JP2004200826A - 分布定数型フィルタ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みの大幅な増加を招くことなく所望のフィルタ特性に設定し得る分布定数型フィルタ素子を提供する。
【解決手段】周回する線状の導体によって形成されると共に一端側に入力端子が接続され他端側に出力端子が接続された平面状のスパイラルコイル2と、スパイラルコイル2の少なくとも一方の面側に非磁性材からなる誘電体層3を介してスパイラルコイル2と平行に配設されると共に接地用端子に接続された平面状の接地用電極10と、スパイラルコイル2の周囲に形成される磁路の少なくとも一部に配設された磁性体9と、スパイラルコイル2における少なくとも一部の領域に近接して平行に配設された平面状の補助導体4とを備えている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面状のスパイラルコイル、平面状の接地用電極、およびスパイラルコイルの中央部を貫通して配設されてスパイラルコイルの周囲に発生する磁束に対する閉磁路を形成可能な磁性体を備え、信号伝送路に用いられる分布定数型フィルタ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のフィルタ素子として、特開2002−84157に開示された分布定数型フィルタ素子が知られている。この分布定数型フィルタ素子(以下、「フィルタ素子」ともいう)は、内部誘電体層(13)の上下に対向して配置される平行導体ライン(11,12)が磁性体と誘電体層の複合体(14,15)で挟持されると共に、これらの磁性体と誘電体層の複合体(14,15)の上下外側表面に接地導体(18,19)が形成されて構成されている。このフィルタ素子によれば、磁性体を備えているため、分布インダクタンスが大きくなると共に2本の導体ラインの磁気結合係数が大きくなる結果、特にコモンモード信号に対する特性インピーダンスを大きく設定することが可能になる。また、コモンモード動作時は、平衡モード動作時と比較して、磁性体の磁束密度が遥かに高くなることに起因して磁気損失が大幅に増大し、さらには、導体ラインを鎖交する高周波磁束も増加するために導体のうず電流損失も増大する。このため、コモンモード信号を広い周波数範囲に亘って抑制することが可能となる。したがって、平衡モード信号を効率よく通過させつつ信号の不平衡で生じるコモンモード信号を大幅に除去することが可能となる。
【0003】
一方、上記した従来のフィルタ素子は、400MHz以上の非常に高い周波数のノイズ除去に適した特性を有している。しかしながら、今日では、より低い周波数(例えば、数kHz〜100MHz程度)のノイズを抑制し得る特性を有するフィルタ素子の実現も望まれている。この要望に応じて発明者は、図23に示すフィルタ素子101を既に開発している。このフィルタ素子101は、同一平面内において周回する線状の導体によって形成された平面コイル(以下、「スパイラルコイル」ともいう)2と、スパイラルコイル2が埋設されて環状に形成された誘電体層102と、誘電体層102を取り囲んで配設された磁性体103と、磁性体103の両面(同図中の上下面)側に配設された一対の接地用電極104,104とを備え、ノーマルモード用の分布定数型フィルタ素子として構成されている。この場合、フィルタ素子101では、環状の誘電体層102の周囲全体、つまり誘電体層102(およびスパイラルコイル2)の中央部、誘電体層102の上下面および誘電体層102の外周面が磁性体103によって取り囲まれている構成のため、スパイラルコイル2に電流が流れた際にスパイラルコイル2の周囲に発生する磁束に対する閉磁路が磁性体103によって形成される。このため、このフィルタ素子101では、スパイラルコイル2を形成する線状の導体における各部位同士間の磁気的結合度合いが強まる結果、上記した従来のフィルタ素子と比較して分布インダクタンスが大幅に増大する。したがって、フィルタ素子101は、信号に対する波長の短縮率が一層大きくなるため、より低い周波数帯域に対しても大きな特性インピーダンスを確保することができる結果、低い周波数のノイズに対しても大きな抑制能力が発揮されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−84157号公報(第7頁、図9)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のフィルタ素子101には、以下のような解決すべき課題がある。すなわち、フィルタ素子101において損失特性や位相特性を所望のフィルタ特性に設計する場合、スパイラルコイル2を構成する線状の導体間の結合容量(以下、「線間容量」ともいう)と分布容量(対接地間の容量)をそれぞれ所定の大きさに設定する必要がある。しかし、スパイラルコイル2は線状の導体を同一平面内において周回して形成され、しかも、この導体は一般的には非常に薄い厚みで形成されている。したがって、このフィルタ素子101では、線間容量を大きく変更するのが困難である。このため、このフィルタ素子101では、分布容量のみを変更して損失特性を変更せざるを得ない。一方、損失特性を実際に変更する際には、分布容量を小さくする方向に変更することが多く、これを実現するためには、スパイラルコイル2と接地用電極104,104を大きく離間さなければならない結果、フィルタ素子の厚みが増加するという解決すべき課題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、厚みの大幅な増加を招くことなく所望のフィルタ特性に設定し得る分布定数型フィルタ素子を提供することを主目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の分布定数型フィルタ素子は、周回する線状の導体によって形成されると共に一端側に入力端子が接続され他端側に出力端子が接続された平面状のスパイラルコイルと、当該スパイラルコイルの少なくとも一方の面側に非磁性材からなる誘電体を介して前記スパイラルコイルと平行に配設されると共に接地用端子に接続された平面状の接地用電極と、前記スパイラルコイルの周囲に形成される磁路の少なくとも一部に配設された磁性体と、前記スパイラルコイルにおける少なくとも一部の領域に近接して平行に配設された平面状の補助導体とを備えている。本発明における「端子」には、金具状の端子を含むのは勿論のこと、いわゆるリード線も含む概念である。
【0008】
請求項2記載の分布定数型フィルタ素子は、請求項1記載の分布定数型フィルタ素子において、前記接地用電極は、前記スパイラルコイルの両外面側にそれぞれ配設され、前記補助導体は、前記スパイラルコイルの各外面と当該スパイラルコイルの各外面側に配設された前記接地用電極との間にそれぞれ配設されている。
【0009】
請求項3記載の分布定数型フィルタ素子は、同一方向に周回する線状の導体によって形成されると共に互いに平行状態で離間して対向配置されて同一方向の各一端側に入力端子がそれぞれ接続されると共に各他端側に出力端子がそれぞれ接続された平面状の一対のスパイラルコイルと、非磁性材からなる誘電体を介して前記一対のスパイラルコイルにおける各非対向面側に平行状態で離間してそれぞれ対向配置されると共に接地用端子が接続された平板状の一対の接地用電極と、前記一対のスパイラルコイルの周囲に形成される磁路の少なくとも一部に配設された磁性体と、互いに対向する前記各スパイラルコイルおよび前記各接地用電極の間であって当該スパイラルコイルにおける少なくとも一部の領域に近接して平行にそれぞれ配設された平面状の一対の補助導体とを備えている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る分布定数型フィルタ素子の好適な実施の形態について説明する。
【0011】
最初に、本発明の第1の実施の形態に係る分布定数型フィルタ素子(以下、「フィルタ素子」ともいう)1について、図面を参照して説明する。なお、フィルタ素子101と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0012】
フィルタ素子1は、図1,2に示すように、スパイラルコイル2、誘電体としての誘電体層3、一対の補助導体4,4、絶縁体としての一対の絶縁体層5,5、入力端子6、出力端子7、接地用端子8、磁性体9および一対の接地用電極10,10を備え、ノーマルモードフィルタとして構成されている。
【0013】
スパイラルコイル2は、図1,3に示すように、一例として同一平面内で所定回数(一例として3.5ターン)だけ周回された線状の導体によって形成されている。この場合、スパイラルコイル2は、平板状の金属体に対してメッキ処理や打ち抜き加工を施すことによって形成される。
【0014】
誘電体層3は、図1,3,4に示すように、非磁性材としての誘電材料を用いて環状(中心孔3aが形成された円板状)に形成されると共に、その厚みが一定に規定されている。また、誘電体層3は、その内部にスパイラルコイル2が埋設されている。具体的には、図3に示すように、スパイラルコイル2は、誘電体層3の厚み方向における中央部に誘電体層3に対して平行に埋設されている。なお、本実施の形態では、誘電体層3を一層として、その内部にスパイラルコイル2を配設する構成を採用したが、互いに分離した一対の誘電体層3,3を用いて、誘電体層3をスパイラルコイル2の両面側に一層ずつ配設する構成を採用することもできる。
【0015】
補助導体4,4は、図1,3,4に示すように、導電性材料を用いて環状(中心孔4aが形成された円板状)の外形に形成されると共に、誘電体層3の両面(同図中の上下両面)上に電気的に浮いた状態でそれぞれ配設されている。つまり、各補助導体4,4は、スパイラルコイル2を挟み込むようにして、スパイラルコイル2の両面側に誘電体層3を介して近接し、かつ平行となる状態で配設されている。また、各補助導体4,4は、その内径が誘電体層3の内径よりも若干大径に形成されると共に、その外径が誘電体層3の外径よりも若干小径に形成されている。また、図4に示すように、各補助導体4,4には、切り込み4bがそれぞれ設けられて、上記の中心孔4aは、この切り込み4bを介して補助導体4の外縁に連通する。つまり、補助導体4は、磁性体9によって形成される閉磁路に対してショートリングとして機能しないように構成されている。したがって、各補助導体4,4に設ける切り込みは、細いスリット状に限られない。例えば、切り込みの切り込み幅を拡げて補助導体4自体をC字状に形成することができる。また、本発明における切り込みは直線状に限らず、曲線状に形成することもできる。また、補助導体4は、その中心孔4aが中心孔3aと同径に形成されると共に、その外径が誘電体層3と同一に規定されている。また、導電性材料として、銅、アルミニウム、真鍮、銀、ステンレス等の金属材料およびこれらの合金や、炭素、鉄、ニッケル、コバルトおよびこれらの合金等の磁性金属材料を採用することができる。
【0016】
絶縁体層5,5は、図3,4に示すように、誘電体層3よりも誘電率が低い絶縁材料を用いて環状(中心孔5aが形成された円板状)に形成されると共に、その厚みが一定に規定されて各補助導体4における外面上にそれぞれ配設されている。この場合、絶縁体層5は、その中心孔5aが中心孔3aと同径に形成されると共に、その外径が誘電体層3と同一に規定されている。
【0017】
入力端子6は、図1,4に示すように、その一端側がスパイラルコイル2の一端側に接続され、他端側が誘電体層3の外周面から外部に突出している。出力端子7も同様にして、その一端側がスパイラルコイル2の他端側に接続され、他端側が誘電体層3の外周面から外部に突出している。
【0018】
磁性体9は、図1,2に示すように、箱状磁性部材11と蓋状磁性部材12とを備えている。この場合、箱状磁性部材11は、磁性材料を用いて有底筒体(一例として有底円筒体)に形成されると共に、内底面11aの中央部分に柱状部11bが立設され、かつ周壁11cの一部に切り欠き部11d,11dが2つ形成されている。また、箱状磁性部材11の柱状部11bは、一例として、周壁11cと同じ高さに形成されると共に、誘電体層3の中心孔3a、補助導体4の中心孔4aおよび絶縁体層5の中心孔5a内に挿入可能な外径に形成されている。また、周壁11cは、その内径および高さが誘電体層3、補助導体4,4および絶縁体層5,5から成る積層体A(図1,4参照)を収納可能な長さに設定されている。一方、蓋状磁性部材12は、磁性材料を用いて平板体(一例として円板状)に形成され、箱状磁性部材11の上部開口部を閉塞可能に構成されている。具体的には、蓋状磁性部材12は、その外径が箱状磁性部材11の外径と同一に設定されると共に所定の厚みに設定されて、箱状磁性部材11の開口部側端面に載置可能に構成されている。つまり、磁性体9は、いわゆるポットコアとして構成されている。
【0019】
上記の積層体Aは、誘電体層3の中心孔3a、補助導体4,4の各中心孔4aおよび絶縁体層5,5の各中心孔5a内に柱状部11bが挿入された状態で箱状磁性部材11内に装着され、さらに箱状磁性部材11の上部開口部側端面に蓋状磁性部材12が載置されることにより、図2,3に示すように、磁性体9の内部に収納されている。この構成により、スパイラルコイル2の周囲全体(スパイラルコイル2の周囲に形成される磁路の全体)に磁性体9が配設される結果、磁性体9は、全体として、スパイラルコイル2の周囲に発生する磁束に対する閉磁路を形成する。一方、入力端子6および出力端子7は、図2に示すように、周壁11cに形成された各切り欠き部11d,11dを通して各々の他端側が磁性体9の外部に突出している。
【0020】
接地用電極10,10は、図1〜3に示すように、外形が円板状に形成されて、箱状磁性部材11の下面および蓋状磁性部材12の上面に配設されている。また、接地用端子8は、図2に示すように、その一端側が各接地用電極10,10に接続されている。
【0021】
このフィルタ素子1は、上述した構成により、一例として、図5に示す等価回路で表される分布定数型の伝送線路を構成する。この場合、符号SL1,SL2,SL3およびSL4で示す部分は、スパイラルコイル2の1ターン目、2ターン目、3ターン目および3.5ターン目における単位長Δx当たりの各等価回路を示す。これらの等価回路では、符号L1,L2,L3,L4は、1ターン目、2ターン目、3ターン目および3.5ターン目における各単位長Δx当たりの各分布自己インダクタンスを表し、符号Rは、各単位長Δx当たりのスパイラルコイル2の直流分布抵抗を表している。また、符号Cgは各単位長Δx当たりのスパイラルコイル2と接地間の分布容量を表し、符号Gは各単位長Δx当たりのスパイラルコイル2と接地間の分布コンダクタンスを表している。また、符号Cp1〜Cp3は、スパイラルコイル2の近傍に配設された補助導体4によってスパイラルコイル2の各部位間に形成される結合容量(線間容量)を表している。なお、各線間容量Cp1〜Cp3は形成される部位によってその容量値が異なるのは勿論である。
【0022】
このフィルタ素子1では、フィルタ素子101と同様にして、磁性体9が、入力端子6から信号を入力している状態においてスパイラルコイル2の周囲に発生する磁束に対する閉磁路を形成する。このため、スパイラルコイル2を形成する線状の導体は、この閉磁路によって互いに磁気的に強く結合する。すなわち、図5における各分布自己インダクタンスL1,L2,L3,L4相互間の相互インダクタンスが大きな状態にある。その結果、各等価回路SL1,SL2,SL3,SL4における各単位長Δx当たりの各分布自己インダクタンスL1,L2,L3,L4が、実質的に増大して、低い周波数(例えば、数100kHz〜100MHz程度)に対する特性インピーダンスも大きくなる。したがって、フィルタ素子1は、このような低い周波数のノイズに対してもローパスフィルタとして有効に機能し、信号に重畳している低い周波数のノイズを効果的に抑制することができる。
【0023】
さらに、このフィルタ素子1では、図3に示すように、各接地用電極10,10とスパイラルコイル2との間に、補助導体4,4がスパイラルコイル2に近接し、かつ電気的に浮いた状態(接地用電極10が接続されるグランド電位などとは絶縁された状態)で配設されている。このため、このフィルタ素子1では、各補助導体4,4とスパイラルコイル2の各単位領域(単位長Δxで区切られた領域)との間に大きな結合容量が形成され、この大きな結合容量が、対向する補助導体4を介して他の単位領域と補助導体4との間に形成された結合容量に直列に接続される。この結果、スパイラルコイル2の各単位領域相互間、スパイラルコイル2における隣接する各ターン相互間、さらには隣接していない各ターン相互間に形成される線間容量Cp1,Cp2,Cp3が、補助導体4,4が存在しない構成と比較して増大する。特に、補助導体4,4が存在しない構成においては、遠く離れていて相互間に線間容量が殆ど形成されないような、各単位領域相互間の線間容量が飛躍的に増大する。しかも、このフィルタ素子1では、各補助導体4,4の平面形状(形や大きさ)を、図4に示すように、スパイラルコイル2の全体に亘る形状にしたり、また図7〜図11に示すように、スパイラルコイル2よりも小さな外形とすると共に、スパイラルコイル2の一部の領域に近接して平行に、かつ偏在させて複数配設させたりすることにより、各線間容量Cp1,Cp2,Cp3の形成位置および容量値を自由に設定することができる。したがって、このフィルタ素子1では、分布容量のみならず線間容量を自由に設定可能となるため、線間容量を自由に設定できないフィルタ素子101とは異なり、厚みの大幅な増加を招くことなく、その損失特性や位相特性を自由に設定して所望のフィルタ特性(周波数特性)を実現することができる。
【0024】
なお、上記した図7〜図11に示す補助導体4について詳細に説明すると、図7は、その幅がスパイラルコイル2の2ターン分の幅を超えるように規定され、かつ平面形状がスパイラル状に形成された金属製平板を補助導体4として使用した例を示し、図8は、スパイラルコイル2の内周側から外周側に亘る幅に形成された扇状の金属製平板を補助導体4として使用した例を示す。また、図9は、短冊状の金属平板を補助導体4として使用して、スパイラルコイル2の径方向に沿って等角度間隔で配置した例を示し、図10は、内径および外径が異なる2種類の円弧状の金属平板(幅はスパイラルコイル2の2ターン分の幅を超えるように規定されている)を補助導体4として使用してスパイラルコイル2における半円形の各領域内に配設した例を示し、図11は、直径が少なくともスパイラルコイル2の2ターン分の幅を超えるように規定された円形状の金属平板をスパイラルコイル2の全体に亘って水玉模様状に点在させて配設した例を示す。また、図7〜図11は補助導体4の形状の一例を示したものであり、これ以外の種々の形状を採用することができる。例えば、図8に示すように、一部に孔(中心孔4a以外の孔)4bを形成した形状とすることもできる。また、図7〜図11に示すように、スパイラルコイル2に対して補助導体4,4を偏在させた構成を採用した場合、図12に示すフィルタ素子1Aのように、偏在して配設された各補助導体4,4間にのみ誘電体層3を配設させて構成することもできる。このように、スパイラルコイル2に対して補助導体4を偏在させることにより、スパイラルコイル2における任意のターン相互間にのみ線間容量を形成したり、さらには、任意のターン内の任意の部位およびこの部位に近接する他のターンの部位との間にのみ個別的に線間容量を形成することができる。したがって、設計の自由度を高めることができる結果、任意のフィルタ特性のフィルタ素子を設計することができる。
【0025】
また、スパイラルコイル2全体に亘って補助導体4,4を配設する場合であっても、図13に示すフィルタ素子1Bのように、スパイラルコイル2の各外面側に配設する補助導体4を複数(同図中では一例として2つ)に分割すると共に、スパイラルコイル2からの距離を互いに異ならしめることにより、各線間容量Cp1,Cp2,Cp3の値についての設計の自由度を高めることができる。一例として、フィルタ素子1Bでは、補助導体4を、スパイラルコイル2の内周側領域に対向する環状の補助導体20と、スパイラルコイル2の外周側領域に対向する環状の補助導体21とに分割すると共に、補助導体21と比較して補助導体20をスパイラルコイル2に一層近接させて構成している。このフィルタ素子1Bによれば、スパイラルコイル2の全体に亘って線間容量を形成しつつ、部分的に線間容量の容量値を変更することができるため、設計の自由度をさらに高めることができる。
【0026】
また、フィルタ素子1,1A,1Bでは、上記したように、補助導体4を備えたことにより、線間容量の形成部位や、線間容量の容量値を任意に設定することができるため、図6に示すように、カットオフ周波数(同図では一例として約150KHz)を超える周波数帯域(同図では一例として8MHz以上の帯域)における反射波の位相S11と通過波の位相S21とをほぼ等しくするように設計することができ、発明者は、この場合に、カットオフ周波数からこの周波数帯域を含む広い周波数帯域において十分に満足し得る入力損失特性を確保できることを発見した。
【0027】
次いで、本発明の第2の実施の形態に係るフィルタ素子31について、図面を参照して説明する。なお、フィルタ素子1と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0028】
フィルタ素子31は、図14,15に示すように、絶縁体層5の上面および下面に各接地用電極10,10を配設(積層)して、スパイラルコイル2を含む誘電体層3、補助導体4,4、絶縁体層5および接地用電極10,10から成る積層体A1を磁性体9の内部に収納した点において、上記した各フィルタ素子1,1A,1Bと構成が相違し、他の基本的な構成は共通に構成されている。この場合、各接地用電極10,10には、図15に示すように、柱状部11bを挿入するための中心孔10aと、磁性体9に対してショートリングを構成しないようにするための切り込み10bとをそれぞれ形成する。また、箱状磁性部材11には、入力端子6および出力端子7と同様にして、各接地用電極10,10に接続した接地用端子8を磁性体9の外部に引き出すための切り欠き部(図示せず)を形成する。
【0029】
このフィルタ素子31でも、フィルタ素子1と同様にして、スパイラルコイル2を形成する線状の導体が磁性体9によって形成される閉磁路によって互いに磁気的に強く結合するため、低い周波数のノイズに対してもローパスフィルタとして有効に機能し、信号に重畳している低い周波数のノイズの通過を効果的に抑制することができる。また、各接地用電極10,10とスパイラルコイル2との間に補助導体4,4を配設して構成したため、図5に示すように、スパイラルコイル2の各単位領域相互間、スパイラルコイル2における隣接する各ターン相互間、さらには隣接していない各ターン相互間にその容量を任意に設定可能な線間容量Cp1,Cp2,Cp3をそれぞれ形成することができる。したがって、このフィルタ素子31であっても、厚みの大幅な増加を招くことなく、その損失特性や位相特性を自由に設計して、所望の特性に設定することができる。また、磁性体9の外面に接地用電極10,10のような金属材が露出していないため、他の電子部品に接触した場合であっても、この接触に起因するショート故障を未然に防止することができる。なお、フィルタ素子31においても、図7〜図12に示すように、補助導体4をスパイラルコイル2に対して偏在させる構成を採用することもできるし、図13に示すように、各補助導体4,4をそれぞれ分割すると共にスパイラルコイル2に対する距離を異ならしめる構成を採用することもできる。
【0030】
次いで、本発明の第3の実施の形態に係るフィルタ素子41について、図面を参照して説明する。なお、フィルタ素子1と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0031】
フィルタ素子41は、図16に示すように、一対のスパイラルコイル2,2、誘電体層3、一対の補助導体4,4、絶縁体としての一対の絶縁体層5,5、一対の入力端子(図示せず)、一対の出力端子(図示せず)、接地用端子(図示せず)、磁性体9および一対の接地用電極10,10を備え、コモンモードフィルタとして構成されている。この場合、一対のスパイラルコイル2,2は、誘電体層3内に互いに平行状態で離間して対向配置されている。また、各スパイラルコイル2,2は、同一方向に周回するように配置されている。また、各入力端子は、各々の一端側が各スパイラルコイル2,2における周回方向に沿った同一方向の各一端側にそれぞれ接続され、各出力端子は、各々の一端側が各スパイラルコイル2,2における他端側にそれぞれ接続されて、周壁11cに形成された各切り欠き部11d,11dを通して各々の他端側が磁性体9の外部に突出している。
【0032】
このフィルタ素子41では、フィルタ素子1と同様にして、磁性体9が、各入力端子から信号を入力している状態において各スパイラルコイル2,2の周囲に発生する磁束に対する閉磁路を形成する。このため、スパイラルコイル2,2を形成する線状の各導体はこの閉磁路によって互いに磁気的に強く結合し、分布インダクタンスが増大する。すなわち、コモンモード信号に対する分布インダクタンスが増大して、より低い周波数のコモンモード信号に対しても特性インピーダンスが大きくなる。一方、各スパイラルコイル2,2に互いに例えば電流の向きが逆方向の信号を入力したときには、各スパイラルコイル2,2の周囲に発生する磁束が磁性体9内で打ち消し合うため、分布インダクタンスは信号の周波数に拘わらず小さい状態が維持される。したがって、フィルタ素子41は、理想的なコモンモードフィルタとして機能する。さらに、フィルタ素子41でも、フィルタ素子1と同様にして、各スパイラルコイル2と、各スパイラルコイル2に対向して配設された各接地用電極10,10との間に補助導体4がそれぞれ配設されているため、各スパイラルコイル2の各単位領域相互間、スパイラルコイル2における隣接する各ターン相互間、さらには隣接していない各ターン相互間にその容量を任意に設定可能な線間容量をそれぞれ形成することができる。したがって、厚みの大幅な増加を招くことなく、その損失特性や位相特性を自由に所望の特性に設計することができる。なお、フィルタ素子41においても、図7〜図12に示すように、補助導体4をスパイラルコイル2に対して偏在させる構成を採用することができるし、図13に示すように、各補助導体4,4をそれぞれ分割すると共にスパイラルコイル2に対する距離を異ならしめる構成を採用することができるのは勿論である。
【0033】
ところで、上記各実施の形態のフィルタ素子1,1A,1B,31において、一対の接地用電極10,10のうちの一方のみを配設して構成したとしても、補助導体4を配置することにより、フィルタ設計において、スパイラルコイル2の線間容量を調節することができる。ところが、このようなフィルタ素子では、外来ノイズが信号線路としてのスパイラルコイル2に侵入し易くなる。これに対して、上記したフィルタ素子1,1A,1B,31では、スパイラルコイル2の両面側に一対の接地用電極10,10を配設して構成したことにより、磁性体9を介してフィルタ素子1,1A,1B,31の内部に外来ノイズが侵入した場合であっても、一対の接地用電極10,10がシールド板として機能するため、スパイラルコイル2を通過する信号に対する外来ノイズの重畳を十分に低減することができる結果、外来ノイズに対する耐性を十分に向上させることができる。また、フィルタ素子41でも、一対のスパイラルコイル2,2に対してそれぞれその外面側に一対の接地用電極10,10を常に配設する構成となるため、フィルタ素子1,1A,1B,31と同様にして、外来ノイズに対する耐性を十分に向上させることができる。
【0034】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されない。例えば、上記各実施の形態のフィルタ素子1,1A,1B,31,41において、一対の補助導体4,4のうちの一方のみを配設して構成したとしても、スパイラルコイル2の線間容量を任意の容量値に設定することができる。また、スパイラルコイル2は、円形に周回して形成する構成に代えて、三角形や四角形などの多角形に周回して形成する構成を採用することもできる。この場合、誘電体層3、補助導体4、絶縁体層5、接地用電極10、箱状磁性部材11および蓋状磁性部材12の平面形状は、スパイラルコイル2の平面形状に合わせた形状に構成することもできる。また、磁性体9として、いわゆるトロイダルコアやEIコア等を用いることもできる。さらに、フィルタ素子31において、磁性体9と接地用電極10との電気的な短絡を避ける必要があるときには、接地用電極10と磁性体9との間に、絶縁材料で形成された絶縁層や、電気抵抗を有する材料で形成された抵抗層などを配設することもできる。また、上記した実施の形態では、互いに分離した一対の接地用電極10,10を用いた例を挙げて説明したが、各接地用電極10,10は共に接地用端子7に接続される構成のため、例えば金属板材によって互いに連結して一体化した構成を採用することもできる。
【0035】
また、上記の実施の形態では、スパイラルコイル2(または一対のスパイラルコイル2,2)の中央部および一対の補助導体4,4の各中心孔4aを貫通すると共にスパイラルコイル2を被覆するようにして配設されてスパイラルコイル2の周囲に発生する磁束に対する閉磁路を形成可能な磁性体9を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、磁性体は、スパイラルコイル2の周囲に形成される磁路の少なくとも一部に配設されていればよい。具体的には、スパイラルコイル2(または一対のスパイラルコイル2,2)の中央部および一対の補助導体4,4の各中心孔4aを貫通する棒状に磁性体を構成してもよいし、貫通させることなく補助導体4に対向して配置される膜状(または層状)に磁性体を構成してもよい。
【0036】
また、上記の第1の実施の形態における積層体Aに代えて、図17に示すように、多層のプリント基板52を用いて形成した積層体A2を使用して、フィルタ素子51を構成することもできる。この場合、プリント基板52は、一例としてガラスエポキシ、ベークライト、紙エポキシ、またはセラミックス等の非磁性材料である絶縁材で形成された基材(絶縁層)52a(図18参照)で構成されており、その内層(導体層)52b(図18参照)によって図19に示す積層体A2のスパイラルコイル2が形成され、その表面の導体層52c(図18参照)によって図19に示す一方の補助導体4、入力端子6および出力端子7が形成され、さらに、その裏面の導体層52d(図18参照)によって図19に示す他方の補助導体4が形成されている。また、スパイラルコイル2は、その一端側がビアホール(図示せず)を介して入力端子6における内側の端部に接続され、他端側がビアホール(図示せず)を介して出力端子7における内側の端部に接続されている。各補助導体4,4には、図17,19に示すように、切り込み4bがそれぞれ設けられて、ショートリングとして機能しないように構成されている。また、プリント基板52の基材52aが積層体Aの誘電体層3と同等の誘電体層として機能する。また、プリント基板52の表面および裏面には、磁性体9との電気的絶縁性を確保するために、図18に示すように、絶縁材としてのレジスト層52eがそれぞれ形成されて、積層体Aの絶縁体層5,5と同等の絶縁体層として機能する。また、プリント基板52には、図17に示すように、箱状磁性部材11の柱状部11bを挿通させるための円形貫通孔52fがスパイラルコイル2および各補助導体4,4の中央部に形成され、箱状磁性部材11の各周壁11cを挿通させるための弧状貫通孔52gがスパイラルコイル2および各補助導体4,4の周縁側に形成されている。
【0037】
上記した積層体A2は、円形貫通孔52f内に箱状磁性部材11の柱状部11bが挿入されると共に、各弧状貫通孔52g内に各周壁11cが挿入され、さらにプリント基板52の表面から突出する柱状部11bおよび各周壁11cの端面に蓋状磁性部材12が載置されることにより、箱状磁性部材11と蓋状磁性部材12との間で挟持される。この構成により、積層体A2のスパイラルコイル2および一対の補助導体4,4は、磁性体9の内部に収納される。また、入力端子6および出力端子7は、周壁11cに形成された各切り欠き部11d,11dを介して各々の他端側が磁性体9の外部に突出させられる。
【0038】
このフィルタ素子51では、上記したフィルタ素子1と同様の作用効果を奏すると共に、さらに多層のプリント基板52を用いて形成した積層体A2を使用したことにより、基材(絶縁層)52a、絶縁層52eおよび導体層52b,52c,52dの厚みを正確に設定可能となるため、精度の高い分定数型フィルタ素子を確実かつ容易に実現することができる。また、積層体A2を形成するためのプリント基板52は、積層体A2専用に構成してもよいし(上記したスパイラルコイル2や補助導体4,4等のフィルタ素子51の構成要素のみが形成されている構成)、積層体A2専用の構成と他の電子回路とを共に形成するように構成することもできる。後者の場合には、積層体A2専用の構成が形成されたプリント基板の一部の領域に円形貫通孔52fおよび弧状貫通孔52gを利用して磁性体9を取り付けることにより、この一部の領域にフィルタ素子51を形成することができる。この構成によれば、フィルタ素子51を含む電子回路を一枚のプリント基板上に形成することができるため、フィルタ素子51と他の電子回路との間の配線作業を省くことができる結果、電子機器を安価に製造することができる。また、多層のプリント基板52を用いることにより、図12に示すように、各補助導体4,4を偏在して配設したり、また図13に示すように、各補助導体4,4を複数に分割すると共にスパイラルコイル2からの距離を互いに異ならしめたりする構成を確実かつ容易に実現することができる。
【0039】
また、上記の第2の実施の形態における積層体A2に代えて、図20に示すように、多層のプリント基板62を用いて形成した積層体A3を使用して、フィルタ素子61を構成することもできる。この場合、プリント基板62は、一例としてガラスエポキシ等の絶縁材で形成された基材(絶縁層)62a(図21参照)で構成されており、その内層(導体層)62b(図21参照)によって図22に示す積層体A3のスパイラルコイル2が形成され、導体層62bを挟んで配設された一対の内層(導体層)62c,62d(図21参照)によって図22に示す一対の補助導体4,4が形成されている。また、プリント基板62の表面の導体層62e(図21参照)によって図22に示す一方の接地用電極10、入力端子6、出力端子7および接地用端子8が形成され、プリント基板62の裏面の導体層62f(図21参照)によって図22に示す他方の接地用電極10が形成されている。また、スパイラルコイル2は、その一端側がビアホール(図示せず)を介して入力端子6における内側の端部に接続され、他端側がビアホール(図示せず)を介して出力端子7における内側の端部に接続されている。また、接地用端子8と一方の接地用電極10とは直接接続されている(図20,22参照)。
【0040】
また、図22に示すように、各補助導体4,4には切り込み4bがそれぞれ設けられ、各接地用電極10,10にも切り込み10bがそれぞれ設けられて、ショートリングとして機能しないように構成されている。また、プリント基板62の基材62aが積層体Aの誘電体層3と同等の誘電体層として機能する。また、プリント基板62の表面および裏面には、磁性体9との電気的絶縁性を確保するために、図21に示すように、絶縁材としてのレジスト層62gがそれぞれ形成されて、積層体Aの絶縁体層5,5と同等の絶縁体層として機能する。また、プリント基板62には、図20に示すように、箱状磁性部材11の柱状部11bを挿通させるための円形貫通孔62hがスパイラルコイル2および各補助導体4,4の中央部に形成され、箱状磁性部材11の各周壁11cを挿通させるための弧状貫通孔62iがスパイラルコイル2および各補助導体4,4の周縁側に形成されている。
【0041】
上記した積層体A3は、円形貫通孔62h内に箱状磁性部材11の柱状部11bが挿入されると共に、各弧状貫通孔62i内に各周壁11cが挿入され、さらにプリント基板62の表面から突出する柱状部11bおよび各周壁11cの端面に蓋状磁性部材12が載置されることにより、箱状磁性部材11と蓋状磁性部材12との間で挟持される。この構成により、積層体A3のスパイラルコイル2、一対の補助導体4,4および一対の接地用電極10,10は、磁性体9の内部に収納される。また、入力端子6および出力端子7は、周壁11cに形成された各切り欠き部11d,11d,11dを介して各々の他端側が磁性体9の外部に突出させられる。
【0042】
このフィルタ素子61では、上記したフィルタ素子1と同様の作用効果を奏すると共に、さらに多層のプリント基板62を用いて形成した積層体A3を使用したことにより、上記のフィルタ素子51と同様にして、基材(絶縁層)62a、レジスト層62gおよび導体層62b,62c,62d,62e,62fの厚みを正確に設定可能となるため、精度の高い分定数型フィルタ素子を確実かつ容易に実現することができる。また、フィルタ素子51と同様にして、積層体A3専用の構成(スパイラルコイル2、補助導体4,4および接地用電極10,10等)と他の電子回路とが共に形成されたプリント基板を使用することにより、フィルタ素子61を含む電子回路を一枚のプリント基板上に形成することができるため、フィルタ素子61と他の電子回路との間の配線作業を省くことができる結果、電子機器を安価に製造することができる。
【0043】
また、図示はしないが、上記のフィルタ素子51,61において、各プリント基板52,62の内層52b,62bがもう一層追加された構成のプリント基板を使用することにより、一対の補助導体4,4間にスパイラルコイル2を一対形成することができるため、フィルタ素子41と同等のコモンモードフィルタを構成することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の分布定数型フィルタ素子によれば、スパイラルコイルにおける少なくとも一部の領域に近接して平行に、非磁性材からなる誘電体を介して配設された平面状の補助導体を備えたことにより、その一部の領域に含まれるスパイラルコイルを形成する導体の複数の部位間における結合容量(つまり線間容量)を増加させることができる。したがって、分布容量のみならず線間容量を自由に設定可能となるため、線間容量を自由に設定できない従来のフィルタ素子とは異なり、厚みの大幅な増加を招くことなく、その損失特性や位相特性を自由に設定して所望のフィルタ特性を実現することができる。
【0045】
また、請求項2記載の分布定数型フィルタ素子によれば、スパイラルコイルの各外面とスパイラルコイルの各外面側に配設された接地用電極との間に補助導体をそれぞれ配設したことにより、シールド板として機能する接地用電極によって外来ノイズに対する耐性も十分に向上させることができる。
【0046】
また、請求項3記載の分布定数型フィルタ素子によれば、互いに対向する各スパイラルコイルおよび各接地用電極の間であってスパイラルコイルにおける少なくとも一部の領域に近接して平行に、非磁性材からなる誘電体を介してそれぞれ一対の補助導体を配設したことにより、その一部の領域に含まれるスパイラルコイルを形成する導体の複数の部位間における結合容量(つまり線間容量)を増加させることができる。したがって、分布容量のみならず線間容量を自由に設定可能となるため、線間容量を自由に設定できない従来のフィルタ素子とは異なり、厚みの大幅な増加を招くことなく、その損失特性や位相特性を自由に設定して所望のフィルタ特性を有するコモンモードフィルタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルタ素子1の構成を示す分解斜視図である。
【図2】フィルタ素子1の完成状態の斜視図である。
【図3】図2におけるフィルタ素子1のW−W線断面図である。
【図4】フィルタ素子1における積層体Aの構成を示す分解斜視図である。
【図5】フィルタ素子1の等価回路の一例を示す回路図である。
【図6】フィルタ素子1の周波数に対する入力損失と位相の関係を示す特性図である。
【図7】補助導体4の他の構成例を示す平面図である。
【図8】補助導体4の他の構成例を示す平面図である。
【図9】補助導体4の他の構成例を示す平面図である。
【図10】補助導体4の他の構成例を示す平面図である。
【図11】補助導体4の他の構成例を示す平面図である。
【図12】補助導体4をスパイラルコイル2に対して偏在させたフィルタ素子1Aの側面断面図である。
【図13】補助導体4を分割してスパイラルコイル2に対する距離を異ならしめたフィルタ素子1Bの側面断面図である。
【図14】フィルタ素子31の内部構造を示す側面断面図である。
【図15】フィルタ素子31における積層体A1の構成を示す分解斜視図である。
【図16】フィルタ素子41の構成を示す側面断面図である。
【図17】フィルタ素子51の構成を示す分解斜視図である。
【図18】フィルタ素子51に用いられる積層体A2(プリント基板52)の構成を示す断面図である。
【図19】フィルタ素子51に用いられる積層体A2(プリント基板52)における各導体層の構成を示す分解斜視図である。
【図20】フィルタ素子61の構成を示す分解斜視図である。
【図21】フィルタ素子61に用いられる積層体A3(プリント基板62)の構成を示す断面図である。
【図22】フィルタ素子61に用いられる積層体A3(プリント基板62)における各導体層の構成を示す分解斜視図である。
【図23】フィルタ素子101の内部構造を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,31,41,51,61 フィルタ素子
2 スパイラルコイル
3 誘電体層
4 補助導体
5 絶縁体層
6 入力端子
7 出力端子
8 接地用端子
9 磁性体
10 接地用電極
Cp 線間容量(結合容量)

Claims (3)

  1. 周回する線状の導体によって形成されると共に一端側に入力端子が接続され他端側に出力端子が接続された平面状のスパイラルコイルと、当該スパイラルコイルの少なくとも一方の面側に非磁性材からなる誘電体を介して前記スパイラルコイルと平行に配設されると共に接地用端子に接続された平面状の接地用電極と、前記スパイラルコイルの周囲に形成される磁路の少なくとも一部に配設された磁性体と、前記スパイラルコイルにおける少なくとも一部の領域に近接して平行に配設された平面状の補助導体とを備えている分布定数型フィルタ素子。
  2. 前記接地用電極は、前記スパイラルコイルの両外面側にそれぞれ配設され、
    前記補助導体は、前記スパイラルコイルの各外面と当該スパイラルコイルの各外面側に配設された前記接地用電極との間にそれぞれ配設されている請求項1記載の分布定数型フィルタ素子。
  3. 同一方向に周回する線状の導体によって形成されると共に互いに平行状態で離間して対向配置されて同一方向の各一端側に入力端子がそれぞれ接続されると共に各他端側に出力端子がそれぞれ接続された平面状の一対のスパイラルコイルと、非磁性材からなる誘電体を介して前記一対のスパイラルコイルにおける各非対向面側に平行状態で離間してそれぞれ対向配置されると共に接地用端子が接続された平板状の一対の接地用電極と、前記一対のスパイラルコイルの周囲に形成される磁路の少なくとも一部に配設された磁性体と、互いに対向する前記各スパイラルコイルおよび前記各接地用電極の間であって当該スパイラルコイルにおける少なくとも一部の領域に近接して平行にそれぞれ配設された平面状の一対の補助導体とを備えている分布定数型フィルタ素子。
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