JP2004201589A - 細菌同定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、細菌の同定・検出を簡便、低コストでかつ信頼性高く行なう方法を提供することにある。特に、その作用機序を調べることができることを目的になされたものである。
【効果】検体より抽出したゲノムDNAを基体上に固定してDNAマイクロアレイを作製し、既知菌種ゲノムに固有の塩基配列を有するプローブDNAとハイブリダイゼーションすることで、ゲノムレベルで正確に菌種を同定するとともに、並列的にアッセイすることで著しくコストを低減し、検出所要時間を短縮することができる。
さらに、菌種ごとに異なる蛍光色素でラベルされたオリゴヌクレオチドを一度にアレイにハイブリダイゼーションさせることで、一度に複数の菌種の同定・検出ができ、大幅に検出所要時間を短縮できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌同定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、サルモネラ菌等の菌の検出・同定は、菌を培養することで菌を増殖させ、糖の資化性検査等の生化学検査を行うことにより主として行われている。例えば、サルモネラ菌の検出・同定には増菌分離培養、生化学性状による確認培養、O(菌体)抗原、K(Vi莢膜)抗原、H(鞭毛)抗原による血清型別が行われ、各検査の総合的判断が必要とされている。しかしながら、この方法は時間と手間が掛かる上に、例外的な性状が判断を困難にする場合等があった。資化性検査用の簡便なキットも市販され広く用いられてきているが、通常1検体につき1キットが必要であり、かつ使い捨てであるため、大量の検体の検査を行うと膨大な医療廃棄物が発生してしまうという問題も残されていた。
【0003】
また、菌種特有な塩基配列を有するプライマーを用いたポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR法)により特定のDNA断片の増幅の有無から菌種を特定する方法が開発されている。しかしながら、微生物の多様性によりプライマーの伸長反応部分に変異が起こると、偽陰性の危険性を含んでいた。PCRは数百万ものDNAコピーを合成できる一方で、混入物に非常に敏感なためごく微量の鋳型DNAから反応を開始する場合、前に行った反応の生成物(生成物のキャリーオーバー)あるいは反応系の外から入ってくる物質のコンタミネーションが問題となる。例えば標的配列を含むプラスミドが反応系に1コピー混入しただけで結果の解釈を誤らせる可能性がある。また、PCR等の核酸増幅を用いる場合には、ポリメラーゼ等の高価な酵素を使用せねばならず、コストを下げることが困難であるという問題も持ち合わせていた。
【0004】
一方、最近、DNAマイクロアレイあるいはDNAチップとよばれる、配列の異なる多数のDNA断片を基板のそれぞれ異なる箇所に固定したものに、遺伝子の発現状態を調べたい細胞から取り出したメッセンジャーRNAの逆転写物(蛍光標識あるいはラジオアイソトープ標識をしたもの)をふりかけ、ハイブリダイゼーションを行った後、それぞれの配列のDNA断片固定箇所にどの程度逆転写物がハイブリダイズしたかを調べ、試料細胞中の遺伝子発現を調べる方法が注目されている。この方法を利用して、菌種特有なメッセンジャーRNAを検出することで、細菌検体の菌種を識別する方法も開発されてきている。しかし、細菌の場合には、通常アレイの解析に必要な10マイクログラム以上の十分なRNAが取れないことから実用的には大いに問題が残されている。また、逆転写反応には高価な逆転写酵素が必要であることから低コスト化が困難であるという問題もある。
【0005】
また、特定の菌種に特異的な塩基配列を持つオリゴヌクレオチドを、複数種類の菌種に対して1枚のスライドガラス上に固定してアレイを作製しておき、細菌検体のゲノムDNAの特定の塩基配列部位をPCR法を用いて増幅し、増幅と同時にあるいは増幅後に常法により標識化したcDNAをアレイにかけてハイブリダイゼーションさせ、アレイ上に結合した標識を検出することで、菌種を同定する方法も提案されている。この方法では、PCR法を用いるため高価な酵素が不可欠であり、低コスト化が難しい。また、1検体の検査に1アレイ必要であるため、アレイ作製費用、ハイブリダイゼーションに必要な試薬費用、検出にかかわる費用等を勘案すると非常にコストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、細菌検体に対して信頼性高く且つ高速に細菌の菌種を識別できる検出方法を低コストで提供することにある。特に、DNAマイクロアレイの技術を応用することにより、数多くの検体に対して、検出アッセイを並列的に行なうことにより、非常に高速かつ低コストで菌種の同定を行なうことが出来る細菌同定方法を提供することを目的になされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、数多くの検体よりゲノムDNAを抽出し、これらを基体上の異なる箇所に固定することでDNAマイクロアレイを作製し、これに特定の菌種のゲノムDNAに特有の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションさせることで、非常に高速に菌種の同定を行うことが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、核酸増幅工程を含まず、細菌純培養試料より抽出したゲノムDNAと、特定の菌種に特異的である塩基配列を有する標識付きオリゴヌクレオチドとをハイブリダイゼーションさせ、前記ゲノムDNAと前記標識付きオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの有無を検出することで、前記細菌純培養試料中における前記特定菌種の有無を判断することを特徴とする細菌同定方法である。
【0009】
また、本発明は、前記記載の細菌同定方法において、細菌純培養試料より抽出したゲノムDNAとハイブリダイゼーションさせる、特定の菌種に特異的である塩基配列を有する標識付きオリゴヌクレオチドが、100塩基長以下であることを特徴とする細菌同定方法である。
【0010】
また、本発明は、細菌検体を培養して増殖する工程と、少なくとも1種類以上の細菌検体より抽出したゲノムDNAを、細菌検体ごとに基体上の異なる箇所に固定化してDNAマイクロアレイを作製する工程と、特定の菌種に特異的である塩基配列を有しかつ検出可能な標識を有するオリゴヌクレオチドを、前記細菌検体ゲノムDNAを固定化したDNAマイクロアレイにかけてハイブリダイゼーションを行う工程と、前記DNAマイクロアレイ上のハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを検出する工程と、前記基体上に固定化した細菌検体ごとに、ハイブリダイズした前記オリゴヌクレオチドの量を定量化する工程と、前記ハイブリダイズした前記オリゴヌクレオチドの量から前記細菌検体の菌種を判断する工程を、少なくとも含むことを特徴とする細菌同定方法である。
【0011】
さらに、本発明は、前記の細菌同定方法において、特定の菌種に特異的である塩基配列を有するオリゴヌクレオチドに付ける検出可能な標識として蛍光色素を用い、複数種類の菌種を検出する場合には発光波長の異なる色素をそれぞれ標識として付け、標識した複数種類のオリゴヌクレオチドを同一のDNAマイクロアレイにかけてハイブリダイゼーションを行なうことで、複数の菌種の検出を行なうことを特徴とする細菌同定方法である。
【0012】
検体の菌種を識別しうるプローブDNAを複数種類基体表面に固定化したDNAマイクロアレイに、検体より抽出したゲノムDNAあるいは、部分的にPCRで増幅したDNA断片をアレイにかけてハイブリダイゼーションすることで、被検体の菌種を同定する方法が報告されている。しかしながら、この方法では、1枚のアレイで1検体の菌種の同定が行なわれる。そのため、たとえば5000検体について50種類の菌種について菌種の同定を行うためには、50種類のプローブDNAを固定した5000枚のアレイを用いて5000回のハイブリダイゼーションを行ない検査を行う必要があり、非常に高額な費用が掛かり、かならずしも、DNAマイクロアレイの並列で大多数のアッセイができるというメリットが活かされていない。そこで、発明者らは、たとえば5000検体について50種類の菌種について菌種の同定を行なうという大規模な検査においては、検体由来のゲノムDNA5000種類を基体表面に固定して5000スポットのDNAマイクロアレイを作製し、特定の菌種を識別しうる塩基配列を持つオリゴヌクレオチドを50種類用意し、50回のハイブリダイゼーションを行なえば検査が完了する方法を見出した。この方法では、検体数に依存せず、同定する菌種数の数だけアレイを作製してアッセイすればよいため、数多くの検体に対して検査する場合に大きなコストメリットを出すことが出来るという大きな特徴を有する。
【0013】
発明の考え方を図1に纏めて示す。まず、細菌純培養試料を平板培養によるコロニー(集落)から最適菌濃度に調整する。細菌の種類によって、培地の種類や培養条件を最適化することで、目的の細菌検体を増殖することも出来る。ゲノムDNAを固定化したマイクロアレイを作る上で必要なゲノムDNAの量は、0.1マイクログラム以上であるため、この程度のゲノムDNAをとるために必要な細菌検体の量をあらかじめ調べておき、細菌検体の培養を行うことが好ましい。
【0014】
次に、細菌検体よりゲノムDNAを抽出する。抽出方法として、例えば、酵素溶菌―スルフォドデシルサルフェイト(SDS)処理、フェノール処理、エタノール処理、RNase処理、フェノール処理、イソプロパノール沈殿の工程からなる、常法を用いることが出来る。
【0015】
次に、抽出したゲノムDNAごとに基体上の異なる箇所に固定化してDNAマイクロアレイを作製する。作製手順は、次のとおりである。蒸留水とジメチルホルムアミドを1対1に混合した液にゲノムDNAを濃度が0.1から5マイクログラム/マイクロリットルの範囲になるように溶かす。これらの溶液を96穴あるいは384穴マイクロタイタープレートに移す。液量は10から60マイクロリットルが好ましい。これらのマイクロタイタープレートに入れたDNA溶液を市販のスポッターを用いてスライドガラス等の基体表面にスポットすればよい。基体表面には、あらかじめDNAを固定化しやすいようにアミノシランやポリリジンを薄くコートしておくことが好ましい。
【0016】
次に、検出目的の菌種に特有な塩基配列を有する検出用のオリゴヌクレオチド(プローブ)をアレイにかけてハイブリダイゼーションを行う。プローブDNAを作製するには、ゲノム塩基配列のどの部分の配列をプローブとするかを決める必要がある。設計対象の塩基配列には、16SリボゾーマルRNA遺伝子、II型トポイソメラーゼの構造遺伝子(gyrB)などの塩基配列を用いることが出来る。NCBI(National Center of Biological Information)等の公共データベースから、特定の菌種のこれらの配列情報を取得することが出来る。あるいは、各菌種のゲノムDNAを制限酵素などで断片化し、これらをゲル電気泳動に流すことで、特異性の高い配列断片を選び出すこともできる。これらの菌種に固有な塩基配列を対象として、融解温度(Tm, melting temperature)とクロスハイブリダイゼーションを十分考慮して配列を設計する。DNAマイクロアレイ上に固定化されたゲノムDNAとプローブDNAとの間での、ハイブリダイゼーションを高精度(ないしは高ストリンジェント、highly stringent)に行うためには、ハイブリダイゼーション温度(Th, hybridization temperature)とプローブDNAの融解温度(Tm, melting temperature)の関係が重要であり、プローブDNAの融解温度とハイブリダイゼーション温度との差異が30℃を超えないことが必要である。また、クロスハイブリダイゼーションは、DNA配列同士のホモロジーが高いために生じるので、クロスハイブリダイゼーションを防ぐためには、プローブDNAと相当菌種以外の菌種のゲノムDNAとの相同性が十分低いことが必要である。さらには、ミニヘアピン構造をとるような配列や、繰り返し配列と相同性が有意に高い部分が含まれないことが望ましい。また、検出予定の菌種を対象としたプローブ配列同士のホモロジーを計算するのみならず、プローブ配列とGENBANK等の対象となる生物種のゲノム配列とのホモロジーを計算する必要もある。DNAマイクロアレイ上に固定化するDNA断片候補の配列と、測定対象菌試料に含まれている可能性のある菌種群のゲノムDNA配列とを比較して、ホモロジーが有意に高いDNA配列は、プローブDNAとしては選択しないことが望ましい。
【0017】
プローブとする塩基配列が決まれば、その配列に従い、オリゴヌクレオチドを作製すれば、容易にプローブDNAを作製できる。塩基長としては20塩基以上が好ましい。より好ましくはハイブリダイゼーションの安定性を考慮すると、50塩基以上が好ましい。標識には、オリゴヌクレオチドの末端を、Cy3やCy5等の蛍光色素や、放射性同位元素(RI)で修飾する方法が好ましい。
【0018】
検出対象となる菌種としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒトから分離される病原微生物として、Proteus mirabilisProteus vulgarisMorganella morganiiProvidencia stutzeriProvidencia rettgeriSalmonella enteritidisSalmonella typhiSalmonella paratyphi ACitrobacter freundiiCitrobacter amalonaticusCitrobacter braakiiCitrobacter diver susEscherichia coliEdwardsiella tardaKlebsiella pneumoniaeKlebsiella oxytocaSerratia marcescensEnterobacter cloacaeEnterobacter aerogenesHafnia alveiYersinia enterocoliticaCedecea davisaeKluyvera ascorbataShigella sonneiShigella dysenteriaeVibrio choleraeVibrio fluvialisVibrio parahaemolyticusVibrio vulnificusAeromonas hydrophilaAeromonas caviaeAeromonas sobriaPasteurella multocidaHaemophilus influenzaeCampylobacter jejuniPseudomonas aeruginosaPseudomonas fluorescensBurkholderia cepaciaBurkholderia malleiAlcaligenes faecalisChryseobacterium indologenesChryseobacterium meningosepticumStenotrophomonas maltophiliaLegionella pneumophilaNeisseria gonorrhoeaeAcinetobacter calcoaceticusBordetella pertussisBordetella bronchisepticaClostridium perfringensBacteroides fragilis を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0019】
細菌純培養試料を直接基体表面上に固定したDNAアレイを用いて、細菌の同定・検出を行なうには、以下の手順で行うことができる。まず、前記アレイに対して、検出用の標識の付いたオリゴヌクレオチドを含む溶液をかけて、所定の温度、時間の間ハイブリダイゼーションさせる。ハイブリダイゼーション温度は45−70℃、ハイブリダイゼーション時間は6−18時間が好ましい。ハイブリダイゼーション後、標識が蛍光色素であれば蛍光スキャナーにより各細菌検体をスポットした箇所の蛍光強度を測定する。前記DNAアレイ上には、あらかじめ、ポジティブ及び/またはネガティブコントロールとなるDNAをスポットしておくことが好ましい。各検体のスポットにおける蛍光強度とポジティブ及び/またはネガティブコントロールのスポットにおける蛍光強度とを比較検討することで、プローブDNAのハイブリダイゼーションの程度、すなわち、菌の有無を判断する事が出来る。あらかじめ、各スポットの蛍光強度とポジティブ及びネガティブコントロールの蛍光強度とを比較検討し、菌の有無を判断するようなソフトウエアを作製し、それを用いることが好ましい。スポット間の強度比較が必要ない場合には、蛍光ラベルの変わりに、ビオチン・ストレプトアビジン-アルカリフォスファターゼによる基質・発色系などの化学発色系を用いることもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下具体例を示して詳細に説明する。
(実施例1)
検出対象の菌種として、Proteus vulgarisMorganella morganiiPseudomonas aeruginosaClostridium perfringensCampylobacter jejuniBacteroides fragilis、の6種類を選んだ。
【0021】
GENBANKより、各菌種の16SリボゾーマルRNAの塩基配列を取得し、Tmの設定値を75℃±5℃、塩基長を80merとして、各菌種に対するプローブDNAを設計した。得られた塩基配列を表1に配列番号1〜6として示す。これらの塩基配列に従いオリゴヌクレオチドを合成した。合成に際して、5’末端を蛍光色素(Cy5)で標識した。
【0022】
【表1】
Figure 2004201589
【0023】
各プローブDNAを濃度が1μMになるように3.4×SSC、0.3%SDSに溶かし、液量20μlの検出用プローブDNA溶液を作製した。
一方、選定した各種細菌を、常法により、液体培養で培養した。その後、12000rpm、4℃、10分間遠心して菌体を集めた。これを精製水50μlに溶解し、100℃、10分間加熱した。これを15000rpm、4℃、10分間遠心して、上清を新しいチューブに移した。次に、DNAの濃度が0.5μg/μlになるよう濃縮し、濃縮後の液を10μlの新しいチューブに移した後ドライアップした。このチューブにDMSOと精製水を1:1に混合した液を10μl加えた後、十分に攪拌することでDNAを溶解させ、スポッティング溶液とした。
【0024】
各種細菌検体のスポッティング溶液を384穴プレートに移した後、スポッター(日立ソフトエンジニアリング社製SPBIO-2000)を用いて、ポリリジンコートスライドガラス(松浪ガラス社製)上にスポットした。風乾後、UV光を照射(500mJ)してDNAを固定化した。次に、無水コハク酸をピロリドンに溶解させた溶液を用いてブロッキング処理を行ない、精製水で洗浄後風乾して、DNAマイクロアレイを合計10枚作製した。
【0025】
次に、10枚のアレイに対して各々1種類の検出用プローブDNA溶液20μlを載せた後、カバーガラスを載せてプローブDNA溶液がアレイ上の全スポットに行き渡るようにした後、密閉容器に入れ、62℃に設定したハイブリインキュベータに入れてハイブリダイゼーションを12時間行なった。
ハイブリダイゼーション終了後、以下の3種類の洗浄液で各々5分間ずつ洗浄した後、遠心機を用いて乾燥した。
洗浄液1:1×SSC、0.1%SDS
洗浄液2:0.1×SSC、0.1%SDS
洗浄液3:0.1×SSC
【0026】
次に、蛍光スキャナー(GSI-Lumonics社製ScanArray5000)を用いて、アレイ上の蛍光画像を読み取った後、数値化ソフトウエア(GSI-Lumonics社製 QuantArray)を用いて各スポットにおけるハイブリダイゼーション量を評価した。結果を表2に示す。表2から明らかなように、本検討で用いた6種類の細菌を正確に同定・検出できていることが分かった。
【0027】
【表2】
Figure 2004201589
【0028】
(実施例2)
実施例1に記載した方法により、6種類の細菌のゲノムDNAをスポットしたDNAマイクロアレイを作製した。
検出する細菌として、Clostridium perfringensCampylobacter jejuniBacteroides fragilisの3種類の細菌を選定し、表1に記載の配列(それぞれ配列番号4〜6)を有するプローブDNAを作製した。ただし、蛍光ラベルとしてClostridium perfringensにはCy3、Campylobacter jejuniにはCy5、Bacteroides fragilisにはFITCで5’末端を標識した検出プローブ用オリゴヌクレオチドを作製した。これら3種類のプローブDNAを各濃度が1μMになるように3.4×SSC、0.3%SDSに溶かし、液量20μlの混合プローブDNA溶液を作製した。
【0029】
混合プローブDNA溶液20μlを1枚の上記DNAマイクロアレイに載せた後、カバーガラスを載せて混合プローブDNA溶液がアレイ上の全スポットに行き渡るようにした後、密閉容器に入れ、62℃に設定したハイブリインキュベータに入れてハイブリダイゼーションを12時間行なった。
ハイブリダイゼーション終了後、実施例1で用いたものと同様の組成の3種類の洗浄溶液で各々5分間ずつ洗浄した後、遠心機を用いて乾燥した。
【0030】
次に、蛍光スキャナー(GSI-Lumonics社製ScanArray5000)を用いて、3種類のレーザー光源を用いることでアレイ上のCy3、Cy5、及びFITCの3種類の蛍光画像を読み取った後、数値化ソフトウエア(GSI-Lumonics社製 QuantArray)を用いて各スポットにおけるハイブリダイゼーション量を評価した。結果を表3に示す。表3から明らかなように、各々異なる蛍光標識が付いた3種類のプローブDNAを一度にアレイにかけて1回のハイブリダイゼーションを行うことで3種類の細菌を正確に同定・検出できることが明らかとなった。このように、複数の蛍光標識を併用することで、一度のハイブリダイゼーションで複数の菌種の検出・同定を行なえることが明らかとなった。
【0031】
【表3】
Figure 2004201589
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法を用いることで、DNA増幅工程を用いずに、数多くの細菌検体に対して1回のアッセイで同定・検出することができる。また、菌種ごとに異なる蛍光色素でラベルされたオリゴヌクレオチドを一度にアレイにハイブリダイゼーションさせることで、一度に複数の菌種の同定・検出ができ、大幅に検出所要時間を短縮できる。
【0033】
【配列表】
Figure 2004201589
Figure 2004201589
Figure 2004201589

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の概要を示す。

Claims (6)

  1. 核酸増幅工程を含まず、細菌純培養試料よりゲノムDNAを抽出し、
    前記ゲノムDNAと、特定の菌種に特異的な塩基配列を有する標識付きオリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションし、
    前記ゲノムDNAと前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの有無を検出し、
    前記細菌純培養試料における前記特定の菌種の有無を判断する
    ことを特徴とする細菌同定方法。
  2. 請求項1記載の細菌同定方法において、前記特定の菌種に特異的な塩基配列を有する標識付きオリゴヌクレオチドが、100塩基長以下であることを特徴とする細菌同定方法。
  3. 細菌検体より抽出されたゲノムDNAを、前記細菌検体ごとに基体上の異なる箇所に固定化したDNAマイクロアレイを準備する工程と、
    特定の菌種に特異的な塩基配列を有する標識付きオリゴヌクレオチドを、前記DNAマイクロアレイにかけてハイブリダイゼーションを行う工程と、
    前記DNAマイクロアレイ上の標識を検出する工程と、
    前記細菌検体ごとに、前記標識の強度を測定する工程と、
    前記標識の強度から、前記細菌検体の菌種を判断する工程と
    を有することを特徴とする細菌同定方法。
  4. 請求項3記載の細菌同定方法において、前記特定の菌種に特異的な塩基配列を有する標識付きオリゴヌクレオチドが、100塩基長以下であることを特徴とする細菌同定方法。
  5. 請求項3記載の細菌同定方法において、前記標識は、蛍光標識であることを特徴とする細菌同定方法。
  6. 請求項5記載の細菌同定方法において、前記オリゴヌクレオチドを複数種類用い、前記蛍光標識として、複数種類のオリゴヌクレオチドごとに蛍光波長の異なるものを用いることを特徴とする細菌同定方法。
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