JP2004200767A - 歪み補償装置及び方法、無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】演算部30は、直交ベースバンド信号I,Qから{I(t)2+Q(t)2}*I(t)及びQim={I(t)2+Q(t)2}*Q(t)の演算により、歪み成分の直交ベースバンド信号Iim,Qimを求める。直交ベースバンド信号Iim,Qimは、直交変調部41により直交変調され、高周波信号RFimとなされる。高周波信号RFimは、電力増幅器50の非線形歪みを打ち消すための減衰量と移相量で可変減衰器71と移相器72により調整された後、加算器70で高周波信号RFと加算される。その加算後の高周波信号を電力増幅器50へ入力することで、電力増幅器50からは非線形歪みがキャンセルされた高周波信号が出力される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば無線通信システムの基地局又は端末局の送信部の電力増幅器で発生する非線形歪みを補償する場合に好適な歪み補償装置及び方法、無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無線通信装置の送信部の非線形歪みを補償する処理としては、いくつかの方式が提案され実用化されている。一般的には、負帰還法、プレディストータ法、フィードフォワード法などの非線形歪み補償法が挙げられる。
【0003】
負帰還法は、送信電力増幅器の出力信号を負帰還回路を介して入力側に負帰還させることで、非線形歪みを補償する方法である。負帰還法の具体例としては、帰還信号を同相、直交成分に分解して負帰還するカーテシアンループ(cartesianloop)法が挙げられる。但し、負帰還法は、負帰還回路での安定性の点で問題がある。
【0004】
プレディストータ法は、送信電力増幅器で発生する歪みを打ち消すために、入力信号に前もって歪ませた信号成分を加えることにより非線形歪みを補償する方法である。プレディストータ法は、負帰還法とは異なり、開ループ制御であるので安定性に優れているが、前もって歪ませた信号(プレディストーション信号)成分は、増幅器の特性パラメータに依存して適応化しなければならない点が問題となる。
【0005】
フィードフォワード法は、送信電力増幅器で発生する歪みを検出し、この歪み成分を増幅して送信電力増幅器の出力信号から減算する方法である。フィードフォワード法は、プレディストータ法と同様に開ループ制御であるので安定性に優れているが、歪み補償するために追加した電力増幅器の非線形性や電力効率が問題となる。
【0006】
上述の3つの非線形歪み補償方法のうち、今日ではプレディストータ法が安定性や電力効率の点から注目されている。ここで、従来より提案されているプレディストータ法は、非線形歪みの特性を送信信号の振幅歪み特性と位相歪み特性とで表現し、それらの逆特性の信号からプレディストーション信号を生成してROMなどの記憶手段に保持しておき、その保持されたプレディストーション信号を用いて非線形歪みを補償するようにしている。
【0007】
すなわち、従来のプレディストータ法によれば、先ず、送信電力増幅器の非線形歪み特性を測定して非線形歪みを解析し、次に多項式近似によって非線形歪みを高精度に近似し、当該高精度の近似式から逆歪み特性の高精度近似式を生成し、その逆歪み特性の高精度近似式を用いて歪み補償データ(つまりプレディストーション信号)を作成し、ROMなどに保持させる。そして、プレディストータ法では、入力信号レベルに応じた歪み補償データがROMから読み出され、その読み出されたデータが入力信号に加算される。
【0008】
図20は、送信電力増幅器への入力電力と、当該送信電力増幅器からの出力電力の関係の一例を示す。すなわちこの図20は、送信電力増幅器の振幅特性が、図中振幅特性G1に示すように、ある程度の電力レベルまでは入力電力と出力電力とが直線的に変化して理想的な振幅特性G0と略々一致し、ある電力レベルを超えると非線形になっている例を示している。ここで、例えば入力電力レベルが図中のレベルAのときの理想的な出力電力レベルはB’である。しかしながら、この図20に示す振幅特性G1を有する送信電力増幅器の場合は、上記入力電力レベルAのときの出力電力レベルが図中Bになってしまう。したがって、上記プレディストータ法によれば、送信電力増幅器の入力に対して、その電力レベルが図中A’となるようにプレディストーション信号を加算する。これにより、送信電力増幅器からは、歪みのない理想的な出力電力レベルB’が得られることになる。
【0009】
図21は、特許文献1に示された従来のプレディストーション法を実現するための一構成例を示す。なお、この図21は、送信電力制御を行う携帯電話端末の送信部に従来のプレディストータ法を適用した場合の構成例を示しており、特に歪み補償用データを得るための手段としてテーブル162を用いるものである。
【0010】
この図21の構成において、歪み補償部160は、パワー計算部161と、テーブル162と、複素積演算部163により構成されている。パワー計算部161は、歪み補償前のディジタル直交ベースバンド信号I,Qの振幅Vi,VqからVi2+Vq2で表される演算出力を算出する。この演算出力は、テーブル162へ送られる。また、パワー設定部169は、送信電力制御を行うための送信出力パワー設定値を発生し、その送信出力パワー設定値をテーブル162とテーブル191へ送る。テーブル162は、振幅歪み補償及び位相歪み補償用の補正値が予め書き込まれている。このテーブル162からは、上記パワー計算部161からの演算出力(Vi2+Vq2)とパワー設定部161から得る送信出力パワー設定値に応じた補正値が読み出され、複素積演算部163へ送られる。複素積演算部163は、ベースバンド信号I,Qとテーブル162から読み出された補正値との複素積を演算する。これにより、歪み補償部160からは、歪み補償されたディジタル直交ベースバンド信号I’,Q’が得られる。
【0011】
この歪み補償されたディジタル直交ベースバンド信号I’,Q’は、D/Aコンバータ131,132にてそれぞれアナログ信号に変換される。これらD/Aコンバータ131,132からのアナログ直交ベースバンド信号は、ローパスフィルタ(LPF)133,134により低域濾波されて直交変調部140へ供給される。直交変調部140は、局部発振器142からの局部発振信号を、上記低域濾波後のアナログ直交ベースバンド信号により変調する。これにより、直交変調部140からは高周波信号が出力される。当該直交変調により得られた高周波信号は、可変ゲインアンプ151へ送られる。
【0012】
テーブル191は、可変ゲインアンプ151のゲイン制御電圧を決定するための制御データが予め書き込まれている。そして、このテーブル191からは、上記パワー設定部169による送信出力パワー設定値に応じた制御データが読み出される。当該制御データは、具体的にはD/Aコンバータの電圧コードであり、この制御データが図示しないD/Aコンバータにより制御電圧値に変換されて可変ゲインアンプ151へ送られる。これにより、可変ゲインアンプ151からは、送信電力制御がなされた高周波信号が出力されることになる。その後、当該高周波信号は、電力増幅器150によりさらに増幅され、図示しないアンテナへ送られる。
【0013】
次に、図22には、特許文献1に示された従来のプレディストーション法を実現するための他の構成例を示す。この図22も図21と同様に、送信電力制御を行う携帯電話端末の送信部に従来のプレディストータ法を適用した場合の構成例を示している。なお、図22において、図21と基本的に同じ構成には同一の指示符号を付してそれらの詳細な説明は省略する。
【0014】
この図22の構成は、送信電力増幅器150の非線形歪みの振幅特性及び位相特性を近似する関数を、それぞれの実際の特性にフィットするように定義した上で、この関数の非線形性を打ち消すような逆関数を求め、その逆関数から歪み補償データを得るものである。
【0015】
この図22の構成の歪み補償部160は、振幅逆関数演算部165と、位相逆関数演算部166と、複素積演算部167により構成されている。振幅逆関数演算部165と位相逆関数演算部166は、歪み補償前のディジタル直交ベースバンド信号I,Qとパワー設定部169による送信出力パワー設定値からそれぞれ振幅と位相の逆関数を演算する。上記振幅逆関数演算部165により求められた振幅逆関数の演算結果と、位相逆関数演算部166により求められた位相逆関数の演算結果は、複素積演算部167へ送られる。
【0016】
複素積演算部167は、振幅逆関数の演算結果と位相逆関数の演算結果との複素積を演算する。これにより、歪み補償部160からは、歪み補償されたディジタル直交ベースバンド信号I’,Q’が得られる。以後の処理は、図21の構成例と同じである。
【0017】
ここで、上記ディジタル直交ベースバンド信号I,Qのスペクトラム波形成分が例えば図23に示す波形成分であったとする。このとき、当該ディジタル直交ベースバンド信号I,Qを、例えば図21や図22の歪み補償部160を介さずに(つまり歪み補償を行わずに)直接、D/Aコンバータ131,132とローパスフィルタ133,144へ通したとすると、直交変調部140へ供給されるアナログ直交ベースバンド信号I,Qのスペクトラム波形は基本的に図23と同じ成分を持った波形となる。そして、このときの直交変調部140から出力される高周波信号のスペクトラム波形は、図24の波形となり、さらに、電力増幅器150から出力される信号のスペクトラム波形は図25に示す波形となる。すなわち、図25に示す波形は、図24の波形に対して電力増幅器150で発生した歪み成分が加わった波形となっている。
【0018】
これに対して、ディジタル直交ベースバンド信号I,Qに対して図21や図22の歪み補償部160による歪み補償のための演算処理が施された後の直交ベースバンド信号I’,Q’のスペクトラム波形は、図26に示す波形となる。また、このときの直交変調部140から出力される高周波信号のスペクトラム波形は、図27に示す波形となる。そして、電力増幅器150から出力される信号のスペクトラム波形は図28に示す波形となる。すなわち、図28に示す波形は、電力増幅器150で発生した歪み成分がキャンセルされた波形となっている。
【0019】
次に、図29には、図21,図22に示した従来の構成における歪み補償処理の流れを示す。
【0020】
この図29において、先ず、ステップS101の処理として、歪み補償部160には、ディジタル直交ベースバンド信号I,Qの値が供給される。
【0021】
ここで、図21の構成の場合、直交ベースバンド信号I,Qが供給された、歪み補償部160は、ステップS102の処理として、パワー計算部161にて演算出力(Vi2+Vq2)を演算し、また、パワー設定部169による送信出力パワー設定値を参照し、電力増幅器150の非線形性を反映したテーブル162から補正値を得る。そして、図21の歪み補償部160は、ステップS103の処理として、ディジタル直交ベースバンド信号I,Qと補正値とで複素積演算を行い、当該複素積演算後のディジタル直交ベースバンド信号I’,Q’をD/Aコンバータ131,132へ出力する。一方、図22の構成の場合、歪み補償部160は、ステップS102の処理として、振幅逆関数演算部165と位相逆関数演算部166により、それぞれ振幅逆関数と位相逆関数を求める。そして、図22の歪み補償部160は、ステップS103の処理として、ディジタル直交ベースバンド信号I,Qと各逆関数の演算結果とで複素積演算を行い、当該複素積演算後のディジタル直交ベースバンド信号I’,Q’をD/Aコンバータ131,132へ出力する。
【0022】
次に、パワー設定部169は、ステップS104の処理として、送信電力制御において送信出力パワーの変更を行うか否か判定する。ここで、送信出力パワーの変更がないときにはステップS101へ処理が戻り、一方送信出力パワーの変更があるときには、次のステップS105へ処理が進む。
【0023】
ステップS105へ処理が進むと、パワー設定部169は、可変ゲインアンプ151のゲイン制御電圧を決定するためのテーブル191から、上記変更された送信出力パワーに応じた制御値を読み出させる。そして、この制御値は、D/A変換によりゲイン制御電圧値に変換され、可変ゲインアンプ151へ送られることになる。
【0024】
【特許文献1】
特開2001−36353号公報(第11図、第12図)
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図21及び図22を用いて説明した従来のプレディストーション法による歪み補償方式によれば、複素積演算部での複素積演算を高速に行わなければならないため、歪み補償部160での演算量が膨大となる。また、歪み補償部160は、大規模な演算ロジックにより構成されるため、送信部の構成が大型化し、しかも消費電力が大きいという問題がある。
【0026】
具体例として、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式の携帯電話システムを挙げて説明する。直交ベースバンド信号I,Qは、例えば図30に示すような電圧時間波形をしている。そして、W−CDMA方式の携帯電話システムの場合、シンボル点は3.84Mcpsで変わり、例えば4倍サンプリングレートの15.36MHzの繰り返しで直交ベースバンド信号I,Qが生成される。したがって、図21や図22で説明した従来の歪み補償方式の場合、直交ベースバンド信号I,Qから上記複素積演算後の直交ベースバンド信号I’,Q’を求める処理、すなわち、図29のフローチャートのステップS101からステップS103までの処理を、15.36MHzの繰り返し(65nsの周期)で行う必要があり、非常に高速性が要求されることになる。
【0027】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、プレディストータ法により歪み補償を行う場合において、大規模なロジックを用いずに簡単な構成で良好な歪み補償を実現すると共に、高速な処理を減らし、且つ装置の消費電力を低減することをも可能とする、歪み補償装置及び方法、無線通信装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明の歪み補償装置は、搬送波信号が送信希望波信号により直交変調された希望波高周波信号を電力増幅することで発生する非線形歪みを補償する装置であり、送信希望波信号から非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算する演算部と、歪み成分信号を直交変調した歪み成分高周波信号を生成する歪み成分直交変調部と、歪み成分高周波信号と希望波高周波信号の2つの高周波信号の間の振幅比を非線形歪みの振幅成分を打ち消す所望の振幅比に調整する振幅比調整部と、それら2つの高周波信号の間の位相差を非線形歪みの位相成分を打ち消す所望の位相差に調整する位相差調整部と、所望の振幅比及び位相差の調整後の2つの高周波信号を加算する加算部とを有する。
【0029】
また、本発明の歪み補償方法は、搬送波信号が送信希望波信号により直交変調された希望波高周波信号を電力増幅することで発生する非線形歪みを補償する方法であり、送信希望波信号から非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算し、歪み成分信号を直交変調した歪み成分高周波信号を生成し、歪み成分高周波信号と希望波高周波信号の2つの高周波信号の間の振幅比と位相差を、それぞれ非線形歪みの振幅成分と位相成分を打ち消す所望の振幅比と位相差に調整し、それら所望の振幅比及び位相差の調整後の2つの高周波信号を加算する。
【0030】
また、本発明の無線通信装置は、送信希望波信号を直交変調して第1の高周波信号を生成する第1の直交変調部と、入力された高周波信号を電力増幅して出力する電力増幅部と、送信希望波信号から電力増幅部の非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算する演算部と、歪み成分信号を直交変調して第2の高周波信号を生成する第2の直交変調部と、第1,第2の高周波信号の間の振幅比を非線形歪みの振幅成分を打ち消す所望の振幅比に調整する振幅比調整部と、第1,第2の高周波信号の間の位相差を非線形歪みの位相成分を打ち消す所望の位相差に調整する位相差調整部と、所望の振幅比及び位相差の調整後の第1,第2の高周波信号を加算する加算部とを有し、その加算後の高周波信号を電力増幅器へ入力する。
【0031】
すなわち本発明においては、例えばプレディストータ法により歪み補償を行う場合において、従来のように複素積演算等を行わずに、簡単な演算により送信希望波信号から電力増幅器の非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を求めており、その歪み成分信号を直交変調した高周波信号と、元の送信希望波信号を直交変調した高周波信号との間の振幅比と位相差を、電力増幅器の非線形歪みをキャンセルできる所望の値に調整し、それら調整後の2つの高周波信号を加算して電力増幅器へ供給することで、電力増幅器により発生する非線形歪みを補償している。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、第1の実施の形態の歪み補償部10を備えた送信部の構成例を示す。
【0034】
図1において、図示しないベースバンド処理部から供給されたディジタル直交ベースバンド信号I,Qは、D/Aコンバータ31,32にてそれぞれアナログ信号に変換される。これらD/Aコンバータ31,32からのアナログ直交ベースバンド信号I,Qは、ローパスフィルタ(LPF)33,34により低域濾波されて第1の直交変調部40へ供給される。第1の直交変調部40は、局部発振器42からの局部発振信号(搬送波信号)を、上記低域濾波後のアナログ直交ベースバンド信号I,Qにより変調する。これにより、第1の直交変調部40からは高周波信号RF(以下、第1の高周波信号RFと表記する)が出力される。当該第1の高周波信号RFは、後述する加算器70を介して、可変ゲインアンプ51へ送られる。
【0035】
また、パワー設定部69は、送信電力制御を行うための送信出力パワー設定値を発生し、その送信出力パワー設定値を第1のテーブル91へ送る。第1のテーブル91は、メモリ等の記憶装置からなり、パワー設定部69により設定される送信出力パワーにそれぞれ対応して、可変ゲインアンプ51のゲインを制御するための制御データが書き込まれている。一例として、W−CDMA方式の携帯電話端末の場合、送信出力パワーは+24dBmから−50dBmまでの間で1dBステップ毎(合計75ステップ分)に設定できなければならないため、第1のテーブル91内には、図2に示すように、上記75ステップ分の各送信出力パワー設定値にそれぞれ対応したゲイン制御データが格納されている。そして、この第1のテーブル91からは、上記パワー設定部69による送信出力パワー設定値に応じたゲイン制御データが読み出される。当該ゲイン制御データは、具体的にはD/Aコンバータの電圧コードであり、このゲイン制御データが図示しないD/Aコンバータにより電圧値に変換されて可変ゲインアンプ51へ送られる。これにより、可変ゲインアンプ51からは、送信電力制御がなされた高周波信号が出力されることになる。その後、当該高周波信号は、電力増幅器50によりさらに増幅され、図示しないアンテナへ送られる。
【0036】
[歪み補償部]
また、本実施の形態の無線通信装置の送信部は、電力増幅器50により発生する非線形歪みを補償するための歪み補償部10を備えている。
【0037】
ここで、3次の非線形歪みを発生する電力増幅器50のモデルは、式(1)により表される。なお、式中のVoは出力信号電圧、Viは入力信号電圧、aは実数である。
【0038】
Vo=a1*Vi+a2*Vi2+a3*Vi3 (1)
また、電力増幅器50への入力信号電圧Vi(t)は、直交ベースバンド信号のI,Qにより式(2)のように表される。なお、式中のωcは周波数、tは時間である。
【0039】
Vi(t)=I(t)*cos(ωc・t)−Q(t)*sin(ωc・t) (2)
この式(2)を式(1)の電力増幅器50のモデル式に代入し、基本波成分Vofund(t)を抽出すると、式(3)が得られる。
【0040】
式(3)は、送信希望波信号としての直交ベースバンド信号のIとQを直交変調した成分と、電力増幅器50により発生する3次歪み成分に相当する{I(t)2+Q(t)2}*I(t)及び{I(t)2+Q(t)2}*Q(t)を直交変調した成分がa1とa3で決まる振幅比と位相差で加算されたものとして表されることがわかる。
【0041】
すなわち、下記式(4)で表される直交ベースバンド信号Iim,Qimを直交変調した後の高周波信号RFimの振幅比(つまり電力比)と位相差を、予め電力増幅器50により発生する3次歪み成分(歪みの振幅成分と位相成分)をキャンセルできる最適な値に調整し、その振幅比と位相差の調整後の高周波信号RFimを、元の直交ベースバンド信号I,Qを直交変調した高周波信号RFへ加算すれば、電力増幅器50にて発生する歪み成分がキャンセルされることがわかる。
【0042】
Iim={I(t)2+Q(t)2}*I(t)
Qim={I(t)2+Q(t)2}*Q(t) (4)
以上のようにして電力増幅器50により発生する歪み成分をキャンセルする本実施の形態の歪み補償部10の構成を説明する。
【0043】
上記直交ベースバンド信号I,Qは、本実施の形態の歪み補償部10の演算部30へ供給される。演算部30は、上記式(4)に示した簡単な演算により、上記直交ベースバンド信号I,Qから直交ベースバンド信号Iim,Qimを生成する。当該直交ベースバンド信号Iim,Qimは、D/Aコンバータ35,36にてそれぞれアナログ信号に変換される。これらD/Aコンバータ35,36からのアナログ直交ベースバンド信号Iim,Qimは、ローパスフィルタ37,38により低域濾波されて第2の直交変調部41へ供給される。当該第2の直交変調部41は、上記第1の直交変調部40とは独立して設けられており、局部発振器42からの局部発振信号(搬送波信号)を、上記直交ベースバンド信号Iim,Qimにより変調する。これにより、第2の直交変調部41からは、高周波信号RFim(以下、第2の高周波信号RFimと表記する)が出力される。
【0044】
当該第2の高周波信号RFimは、電力増幅器50にて発生する歪み成分(歪みの振幅成分)をキャンセルするのに最適な振幅となるように可変減衰器71により減衰され、同様に電力増幅器50にて発生する歪み成分(歪みの位相成分)をキャンセルするのに最適な位相となるように移相器72により移相された後、加算器70へ送られる。
【0045】
加算器70では、上記可変減衰器71と移相器72により減衰及び移相された後の第2の高周波信号RFimと、第1の直交変調部40からの第1の高周波信号RFとを加算する。これにより、当該加算器70での加算後の高周波信号は、後段の電力増幅器50にて発生する歪み成分をキャンセルできる信号となる。その後、この加算器70での加算処理後の高周波信号は、前述した可変ゲインアンプ51へ送られる。
【0046】
以下、上記電力増幅器50で発生する歪みの振幅成分をキャンセルするための最適な振幅を上記可変減衰器71にて実現するための減衰量(最適減衰量とする)、及び、上記電力増幅器50で発生する歪みの移相成分をキャンセルするための最適な位相を上記移相器72にて実現するための移相量(最適移相量とする)を、本実施の形態の歪み補償部10がどのようにして設定しているのかについて説明する。なおここでは、可変減衰器71が例えば図3に示す特性を有し、また移相器72が例えば図4に示す特性を有し、無線通信装置が例えばW−CDMA方式の携帯電話端末である場合を挙げて説明する。
【0047】
上記W−CDMA方式の携帯電話端末の場合、送信出力パワーは、前述したように+24dBmから−50dBmまでの間で1dBステップ毎(合計75ステップ分)に設定される。また、それら75ステップ分(75通り)の各送信出力パワー設定値には、それぞれ可変減衰器71の最適減衰量と移相器72の最適移相量が存在することになる。したがって、本実施の形態の歪み補償部10は、メモリ等の記憶装置からなる第2のテーブル92内に、図5に示すように、上記75ステップ分の各送信出力パワー設定値にそれぞれ対応した最適減衰量と最適移相量を実現するための制御データ(具体的にはD/Aコンバータの電圧コード)を格納しており、その第2のテーブル92の中から、パワー設定部69での送信出力パワー設定値に応じた最適減衰量と最適移相量の制御データを読み出す。これら制御データは、図示しないD/Aコンバータにより制御電圧値に変換されて上記可変減衰器71と移相器72へ送られる。
【0048】
一例として、+24dBmの送信出力パワーが設定された時の可変減衰器71の最適減衰量が−30dB、移相器72の最適移相量が58degであったとし、+23dBmの送信出力パワーが設定された時の可変減衰器71の最適減衰量が−35dB、移相器72の最適移相量が50degであったとする。また、可変減衰器71が図3に示す特性を有しているとき、上記減衰量が−30dBになる制御電圧は1.20V、減衰量が−35dBになる制御電圧は1.30Vとなる。同様に、移相器72が図4に示す特性を有している場合、移相量が58degになる制御電圧は1.50V、また移相量が50degになる制御電圧は1.40Vとなる。したがって、パワー設定部69で例えば+24dBmの送信出力パワーが設定された時、第2のテーブル92からは、上記+24dBmの送信出力パワーに対応した−30dBの最適減衰量を可変減衰器71に設定するための制御電圧である1.20Vを表す制御データが読み出され、また、上記+24dBmの送信出力パワーに対応した58degの最適移相量を移相器72に設定するための制御電圧である1.50Vの制御データが読み出される。同様に、パワー設定部69で例えば+23dBmの送信出力パワーが設定された時、第2のテーブル92からは、上記+23dBmの送信出力パワーに対応した−35dBの最適減衰量を可変減衰器71に設定するための制御電圧である1.30Vの制御データが読み出され、また、上記+23dBmの送信出力パワーに対応した50degの最適移相量を移相器72に設定するための制御電圧である1.40Vの制御データが読み出される。
【0049】
次に、図6には、本実施の形態における歪み補償処理の流れを示す。
【0050】
この図6において、先ず、ステップS1の処理として、入力されたディジタル直交ベースバンド信号I,Qの値は、前述したようにD/Aコンバータ31,32、ローパスフィルタ33,34、第1の直交変調部40を介することで第1の高周波信号RFとなされた後、加算器70へ送られる。
【0051】
また、ステップS2の処理として、前記式(4)の演算により、前記歪み成分に相当する直交ベースバンド信号Iim,Qimが生成され、当該直交ベースバンド信号Iim,QimはD/Aコンバータ35,36、ローパスフィルタ37,38、第2の直交変調部41を介することで第2の高周波信号RFimになされた後、可変減衰器71と移相器72へ送られる。
【0052】
次に、ステップS3の処理として、パワー設定部69は、送信電力制御による送信出力パワーの変更を行うか否か判定する。ここで、送信出力パワーの変更がないときにはステップS1へ処理が戻り、一方送信出力パワーの変更があるときには、次のステップS4へ処理が進む。
【0053】
ステップS4へ処理が進むと、パワー設定部69は、変更された送信出力パワー設定値に応じて、可変ゲインアンプ51のゲイン制御電圧を決定するための制御データを第1のテーブル91から読み出させる。この制御データは、D/A変換によりゲイン制御電圧値に変換され、可変ゲインアンプ51へ送られることになる。これにより、送信電力制御が実行される。
【0054】
また、ステップS5では、上記送信出力パワー設定値に応じた最適減衰量と最適移相量の制御データが第2のテーブル92から読み出され、その制御データに応じた制御電圧値により第2の高周波信号RFimの減衰量と移相量が調整される。この調整後の第2の高周波信号RFimは、加算器70にて第1の高周波信号RFと加算される。そして、当該加算器70からは、電力増幅器50にて発生する歪み成分をキャンセルすることができる高周波信号が出力されることになる。これにより、最終的に電力増幅器50から出力される高周波信号は、歪み成分が補償された信号となる。
【0055】
本実施の形態の歪み補償部10は、以上のように、可変減衰器71と移相器72に対して、パワー設定部69からの送信出力パワー設定値に応じた最適減衰量と最適移相量を設定し、それら最適減衰量及び最適移相量にて調整された第2の高周波信号RFimを、第1の高周波信号RFに加算することで、電力増幅器50にて発生する歪み成分をキャンセルできる。また、例えばW−CDMA方式携帯電話の場合、送信電力制御のための送信出力パワーのコントロールは1スロット(666μs)の周期で行われる。したがって、本実施の形態の歪み補償部10は、上記図6のステップS3〜ステップS5の処理を、少なくとも上記1スロット(666μs)の周期で行えば良く、従来の歪み補償方式のように高速な処理(図29のステップS101〜S103は65nsの周期の処理が必要となる)は不要である。特に、本実施の形態の図6のステップS5の処理は、ステップS4での処理と同様、送信出力パワーコントロールと同じタイミングでの第2のテーブル92からのデータ読み出しとD/A変換とにより実現されるため、複雑な演算は不要であり且つ高速な処理を行わなくて済み、したがって機器の消費電流を下げることができ、大規模な高速演算ロジックが不要となる。
以下、本実施の形態の歪み補償を、具体的なスペクトラム波形を用いて説明する。
【0056】
上記ディジタル直交ベースバンド信号I,Qのスペクトラム波形成分が例えば前述した図23に示す波形成分であったとする。また、この図23に示した波形の当該ディジタル直交ベースバンド信号I,Qが、D/Aコンバータ31,32とローパスフィルタ33,34を通過した後のアナログ直交ベースバンド信号I,Qのスペクトラム波形も、基本的に図23と同じ成分を持った波形となる。そして、第1の直交変調部40から出力される第1の高周波信号RFのスペクトラム波形は、前述した図24の波形となる。
【0057】
また、本実施の形態の歪み補償部10のローパスフィルタ37,38を通過後の直交ベースバンド信号Iim,Qimのスペクトラム波形は、図7に示す波形となる。さらに、第2の直交変調部41から出力される第2の高周波信号RFimのスペクトラム波形は、図8に示す波形となる。
【0058】
そして、前述のように減衰量と移相量が調整された後の第2の高周波信号RFimを、加算器70にて第1の高周波信号RFに加算すると、スペクトラム波形は、前述の図27にて示したのと同様の波形となる。したがって、この図27と同様のスペクトラム波形の高周波信号を可変ゲインアンプ51へ送り更に電力増幅器50を通過させると、当該電力増幅器50からは、前述の図28で示したのと同様に、歪み成分がキャンセルされた波形の高周波信号が出力されることになる。
【0059】
なお、電力増幅器50により発生する歪み成分は、送信出力パワーが小さい値であるときにはあまり問題にはならない。したがって、送信出力パワーが小さい値であるときには歪み補償を行わず、送信出力パワーがある閾値以上のときにのみ歪み補償を行うことも可能である。本実施の形態の場合、図5に示した第2のテーブル92は、ある閾値以上の各送信出力パワーに対しては、可変減衰器71の制御電圧として、例えば3.0Vというように減衰量が一番大きくなる制御データ、つまり、第1の高周波信号RFと第2の高周波信号RFimの振幅比を一番大きくする制御データが設定され、また、移相器72の制御電圧として、例えば1Vというように移相量が一番小さくなる制御データ、つまり、第1の高周波信号RFと第2の高周波信号RFimの位相差を一番小さくする制御データが設定されている。このため、本実施の形態の歪み補償部10は、実際の送信出力パワーが予め設定された閾値以下であるとき、歪み補償の機能を事実上オフ状態にすることができる。その他にも、図示は省略するが、例えば移相器72と加算器70の間にスイッチを設けると共に、そのスイッチのオン/オフを制御する制御部を設け、送信出力パワーの設定値がある閾値より小さいときに、制御部が上記スイッチをオフさせることで、歪み補償の機能をオフ状態にするようにしても良い。
【0060】
また、本実施の形態において、第2のテーブル92は、図5に示した送信出力パワーに対する可変減衰器71と移相器72の制御電圧のテーブルだけでなく、例えば、図9に示すように可変減衰器71と移相器72の各制御電圧を周波数に応じて補正するための制御電圧補正値からなるテーブルや、図10に示すように可変減衰器71と移相器72の各制御電圧を温度に応じて補正するための制御電圧補正値からなるテーブル、図11に示すように可変減衰器71と移相器72の各制御電圧を電源電圧に応じて補正するための制御電圧補正値からなるテーブルを含んでいても良い。これら図9〜図11のテーブルを使用することにより、本実施の形態の歪み補償部10は、周波数、温度、電源電圧の変動により変化する歪み成分をも補償することが可能になる。また、前記歪み補償の機能のオン/オフを決定するための閾値は、これら周波数、温度、電源電圧について設定することも可能である。つまり、周波数、温度、電源電圧について設定された閾値により、上記歪み補償の機能のオン/オフを制御しても良い。なお、上記周波数、温度、電源電圧を用いる場合、本実施の形態の歪み補償部10は、それら周波数、温度、電源電圧を検出する手段(図示は省略)と、それら検出手段からの検出値(周波数、温度、電源電圧)により、上記テーブルより補正値を選択したり、歪み補償機能のオン/オフを制御するための制御部(図示は省略)とを備えることになる。
【0061】
上述の図1の構成例は、パワー設定部69からの送信出力パワー設定値が、テーブル91,92から制御データを読み出すための値となっている。これに対し、本実施の形態の歪み補償部10は、例えば図12に示すように、パワー設定部69からの送信出力パワー設定値に基づいて、制御部114が各テーブル91,92から制御データを読み出す構成を備えていても良い。なお、図12は、図示を簡略化するために、高周波信号RF,RFimの経路上の各構成要素を省略しており、説明に必要な構成要素のみを図示している。
【0062】
この図12において、制御部114は、パワー設定部69からの送信出力パワー設定値により、第2のテーブル92から可変減衰器71の制御データと移相器72の制御データを読み出し、上記可変減衰器71の制御データをD/Aコンバータ111へ送り、上記移相器72の制御データをD/Aコンバータ112へ送る。D/Aコンバータ111,112は、それぞれ制御データを制御電圧値へ変換する。D/Aコンバータ111からの制御電圧値は可変減衰器71へ送られ、D/Aコンバータ112からの制御電圧値は移相器72へ送られる。
【0063】
また、制御部114は、パワー設定部69からの送信出力パワー設定値により、第1のテーブル91から可変ゲインアンプ51の制御データを読み出し、その制御データをD/Aコンバータ113へ送る。D/Aコンバータ113は、当該制御データを制御電圧値へ変換する。D/Aコンバータ113からの制御電圧値は可変ゲインアンプ51へ送られる。
【0064】
次に、図13には、本実施の形態の移相器72の具体的回路構成の一例を示す。
【0065】
図13において、入力端子81に供給される入力信号(高周波信号RFim)は、コイル84,85の直列回路を介して出力端子82に供給される。ここで、両コイル84,85の接続点と接地電位部との間には、コンデンサ86と可変容量素子87とが直列接続されている。なお、可変容量素子87は、例えばバリキャップダイオードなどからなる。そして、制御端子83には、前記第2のテーブル92から読み出されてD/A変換された制御電圧値が供給される。この制御電圧値は、抵抗器88を介してコンデンサ86と可変容量素子87との接続点に供給される。
【0066】
この図13の構成によれば、制御端子83に印加された制御電圧により、入力端子81と出力端子82の間を通過する高周波信号の移相が偏移する。
【0067】
[第2の実施の形態]
図14には本発明の第2の実施の形態の構成例を示す。なお、この図14において、図1と同じ構成要素には同一の指示符号を付し、それら各構成要素の詳細、第1の実施の形態と同じ機能及び効果、並びに変形例については説明を省略する。以下、図1の構成とは異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
この第2の実施の形態の構成は、送信出力パワーが小さく、電力増幅器50により発生する歪み成分がさほど問題にならない場合に、電源制御部102がスイッチ101をオフさせることにより、第2の直交変調部41,可変減衰器71,移相器72に対する電源電流100の供給を遮断して歪み補償の機能を強制的にオフさせることで、歪み補償へ影響を及ぼすことなく、消費電力を削減可能にしている。
【0069】
[第3の実施の形態]
図15には本発明の第3の実施の形態の構成例を示す。なお、この図15において、図1と同じ構成要素には同一の指示符号を付し、それら各構成要素の詳細、第1の実施の形態と同じ機能及び効果、並びに変形例については説明を省略する。以下、図1の構成とは異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
この第3の実施の形態の構成は、ローパスフィルタ33,34での低域濾波後の直交ベースバンド信号I,Qから、アナログ演算部68が、前記式(4)の演算により前記直交ベースバンド信号Iim,Qimを生成するようにしたものである。この図15の例の場合、図1のD/Aコンバータ35,36とローパスフィルタ37,38が不要になり、構成の小型化とコストの低減が可能になる。
【0071】
[第4の実施の形態]
図16には本発明の第4の実施の形態の構成例を示す。なお、この図16において、図1,図14,図15と同じ構成要素には同一の指示符号を付し、それら各構成要素の詳細、第1,第2,第3の実施の形態と同じ機能及び効果、並びに変形例については説明を省略する。以下、図1,図14,図15の構成とは異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
この第4の実施の形態の構成は、第2の実施の形態の同様、送信出力パワーが小さく、電力増幅器50により発生する歪み成分がさほど問題にならない場合に、電源制御部102がスイッチ101をオフさせることにより、アナログ演算部68、第2の直交変調部41,可変減衰器71,移相器72に対する電源電流100の供給を遮断して歪み補償の機能を強制的にオフさせることで、歪み補償へ影響を及ぼすことなく、消費電力を削減可能にしている。
【0073】
[第5の実施の形態]
図17には本発明の第5の実施の形態の構成例を示す。なお、この図17において、図1,図15と同じ構成要素には同一の指示符号を付し、それら各構成要素の詳細、第1,第3の実施の形態と同じ機能及び効果、並びに変形例については説明を省略する。以下、図1,図15の構成とは異なる部分についてのみ説明する。
【0074】
この第5の実施の形態の構成は、前記可変減衰器71に代えて、可変増幅器74を設けると共に、第1の直交変調部40と加算器70の間に、上記可変増幅器74と同様の可変増幅器73を設けたものである。
【0075】
ここで、前記第1〜第4の実施の形態において可変減衰器71を設けている目的は、前記直交ベースバンド信号I,Qを直交変調した第1の高周波信号RFと、前記直交ベースバンド信号Iim,Qimを直交変調した第2の高周波信号RFimとの電力比を制御することである。したがって、この図17の構成のように、前記可変減衰器71に代えて可変増幅器74を設けることでも同様に、電力比の制御が可能となる。但し、当該第5の実施の形態の場合、上記可変増幅器74にて高周波信号RFimを増幅することになるため、第1の直交変調部40と加算器70の間にも可変増幅器73を設ける。また、この実施の形態の場合の第2のテーブル92には、送信出力パワー設定値にそれぞれ対応して歪み成分をキャンセルするのに最適な、可変増幅器73と可変増幅器74の利得比を設定するための制御データが格納されている。
【0076】
そして、本実施の形態によれば、送信出力パワー設定値に応じて、第2のテーブル92から上記可変増幅器73と可変増幅器74の利得比を所望の比(つまり歪み成分をキャンセルするのに最適な利得比)とする制御データが読み出される。上記可変増幅器73の制御データと可変増幅器74の制御データは、それぞれ図示しないD/Aコンバータにより制御電圧値に変換された後、それら可変増幅器73と可変増幅器74へ供給される。その後、可変増幅器74から出力された第2の高周波信号RFimは、移相器72により移相調整がなされ、加算器70により可変増幅器73から出力された第1の高周波信号RFと加算される。
【0077】
[第6の実施の形態]
図18には本発明の第6の実施の形態の構成例を示す。なお、この図18において、図1,図15と同じ構成要素には同一の指示符号を付し、それら各構成要素の詳細、第1,第3の実施の形態と同じ機能及び効果、並びに変形例については説明を省略する。以下、図1,図15の構成とは異なる部分についてのみ説明する。
【0078】
この第6の実施の形態の構成は、前記可変減衰器71を第2の直交変調部41の前段に設けたものである。この第6の実施の形態によれば、アナログ演算部68により求められた直交ベースバンド信号Iim,Qimの振幅を、可変減衰器71により調整することで、第2の直交変調部41から出力される第2の高周波信号RFimのレベルを制御する。但し、この第6の実施の形態の場合、第2のテーブル92に格納されている減衰量についての制御データは、歪み補償に最適な、直交ベースバンド信号Iim,Qim用の減衰量を設定するための制御データとなされる。この第6の実施の形態においても、前述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
[第7の実施の形態]
図19には本発明の第7の実施の形態の構成例を示す。なお、この図19において、図1,図15と同じ構成要素には同一の指示符号を付し、それら各構成要素の詳細、第1,第3の実施の形態と同じ機能及び効果、並びに変形例については説明を省略する。以下、図1,図15の構成とは異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
この第7の実施の形態の構成は、可変減衰器71から出力された第2の高周波信号RFimを直接加算器70へ供給し、移相器72を、第1の直交変調部40への局部発振信号入力と第2の直交変調部41の局部発振信号入力との間に置き、2つの第1の直交変調部40,41への局部発振信号に位相差を持たせることによって、前述の各実施の形態における移相器72と同様の効果を得るようにしている。
【0081】
ここで、前記第1〜第6の実施の形態において移相器72を設けている目的は、前記直交ベースバンド信号I,Qを直交変調した第1の高周波信号RFと、前記直交ベースバンド信号Iim,Qimを直交変調した第2の高周波信号RFimとの位相差を制御することである。したがって、この図19の構成のように、第1の直交変調部40への局部発振信号入力と第2の直交変調部41の局部発振信号入力との間に移相器72を置くことでも同様に、2つの高周波信号RFとRFimの位相差の制御が可能となる。但し、この第7の実施の形態の場合、第2のテーブル92に格納されている移相量についての制御データは、歪み補償を行うために最適な、局部発振信号用の移相量を設定するための制御データとなされる。
【0082】
[まとめ]
以上説明した直交ベースバンド信号Iim,Qimは、前述の式(4)のような簡単な演算により生成可能であり、また、前記演算部30や68の回路規模は小規模なもので良い。したがって、本発明の各実施の形態によれば、前述した従来例のように直交ベースバンド信号I,Qの段階での複雑で且つ高速な複素積演算を必要とせず、送信電力制御のステップ毎のある程度低速で且つ簡単な演算により、電力増幅器50により発生する歪みを補償することが可能であり、大規模な演算ロジックも必要なく、消費電力を下げることも可能である。
【0083】
また、直交ベースバンド信号Iim,Qimを生成するための演算部30や68と、元の直交ベースバンド信号I,Qと上記直交ベースバンド信号Iim,Qimをそれぞれ独立に直交変調するための2つの直交変調部40,41と、さらに、可変減衰器71、移相器72、加算部70等は、1つのIC(集積回路)に集積可能であり非常に小型化できる。
【0084】
なお、上述した実施の形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。例えば本発明は、前述したW−CDMA方式に限定されない。
【0085】
【発明の効果】
本発明においては、送信希望波信号から非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算して直交変調し、歪み成分と送信希望波信号から生成された2つの高周波信号の間の振幅比と位相差を、それぞれ非線形歪みの振幅成分と位相成分を打ち消す所望の振幅比と位相差に調整し、それら調整後の2つの高周波信号を加算して電力増幅器へ供給することで、大規模なロジックを用いることなく簡単な構成で良好な歪み補償を実現すると共に、高速な処理を不要とし、且つ装置の消費電力をも低減している。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】第1のテーブルに格納された、送信出力パワーと可変ゲインアンプの制御電圧の対応表を示す図である。
【図3】可変減衰器の特性例を示す図である。
【図4】移相器の特性例を示す図である。
【図5】第2のテーブルに格納された、送信出力パワーと減衰量,移相量の対応表を示す図である。
【図6】本実施の形態における歪み補償処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態の歪み補償部のローパスフィルタを通過後の直交ベースバンド信号Iim,Qimのスペクトラム波形を示す波形図である。
【図8】第2の直交変調部から出力された高周波信号RFimのスペクトラム波形を示す波形図である。
【図9】第2のテーブルに格納された、周波数と、可変減衰器及び移相器の各制御電圧補正値との対応表を示す図である。
【図10】第2のテーブルに格納された、温度と、可変減衰器及び移相器の各制御電圧補正値との対応表を示す図である。
【図11】第2のテーブルに格納された、電源電圧と、可変減衰器及び移相器の各制御電圧補正値との対応表を示す図である。
【図12】送信出力パワー設定値に応じて第1,第2のテーブルから制御データを読み出す制御部を備えた構成例の説明に用いるブロック図である。
【図13】移相器の具体的構成例を示す回路図である。
【図14】第2の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図15】第3の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図16】第4の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図17】第5の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図18】第6の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図19】第7の実施の形態の歪み補償が可能な送信部の主要部の構成を示すブロック図である。
【図20】送信電力増幅器の入力電力と出力電力の関係の説明に用いる特性図である。
【図21】歪み補償を行う従来の無線通信装置の送信部の主要部の一構成例を示すブロック図である。
【図22】歪み補償を行う従来の無線通信装置の送信部の主要部の他の構成例を示すブロック図である。
【図23】ディジタル直交ベースバンド信号I,Qのスペクトラム波形の一例を示す波形図である。
【図24】歪み補償前の高周波信号のスペクトラム波形を示す波形図である。
【図25】電力増幅器により発生した歪み成分が加わった高周波信号のスペクトラム波形を示す波形図である。
【図26】従来の歪み補償部により演算処理が施された後の直交ベースバンド信号I’,Q’のスペクトラム波形を示す波形図である。
【図27】従来の送信部の直交変調部から出力される高周波信号のスペクトラム波形を示す波形図である。
【図28】歪み補償後に電力増幅器から出力される高周波信号のスペクトラム波形を示す波形図である。
【図29】従来の歪み補償処理の流れを示すフローチャートである。
【図30】直交ベースバンド信号I,Qの電圧時間波形を示す波形図である。
【符号の説明】
10…歪み補償部、30…演算部、31,32,35,36…D/Aコンバータ、33,34,37,38…ローパスフィルタ、40…第1の直交変調部、41…第2の直交変調部、42…局部発振器、50…電力増幅器、51…可変ゲインアンプ、68…アナログ演算部、69…パワー設定部、70…加算器、71…可変減衰器、72…移相器、73,74…可変増幅器、91…第1のテーブル、92…第2のテーブル、100…電源電流、101…スイッチ、102…電源制御部、111〜113…D/Aコンバータ、114…制御部
Claims (31)
- 搬送波信号が送信希望波信号により直交変調された希望波高周波信号を電力増幅することで発生する非線形歪みを補償する歪み補償装置において、
上記送信希望波信号から上記非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算する演算部と、
上記搬送波信号を上記歪み成分信号により直交変調して歪み成分高周波信号を生成する歪み成分直交変調部と、
上記歪み成分高周波信号と上記希望波高周波信号との間の振幅比を、上記電力増幅の際に発生する上記非線形歪みの振幅成分を打ち消す所望の振幅比に調整する振幅比調整部と、
上記歪み成分高周波信号と上記希望波高周波信号との間の位相差を、上記電力増幅の際に発生する上記非線形歪みの位相成分を打ち消す所望の位相差に調整する位相差調整部と、
上記所望の振幅比及び所望の位相差の調整がなされた後の上記歪み成分高周波信号と上記希望波高周波信号とを加算する加算部とを有する
ことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
送信電力制御のための送信出力パワーを設定するパワー設定部と、
上記送信出力パワーの設定値に応じて、上記所望の振幅比の調整値及び所望の位相差の調整値を決定する調整値決定部とを有し、
上記振幅比調整部は、上記決定された振幅比の調整値により、上記高周波信号の振幅比の調整を行い、
上記位相差調整部は、上記決定された位相差の調整値により、上記高周波信号の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項2記載の歪み補償装置であって、
上記調整値決定部は、複数の振幅比の調整値及び複数の位相差の調整値と、複数の送信出力パワーの設定値との対応表を有し、当該対応表の中から上記送信出力パワーの設定値に応じた振幅比の調整値及び位相差の調整値を選択的に決定することを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項3記載の歪み補償装置であって、
上記対応表は、複数の温度値、複数の信号周波数、複数の電源電圧値の少なくとも何れかと、上記振幅比の各調整値の補正値及び上記位相差の各調整値の補正値との対応表を含むことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項3記載の歪み補償装置であって、
所定の閾値より小さい各送信出力パワーの設定値に各々対応した上記振幅比の各調整値は、それぞれ上記振幅比を最小にする同一の値であり、
所定の閾値より小さい各送信出力パワーの設定値に各々対応した位相差の各調整値は、それぞれ上記位相差を最小にする同一の値であることを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項2記載の歪み補償装置であって、
上記設定された送信出力パワーが所定の閾値以上であるときのみ、上記加算部での上記希望波高周波信号と上記歪み成分高周波信号との加算を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項2記載の歪み補償装置であって、
各部へ供給される電源を制御する電源制御部を有し、
上記電源制御部は、上記設定された送信出力パワーが所定の閾値より小さいとき、上記歪み成分直交変調部と振幅比調整部と位相差調整部への電源供給を停止させることを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
温度値、電源電圧値、信号周波数の少なくとも何れかにより、上記希望波高周波信号と上記歪み成分高周波信号とを上記加算部で加算するか否かを制御する制御部を備えることを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
上記振幅比調整部は、上記歪み成分高周波信号の振幅を調整することで、上記所望の振幅比の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
上記振幅比調整部は、上記直交変調前の歪み成分信号の振幅を調整することで、上記所望の振幅比の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
上記振幅比調整部は、上記希望波高周波信号と上記歪み成分高周波信号の両方の振幅を調整することで、上記所望の振幅比の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
上記位相差調整部は、上記歪み成分高周波信号を移相させることで、上記所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
上記位相差調整部は、上記送信希望波信号の直交変調に使用される搬送波信号と上記歪み成分信号の直交変調に使用される搬送波信号との間に位相差を設定することで、上記所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項13記載の歪み補償装置であって、
上記位相差調整部は、上記歪み成分信号の直交変調に使用される搬送波信号を移相させることで、上記所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償装置。 - 請求項1記載の歪み補償装置であって、
上記送信希望波信号は直交ベースバンド信号であり、
上記送信希望波信号の直交ベースバンド信号をI,Qとし、
上記歪み成分信号をIim,Qimとしたとき、
上記演算部は、上記歪み成分信号Iim,QimをIim={I(t)2+Q(t)2}*I(t)及びQim={I(t)2+Q(t)2}*Q(t)の演算により求めることを特徴とする歪み補償装置。 - 搬送波信号が送信希望波信号により直交変調された希望波高周波信号を電力増幅することで発生する非線形歪みを補償する歪み補償方法において、
上記送信希望波信号から上記非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算し、
上記搬送波信号を上記歪み成分信号により直交変調して歪み成分高周波信号を生成し、
上記歪み成分高周波信号と上記希望波高周波信号との間の振幅比を、上記電力増幅の際に発生する上記非線形歪みの振幅成分を打ち消す所望の振幅比に調整し、
上記歪み成分高周波信号と上記希望波高周波信号との間の位相差を、上記電力増幅の際に発生する上記非線形歪みの位相成分を打ち消す所望の位相差に調整し、
上記所望の振幅比及び所望の位相差の調整がなされた後の上記歪み成分高周波信号と上記希望波高周波信号とを加算する
ことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
送信電力制御のための送信出力パワーを設定し、
上記送信出力パワーの設定値に応じて、上記所望の振幅比の調整値及び所望の位相差の調整値を決定し、
上記決定された振幅比の調整値により、上記高周波信号を上記所望の振幅比へ調整し、
上記決定された位相差の調整値により、上記高周波信号を上記所望の位相差へ調整することを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項17記載の歪み補償方法であって、
複数の振幅比の調整値及び複数の位相差の調整値と、複数の送信出力パワーの設定値との対応表の中から、上記送信出力パワーの設定値に応じた振幅比の調整値及び位相差の調整値を選択的に決定することにより、上記所望の振幅比と所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項18記載の歪み補償方法であって、
上記対応表は、複数の温度値、複数の信号周波数、複数の電源電圧値の少なくとも何れかと、上記振幅比の各調整値の補正値及び上記位相差の各調整値の補正値との対応表を含むことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項18記載の歪み補償方法であって、
所定の閾値より小さい各送信出力パワーの設定値に各々対応した上記振幅比の各調整値は、それぞれ上記振幅比を最小にする同一の値であり、
所定の閾値より小さい各送信出力パワーの設定値に各々対応した上記位相差の各調整値は、それぞれ上記位相差を最小にする同一の値であることを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項17記載の歪み補償方法であって、
上記設定された送信出力パワーが所定の閾値以上であるときのみ、上記希望波高周波信号と上記歪み成分高周波信号との加算を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項17記載の歪み補償方法であって、
上記設定された送信出力パワーが所定の閾値より小さいとき、上記歪み成分の直交変調と、振幅比の調整と、位相差の調整を停止することを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
温度値、電源電圧値、信号周波数の少なくとも何れかにより、上記希望波高周波信号と上記歪み成分高周波信号との加算を行うか否かを制御することを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
上記歪み成分高周波信号の振幅を調整することで、上記所望の振幅比の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
上記直交変調前の歪み成分信号の振幅を調整することで、上記所望の振幅比の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
上記希望波高周波信号と上記歪み成分高周波信号の両方の振幅を調整することで、上記所望の振幅比の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
上記歪み成分高周波信号を移相させることで、上記所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
上記送信希望波信号の直交変調に使用される搬送波信号と上記歪み成分信号の直交変調に使用される搬送波信号との間に位相差を設定することで、上記所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項28記載の歪み補償方法であって、
上記歪み成分信号の直交変調に使用される搬送波信号を移相させることで、上記所望の位相差の調整を行うことを特徴とする歪み補償方法。 - 請求項16記載の歪み補償方法であって、
上記送信希望波信号は直交ベースバンド信号であり、
上記送信希望波信号の直交ベースバンド信号をI,Qとし、
上記歪み成分信号をIim,Qimとしたとき、
上記歪み成分信号Iim,QimをIim={I(t)2+Q(t)2}*I(t)及びQim={I(t)2+Q(t)2}*Q(t)の演算により求めることを特徴とする歪み補償方法。 - 搬送波信号を発生する局部発振部と、
上記搬送波信号を送信希望波信号により直交変調して第1の高周波信号を生成する第1の直交変調部と、
入力された高周波信号を電力増幅して出力する電力増幅部と、
上記送信希望波信号から、上記電力増幅部で発生する非線形歪み成分に相当する歪み成分信号を演算する演算部と、
上記搬送波信号を上記歪み成分信号により直交変調して第2の高周波信号を生成する第2の直交変調部と、
上記第1の高周波信号と上記第2の高周波信号とを加算する加算部と、
上記加算前の上記第1の高周波信号と上記第2の高周波信号との間の振幅比を、上記電力増幅器の上記非線形歪みの振幅成分を打ち消す所望の振幅比に調整する振幅比調整部と、
上記第1の高周波信号と上記第2の高周波信号との間の位相差を、上記電力増幅器の上記非線形歪みの位相成分を打ち消す所望の位相差に調整する位相差調整部と、
上記所望の振幅比及び所望の位相差の調整がなされた後の上記第1の高周波信号と上記第2の高周波信号とを加算する加算部とを有し、
上記加算部にて加算された後の高周波信号を上記電力増幅器へ入力する
ことを特徴とする無線通信装置。
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- 2002-12-16 JP JP2002363814A patent/JP2004200767A/ja active Pending
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