JP2004198701A - 焦点検出光学系及びそれを備えたカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の135FやAPSサイズを前提とした焦点検出光学系にはない全く新規なサイズでのカメラの小型化に対応した検出精度を持ち、色収差、歪曲収差が良好に補正された高精度な焦点検出が可能な焦点検出光学系及びそれを備えたカメラを提供する。
【解決手段】結像倍率mgが条件式(1)を満足し、かつ、撮影レンズの結像面と等価な予定結像面I近傍に条件式(2)を満足するコンデンサーレンズL1と、一対の開口絞りS1と、条件式(3)を満足する、開口絞りS1に対応した一対の再結像レンズL21とを備えている。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、R1,R2は夫々コンデンサーレンズの入射側面,出射側面の曲率半径、R3,R4は夫々再結像レンズの入射側面,射出側面の曲率半径である。
【選択図】 図1
【解決手段】結像倍率mgが条件式(1)を満足し、かつ、撮影レンズの結像面と等価な予定結像面I近傍に条件式(2)を満足するコンデンサーレンズL1と、一対の開口絞りS1と、条件式(3)を満足する、開口絞りS1に対応した一対の再結像レンズL21とを備えている。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、R1,R2は夫々コンデンサーレンズの入射側面,出射側面の曲率半径、R3,R4は夫々再結像レンズの入射側面,射出側面の曲率半径である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラや銀遠の一眼レフレックスカメラ等に用いられる焦点検出光学系に関し、特に撮影レンズの瞳を二つの領域に分割し、各領域を通過する光束により二つの第2次物体像を形成し、これらの第2次物体像の相対的な位置関係を検出することにより結像レンズの焦点位置を検出する焦点検出光学系及びそれを備えたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、撮影レンズにより結像される一次像を、コンデンサーレンズと一対の再結像レンズとから構成される再結像光学系とを介して一対の受光素子上にそれぞれ再結像させ、これら二像の光強度分布を比較し相関演算することによって、二像の間隔を求めてピントズレ量を得る焦点検出光学系がある。例えば、上記演算により求められた二像間隔をY0、ある任意の点での二像間隔をY1とすると、それらの差δ=Y1−Y0とデフォーカス量とは相関関係があるため、この差δを求めることで焦点検出を行うことができる。
このような焦点検出光学系に対しては、測距精度向上や収差補正のために、従来、様々な提案がなされている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−32012号公報
【特許文献2】
特開昭62−25715号公報
【特許文献3】
特開昭62−69217(特公平7−31300)号公報
【特許文献4】
特開昭62−32013号公報
【特許文献5】
特開昭62−79407号公報
【0004】
例えば、特許文献1及び2に開示された焦点検出光学系は、いずれも歪曲収差補正のために、コンデンサーレンズの少なくとも一面を回転双曲面又は楕円面等の非球面に形成している。
【0005】
また、特許文献3に開示された焦点検出光学系は、歪曲収差及び色収差の補正のために、再結像レンズの入射側面と射出側面とを偏心させている。また、特許文献4に開示された焦点検出光学系は、歪曲収差及び色収差の補正のために、開口中心と平凸レンズで構成される再結像レンズのR面とを偏心させている。更に、特許文献5に開示された焦点検出光学系は、歪曲収差及び色収差の補正のために、再結像レンズの一方の面を球面に形成し、他方の面をプリズム作用を持った傾斜面に形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の半導体技術の発展により、デジタルカメラに用いられる固体撮像素子の小型化、高精細化の進歩は著しく、固体撮像素子を用いた1眼レフレックスタイプのデジタルカメラ等においても小型化が強く望まれている。
ここで、この種のカメラを小型化するためにイメージサークルを従来の135FやAPSサイズのカメラのものより小型化させるとした場合、例えば135Fに比べて約半分のイメージサークルのカメラを想定する。焦点検出光学系として検出用の撮像素子を含むすべての光学系に、従来の135Fのカメラに対応した焦点検出光学系をそのまま用いる場合、撮影した写真を同じ大きさにプリントしようとすると、引き伸ばし倍率が約2倍となる。この写真をある一定の観察条件で見ると、許容錯乱円半径は従来の135Fと比べて、約半分と考えなければならない。したがって許容錯乱円径が小さくなるにもかかわらず、相対的に画素ピッチが大きくなるので検出精度が低下する。
【0007】
この場合において検出精度を低下させないためには、検出用撮像素子の画素ピッチを小さくするか焦点検出光学系の結像倍率を上げる必要がある。このため、この種のカメラを小型化するためには、従来の135F又はAPSサイズのカメラに対応した焦点検出光学系は採用できない。
しかも、検出用撮像素子の画素ピッチを小さくするか焦点検出光学系の結像倍率を上げた場合には、歪曲収差や色収差等の収差についても従来の焦点検出光学系と同程度の収差量のままでは、誤測距の要因になりかねず、従来の焦点検出光学系以上の十分な補正が必要となる。
従って、この種のカメラの小型化のためには、小型のイメージサークルに対応した高精度の焦点検出精度を有し、収差についても十分に補正された焦点検出学系が望まれる。
【0008】
しかしながら、特許文献1〜5に開示されているような従来の焦点検出光学系は、135Fの銀塩カメラを前提に提案されたものであり、測距精度、収差補正ともに、よりイメージサークルを小型化した場合に求められる測距精度、収差補正の要求レベルには達していない。
このように、従来の焦点検出光学系は、135F又はAPSサイズのカメラを前提として提案されたものはあるが、さらに上記この種のカメラの小型化を前提とし、その小型化に対応して収差補正がなされ、測距精度を備えた焦点検出光学系及びそれを備えたカメラは未だ存在していない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みて、従来の135FやAPSサイズを前提とした焦点検出光学系にはない全く新規なサイズでのカメラの小型化に対応した検出精度を持ち、色収差、歪曲収差が良好に補正された高精度な焦点検出が可能な焦点検出光学系及びそれを備えたカメラを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1の発明による焦点検出光学系は、少なくとも一対の第2次物体像の位置関係から撮影光学系の焦点位置を検出する焦点検出光学系において、焦点検出光学系の結像倍率が次の条件式(1)を満足し、かつ、撮影レンズの結像面と等価な予定結像面近傍に配置された次の条件式(2)を満足するコンデンサーレンズと、該コンデンサーレンズの出射側に配置された前記撮影レンズの瞳を2つの領域に分割する一対の開口絞りと、次の条件式(3)を満足する、前記開口絞りに対応した2つの第2次物体像を形成するための一対の再結像レンズとを備えたことを特徴としている。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、mgは焦点検出光学系の結像倍率、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。
【0011】
また、本第2の発明として、本第1の発明の焦点検出光学系は、次の条件式(4)を満足することを特徴としている。
|Δ|<1.55λ …(4)
ただし、Δは受光素子面上でのC線とF線のスポット重心位置の差、λはE線の波長である。
【0012】
また、本第3の発明として、本第1又は第2の発明の焦点検出光学系は、次の条件式(5)を満足することを特徴としている。
3.50×10-4>|δd/D| …(5)
ただし、δdは測距エリア最周辺の像高誤差(mm)、Dは2像間の距離(mm)である。
【0013】
また、本第4の発明として、本第1〜第3のいずれかの発明の焦点検出光学系は、前記一対の開口絞りと対応する前記一対の再結像レンズとの組み合わせを複数組有し、各組におけるそれぞれの前記開口絞りの中心及びそれに対応する前記再結像レンズが前記撮影レンズの光軸から偏心し、かつ、その偏心量が、各組ごとにそれぞれ異なるのが好ましい。
【0014】
また、本第5の発明として、本第1〜第4のいずれかの発明の焦点検出光学系は、次の条件式(6)を満足するのが好ましい。
0.85<LTL/f1<1.75 …(6)
ただし、LTLは焦点検出光学系の光路長(フィルム等価面から光電変換受光面までの長さ)、f1は焦点検出光学系全系の焦点距離である。
【0015】
また、本第6の発明として、本第1〜5のいずれかの発明の焦点検出光学系は、前記再結像レンズが、その光軸が前記撮影レンズの光軸に対して前記開口絞りの中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置されているのが好ましい。
【0016】
また、本第7の発明による焦点検出光学系を備えたカメラは、請求項1〜6のいずれかに記載の焦点検出光学系と、ファインダー光学系と、前記撮影レンズと、前記撮影レンズからの光路を撮像素子又はフィルム面の方向と前記ファインダー光学系方向とに分割する光路分割手段と、前記撮影レンズからの光路を前記焦点検出光学系方向に導く反射手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果を説明する。
本発明のような焦点検出光学系では、主に2つの収差を補正する必要がある。一つは歪曲収差で、像高誤差とも呼ばれている。焦点検出光学系では、撮影レンズの一次結像面(結像面)と等価な面(予定結像面)に測距エリアを仮定し、そのエリア内にある像を焦点検出光学系に設けられた再結像レンズなどの2次結像レンズを介して検出手段である光電変換素子を備えた受光面に2つの像に分割して結像させ、この2像の相対的な位置関係を検出することにより撮影レンズのフォーカス位置を検出する。その際、この歪曲収差が大きいと、測距エリアの中心と周辺とで像の大きさが異なってしまい、測距精度に悪影響が出る。そのため、コンデンサーレンズと、再結像レンズの双方でそれぞれ収差発生量を抑える必要がある。
【0018】
もう一つは色収差である。実際のいろいろな撮影シーンを考えた場合、様々な光源のもとでの撮影が考えられる。焦点検出光学系自体に色収差があると、この撮影シーンごとに測距位置が変化してしまう。そこで、焦点検出光学系の色収差をある程度補正する必要が出てくる。
【0019】
また、焦点検出光学系が設計上では良好に収差が補正されたものであったとしていても、実際のカメラに搭載されたときに測距精度が保証されていなければ意味がない。そのためには、焦点検出光学系が、製造誤差感度が小さく、作り易い構成のものでなければならない。
【0020】
本発明の焦点検出光学系は、カメラを従来の135FやAPSサイズのものよりも更に小型化でき、かつ、上記条件を満たして焦点検出精度を高くした焦点検出光学系を実現したものである。
焦点検出精度の高精度化に際し重要なのが倍率である。本発明ではイメージサークルが135Fの約半分となる撮影光学系での焦点検出を想定し、焦点検出光学系の倍率が条件式(1)を満足するように構成している。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
ただし、mgは焦点検出光学系の結像倍率である。
【0021】
本発明のようなイメージサークルが135Fの約半分の撮影光学系での焦点検出を想定した場合、像面での許容デフォーカス量がかなり小さいものとなる。
焦点検出光学系の倍率が条件式(1)を下回ると、AF検出精度で決まる検出可能な最小デフォーカス量が許容錯乱円よりも大きくなってしまうため、本発明の焦点検出光学系としてふさわしくない。
一方、条件式(1)の上限を上回ると、受光素子列を大きくしないとデフォーカス量の検出範囲が小さくなってしまい、ある一定以上のデフォーカス検出範囲を確保するために受光素子列の大型化が必要になるため好ましくない。
【0022】
また、本発明ではコンデンサーレンズを条件式(2)を満足するように構成している。
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
ただし、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径である。
【0023】
条件式(2)を満足しないで、レンズ面の前後の曲率半径の格差が大きくなると軸外収差の発生量が次第に大きくなるので、好ましくない。
なお、好ましくは、コンデンサーレンズを、次の式(2')を満足するように、曲率半径の等しい両凸レンズで構成するのが望ましい。
|R1/R2|=1 …(2')
ただし、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径である。
条件式(2')を満足すれば、前後の面での歪曲収差発生量を極力小さく抑えることができる。また、色収差についても、C線とF線の収差発生量のバランスをうまくとることができる。
【0024】
また、本発明では再結像レンズを条件式(3)を満足するように構成している。
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。
さらに好ましくは、再結像レンズを次の式(3')を満足する凸平レンズで構成するのが望ましい。
|R3/R4|=0 …(3')
ただし、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。
【0025】
再結像レンズは、明るさ絞りである開口のすぐ後方に配置されるが、像高誤差と色収差とを同時に補正するために再結像光学系を構成する再結像レンズの光軸が、撮影レンズの光軸に対して、前記開口絞りの中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置される。このとき再結像レンズを両凸レンズで構成すると、色収差を補正するために、特許文献3に記載の光学系のように、再結像レンズの前後の面を偏心させなければならなくなる。しかし、片方を平面にし、凸面だけを開口から偏心させれば、色収差に対しては両凸レンズで構成したときと同等の効果を得ることができる。ただし、製造誤差等も考慮すると、条件式(3)の範囲で平面をある程度の曲率半径まで許容しておく必要がある。
【0026】
また、特に多点AFに対応した再結像光学系の場合は、多いものでは、10個以上にもなる複数個の再結像レンズを一体成型して構成するため、凸面と平面とを組み合わせるのが製造上からみても有利となる。
また、このような場合、凸面の曲率半径はすべての再結像レンズで同じにするのが好ましい。
また、再結像レンズを入射側から凸平の順の形状とすると、主点位置をより物体側に配置することができ、再結像レンズをより撮像素子に近づけて配置することができる。そのため、コンデンサーレンズと再結像レンズとの間隔を広くとることができ、光路が折り曲げられた構成の場合に再結像レンズの直前に配置される反射ミラーの配置スペースが広がり、光路折り曲げの自由度が増大する。
そして、本発明のように上記コンデンサーレンズと再結像レンズとを組み合わせれば、イメージサークルを135Fの約半分とした焦点検出光学系であっても、歪曲収差、色収差の両方を同時に良好に保つことができる。
また、本発明の焦点検出光学系は、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
0.55<Lx1/Lx2<0.75 …(7)
ただし、Lx1は予定結像面から受光素子までの間隔(mm)、Lx2は予定結像面から再結像レンズの前面までの間隔(mm)である。
条件式(7)は焦点検出光学系をコンパクトに折り曲げるための条件式であり、特に図3に示すように、ミラーを介して同一平面内でZ字型に折り曲げ、ミラーと光電変換素子列の間に再結像光学系を配置するときに製造コストを高めることなく、更には上述の凸平レンズとすることとの組み合わせにより、ミラーの最適な位置を導くための条件式である。
条件式(7)の下限値を下回ると、ミラーの位置がコンデンサーレンズに近づくのでミラー以降の長さが長くなりカメラ本体内部での焦点検出光学系のコンパクト化が妨げられてしまう。一方、条件式(7)の上限値を上回ると、再結像光学系が大きくなり、製造コストが増大してしまう。
【0027】
なお、上述の条件式(2),(3)を満足することにより、色収差、像高誤差は良好に補正されるが、その収差量の許容範囲は、次の条件式(4),(5)を満足する必要がある。この値は、本発明の収差目標値になるが、従来の135Fサイズ対応の焦点検出光学系と比べると、極めて小さな値となる。
【0028】
即ち、本発明の焦点検出光学系では、色収差についても良好に補正するために、受光素子面上でのC線とF線とのスポット重心位置の差Δが条件式(4)を満足するようにしている。
|Δ|<1.55λ …(4)
ただし、Δは受光素子面上でのC線とF線のスポット重心位置の差、λはE線の波長である。
Δの値が条件式(4)の下限値を下回ると、撮影で様々な光源を使用する場合、焦点検出光学系の色収差により撮影シーンごとに測距位置が変化してしまう。
【0029】
また、本発明の焦点検出光学系では、像高誤差については、次の条件式(5)を満足するようにしている。
3.50×10-4>|δd/D| …(5)
ただし、δdは測距エリア最周辺の像高誤差(mm)、Dは2像間の距離(mm)である。
条件式(5)を満足すれば、像高誤差による測距精度への悪影響が少なくなる。|δd/D|の値が条件式(5)の下限値を下回ると、焦点検出光学系の2次結像レンズにより光電変換素子を備えた受光面に結像した2像の相対的位置関係を検出して撮影レンズのフォーカス位置を検出する際、測距エリアの中心と周辺とで像の大きさが異なってしまい、測距精度に悪影響が出てしまう。
【0030】
更に、本発明の焦点検出光学系では、条件式(6)を満足するのが好ましい。
0.85<LTL/f1<1.75 …(6)
ただし、LTLは焦点検出光学系の光路長(フィルム等価面から光電変換受光面までの長さ)、f1は焦点検出光学系全系の焦点距離である。
条件式(6)は焦点検出光学系の最適な光路長を決めるための条件式である。
条件式(6)を満足すると、おおよそ最適な2像間隔が得られる。また、受光面である光電変換素子を適正な大きさにする2像間隔が得られ、受光面の光電変換素子の大きさをあまり大きくすることなく、ある程度のデフォーカス量を確保することができる。また、収差補正についても有利となる。
条件式(6)の上限値を上回ると、色収差発生量が大きくなり、誤測距の一因となる。一方、条件式(6)の下限値を下回ると、撮影レンズの射出瞳と焦点検出光学系の入射瞳とを合致させづらくなり、ケラレの原因となるため好ましくない。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施例にかかる焦点結像光学系の光学構成を示す図であり、(a)は光軸に沿う断面図、(b)は(a)における開口絞りの重心間隔と再結像レンズの光軸間の距離を示す説明図である。
第1実施例にかかる焦点結像光学系は、図示省略した撮影レンズの結像面と等価な予定結像面Iから光電変換素子列Eの方向に順に、赤外カットフィルターFと、コンデンサーレンズL1と、一対の開口絞りS1,S1を備えた開口絞り群Sと、一対の再結像レンズL21,L21を一体形成した再結像光学系L2と、カバーガラスCGを有して構成されている。
光電変換素子列Eは、カバーガラスCGの入射側とは反対側の面に設けられている。
各再結像レンズL21は、図1(b)に示すように、その光軸が撮影レンズの光軸に対して対応する開口絞りS1の中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置されている。
【0032】
なお、本実施例のコンデンサーレンズ及び再結像レンズは、光学作用面が球面のみで構成してある。
光学作用面に非球面を用いれば、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の焦点検出光学系光学系のように、コンデンサーレンズの少なくとも一面を非球面で構成することにより、コンデンサーレンズで発生する収差を補正することができる。
しかしながら、非球面での収差補正量を大きくすると、製造誤差感度が大きくなってしまう。一方、製造誤差感度を小さくすると、非球面による収差補正の効果が薄れるため、レンズの出来映えまでをも勘案して総合的に見ると、コンデンサーレンズの面を非球面にするメリットはあまり期待できない。
また、特許文献3や特許文献5に記載の光学系のように、再結像レンズの片側の面を偏心させることにより、色収差を軽減する効果が出てくる。
そこで、この再結像レンズの光学作用面を非球面で構成して、コンデンサーレンズの光学作用面を非球面することでは補正しきれない収差補正を分担させることも考えられる。
しかし、この種の再結像光学系は、少なくとも2個を上回る偶数個の再結像レンズを同時に一体成型して構成するものであり、光学作用面を非球面とし、かつ、偏心精度をある一定のレベルで作り込むには、コストの面でもかなりの不利になる。しかも、再結像レンズは、偏心量が2個の再結像レンズを介して結ばれる2像の間隔に対して感度が大きいため、再結像レンズを非球面とした場合の製造誤差が測距精度に直接影響を及ぼしてしまう。
以上の理由から、第1及び第2実施例では、焦点検出光学系を構成するコンデンサーレンズ及び再結像レンズの光学作用面を球面のみの構成としてある。ただし、上記製造誤差感度の問題点が解決できれば、もちろん非球面も活用可能である。
【0033】
次に、第1実施例の焦点検出光学系を構成している光学部材の数値データを示す。
本実施例の数値データにおいて、r1、r2、…は各光学作用面の曲率半径、d1、d2、…は各光学部材の肉厚または空気間隔、nd1、nd2、…は各光学部材のd線での屈折率、νd1、νd2、…は各光学部材のアッべ数を表している。
なお、これらの記号は後述の実施例の数値データにおいても共通である。
【0034】
【0035】
開口絞り重心間隔:1.394(偏心量:0.697)
再結像レンズ光軸間距離:1.474(偏心量:0.737)
(条件式パラメータ)
|R1/R2|=1
|R3/R4|=0
LTL/f1=1.03
|Δ/λ|=0.0025
|δd/D|=0.40×10-4
【0036】
第2実施例
第2実施例にかかる焦点結像光学系は、コンデンサーレンズL1と赤外カットフィルターFの位置が、図1に示した第1実施例と入れ替わっている。その他の構成は第1実施例とほぼ同様である。なお、図示は省略してある。
【0037】
次に、第2実施例の焦点検出光学系を構成している光学部材の数値データを示す。
【0038】
開口絞り重心間隔:1.198(偏心量:0.589)
再結像レンズ光軸間距離:1.324(偏心量:0.662)
(条件式パラメータ)
|R1/R2|=0.83
|R3/R4|=0
LTL/f1=1.64
|Δ/λ|=1.34
|δd/D|=1.53×10-4
【0039】
第3実施例
第3実施例にかかる焦点結像光学系は、第2実施例と同様に、コンデンサーレンズL1と赤外カットフィルターFの位置が、図1に示した第1実施例と入れ替わっている。その他の構成は第1実施例とほぼ同様である。なお、図示は省略してある。
【0040】
次に、第3実施例の焦点検出光学系を構成している光学部材の数値データを示す。
【0041】
開口絞り重心間隔:1.424(偏心量:0.712)
再結像レンズ光軸間距離:1.440(偏心量:0.770)
(条件式パラメータ)
|R1/R2|=1.06
|R3/R4|=0
LTL/f1=1.28
|Δ/λ|=0.93
|δd/D|=1.66×10-4
【0042】
なお、上記各実施例は、画面中心部の横方向からの測距に対応した光学系として一対の開口絞り及び再結像レンズ(図1では、再結像レンズは重なっているため手前側の再結像レンズのみ見えている。)を備えるように構成したものであるが、上記各実施例で示した一対の開口絞り及び再像レンズをそのまま複数組配置すれば、多点測距タイプの焦点光学系を構成することができる。
【0043】
図2(a)〜(c)は本発明の焦点検出光学系を多点測距タイプの焦点検出光学系として構成する場合の開口絞りのパターンを模式的に例示した説明図である。
図2(a)に示す開口絞りは、画面中心部の縦横方向と、画面周辺部の縦方向の測距に対応させた配置となっている。また、各組の一対の開口絞りの間隔は全く同じにしてある。
図2(a)に示す開口絞りを用いれば、これと同様に対応する各組の一対の再結像レンズの間隔も同じにして複数組の光学系を構成することができ、しかも、全く同じ光学系を配置すればよいので、製造面及びコスト面のメリットが大きい。
【0044】
また、受光面の光電変換素子の大きさ等に応じて、測距するそれぞれの位置での開口絞りの大きさ、間隔、再結像レンズの光軸間の距離等をそれぞれ異ならせてもよい。
図2(b)に示す開口絞りは、画面中心部の縦横方向と、画面周辺部の縦方向の測距に対応させた配置となっているが、図2(a)の開口絞りとは異なり、中心部と周辺部とで一対の開口絞りの間隔、つまりは開口絞りの重心位置を異ならせてある。
【0045】
あるいは、画面中心部の縦横方向と、画面周辺部の縦横方向の測距に対応させる場合には、図2(c)に示す配置の開口絞りが考えられる。図2(c)に示す開口絞りは、中心部の縦横方向、周辺部の縦横方向にそれぞれ一対設けられ、一対の開口絞りの間隔(重心位置)、形状等を最適化してある。なお、開口絞りの形状は、組み合わせる光学系に応じて、図2(a),(b)に示す形状や、あるいは図2(c)に示す形状のいずれも適用可能である。
【0046】
このように、それぞれ測距方向の光電変換素子列に合わせて、最適な間隔及び方向に開口絞りを配置し、さらに一対の再結像レンズの光軸間の距離を開口絞りに対してそれぞれ最適な距離となるように配置することで、諸収差を小さくすることもできる。さらには、2像の間隔を画面中心部と画面周辺部とにおいてそれぞれ適正な間隔にすることができ、適切なデフォーカス範囲を確保することが可能となる。
【0047】
次に、このような本発明の焦点検出光学系を用いたカメラの実施例を説明する。
第4実施例
図3は本発明の第4実施例にかかる焦点検出光学系を用いた一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの概略構成図、図4は図3における焦点検出光学系の要部斜視図、図5は再結像光学系の概略構成を示す説明図である。
【0048】
本実施例のカメラは、図3に示すように、撮像光学系と、ファインダー光学系と、焦点検出光学系とを有している。
撮像光学系は、光路の順に、撮影レンズ1と、ハーフミラー2と、反射ミラー4を有して構成されている。
撮影レンズ1は、マウントを介してカメラ本体に着脱可能に構成されている。ハーフミラー2は、撮影レンズ1からの光路を撮像素子3の方向とファインダー光学系方向とに分割するように構成されている。また、ハーフミラー2は、図示省略したシャッターと連動して持ち上がるクイックリターンミラーで構成されている。
反射ミラー4は、撮影レンズ1からの光を焦点検出光学系に導くように構成されている。また、反射ミラー4は、ハーフミラー2と連動して持ち上がるように構成されていて、持ち上げられたときに光路から外れて撮影レンズ1からの光が撮像素子3に導かれるようになっており、撮影レンズ1からの光路を撮像素子方向と焦点検出光学系方向とに切替え可能になっている。
【0049】
焦点検出光学系は、図3に示すように、撮影レンズ1の結像面と等価な予定結像面I近傍に配置されたコンデンサーレンズL1と、コンデンサーレンズL1からの光を折り曲げてカメラ本体内でコンパクトに収めるための反射ミラーMと、縦横方向にそれぞれ一対の開口絞りS1を持つ開口絞り群Sと再結像レンズL21が開口絞りS21に対応して一体形成された再結像光学系L2との組み合わせと、光電変換素子列Eとで構成されている。
再結像レンズ群L2は、図4及び図5に示すように、光電変換素子列Eの配置方向に合わせて縦横方向にそれぞれ一対の再結像レンズL21を一体に備えて構成されている。なお、図4では開口絞り群Sは省略してある。
また、一対の開口絞りS1,S1と対応する一対の再結像レンズL2,L2との組み合わせにおいて、それぞれの開口絞りS1の中心及びそれに対応する再結像レンズL2は、撮影レンズ1の光軸から偏心している。また、その偏心量は、各組(本実施例においては、縦方向の組み合わせと横方向との組み合わせ)ごとにそれぞれ異なっている。
焦点検出光学系のその他の構成は、上記実施例1〜3に示した焦点検出光学系とほぼ同様である。
【0050】
ファインダー光学系は、ハーフミラー2で反射された方向の光路上において撮影レンズ1の結像面と等価な予定結像面に配置されたスクリーン5と、ペンタダハプリズム6と、接眼レンズ7とで構成されている。
その他、本実施例のカメラは、図示を省略したが、デジタルカメラに特有のLCDの表示装置や、画像記録のためのメモリ装置や、赤外カットフィルター等を備えている。
【0051】
このように構成された本実施例のデジタルカメラでは、撮影レンズ1からの光は、ハーフミラー2に入射する。ハーフミラー2で反射した光は、ファインダー光学系を介して肉眼で観察される。ハーフミラー2を透過した光は、反射ミラー2で反射された光は、焦点検出光学系を経て、図示しないシャッターボタンに設けられた測距スイッチから出される信号に応じて測距に使用される。
露光時には、反射ミラー4はハーフミラー2と連動して持ち上がり、撮影光学系の光路上からハーフミラーと反射面とが光路から外れることにより、最大の明るさの光が撮像素子3の受光面に受光される。
【0052】
なお、十分な明るさを確保できる場合は、反射ミラー2の代わりにハーフミラーを用いて固定してもよい。また、光路分割手段であるハーフミラー2を固定してもよい。
また、焦点検出光学系における光電変換素子としては、CCD(固体撮像素子)、CMOSセンサーなどを用いることができる。その場合、1次元構造のもの、2次元構造のもののいずれも使用可能であるが、コストパフォーマンスを考慮すると1次元のライン状に配列された光電変換素子を用いるのが好ましい。
その他、本発明の焦点検出光学系は、撮像素子を用いたカメラに好適であるが、135FやAPFサイズよりも小型のフィルムを前提としたカメラにも適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の135FやAPSサイズを前提とした焦点検出光学系にはない、全く新しい小型のイメージサークルでもって、許容錯乱円の小さい撮影光学系に適応した高精度の測距ができ、それに応じて歪曲収差、色収差も極力抑えた高性能な焦点検出光学系及びそれを備えたカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる焦点結像光学系の光学構成を示す図であり、(a)は光軸に沿う断面図、(b)は(a)における開口絞りの重心間隔と再結像レンズの光軸間の距離を示す説明図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の焦点検出光学系を多点測距タイプの焦点検出光学系として構成する場合の開口絞りのパターンを模式的に例示した説明図である。
【図3】本発明の第4実施例にかかる焦点検出光学系を用いた一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの概略構成図である。
【図4】図3における焦点検出光学系の要部斜視図である。
【図5】再結像光学系の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
L1 コンデンサーレンズ
CG カバーガラス
E 光電変換素子列
F 赤外カットフィルター
I 予定結像面
L2 再結像光学系
L21 再結像レンズ
S 開口絞り群
S1 開口絞り
1 撮影レンズ
2 ハーフミラー(光路分割手段)
3 撮像素子
4 反射ミラー(反射手段)
5 スクリーン
6 ペンタダハプリズム
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラや銀遠の一眼レフレックスカメラ等に用いられる焦点検出光学系に関し、特に撮影レンズの瞳を二つの領域に分割し、各領域を通過する光束により二つの第2次物体像を形成し、これらの第2次物体像の相対的な位置関係を検出することにより結像レンズの焦点位置を検出する焦点検出光学系及びそれを備えたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、撮影レンズにより結像される一次像を、コンデンサーレンズと一対の再結像レンズとから構成される再結像光学系とを介して一対の受光素子上にそれぞれ再結像させ、これら二像の光強度分布を比較し相関演算することによって、二像の間隔を求めてピントズレ量を得る焦点検出光学系がある。例えば、上記演算により求められた二像間隔をY0、ある任意の点での二像間隔をY1とすると、それらの差δ=Y1−Y0とデフォーカス量とは相関関係があるため、この差δを求めることで焦点検出を行うことができる。
このような焦点検出光学系に対しては、測距精度向上や収差補正のために、従来、様々な提案がなされている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−32012号公報
【特許文献2】
特開昭62−25715号公報
【特許文献3】
特開昭62−69217(特公平7−31300)号公報
【特許文献4】
特開昭62−32013号公報
【特許文献5】
特開昭62−79407号公報
【0004】
例えば、特許文献1及び2に開示された焦点検出光学系は、いずれも歪曲収差補正のために、コンデンサーレンズの少なくとも一面を回転双曲面又は楕円面等の非球面に形成している。
【0005】
また、特許文献3に開示された焦点検出光学系は、歪曲収差及び色収差の補正のために、再結像レンズの入射側面と射出側面とを偏心させている。また、特許文献4に開示された焦点検出光学系は、歪曲収差及び色収差の補正のために、開口中心と平凸レンズで構成される再結像レンズのR面とを偏心させている。更に、特許文献5に開示された焦点検出光学系は、歪曲収差及び色収差の補正のために、再結像レンズの一方の面を球面に形成し、他方の面をプリズム作用を持った傾斜面に形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の半導体技術の発展により、デジタルカメラに用いられる固体撮像素子の小型化、高精細化の進歩は著しく、固体撮像素子を用いた1眼レフレックスタイプのデジタルカメラ等においても小型化が強く望まれている。
ここで、この種のカメラを小型化するためにイメージサークルを従来の135FやAPSサイズのカメラのものより小型化させるとした場合、例えば135Fに比べて約半分のイメージサークルのカメラを想定する。焦点検出光学系として検出用の撮像素子を含むすべての光学系に、従来の135Fのカメラに対応した焦点検出光学系をそのまま用いる場合、撮影した写真を同じ大きさにプリントしようとすると、引き伸ばし倍率が約2倍となる。この写真をある一定の観察条件で見ると、許容錯乱円半径は従来の135Fと比べて、約半分と考えなければならない。したがって許容錯乱円径が小さくなるにもかかわらず、相対的に画素ピッチが大きくなるので検出精度が低下する。
【0007】
この場合において検出精度を低下させないためには、検出用撮像素子の画素ピッチを小さくするか焦点検出光学系の結像倍率を上げる必要がある。このため、この種のカメラを小型化するためには、従来の135F又はAPSサイズのカメラに対応した焦点検出光学系は採用できない。
しかも、検出用撮像素子の画素ピッチを小さくするか焦点検出光学系の結像倍率を上げた場合には、歪曲収差や色収差等の収差についても従来の焦点検出光学系と同程度の収差量のままでは、誤測距の要因になりかねず、従来の焦点検出光学系以上の十分な補正が必要となる。
従って、この種のカメラの小型化のためには、小型のイメージサークルに対応した高精度の焦点検出精度を有し、収差についても十分に補正された焦点検出学系が望まれる。
【0008】
しかしながら、特許文献1〜5に開示されているような従来の焦点検出光学系は、135Fの銀塩カメラを前提に提案されたものであり、測距精度、収差補正ともに、よりイメージサークルを小型化した場合に求められる測距精度、収差補正の要求レベルには達していない。
このように、従来の焦点検出光学系は、135F又はAPSサイズのカメラを前提として提案されたものはあるが、さらに上記この種のカメラの小型化を前提とし、その小型化に対応して収差補正がなされ、測距精度を備えた焦点検出光学系及びそれを備えたカメラは未だ存在していない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みて、従来の135FやAPSサイズを前提とした焦点検出光学系にはない全く新規なサイズでのカメラの小型化に対応した検出精度を持ち、色収差、歪曲収差が良好に補正された高精度な焦点検出が可能な焦点検出光学系及びそれを備えたカメラを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1の発明による焦点検出光学系は、少なくとも一対の第2次物体像の位置関係から撮影光学系の焦点位置を検出する焦点検出光学系において、焦点検出光学系の結像倍率が次の条件式(1)を満足し、かつ、撮影レンズの結像面と等価な予定結像面近傍に配置された次の条件式(2)を満足するコンデンサーレンズと、該コンデンサーレンズの出射側に配置された前記撮影レンズの瞳を2つの領域に分割する一対の開口絞りと、次の条件式(3)を満足する、前記開口絞りに対応した2つの第2次物体像を形成するための一対の再結像レンズとを備えたことを特徴としている。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、mgは焦点検出光学系の結像倍率、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。
【0011】
また、本第2の発明として、本第1の発明の焦点検出光学系は、次の条件式(4)を満足することを特徴としている。
|Δ|<1.55λ …(4)
ただし、Δは受光素子面上でのC線とF線のスポット重心位置の差、λはE線の波長である。
【0012】
また、本第3の発明として、本第1又は第2の発明の焦点検出光学系は、次の条件式(5)を満足することを特徴としている。
3.50×10-4>|δd/D| …(5)
ただし、δdは測距エリア最周辺の像高誤差(mm)、Dは2像間の距離(mm)である。
【0013】
また、本第4の発明として、本第1〜第3のいずれかの発明の焦点検出光学系は、前記一対の開口絞りと対応する前記一対の再結像レンズとの組み合わせを複数組有し、各組におけるそれぞれの前記開口絞りの中心及びそれに対応する前記再結像レンズが前記撮影レンズの光軸から偏心し、かつ、その偏心量が、各組ごとにそれぞれ異なるのが好ましい。
【0014】
また、本第5の発明として、本第1〜第4のいずれかの発明の焦点検出光学系は、次の条件式(6)を満足するのが好ましい。
0.85<LTL/f1<1.75 …(6)
ただし、LTLは焦点検出光学系の光路長(フィルム等価面から光電変換受光面までの長さ)、f1は焦点検出光学系全系の焦点距離である。
【0015】
また、本第6の発明として、本第1〜5のいずれかの発明の焦点検出光学系は、前記再結像レンズが、その光軸が前記撮影レンズの光軸に対して前記開口絞りの中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置されているのが好ましい。
【0016】
また、本第7の発明による焦点検出光学系を備えたカメラは、請求項1〜6のいずれかに記載の焦点検出光学系と、ファインダー光学系と、前記撮影レンズと、前記撮影レンズからの光路を撮像素子又はフィルム面の方向と前記ファインダー光学系方向とに分割する光路分割手段と、前記撮影レンズからの光路を前記焦点検出光学系方向に導く反射手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果を説明する。
本発明のような焦点検出光学系では、主に2つの収差を補正する必要がある。一つは歪曲収差で、像高誤差とも呼ばれている。焦点検出光学系では、撮影レンズの一次結像面(結像面)と等価な面(予定結像面)に測距エリアを仮定し、そのエリア内にある像を焦点検出光学系に設けられた再結像レンズなどの2次結像レンズを介して検出手段である光電変換素子を備えた受光面に2つの像に分割して結像させ、この2像の相対的な位置関係を検出することにより撮影レンズのフォーカス位置を検出する。その際、この歪曲収差が大きいと、測距エリアの中心と周辺とで像の大きさが異なってしまい、測距精度に悪影響が出る。そのため、コンデンサーレンズと、再結像レンズの双方でそれぞれ収差発生量を抑える必要がある。
【0018】
もう一つは色収差である。実際のいろいろな撮影シーンを考えた場合、様々な光源のもとでの撮影が考えられる。焦点検出光学系自体に色収差があると、この撮影シーンごとに測距位置が変化してしまう。そこで、焦点検出光学系の色収差をある程度補正する必要が出てくる。
【0019】
また、焦点検出光学系が設計上では良好に収差が補正されたものであったとしていても、実際のカメラに搭載されたときに測距精度が保証されていなければ意味がない。そのためには、焦点検出光学系が、製造誤差感度が小さく、作り易い構成のものでなければならない。
【0020】
本発明の焦点検出光学系は、カメラを従来の135FやAPSサイズのものよりも更に小型化でき、かつ、上記条件を満たして焦点検出精度を高くした焦点検出光学系を実現したものである。
焦点検出精度の高精度化に際し重要なのが倍率である。本発明ではイメージサークルが135Fの約半分となる撮影光学系での焦点検出を想定し、焦点検出光学系の倍率が条件式(1)を満足するように構成している。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
ただし、mgは焦点検出光学系の結像倍率である。
【0021】
本発明のようなイメージサークルが135Fの約半分の撮影光学系での焦点検出を想定した場合、像面での許容デフォーカス量がかなり小さいものとなる。
焦点検出光学系の倍率が条件式(1)を下回ると、AF検出精度で決まる検出可能な最小デフォーカス量が許容錯乱円よりも大きくなってしまうため、本発明の焦点検出光学系としてふさわしくない。
一方、条件式(1)の上限を上回ると、受光素子列を大きくしないとデフォーカス量の検出範囲が小さくなってしまい、ある一定以上のデフォーカス検出範囲を確保するために受光素子列の大型化が必要になるため好ましくない。
【0022】
また、本発明ではコンデンサーレンズを条件式(2)を満足するように構成している。
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
ただし、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径である。
【0023】
条件式(2)を満足しないで、レンズ面の前後の曲率半径の格差が大きくなると軸外収差の発生量が次第に大きくなるので、好ましくない。
なお、好ましくは、コンデンサーレンズを、次の式(2')を満足するように、曲率半径の等しい両凸レンズで構成するのが望ましい。
|R1/R2|=1 …(2')
ただし、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径である。
条件式(2')を満足すれば、前後の面での歪曲収差発生量を極力小さく抑えることができる。また、色収差についても、C線とF線の収差発生量のバランスをうまくとることができる。
【0024】
また、本発明では再結像レンズを条件式(3)を満足するように構成している。
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。
さらに好ましくは、再結像レンズを次の式(3')を満足する凸平レンズで構成するのが望ましい。
|R3/R4|=0 …(3')
ただし、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。
【0025】
再結像レンズは、明るさ絞りである開口のすぐ後方に配置されるが、像高誤差と色収差とを同時に補正するために再結像光学系を構成する再結像レンズの光軸が、撮影レンズの光軸に対して、前記開口絞りの中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置される。このとき再結像レンズを両凸レンズで構成すると、色収差を補正するために、特許文献3に記載の光学系のように、再結像レンズの前後の面を偏心させなければならなくなる。しかし、片方を平面にし、凸面だけを開口から偏心させれば、色収差に対しては両凸レンズで構成したときと同等の効果を得ることができる。ただし、製造誤差等も考慮すると、条件式(3)の範囲で平面をある程度の曲率半径まで許容しておく必要がある。
【0026】
また、特に多点AFに対応した再結像光学系の場合は、多いものでは、10個以上にもなる複数個の再結像レンズを一体成型して構成するため、凸面と平面とを組み合わせるのが製造上からみても有利となる。
また、このような場合、凸面の曲率半径はすべての再結像レンズで同じにするのが好ましい。
また、再結像レンズを入射側から凸平の順の形状とすると、主点位置をより物体側に配置することができ、再結像レンズをより撮像素子に近づけて配置することができる。そのため、コンデンサーレンズと再結像レンズとの間隔を広くとることができ、光路が折り曲げられた構成の場合に再結像レンズの直前に配置される反射ミラーの配置スペースが広がり、光路折り曲げの自由度が増大する。
そして、本発明のように上記コンデンサーレンズと再結像レンズとを組み合わせれば、イメージサークルを135Fの約半分とした焦点検出光学系であっても、歪曲収差、色収差の両方を同時に良好に保つことができる。
また、本発明の焦点検出光学系は、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
0.55<Lx1/Lx2<0.75 …(7)
ただし、Lx1は予定結像面から受光素子までの間隔(mm)、Lx2は予定結像面から再結像レンズの前面までの間隔(mm)である。
条件式(7)は焦点検出光学系をコンパクトに折り曲げるための条件式であり、特に図3に示すように、ミラーを介して同一平面内でZ字型に折り曲げ、ミラーと光電変換素子列の間に再結像光学系を配置するときに製造コストを高めることなく、更には上述の凸平レンズとすることとの組み合わせにより、ミラーの最適な位置を導くための条件式である。
条件式(7)の下限値を下回ると、ミラーの位置がコンデンサーレンズに近づくのでミラー以降の長さが長くなりカメラ本体内部での焦点検出光学系のコンパクト化が妨げられてしまう。一方、条件式(7)の上限値を上回ると、再結像光学系が大きくなり、製造コストが増大してしまう。
【0027】
なお、上述の条件式(2),(3)を満足することにより、色収差、像高誤差は良好に補正されるが、その収差量の許容範囲は、次の条件式(4),(5)を満足する必要がある。この値は、本発明の収差目標値になるが、従来の135Fサイズ対応の焦点検出光学系と比べると、極めて小さな値となる。
【0028】
即ち、本発明の焦点検出光学系では、色収差についても良好に補正するために、受光素子面上でのC線とF線とのスポット重心位置の差Δが条件式(4)を満足するようにしている。
|Δ|<1.55λ …(4)
ただし、Δは受光素子面上でのC線とF線のスポット重心位置の差、λはE線の波長である。
Δの値が条件式(4)の下限値を下回ると、撮影で様々な光源を使用する場合、焦点検出光学系の色収差により撮影シーンごとに測距位置が変化してしまう。
【0029】
また、本発明の焦点検出光学系では、像高誤差については、次の条件式(5)を満足するようにしている。
3.50×10-4>|δd/D| …(5)
ただし、δdは測距エリア最周辺の像高誤差(mm)、Dは2像間の距離(mm)である。
条件式(5)を満足すれば、像高誤差による測距精度への悪影響が少なくなる。|δd/D|の値が条件式(5)の下限値を下回ると、焦点検出光学系の2次結像レンズにより光電変換素子を備えた受光面に結像した2像の相対的位置関係を検出して撮影レンズのフォーカス位置を検出する際、測距エリアの中心と周辺とで像の大きさが異なってしまい、測距精度に悪影響が出てしまう。
【0030】
更に、本発明の焦点検出光学系では、条件式(6)を満足するのが好ましい。
0.85<LTL/f1<1.75 …(6)
ただし、LTLは焦点検出光学系の光路長(フィルム等価面から光電変換受光面までの長さ)、f1は焦点検出光学系全系の焦点距離である。
条件式(6)は焦点検出光学系の最適な光路長を決めるための条件式である。
条件式(6)を満足すると、おおよそ最適な2像間隔が得られる。また、受光面である光電変換素子を適正な大きさにする2像間隔が得られ、受光面の光電変換素子の大きさをあまり大きくすることなく、ある程度のデフォーカス量を確保することができる。また、収差補正についても有利となる。
条件式(6)の上限値を上回ると、色収差発生量が大きくなり、誤測距の一因となる。一方、条件式(6)の下限値を下回ると、撮影レンズの射出瞳と焦点検出光学系の入射瞳とを合致させづらくなり、ケラレの原因となるため好ましくない。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施例にかかる焦点結像光学系の光学構成を示す図であり、(a)は光軸に沿う断面図、(b)は(a)における開口絞りの重心間隔と再結像レンズの光軸間の距離を示す説明図である。
第1実施例にかかる焦点結像光学系は、図示省略した撮影レンズの結像面と等価な予定結像面Iから光電変換素子列Eの方向に順に、赤外カットフィルターFと、コンデンサーレンズL1と、一対の開口絞りS1,S1を備えた開口絞り群Sと、一対の再結像レンズL21,L21を一体形成した再結像光学系L2と、カバーガラスCGを有して構成されている。
光電変換素子列Eは、カバーガラスCGの入射側とは反対側の面に設けられている。
各再結像レンズL21は、図1(b)に示すように、その光軸が撮影レンズの光軸に対して対応する開口絞りS1の中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置されている。
【0032】
なお、本実施例のコンデンサーレンズ及び再結像レンズは、光学作用面が球面のみで構成してある。
光学作用面に非球面を用いれば、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の焦点検出光学系光学系のように、コンデンサーレンズの少なくとも一面を非球面で構成することにより、コンデンサーレンズで発生する収差を補正することができる。
しかしながら、非球面での収差補正量を大きくすると、製造誤差感度が大きくなってしまう。一方、製造誤差感度を小さくすると、非球面による収差補正の効果が薄れるため、レンズの出来映えまでをも勘案して総合的に見ると、コンデンサーレンズの面を非球面にするメリットはあまり期待できない。
また、特許文献3や特許文献5に記載の光学系のように、再結像レンズの片側の面を偏心させることにより、色収差を軽減する効果が出てくる。
そこで、この再結像レンズの光学作用面を非球面で構成して、コンデンサーレンズの光学作用面を非球面することでは補正しきれない収差補正を分担させることも考えられる。
しかし、この種の再結像光学系は、少なくとも2個を上回る偶数個の再結像レンズを同時に一体成型して構成するものであり、光学作用面を非球面とし、かつ、偏心精度をある一定のレベルで作り込むには、コストの面でもかなりの不利になる。しかも、再結像レンズは、偏心量が2個の再結像レンズを介して結ばれる2像の間隔に対して感度が大きいため、再結像レンズを非球面とした場合の製造誤差が測距精度に直接影響を及ぼしてしまう。
以上の理由から、第1及び第2実施例では、焦点検出光学系を構成するコンデンサーレンズ及び再結像レンズの光学作用面を球面のみの構成としてある。ただし、上記製造誤差感度の問題点が解決できれば、もちろん非球面も活用可能である。
【0033】
次に、第1実施例の焦点検出光学系を構成している光学部材の数値データを示す。
本実施例の数値データにおいて、r1、r2、…は各光学作用面の曲率半径、d1、d2、…は各光学部材の肉厚または空気間隔、nd1、nd2、…は各光学部材のd線での屈折率、νd1、νd2、…は各光学部材のアッべ数を表している。
なお、これらの記号は後述の実施例の数値データにおいても共通である。
【0034】
【0035】
開口絞り重心間隔:1.394(偏心量:0.697)
再結像レンズ光軸間距離:1.474(偏心量:0.737)
(条件式パラメータ)
|R1/R2|=1
|R3/R4|=0
LTL/f1=1.03
|Δ/λ|=0.0025
|δd/D|=0.40×10-4
【0036】
第2実施例
第2実施例にかかる焦点結像光学系は、コンデンサーレンズL1と赤外カットフィルターFの位置が、図1に示した第1実施例と入れ替わっている。その他の構成は第1実施例とほぼ同様である。なお、図示は省略してある。
【0037】
次に、第2実施例の焦点検出光学系を構成している光学部材の数値データを示す。
【0038】
開口絞り重心間隔:1.198(偏心量:0.589)
再結像レンズ光軸間距離:1.324(偏心量:0.662)
(条件式パラメータ)
|R1/R2|=0.83
|R3/R4|=0
LTL/f1=1.64
|Δ/λ|=1.34
|δd/D|=1.53×10-4
【0039】
第3実施例
第3実施例にかかる焦点結像光学系は、第2実施例と同様に、コンデンサーレンズL1と赤外カットフィルターFの位置が、図1に示した第1実施例と入れ替わっている。その他の構成は第1実施例とほぼ同様である。なお、図示は省略してある。
【0040】
次に、第3実施例の焦点検出光学系を構成している光学部材の数値データを示す。
【0041】
開口絞り重心間隔:1.424(偏心量:0.712)
再結像レンズ光軸間距離:1.440(偏心量:0.770)
(条件式パラメータ)
|R1/R2|=1.06
|R3/R4|=0
LTL/f1=1.28
|Δ/λ|=0.93
|δd/D|=1.66×10-4
【0042】
なお、上記各実施例は、画面中心部の横方向からの測距に対応した光学系として一対の開口絞り及び再結像レンズ(図1では、再結像レンズは重なっているため手前側の再結像レンズのみ見えている。)を備えるように構成したものであるが、上記各実施例で示した一対の開口絞り及び再像レンズをそのまま複数組配置すれば、多点測距タイプの焦点光学系を構成することができる。
【0043】
図2(a)〜(c)は本発明の焦点検出光学系を多点測距タイプの焦点検出光学系として構成する場合の開口絞りのパターンを模式的に例示した説明図である。
図2(a)に示す開口絞りは、画面中心部の縦横方向と、画面周辺部の縦方向の測距に対応させた配置となっている。また、各組の一対の開口絞りの間隔は全く同じにしてある。
図2(a)に示す開口絞りを用いれば、これと同様に対応する各組の一対の再結像レンズの間隔も同じにして複数組の光学系を構成することができ、しかも、全く同じ光学系を配置すればよいので、製造面及びコスト面のメリットが大きい。
【0044】
また、受光面の光電変換素子の大きさ等に応じて、測距するそれぞれの位置での開口絞りの大きさ、間隔、再結像レンズの光軸間の距離等をそれぞれ異ならせてもよい。
図2(b)に示す開口絞りは、画面中心部の縦横方向と、画面周辺部の縦方向の測距に対応させた配置となっているが、図2(a)の開口絞りとは異なり、中心部と周辺部とで一対の開口絞りの間隔、つまりは開口絞りの重心位置を異ならせてある。
【0045】
あるいは、画面中心部の縦横方向と、画面周辺部の縦横方向の測距に対応させる場合には、図2(c)に示す配置の開口絞りが考えられる。図2(c)に示す開口絞りは、中心部の縦横方向、周辺部の縦横方向にそれぞれ一対設けられ、一対の開口絞りの間隔(重心位置)、形状等を最適化してある。なお、開口絞りの形状は、組み合わせる光学系に応じて、図2(a),(b)に示す形状や、あるいは図2(c)に示す形状のいずれも適用可能である。
【0046】
このように、それぞれ測距方向の光電変換素子列に合わせて、最適な間隔及び方向に開口絞りを配置し、さらに一対の再結像レンズの光軸間の距離を開口絞りに対してそれぞれ最適な距離となるように配置することで、諸収差を小さくすることもできる。さらには、2像の間隔を画面中心部と画面周辺部とにおいてそれぞれ適正な間隔にすることができ、適切なデフォーカス範囲を確保することが可能となる。
【0047】
次に、このような本発明の焦点検出光学系を用いたカメラの実施例を説明する。
第4実施例
図3は本発明の第4実施例にかかる焦点検出光学系を用いた一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの概略構成図、図4は図3における焦点検出光学系の要部斜視図、図5は再結像光学系の概略構成を示す説明図である。
【0048】
本実施例のカメラは、図3に示すように、撮像光学系と、ファインダー光学系と、焦点検出光学系とを有している。
撮像光学系は、光路の順に、撮影レンズ1と、ハーフミラー2と、反射ミラー4を有して構成されている。
撮影レンズ1は、マウントを介してカメラ本体に着脱可能に構成されている。ハーフミラー2は、撮影レンズ1からの光路を撮像素子3の方向とファインダー光学系方向とに分割するように構成されている。また、ハーフミラー2は、図示省略したシャッターと連動して持ち上がるクイックリターンミラーで構成されている。
反射ミラー4は、撮影レンズ1からの光を焦点検出光学系に導くように構成されている。また、反射ミラー4は、ハーフミラー2と連動して持ち上がるように構成されていて、持ち上げられたときに光路から外れて撮影レンズ1からの光が撮像素子3に導かれるようになっており、撮影レンズ1からの光路を撮像素子方向と焦点検出光学系方向とに切替え可能になっている。
【0049】
焦点検出光学系は、図3に示すように、撮影レンズ1の結像面と等価な予定結像面I近傍に配置されたコンデンサーレンズL1と、コンデンサーレンズL1からの光を折り曲げてカメラ本体内でコンパクトに収めるための反射ミラーMと、縦横方向にそれぞれ一対の開口絞りS1を持つ開口絞り群Sと再結像レンズL21が開口絞りS21に対応して一体形成された再結像光学系L2との組み合わせと、光電変換素子列Eとで構成されている。
再結像レンズ群L2は、図4及び図5に示すように、光電変換素子列Eの配置方向に合わせて縦横方向にそれぞれ一対の再結像レンズL21を一体に備えて構成されている。なお、図4では開口絞り群Sは省略してある。
また、一対の開口絞りS1,S1と対応する一対の再結像レンズL2,L2との組み合わせにおいて、それぞれの開口絞りS1の中心及びそれに対応する再結像レンズL2は、撮影レンズ1の光軸から偏心している。また、その偏心量は、各組(本実施例においては、縦方向の組み合わせと横方向との組み合わせ)ごとにそれぞれ異なっている。
焦点検出光学系のその他の構成は、上記実施例1〜3に示した焦点検出光学系とほぼ同様である。
【0050】
ファインダー光学系は、ハーフミラー2で反射された方向の光路上において撮影レンズ1の結像面と等価な予定結像面に配置されたスクリーン5と、ペンタダハプリズム6と、接眼レンズ7とで構成されている。
その他、本実施例のカメラは、図示を省略したが、デジタルカメラに特有のLCDの表示装置や、画像記録のためのメモリ装置や、赤外カットフィルター等を備えている。
【0051】
このように構成された本実施例のデジタルカメラでは、撮影レンズ1からの光は、ハーフミラー2に入射する。ハーフミラー2で反射した光は、ファインダー光学系を介して肉眼で観察される。ハーフミラー2を透過した光は、反射ミラー2で反射された光は、焦点検出光学系を経て、図示しないシャッターボタンに設けられた測距スイッチから出される信号に応じて測距に使用される。
露光時には、反射ミラー4はハーフミラー2と連動して持ち上がり、撮影光学系の光路上からハーフミラーと反射面とが光路から外れることにより、最大の明るさの光が撮像素子3の受光面に受光される。
【0052】
なお、十分な明るさを確保できる場合は、反射ミラー2の代わりにハーフミラーを用いて固定してもよい。また、光路分割手段であるハーフミラー2を固定してもよい。
また、焦点検出光学系における光電変換素子としては、CCD(固体撮像素子)、CMOSセンサーなどを用いることができる。その場合、1次元構造のもの、2次元構造のもののいずれも使用可能であるが、コストパフォーマンスを考慮すると1次元のライン状に配列された光電変換素子を用いるのが好ましい。
その他、本発明の焦点検出光学系は、撮像素子を用いたカメラに好適であるが、135FやAPFサイズよりも小型のフィルムを前提としたカメラにも適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の135FやAPSサイズを前提とした焦点検出光学系にはない、全く新しい小型のイメージサークルでもって、許容錯乱円の小さい撮影光学系に適応した高精度の測距ができ、それに応じて歪曲収差、色収差も極力抑えた高性能な焦点検出光学系及びそれを備えたカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる焦点結像光学系の光学構成を示す図であり、(a)は光軸に沿う断面図、(b)は(a)における開口絞りの重心間隔と再結像レンズの光軸間の距離を示す説明図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の焦点検出光学系を多点測距タイプの焦点検出光学系として構成する場合の開口絞りのパターンを模式的に例示した説明図である。
【図3】本発明の第4実施例にかかる焦点検出光学系を用いた一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの概略構成図である。
【図4】図3における焦点検出光学系の要部斜視図である。
【図5】再結像光学系の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
L1 コンデンサーレンズ
CG カバーガラス
E 光電変換素子列
F 赤外カットフィルター
I 予定結像面
L2 再結像光学系
L21 再結像レンズ
S 開口絞り群
S1 開口絞り
1 撮影レンズ
2 ハーフミラー(光路分割手段)
3 撮像素子
4 反射ミラー(反射手段)
5 スクリーン
6 ペンタダハプリズム
Claims (7)
- 少なくとも一対の第2次物体像の位置関係から撮影光学系の焦点位置を検出する焦点検出光学系において、
焦点検出光学系の結像倍率が次の条件式(1)を満足し、かつ、
撮影レンズの結像面と等価な予定結像面近傍に配置された次の条件式(2)を満足するコンデンサーレンズと、
該コンデンサーレンズの出射側に配置された前記撮影レンズの瞳を2つの領域に分割する一対の開口絞りと、
次の条件式(3)を満足する、前記開口絞りに対応した2つの第2次物体像を形成するための一対の再結像レンズとを備えたことを特徴とする焦点検出光学系。
0.45<|mg|<0.75 …(1)
0.75<|R1/R2|<1.25 …(2)
|R3/R4|≦0.02 …(3)
ただし、mgは焦点検出光学系の結像倍率、R1はコンデンサーレンズの入射側面の曲率半径、R2はコンデンサーレンズの出射側面の曲率半径、R3は再結像レンズの入射側面の曲率半径、R4は再結像レンズの射出側面の曲率半径である。 - 次の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の焦点検出光学系。
|Δ|<1.55λ …(4)
ただし、Δは受光素子面上でのC線とF線のスポット重心位置の差、λはE線の波長である。 - 次の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点検出光学系。
3.50×10-4>|δd/D| …(5)
ただし、δdは測距エリア最周辺の像高誤差(mm)、Dは2像間の距離(mm)である。 - 前記一対の開口絞りと対応する前記一対の再結像レンズとの組み合わせを複数組有し、各組におけるそれぞれの前記開口絞りの中心及びそれに対応する前記再結像レンズが前記撮影レンズの光軸から偏心し、かつ、その偏心量が、各組ごとにそれぞれ異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焦点検出光学系。
- 次の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焦点検出光学系。
0.85<LTL/f1<1.75 …(6)
ただし、LTLは焦点検出光学系の光路長(フィルム等価面から光電変換受光面までの長さ)、f1は焦点検出光学系全系の焦点距離である。 - 前記再結像レンズは、その光軸が前記撮影レンズの光軸に対して前記開口絞りの中心よりも遠ざかる方向に偏心するように配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の焦点検出光学系。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の焦点検出光学系と、ファインダー光学系と、前記撮影レンズと、前記撮影レンズからの光路を撮像素子又はフィルム面の方向と前記ファインダー光学系方向とに分割する光路分割手段と、前記撮影レンズからの光路を前記焦点検出光学系方向に導く反射手段とを備えたカメラ。
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