JP2004200184A - 発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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雅人 山田
Nobuhiko Noto
宣彦 能登
Shinji Nozaki
眞次 野崎
Kazuo Uchida
和男 内田
Hiroshi Morizaki
弘 森崎
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Abstract

【課題】酸化物透明電極層を発光駆動用の電極として有し、かつ電極ワイヤをボンディングパッドへ溶接する際の損傷の影響が発光層部に及びにくい発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子100は、第一導電型クラッド層4、活性層5及び第二導電型クラッド層6がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有する化合物半導体よりなる発光層部24を有し、第二導電型クラッド層6の主表面を覆う酸化物透明電極層30を介して発光層部24に発光駆動電圧が印加される。酸化物透明電極層30上には金属製のボンディングパッド9が配置され、該ボンディングパッド9に通電用の電極ワイヤ47が溶接されている。そして、第二導電型クラッド層6と酸化物透明電極層30との間には、第二導電型クラッド層6よりもドーパント濃度が低い化合物半導体層により構成されたクッション層20が配置されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は発光素子及び発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平1−225178号公報
【0003】
(AlGa1−xIn1−yP混晶(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1(以下、AlGaInP混晶、あるいは単にAlGaInPとも記載する)により発光層部が形成された発光素子は、薄いAlGaInP活性層を、それよりもバンドギャップの大きいn型AlGaInPクラッド層とp型AlGaInPクラッド層とによりサンドイッチ状に挟んだダブルへテロ構造を採用することにより、高輝度の素子を実現できる。また、近年では、InGaAl1−x−yN(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)を用いて同様のダブルへテロ構造を形成した青色発光素子も実用化されている。
【0004】
例えば、AlGaInP発光素子を例に取れば、n型GaAs基板上にヘテロエピタキシャル成長させる形にて、n型GaAsバッファ層、n型AlGaInPクラッド層、AlGaInP活性層、p型AlGaInPクラッド層をこの順序にて積層し、ダブルへテロ構造をなす発光層部を形成する。発光層部への通電は、素子表面に形成された金属電極を介して行なわれる。ここで、金属電極は遮光体として作用するため、例えば発光層部主表面の中央部のみを覆う形で形成され、その周囲の電極非形成領域から光を取り出すようにする。
【0005】
この場合、金属電極の面積をなるべく小さくしたほうが、電極の周囲に形成される光漏出領域の面積を大きくできるので、光取出し効率を向上させる観点において有利である。従来、電極形状の工夫により、素子内に効果的に電流を拡げて光取出量を増加させる試みがなされているが、この場合も電極面積の増大はいずれにしろ避けがたく、光漏出面積の減少により却って光取出量が制限されるジレンマに陥っている。また、クラッド層のドーパントのキャリア濃度ひいては導電率は、活性層内でのキャリアの発光再結合を最適化するために多少低めに抑えられており、面内方向には電流が広がりにくい傾向がある。これは、電極被覆領域に電流密度が集中し、光漏出領域における実質的な光取出量が低下してしまうことにつながる。そこで、クラッド層と電極との間に、キャリア濃度(ドーパント濃度)を高めた低抵抗率の電流拡散層を形成する方法が採用されている。電流拡散層は、有機金属気相成長法(MetalOrganic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE法)や、液相エピタキシャル成長法(Liquid Phase Epitaxy:LPE法)により形成される。
【0006】
また、化合物半導体よりなる電流拡散層に代えて高導電率の酸化物透明電極層(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極層)を、発光層部表面を覆うように形成する提案が、例えば特許文献1に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような発光素子においては、素子最表面に金属製のボンディングパッドを配置し、そのボンディングパッドに接合された電極ワイヤを介して発光層部への通電がなされる。特許文献1に開示された酸化物透明電極層を用いる発光素子の構成では、ごく薄い電極接合層を介して酸化物透明電極層が発光層部に接するように形成される。酸化物透明電極層は導電率が金属並に高いため、厚さが小さくとも十分な電流拡散効果が得られる。しかし、電極ワイヤをボンディングパッドへ接合しようとすると、接合による損傷の影響が発光層部に及びやすく、不良を生じやすい欠点がある。
【0008】
他方、化合物半導体よりなる電流拡散層を用いる構成では、電流拡散層は、面内方向に電流を十分に拡げるために、層厚をある程度大きく設定することが必要である。電流拡散層の厚さが大きくなることで、ワイヤを接合する際の損傷の影響はある程度吸収できるため、不良発生の問題は生じにくい。しかし、このような電流拡散層は導電率を高めるために、ドーパント濃度を高める必要があるが、これにより次のような問題を生じやすくなる。
【0009】
発光素子は、通電を継続するに伴い発光輝度が次第に低下する。例えば、一定電流により素子への通電を開始した直後に測定した発光輝度を初期輝度とし、積算通電時間の経過に従い減少する発光輝度を追跡したとき、発光輝度が予め定められた限界輝度に到達する時間、あるいは評価通電時間を一定値(例えば1000時間)に固定したときの、初期輝度に対する評価通電時間経過後の輝度の比(以下、これを素子ライフと称する)は、素子寿命を評価するための一定の尺度となりえる。
【0010】
電流拡散層を有する発光素子は、通電初期段階においては、クラッド層内のドーパント濃度は適正な値を保持されているが、通電を継続すると、電流拡散層内の高濃度のドーパント原子の、クラッド層および活性層内への拡散が、電気的な要因により促される。その過剰なドーパント濃度およびドーパント原子の拡散促進に伴って格子欠陥等が形成されると、活性層内またはp型クラッド層と活性層の界面には、非発光再結合中心となる電気的な準位が形成される。その結果、発光再結合確率が下がり、強度低下を引き起こす。すなわち、発光輝度の経時的な劣化が進みやすくなり、素子ライフが低下することにつながる。
【0011】
また、MOVPE法やLPE法により成長しようとすると、成長温度が高いために、ドーパント濃度を本来低く留めたいクラッド層側にドーパントが拡散しやすくなる問題もある。さらに、厚い電流拡散層を成長させるには長時間を要し、原料も多く必要になることから、製造能率の低下とコストの増大を招きやくなるい。
【0012】
さらに、特許文献1あるいは特許文献2に開示されている酸化物透明電極層と電流拡散層とを併用する場合、酸化物透明電極層が特にITO電極層として形成されていると、電流拡散層を形成する化合物半導体の種類によっては、形成したITO電極層と電流拡散層との密着力が極端に低下することがある。このような状態になると、ITO電極層を形成済みの素子ウェーハ上に、電極形成等のフォトリソグラフィー工程を実施したり、あるいはウェーハを素子チップにダイシングしたりする際に、ITO電極層の剥離が生じやすくなり、製品歩留まりの低下に直結する問題がある。
【0013】
本発明の課題は、酸化物透明電極層を発光駆動用の電極として有し、かつ電極ワイヤをボンディングパッドへ接合する際の損傷の影響が発光層部に及びにくい発光素子と、その製造方法とを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明の発光素子は、
第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有する化合物半導体よりなる発光層部を有し、第二導電型クラッド層の主表面を覆う酸化物透明電極層を介して発光層部に発光駆動電圧を印加するようにした発光素子において、
酸化物透明電極層上に金属製のボンディングパッドが配置され、該ボンディングパッドに通電用の電極ワイヤが接合されてなり、
また、第二導電型クラッド層と酸化物透明電極層との間には、第二導電型クラッド層よりもドーパント濃度が低い化合物半導体層により構成されたクッション層が配置されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の発光素子の製造方法は、第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有する化合物半導体よりなる発光層部を有し、第二導電型クラッド層の主表面を覆う酸化物透明電極層を介して発光層部に発光駆動電圧を印加するようにした発光素子の製造方法において、
発光層部の第二導電型クラッド層上に、該第二導電型クラッド層よりもドーパント濃度が低い化合物半導体層により構成されたクッション層を形成する工程と、
そのクッション層を覆うように酸化物透明電極層を形成する工程と、
該酸化物透明電極層上に金属製のボンディングパッドを形成する工程と、
該ボンディングパッドに通電用の電極ワイヤを接合する工程と、
をこの順序にて行なうことを特徴とする。
【0016】
上記本発明によると、発光層部の第二導電型クラッド層上に、該第二導電型クラッド層よりもドーパント濃度が低い化合物半導体層により構成されたクッション層を形成し、そのクッション層上に酸化物透明電極層を形成し、該酸化物透明電極層上のボンディングパッドに電極ワイヤを接合するようにしたから、接合時に損傷領域が仮に生じても、その大半はクッション層内部に留まり、発光層部にその影響が及びにくくなる。
【0017】
例えばワイヤの接合を、超音波溶接や、これにさらに熱を付加するサーモソニックボンディングにより行なう場合、ボンディングパッド直下の化合物半導体層には、超音波や加熱(さらには加圧)による衝撃応力が集中し、転位などの結晶欠陥が損傷として導入される。その損傷領域が発光層部に及んだ場合、具体的には次のような不具合につながる。
▲1▼発光輝度の直接的な低下。結晶欠陥による非発光遷移過程の増加が原因として考えられる。
▲2▼損傷領域が発光層部に及ぶと素子ライフが低下することにつながる。転位の形成された発光層に通電を継続すると、転位に電流が集中して転位の増殖が起こりやすくなり、発光輝度の経時的な劣化を引き起こす。
【0018】
他方、本発明の発光素子においては、クッション層は、これと接する第二導電型クラッド層よりもドーパント濃度を低くしてある。すなわち、クッション層と第二導電型クラッド層との間には、発光通電時において電気的に促進されるドーパント原子の拡散の向きとは逆向きの濃度勾配が形成されており、これが第二導電型クラッド層内へのドーパント原子の流入を妨げる。その結果、発光層に対する損傷領域の影響が軽減されていることとも相俟って、素子ライフの大幅な向上を図ることができる。また、成長時にドーパントが第二導電型クラッド層に逆拡散する不具合も生じにくい。
【0019】
該クッション層は、ドーパント濃度が低いので面内方向の導電率は小さいが、シート抵抗の小さい酸化物透明電極層を形成しておくことで、面内方向の電流拡散効果は十分に達成することができる。従って、クッション層は、層厚方向の導電性さえ十分に確保しておけば、結果として発光層部への均一な通電が可能となり、発光効率を高めることができる。
【0020】
クッション層の厚さは、0.1μm以上5μm以下に調整することが望ましい。クッション層の厚さが0.1μm未満では、電極ワイヤ接合時の影響が発光層部へ及びやすくなる。また、クッション層の厚さが5μmを超えると、ドーパント濃度が低く抑えられているために層厚方向の抵抗率が増し、素子の直列抵抗増大による発光効率低下につながる。また、厚いクッション層を成長させるには長時間を要し、原料も多く必要になることから、製造能率の低下とコストの増大を招きやすい。クッション層の厚さは0.5μm以上3μm以下とすることがより望ましい。
【0021】
クッション層は第二導電型クラッド層と導電型を同一にする必要がある。特に、発光再結合が活性層のp型クラッド層との界面付近で生じやすいことを考慮すれば、光取出面側に位置するクッション層と第二導電型クラッド層とを、p型層として構成することが望ましい。この場合、多数キャリア源となるp型ドーパントとしては、III−V族化合物半導体を用いる場合、ZnやMgを使用できる。III−V族化合物半導体よりなる発光層部としては、(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1;以下、「AlGaInP」とも記載する)又はInGaAl1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1;以下、「InGaAlN」とも記載する)により、第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有するものを例示できる。
【0022】
特に、発光層部をAlGaInPにて構成し、第二導電型クラッド層を、Znをp型ドーパントとするp型クラッド層として構成する場合、Zn濃度の高い電流拡散層をこれと接して配置すると、Znのp型クラッド層への逆拡散が特に進みやすく、発光効率の低下を招きやすい。しかし、本発明の場合、p型クッション層のZn濃度をp型クラッド層よりも低く設定することで、このようなZnの拡散の問題も効果的に回避することができる。
【0023】
第二導電型クラッド層の多数キャリア濃度は、5×1016/cm以上1×1018/cm未満となっていることが望ましい。多数キャリア濃度が5×1016/cm未満では素子の直列抵抗が増大し、発光効率の低下を招く。また、1×1018/cm以上になると、非発光再結合中心となる欠陥準位が形成されやすくなり、発光効率の低下を招く。第二導電型クラッド層の多数キャリア濃度は、1×1017/cm以上7×1017/cm以下とすることがより望ましい。
【0024】
また、クッション層のドーパント濃度は、多数キャリア濃度の値にて、4×1016/cm以上9×1017/cm以下となっていることが望ましい。多数キャリア濃度が4×1016/cm未満では素子の直列抵抗が増大し、素子の順方向電圧の上昇を招く。他方、9×1017/cmを超えると、該クッション層から発光層部側へのドーパント原子の電気的要因による拡散が促進されやすくなり、素子ライフの低下を生ずることにつながる。クッション層のドーパント濃度は、9×1016/cm以上6×1017/cm以下とすることがより望ましい。
【0025】
なお、ボンディングパッドへ電極ワイヤを接合したとき、その損傷の影響は、発光層部へはなるべく及ばないことが望ましいが、例えば損傷の影響が第二導電型クラッド層の表層部付近に留まり、活性層への影響が小さくてすむ場合は、発光輝度や素子ライフが損なわれる懸念はそれほど生じない。この場合、クッション層と第二導電型クラッド層との合計厚さが0.6μm以上、望ましくは1.0μm以上確保されていれば、接合による損傷の影響が活性層に及ぶことが効果的に回避できる。ただし、クッション層の厚さの好ましい上限値が5μm程度であり、かつ、第二導電型クラッド層のドーパント濃度は、前述の通り低く留めなければならない。従って、直列抵抗増大抑制の観点から、クッション層と第二導電型クラッド層との合計厚さは10μm未満に留めることが望ましい。
【0026】
クッション層は、発光層部からの光をなるべく吸収しない材質にて構成することが、光取出し効率を向上させる上で望ましい。そのためには、クッション層をなす化合物半導体として、発光層部の活性層よりもバンドギャップの大きいものを使用することが有効である。AlGaInPにて発光層部を構成する場合、クッション層の具体的な材質として、AlGaAs、GaP、GaAsP、AlGaAsPを例示できる。また、クッション層を上記のように薄く形成することは、光吸収抑制の観点においても有利に作用する。後述の電極接合層をGaAsあるいはInGaAsにて構成する場合、AlGaAsPよりなるクッション層は、該電極接合層との格子整合性を高める観点において特に有効である。
【0027】
発光層部及びクッション層は、有機金属気相成長法(MOVPE法)、液相エピタキシャル成長法(LPE法)、あるいはハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxial Growth Method:HVPE法)のいずれか、又はそれらの組合せにより形成することができる。特に、MOVPE法は高品質の発光層部が得やすく、発光効率を高める上で有利である。この場合、MOVPE法により、発光層部の成長と、それに続くクッション層の成長とを連続して行なうと効率的である。また、従来の発光素子のような厚い電流拡散層を、成長速度の比較的小さいMOVPE法により成長することは、製造能率の大幅な低下につながるが、クッション層は前述のように薄く形成することが望ましいから、MOVPE法を採用しても能率低下の問題を生じにくい。
【0028】
酸化物透明電極層は、例えばITOにて構成できる。ITOは、酸化スズをドープした酸化インジウム膜であり、酸化スズの含有量を1〜9質量%とすることで、電極層の抵抗率を5×10−4Ω・cm以下の十分低い値とすることができる。なお、ITO電極層以外では、ZnO電極層が高導電率であり、本発明に採用可能である。また、酸化アンチモンをドープした酸化スズ(いわゆるネサ)、CdSnO、ZnSnO、ZnSnO、MgIn、酸化イットリウム(Y)をドープしたCdSb、酸化スズをドープしたGaInOなども酸化物透明電極層の材質として使用することができる。これらの導電性酸化物は可視光に対して良好な透過性を有し(つまり、透明であり)、発光層部への電圧印加用電極として用いる場合、光の取出しを妨げない利点がある。また、該酸化物透明電極層上に形成されるボンディングパッドを介して素子駆動用の電圧を印加したとき、電流を面内に広げて発光を均一化し高効率化する役割も担う。これらの酸化物透明電極層は、公知の気相成膜法、例えば化学蒸着法(chemical vapor deposition:CVD)あるいはスパッタリングや真空蒸着などの物理蒸着法(physical vapor deposition:PVD)、あるいは分子線エピタキシャル成長法(molecular beam epitaxy:MBE)にて形成することができる。例えば、ITO層やZnO電極層は高周波スパッタリング又は真空蒸着により製造でき、また、ネサ膜はCVD法により製造できる。また、これら気相成長法に代えて、ゾル−ゲル法など他の方法を用いて形成してもよい。
【0029】
ITO等の酸化物透明電極層は、化合物半導体層と直接接合しようとしたとき、良好なオーミック接合が必ずしも形成されず、接触抵抗に基づく直列抵抗増大により発光効率が低下することがある。この場合、酸化物透明電極層の接触抵抗を減ずるための電極接合層を、酸化物透明電極層に接するように配置することにより、酸化物透明電極層の接触抵抗を下げることができる。ITOを使用する場合は、このような電極接合層として、例えばInGaAs層やGaAs層を使用することができる。
【0030】
電極接合層とクッション層との接触抵抗は、発光素子の通電を長時間継続しても低い値に安定的に維持されること、つまり、接触抵抗の経時的な増大が生じにくくなっていることが重要である。接触抵抗の低減を図る一つの方法としては、電極接合層にクッション層と同じ導電型のドーパントを添加することが有効である。この場合、電極接合層へのドーパント添加量が高くなるほど、接触抵抗をより低くすることができる。なお、電極接合層からクッション層へドーパント拡散が比較的生じやすくなっている場合には、電極接合層のドーパント添加量がクッション層よりも過度に高くなっていると、発光通電時において電極接合層からクッション層へのドーパント拡散が電気的に促進されやすくなることがあり、電極接合層のドーパント量が次第に枯渇する場合がある。すると、発光通電を継続するに伴い電極接合層の接触抵抗が経時的に増加し、素子ライフの低下を招くことにつながる。
【0031】
このような不具合を抑制するには、電極接合層中のドーパント濃度をクッション層よりも高く設定しつつ、電極接合層を構成する半導体として、これと接するクッション層よりもバンドギャップエネルギーが小さいものを使用することが望ましい。電極接合層側のバンドギャップエネルギーをクッション層よりも小さく設定することにより、電極接合層中のドーパント濃度をある程度高くしても、クッション層へのドーパント原子の拡散が生じにくくなり、電極接合層の接触抵抗が経時的に増加することを効果的に抑制することができる。
【0032】
例えば、酸化物透明電極層がITO電極層の場合、電極接合層は、少なくともITO電極層との接合界面において、InGa1−xAs(0<x≦1)となっているものを使用することが望ましい。この場合、クッション層との接合側において電極接合層はInGa1−xAs(0≦x≦1)とすることができ、クッション層は、これよりもバンドギャップエネルギーの大きい半導体として、例えばAlGa1−yAs(0<y≦1)により構成することができる。クッション層は、この他、電極接合層よりもバンドギャップエネルギーが高くなるように混晶比が調整されたGaInP層、AlGaInP層、GaP層、GaAsP層あるいはAlGaAsP層により構成することも可能である。
【0033】
また、電極接合層のドーパント濃度自体を下げることにより、クッション層への拡散を抑制する方法も可能である。この場合、電極接合層のドーパント濃度は、クッション層と同等又はそれよりも低いことが望ましい。また、電極接合層は、低ドーピングであっても酸化物透明電極層とのコンタクト抵抗が十分低くなり、かつ、クッション層との接触抵抗も同様に低くなっていることが必要であり、具体的には、クッション層との間に極端に高いヘテロ接合障壁が形成されないものを使用することが望ましい。例えば、電極接合層を、ITO層側からInを拡散させたGaAsにて構成する場合、クッション層を、InAs混晶比yが比較的小さいInGa1−yAs(例えば、0≦y≦0.2)にて構成する組合せを例示できる。
【0034】
なお、電極接合層を酸化物透明電極層への接合面全面を被覆するように形成すると、ワイヤ接合用のボンディングパッドの直下領域でも酸化物透明電極層の接触抵抗が改善される結果、駆動電流ひいては発光が該領域に集中しやすくなり、発生した光の多くがボンディングパッドにより遮蔽されて光取出効率の低下を招く場合がある。そこで、クッション層と酸化物透明電極層との間に、酸化物透明電極層の接合抵抗を減ずるための電極接合層が、該酸化物透明電極層に接するように配置されている場合、電極接合層は、ボンディングパッドの直下領域からなる第一領域において周囲の第二領域よりも形成面積率が小さくなっていることが望ましい。なお、各領域の電極接合層の形成面積率とは、領域中の電極接合層の合計面積を、領域の全面積により割った比率をいう。このように構成すると、第一領域における酸化物透明電極層の接触抵抗が増大する。その結果、発光素子の駆動電流は、第一領域を迂回して第二領域に流れる成分が大きくなり、光取出効率を大幅に高めることができる。なお、光取り出し量が少ない第一領域にはなるべく発光駆動電流が流れないことが光取出効率向上の観点においては望ましい。従って、第一領域には電極接合層が可及的に形成されていないことが望ましい。
【0035】
電流拡散効果を高めるために電流拡散層を厚く形成した従来の発光素子においては、ボンディングパッドの直下領域外に電流を迂回させるために、電流拡散層中に逆の導電型を有するブロック層を埋め込み形成していたが、素子構造が複雑化し、製造工数も増大する欠点がある。しかし、上記構成によると、ボンディングパッド直下の第一領域において電極接合層の形成を抑制することで、その外側の領域、すなわち第二領域への電流迂回効果を簡単に達成することができる。また、酸化物透明電極層の下側に形成されているのは、シート抵抗の低いクッション層であるから、第二領域へ迂回した形で流れ込んだ電流が、クッション層内で第一領域側へ逆流する不具合も生じにくい。
【0036】
次に、本発明者らが検討したところよると、酸化物透明電極層がITO電極層として形成されている場合、ITO電極層の下側に位置するクッション層がリンを含む化合物半導体、特に、リンをIII族元素の主体とするIII−V族化合物半導体である場合に、形成したITO電極層とクッション層との密着力が低下しやすいことが判明した。
【0037】
前述の通り電極接合層は、発光波長に対応するエネルギーよりもバンドギャップエネルギーが小さく設定されるため、発光層部からの光吸収を避けるため、3〜30nm程度の小さな膜厚で形成される。この場合、クッション層が、GaPなどのリンを含有した化合物半導体にて構成されていると、ITO電極層の成膜中の熱履歴や、ITO電極層成膜後の熱処理(例えば、ITO層からGaAs層へのIn拡散により、Inを含有したGaAsよりなる電極接合層を形成する場合の拡散熱処理)の影響により、上記リンを含有した化合物半導体からリン成分が、薄い電極接合層を通過してITO層側に拡散し、これが原因となってITO電極層の密着力が低下することが考えられる。
【0038】
そこで、本発明の発光素子は、次のように構成することが有効である。すなわち、酸化物透明電極層はITO電極層であり、クッション層とITO電極層との間に、ITO電極層の接合抵抗を減ずるための電極接合層が、該ITO電極層に接するように配置され、クッション層がリンを含有したリン含有化合物半導体層とされ、該クッション層と電極接合層との間に、電極接合層よりもバンドギャップエネルギーが大きく、かつリンの含有率がリン含有化合物半導体層よりも低いリンブロック層が形成される。リンブロック層は、電極接合層よりもバンドギャップエネルギーが大きいため、発光層部からの発光光束に対する吸収は電極接合層より小さい。そして、電極接合層と反対側に位置するリン含有化合物半導体層よりはリンの含有率を低く設定してあるので、ITO電極層側に向けたリン拡散は生じにくい。従って、このようなリンブロック層を介挿することにより、クッション層をなすリン含有化合物半導体層からのリン成分は、リンブロック層と電極接合層との双方を通過しなければ、ITO電極層に到達することができなくなる。その結果、ITO電極層へのリン拡散が大幅に抑制され、ITO電極層の密着強度を向上させることができる。
【0039】
リンブロック層はリンを含有しない化合物半導体により構成することが、ITO電極層へのリン拡散抑制効果を高める上でより望ましい。また、リンブロック層は、具体的にはAlGaAsにて構成することが、ITO電極層に向けたリン拡散の抑制と、発光層部からの発光光束に対する吸収抑制の双方の観点において望ましい。AlGaAsは、AlAsとGaAsとの混晶であり、AlAs混晶比をbとすると、AlGa1−bAsと表され、活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるように、その混晶比bが適宜調整される(従って、活性層の材質によってbの値は異なる)。この場合、活性層のバンドギャップエネルギーよりも、AlGaAsよりなるリンブロック層のバンドギャップエネルギーは、光吸収が生じないように、最低でも0.1eV以上は大きくすることが望ましい。他方、耐湿性確保を考慮して、AlGaAsよりなるリンブロック層のAlAs混晶比bは、0.85以下の範囲で調整することが望ましい。
【0040】
また、ITO層へのリン拡散抑制効果を顕著なものとするためには、リンブロック層と電極接合層との合計厚さを20nm以上に調整することが望ましい。該合計厚さが20nm未満では、リン拡散抑制効果が顕著でなくなるので望ましくない。
【0041】
この場合、リンブロック層は、クッション層を構成するリン含有化合物半導体よりもバンドギャップエネルギーが小さく、電極接合層よりはバンドギャップエネルギーが大きい中間層とすることができる。クッション層と電極接合層とのバンド端不連続値が大きい場合は、図8に示すように、接合によるバンドの曲がりにより、形成されるヘテロ障壁の高さΔEが大きくなり、コンタクト抵抗の増大につながる。そこで、図9に示すように、上記のような中間層を挿入すると、電極接合層と中間層、及び中間層とこれに接するクッション層とのそれぞれはバンド端不連続値が小さくなるので、各々形成される障壁高さΔEも小さくなる。その結果、直列抵抗が軽減されて、低い駆動電圧にて十分に高い発光強度を達成することが可能となる。そして、該中間層をリンブロック層としても機能するものとして構成しておけば、リン含有化合物半導体層となっているクッション層部分からの、ITO電極層へのリン拡散抑制効果も同時に達成される。特に、クッション層がGaPよりなり、電極接合層がInを含有したGaAsよりなる場合、中間層を兼ねるリンブロック層として好適なものはAlGaAsである。
【0042】
次に、第二導電型クラッド層がリンを含有したリン含有化合物半導体層とされる場合、クッション層自体を、電極接合層よりもバンドギャップエネルギーが大きく、かつリンの含有率がリン含有化合物半導体層よりも低いリンブロック層として構成することも可能である。この場合、リンブロック層をなすクッション層に電極接合層が接して配置される。該構成では、クッション層自体をリンブロック層として構成することで、電極ワイヤを接合時に生ずる損傷領域の影響を活性層に及びにくくする効果と、ITO電極層へのリン拡散抑制効果とが同時に達成される。このようなリンブロック層をなすクッション層も、リンを含有しない化合物半導体にて構成することが望ましく、具体的にはAlGaAsにて構成することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態である発光素子100を示す概念図である。発光素子100は、n型GaAs単結晶基板(以下、単に「基板」ともいう)7の一方の主表面上に、n型GaAsバッファ層2を介してAlGaInPよりなる発光層部24を形成し、該発光層部24を覆うように、p型のクッション層20と、ITOよりなる酸化物透明電極層30とをこの順序で形成したものである。さらに、酸化物透明電極層30のほぼ中央部には、Au等にて構成されたボンディングパッド9が配置され、ここにAu等で構成された電極ワイヤ47が接合されている。他方、基板7の他方の主表面側には、Au−Ge−Ni合金等の金属からなる裏面電極層15が全面に形成されている。
【0044】
発光層部24は、各々(AlGa1−xIn1−yP混晶とされるとともに、第一導電型クラッド層4、第二導電型クラッド層6、及び第一導電型クラッド層4と第二導電型クラッド層6との間に位置する活性層5からなるダブルへテロ構造とされている。具体的には、ノンドープ(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55,0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層5を、p型(AlGa1−xIn1−yPクラッド層6とn型(AlGa1−xIn1−yPクラッド層4とにより挟んだ構造となっている。図1の発光素子100では、クッション層20側にp型AlGaInPクラッド層6(p型ドーパントはZn:有機金属分子からのCもp型ドーパントとして寄与しうる)が配置されており、裏面電極層15側にn型AlGaInPクラッド層4(n型ドーパントはSi)が配置されている。なお、当業者には自明のことであるが、ここでいう「ノンドープ」とは、「ドーパントの積極添加を行なわない」との意味であり、通常の製造工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1013〜1016/cm程度を上限とする)をも排除するものではない。
【0045】
p型AlGaInPクラッド層6は、p型キャリア濃度(多数キャリア濃度)は、5×1016/cm以上1×1018/cm未満、望ましくは、1×1017/cm以上7×1017/cm以下である。また、クッション層20は、本実施形態ではZnをドーパントとして添加したAlGaAs層よりなり、p型キャリア濃度は、4×1016/cm以上9×1017/cm以下、望ましくは1×1017/cm以上6×1017/cm以下の範囲内で、p型AlGaInPクラッド層6よりも小さく設定されている。該クッション層20の厚さは0.1μm以上5μm以下、望ましくは0.5μm以上3μm以下である。さらに、p型AlGaInPクラッド層6とクッション層20との合計厚さは0.6μm以上(例えばクッション層:0.1μm、クラッド層:0.5μm)10μm未満である。
【0046】
以下、図1の発光素子100の製造方法について説明する。
まず、GaAs単結晶基板7に、n型GaAsバッファ層2を、次いで発光層部24として、n型AlGaInPクラッド層4、AlGaInP活性層5、及びp型AlGaInPクラッド層6(以上図1参照)、さらにAlGaAsよりなるクッション層20をこの順序にエピタキシャル成長させ、図2(a)の状態とする。これら各層のエピタキシャル成長は、公知の有機金属気相エピタキシャル成長(Metalorganic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法により行なうことができる。Al、Ga、In、P及びAsの各成分源となる原料ガスとしては以下のようなものを使用できる;
・Al源ガス;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・Ga源ガス;トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など;
・In源ガス;トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
・P源ガス:ターシャルブチルホスフィン(TBP)、トリエチルリン(TEP)、ホスフィン(PH)など。
・As源ガス:ターシャルブチルアルシン(TBA)、アルシン(AsH)など。
【0047】
また、ドーパントガスとしては、以下のようなものを使用できる;
(p型ドーパント)
・Mg源:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)など。
・Zn源:ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)など。
(n型ドーパント)
・Si源:モノシランなどのシリコン水素化物など。
【0048】
上記各層の成長は、原料ガスの切り替えにより、同一の気相成長装置内で連続的に行なうことができる。また、各層のドーパント濃度は、原料ガスに対するドーパントガスの供給比率により、所望の値に調整することができる。
【0049】
次に、図2(b)に示すように、クッション層20を覆うように、公知の高周波スパッタリング法により、ITOよりなる酸化物透明電極層30を形成する。また、図2(c)に示すように、基板7の第二主表面に真空蒸着法により裏面電極層15を形成する。そして、図2(d)に示すように、酸化物透明電極層30上に、各発光素子チップに対応する領域毎にボンディングパッド9を配置し、適当な温度で電極定着用のベーキングを施すことにより、発光素子ウェーハ50が得られる。該発光素子ウェーハ50は、各発光素子チップ領域を分離するために図3(a)に示すようにハーフダイシングされ、さらに(b)に示すようにダイシング面の加工歪をメサエッチングにより除去した後、(c)に示すスクライビングにより発光素子チップ51に分離される。そして、(d)に示すように、裏面電極層15(図3参照)をAgペースト等の導電性ペーストを用いて支持体を兼ねた端子電極9aに固着する一方、ボンディングパッド9に電極ワイヤ47を接合(ボンディング)し、(e)に示すように樹脂モールド52を形成することにより発光素子100が得られる。
【0050】
各々Auよりなるボンディングパッド9に電極ワイヤ47を接合する場合、例えば超音波溶接(あるいはサーモソニックボンディング)が用いられる。この超音波溶接の衝撃応力は、酸化物透明電極層30を経てボンディングパッド9の直下の化合物半導体層に及び、結晶欠陥等の損傷領域DMを形成する。例えば、図5に示すように、酸化物透明電極層30の直下に発光層部24が形成されていると、その損傷領域DMが発光層部24に及び、発光輝度や素子ライフの低下など、特性不良につながる。しかし、本発明の発光素子においては、図4に示すように、クッション層20が介在しているため、損傷領域DMがクッション層20内に留まり、その影響が発光層部24に及びにくいので、その分、発光輝度が損なわれる心配がない。
【0051】
また、このクッション層20は、p型キャリア濃度が4×1016/cm以上9×1017/cm以下の範囲内で、p型AlGaInPクラッド層6よりも小さく設定されている。このため、発光通電を継続したときに、クッション層20からp型AlGaInPクラッド層6へのp型ドーパントの拡散の、電気的促進が生じにくくなり、素子ライフが向上する。
【0052】
また、図6に示すように、クッション層20は、ドーパント濃度が低いのでシート抵抗は多少大きいが、その上に導電率が非常に大きい酸化物透明電極層30が形成されているので、該酸化物透明電極層30内にて電流を十分に拡げることができる。そして、クッション層20は、p型キャリア濃度を前述の範囲に調整することで、層厚方向の導電性は十分に確保されているから、結果として発光層部への均一な通電が可能となり、発光効率を高めることができる。
【0053】
なお、図1に一点鎖線にて示すように、酸化物透明電極層30とクッション層20との間には、酸化物透明電極層30と接する形で、InGaAsやGaAs等よりなる電極接合層31を形成しておくことが、酸化物透明電極層30の接触抵抗を低減する上で望ましい。該電極接合層31は、これと接するクッション層20がAlGaAsにて構成されることも考慮し、接触抵抗を低減するために、p型ドーパント濃度が高く(例えば1×1019/cm程度)設定されている。
【0054】
また、ボンディングパッド9は発光層部24からの光の大部分を遮蔽するため、発光層部24においてボンディングパッド9の直下領域、つまり光取り出し量が少ない第一領域に通電電流が集中しないこと、むしろ、ボンディングパッド9の周囲の光取り出し量が多い第二領域に通電電流がなるべく多く分配されることが、光取出効率を高める上で望ましい。そこで、図1の実施形態では、電極接合層31は、ボンディングパッド9の直下領域をなす光取り出し量が少ない第一領域には形成されず、その周囲の光取り出し量が多い第二領域にのみ選択的に形成されている。ボンディングパッド9の直下領域において電極接合層31を作為的に非形成とすることで、この領域では酸化物透明電極層30の接触抵抗が高くなり電流が流れにくくなる。その結果、酸化物透明電極層30を介して発光層部24に通電される電流は、光取り出し量が少ない第一領域を迂回して光取り出し量が多い第二領域に優先的に分配され、光取出効率を高めることができる。
【0055】
なお、図7に示すように、第二領域に形成する電極接合層31は、形成領域と非形成領域とを混在させることができる。また、光取り出し量が多い第二領域において電極接合層31の形成領域と非形成領域とを混在させることにより、発光層部24で生じた光は電極接合層31を透過する経路と、非形成領域において電極接合層31を迂回する経路との2通りの経路にて取り出される。このうち、後者においては、電極接合層31を透過する際の光吸収を生じないので、光取出効率を向上させることができる。
【0056】
図7(a)〜(c)に示すように、電極接合層31の形成領域は、酸化物透明電極層30の接合界面において分散形成することにより、発光層部24における発光をより均一化し、かつ電極接合層31の非形成領域からより均一に光を取り出すことができる。図7(a)は電極接合層31の形成領域を散点状とした例であり、(b)は細長い帯状の電極接合層31の形成領域と非形成領域とを交互に形成した例である。さらに、(c)は、(a)とは逆に、電極接合層31の形成領域を背景として、散点状の非形成領域をこれに分散形成した例である。ここでは電極接合層31の形成領域を格子状に形成している。
【0057】
次に、図1の発光素子においては、クッション層20をAlGaAsにて構成していたが、これをGaPにて構成することもできる(ドーパント濃度の範囲は、AlGaAsにて構成したクッション層20と同じである:また、他の層は図1の発光素子と同様に構成する)。この場合、ITO電極層30の成膜時や、電極接合層31を形成するための熱処理時に、GaPよりなるクッション層20から、電極接合層31を経てITO電極層30にリンが拡散し、ITO電極層30の電極接合層31への密着強度が低下する可能性がある。この場合、特に、図2の工程(d)に示すボンディングパッド9のフォトリソグラフィーによるパターニング処理や、図3の工程(a)のハーフダイシング、さらには工程(b)のメサエッチング時に、ITO電極層30が剥離しやすくなり、不良や歩留まり低下を招きやすくなる。
【0058】
そこで、図10に示すように、GaPよりなるクッション層20と電極接合層31との間に、例えばAlGaAsよりなるリンブロック層32を介挿しておくと、クッション層20からITO電極層30へのリンの拡散を効果的に抑制することができ、また、AlGaInPよりなる発光層部からの発光光束の吸収も生じにくい。この場合、リンブロック層32はAlGaAsにて構成されることで、前述の中間層(図9参照)としての機能も果たす。なお、リンブロック層32と電極接合層31との合計厚さは、20nm以上とすることが望ましい。
【0059】
なお、図11に示すように、クッション層20がAlGaAsよりなる場合(すなわち、図1の構成である)は、AlGaAsよりなるクッション層20自体がリンブロック層として機能し、クッション層20からITO電極層30へのリンの拡散がそもそも生じず(当然、クッション層20は比較的厚いので、AlGaInPよりなるクラッド層6からのリン拡散も生じにくい)、また、クッション層20とは別にリンブロック層を設ける必要もないから、工程も簡略化できる。
【0060】
以上の実施形態では、発光層部24の各層をAlGaInP混晶にて形成していたが、該各層(p型クラッド層6、活性層5及びn型クラッド層4)をAlGaInN混晶により形成することもできる。この場合、発光層部24を成長させるための発光層成長用基板は、GaAs単結晶基板に代えて、例えばSiC基板が使用される。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
まず、各層を以下の厚さにてMOVPE法により形成した発光素子ウェーハ50を用意した。
・ITO電極層30=厚さ:0.8μm(酸化錫含有率=7質量%(残部は酸化インジウム)、高周波スパッタリングにて形成;
・InGaAs電極接合層31
厚さ:5nm(ただし、ボンディングパッド直下領域のみ形成せず)、p型ドーパントとしてのZnを、ドーパント濃度が1×1019/cm程度となるように拡散してある;
・AlGaAsクッション層20
Zn(p型ドーパント)濃度:1×1017/cm〜1×1018/cm厚さ:0μm、0.1μm、0.5μm、1.5μm、3μm、5μm、10μm;
・p型AlGaInPクラッド層6
Zn(p型ドーパント)濃度:3×1017/cm〜7×1017/cm
厚さ:0.5μm;
・AlGaInP活性層5
ノンドープ、厚さ:0.6μm(発光波長650nm);
・n型AlGaInPクラッド層4
Si(n型ドーパント)濃度:5×1017/cm、厚さ:1μm。
【0062】
上記発光素子ウェーハは、図2及び図3にて説明済みの工程により素子化した。なお、素子チップの大きさは300μm四方の正方形状である。また、ボンディングパッド9はAu製であり、寸法は直径100μmの円状である。このボンディングパッド9にAu製電極ワイヤを、周知のサーモソニックボンディング装置によりボンディングした。
【0063】
得られた各素子は、以下の各特性を周知の方法にて測定した:
・発光輝度(Iv:通電電流値を20mAとした);
・順方向電圧(V:通電電流値を20mAとした)。
また、通電電流を30mAに固定して100時間連続通電したときの、初期発光輝度と100時間通電後の発光輝度とを測定し、両者の比(%)を素子ライフとして求めた。
【0064】
表1は、p型クラッド層6の厚さを0.5μm、クッション層20の厚さを1μmとし、両者のMg(p型ドーパント)濃度を種々の組合せに設定して、それぞれ素子ライフを測定した結果を示すものである。
【0065】
【表1】
Figure 2004200184
【0066】
この結果によると、クッション層20のZn(p型ドーパント)濃度をp型クラッド層6よりも小さく設定することにより、逆に設定した場合よりも素子ライフが相対的に向上していることがわかる。
【0067】
また、表2は、p型クラッド層6のZn(p型ドーパント)濃度を5×1017/cm、厚さを0.5μmに設定する一方、クッション層20のZn(p型ドーパント)濃度を3×1017/cmに設定し、厚さを0〜10μmの種々の値に設定したときの、発光輝度Iv、順方向電圧V及び素子ライフの測定結果を示すものである。
【0068】
【表2】
Figure 2004200184
【0069】
クッション層20の厚さを0.1μm〜5μmの範囲で調整したものは、発光輝度Ivが高く順方向電圧Vも小さい。しかし、クッション層20の厚さが0.1μmより小さくなると、ボンディングパッド9へ電極ワイヤ47を接合したときの損傷が発光層部24に及び、発光輝度Iv及び素子ライフの低下を招いていることがわかる。また、クッション層20の厚さが5μmより大きくなると、直列抵抗増大により順方向電圧V が上昇していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の一実施形態を積層構造にて示す模式図。
【図2】図1の発光素子の製造工程の一例を示す説明図。
【図3】図2に続く説明図。
【図4】クッション層の第一の作用説明図。
【図5】クッション層を有さない発光素子における問題点を説明する図。
【図6】クッション層の第二の作用説明図。
【図7】電極接合層の形成パターンをいくつか例示して示す図。
【図8】中間層を形成しない場合の、電極接合層のバンド構造の例を示す模式図。
【図9】中間層を形成する場合の、電極接合層のバンド構造の例を示す模式図。
【図10】リンブロック層の第一の構成例を示す模式図。
【図11】リンブロック層の第二の構成例を示す模式図。
【符号の説明】
4 n型クラッド層(第一導電型クラッド層)
5 活性層
6 p型クラッド層(第二導電型クラッド層)
9 ボンディングパッド
24 発光層部
20 クッション層(リンブロック層)
30 酸化物透明電極層
31 電極接合層
32 中間層(リンブロック層)
100 発光素子

Claims (15)

  1. 第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有する化合物半導体よりなる発光層部を有し、前記第二導電型クラッド層の主表面を覆う酸化物透明電極層を介して前記発光層部に発光駆動電圧を印加するようにした発光素子において、
    前記酸化物透明電極層上に金属製のボンディングパッドが配置され、該ボンディングパッドに通電用の電極ワイヤが接合されてなり、
    また、前記第二導電型クラッド層と前記酸化物透明電極層との間には、前記第二導電型クラッド層よりもドーパント濃度が低い化合物半導体層により構成されたクッション層が配置されたことを特徴とする発光素子。
  2. 前記クッション層の厚さが0.1μm以上5μm以下とされたことを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  3. 前記クッション層と前記第二導電型クラッド層との合計厚さが0.6μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記クッション層と前記酸化物透明電極層との間に、前記酸化物透明電極層の接合抵抗を減ずるための電極接合層が、該酸化物透明電極層に接するように配置され、
    前記電極接合層は、前記ボンディングパッドの直下領域からなる第一領域において周囲の第二領域よりも形成面積率が小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光素子。
  5. 前記第一領域に前記電極接合層が形成されていないことを特徴とする請求項4記載の発光素子。
  6. 前記酸化物透明電極層はITO電極層であり、前記クッション層と前記ITO電極層との間に、前記ITO電極層の接合抵抗を減ずるための電極接合層が、該ITO電極層に接するように配置され、
    前記クッション層がリンを含有したリン含有化合物半導体層とされ、
    該クッション層と前記電極接合層との間に、前記電極接合層よりもバンドギャップエネルギーが大きく、かつリンの含有率が前記リン含有化合物半導体層よりも低いリンブロック層が形成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記リンブロック層がリンを含有しない化合物半導体よりなることを特徴とする請求項6記載の発光素子。
  8. 前記リンブロック層がAlGaAsよりなることを特徴とする請求項7記載の発光素子。
  9. 前記リンブロック層は、前記クッション層を構成するリン含有化合物半導体よりもバンドギャップエネルギーが小さく、前記電極接合層よりはバンドギャップエネルギーが大きい中間層であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の発光素子。
  10. 前記クッション層がGaPよりなり、前記リンブロック層がAlGaAsよりなり、前記電極接合層が、Inを含有したGaAsよりなることを特徴とする請求項9記載の発光素子。
  11. 前記酸化物透明電極層はITO電極層であり、前記クッション層と前記ITO電極層との間に、前記ITO電極層の接合抵抗を減ずるための電極接合層が、該ITO電極層に接するように配置され、
    前記第二導電型クラッド層がリンを含有したリン含有化合物半導体層とされ、
    前記クッション層が、前記電極接合層よりもバンドギャップエネルギーが大きく、かつリンの含有率が前記リン含有化合物半導体層よりも低いリンブロック層とされたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光素子。
  12. 前記リンブロック層をなす前記クッション層がリンを含有しない化合物半導体よりなることを特徴とする請求項11記載の発光素子。
  13. 前記リンブロック層をなす前記クッション層がAlGaAsよりなることを特徴とする請求項12記載の発光素子。
  14. 第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有する化合物半導体よりなる発光層部を有し、前記第二導電型クラッド層の主表面を覆う酸化物透明電極層を介して前記発光層部に発光駆動電圧を印加するようにした発光素子の製造方法において、
    前記発光層部の前記第二導電型クラッド層上に、該第二導電型クラッド層よりもドーパント濃度が低い化合物半導体層により構成されたクッション層を形成する工程と、
    そのクッション層を覆うように酸化物透明電極層を形成する工程と、
    該酸化物透明電極層上に金属製のボンディングパッドを形成する工程と、
    該ボンディングパッドに通電用の電極ワイヤを接合する工程と、
    をこの順序にて行なうことを特徴とする発光素子の製造方法。
  15. 前記クッション層を0.1μm以上5μm以下の厚さにて形成することを特徴とする請求項14記載の発光素子の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006128631A (ja) * 2004-10-29 2006-05-18 Samsung Electro Mech Co Ltd 多層電極及びこれを備える化合物半導体の発光素子

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