JP2004200506A - ヒューズ抵抗器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気的特性及び信頼性が向上したヒューズ抵抗器を提供する。
【解決手段】絶縁基板11の一面に配置された1次ガラス層12と、ガラス層12上に配置された抵抗体13と、抵抗体13上に配置された2次ガラス層15とを備えたヒューズ抵抗器において、1次ガラス層12と2次ガラス層15に用いるガラス材料の組成が同一であり、1次ガラス層12は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、2次ガラス層15は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成された。
【選択図】 図1
【解決手段】絶縁基板11の一面に配置された1次ガラス層12と、ガラス層12上に配置された抵抗体13と、抵抗体13上に配置された2次ガラス層15とを備えたヒューズ抵抗器において、1次ガラス層12と2次ガラス層15に用いるガラス材料の組成が同一であり、1次ガラス層12は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、2次ガラス層15は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成された。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の抵抗値を有する抵抗器であると共に、所定の過電流に対して溶断することによりヒューズとして動作するヒューズ抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記ヒューズ抵抗器の一例として、特許文献1に開示された構造のものが知られている。この構造のヒューズ抵抗器は、アルミナ等のセラミック基板に低融点ガラスからなる第1の蓄熱層を配置し、その上に厚膜又は薄膜の抵抗体を配置し、更にその上に低融点ガラス層からなる第2の蓄熱層を配置したものである。そして、抵抗体にはトリミングカットにより電流流路を狭隘化した領域を形成し、ここを大電流により溶断するヒュージングポイントとしている。また、トリミングカットにより抵抗値が所要の値となるように調整している。
【0003】
係る構造のヒューズ抵抗器によれば、電流流路を狭隘化したヒュージングポイントに所定の電流が流れることで、抵抗体が発熱し、発熱した熱が抵抗体を挟み込む第1の蓄熱層及び第2の蓄熱層により蓄熱され、比較的熱伝導性の良好な絶縁基板等に熱が逃げることが防止される。これにより、良好な遮断特性が得られると共に、耐サージ特性が改善されるという効果が生じる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−77016号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒューズ抵抗器としては、例えばパルス的な電流によっては遮断せず直流的な所要値の電流によって正確に遮断する電気的特性の向上、およびヒューズ素子として確実に動作する信頼性の更なる向上等が要望されている。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、電気的特性及び信頼性が向上したヒューズ抵抗器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のヒューズ抵抗器は、絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを含むヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記1次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、前記2次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成されたことを特徴とする。
【0008】
上述したヒューズ抵抗器によれば、1次ガラス層と2次ガラス層とに同一の組成のガラス材料を用いることで、ヒュージングポイントが過電流により溶断する時に同質のガラス成分が溶断部に入り込む。これにより、溶断時の電流遮断特性を良好なものとすることができる。また、抵抗体を挟み込む1次ガラス層と2次ガラス層とに同質の材料を用いることで、その密着性を良好なものとすることができ、これにより信頼性を高めることができる。
【0009】
ここで、1次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、2次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成されたものであることにより、1次ガラス層は抵抗体と絶縁基板との間に挟まれる層であるので、1次ガラス層としては緻密な層が形成され、2次ガラス層は抵抗体の上に形成される層であり、比較的緻密な層となり、これにより蓄熱効果を高めると共に良好な遮断特性が得られる。
【0010】
また、1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、2次ガラス層のガラス材料の粒径が1次ガラス層のガラス材料の粒径よりも小さいものを用いることが好ましい。これにより、2次ガラス層を比較的低い温度で焼成して、良好な焼結性が確保でき、比較的緻密な層を形成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0012】
図1は、本発明の実施形態のヒューズ抵抗器を示す。アルミナからなる絶縁基板11に、その一面に蓄熱層となる1次ガラス層12が配置されている。この1次ガラス層12は、SiO2をベースにして、Na2O,CaO,TiO,ZnO,BiO,B2O3,PbO,Al2O3等の中から選ばれた二種類以上の材料を含有する一般的な材料が用いられている。1次ガラス層12上には電流流路の狭隘部であるヒュージングポイント13Aを備えた抵抗体13が配置されている。抵抗体13は、Ag,Au,Ag/Pd,Ag/Pt等の金属材料ペースト、または酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷により塗布し、焼成したもの、または、ニッケル−クロム系、ニッケル−リン系、ニッケル−リン−タングステン系などの合金をスパッタリング等により形成した薄膜抵抗体を用いることができる。また、抵抗体13は金属薄膜をスパッタリング等により形成した後に銅等をめっきすることにより形成したものであってもよい。なお、ヒュージングポイント13Aはレーザトリマ等を用いて長方形状の抵抗体にトリミング溝を形成することによって設けるようにしてもよい。
【0013】
抵抗体13上には2次ガラス層15が配置されている。この2次ガラス層は、1次ガラス層に用いるガラス材料の組成と同一の組成のガラス材料が用いられている。このガラス材料の組成の構成例としては、表1に示すものが用いられている。
【0014】
【表1】
【0015】
ここで、膨張係数αは、ガラス材料の組成によって決まるが、絶縁基板11として用いるアルミナ材料とほぼ同じ膨張係数とすることが好ましい。これにより、温度変化時の1次ガラス層12と絶縁基板11との間の膨張係数の差によるハガレ等の問題が防止される。ガラス材料の軟化点は、2次ガラス層15をなるべく低温で形成する必要があるので、500℃前後にすることが好ましい。
【0016】
2次ガラス層15上にはエポキシ樹脂等による保護コート16が配置されている。そして、絶縁基板11の両端部には表電極17、裏電極18、端面電極19がそれぞれ配置され、これらの電極上にニッケルめっき層20および半田または錫めっき層21が配置され、チップ型ヒューズ抵抗器の電極を構成している。
【0017】
本発明のヒューズ抵抗器においては、上述したように1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であることを特徴としている。以下に、1次ガラス層と2次ガラス層のガラスフリットの粒径が異なる場合の第1実施例について説明する。
【0018】
【表2】
【0019】
ヒューズ抵抗器の蓄熱層として用いられるガラス層としては、一般的にガラスフリットの粒径が5.0〜10.0μmのガラスペーストが用いられている。しかしながら、この実施形態においては、ガラスフリットの粒径が小さなものが用いられており、1次ガラス層では1〜10μmのものが用いられ、2次ガラス層では更に小さな粒径である0.05〜0.5μmのものが用いられている。これに伴い、焼成温度については、1次ガラス層は700〜800℃が採用され、ガラス材料の軟化点である495℃よりも高い温度で焼成が行われる。これに対して、2次ガラス層は390〜410℃で焼成され、軟化点495℃よりも低い温度で焼成される。
【0020】
1次ガラス層12上にはヒューズ抵抗体13を形成するので、この抵抗体13の特性の安定化のためにも1次ガラス層12を緻密な表面とすることが必要であり、上記粒径のガラスフリットを用いたガラスペーストにより上記焼成温度で焼成することで十分に緻密な1次ガラス層が得られる。一方で、2次ガラス層13をその軟化点よりも高い温度で焼成すると、1次ガラス層の形状変化を起こすという問題がある。そこで、2次ガラス層は1次ガラス層のガラスフリットよりも粒径の小さいものを用いることで、1次ガラス層の焼成温度よりも低い温度の焼成で、比較的緻密な状態のガラス層を形成することができる。
【0021】
係る観点からすると、ガラスフリットの粒径については、2次ガラス層のガラスフリットの粒径は1次ガラス層のガラスフリットの粒径の1/10以下のものを用いることが好ましい。これにより、1次ガラス層をその軟化点よりも十分に高い温度で焼成することができ、2次ガラス層をその軟化温度よりも十分に低い温度で焼成することが可能である。なお、2次ガラス層のガラスフリットの粒径を大きくすると、より高温での焼成が必要になり、1次ガラス層と2次ガラス層との焼成温度の差を設けることのメリットが減少する。
【0022】
次に、1次ガラス層と2次ガラス層とで上記表1に示すガラス材料の組成を用い、ガラスフリットの粒径として同一のものを用いた第2実施例について説明する。
【0023】
【表3】
【0024】
この場合には、1次ガラス層12および2次ガラス層15共にガラスフリットの粒径が0.05〜0.5μmの微細粒径のガラスペーストを用いている。焼成温度については、1次ガラス層は軟化点495℃よりも高い700〜800℃を用い、2次ガラス層については軟化点495℃よりも低い390〜410℃を用いている。これにより、1次ガラス層12については十分に緻密な層が形成され、その層12上に抵抗体13を安定して配置することができる。そして、2次ガラス層についてはガラス材料の軟化点以下の温度でも、第1実施例と同様に微細粒径であるが故に良好な焼結性が得られ、比較的緻密な状態のガラス層を形成することができる。
【0025】
上記実施形態のヒューズ抵抗器においては、1次ガラス層12と2次ガラス層15とをガラス材料の組成が同一であるものを用いることで、抵抗体のヒュージングポイントの溶断時に同質のガラス材料が溶断部に入り込むことで、良好な消弧性が得られる。また、同質のガラス材料の組成の1次ガラス層と2次ガラス層との間に抵抗体を挟み込む構造であるので、これらのガラス材料間では膨張係数も完全に同一となり、安定した密着性が得られ、ヒューズ抵抗器の信頼性を向上させる。
【0026】
つぎに、本発明のヒューズ抵抗器の製造工程について説明する。まず、図2(a)に示すように、絶縁基板11の裏面側に裏電極18を形成する。この裏電極18は、例えば銀または銀パラジウムペーストをスクリーン印刷により塗布し、800℃程度で焼成することにより形成する。そして、上記第1実施例または第2実施例のガラスペーストを用いて、絶縁基板11の表面側に1次ガラス層12をスクリーン印刷により形成し、700〜800℃のガラス軟化点以上の温度で焼成する。これにより、緻密な構造の1次ガラス層12が絶縁基板11上に配置される。なお、図示の例では絶縁基板11は1個分のみが示されているが、実際には多数個取りの大判の基板が用いられ、多数のパターンが一括して形成される。
【0027】
つぎに、図2(b)に示すように、スクリーン印刷により1次ガラス層12上へ抵抗体13を形成する。抵抗体13はAg,Au,Ag/Pd,Ag/Pt等の金属材料ペーストを用い、500〜600℃で焼成することにより厚膜抵抗体を形成する。なお、抵抗体13は、薄膜抵抗体を用いてもよく、まためっきによる抵抗体を用いてもよい。そして、図2(c)に示すように、表電極17を形成する。表電極17は、Ag,Au,Ag/Pd,Ag/Pt等の金属材料ペーストをスクリーン印刷によりパターン形成し、500〜600℃の温度で焼成することにより形成する。なお、この実施形態では抵抗体上に表電極を形成する例について説明したが、表電極を最初に形成し、その上に一部重畳するように抵抗体を形成するようにしてもよい。
【0028】
つぎに、図2(d)に示すように、上記第1実施例または第2実施例のガラスペーストを用いて、抵抗体上に2次ガラス層15を形成する。2次ガラス層は、上述したように0.05〜0.5μmの微細粒径のガラスフリットからなるガラスペーストをスクリーン印刷により塗布して形成するので、その焼成温度がガラス軟化点以下の390〜410℃程度の温度で良好な焼結性が得られ、比較的緻密な構造のガラス層が得られる。なお、2次ガラス層の形成前に、必要に応じてレーザトリミングにより抵抗値調整を行うこともある。そして、例えばエポキシ樹脂を用いて保護コート層16を形成する。これは、樹脂ペーストをスクリーン印刷して、200℃程度の温度で硬化することにより形成する。なお、以上の処理は大判の基板段階で多数のチップ相当区画に一括して処理を行う。
【0029】
つぎに、図2(e)に示すように、大判の基板を短冊状に長手方向端面が露出するようにブレークまたはダイシング加工して、その端面に端面電極19を形成する。そして、各チップにブレークまたはダイシングにより分割した後に、めっき処理によりめっき電極を形成する。即ち、表電極17、裏電極18、端面電極19上に半田喰われの防止のためのニッケルめっき層20を形成し、つぎに実装時の半田付け性を良好にするための半田または錫めっき層21を形成する。その後、マーキング(捺印)、最終特性検査等の工程を経てチップ型ヒューズ抵抗器が完成する。
【0030】
このヒューズ抵抗器の製造方法によれば、1次ガラス層12と2次ガラス層15とを同一のガラス材料により形成するので、上述したように電気的特性が向上すると共に信頼性が向上する。さらに、同一のガラス材料を用いることにより工程管理が容易となるという利点がある。また、微細粒径のガラスフリットによるガラス材料を用いることで、1次ガラス層と2次ガラス層とをそれぞれガラス軟化点よりも高い焼成温度と低い焼成温度とに設定することが可能である。これにより緻密な構造の1次ガラス層が得られると共に、ヒューズ抵抗器の溶断特性を良好なものとすることができる比較的緻密な2次ガラス層を形成することができる。
【0031】
尚、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、1次ガラス層と2次ガラス層とをガラス材料の組成が同一のものを用い、1次ガラス層はガラス材料の軟化点以上の温度で焼成して、2次ガラス層はガラス材料の軟化点以下の温度で焼成するようにしたものである。これにより、電気的な特性及び信頼性に優れたヒューズ抵抗器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のヒューズ抵抗器の(a)断面図と、(b)抵抗体パターン例を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態のヒューズ抵抗器の製造工程の各段階を示す断面図である。
【符号の説明】
11 絶縁基板
12 1次ガラス層
13 抵抗体
15 2次ガラス層
16 保護コート
17 表電極
18 裏電極
19 端面電極
20 ニッケルめっき層
21 半田または錫めっき層
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の抵抗値を有する抵抗器であると共に、所定の過電流に対して溶断することによりヒューズとして動作するヒューズ抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記ヒューズ抵抗器の一例として、特許文献1に開示された構造のものが知られている。この構造のヒューズ抵抗器は、アルミナ等のセラミック基板に低融点ガラスからなる第1の蓄熱層を配置し、その上に厚膜又は薄膜の抵抗体を配置し、更にその上に低融点ガラス層からなる第2の蓄熱層を配置したものである。そして、抵抗体にはトリミングカットにより電流流路を狭隘化した領域を形成し、ここを大電流により溶断するヒュージングポイントとしている。また、トリミングカットにより抵抗値が所要の値となるように調整している。
【0003】
係る構造のヒューズ抵抗器によれば、電流流路を狭隘化したヒュージングポイントに所定の電流が流れることで、抵抗体が発熱し、発熱した熱が抵抗体を挟み込む第1の蓄熱層及び第2の蓄熱層により蓄熱され、比較的熱伝導性の良好な絶縁基板等に熱が逃げることが防止される。これにより、良好な遮断特性が得られると共に、耐サージ特性が改善されるという効果が生じる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−77016号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒューズ抵抗器としては、例えばパルス的な電流によっては遮断せず直流的な所要値の電流によって正確に遮断する電気的特性の向上、およびヒューズ素子として確実に動作する信頼性の更なる向上等が要望されている。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、電気的特性及び信頼性が向上したヒューズ抵抗器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のヒューズ抵抗器は、絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを含むヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記1次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、前記2次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成されたことを特徴とする。
【0008】
上述したヒューズ抵抗器によれば、1次ガラス層と2次ガラス層とに同一の組成のガラス材料を用いることで、ヒュージングポイントが過電流により溶断する時に同質のガラス成分が溶断部に入り込む。これにより、溶断時の電流遮断特性を良好なものとすることができる。また、抵抗体を挟み込む1次ガラス層と2次ガラス層とに同質の材料を用いることで、その密着性を良好なものとすることができ、これにより信頼性を高めることができる。
【0009】
ここで、1次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、2次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成されたものであることにより、1次ガラス層は抵抗体と絶縁基板との間に挟まれる層であるので、1次ガラス層としては緻密な層が形成され、2次ガラス層は抵抗体の上に形成される層であり、比較的緻密な層となり、これにより蓄熱効果を高めると共に良好な遮断特性が得られる。
【0010】
また、1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、2次ガラス層のガラス材料の粒径が1次ガラス層のガラス材料の粒径よりも小さいものを用いることが好ましい。これにより、2次ガラス層を比較的低い温度で焼成して、良好な焼結性が確保でき、比較的緻密な層を形成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0012】
図1は、本発明の実施形態のヒューズ抵抗器を示す。アルミナからなる絶縁基板11に、その一面に蓄熱層となる1次ガラス層12が配置されている。この1次ガラス層12は、SiO2をベースにして、Na2O,CaO,TiO,ZnO,BiO,B2O3,PbO,Al2O3等の中から選ばれた二種類以上の材料を含有する一般的な材料が用いられている。1次ガラス層12上には電流流路の狭隘部であるヒュージングポイント13Aを備えた抵抗体13が配置されている。抵抗体13は、Ag,Au,Ag/Pd,Ag/Pt等の金属材料ペースト、または酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷により塗布し、焼成したもの、または、ニッケル−クロム系、ニッケル−リン系、ニッケル−リン−タングステン系などの合金をスパッタリング等により形成した薄膜抵抗体を用いることができる。また、抵抗体13は金属薄膜をスパッタリング等により形成した後に銅等をめっきすることにより形成したものであってもよい。なお、ヒュージングポイント13Aはレーザトリマ等を用いて長方形状の抵抗体にトリミング溝を形成することによって設けるようにしてもよい。
【0013】
抵抗体13上には2次ガラス層15が配置されている。この2次ガラス層は、1次ガラス層に用いるガラス材料の組成と同一の組成のガラス材料が用いられている。このガラス材料の組成の構成例としては、表1に示すものが用いられている。
【0014】
【表1】
【0015】
ここで、膨張係数αは、ガラス材料の組成によって決まるが、絶縁基板11として用いるアルミナ材料とほぼ同じ膨張係数とすることが好ましい。これにより、温度変化時の1次ガラス層12と絶縁基板11との間の膨張係数の差によるハガレ等の問題が防止される。ガラス材料の軟化点は、2次ガラス層15をなるべく低温で形成する必要があるので、500℃前後にすることが好ましい。
【0016】
2次ガラス層15上にはエポキシ樹脂等による保護コート16が配置されている。そして、絶縁基板11の両端部には表電極17、裏電極18、端面電極19がそれぞれ配置され、これらの電極上にニッケルめっき層20および半田または錫めっき層21が配置され、チップ型ヒューズ抵抗器の電極を構成している。
【0017】
本発明のヒューズ抵抗器においては、上述したように1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であることを特徴としている。以下に、1次ガラス層と2次ガラス層のガラスフリットの粒径が異なる場合の第1実施例について説明する。
【0018】
【表2】
【0019】
ヒューズ抵抗器の蓄熱層として用いられるガラス層としては、一般的にガラスフリットの粒径が5.0〜10.0μmのガラスペーストが用いられている。しかしながら、この実施形態においては、ガラスフリットの粒径が小さなものが用いられており、1次ガラス層では1〜10μmのものが用いられ、2次ガラス層では更に小さな粒径である0.05〜0.5μmのものが用いられている。これに伴い、焼成温度については、1次ガラス層は700〜800℃が採用され、ガラス材料の軟化点である495℃よりも高い温度で焼成が行われる。これに対して、2次ガラス層は390〜410℃で焼成され、軟化点495℃よりも低い温度で焼成される。
【0020】
1次ガラス層12上にはヒューズ抵抗体13を形成するので、この抵抗体13の特性の安定化のためにも1次ガラス層12を緻密な表面とすることが必要であり、上記粒径のガラスフリットを用いたガラスペーストにより上記焼成温度で焼成することで十分に緻密な1次ガラス層が得られる。一方で、2次ガラス層13をその軟化点よりも高い温度で焼成すると、1次ガラス層の形状変化を起こすという問題がある。そこで、2次ガラス層は1次ガラス層のガラスフリットよりも粒径の小さいものを用いることで、1次ガラス層の焼成温度よりも低い温度の焼成で、比較的緻密な状態のガラス層を形成することができる。
【0021】
係る観点からすると、ガラスフリットの粒径については、2次ガラス層のガラスフリットの粒径は1次ガラス層のガラスフリットの粒径の1/10以下のものを用いることが好ましい。これにより、1次ガラス層をその軟化点よりも十分に高い温度で焼成することができ、2次ガラス層をその軟化温度よりも十分に低い温度で焼成することが可能である。なお、2次ガラス層のガラスフリットの粒径を大きくすると、より高温での焼成が必要になり、1次ガラス層と2次ガラス層との焼成温度の差を設けることのメリットが減少する。
【0022】
次に、1次ガラス層と2次ガラス層とで上記表1に示すガラス材料の組成を用い、ガラスフリットの粒径として同一のものを用いた第2実施例について説明する。
【0023】
【表3】
【0024】
この場合には、1次ガラス層12および2次ガラス層15共にガラスフリットの粒径が0.05〜0.5μmの微細粒径のガラスペーストを用いている。焼成温度については、1次ガラス層は軟化点495℃よりも高い700〜800℃を用い、2次ガラス層については軟化点495℃よりも低い390〜410℃を用いている。これにより、1次ガラス層12については十分に緻密な層が形成され、その層12上に抵抗体13を安定して配置することができる。そして、2次ガラス層についてはガラス材料の軟化点以下の温度でも、第1実施例と同様に微細粒径であるが故に良好な焼結性が得られ、比較的緻密な状態のガラス層を形成することができる。
【0025】
上記実施形態のヒューズ抵抗器においては、1次ガラス層12と2次ガラス層15とをガラス材料の組成が同一であるものを用いることで、抵抗体のヒュージングポイントの溶断時に同質のガラス材料が溶断部に入り込むことで、良好な消弧性が得られる。また、同質のガラス材料の組成の1次ガラス層と2次ガラス層との間に抵抗体を挟み込む構造であるので、これらのガラス材料間では膨張係数も完全に同一となり、安定した密着性が得られ、ヒューズ抵抗器の信頼性を向上させる。
【0026】
つぎに、本発明のヒューズ抵抗器の製造工程について説明する。まず、図2(a)に示すように、絶縁基板11の裏面側に裏電極18を形成する。この裏電極18は、例えば銀または銀パラジウムペーストをスクリーン印刷により塗布し、800℃程度で焼成することにより形成する。そして、上記第1実施例または第2実施例のガラスペーストを用いて、絶縁基板11の表面側に1次ガラス層12をスクリーン印刷により形成し、700〜800℃のガラス軟化点以上の温度で焼成する。これにより、緻密な構造の1次ガラス層12が絶縁基板11上に配置される。なお、図示の例では絶縁基板11は1個分のみが示されているが、実際には多数個取りの大判の基板が用いられ、多数のパターンが一括して形成される。
【0027】
つぎに、図2(b)に示すように、スクリーン印刷により1次ガラス層12上へ抵抗体13を形成する。抵抗体13はAg,Au,Ag/Pd,Ag/Pt等の金属材料ペーストを用い、500〜600℃で焼成することにより厚膜抵抗体を形成する。なお、抵抗体13は、薄膜抵抗体を用いてもよく、まためっきによる抵抗体を用いてもよい。そして、図2(c)に示すように、表電極17を形成する。表電極17は、Ag,Au,Ag/Pd,Ag/Pt等の金属材料ペーストをスクリーン印刷によりパターン形成し、500〜600℃の温度で焼成することにより形成する。なお、この実施形態では抵抗体上に表電極を形成する例について説明したが、表電極を最初に形成し、その上に一部重畳するように抵抗体を形成するようにしてもよい。
【0028】
つぎに、図2(d)に示すように、上記第1実施例または第2実施例のガラスペーストを用いて、抵抗体上に2次ガラス層15を形成する。2次ガラス層は、上述したように0.05〜0.5μmの微細粒径のガラスフリットからなるガラスペーストをスクリーン印刷により塗布して形成するので、その焼成温度がガラス軟化点以下の390〜410℃程度の温度で良好な焼結性が得られ、比較的緻密な構造のガラス層が得られる。なお、2次ガラス層の形成前に、必要に応じてレーザトリミングにより抵抗値調整を行うこともある。そして、例えばエポキシ樹脂を用いて保護コート層16を形成する。これは、樹脂ペーストをスクリーン印刷して、200℃程度の温度で硬化することにより形成する。なお、以上の処理は大判の基板段階で多数のチップ相当区画に一括して処理を行う。
【0029】
つぎに、図2(e)に示すように、大判の基板を短冊状に長手方向端面が露出するようにブレークまたはダイシング加工して、その端面に端面電極19を形成する。そして、各チップにブレークまたはダイシングにより分割した後に、めっき処理によりめっき電極を形成する。即ち、表電極17、裏電極18、端面電極19上に半田喰われの防止のためのニッケルめっき層20を形成し、つぎに実装時の半田付け性を良好にするための半田または錫めっき層21を形成する。その後、マーキング(捺印)、最終特性検査等の工程を経てチップ型ヒューズ抵抗器が完成する。
【0030】
このヒューズ抵抗器の製造方法によれば、1次ガラス層12と2次ガラス層15とを同一のガラス材料により形成するので、上述したように電気的特性が向上すると共に信頼性が向上する。さらに、同一のガラス材料を用いることにより工程管理が容易となるという利点がある。また、微細粒径のガラスフリットによるガラス材料を用いることで、1次ガラス層と2次ガラス層とをそれぞれガラス軟化点よりも高い焼成温度と低い焼成温度とに設定することが可能である。これにより緻密な構造の1次ガラス層が得られると共に、ヒューズ抵抗器の溶断特性を良好なものとすることができる比較的緻密な2次ガラス層を形成することができる。
【0031】
尚、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、1次ガラス層と2次ガラス層とをガラス材料の組成が同一のものを用い、1次ガラス層はガラス材料の軟化点以上の温度で焼成して、2次ガラス層はガラス材料の軟化点以下の温度で焼成するようにしたものである。これにより、電気的な特性及び信頼性に優れたヒューズ抵抗器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のヒューズ抵抗器の(a)断面図と、(b)抵抗体パターン例を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態のヒューズ抵抗器の製造工程の各段階を示す断面図である。
【符号の説明】
11 絶縁基板
12 1次ガラス層
13 抵抗体
15 2次ガラス層
16 保護コート
17 表電極
18 裏電極
19 端面電極
20 ニッケルめっき層
21 半田または錫めっき層
Claims (5)
- 絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを備えたヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記1次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、前記2次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成されたことを特徴とするヒューズ抵抗器。
- 絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを備えたヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記2次ガラス層のガラスフリットの粒径は前記1次ガラス層のガラスフリットの粒径よりも小さく、前記1次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以上の温度で焼成され、前記2次ガラス層は使用するガラス材料の軟化点以下の温度で焼成されたことを特徴とするヒューズ抵抗器。
- 絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを備えたヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記2次ガラス層のガラスフリットの粒径は前記1次ガラス層のガラスフリットの粒径よりも小さく、前記2次ガラス層は、前記1次ガラス層よりも低い温度で焼成することでガラス層が形成されたことを特徴とするヒューズ抵抗器。
- 絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを備えたヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記2次ガラス層のガラス材料のフリットは前記1次ガラス層に用いられるガラスフリットの粒径の1/10以下の大きさであり、前記2次ガラス層は、前記1次ガラス層よりも低い温度で焼成することでガラス層が形成されたことを特徴とするヒューズ抵抗器。
- 絶縁基板の一面に配置された1次ガラス層と、該ガラス層上に配置された抵抗体と、該抵抗体上に配置された2次ガラス層とを備えたヒューズ抵抗器において、前記1次ガラス層と2次ガラス層に用いるガラス材料の組成が同一であり、前記1次ガラス層のガラスフリットの粒径は0.05〜0.5μmであり、前記2次ガラス層は、前記1次ガラス層よりも低い温度で焼成することでガラス層が形成されたことを特徴とするヒューズ抵抗器。
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JP2021089832A (ja) * | 2019-12-03 | 2021-06-10 | Koa株式会社 | チップ形電流ヒューズ |
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2002
- 2002-12-19 JP JP2002368733A patent/JP2004200506A/ja active Pending
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JP7421321B2 (ja) | 2019-12-03 | 2024-01-24 | Koa株式会社 | チップ形電流ヒューズおよびチップ形電流ヒューズの実装構造 |
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