JP4480319B2 - ガラス管ヒータの製造方法 - Google Patents
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【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば、冷蔵庫において除霜手段として使用されるガラス管ヒータと該ガラス管ヒータを使用した冷蔵庫に係り、特に、二重管構造を採用することにより表面温度の上昇を抑制するように構成したものにおいて、二重管構造内の熱膨張や水の浸入等に起因したガラス管の破損を防止し、且つ、組立性を向上させることができるように工夫したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷蔵庫や冷凍庫においては冷媒として特定フロン(CFC5種)が使用されていた。ところが、その種の特定フロン(CFC5種)が大気中に放出された場合にはオゾン層が破壊されることがわかり、今日では冷蔵庫や冷凍庫においても脱フロン化が叫ばれている。そこで、特定フロン(CFC5種)に代わるものとして炭化水素(R600a)、すなわち、イソブタンと称される冷媒の使用が考えられている。
【0003】
ところで、冷蔵庫においては冷凍サイクルを構成する蒸発器の除霜を行う除霜手段としてガラス管ヒータが使用されている。このようなガラス管ヒータを使用した場合には、ガラス管ヒータの表面温度がある程度の高温になってしまう。一方、既に説明したイソブタンは可燃性ガスであり、よって、ヒータの表面温度が高くなることは好ましいことではなかった。
【0004】
そこで、ガラス管ヒータの表面温度の上昇を防止するための各種の提案がなされている。例えば、特開2000−329447号公報には、ガラス管ヒータの表面温度が所定温度以上に上昇しないように温度管理する発明が開示されている。又、それと別にガラス管ヒータを構成するガラス管を二重管構造として、それによって、ガラス管ヒータの表面温度の上昇を防止することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
例えば、ガラス管ヒータを構成するガラス管を二重管構造とすることによりヒータの表面温度の上昇を防止する場合であるが、この場合には確かに表面温度の上昇を防止することはできるが、別の問題が生じてしまうものである。
まず、ガラス管を二重管構造にすると外側ガラス管と内側ガラス管との間の空間内の空気が熱膨張して空間内の圧力が高くなってしまい、それによって、外側ガラス管や内側ガラス管を破損させてしまうおそれがあった。
これに対しては、通気穴を形成することが考えられる。ところが、そのような通気穴を設けた場合にはそこから空間内に水が浸入してまい、それが原因して外側ガラス管や内側ガラス管を破損させてしまうおそれがあった。
又、従来提案されている二重管構造は、外側ガラス管と内側ガラス管をそれぞれ別個に独立した状態で用意し、それらを両側の端栓に組み込んでいくというものである。その為、作業性が悪く組立に困難を要してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、ガラス管の破損、困難な組込作業といった問題を発生させることなく二重管構造とすることを可能とし、それによって、ヒータの表面温度の上昇を防止して安全性を高めることを可能にするガラス管ヒータとそのようなガラス管ヒータを使用した冷蔵庫を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるガラス管ヒータの製造方法は、外側ガラス管と内側ガラス管を二重に重ねた状態としてその両端を熱溶着封止する工程の後に、二重に重ねた状態としてその両端を熱溶着封止した外側ガラス管と内側ガラス管の間の環状空間内を減圧孔を介して減圧しその後上記減圧孔を熱溶着封止する工程と、内側ガラス管内に抵抗線を挿入しその両端に接続端子を介してリード線を接続する工程と、二重に重ねた状態としてその両端を熱溶着封止した外側ガラス管と内側ガラス管の両端にキャップを被冠・固定する工程と、を具備したことを特徴とするものである。
【0008】
すなわち、本願発明によるガラス管ヒータは、ガラス管と、上記ガラス管内に収容・配置された抵抗線と、を具備してなるガラス管ヒータにおいて、上記ガラス管を外側ガラス管と内側ガラス管とからなる二重管構造とし、上記外側ガラス管と内側ガラス管との間の環状空間を閉空間とし、上記閉空間内を減圧したことを特徴とするものであり、つまり、二重管構造により形成される環状空間を閉空間とし、且つ、減圧空間とすることにより、熱膨張に起因した破損、外部からの水の浸入に起因した破損を防止すると共に、組立作業性の向上を図ったものである。
その際、上記外側ガラス管と内側ガラス管の両端を熱溶着封止することが考えられる。
又、上記外側ガラス管と内側ガラス管の両端は栓封止することが考えられる。
又、上記外側ガラス管に減圧穴を設けて、減圧後熱溶着封止することが考えられる。
又、上記栓と外側ガラス管の間又は栓と内側ガラス管との間に減圧用管を差し込み、減圧後除去することが考えられる。
又、上記栓を上記外側ガラス管と内側ガラス管との間の中央部より端に向けて引っ張ることにより減圧することが考えられる。
又、本願発明の請求項8は冷蔵庫としてクレームしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態によるガラス管ヒータの全体の構成をその一部を切り欠いて示す正面図であり、まず、二重構造をなすガラス管構造部1がある。このガラス管構造部1は、外側ガラス管3と、この外側ガラス管3の内周側に間隔を存した状態で配置された内側ガラス管5とから構成されている。上記外側ガラス管3と内側ガラス管5は同心状に配置されていて、その両端部は熱溶着封止されている。図中熱溶着封止部を符合7、9でそれぞれ示す。
【0010】
上記外側ガラス管3と内側ガラス管5に関して詳しく説明すると、この実施の形態の場合には、外側ガラス管3はその内径が12mm、外径が15〜16mm、厚さが1.5〜2.0mmである。又、内側ガラス管5はその内径が8.5mm、外径が10.5mm、厚さが1.0mmである。又、外側ガラス管3と内側ガラス管5との間隔は0.5mm程度である。又、外側ガラス管3と内側ガラス管5は共に石英ガラス製である。
【0011】
上記ガラス管構造部1の長手方向の略中央部には減圧穴11が設けられていて、この減圧穴11を介してガラス管構造部1内の環状空間13内を減圧し、その後、この減圧穴11を熱溶着封止するものである。図中熱溶着封止部を符合15で示す。
尚、減圧穴11の位置や減圧の程度は任意である。又、減圧する場合には図示しない真空ポンプや注射器をチューブ・配管類を介して減圧穴11に接続して吸引することにより行うものである。
【0012】
上記ガラス管構造部1の内部空間16内には抵抗線17が収容・配置されている。この抵抗線17によって発熱するものである。上記抵抗線17は、この実施の形態の場合には、線径が0.26〜0.40mm、巻きピッチが0.39〜3mm、外径が7.5mmである。又、その材質は、例えば、ニッケル・クロム合金製或いは鉄・クロム・アルミ合金製とすることが考えられる。又、ヒータ容量であるが、この実施の形態の場合には80W〜200Wである。
【0013】
上記抵抗線17の一端側をみてみると、ステンレス製の接続端子19を介してリード線21の導体に接続されている。又、ガラス管構造部1の一端側にはシリコーンゴム製のキャップ23が被冠・固定されている。又、上記リード線21としては、例えば、シリコーンゴム被覆電線或いは架橋ポリエチレン被覆電線が考えられる。
尚、抵抗線17の他端側も同様の構成になっている。すなわち、抵抗線17の他端は図示しないステンレス製の接続端子を介してリード線25の導体に接続されており、又、ガラス管構造部1の他端にはキャップ27が被冠・固定されている。
【0014】
本実施の形態によるガラス管ヒータは、例えば、図3に示すように、冷蔵庫の除霜手段として使用される。すなわち、冷蔵庫の冷蔵庫本体31内には冷凍サイクル33が内装されている。この冷凍サイクル33は、圧縮機35と、凝縮器37と、減圧機構39と、蒸発器41と、ファン43等から構成されている。そして、上記蒸発器41における除霜を行うために、既に説明したガラス管ヒータを使用するものである。
【0015】
ここで、ガラス管ヒータの減圧・封止手順と組立手順について説明する。
まず、減圧・封止手順であるが、外側ガラス管3と内側ガラス管5を二重に重ねた状態とし、その状態で両端を熱溶着封止する。次に、減圧穴11に、例えば、チューブを介して真空ポンプを接続して環状空間13内を吸引して減圧する。減圧作業を終了した後減圧穴11を熱溶着封止することになる。又、上記減圧の程度は任意であり、場合によっては真空状態にすることも考えられる。
尚、図2はそのような減圧・封止が終了した状態のガラス管構造部1を示しているものである。
【0016】
次に、組立の手順であるが、上記減圧・封止が終了したガラス管構造部1の内部空間16内に抵抗線17を挿入する。次に、抵抗線17の両端に接続端子を介してリード線21、25を接続する。そして、キャップ23、27を被冠・固定するものである。それによって、図1に示すようなガラス管ヒータを得ることができるものである。
尚、ガラス管構造部1の表面、すなわち、外側ガラス管3の表面に脱臭触媒を塗布することが考えられる。
【0017】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、ガラス管構造部1の環状空間13内は閉空間として構成され、且つ、減圧されているので、熱膨張による圧力の上昇に起因してガラス管構造部1、すなわち、外側ガラス管3や内側ガラス管5が破損してしまうようなことを防止することができる。
又、環状空間13は完全に閉空間として構成されることになるので、外部から環状空間13内に水が浸入することはなく、よって、水の浸入によって外側ガラス管3や内側ガラス管5が破損してしまうようなことを防止することができる。
又、ガラス管構造部1は二重管構造にはなっているが、その両端部が熱溶着封止されているので、取扱上は一本のガラス管と同じである。よって、組込作業も簡単であって、外側ガラス管と内側ガラス管がそれぞれ別個に独立している場合のように組立作業に困難を要することはない。
【0018】
次に、図4を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態の場合には、減圧穴11を熱溶着によって封止するようにしたが、この第2の実施の形態の場合には、別途用意された栓51によって封止するようにしたものである。
【0019】
次に、図5を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。前記第1、第2の実施の形態の場合には、ガラス管構造部1の両端部を熱溶着封止するようにしたが、この第3の実施の形態の場合には、別途用意された栓61によって封止するようにしたものである。
【0020】
次に、図6を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。前記第1〜第3の実施の形態の場合には、ガラス管構造部1に設けられた減圧穴11を介して環状空間13内を減圧するようにしたが、この第4の実施の形態の場合には、栓61とガラス管構造部1との間に減圧用管71を差し込んでそこから減圧するようにしたものである。この場合減圧後に減圧用管71を除去することになる。
【0021】
次に、図7を参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。この場合には、前記第3の実施の形態で示した栓61を中央部から端側に引っ張ることにより環状空間13内を減圧するようにしたものである。
【0022】
尚、本発明は前記第1〜第5の実施の形態に限定されるものではない。
まず、二重管構造にする場合において、外側ガラス管や内側ガラス管の厚み、環状空間13の大きさ、減圧の程度等については任意に設定すればよい。
又、冷蔵庫の蒸発器の除霜を例に挙げて説明したがその他の用途も考えられる。その他、図示した構成はあくまで一例であって様々な変形が想定される。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によるガラス管ヒータと冷蔵庫によると、まず、ガラス管構造部の環状空間内は閉空間として構成され、且つ、減圧されているので、熱膨張による圧力の上昇に起因してガラス管構造部、すなわち、外側ガラス管や内側ガラス管が破損してしまうようなことを防止することができる。
又、環状空間は完全に閉空間として構成されることになるので、外部から環状空間内に水が浸入することはなく、よって、水の浸入によって外側ガラス管や内側ガラス管が破損してしまうようなことを防止することができる。
又、ガラス管構造部は二重管構造にはなっているが、その両端部が封止されているので、取扱上は一本のガラス管と同じである。よって、組込作業も簡単であって組立作業に困難を要することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ガラス管ヒータの構成を一部切り欠いて示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2(a)はガラス管構造部の構成を一部切り欠いて示す正面図、図2(b)は図2(a)のb−b断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ガラス管ヒータを冷蔵庫に組み込んだ構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図4(a)はガラス管構造部の構成を一部切り欠いて示す正面図、図4(b)は図4(a)のb−b断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す図で、図5(a)はガラス管構造部の構成を一部切り欠いて示す正面図、図5(b)は図5(a)のb−b断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示す図で、図6(a)はガラス管構造部の構成を一部切り欠いて示す正面図、図6(b)は図6(a)のb−b断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態を示す図で、図7(a)はガラス管構造部の構成を一部切り欠いて示す正面図、図7(b)は図7(a)のb−b断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス管構造部
3 外側ガラス管
5 内側ガラス管
7 熱溶着封止部
9 熱溶着封止部
11 減圧穴
13 環状空間
15 熱溶着封止部
17 抵抗線
31 冷蔵庫本体
33 冷凍サイクル
51 端栓
61 端栓
71 減圧パイプ
Claims (1)
- 外側ガラス管と内側ガラス管を二重に重ねた状態としてその両端を熱溶着封止する工程の後に、
二重に重ねた状態としてその両端を熱溶着封止した外側ガラス管と内側ガラス管の間の環状空間内を減圧孔を介して減圧しその後上記減圧孔を熱溶着封止する工程と、
内側ガラス管内に抵抗線を挿入しその両端に接続端子を介してリード線を接続する工程と、
二重に重ねた状態としてその両端を熱溶着封止した外側ガラス管と内側ガラス管の両端にキャップを被冠・固定する工程と、
を具備したことを特徴とするガラス管ヒータの製造方法。
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