/h)で、かつ、ガス流速が0.001〜30(m/sec)であるガス流通経路中もしくはバイパス中に設置し、二酸化炭素を1〜90(vol%)含有する混合ガスから二酸化炭素を吸着除去することを特徴とする二酸化炭素の連続除去方法。
- 二酸化炭素を吸着させる時の温度が−50℃〜100℃で、圧力が1〜5atmである請求項6に記載の二酸化炭素の連続除去方法。
- 二酸化炭素を脱着させるときの温度(T)と圧力(P)が、以下の式の少なくとも1つを満たす請求項6又は7に記載の二酸化炭素の連続除去方法。
5℃≦T≦350℃
0.001atm≦P≦1atm
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