JP2004197964A - 除霜用ヒータ - Google Patents

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Abstract

【課題】可燃性冷媒を用いた冷蔵庫に使用される除霜用ヒータに関し、組立作業性の改善を図る。
【解決手段】ガラス管1は中央部が太く両端部が細く形成されており、ヒータ線41が収納されている。ヒータ線41は支持部材3によって支持されており、ガラス管1の中央部分でヒータ線41が撓んでガラス管1に接近し表面温度が上昇するのを防いでいる。除霜用ヒータの外郭がガラス管1の1本のみで構成されており組み立て作業性がよい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可燃性冷媒を用いた冷媒回路を有する冷蔵庫に関するもので、特に冷却器に付着する霜を融かすための除霜用ヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵庫には地球温暖化防止の観点から温暖化係数の高いR134a冷媒に代わり同係数の低いイソブタン等可燃性の冷媒を用いた冷蔵庫が普及しつつある。可燃性冷媒を用いた冷蔵庫では除霜用ヒータに関して安全性を高めたものが要求されてきている。
【0003】
以下、図面を参照しながら従来の除霜用ヒータについて説明する。
【0004】
図4は従来の可燃性冷媒を用いた冷蔵庫に使用される除霜用ヒータの構造を表す断面図で、図5は除霜用ヒータが使用される状態を表す平面図である。
【0005】
図4において除霜用ヒータ50は、コイル状に巻かれたヒータ線41が第一のガラス管42の中に収納されている。第一のガラス管42は第二のガラス管43に収納されており、第二のガラス管43は更に第三のガラス管44によって取り囲まれている。
【0006】
第一のガラス管42、第二のガラス管43及び第三のガラス管44の両端は、シリコンゴム等耐熱・絶縁性のよい材料で形成されたキャップ45および46で封止され、ヒータ線41はキャップ45および46を貫通するコード47に連結されている。
【0007】
以上のように構成された除霜用ヒータについて、以下その動作を説明する。
【0008】
図5に示すように冷蔵庫等に内蔵される蒸発器51に霜が付着し冷却能力が低下してくると蒸発器51の下部に配置された除霜用ヒータ50に通電して除霜を開始する。除霜用ヒータ50によって暖められた空気は上方に上がり蒸発器51をあたため霜を融かす。また、透明なガラス管で構成された除霜用ヒータ50は輻射熱により直接蒸発器を暖め除霜する。
【0009】
冷却回路に使用されている可燃性冷媒が何らかの原因で蒸発器51の周辺に漏れ出ると、除霜用ヒータ50の周辺にも充満するが、この時、除霜時のヒータの熱が着火源にならないように除霜用ヒータ50の表面温度は例えばイソブタンの場合、着火点である494℃に比べて十分低い394℃以下になるようJEMA基準で規定されている。
【0010】
除霜時のヒータ線41の表面温度は約700℃であるが、第一のガラス管42、第二のガラス管43及び第三のガラス管44で周囲を取り囲むことで最外郭の第三のガラス管44の表面温度を394℃以下にし、安全に除霜できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−257831号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の除霜ヒータの構成は、3つの独立したガラス管の多重構造となっているため組立て作業性が非常に悪いという欠点を有していた。
【0013】
図4の除霜用ヒータの場合、ヒータ線41を第一のガラス管42に収納し、キャップ45にまず取り付ける。その後第二のガラス管43を、さらに第三のガラス管44をキャップ45に取り付け、最後に反対側のキャップ46を取り付けて組立てられる。
【0014】
しかし第二のガラス管43及び第三のガラス管44の取り付け作業中に、他のガラス管と接触してしまい傷つけてしまうことが起こりやすい。また、キャップ46の取り付けは、ガラス管を3本同時に取り付けなくてはならずまた、それぞれのガラス管が片側のキャップ45にゴムの弾性力といった不安定な状態で取り付けられているため位置決めがしにくく、非常に困難な作業となる。
【0015】
本発明は上記課題を解決するもので、可燃性を用いた冷蔵庫に用いる、組立て作業性に優れた除霜用ヒータを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の発明は、内部に可燃性冷媒を充填した冷媒回路の冷却器に付着した霜を溶かす除霜用ヒータにおいて、ヒータ線と前記ヒータ線を収納するガラス管を有し、前記ガラス管は中央部の直径が両端部の直径よりも大くしたもので、中央部分を太くすることでヒータ線からの距離を大きくして表面温度の低減を図るとともに、一本のガラス管内にヒータ線を収納することで組立て作業性の改善を図る。
【0017】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ガラス管の外径を端部の最小径から中央部の最大径へ連続的に大きくしたものであり、急激なくびれがなく、外力に対する強度が増し安全である。
【0018】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヒータ線は両端の一領域は線状に、その他の領域はコイル状に形成され、前記ガラス管の最小径を成す領域内に、前記ヒータの線状の領域が配置されたものであり、ガラス管の最小径の領域ではヒータ線は線状であるため発熱量も小さく、ガラス管表面温度の上昇を抑制することができる。
【0019】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、ヒータ線を支持する絶縁性の支持部材を設けたもので、ヒータ線をガラス管中央に位置するようにして除霜ヒータの組立て作業性を向上したものである。
【0020】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、支持部材をガラス管と一体のガラスによって形成したもので、除霜ヒータの組立て作業性をさらに向上したものである。
【0021】
次に、請求項6に記載の発明は、内部に可燃性冷媒を充填した冷媒回路の冷却器に付着した霜を溶かす除霜用ヒータにおいて、ヒータ線と前記ヒータ線を収納するガラス管を有し、前記ガラス管の一部又は全部が多重構造の一体物の構成にしたもので、従来複数のガラス管であったものを一体にすることで組立て作業性の向上を図る。
【0022】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記多重構造のガラス管の内側となるガラス管に孔を設けたものであり、内側ガラス管と外側ガラス管とで囲まれた空間の気体の膨張・収縮が発生しても、前記孔を介して気体が内側ガラス管内を流通するのでガラス管が気体の膨張・収縮で破裂・損傷することがない。
【0023】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7記載のいずれか1項に記載の発明において、ガラス管を封止するキャップを有し、前記キャップの外径は前記ガラス管の最大外径よりも大きくしたもので、除霜ヒータ組立てのマテハン時にガラス管を傷つけることを防ぐ作用を有する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による除霜用ヒータの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における除霜用ヒータの断面図である。
【0026】
ヒータ線41は両端の一領域は線状に形成された線状ヒータ領域41aで、その他の領域はコイル状に巻かれたコイル状ヒータ領域41bであり、ガラス管1に収納され、両端末にリード線47が接続されて電力が供給される。
【0027】
ガラス管1は中央部の外径が太く、両端部が細くなっており、端部の最小径から中央部の最大径へは連続的に大きくなっている。これによって、ガラス管には極端なくびれ部分がなくなり、組立時に外力が加わっても割れ難く安全である。
【0028】
また、ヒータ線をガラス管1内に収納した際、ヒータ線41の線状ヒータ領域41aはガラス管1の最小径の領域に配置され、ヒータ線41のコイル状ヒータ領域41bはガラス管1の最小径の領域以外の領域に配置される。
【0029】
支持部材3はマイカ等絶縁性のよい材料で構成され、ヒータ線41の中に挿入されている。支持部材3はヒータ線41が撓んで外径の大きいガラス管1の中央部表面に接近し表面温度が部分的に高くなることを防いでいる。ガラス管1の両端は、シリコンゴム等の耐熱・電気絶縁性に優れた材料で形成されたキャップ4で塞がれている。
【0030】
ヒータ線41は、除霜時の通電によって中央部で約700℃程度、両端部で約500℃程度に達する。しかしガラス管1の表面温度は中央部でも両端部でも約300℃となるように、中央部で直径約20mm、両端部で直径約11mmに設定されている。
【0031】
ガラス管1の両端部の外径は中央部よりも小さいけれども、ヒータ線41の線状の領域が配置されているので発熱量も小さく両端部の温度上昇が抑制される。
【0032】
したがって、例えば可燃性冷媒がイソブタンの場合、着火点494℃に対して十分低い表面温度となり万一可燃性冷媒が漏れていた場合においても安全に除霜を行うことができる。
【0033】
本構造の除霜用ヒータは、使用する可燃性冷媒の種類によって表面温度がその着火点以下となるようガラス管の径を変えて作成することができる。
【0034】
本除霜用ヒータは支持部材3を挿入したヒータ線41をガラス管1に挿入し両端にキャップ4を取り付けて組立てられる。複数のガラス管を多重に用いていないので組立て時にガラス管を損傷させることが極めて少なくなる。またキャップ4の取り付けも容易である。
【0035】
なお、支持部材3はコイル状のヒータ線41の内部に入れずに外側から支持していてもよい。
【0036】
また流通過程や取り扱い時などのマテハン時にガラス管1に損傷を与えないよう、キャップ4の外径Dはガラス管1の最大外径dよりも大きくしてあり、組立て作業時にテーブル等の上に置いた場合、ガラス管1が直接テーブルに当たらないようにし、ガラス管1に傷が付きにくくなっている。
【0037】
なお、キャップ4の外径Dおよびガラス管の最大外径dは円形に限らず、除霜ヒータを机の上等平面上に置いたときガラス管1が机と接触しないように、ガラス管1の外周全体にわたってキャップ4の外周が大きければよい。
【0038】
条件により、取り扱い時のガラス管1の損傷の懸念がなければキャップ4自体も小型化でき、可燃性冷媒使用時における表面温度の低減策を施した除霜用ヒータのコスト低減が図れる。
【0039】
また、キャップ4の外径をガラス管1の最大外径dよりも大きくする場合でも、キャップ4の外周全面でなく一部を環状に大径化しても所期の目的が達せられ、キャップ4のコストダウンが図れる。
【0040】
以上のように本実施の形態の除霜用ヒータは、ヒータ線41を収納するガラス管1は中央部の直径が両端部の直径よりも大きいため、組立て作業性に優れた表面温度の低い除霜用ヒータを確保することができる。
【0041】
また、ヒータ線41を支持する絶縁性の支持部材3を有することで、ヒータ線41をガラス管1の中央に位置させることができ、組立て作業性に優れた表面温度の低い除霜用ヒータを確保することができる。
【0042】
また、ガラス管1を封止するキャップ4の外径がガラス管1の最大外径よりも大きいためマテハン時にガラス管を傷つけることなく、組立て作業性に優れた除霜用ヒータを確保することができる。
【0043】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における除霜用ヒータの断面図である。
【0044】
図2においてガラス管11は中央部で二重構造になっており、ヒータ線41の支持部材となる内側の小径ガラス管13の中央部に外側の大径ガラス管が一体となるように構成している。
【0045】
また、内側の小径ガラス管13には孔15が設けられており、ヒータ線41の発熱で外側の大径ガラス管内の気体が膨張しても、気体が孔15を流通して圧力を調整し、ガラス管の破裂を防止している。
【0046】
このように、ガラス管自身でヒータ線41の外側を支持し、中央部のみ外径を大きく構成しておけば組立て作業性がさらによい除霜ヒータとなる。
【0047】
以上のように本実施の形態の除霜用ヒータは、ガラス管11の一部が多重構造の一体物であるため、組立て作業性に優れた表面温度の低い除霜用ヒータを確保することができる。
【0048】
また、支持部材はガラス管11に一体で形成されたガラスであるので、組立て作業性に優れた除霜用ヒータを確保することができる。
【0049】
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3における除霜用ヒータの断面図である。
【0050】
図3において、ガラス管21はその全体にわたって二重構造となるよう一体に形成されている。この場合、ガラス管の製作がしやすく有効である。
【0051】
以上のように本実施の形態の除霜用ヒータは、ガラス管21の全部が多重構造の一体物であるため、組立て作業性に優れた表面温度の低い除霜用ヒータを確保することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、内部に可燃性冷媒を充填した冷媒回路の冷却器に付着した霜を溶かす除霜用ヒータにおいて、ヒータ線と前記ヒータ線を収納するガラス管を有し、前記ガラス管の中央部の直径を両端部の直径よりも大きくしたので、組立て作業性に優れた表面温度の低い除霜用ヒータを実現できる。
【0053】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ガラス管の外径を端部の最小径から中央部の最大径へ連続的に大きくしたものであり、急激なくびれがなく、外力に対する強度が増し安全である。
【0054】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヒータ線は両端の一領域は線状に、その他の領域はコイル状に形成され、前記ガラス管の最小径を成す領域内に、前記ヒータの線状の領域が配置されたものであり、ガラス管の最小径の領域ではヒータ線は線状であるため発熱量も小さく、ガラス管表面温度の上昇を抑制することができる。
【0055】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、ヒータ線を支持する絶縁性の支持部材を有するので、ガラス管中央部の太い部分でヒータ線が撓んで表面温度が上昇するのを防止し、組立て作業性に優れた除霜ヒータを実現できる。
【0056】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、支持部材にガラス管に一体で形成されたガラスを用いているので、部品点数が減り組立て作業性が更によくなる。また、ガラスは赤外線の透過率が高いので、支持部材自身が温度上昇し難くなり、表面温度を低減することができる。
【0057】
また、請求項6に記載の発明は、内部に可燃性冷媒を充填した冷媒回路の冷却器に付着した霜を融かす除霜用ヒータにおいて、ヒータ線と前記ヒータ線を収納するガラス管を有し、前記ガラス管は一部又は全部が多重構造の一体物である構造のため、組立て作業性に優れた表面温度の低い除霜用ヒータを実現できる。
【0058】
また、請求項7記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記多重構造のガラス管の内側となるガラス管に孔を設けたものであり、内側ガラス管と外側ガラス管とで囲まれた空間の気体の膨張・収縮が発生しても、前記孔を介して気体が内側ガラス管内を流通するのでガラス管が気体の膨張・収縮で破裂・損傷することがない。
【0059】
また、請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発明において、ガラス管を封止するキャップを有し、前記キャップの外径は前記ガラス管の最大外径よりも大きいため、マテハン時にガラス管が傷つくのを防止することができ、組立て作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による除霜用ヒータの実施の形態1の断面図
【図2】本発明による除霜用ヒータの実施の形態2の断面図
【図3】本発明による除霜用ヒータの実施の形態3の断面図
【図4】従来の除霜用ヒータの断面図
【図5】従来の除霜用ヒータの配置状態を表す平面図
【符号の説明】
1、11、21 ガラス管
3、13 支持部材
4 キャップ
15 孔
41 ヒータ線
41a 線状ヒータ領域
41b コイル状ヒータ領域

Claims (8)

  1. 内部に可燃性冷媒を充填した冷媒回路の冷却器に付着した霜を融かす除霜用ヒータにおいて、ヒータ線と前記ヒータ線を収納するガラス管を有し、前記ガラス管は中央部の直径が両端部の直径よりも大きいことを特徴とする除霜用ヒータ。
  2. 前記ガラス管の外径は端部の最小径から中央部の最大径へ連続的に大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の除霜用ヒータ。
  3. 前記ヒータ線は両端の一領域は線状に、その他の領域はコイル状に形成され、前記ガラス管の最小径を成す領域内に、前記ヒータの線状の領域が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の除霜用ヒータ
  4. ヒータ線を支持する絶縁性の支持部材を有する請求項1記載の除霜用ヒータ。
  5. 支持部材はガラス管に一体で形成されたガラスであることを特徴とする請求項2記載の除霜用ヒータ。
  6. 内部に可燃性冷媒を充填した冷媒回路の冷却器に付着した霜を溶かす除霜用ヒータにおいて、ヒータ線と前記ヒータ線を収納するガラス管を有し、前記ガラス管は一部又は全部が多重構造の一体物であることを特徴とする除霜用ヒータ。
  7. 前記多重構造のガラス管の内側となるガラス管に孔を設けたことを特徴とする請求項6に記載の除霜用ヒータ。
  8. ガラス管を封止するキャップを有し、前記キャップの外径は前記ガラス管の最大外径よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の除霜用ヒータ。
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