JP2004198980A - 定着装置、伝熱部材及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱手段たる熱源からの熱を確実且つ有効に利用する定着装置、これを実現するための伝熱部材及びかかる定着装置を有する画像形成装置の提供。
【解決手段】定着ベルト8の内側に設けられ、加熱ローラ2に対向した部分31と、定着ベルト8の内面に対向した部分32とを有し、加熱ローラ2からの熱を部分31及び部分32を経て定着ベルト8に伝えるための伝熱部材を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】定着ベルト8の内側に設けられ、加熱ローラ2に対向した部分31と、定着ベルト8の内面に対向した部分32とを有し、加熱ローラ2からの熱を部分31及び部分32を経て定着ベルト8に伝えるための伝熱部材を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられ無端ベルトを有するベルト定着装置、このベルト定着装置に備えられ加熱ローラによる加熱の効率を向上するための伝熱部材及びかかる定着装置を備えたかかる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置は一般に、被定着画像としてのトナー像を形成されたシート状の記録媒体に、トナー像を定着するための定着装置を有している。定着装置としては、図12に示すように、内部に加熱手段である熱源としてのヒータ211を有し図示しない駆動手段により回転駆動される加熱ロールとしての加熱ローラ202と、加熱ローラ202に圧接され加熱ローラ202に従動回転する加圧ロールとしての加圧ローラ203とを有し、加熱ローラ202と加圧ローラ203とによって形成されるニップ部204に、記録媒体たる記録紙205を加熱ローラ202と加圧ローラ203との回転により通過させ、加熱すると同時に加圧して搬送することで未定着トナーからなるトナー像206を定着するロール対向式、ローラ対向式、熱ローラ対タイプなどといわれる定着装置207が知られている。
【0003】
また、定着装置としては、図13に示すように、上述のロール対向式の定着装置207に、記録紙205を搬送するための無端の定着ベルト208と、この定着ベルト208を巻き掛けられ定着ベルト208にテンションを与える定着ロールとしての定着ローラ209と、加圧ローラ203の内部に備えられた熱源としてのヒータ212とを加えたごとき構成であって、定着ベルト208を定着ローラ209とともに加熱ローラ202に巻き掛け、図示しない駆動手段により回転駆動される定着ローラ209を駆動ローラとし、定着ベルト208及び加熱ローラ202を定着ローラ209に従動回転させ、また定着ベルト208を介して定着ローラ209に対向して配置された加圧ローラ203を従動回転させることで、定着ベルト208と加圧ローラ203とによって形成されるニップ部204に、記録紙205を通過させ、上述した定着装置207と同様に加熱すると同時に加圧して搬送することでトナー像206を定着するベルト式、ベルト定着装置などといわれる定着装置210が知られている。
【0004】
定着装置にあってはこの2つのタイプが主流であって、大半の定着装置では、前者のロール対向式の定着装置207が採用されているが、最近の環境、特にデジタル化に伴う画質の鮮明、カラー化での配色再現への対応から、後者のベルト式の定着装置210が普及しつつある。両者の定着装置207、210にはそれぞれ次のような長所と問題がある。
【0005】
ロール対向式の定着装置207は、図12に示したように加熱ローラ202が金属製のパイプ形状をなしており、一般に棒状ハロゲンヒータ211である加熱手段たる熱源の熱を加熱ローラ202の本体である金属部分に伝えた後、即座に記録紙205と記録紙205上の未定着トナー206を加熱でき、昇温時間が比較的短いことと構成がシンプルであることを長所とし、記録紙205に圧力を加える幅であるニップ204の幅すなわちニップ幅がローラ径によって左右され、図14(a)に示すように加熱ローラ202等の径すなわちローラ径が大きい場合、そのニップ幅d1は、図14(b)に示すローラ径が小さい場合のニップ幅d2よりも大きく、定着に要する加熱や加圧を十分に行うことができるものの、昇温時間とコンパクト化を考慮した場合は、ローラ径を小さくせざるを得ず、大きなニップ幅が取れないため、ローラ径を小さくすることは、ニップ幅が大きく加圧時間が長いほうが画像形成に有利であることに反するという問題がある。
【0006】
他方、ベルト式の定着装置210は、図15に示すように定着ベルト208の加圧ローラ203への巻き掛け量xを変化させることが、加圧ローラ203の配置を変えることで定着ベルト208の加圧ローラ203への巻き付け角θを変化させること等によって可能であり、大きなニップ幅を設定できるから、4色のトナーを溶融し混色するカラー画像形成装置に適しているという長所を有し、図13、15に示すように定着ベルト208及び定着ローラ209を有する分、熱容量が大きく、昇温時間が比較的長くなるという問題や、構成が複雑でコストが大幅に上昇するという問題がある。
【0007】
これら両タイプの問題に鑑み、ニップ幅が大きく、且つ昇温時間が短い定着装置の提供を目指し様々な改良が行われている。例えば、ローラ対向式の定着装置207においては、図16に示すように、ニップ幅の拡大を狙って、図16(a)に示すように加圧ローラ203の表面に加工を施さないのではなく、図16(b)に示すように加圧ローラ203の表面にシリコンゴムの層213を設けた弾性ローラとすることが行われ、これにより図16に示すようにニップ幅d3をニップ幅d4に拡大している。
【0008】
また、ベルト式の定着装置210においては、昇温時間の短縮を狙って、図17に示すように、定着ベルト208を表面から加熱する外部熱源としてヒータ214を内蔵したローラ215の追加を行うことが行われている。さらに、ローラ対向式の定着装置207においては図18および図19に示すように、また、ベルト式の定着装置210においては図20に示すように、電磁誘導等を用いる熱源を改良することが行われている。
【0009】
図18、図19において符号216は定着スリーブたる加熱ローラ202の内部に備えられたコイルを示しており、図示しない電源によりコイル216に交流電流が印加されることで生じた磁力線217により加熱ローラ202が発熱するIH方式による加熱を示している。図20において、符号218はIHコイルを示しており、図示しない電源によりIHコイル218に交流電流が印加されることでIHコイル218に対向配設された補助ローラ219と加圧ローラ203に対向配設された断熱ローラ220とに巻き掛けられた定着ベルト208が発熱し定着を行うBELT−IH定着技術を示している。しかし、ヒータの追加、電磁誘導の利用等何れの改良を行う場合においても、コストアップが避けられず、装置が次第に高額になってきている。
【0010】
また、モノクロの画像形成装置に備える場合及び昇温速度を優先する場合にはローラ対向式の定着装置207が適し、カラー画像形成装置に備える場合及び画像を優先する場合にはベルト式の定着装置210が適しているという考えが一般であるが、特に上級のカラー画像形成に備える定着装置にあってはベルト式であることが不可欠となっており、コストの低減が進めばベルト式の定着装置210が主流となると考えられる。
【0011】
何れのタイプの定着装置においても、通常、加熱ローラ202を有し、既に周知であるように、金属部分の薄肉化によって単体での昇温速度の向上を図っているが、加熱ローラ202の側面はハロゲンヒータ211を挿入するために大きく開放され、図21において矢印で熱の放出を示すように両端の熱損失が大きく、したがって両端部202aが中央部202bよりも低めの温度分布を示す。また、ハロゲンヒータ211の加熱ローラ202への熱伝達の効率を100%とすることは困難であるという現状は加熱ローラ202の昇温の阻害要因の一つとなっている。
【0012】
加熱ローラ202の両端部202aでの温度低下は、定着の品質にも影響し、両端部202aの温度が極端に低い場合には、異常画像であるコールドオフセットが生じること、及び、その一方で両端部202aの温度を上げるべく規定温度よりも高い温度で定着を行うと中央部202bでホットオフセットが生じることが知られている。
【0013】
このコールドオフセット、ホットオフセットの問題を解決するためにハロゲンヒータ211の発光分布を、その両端部において発熱量が多くなるように調整することが提案されているが、これでは分布の平準化とともに昇温を犠牲にする問題が生じる。また出力すなわちワット数の上昇またはハロゲンヒータ211の本数の追加等の更なる対応が必要であり、環境に対する負荷を低減しようとする現今の潮流に逆行することにもなる。加熱ローラ202の両端部202aでの温度低下を防止するために、上述した電磁誘導、その他セラミックヒータ等の熱源を採用すればかかる問題は抑制されるといわれるが、これらの熱源はハロゲンヒータ211に比べて高額であること、小サイズの転写紙205を通紙すると加熱ローラ202の両端の非通紙部の温度が上がり過ぎることなどの問題が生じる。このように、熱源の改良に関しては一長一短がある。
【0014】
このような状況のもと、高画質の画像形成への意識が高まる中、安価で昇温時間の短いベルト式の定着装置が待ち望まれている。また熱源としては安価なハロゲンヒータ211等の採用が望ましい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上述した従来の技術におけるベルト式の定着装置210に関する現状の課題を整理すると次の通りである。
第1の課題は、定着ベルト208への熱伝達の効率に改良の余地があるという点である。昇温の際、定着ベルト208は回転せず停止した状態が好ましいとされるが、この状態においては、図22において矢印で示すように加熱ローラ202の定着ベルト208への非接触部分からの放熱により、この非接触部分が熱伝達すなわち定着ベルト208の昇温に寄与しておらず、加熱ローラ202の熱が定着ベルト208に完全には伝達されていない。
【0016】
これは定着ベルト208を加熱ローラ202に巻き掛けているという構造上、妥協せざるを得ない部分である。加圧ローラ203においても、加熱ローラ202にハロゲンヒータ211を挿入して加熱すると同様、ハロゲンヒータ212を挿入して加熱しても、図23に示すように、定着ベルト208との接触部分が加圧ローラ203外周全体に占める割合は極めて小さく、定着ベルト208の昇温に寄与しているとはいい難い。
【0017】
第2の課題は、加熱ローラ202、加圧ローラ203の両者共に、両端部における熱損失が大きい構造、すなわちハロゲンヒータ211、212を挿入するために図21に示したように両端部211a、212aが大きく開放され、熱損失が大きい構造となっているため、中央部211b、212bに対して両端部211a、212aが低めの温度分布を示すことである。
【0018】
このように両端部211a、212aが中央部211b、212bに対して低い温度であると、図24に示すように記録紙205の両端部分205aがコールドオフセットにより異常画像となり、一方、ハロゲンヒータ211、212の加熱によって図24において図示を省略した定着ベルト208の両端部の温度が十分上昇するのを待つと、昇温時間が長くかかってしまい、またこれに加えて定着ベルト208の中央部の温度が規定温度を超え、記録紙205の中央部分205bにおいてホットオフセットによる異常画像となる。
【0019】
このような不具合を避けるためにハロゲンヒータ211、212の発光分布の調整を行うこと、加熱ローラ202、加圧ローラ203の肉厚を、両端部が薄くなるように、長さ方向において変化させること、図20に示したように電磁誘導加熱に切り替えること等が考えられるが、何れもコストアップを生じてしまう。
【0020】
第3の課題は、図13に示すように、加熱ローラ202と加圧ローラ203とに設けられた棒状ハロゲンヒータ211、212の熱が、それぞれのローラ202、203の表面を介して定着ベルト208を加熱させる構成においては、加熱ローラ202から定着ベルト208に伝わった熱が、定着ベルト208の回転時に、図25において矢印で示すようにテンションローラでもある定着ローラ209に奪われ、昇温を阻害する要因となっていることである。定着ローラ209への熱の流出及び定着ローラ209自体の断熱効果を狙って、定着ローラ209に熱容量の大きな耐熱発泡体を採用することで、かかる昇温の阻害は軽減されるが、熱損失を完全に防止することは困難である。
【0021】
第4の課題は、上述したように熱源たるハロゲンヒータ211、212を挿入する加熱ローラ202、加圧ローラ203それぞれの表面熱伝達性が、加熱ローラ202、加圧ローラ203に使用した材料の熱伝達率と比熱とで決定されるため、加熱ローラ202、加圧ローラ203の材料に、熱伝達率が高く、比較的量産性、加工性に優れるアルミ系のものが用いられることが大半を占める現状において、定着ベルト208に対する耐磨耗性を考慮し、加熱ローラ202、加圧ローラ203の表面にフッ素系樹脂よりなるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のコーティング皮膜を行うことが行われているが、これら材料、表面処理が熱伝達性の改良には至っていないことである。よってアルミ系の材料よりも熱伝達率が高く、比熱が小さい材料を用い表面処理が施された加熱ローラ、加圧ローラが望まれているところである。
【0022】
本発明は、加熱手段たる熱源からの熱を確実且つ有効に利用する定着装置、これを実現するための伝熱部材及びかかる定着装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、トナーを定着される記録媒体を搬送するための無端の定着ベルトと、上記定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラと、上記定着ベルトを介して上記定着ローラに対向して配置され上記定着ローラと対向する領域で同定着ベルトに当接する加圧ローラとを有する定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分と、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの下流側かつ上記定着ローラの上流側の部分に対向した第2の部分とを有し、上記加熱ローラからの熱を第1の部分及び第2の部分を経て上記定着ベルトに伝えるための伝熱部材を有することを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの上流側かつ上記定着ローラの下流側の部分に対向した第3の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、第1の部分及び第3の部分を経て上記定着ベルトに伝えることを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記定着ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、少なくとも第1の部分と第4の部分とを経て上記定着ローラに伝えることを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラ周面に接触していることを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラ周面に非接触であることを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度以上のときには非接触であることを特徴とする。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の定着装置において、上記伝熱部材の少なくとも一部がバイメタルであって、同伝熱部材の温度に応じた変形により、第1の部分が、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触であることを特徴とする。
【0030】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の定着装置において、上記伝熱部材を駆動する駆動手段を有し、この駆動手段が、第1の部分を、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触させ、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触とするように駆動することを特徴とする。
【0031】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の定着装置において、第2の部分が上記定着ベルトの内面に当接していることを特徴とする。
【0032】
請求項10記載の発明は、請求項2ないし9の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第3の部分を有する定着装置において、第3の部分が上記定着ベルトの内面に当接していることを特徴とする。
【0033】
請求項11記載の発明は、請求項3ないし10の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第4の部分を有する定着装置において、第4の部分が上記定着ローラ周面に当接していることを特徴とする。
【0034】
請求項12記載の発明は、請求項3ないし11の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第1の部分と第2の部分と第3の部分と第4の部分とを有する定着装置において、上記伝熱部材が、ローラ状をなしていることを特徴とする。
【0035】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の定着装置であって、第1の部分、第2の部分、第3の部分、第4の部分のうちの少なくとも1つの部分が、当該部分が対向する部材に接触する定着装置において、上記伝熱部材は、当該部分が接触した当該部材に従動回転することを特徴とする。
【0036】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することを特徴とする。
【0037】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし13の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する定着装置において、上記伝熱部材は、当該非接触の部分が当該部分の対向する非接触の部材に熱伝達を行うように、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することを特徴とする。
【0038】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、他の部材に対向する面側に、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を有することを特徴とする。
【0039】
請求項17記載の発明は、請求項1ないし16の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記加熱ローラの軸方向における中央部の材料及び/または面処理及び/または一体化された部材と両端部のそれとが異なり、上記中央部の熱伝導率が、上記両端部の熱伝導率よりも高いことを特徴とする。
【0040】
請求項18記載の発明は、請求項1ないし17の何れか1つに記載の定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加圧ローラが上記定着ベルトに当接する領域を、上記定着ローラと上記加圧ローラとが対向した領域よりも上記定着ベルトの回転方向の上流側に広げるように上記定着ベルトに当接しているとともに、上記伝熱部材と係合して同伝熱部材の熱を上記定着ベルトに伝える当接部材を有することを特徴とする。
【0041】
請求項19記載の発明は、請求項1ないし18の何れか1つに記載の定着装置において、上記加熱ローラは、その表面温度の昇温を促進するため及び/または上記伝熱部材への熱伝達性を向上するため表面処理が施されていることを特徴とする。
【0042】
請求項20記載の発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置に備えられた伝熱部材にある。
【0043】
請求項21記載の発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置を有する画像形成装置にある。
【0044】
【実施例】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ等周知のものであれば何れでもよいが、本実施例における画像形成装置はプリンタである。本実施例の画像形成装置はカラーの画像を形成するものである。
【0045】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙と、OHPシートや、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100g/m2相当以上の厚紙や、封筒等の、普通紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シートとの何れをもシート状の記録媒体として画像形成するものに用いることが可能である。記録媒体の大きさは、A4サイズやA3サイズ等の一般的な規格をなす大きさが一般的であるが、規格外の大きさであっても良い。
【0046】
画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であって、矢印A方向に回転駆動される円筒状に形成された回転体であり像担持体としての有機半導体(OPC)を用いた感光体ドラム(以下、「感光体」という。)101と、感光体101を帯電する図示しない帯電装置と、帯電後の感光体101に潜像を形成するレーザー光を発して光走査を行う図示しない露光装置と、露光後の感光体101上の潜像を現像する図示しない現像装置とを有している。
【0047】
画像形成装置100はまた、感光体101に対向して配置され現像装置による現像によって得られた感光体101上のトナー像を記録媒体としての記録紙に転写する転写手段としての転写ローラ111を有する転写装置105と、転写後の感光体101上をクリーニングする図示しないクリーニング装置と、帯電装置で帯電を行う前に感光体101の除電を行う除電装置と、記録紙を積載している給紙トレイ102とを有している。
【0048】
画像形成装置100はまた、給紙トレイ102に積載した記録紙を感光体101と転写装置105との対向領域であり感光体101と転写ローラ111とが当接する部位である転写領域107に向けて所定のタイミングで搬送するレジストローラ109と、転写装置105により感光体101上のトナー像を転写された記録紙に、かかるトナー像の定着を行う定着手段としての定着装置108と、画像形成装置100本体外に位置し定着後の記録紙を積載する排紙トレイ103とを有している。
【0049】
画像形成装置100はタンデム型の画像形成装置であるから、感光体101、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置105、クリーニング装置及び除電装置によって構成される作像系はそれぞれ、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色毎に、図1中破線で示す記録紙の搬送経路110に沿って設けられているが、図1においてはその1つのみを代表して図示している。
【0050】
感光体101、転写ローラ111はそれぞれ、モータ112、モータ113によりA方向、B方向に回転駆動される。B方向は感光体101との対向位置においてA方向と同じ方向に移動する方向である。記録紙はこのように回転する感光体101、転写ローラ111によって形成される転写領域107にて感光体101上のトナー像を転写され、担持するようになっている。
【0051】
図2または図3に示すように、定着装置108は、トナー像を構成するトナーを定着される記録紙を搬送するための無端ベルトである無端の定着ベルト8と、この定着ベルト8を巻き掛けられた加熱ローラ2及び定着ローラ9と、定着ベルト8を介して定着ローラ9に対向して配置され定着ローラ9と対向する領域で定着ベルト8に当接する加圧ローラ3と、加熱ローラ2、加圧ローラ3及び定着ローラ9の両端を支持した基準側板50と、各規準側板50を連結したステー51と、定着ベルト8の内側に設けられた伝熱部材としての伝熱板1とを有している。なお、図示の都合上、図2において定着ベルト8はその輪郭のみを一点鎖線で示している(図10、図11において同じ)。
【0052】
加熱ローラ2、加圧ローラ3はそれぞれ、熱源としての加熱手段であって棒状ハロゲンヒータであるヒータ11、12を挿通されている。定着ローラ9は図示しない駆動手段により回転駆動され定着ベルト8を回転駆動する駆動ローラであるとともに、図示しない付勢手段により付勢され定着ベルト8に定着に適した所定のテンションを与えるテンションローラでもある。
【0053】
加圧ローラ3は図示しない付勢手段により定着ローラ9に向けて付勢されており、これにより定着ベルト8に圧接し、定着ベルト8との間にニップ部4を形成している。定着ベルト8は図3において矢印Cで示す時計回り方向に回転し、加圧ローラ3は定着ベルト8に従動回転することで、ニップ部4において矢印Dで示す定着ベルト8と同方向に回転する。定着装置108は、ニップ部4に、定着ベルト8とこれに従動回転する加圧ローラ3との回転により記録紙を通過させ、加熱すると同時に加圧して搬送することでトナーを記録紙に定着する、いわゆるベルト式の定着装置である。
【0054】
図3または図4に示すように、伝熱板1は、加熱ローラ2周面の定着ベルト8を巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分31と、第1の部分31に対して屈曲しており、定着ベルト8の内面の加熱ローラ2または定着ローラ9に巻き掛けられた部分以外の部分であってC方向における加熱ローラ2の下流側かつ定着ローラ9の上流側の部分に対向した第2の部分32とを有し、加熱ローラ2からの熱を第1の部分31及び第2の部分32を経て定着ベルト8に伝えるものである。
【0055】
伝熱板1は、第2の部分32に一体のステー41を有している。ステー41は、図3における紙面に垂直な方向である加熱ローラ2の軸方向における、第2の部分32の両端部に設けられており、それぞれその先端部42が垂直に屈曲され、先端部42には孔43が形成されている。それぞれの孔43は、各規準側板50に形成された孔53と連通した状態で、それぞれ図示しないねじによりねじ止めされ、伝熱板1が定着装置108における所定の位置で位置決めされ固定されるようになっている。
【0056】
第1の部分31は加熱ローラ2周面に非接触であり、第2の部分32は定着ベルト8内面に非接触である。すなわち、第1の部分31および第2の部分32の何れも、それぞれが対向する部材に非接触であるが、第1の部分31も、第2の部分32も、その部分が対向している非接触の部材、すなわち第1の部分31にあっては加熱ローラ2、第2の部分32にあっては定着ベルト8に熱伝達を行うように、熱伝導性、吸熱性・放熱性の高い材料により構成されているとともに、熱伝導性、吸熱性・放熱性の高い面処理を施されている。
【0057】
具体的には、第1の部分31および第2の部分32は基体が銅であり基体の表面にニッケルのメッキが施されている。これにより第1の部分31はこれが対向している加熱ローラ2の周面部分から放熱される熱を受ける吸熱による熱伝達を良好に行い、受けた熱が第2の部分32に良好に伝えられ、第2の部分32はこれが対向している定着ベルト8の内面に熱を伝える放熱による熱伝達を良好に行うようになっている。
【0058】
第1の部分31、第2の部分32の材料、面処理は上述のものに限らず熱伝導性、吸熱性・放熱性の良いものであればよく、熱伝導性、吸熱性・放熱性の高い部材と一体化して第1の部分31、第2の部分32を構成しても良い。例えば、第1の部分31にあっては吸熱性が高い銅合金を面処理して形成しても良い。また、これら材料、面処理、部材の具備は、熱伝導性、吸熱性・放熱性が高い条件を満たせば、少なくとも1つ選択されれば良く、その組み合わせも自由である。
【0059】
一方、ステー41は、熱を基準側板50への熱の流出を防止すべく、熱伝導性の低い材料であるステンレスを基材とし、この基材の表面に熱伝導性、吸熱性・放熱性の低い面処理が行われ例えばポリイミド等の耐熱樹脂等がかかる基材の表面に形成されている。ステー41と伝熱板1本体すなわち第2の部分32とは溶接により一体化されている。
【0060】
ステー41の材料、面処理は上述のものに限らず熱伝導性、吸熱性・放熱性の低いものであればよく、熱伝導性、吸熱性・放熱性の低い部材と一体化してステー41を構成しても良い。また、これら材料、面処理、部材の具備は、熱伝導性、吸熱性・放熱性が低い条件を満たせば、少なくとも1つ選択されれば良く、その組み合わせも自由である。
【0061】
第1の部分31、第2の部分32の何れか一方、または双方を対向する部材すなわち第1の部分31にあっては加熱ローラ2、第2の部分32にあっては定着ベルト8に接触させても良く、接触させた場合には非接触の場合に比して熱伝達が良好に行われる。よって接触させた当該部分については材料、面処理、部材の具備について熱伝達性、吸熱性・放熱性の高いものを選択する条件は非接触の場合に比して緩やかにすることもできるが、上述のように熱伝達性、吸熱性・放熱性の高いものとすることが望ましい。
【0062】
図5に示すように、伝熱板1は、第1の部分31に対して屈曲しており、定着ベルト8の内面の加熱ローラ2または定着ローラ9に巻き掛けられた部分以外の部分であってC方向における加熱ローラ2の上流側かつ定着ローラ9の下流側の部分に対向した第3の部分33を有していても良い。この場合、加熱ローラ2からの熱を、第1の部分31及び第2の部分32を経て定着ベルト8に伝えるのみならず第1の部分31及び第3の部分33を経て定着ベルト8に伝える。第3の部分33は第2の部分32に代えて設けても良いが、ニップ部4にて定着を行うことを考慮すれば、ニップ部4の昇温を良好にすることが好ましいため、図5に示すように第2の部分32とともに設けることが望ましい。
【0063】
図6に示すように、伝熱板1は、第2の部分32に対して屈曲しており、定着ローラ9周面の定着ベルト8を巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分34を有していてもよい。この場合、加熱ローラ2からの熱を、少なくとも第1の部分31と第4の部分34を経て定着ベルト8に伝える。
【0064】
第4の部分は第2の部分32に代えて設け、第1の部分31と第4の部分34とを連結する連結部材により連結し、この連結部材にて第1の部分31の熱を第4の部分に伝達するようにしても良いし、また、第4の部分は第3の部分33を有する伝熱板1に加えるようにして第2の部分32に代えて設け、第3の部分33にて第1の部分31の熱を第4の部分に伝達するようにしても良いが、ニップ部4にて定着を行うことを考慮すれば、ニップ部4の昇温を良好にすることが好ましいため、図6に示すように第2の部分32とともに設けるか、または第2の部分32及び第3の部分33とともに設けることが望ましい。
【0065】
第4の部分34を第2の部分32及び第3の部分33とともに設ける場合には、第4の部分34は両部分32、33と連結している形状でも良いし、何れか一方と連結している形状でも良い。このように第4の部分34を有している形態においては、定着ローラ9の余熱を行い、定着ローラ9の回転開始時における、定着ローラ9の吸熱による定着ベルト8の急激な温度低下が防止される。
【0066】
第3の部分33、第4の部分34の材料、面処理、熱伝導性の高い部材の具備は第1の部分31、第2の部分32の部分の場合と同様に、第3の部分33が対向する部材である定着ベルト8への接触、非接触、第4の部分34が対向する部材である定着ローラ9への接触、非接触等に応じて適宜選択できる。なおかかる接触、非接触は第1の部分31ないし第4の部分34のそれぞれの部分ごとに選択できるものである。
【0067】
図5、図6において伝熱板1は破線で示しており、実線で示す部材44は、加熱ローラ2周面の定着ベルト8を巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を示している。断熱部材44は、伝熱板1の、他の部材に対向する面側、すなわち第1の部分31にあっては加熱ローラ2に対向する面側、第2の部分32及び第3の部分33にあっては定着ベルト8に対向する面側、第4の部分34にあっては定着ローラ9に対向する面側に一体化されている。
【0068】
断熱部材44はロックウールであるが他の断熱性を有する部材であっても良い。このように、他の部材に対向する面の表面に断熱層を設けることで、伝熱作用以外に、当該対向する部材の保温性を向上する作用を持たせることができる。断熱部材44は、伝熱板1が、第3の部分33や第4の部分を有する場合のみならず、図3に示すように第1の部分と第2の部分とからなる場合にも設けることができる。
【0069】
伝熱板1は、第1の部分31が、加熱ローラ2の温度が定着に適した所定温度より低いときには加熱ローラ2周面及び定着ベルト8内面に接触し、かかる所定温度以上であるときには非接触となるように構成することができる。その構成としては図7に示すように、伝熱板1をバイメタルで構成するものがあり、これにより、伝熱板1の温度に応じた変形により、第1の部分31が、加熱ローラ2の温度が定着に適した所定温度より低いときには図7(a)に示すように加熱ローラ2周面及び定着ベルト8に接触し、かかる所定温度以上であるときには図7(b)に示すように非接触となるように構成することができる。
【0070】
またこれにより、定着装置108における定着に適した設定温度に昇温後、加熱ローラ2及び定着ベルト8の回転駆動時等においては伝熱板1が変形することで加熱ローラ2及び定着ベルト8から離間し、加熱ローラ2及び定着ベルト8の回転を妨げることがなく、加熱ローラ2及び定着ベルト8の磨耗が防止される。伝熱板1の接離は、加熱ローラ2、定着ベルト8の何れか一方のみに対して行うものであっても良い。
【0071】
また第3の部分33を有する場合にはこれを定着ベルト8に対して接離させることが可能であり、第4の部分34を有する場合には定着ローラ9に対して接離させることが可能である。第4の部分34を定着ローラ9に対して接離させれば、定着ローラ9の昇温を速やかに行なうことができるとともに、定着ローラ9の磨耗を防止することができる。
【0072】
バイメタルは、熱膨張すなわち線膨張係数の違いを利用しかかる変形を行うことができれば伝熱板1の少なくとも一部に用いられていれば良く、また、その材質はバイメタルとして周知のもので良い。バイメタルを一部に用いる場合は第1の部分31と第2の部分32との接合部に設けることができる。また全体にわたってバイメタルを用いる場合でも、バイメタル以外の部分に上述した材料等を用いた層状の構成とすることもできる。上述の断熱部材44を一体化することも可能である。
【0073】
伝熱板1を加熱ローラ2、定着ベルト8に接離させる構成としては、図示を省略するが、伝熱板1を駆動する駆動手段としてのソレノイドを用いた構成など機械的構成を用いても良い。ソレノイドを用いる場合には、たとえば、定着装置108に備えられた図示しないサーミスタにより検知した温度が定着に適した設定温度以上であるときに、ソレノイドに通電して伝熱板1を変位させ、それまで加熱ローラ2及び定着ベルト8伝熱板1を加熱ローラ2及び定着ベルト8から離間し非接触とするよう制御することができる。
【0074】
このように、駆動手段を用いても、加熱ローラ2、定着ベルト8の回転を妨げることがなく、加熱ローラ2、定着ベルト8の磨耗が防止される。伝熱板1の接離は、加熱ローラ2、定着ベルト8の何れか一方のみに対して行うものであっても良い。また第4の部分34を有する場合には定着ローラ9に対しても接離させることが可能である。第4の部分34を定着ローラ9に対して接離させれば、定着ローラ9の昇温を速やかに行なうことができるとともに、定着ローラ9の磨耗を防止することができる。また、各部分ごとに駆動手段を設け、変位させることも可能である。
【0075】
図8に示すように、伝熱板1は、加熱ローラ2の両端部2aの温度の落ち込みすなわち加熱ローラ2の両端部2aの温度が中央部2bの温度に比して低くなる温度分布を抑制するために、その両端部1aの材料及び面処理と、中央部1bの材料及び面処理とを異ならせ、中央部1bの熱伝導率を、両端部1aの熱伝導率よりも高くした、コンポジット構造とし、加熱ローラ2の中央部2b、定着ベルト8の中央部の熱が加熱ローラ2の両端部2a、定着ベルト8の両端部に均等に伝達されるようにすることができる。図8において定着ベルト8の図示は省略している。
【0076】
具体的には、たとえば中央部1bの材料をステンレスとし、耐熱樹脂による面処理を行うことができる。このような熱伝達率の調整は、材質のみを異ならせること、面処理のみを異ならせること、面処理を両端部1a、中央部1bの何れか一方のみに行うこと等により行うことができる。またかかる調整は他の部材を両端部1a、中央部1bの何れか一方のみに一体化すること、熱伝導率の低い部材を両端部1aに一体化し、熱伝導率の高い部材を中央部1bに一体化すること等によって行うこともできる。
【0077】
図8は伝熱板1が第1の部分31、第2の部分32のみを有する場合について示したが、上述の第3の部分33、第4の部分34等を有している場合にも適用できるし、各部分の、対向する部材への接触・非接触または接離、断熱部材の有無等の組み合わせは適宜行うことができる。
【0078】
図9に示すように、定着装置108は、ニップ幅拡大のために、定着ベルト8の内側に設けられ、定着ベルト8の走行方向Cにおける加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の部分に、定着ベルト8の内側から加圧ローラ3に向けて当接した当接手段としてのバックアップロールたるバックアップローラ54を有している場合がある。バックアップローラ54は基準側板50により両端を回転自在に支持され、定着ベルト8に従動回転する。
【0079】
バックアップローラ54は、加圧ローラ3が定着ベルト8に当接する領域であるニップ部4を、定着ローラ9と加圧ローラ3とが対向した領域よりも方向Cの上流側に広げるように定着ベルト8に当接しているものである。このような定着装置108においては、図9に示すように、伝熱板1をバックアップローラ54に係合させ伝熱板1の熱をバックアップローラ54を経て定着ベルト8に伝えるようにすることができる。これにより、伝熱板1をバックアップローラ54に連結することでバックアップローラ54の余熱を行い、定着ベルト8の回転時においてバックアップローラ54が定着ベルト8の熱を奪うことによる温度低下を防止することができる。
【0080】
図9は伝熱板1が第1の部分31、第2の部分32のみを有する場合について示したが、上述の第3の部分33、第4の部分34等を有している場合にも適用できるし、各部分の、材料、面処理、部材の一体化、対向する部材への接触・非接触または接離、断熱部材の有無等の組み合わせは適宜行うことができる。
【0081】
図10に示すように、伝熱板1が、第1の部分31、第2の部分32、第3の部分33、第4の部分34のすべてを有する場合の形状として、伝熱板1をローラ状をなした形状とすることができる。この場合、伝熱板1を第1の部分31、第2の部分32、第3の部分33、第4の部分34に明確に分けることができないので図10において伝熱板は単に符号1で示している。
【0082】
伝熱板1は、基準側板50により両端を回転自在に支持されている。伝熱板1は、定着ベルト8の回転方向C(図3等を参照)における、加熱ローラ2の上流側且つ定着ローラ9の下流側と、加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側との2箇所において、定着ベルト8に接触しており、方向Cにおける加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の位置での定着ベルト8への当接圧の方が大きいことから、この位置で定着ベルト8に従動回転する。伝熱板1は、従動回転により、加熱ローラ2の熱を定着ベルト8、定着ローラ9に伝達するようになっている。
【0083】
この回転の際の、回転方向に対して垂直な方向への伝熱板1のずれは、定着ベルト8のベルト寄りを防止するために定着ベルト8の端部に当接するように基準側板50に設けられたガイド部材55によって防止される。定着ベルト8にベルト寄りのゴムリングが設けられることがあるが、これにより伝熱板1のずれを防止するように構成しても良い。このように、伝熱板1のかかるずれは定着ベルトまたは基準側板50に設けられた部材により防止される。
【0084】
図11に示すように、伝熱板1は、芯金56を備えていても良く、この場合は芯金56が基準側板50に回転可能に支持されるとともに、基準側板50によりかかるずれが防止されるように構成することができる。芯金56を基準側板50に回転可能に支持する構成としては、玉軸受等の軸受を基準側板50に設けて軸受により芯金56の両端を支持することが挙げられる。このような支持態様によれば、伝熱板1による定着ベルト8、定着ローラ9等への伝熱作用の他にも、伝熱板1、定着ベルト8、定着ローラ9等の保温作用を持続させることができる。
【0085】
伝熱板1は、対向する部材、すなわち、定着ベルト8の加熱ローラ2の上流側且つ定着ローラ9の下流側の位置、定着ベルト8の加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の位置、加熱ローラ2、定着ローラ9の少なくとも1つに接触して、接触した部分が、当該部材に従動回転することにより、加熱ローラ2の熱を、かかる対向する部材に伝達するようになっていればよい。2箇所以上で接触するときは、摩擦が強い方向に従動回転する。
【0086】
加熱ローラ2からの熱の伝達は、定着ベルト8の加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の位置に行うことが定着に適していることから、回転方向は、C方向と同方向であることが望ましい。熱の伝達が良好に行われるのであれば、伝熱板1を回転しないように固定しても良い。伝熱板1を回転させない場合には他の部材との擦れを考慮すると、他の部材と非接触であることが望ましい。ロール状の伝熱板1の材料、面処理、部材の一体化、対向する部材への接離、断熱部材の有無等の組み合わせは適宜行うことができる。
【0087】
また、加熱ローラ2表面温度の昇温を促進するため、及び伝熱板1への熱伝達性を向上するために、加熱ローラ2の表面を、伝熱性の高いニッケル等により表面処理することができる。表面処理としては、ニッケル−テフロン(登録商標)の、日本カニゼン社のカニフロン(登録商標)によるコート等の複合メッキ等、フッ素及びテフロン(登録商標)系とニッケル及び銅による複合メッキ等の処理が挙げられる。加熱ローラ2の表面処理は、加熱ローラ2表面温度の昇温の促進、伝熱板1への熱伝達性の向上のうちの何れか一方のために行うものであってもよい。
【0088】
画像形成装置100は以上のような構成であるので、操作者による所定の操作により、画像形成装置100の電源が投入され、又は待機状態から動作状態に移行すると、定着装置108においては速やかに立ち上がりが終了し、操作者が画像形成を開始する周知の操作を行うと、各色の作像系において、帯電装置による帯電工程によって均一に帯電された感光体101は、矢印A方向の回転により、外部から入力されるデータに応じて照射されるレーザ光による露光工程における潜像形成、現像装置による現像によって行われる現像工程、転写装置105による転写工程、クリーニング装置によるクリーニング工程、除電装置による除電工程を経て再び帯電工程に移る。
【0089】
かかる転写工程は、搬送経路110を搬送される記録紙の搬送のタイミングに合わせて行われ、搬送経路110を搬送される過程において全ての転写工程によって記録紙上にトナー像が重ね合わせ転写により転写されると、定着装置108における定着工程によって記録紙上に定着される。トナー像を定着されカラー画像を形成された記録紙は、画像形成装置101の外に排出される。このような画像形成工程において、定着工程においては、定着装置108の各部材の温度低下が抑制され、常に定着に適した温度に保たれるため、定着が良好に行われる。
【0090】
以上、本発明を適用した画像形成装置を説明したが、画像形成装置はカラーの画像形成を行なうものでなく、単色の画像形成を行うものであっても良い。また、本発明は、ベルト及びこれを巻き掛けた2以上の回転部材によりシート状の部材を搬送し、且つ熱を供給する装置に適用することができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明は、トナーを定着される記録媒体を搬送するための無端の定着ベルトと、上記定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラと、上記定着ベルトを介して上記定着ローラに対向して配置され上記定着ローラと対向する領域で同定着ベルトに当接する加圧ローラとを有する定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分と、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの下流側かつ上記定着ローラの上流側の部分に対向した第2の部分とを有し、上記加熱ローラからの熱を第1の部分及び第2の部分を経て上記定着ベルトに伝えるための伝熱部材を有するので、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、加熱ローラによる加熱の効率を向上し、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0092】
伝熱部材が、定着ベルトの内面の加熱ローラまたは定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの上流側かつ上記定着ローラの下流側の部分に対向した第3の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、第1の部分及び第3の部分を経て上記定着ベルトに伝えることとすれば、定着ベルトのかかる部分を良好に加熱して加熱ローラの熱を有効に利用することができ、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0093】
伝熱部材が、定着ローラ周面の定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分を有し、加熱ローラからの熱を、少なくとも第1の部分と第4の部分とを経て上記定着ローラに伝えることとすれば、定着ローラを予熱しておくこと及び定着ローラの温度を維持することができ、定着ベルト回転開始時に定着ローラの吸熱による定着ベルトの温度低下を抑制し、また定着ベルトの温度を均一且つ良好に維持して定着不良を防止し、良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0094】
第1の部分が、加熱ローラ周面に接触していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりがさらに早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を良好に保つことができる定着装置を提供することができる。
【0095】
第1の部分が、加熱ローラ周面に非接触であることとすれば、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0096】
第1の部分が、加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度以上のときには非接触であることとすれば、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、且つ、昇温時における加熱ローラの熱を伝熱部材によって良好に伝達して定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができる定着装置を提供することができる。
【0097】
伝熱部材の少なくとも一部がバイメタルであって、同伝熱部材の温度に応じた変形により、第1の部分が、加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触であることとすれば、比較的簡易な構成で確実に温度に応じて伝熱部材を加熱ローラに接離できるとともに、これにより、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、且つ、昇温時における加熱ローラの熱を伝熱部材によって良好に伝達して定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができる定着装置を提供することができる。
【0098】
伝熱部材を駆動する駆動手段を有し、この駆動手段が、第1の部分を、加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または定着ベルト内面に接触させ、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触とするように駆動することとすれば、所定温度に厳密に伝熱部材を加熱ローラに接離できるとともに、これにより、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、且つ、昇温時における加熱ローラの熱を伝熱部材によって良好に伝達して定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0099】
第2の部分が定着ベルトの内面に当接していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりがさらに早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を良好に保つことができる定着装置を提供することができる。
【0100】
伝熱部材が第3の部分を有する定着装置において、第3の部分が定着ベルトの内面に当接していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、定着ベルトの温度の低下を抑制して定着に適した温度を良好に保つことができる定着装置を提供することができる。
【0101】
伝熱部材が第4の部分を有する定着装置において、第4の部分が定着ベルト周面に当接していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ローラの予熱や昇温に確実且つ有効に利用することができ、定着ベルト回転時の温度低下をさらに抑制し、また定着ベルトの温度をさらに均一且つ良好に維持して定着不良を防止し、さらに良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0102】
伝熱部材が第1の部分と第2の部分と第3の部分と第4の部分とを有する定着装置において、上記伝熱部材が、ローラ状をなしていることとすれば、簡易な構成で加熱ローラの熱を定着ベルトの各部分及び定着ローラに伝えることができる定着装置を提供することができる。
【0103】
第1の部分、第2の部分、第3の部分、第4の部分のうちの少なくとも1つの部分が、当該部分が対向する部材に接触する定着装置において、ローラ状の伝熱部材が、当該部分が接触した当該部材に従動回転することとすれば、駆動手段を用いることなく簡易な構造で伝熱部材を回転させ、加熱ローラの熱をムラなく定着ベルトの各部分及び定着ローラに良好に伝えることができる定着装置を提供することができる。
【0104】
伝熱部材が、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することとすれば、またさらに、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0105】
伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する定着装置において、上記伝熱部材が、当該非接触の部分が当該部分の対向する非接触の部材に熱伝達を行うように、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することとすれば、伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する場合であっても、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことが担保できる定着装置を提供することができる。
【0106】
伝熱部材が、他の部材に対向する面側に、加熱ローラ周面の定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を有することとすれば、伝熱部材に断熱作用を持たせるとともに、加熱ローラ、定着ベルト等の保温作用を持たせることにより、また一段と、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0107】
伝熱部材が、加熱ローラの軸方向における中央部の材料及び/または面処理及び/または一体化された部材と両端部のそれとが異なり、上記中央部の熱伝導率が、上記両端部の熱伝導率よりも高いこととすれば、中央部の熱が両端部に均等に伝達され、かかる軸方向における各部材の温度分布を均一にして、軸方向全体におけるコールドオフセット及びホットオフセットを防止して良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0108】
定着ベルトの内側に設けられ、加圧ローラが定着ベルトに当接する領域を、定着ローラと加圧ローラとが対向した領域よりも上記定着ベルトの回転方向の上流側に広げるように上記定着ベルトに当接しているとともに、伝熱部材と係合して同伝熱部材の熱を上記定着ベルトに伝える当接部材を有することとすれば、当接部材により、ニップ幅を拡大してより良好な定着を行うことができるとともに、当接部材によっても定着ベルトへの熱の伝達を行い、特にニップにおける定着ベルトの温度を良好に保つことで良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0109】
加熱ローラが、その表面温度の昇温を促進するため及び/または上記伝熱部材への熱伝達性を向上するため表面処理が施されていることとすれば、加熱ローラ自身の構成により加熱ローラによる加熱の効率を向上し、立ち上がりが早いという利点や伝熱部材による熱伝達をより良好に行い加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができるという利点を有する定着装置を提供することができる。
【0110】
本発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置に備えられた伝熱部材にあるので、かかる定着装置において各効果を奏することを実現するに不可欠であるとともに、上述の各形態とすることができ設計上の自由度が高く定着装置の設計上の自由度も向上する伝熱部材を提供することができる。
【0111】
本発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置を有する画像形成装置にあるので、上述の各効果を奏し、定着性能が良好であることにより良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示した定着装置の要部を示す斜視図である。
【図3】図1に示した定着装置の要部を示す側面図である。
【図4】図2及び図3に示した伝熱部材の斜視図である。
【図5】伝熱部材の別の構成例を示す側面図である。
【図6】伝熱部材のまた別の構成例を示す側面図である。
【図7】伝熱部材のさらに別の構成例を示す側面図である。
【図8】伝熱部材のまたさらに別の構成例を説明するための斜視図である。
【図9】定着装置が当接部材を有する場合を示す側面図である。
【図10】伝熱部材がローラ状をなす場合を示す斜視図である。
【図11】伝熱部材がローラ状をなす場合の別の例を示す斜視図である。
【図12】従来から用いられているローラ対向式の定着装置の例を示す斜視図である。
【図13】従来から用いられているベルト式の定着装置の例を示す斜視図である。
【図14】ローラ対向式の定着装置においてローラ径によりニップ幅が異なる場合の例を示す側面図である。
【図15】ベルト式の定着装置において定着ベルトの加圧ローラへの巻き掛け量を説明するための側面図である。
【図16】ローラ対向式の定着装置において加圧ローラ表面に設けた層によりニップ幅が異なる場合の例を示す側面図である。
【図17】ベルト式の定着装置において定着ベルトの熱源を追加した例を示す斜視図である。
【図18】ローラ対向式の定着装置において電磁誘導式の加熱を行う例を示す側面図である。
【図19】図18に示した定着装置におけるコイルの配設態様を示す斜視図である。
【図20】ベルト式の定着装置において電磁誘導式の加熱を行う例を示す側面図である。
【図21】加熱手段を備えた加熱ローラまたは加圧ローラの両端部から熱が逃げる様子を示す斜視図である。
【図22】ベルト式の定着装置において加熱ローラの定着ベルトを巻き掛けられていない部分から熱が逃げる様子を示す側面図である。
【図23】ベルト式の定着装置において加圧ローラの定着ベルトに当接していない部分から熱が逃げる様子を示す側面図である。
【図24】両端部と中央部とで温度分布が異なることにより定着不良が起こることを説明するための斜視図である。
【図25】ベルト式の定着装置において定着ベルトの熱が定着ローラに奪われる様子を示す側面図である。
【符号の説明】
1 伝熱部材
1a 伝熱部材の両端部
1b 伝熱部材中央部
2 加熱ローラ
3 加圧ローラ
4 加圧ローラと定着ベルトとが対向する領域
8 定着ベルト
9 定着ローラ
31 第1の部分
32 第2の部分
33 第3の部分
34 第4の部分
44 断熱部材
54 当接部材
100 画像形成装置
108 定着装置
C 定着ベルトの回転方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられ無端ベルトを有するベルト定着装置、このベルト定着装置に備えられ加熱ローラによる加熱の効率を向上するための伝熱部材及びかかる定着装置を備えたかかる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置は一般に、被定着画像としてのトナー像を形成されたシート状の記録媒体に、トナー像を定着するための定着装置を有している。定着装置としては、図12に示すように、内部に加熱手段である熱源としてのヒータ211を有し図示しない駆動手段により回転駆動される加熱ロールとしての加熱ローラ202と、加熱ローラ202に圧接され加熱ローラ202に従動回転する加圧ロールとしての加圧ローラ203とを有し、加熱ローラ202と加圧ローラ203とによって形成されるニップ部204に、記録媒体たる記録紙205を加熱ローラ202と加圧ローラ203との回転により通過させ、加熱すると同時に加圧して搬送することで未定着トナーからなるトナー像206を定着するロール対向式、ローラ対向式、熱ローラ対タイプなどといわれる定着装置207が知られている。
【0003】
また、定着装置としては、図13に示すように、上述のロール対向式の定着装置207に、記録紙205を搬送するための無端の定着ベルト208と、この定着ベルト208を巻き掛けられ定着ベルト208にテンションを与える定着ロールとしての定着ローラ209と、加圧ローラ203の内部に備えられた熱源としてのヒータ212とを加えたごとき構成であって、定着ベルト208を定着ローラ209とともに加熱ローラ202に巻き掛け、図示しない駆動手段により回転駆動される定着ローラ209を駆動ローラとし、定着ベルト208及び加熱ローラ202を定着ローラ209に従動回転させ、また定着ベルト208を介して定着ローラ209に対向して配置された加圧ローラ203を従動回転させることで、定着ベルト208と加圧ローラ203とによって形成されるニップ部204に、記録紙205を通過させ、上述した定着装置207と同様に加熱すると同時に加圧して搬送することでトナー像206を定着するベルト式、ベルト定着装置などといわれる定着装置210が知られている。
【0004】
定着装置にあってはこの2つのタイプが主流であって、大半の定着装置では、前者のロール対向式の定着装置207が採用されているが、最近の環境、特にデジタル化に伴う画質の鮮明、カラー化での配色再現への対応から、後者のベルト式の定着装置210が普及しつつある。両者の定着装置207、210にはそれぞれ次のような長所と問題がある。
【0005】
ロール対向式の定着装置207は、図12に示したように加熱ローラ202が金属製のパイプ形状をなしており、一般に棒状ハロゲンヒータ211である加熱手段たる熱源の熱を加熱ローラ202の本体である金属部分に伝えた後、即座に記録紙205と記録紙205上の未定着トナー206を加熱でき、昇温時間が比較的短いことと構成がシンプルであることを長所とし、記録紙205に圧力を加える幅であるニップ204の幅すなわちニップ幅がローラ径によって左右され、図14(a)に示すように加熱ローラ202等の径すなわちローラ径が大きい場合、そのニップ幅d1は、図14(b)に示すローラ径が小さい場合のニップ幅d2よりも大きく、定着に要する加熱や加圧を十分に行うことができるものの、昇温時間とコンパクト化を考慮した場合は、ローラ径を小さくせざるを得ず、大きなニップ幅が取れないため、ローラ径を小さくすることは、ニップ幅が大きく加圧時間が長いほうが画像形成に有利であることに反するという問題がある。
【0006】
他方、ベルト式の定着装置210は、図15に示すように定着ベルト208の加圧ローラ203への巻き掛け量xを変化させることが、加圧ローラ203の配置を変えることで定着ベルト208の加圧ローラ203への巻き付け角θを変化させること等によって可能であり、大きなニップ幅を設定できるから、4色のトナーを溶融し混色するカラー画像形成装置に適しているという長所を有し、図13、15に示すように定着ベルト208及び定着ローラ209を有する分、熱容量が大きく、昇温時間が比較的長くなるという問題や、構成が複雑でコストが大幅に上昇するという問題がある。
【0007】
これら両タイプの問題に鑑み、ニップ幅が大きく、且つ昇温時間が短い定着装置の提供を目指し様々な改良が行われている。例えば、ローラ対向式の定着装置207においては、図16に示すように、ニップ幅の拡大を狙って、図16(a)に示すように加圧ローラ203の表面に加工を施さないのではなく、図16(b)に示すように加圧ローラ203の表面にシリコンゴムの層213を設けた弾性ローラとすることが行われ、これにより図16に示すようにニップ幅d3をニップ幅d4に拡大している。
【0008】
また、ベルト式の定着装置210においては、昇温時間の短縮を狙って、図17に示すように、定着ベルト208を表面から加熱する外部熱源としてヒータ214を内蔵したローラ215の追加を行うことが行われている。さらに、ローラ対向式の定着装置207においては図18および図19に示すように、また、ベルト式の定着装置210においては図20に示すように、電磁誘導等を用いる熱源を改良することが行われている。
【0009】
図18、図19において符号216は定着スリーブたる加熱ローラ202の内部に備えられたコイルを示しており、図示しない電源によりコイル216に交流電流が印加されることで生じた磁力線217により加熱ローラ202が発熱するIH方式による加熱を示している。図20において、符号218はIHコイルを示しており、図示しない電源によりIHコイル218に交流電流が印加されることでIHコイル218に対向配設された補助ローラ219と加圧ローラ203に対向配設された断熱ローラ220とに巻き掛けられた定着ベルト208が発熱し定着を行うBELT−IH定着技術を示している。しかし、ヒータの追加、電磁誘導の利用等何れの改良を行う場合においても、コストアップが避けられず、装置が次第に高額になってきている。
【0010】
また、モノクロの画像形成装置に備える場合及び昇温速度を優先する場合にはローラ対向式の定着装置207が適し、カラー画像形成装置に備える場合及び画像を優先する場合にはベルト式の定着装置210が適しているという考えが一般であるが、特に上級のカラー画像形成に備える定着装置にあってはベルト式であることが不可欠となっており、コストの低減が進めばベルト式の定着装置210が主流となると考えられる。
【0011】
何れのタイプの定着装置においても、通常、加熱ローラ202を有し、既に周知であるように、金属部分の薄肉化によって単体での昇温速度の向上を図っているが、加熱ローラ202の側面はハロゲンヒータ211を挿入するために大きく開放され、図21において矢印で熱の放出を示すように両端の熱損失が大きく、したがって両端部202aが中央部202bよりも低めの温度分布を示す。また、ハロゲンヒータ211の加熱ローラ202への熱伝達の効率を100%とすることは困難であるという現状は加熱ローラ202の昇温の阻害要因の一つとなっている。
【0012】
加熱ローラ202の両端部202aでの温度低下は、定着の品質にも影響し、両端部202aの温度が極端に低い場合には、異常画像であるコールドオフセットが生じること、及び、その一方で両端部202aの温度を上げるべく規定温度よりも高い温度で定着を行うと中央部202bでホットオフセットが生じることが知られている。
【0013】
このコールドオフセット、ホットオフセットの問題を解決するためにハロゲンヒータ211の発光分布を、その両端部において発熱量が多くなるように調整することが提案されているが、これでは分布の平準化とともに昇温を犠牲にする問題が生じる。また出力すなわちワット数の上昇またはハロゲンヒータ211の本数の追加等の更なる対応が必要であり、環境に対する負荷を低減しようとする現今の潮流に逆行することにもなる。加熱ローラ202の両端部202aでの温度低下を防止するために、上述した電磁誘導、その他セラミックヒータ等の熱源を採用すればかかる問題は抑制されるといわれるが、これらの熱源はハロゲンヒータ211に比べて高額であること、小サイズの転写紙205を通紙すると加熱ローラ202の両端の非通紙部の温度が上がり過ぎることなどの問題が生じる。このように、熱源の改良に関しては一長一短がある。
【0014】
このような状況のもと、高画質の画像形成への意識が高まる中、安価で昇温時間の短いベルト式の定着装置が待ち望まれている。また熱源としては安価なハロゲンヒータ211等の採用が望ましい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上述した従来の技術におけるベルト式の定着装置210に関する現状の課題を整理すると次の通りである。
第1の課題は、定着ベルト208への熱伝達の効率に改良の余地があるという点である。昇温の際、定着ベルト208は回転せず停止した状態が好ましいとされるが、この状態においては、図22において矢印で示すように加熱ローラ202の定着ベルト208への非接触部分からの放熱により、この非接触部分が熱伝達すなわち定着ベルト208の昇温に寄与しておらず、加熱ローラ202の熱が定着ベルト208に完全には伝達されていない。
【0016】
これは定着ベルト208を加熱ローラ202に巻き掛けているという構造上、妥協せざるを得ない部分である。加圧ローラ203においても、加熱ローラ202にハロゲンヒータ211を挿入して加熱すると同様、ハロゲンヒータ212を挿入して加熱しても、図23に示すように、定着ベルト208との接触部分が加圧ローラ203外周全体に占める割合は極めて小さく、定着ベルト208の昇温に寄与しているとはいい難い。
【0017】
第2の課題は、加熱ローラ202、加圧ローラ203の両者共に、両端部における熱損失が大きい構造、すなわちハロゲンヒータ211、212を挿入するために図21に示したように両端部211a、212aが大きく開放され、熱損失が大きい構造となっているため、中央部211b、212bに対して両端部211a、212aが低めの温度分布を示すことである。
【0018】
このように両端部211a、212aが中央部211b、212bに対して低い温度であると、図24に示すように記録紙205の両端部分205aがコールドオフセットにより異常画像となり、一方、ハロゲンヒータ211、212の加熱によって図24において図示を省略した定着ベルト208の両端部の温度が十分上昇するのを待つと、昇温時間が長くかかってしまい、またこれに加えて定着ベルト208の中央部の温度が規定温度を超え、記録紙205の中央部分205bにおいてホットオフセットによる異常画像となる。
【0019】
このような不具合を避けるためにハロゲンヒータ211、212の発光分布の調整を行うこと、加熱ローラ202、加圧ローラ203の肉厚を、両端部が薄くなるように、長さ方向において変化させること、図20に示したように電磁誘導加熱に切り替えること等が考えられるが、何れもコストアップを生じてしまう。
【0020】
第3の課題は、図13に示すように、加熱ローラ202と加圧ローラ203とに設けられた棒状ハロゲンヒータ211、212の熱が、それぞれのローラ202、203の表面を介して定着ベルト208を加熱させる構成においては、加熱ローラ202から定着ベルト208に伝わった熱が、定着ベルト208の回転時に、図25において矢印で示すようにテンションローラでもある定着ローラ209に奪われ、昇温を阻害する要因となっていることである。定着ローラ209への熱の流出及び定着ローラ209自体の断熱効果を狙って、定着ローラ209に熱容量の大きな耐熱発泡体を採用することで、かかる昇温の阻害は軽減されるが、熱損失を完全に防止することは困難である。
【0021】
第4の課題は、上述したように熱源たるハロゲンヒータ211、212を挿入する加熱ローラ202、加圧ローラ203それぞれの表面熱伝達性が、加熱ローラ202、加圧ローラ203に使用した材料の熱伝達率と比熱とで決定されるため、加熱ローラ202、加圧ローラ203の材料に、熱伝達率が高く、比較的量産性、加工性に優れるアルミ系のものが用いられることが大半を占める現状において、定着ベルト208に対する耐磨耗性を考慮し、加熱ローラ202、加圧ローラ203の表面にフッ素系樹脂よりなるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のコーティング皮膜を行うことが行われているが、これら材料、表面処理が熱伝達性の改良には至っていないことである。よってアルミ系の材料よりも熱伝達率が高く、比熱が小さい材料を用い表面処理が施された加熱ローラ、加圧ローラが望まれているところである。
【0022】
本発明は、加熱手段たる熱源からの熱を確実且つ有効に利用する定着装置、これを実現するための伝熱部材及びかかる定着装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、トナーを定着される記録媒体を搬送するための無端の定着ベルトと、上記定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラと、上記定着ベルトを介して上記定着ローラに対向して配置され上記定着ローラと対向する領域で同定着ベルトに当接する加圧ローラとを有する定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分と、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの下流側かつ上記定着ローラの上流側の部分に対向した第2の部分とを有し、上記加熱ローラからの熱を第1の部分及び第2の部分を経て上記定着ベルトに伝えるための伝熱部材を有することを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの上流側かつ上記定着ローラの下流側の部分に対向した第3の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、第1の部分及び第3の部分を経て上記定着ベルトに伝えることを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記定着ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、少なくとも第1の部分と第4の部分とを経て上記定着ローラに伝えることを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラ周面に接触していることを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラ周面に非接触であることを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度以上のときには非接触であることを特徴とする。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の定着装置において、上記伝熱部材の少なくとも一部がバイメタルであって、同伝熱部材の温度に応じた変形により、第1の部分が、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触であることを特徴とする。
【0030】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の定着装置において、上記伝熱部材を駆動する駆動手段を有し、この駆動手段が、第1の部分を、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触させ、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触とするように駆動することを特徴とする。
【0031】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の定着装置において、第2の部分が上記定着ベルトの内面に当接していることを特徴とする。
【0032】
請求項10記載の発明は、請求項2ないし9の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第3の部分を有する定着装置において、第3の部分が上記定着ベルトの内面に当接していることを特徴とする。
【0033】
請求項11記載の発明は、請求項3ないし10の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第4の部分を有する定着装置において、第4の部分が上記定着ローラ周面に当接していることを特徴とする。
【0034】
請求項12記載の発明は、請求項3ないし11の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第1の部分と第2の部分と第3の部分と第4の部分とを有する定着装置において、上記伝熱部材が、ローラ状をなしていることを特徴とする。
【0035】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の定着装置であって、第1の部分、第2の部分、第3の部分、第4の部分のうちの少なくとも1つの部分が、当該部分が対向する部材に接触する定着装置において、上記伝熱部材は、当該部分が接触した当該部材に従動回転することを特徴とする。
【0036】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することを特徴とする。
【0037】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし13の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する定着装置において、上記伝熱部材は、当該非接触の部分が当該部分の対向する非接触の部材に熱伝達を行うように、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することを特徴とする。
【0038】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、他の部材に対向する面側に、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を有することを特徴とする。
【0039】
請求項17記載の発明は、請求項1ないし16の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記加熱ローラの軸方向における中央部の材料及び/または面処理及び/または一体化された部材と両端部のそれとが異なり、上記中央部の熱伝導率が、上記両端部の熱伝導率よりも高いことを特徴とする。
【0040】
請求項18記載の発明は、請求項1ないし17の何れか1つに記載の定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加圧ローラが上記定着ベルトに当接する領域を、上記定着ローラと上記加圧ローラとが対向した領域よりも上記定着ベルトの回転方向の上流側に広げるように上記定着ベルトに当接しているとともに、上記伝熱部材と係合して同伝熱部材の熱を上記定着ベルトに伝える当接部材を有することを特徴とする。
【0041】
請求項19記載の発明は、請求項1ないし18の何れか1つに記載の定着装置において、上記加熱ローラは、その表面温度の昇温を促進するため及び/または上記伝熱部材への熱伝達性を向上するため表面処理が施されていることを特徴とする。
【0042】
請求項20記載の発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置に備えられた伝熱部材にある。
【0043】
請求項21記載の発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置を有する画像形成装置にある。
【0044】
【実施例】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ等周知のものであれば何れでもよいが、本実施例における画像形成装置はプリンタである。本実施例の画像形成装置はカラーの画像を形成するものである。
【0045】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙と、OHPシートや、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100g/m2相当以上の厚紙や、封筒等の、普通紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シートとの何れをもシート状の記録媒体として画像形成するものに用いることが可能である。記録媒体の大きさは、A4サイズやA3サイズ等の一般的な規格をなす大きさが一般的であるが、規格外の大きさであっても良い。
【0046】
画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であって、矢印A方向に回転駆動される円筒状に形成された回転体であり像担持体としての有機半導体(OPC)を用いた感光体ドラム(以下、「感光体」という。)101と、感光体101を帯電する図示しない帯電装置と、帯電後の感光体101に潜像を形成するレーザー光を発して光走査を行う図示しない露光装置と、露光後の感光体101上の潜像を現像する図示しない現像装置とを有している。
【0047】
画像形成装置100はまた、感光体101に対向して配置され現像装置による現像によって得られた感光体101上のトナー像を記録媒体としての記録紙に転写する転写手段としての転写ローラ111を有する転写装置105と、転写後の感光体101上をクリーニングする図示しないクリーニング装置と、帯電装置で帯電を行う前に感光体101の除電を行う除電装置と、記録紙を積載している給紙トレイ102とを有している。
【0048】
画像形成装置100はまた、給紙トレイ102に積載した記録紙を感光体101と転写装置105との対向領域であり感光体101と転写ローラ111とが当接する部位である転写領域107に向けて所定のタイミングで搬送するレジストローラ109と、転写装置105により感光体101上のトナー像を転写された記録紙に、かかるトナー像の定着を行う定着手段としての定着装置108と、画像形成装置100本体外に位置し定着後の記録紙を積載する排紙トレイ103とを有している。
【0049】
画像形成装置100はタンデム型の画像形成装置であるから、感光体101、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置105、クリーニング装置及び除電装置によって構成される作像系はそれぞれ、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色毎に、図1中破線で示す記録紙の搬送経路110に沿って設けられているが、図1においてはその1つのみを代表して図示している。
【0050】
感光体101、転写ローラ111はそれぞれ、モータ112、モータ113によりA方向、B方向に回転駆動される。B方向は感光体101との対向位置においてA方向と同じ方向に移動する方向である。記録紙はこのように回転する感光体101、転写ローラ111によって形成される転写領域107にて感光体101上のトナー像を転写され、担持するようになっている。
【0051】
図2または図3に示すように、定着装置108は、トナー像を構成するトナーを定着される記録紙を搬送するための無端ベルトである無端の定着ベルト8と、この定着ベルト8を巻き掛けられた加熱ローラ2及び定着ローラ9と、定着ベルト8を介して定着ローラ9に対向して配置され定着ローラ9と対向する領域で定着ベルト8に当接する加圧ローラ3と、加熱ローラ2、加圧ローラ3及び定着ローラ9の両端を支持した基準側板50と、各規準側板50を連結したステー51と、定着ベルト8の内側に設けられた伝熱部材としての伝熱板1とを有している。なお、図示の都合上、図2において定着ベルト8はその輪郭のみを一点鎖線で示している(図10、図11において同じ)。
【0052】
加熱ローラ2、加圧ローラ3はそれぞれ、熱源としての加熱手段であって棒状ハロゲンヒータであるヒータ11、12を挿通されている。定着ローラ9は図示しない駆動手段により回転駆動され定着ベルト8を回転駆動する駆動ローラであるとともに、図示しない付勢手段により付勢され定着ベルト8に定着に適した所定のテンションを与えるテンションローラでもある。
【0053】
加圧ローラ3は図示しない付勢手段により定着ローラ9に向けて付勢されており、これにより定着ベルト8に圧接し、定着ベルト8との間にニップ部4を形成している。定着ベルト8は図3において矢印Cで示す時計回り方向に回転し、加圧ローラ3は定着ベルト8に従動回転することで、ニップ部4において矢印Dで示す定着ベルト8と同方向に回転する。定着装置108は、ニップ部4に、定着ベルト8とこれに従動回転する加圧ローラ3との回転により記録紙を通過させ、加熱すると同時に加圧して搬送することでトナーを記録紙に定着する、いわゆるベルト式の定着装置である。
【0054】
図3または図4に示すように、伝熱板1は、加熱ローラ2周面の定着ベルト8を巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分31と、第1の部分31に対して屈曲しており、定着ベルト8の内面の加熱ローラ2または定着ローラ9に巻き掛けられた部分以外の部分であってC方向における加熱ローラ2の下流側かつ定着ローラ9の上流側の部分に対向した第2の部分32とを有し、加熱ローラ2からの熱を第1の部分31及び第2の部分32を経て定着ベルト8に伝えるものである。
【0055】
伝熱板1は、第2の部分32に一体のステー41を有している。ステー41は、図3における紙面に垂直な方向である加熱ローラ2の軸方向における、第2の部分32の両端部に設けられており、それぞれその先端部42が垂直に屈曲され、先端部42には孔43が形成されている。それぞれの孔43は、各規準側板50に形成された孔53と連通した状態で、それぞれ図示しないねじによりねじ止めされ、伝熱板1が定着装置108における所定の位置で位置決めされ固定されるようになっている。
【0056】
第1の部分31は加熱ローラ2周面に非接触であり、第2の部分32は定着ベルト8内面に非接触である。すなわち、第1の部分31および第2の部分32の何れも、それぞれが対向する部材に非接触であるが、第1の部分31も、第2の部分32も、その部分が対向している非接触の部材、すなわち第1の部分31にあっては加熱ローラ2、第2の部分32にあっては定着ベルト8に熱伝達を行うように、熱伝導性、吸熱性・放熱性の高い材料により構成されているとともに、熱伝導性、吸熱性・放熱性の高い面処理を施されている。
【0057】
具体的には、第1の部分31および第2の部分32は基体が銅であり基体の表面にニッケルのメッキが施されている。これにより第1の部分31はこれが対向している加熱ローラ2の周面部分から放熱される熱を受ける吸熱による熱伝達を良好に行い、受けた熱が第2の部分32に良好に伝えられ、第2の部分32はこれが対向している定着ベルト8の内面に熱を伝える放熱による熱伝達を良好に行うようになっている。
【0058】
第1の部分31、第2の部分32の材料、面処理は上述のものに限らず熱伝導性、吸熱性・放熱性の良いものであればよく、熱伝導性、吸熱性・放熱性の高い部材と一体化して第1の部分31、第2の部分32を構成しても良い。例えば、第1の部分31にあっては吸熱性が高い銅合金を面処理して形成しても良い。また、これら材料、面処理、部材の具備は、熱伝導性、吸熱性・放熱性が高い条件を満たせば、少なくとも1つ選択されれば良く、その組み合わせも自由である。
【0059】
一方、ステー41は、熱を基準側板50への熱の流出を防止すべく、熱伝導性の低い材料であるステンレスを基材とし、この基材の表面に熱伝導性、吸熱性・放熱性の低い面処理が行われ例えばポリイミド等の耐熱樹脂等がかかる基材の表面に形成されている。ステー41と伝熱板1本体すなわち第2の部分32とは溶接により一体化されている。
【0060】
ステー41の材料、面処理は上述のものに限らず熱伝導性、吸熱性・放熱性の低いものであればよく、熱伝導性、吸熱性・放熱性の低い部材と一体化してステー41を構成しても良い。また、これら材料、面処理、部材の具備は、熱伝導性、吸熱性・放熱性が低い条件を満たせば、少なくとも1つ選択されれば良く、その組み合わせも自由である。
【0061】
第1の部分31、第2の部分32の何れか一方、または双方を対向する部材すなわち第1の部分31にあっては加熱ローラ2、第2の部分32にあっては定着ベルト8に接触させても良く、接触させた場合には非接触の場合に比して熱伝達が良好に行われる。よって接触させた当該部分については材料、面処理、部材の具備について熱伝達性、吸熱性・放熱性の高いものを選択する条件は非接触の場合に比して緩やかにすることもできるが、上述のように熱伝達性、吸熱性・放熱性の高いものとすることが望ましい。
【0062】
図5に示すように、伝熱板1は、第1の部分31に対して屈曲しており、定着ベルト8の内面の加熱ローラ2または定着ローラ9に巻き掛けられた部分以外の部分であってC方向における加熱ローラ2の上流側かつ定着ローラ9の下流側の部分に対向した第3の部分33を有していても良い。この場合、加熱ローラ2からの熱を、第1の部分31及び第2の部分32を経て定着ベルト8に伝えるのみならず第1の部分31及び第3の部分33を経て定着ベルト8に伝える。第3の部分33は第2の部分32に代えて設けても良いが、ニップ部4にて定着を行うことを考慮すれば、ニップ部4の昇温を良好にすることが好ましいため、図5に示すように第2の部分32とともに設けることが望ましい。
【0063】
図6に示すように、伝熱板1は、第2の部分32に対して屈曲しており、定着ローラ9周面の定着ベルト8を巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分34を有していてもよい。この場合、加熱ローラ2からの熱を、少なくとも第1の部分31と第4の部分34を経て定着ベルト8に伝える。
【0064】
第4の部分は第2の部分32に代えて設け、第1の部分31と第4の部分34とを連結する連結部材により連結し、この連結部材にて第1の部分31の熱を第4の部分に伝達するようにしても良いし、また、第4の部分は第3の部分33を有する伝熱板1に加えるようにして第2の部分32に代えて設け、第3の部分33にて第1の部分31の熱を第4の部分に伝達するようにしても良いが、ニップ部4にて定着を行うことを考慮すれば、ニップ部4の昇温を良好にすることが好ましいため、図6に示すように第2の部分32とともに設けるか、または第2の部分32及び第3の部分33とともに設けることが望ましい。
【0065】
第4の部分34を第2の部分32及び第3の部分33とともに設ける場合には、第4の部分34は両部分32、33と連結している形状でも良いし、何れか一方と連結している形状でも良い。このように第4の部分34を有している形態においては、定着ローラ9の余熱を行い、定着ローラ9の回転開始時における、定着ローラ9の吸熱による定着ベルト8の急激な温度低下が防止される。
【0066】
第3の部分33、第4の部分34の材料、面処理、熱伝導性の高い部材の具備は第1の部分31、第2の部分32の部分の場合と同様に、第3の部分33が対向する部材である定着ベルト8への接触、非接触、第4の部分34が対向する部材である定着ローラ9への接触、非接触等に応じて適宜選択できる。なおかかる接触、非接触は第1の部分31ないし第4の部分34のそれぞれの部分ごとに選択できるものである。
【0067】
図5、図6において伝熱板1は破線で示しており、実線で示す部材44は、加熱ローラ2周面の定着ベルト8を巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を示している。断熱部材44は、伝熱板1の、他の部材に対向する面側、すなわち第1の部分31にあっては加熱ローラ2に対向する面側、第2の部分32及び第3の部分33にあっては定着ベルト8に対向する面側、第4の部分34にあっては定着ローラ9に対向する面側に一体化されている。
【0068】
断熱部材44はロックウールであるが他の断熱性を有する部材であっても良い。このように、他の部材に対向する面の表面に断熱層を設けることで、伝熱作用以外に、当該対向する部材の保温性を向上する作用を持たせることができる。断熱部材44は、伝熱板1が、第3の部分33や第4の部分を有する場合のみならず、図3に示すように第1の部分と第2の部分とからなる場合にも設けることができる。
【0069】
伝熱板1は、第1の部分31が、加熱ローラ2の温度が定着に適した所定温度より低いときには加熱ローラ2周面及び定着ベルト8内面に接触し、かかる所定温度以上であるときには非接触となるように構成することができる。その構成としては図7に示すように、伝熱板1をバイメタルで構成するものがあり、これにより、伝熱板1の温度に応じた変形により、第1の部分31が、加熱ローラ2の温度が定着に適した所定温度より低いときには図7(a)に示すように加熱ローラ2周面及び定着ベルト8に接触し、かかる所定温度以上であるときには図7(b)に示すように非接触となるように構成することができる。
【0070】
またこれにより、定着装置108における定着に適した設定温度に昇温後、加熱ローラ2及び定着ベルト8の回転駆動時等においては伝熱板1が変形することで加熱ローラ2及び定着ベルト8から離間し、加熱ローラ2及び定着ベルト8の回転を妨げることがなく、加熱ローラ2及び定着ベルト8の磨耗が防止される。伝熱板1の接離は、加熱ローラ2、定着ベルト8の何れか一方のみに対して行うものであっても良い。
【0071】
また第3の部分33を有する場合にはこれを定着ベルト8に対して接離させることが可能であり、第4の部分34を有する場合には定着ローラ9に対して接離させることが可能である。第4の部分34を定着ローラ9に対して接離させれば、定着ローラ9の昇温を速やかに行なうことができるとともに、定着ローラ9の磨耗を防止することができる。
【0072】
バイメタルは、熱膨張すなわち線膨張係数の違いを利用しかかる変形を行うことができれば伝熱板1の少なくとも一部に用いられていれば良く、また、その材質はバイメタルとして周知のもので良い。バイメタルを一部に用いる場合は第1の部分31と第2の部分32との接合部に設けることができる。また全体にわたってバイメタルを用いる場合でも、バイメタル以外の部分に上述した材料等を用いた層状の構成とすることもできる。上述の断熱部材44を一体化することも可能である。
【0073】
伝熱板1を加熱ローラ2、定着ベルト8に接離させる構成としては、図示を省略するが、伝熱板1を駆動する駆動手段としてのソレノイドを用いた構成など機械的構成を用いても良い。ソレノイドを用いる場合には、たとえば、定着装置108に備えられた図示しないサーミスタにより検知した温度が定着に適した設定温度以上であるときに、ソレノイドに通電して伝熱板1を変位させ、それまで加熱ローラ2及び定着ベルト8伝熱板1を加熱ローラ2及び定着ベルト8から離間し非接触とするよう制御することができる。
【0074】
このように、駆動手段を用いても、加熱ローラ2、定着ベルト8の回転を妨げることがなく、加熱ローラ2、定着ベルト8の磨耗が防止される。伝熱板1の接離は、加熱ローラ2、定着ベルト8の何れか一方のみに対して行うものであっても良い。また第4の部分34を有する場合には定着ローラ9に対しても接離させることが可能である。第4の部分34を定着ローラ9に対して接離させれば、定着ローラ9の昇温を速やかに行なうことができるとともに、定着ローラ9の磨耗を防止することができる。また、各部分ごとに駆動手段を設け、変位させることも可能である。
【0075】
図8に示すように、伝熱板1は、加熱ローラ2の両端部2aの温度の落ち込みすなわち加熱ローラ2の両端部2aの温度が中央部2bの温度に比して低くなる温度分布を抑制するために、その両端部1aの材料及び面処理と、中央部1bの材料及び面処理とを異ならせ、中央部1bの熱伝導率を、両端部1aの熱伝導率よりも高くした、コンポジット構造とし、加熱ローラ2の中央部2b、定着ベルト8の中央部の熱が加熱ローラ2の両端部2a、定着ベルト8の両端部に均等に伝達されるようにすることができる。図8において定着ベルト8の図示は省略している。
【0076】
具体的には、たとえば中央部1bの材料をステンレスとし、耐熱樹脂による面処理を行うことができる。このような熱伝達率の調整は、材質のみを異ならせること、面処理のみを異ならせること、面処理を両端部1a、中央部1bの何れか一方のみに行うこと等により行うことができる。またかかる調整は他の部材を両端部1a、中央部1bの何れか一方のみに一体化すること、熱伝導率の低い部材を両端部1aに一体化し、熱伝導率の高い部材を中央部1bに一体化すること等によって行うこともできる。
【0077】
図8は伝熱板1が第1の部分31、第2の部分32のみを有する場合について示したが、上述の第3の部分33、第4の部分34等を有している場合にも適用できるし、各部分の、対向する部材への接触・非接触または接離、断熱部材の有無等の組み合わせは適宜行うことができる。
【0078】
図9に示すように、定着装置108は、ニップ幅拡大のために、定着ベルト8の内側に設けられ、定着ベルト8の走行方向Cにおける加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の部分に、定着ベルト8の内側から加圧ローラ3に向けて当接した当接手段としてのバックアップロールたるバックアップローラ54を有している場合がある。バックアップローラ54は基準側板50により両端を回転自在に支持され、定着ベルト8に従動回転する。
【0079】
バックアップローラ54は、加圧ローラ3が定着ベルト8に当接する領域であるニップ部4を、定着ローラ9と加圧ローラ3とが対向した領域よりも方向Cの上流側に広げるように定着ベルト8に当接しているものである。このような定着装置108においては、図9に示すように、伝熱板1をバックアップローラ54に係合させ伝熱板1の熱をバックアップローラ54を経て定着ベルト8に伝えるようにすることができる。これにより、伝熱板1をバックアップローラ54に連結することでバックアップローラ54の余熱を行い、定着ベルト8の回転時においてバックアップローラ54が定着ベルト8の熱を奪うことによる温度低下を防止することができる。
【0080】
図9は伝熱板1が第1の部分31、第2の部分32のみを有する場合について示したが、上述の第3の部分33、第4の部分34等を有している場合にも適用できるし、各部分の、材料、面処理、部材の一体化、対向する部材への接触・非接触または接離、断熱部材の有無等の組み合わせは適宜行うことができる。
【0081】
図10に示すように、伝熱板1が、第1の部分31、第2の部分32、第3の部分33、第4の部分34のすべてを有する場合の形状として、伝熱板1をローラ状をなした形状とすることができる。この場合、伝熱板1を第1の部分31、第2の部分32、第3の部分33、第4の部分34に明確に分けることができないので図10において伝熱板は単に符号1で示している。
【0082】
伝熱板1は、基準側板50により両端を回転自在に支持されている。伝熱板1は、定着ベルト8の回転方向C(図3等を参照)における、加熱ローラ2の上流側且つ定着ローラ9の下流側と、加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側との2箇所において、定着ベルト8に接触しており、方向Cにおける加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の位置での定着ベルト8への当接圧の方が大きいことから、この位置で定着ベルト8に従動回転する。伝熱板1は、従動回転により、加熱ローラ2の熱を定着ベルト8、定着ローラ9に伝達するようになっている。
【0083】
この回転の際の、回転方向に対して垂直な方向への伝熱板1のずれは、定着ベルト8のベルト寄りを防止するために定着ベルト8の端部に当接するように基準側板50に設けられたガイド部材55によって防止される。定着ベルト8にベルト寄りのゴムリングが設けられることがあるが、これにより伝熱板1のずれを防止するように構成しても良い。このように、伝熱板1のかかるずれは定着ベルトまたは基準側板50に設けられた部材により防止される。
【0084】
図11に示すように、伝熱板1は、芯金56を備えていても良く、この場合は芯金56が基準側板50に回転可能に支持されるとともに、基準側板50によりかかるずれが防止されるように構成することができる。芯金56を基準側板50に回転可能に支持する構成としては、玉軸受等の軸受を基準側板50に設けて軸受により芯金56の両端を支持することが挙げられる。このような支持態様によれば、伝熱板1による定着ベルト8、定着ローラ9等への伝熱作用の他にも、伝熱板1、定着ベルト8、定着ローラ9等の保温作用を持続させることができる。
【0085】
伝熱板1は、対向する部材、すなわち、定着ベルト8の加熱ローラ2の上流側且つ定着ローラ9の下流側の位置、定着ベルト8の加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の位置、加熱ローラ2、定着ローラ9の少なくとも1つに接触して、接触した部分が、当該部材に従動回転することにより、加熱ローラ2の熱を、かかる対向する部材に伝達するようになっていればよい。2箇所以上で接触するときは、摩擦が強い方向に従動回転する。
【0086】
加熱ローラ2からの熱の伝達は、定着ベルト8の加熱ローラ2の下流側且つ定着ローラ9の上流側の位置に行うことが定着に適していることから、回転方向は、C方向と同方向であることが望ましい。熱の伝達が良好に行われるのであれば、伝熱板1を回転しないように固定しても良い。伝熱板1を回転させない場合には他の部材との擦れを考慮すると、他の部材と非接触であることが望ましい。ロール状の伝熱板1の材料、面処理、部材の一体化、対向する部材への接離、断熱部材の有無等の組み合わせは適宜行うことができる。
【0087】
また、加熱ローラ2表面温度の昇温を促進するため、及び伝熱板1への熱伝達性を向上するために、加熱ローラ2の表面を、伝熱性の高いニッケル等により表面処理することができる。表面処理としては、ニッケル−テフロン(登録商標)の、日本カニゼン社のカニフロン(登録商標)によるコート等の複合メッキ等、フッ素及びテフロン(登録商標)系とニッケル及び銅による複合メッキ等の処理が挙げられる。加熱ローラ2の表面処理は、加熱ローラ2表面温度の昇温の促進、伝熱板1への熱伝達性の向上のうちの何れか一方のために行うものであってもよい。
【0088】
画像形成装置100は以上のような構成であるので、操作者による所定の操作により、画像形成装置100の電源が投入され、又は待機状態から動作状態に移行すると、定着装置108においては速やかに立ち上がりが終了し、操作者が画像形成を開始する周知の操作を行うと、各色の作像系において、帯電装置による帯電工程によって均一に帯電された感光体101は、矢印A方向の回転により、外部から入力されるデータに応じて照射されるレーザ光による露光工程における潜像形成、現像装置による現像によって行われる現像工程、転写装置105による転写工程、クリーニング装置によるクリーニング工程、除電装置による除電工程を経て再び帯電工程に移る。
【0089】
かかる転写工程は、搬送経路110を搬送される記録紙の搬送のタイミングに合わせて行われ、搬送経路110を搬送される過程において全ての転写工程によって記録紙上にトナー像が重ね合わせ転写により転写されると、定着装置108における定着工程によって記録紙上に定着される。トナー像を定着されカラー画像を形成された記録紙は、画像形成装置101の外に排出される。このような画像形成工程において、定着工程においては、定着装置108の各部材の温度低下が抑制され、常に定着に適した温度に保たれるため、定着が良好に行われる。
【0090】
以上、本発明を適用した画像形成装置を説明したが、画像形成装置はカラーの画像形成を行なうものでなく、単色の画像形成を行うものであっても良い。また、本発明は、ベルト及びこれを巻き掛けた2以上の回転部材によりシート状の部材を搬送し、且つ熱を供給する装置に適用することができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明は、トナーを定着される記録媒体を搬送するための無端の定着ベルトと、上記定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラと、上記定着ベルトを介して上記定着ローラに対向して配置され上記定着ローラと対向する領域で同定着ベルトに当接する加圧ローラとを有する定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分と、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの下流側かつ上記定着ローラの上流側の部分に対向した第2の部分とを有し、上記加熱ローラからの熱を第1の部分及び第2の部分を経て上記定着ベルトに伝えるための伝熱部材を有するので、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、加熱ローラによる加熱の効率を向上し、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0092】
伝熱部材が、定着ベルトの内面の加熱ローラまたは定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの上流側かつ上記定着ローラの下流側の部分に対向した第3の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、第1の部分及び第3の部分を経て上記定着ベルトに伝えることとすれば、定着ベルトのかかる部分を良好に加熱して加熱ローラの熱を有効に利用することができ、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0093】
伝熱部材が、定着ローラ周面の定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分を有し、加熱ローラからの熱を、少なくとも第1の部分と第4の部分とを経て上記定着ローラに伝えることとすれば、定着ローラを予熱しておくこと及び定着ローラの温度を維持することができ、定着ベルト回転開始時に定着ローラの吸熱による定着ベルトの温度低下を抑制し、また定着ベルトの温度を均一且つ良好に維持して定着不良を防止し、良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0094】
第1の部分が、加熱ローラ周面に接触していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりがさらに早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を良好に保つことができる定着装置を提供することができる。
【0095】
第1の部分が、加熱ローラ周面に非接触であることとすれば、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0096】
第1の部分が、加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度以上のときには非接触であることとすれば、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、且つ、昇温時における加熱ローラの熱を伝熱部材によって良好に伝達して定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができる定着装置を提供することができる。
【0097】
伝熱部材の少なくとも一部がバイメタルであって、同伝熱部材の温度に応じた変形により、第1の部分が、加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触であることとすれば、比較的簡易な構成で確実に温度に応じて伝熱部材を加熱ローラに接離できるとともに、これにより、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、且つ、昇温時における加熱ローラの熱を伝熱部材によって良好に伝達して定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができる定着装置を提供することができる。
【0098】
伝熱部材を駆動する駆動手段を有し、この駆動手段が、第1の部分を、加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または定着ベルト内面に接触させ、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触とするように駆動することとすれば、所定温度に厳密に伝熱部材を加熱ローラに接離できるとともに、これにより、加熱ローラ周面の磨耗を防止しつつ、且つ、昇温時における加熱ローラの熱を伝熱部材によって良好に伝達して定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0099】
第2の部分が定着ベルトの内面に当接していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりがさらに早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を良好に保つことができる定着装置を提供することができる。
【0100】
伝熱部材が第3の部分を有する定着装置において、第3の部分が定着ベルトの内面に当接していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温にさらに確実且つ有効に利用することができ、定着ベルトの温度の低下を抑制して定着に適した温度を良好に保つことができる定着装置を提供することができる。
【0101】
伝熱部材が第4の部分を有する定着装置において、第4の部分が定着ベルト周面に当接していることとすれば、伝熱部材からの熱の伝達を良好に行うことができ、加熱ローラの熱を定着ローラの予熱や昇温に確実且つ有効に利用することができ、定着ベルト回転時の温度低下をさらに抑制し、また定着ベルトの温度をさらに均一且つ良好に維持して定着不良を防止し、さらに良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0102】
伝熱部材が第1の部分と第2の部分と第3の部分と第4の部分とを有する定着装置において、上記伝熱部材が、ローラ状をなしていることとすれば、簡易な構成で加熱ローラの熱を定着ベルトの各部分及び定着ローラに伝えることができる定着装置を提供することができる。
【0103】
第1の部分、第2の部分、第3の部分、第4の部分のうちの少なくとも1つの部分が、当該部分が対向する部材に接触する定着装置において、ローラ状の伝熱部材が、当該部分が接触した当該部材に従動回転することとすれば、駆動手段を用いることなく簡易な構造で伝熱部材を回転させ、加熱ローラの熱をムラなく定着ベルトの各部分及び定着ローラに良好に伝えることができる定着装置を提供することができる。
【0104】
伝熱部材が、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することとすれば、またさらに、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0105】
伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する定着装置において、上記伝熱部材が、当該非接触の部分が当該部分の対向する非接触の部材に熱伝達を行うように、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することとすれば、伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する場合であっても、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことが担保できる定着装置を提供することができる。
【0106】
伝熱部材が、他の部材に対向する面側に、加熱ローラ周面の定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を有することとすれば、伝熱部材に断熱作用を持たせるとともに、加熱ローラ、定着ベルト等の保温作用を持たせることにより、また一段と、加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、昇温が速く、立ち上がりが早いとともに、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができる定着装置を提供することができる。
【0107】
伝熱部材が、加熱ローラの軸方向における中央部の材料及び/または面処理及び/または一体化された部材と両端部のそれとが異なり、上記中央部の熱伝導率が、上記両端部の熱伝導率よりも高いこととすれば、中央部の熱が両端部に均等に伝達され、かかる軸方向における各部材の温度分布を均一にして、軸方向全体におけるコールドオフセット及びホットオフセットを防止して良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0108】
定着ベルトの内側に設けられ、加圧ローラが定着ベルトに当接する領域を、定着ローラと加圧ローラとが対向した領域よりも上記定着ベルトの回転方向の上流側に広げるように上記定着ベルトに当接しているとともに、伝熱部材と係合して同伝熱部材の熱を上記定着ベルトに伝える当接部材を有することとすれば、当接部材により、ニップ幅を拡大してより良好な定着を行うことができるとともに、当接部材によっても定着ベルトへの熱の伝達を行い、特にニップにおける定着ベルトの温度を良好に保つことで良好な定着を行うことができる定着装置を提供することができる。
【0109】
加熱ローラが、その表面温度の昇温を促進するため及び/または上記伝熱部材への熱伝達性を向上するため表面処理が施されていることとすれば、加熱ローラ自身の構成により加熱ローラによる加熱の効率を向上し、立ち上がりが早いという利点や伝熱部材による熱伝達をより良好に行い加熱ローラの熱を定着ベルトの昇温に確実且つ有効に利用することができ、温度の低下を抑制して定着に適した温度を保つことができるという利点を有する定着装置を提供することができる。
【0110】
本発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置に備えられた伝熱部材にあるので、かかる定着装置において各効果を奏することを実現するに不可欠であるとともに、上述の各形態とすることができ設計上の自由度が高く定着装置の設計上の自由度も向上する伝熱部材を提供することができる。
【0111】
本発明は、請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置を有する画像形成装置にあるので、上述の各効果を奏し、定着性能が良好であることにより良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示した定着装置の要部を示す斜視図である。
【図3】図1に示した定着装置の要部を示す側面図である。
【図4】図2及び図3に示した伝熱部材の斜視図である。
【図5】伝熱部材の別の構成例を示す側面図である。
【図6】伝熱部材のまた別の構成例を示す側面図である。
【図7】伝熱部材のさらに別の構成例を示す側面図である。
【図8】伝熱部材のまたさらに別の構成例を説明するための斜視図である。
【図9】定着装置が当接部材を有する場合を示す側面図である。
【図10】伝熱部材がローラ状をなす場合を示す斜視図である。
【図11】伝熱部材がローラ状をなす場合の別の例を示す斜視図である。
【図12】従来から用いられているローラ対向式の定着装置の例を示す斜視図である。
【図13】従来から用いられているベルト式の定着装置の例を示す斜視図である。
【図14】ローラ対向式の定着装置においてローラ径によりニップ幅が異なる場合の例を示す側面図である。
【図15】ベルト式の定着装置において定着ベルトの加圧ローラへの巻き掛け量を説明するための側面図である。
【図16】ローラ対向式の定着装置において加圧ローラ表面に設けた層によりニップ幅が異なる場合の例を示す側面図である。
【図17】ベルト式の定着装置において定着ベルトの熱源を追加した例を示す斜視図である。
【図18】ローラ対向式の定着装置において電磁誘導式の加熱を行う例を示す側面図である。
【図19】図18に示した定着装置におけるコイルの配設態様を示す斜視図である。
【図20】ベルト式の定着装置において電磁誘導式の加熱を行う例を示す側面図である。
【図21】加熱手段を備えた加熱ローラまたは加圧ローラの両端部から熱が逃げる様子を示す斜視図である。
【図22】ベルト式の定着装置において加熱ローラの定着ベルトを巻き掛けられていない部分から熱が逃げる様子を示す側面図である。
【図23】ベルト式の定着装置において加圧ローラの定着ベルトに当接していない部分から熱が逃げる様子を示す側面図である。
【図24】両端部と中央部とで温度分布が異なることにより定着不良が起こることを説明するための斜視図である。
【図25】ベルト式の定着装置において定着ベルトの熱が定着ローラに奪われる様子を示す側面図である。
【符号の説明】
1 伝熱部材
1a 伝熱部材の両端部
1b 伝熱部材中央部
2 加熱ローラ
3 加圧ローラ
4 加圧ローラと定着ベルトとが対向する領域
8 定着ベルト
9 定着ローラ
31 第1の部分
32 第2の部分
33 第3の部分
34 第4の部分
44 断熱部材
54 当接部材
100 画像形成装置
108 定着装置
C 定着ベルトの回転方向
Claims (21)
- トナーを定着される記録媒体を搬送するための無端の定着ベルトと、
上記定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラと、
上記定着ベルトを介して上記定着ローラに対向して配置され上記定着ローラと対向する領域で同定着ベルトに当接する加圧ローラとを有する定着装置において、
上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第1の部分と、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの下流側かつ上記定着ローラの上流側の部分に対向した第2の部分とを有し、上記加熱ローラからの熱を第1の部分及び第2の部分を経て上記定着ベルトに伝えるための伝熱部材を有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記定着ベルトの内面の上記加熱ローラまたは上記定着ローラに巻き掛けられた部分以外の部分であって上記定着ベルトの回転方向における上記加熱ローラの上流側かつ上記定着ローラの下流側の部分に対向した第3の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、第1の部分及び第3の部分を経て上記定着ベルトに伝えることを特徴とする定着装置。
- 請求項1または2記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記定着ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分に対向した第4の部分を有し、上記加熱ローラからの熱を、少なくとも第1の部分と第4の部分とを経て上記定着ローラに伝えることを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラ周面に接触していることを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラ周面に非接触であることを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着装置において、第1の部分が、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度以上のときには非接触であることを特徴とする定着装置。
- 請求項6記載の定着装置において、上記伝熱部材の少なくとも一部がバイメタルであって、同伝熱部材の温度に応じた変形により、第1の部分が、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触し、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触であることを特徴とする定着装置。
- 請求項6記載の定着装置において、上記伝熱部材を駆動する駆動手段を有し、この駆動手段が、第1の部分を、上記加熱ローラの温度が所定温度より低いときには上記加熱ローラ周面及び/または上記定着ベルト内面に接触させ、上記加熱ローラの温度が所定温度より高いときには非接触とするように駆動することを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし8の何れか1つに記載の定着装置において、第2の部分が上記定着ベルトの内面に当接していることを特徴とする定着装置。
- 請求項2ないし9の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第3の部分を有する定着装置において、第3の部分が上記定着ベルトの内面に当接していることを特徴とする定着装置。
- 請求項3ないし10の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第4の部分を有する定着装置において、第4の部分が上記定着ローラ周面ベルトの内面に当接していることを特徴とする定着装置。
- 請求項3ないし11の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が第1の部分と第2の部分と第3の部分と第4の部分とを有する定着装置において、上記伝熱部材が、ローラ状をなしていることを特徴とする定着装置。
- 請求項12記載の定着装置であって、第1の部分、第2の部分、第3の部分、第4の部分のうちの少なくとも1つの部分が、当該部分が対向する部材に接触する定着装置において、上記伝熱部材は、当該部分が接触した当該部材に従動回転することを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし13の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし13の何れか1つに記載の定着装置であって、上記伝熱部材が、対向する部材に非接触の部分を有する定着装置において、上記伝熱部材は、当該非接触の部分が当該部分の対向する非接触の部材に熱伝達を行うように、熱伝導性の高い材料により構成され及び/または熱伝導性の高い面処理を施され及び/または熱伝導性の高い部材を有することを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし15の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、他の部材に対向する面側に、上記加熱ローラ周面の上記定着ベルトを巻き掛けた部分以外の部分からの熱の流出を防止するための断熱部材を有することを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし16の何れか1つに記載の定着装置において、上記伝熱部材は、上記加熱ローラの軸方向における中央部の材料及び/または面処理及び/または一体化された部材と両端部のそれとが異なり、上記中央部の熱伝導率が、上記両端部の熱伝導率よりも高いことを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし17の何れか1つに記載の定着装置において、上記定着ベルトの内側に設けられ、上記加圧ローラが上記定着ベルトに当接する領域を、上記定着ローラと上記加圧ローラとが対向した領域よりも上記定着ベルトの回転方向の上流側に広げるように上記定着ベルトに当接しているとともに、上記伝熱部材と係合して同伝熱部材の熱を上記定着ベルトに伝える当接部材を有することを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし18の何れか1つに記載の定着装置において、上記加熱ローラは、その表面温度の昇温を促進するため及び/または上記伝熱部材への熱伝達性を向上するため表面処理が施されていることを特徴とする定着装置。
- 請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置に備えられた伝熱部材。
- 請求項1ないし19の何れか1つに記載の定着装置を有する画像形成装置。
Priority Applications (1)
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JP2002370570A JP2004198980A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 定着装置、伝熱部材及び画像形成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016024217A (ja) * | 2014-07-16 | 2016-02-08 | キヤノン株式会社 | 画像加熱装置 |
JP7391614B2 (ja) | 2019-11-01 | 2023-12-05 | 東芝テック株式会社 | 定着装置及び画像形成装置 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002370570A patent/JP2004198980A/ja active Pending
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