JP2004197635A - 排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排気浄化用触媒を排気管9の途中に装備し、該排気管9の排気浄化用触媒より上流にある屈曲部9aの曲がり方向外側に、該屈曲部9a上流の排気管9に沿うように燃料添加用インジェクタ11を付設すると共に、該インジェクタ11のノズル11aの先端部から屈曲部9a下流の排気管9に沿う方向に向け噴射空間12を形成し、該噴射空間12を介して屈曲部9a下流の排気管9内の流路に燃料を噴射し得るように構成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、排気管の途中に装備した排気浄化用触媒により排気浄化を図ることが行われている。この種の排気浄化用触媒としては、排気空燃比がリーンの時に排気ガス中のNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下した時に未燃HCやCO等の介在によりNOxを分解放出して還元浄化する性質を備えたNOx吸蔵還元触媒が知られている。
【0003】
このNOx吸蔵還元触媒においては、NOxの吸蔵量が増大して飽和量に達してしまうと、それ以上のNOxを吸蔵できなくなるため、定期的にNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を低下させてNOxを分解放出させる必要がある。例えば、ガソリン機関に使用した場合であれば、機関の運転空燃比を低下(機関をリッチ空燃比で運転)することにより、排気ガス中の酸素濃度を低下し且つ排気ガス中の未燃HCやCO等の還元成分を増加してNOxの分解放出を促すことができる。
【0004】
ただし、NOx吸蔵還元触媒をディーゼル機関の排気浄化装置として使用した場合には、機関をリッチ空燃比で運転することが困難である。このため、NOx吸蔵還元触媒の上流側で排気ガス中に燃料を添加することにより、その添加した燃料を高温の排気ガス中で熱分解させて多量の炭化水素を生成し、この炭化水素を還元剤としてNOx吸蔵還元触媒上で酸素と反応させることで排気ガス中の酸素濃度を低下させる必要がある。
【0005】
他方、ディーゼル機関から排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)の低減対策として、パティキュレートフィルタに担持させた酸化触媒や、フロースルー型の酸化触媒といった排気浄化用触媒を排気管の途中に装備することが既に行われている。このような酸化触媒を使用すれば、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートや排気ガス中のパティキュレートの酸化反応を促進し、該パティキュレートの燃焼除去による低減化を図ることができる。
【0006】
ただし、このような酸化触媒には活性温度領域があり、この活性下限温度を下まわるような排気温度での運転状態が続くと、酸化触媒が活性化しないためにパティキュレートが良好に燃焼除去されないという不具合が起こり得る。必要に応じ上流側の排気ガス中に燃料を添加し、この添加した燃料を高温の排気ガス中で熱分解させることで多量の炭化水素を生成し、この炭化水素を酸化触媒上で酸化反応させて反応熱により触媒床温度を積極的に上昇させることが提案されている。
【0007】
以上に幾つかの例をあげて説明した通り、排気管の途中に装備した排気浄化用触媒(NOx吸蔵還元触媒や酸化触媒、又はこれらを担持したパティキュレートフィルタ)の上流側に燃料を添加するという考え自体は従来より提案されているものである。
【0008】
例えば、シリンダヘッドの排気ポートに燃料添加用インジェクタを装備して、該インジェクタによる排気ポート噴射で排気ガス中に燃料を添加し、その添加燃料をタービンで撹拌した上で排気浄化用触媒に供給するようにした手段が提案されており、このような排気ポート噴射で排気ガス中に燃料を添加する手段は既に一部の乗用車等で実用化に向けた開発が成されている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
ただし、ディーゼルエンジンを搭載した大型車両等においては、EGR装置やターボチャージャの信頼性を確保する観点から、排気管途中の排気浄化用触媒の入側にインジェクタを装備して燃料添加を行うことが望まれており、既に排気管途中にインジェクタで燃料添加を行う手段が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−280125号公報
【特許文献2】
特開2000−240429号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように排気管の途中にインジェクタを装備するとした場合、該インジェクタが高温の排気ガスに晒されることによる焼損や添加燃料の流路内での焼付きを確実に回避し得るようにするため、インジェクタに関して何らかの熱対策を講じる必要があると考えられるが、インジェクタの排気管途中への装備自体が開発途上のことであり、インジェクタの熱対策については、未だ実用性の高い具体的手段が提案されていないのが実情である。
【0012】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、排気管の途中に装備したインジェクタの焼損や添加燃料の流路内での焼付きを確実に回避し得るようにした実用性の高い排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、排気浄化用触媒を排気管の途中に装備し、該排気管の排気浄化用触媒より上流にある屈曲部の曲がり方向外側に、該屈曲部上流の排気管に沿うように燃料添加用インジェクタを付設すると共に、該インジェクタのノズルの先端部から屈曲部下流の排気管に沿う方向に向け噴射空間を形成し、該噴射空間を介して屈曲部下流の排気管内の流路に燃料を噴射し得るように構成したことを特徴とする排気浄化装置、に係るものである。
【0014】
而して、このようにすれば、インジェクタのノズルの先端部から噴射空間を介して排気管内の流路に燃料が添加されることになるので、インジェクタのノズルの先端部が高温の排気ガスに晒されなくなり、インジェクタのノズルの焼損や添加燃料の流路内での焼付きが確実に回避される。
【0015】
しかも、このようにインジェクタのノズルの先端部と排気管内の流路との間に噴射空間を介在させても、インジェクタ自体は屈曲部上流の排気管に沿うように付設されているので、排気管から大きく張り出さないコンパクトな付帯装備としてインジェクタを配置することが可能となる。
【0016】
また、本発明においては、噴射空間がインジェクタの先端部を頂点とする円錐形状を成し且つその円錐形状の頂角がインジェクタのノズルの噴射角より大きく設定されていることが好ましい。
【0017】
このようにすれば、インジェクタのノズルから噴射された燃料が、噴射空間の内周面に付着することなく全て排気管内の流路に噴射され、該流路を流れる排気ガス中に良好に添加されるので、インジェクタ内の電磁弁の開弁期間を電子制御することによる意図した通りの適切な制御量で効果的な燃料添加が実現されることになる。
【0018】
更に、本発明においては、インジェクタのノズルの噴霧中心が屈曲部下流の排気管の中心線に対し屈曲部上流に向かう側へ所要の傾斜角を有するように構成されていることが好ましい。
【0019】
このようにすれば、屈曲部上流からの排気ガスの流れに対する添加燃料の混合性が増し、排気管の屈曲部の曲がり方向外側に片寄りがちな排気ガスの主流の影響で添加燃料が屈曲部の曲がり方向内側に混合され難いという不具合が解消されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1中における符号の1はターボチャージャ2を搭載したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3から導いた吸気4を吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへ導いて加圧し、その加圧された吸気4をインタークーラ6を介しディーゼルエンジン1の各気筒に分配して導入するようにしてある。
【0021】
また、このディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド7を介し排出された排気ガス8を排気管9を通して前記ターボチャージャ2のタービン2bへ送り、該タービン2bを駆動した排気ガス8を触媒再生型のパティキュレートフィルタ10(排気浄化用触媒)を通してパティキュレートを捕集した上で車外へ排出するようにしてある。
【0022】
更に、排気管9におけるパティキュレートフィルタ10より上流で略L字状に曲がっている屈曲部9aの曲がり方向外側に、該屈曲部9a上流の排気管9に沿うように燃料添加用のインジェクタ11が先端部を下方に向けた傾斜状態で付設されており、該インジェクタ11の基端部に燃料タンク(図示せず)等から導かれた燃料の一部が、前記インジェクタ11の先端部から屈曲部9a下流の排気管9に沿う方向に向けて形成された噴射空間12を介し排気管9内の流路に噴射されるようになっている。
【0023】
図2に示す如く、前記噴射空間12は、インジェクタ11のノズル11aの先端部を頂点とする円錐形状を成し且つその円錐形状の頂角αがインジェクタ11のノズル11aの噴射角βより大きく設定されたものとなっている。
【0024】
また、インジェクタ11のノズル11aの噴霧中心は、屈曲部9a下流の排気管9の中心線に対し屈曲部9a上流に向かう側へ所要の傾斜角θを有するように構成されている。
【0025】
尚、インジェクタ11を抱持しているボス部13の内部には、前記インジェクタ11と略同心状の筒形を成すウォータジャケット14が穿設されており、該ウォータジャケット14におけるインジェクタ11先端側(下端側)で且つ排気管9に対し離反する側に給水口15が設けられ、前記ウォータジャケット14におけるインジェクタ11基端側(上端側)で且つ排気管9に対し近接する側に排水口16が設けられている。
【0026】
そして、前記給水口15に対しディーゼルエンジン1の冷却水の一部を供給し且つ前記排水口16から抜き出した冷却水を図示しないサーモスタット(整温器)へ戻すようにしてある。
【0027】
而して、このように排気浄化装置を構成すれば、インジェクタ11のノズル11aの先端部から噴射空間12を介して排気管9内の流路に燃料が添加されることになるので、ノズル11aの先端部が高温の排気ガス8に晒されなくなり、インジェクタ11のノズル11aの焼損や添加燃料の流路内での焼付きが確実に回避される。
【0028】
しかも、このようにインジェクタ11のノズル11aの先端部と排気管9内の流路との間に噴射空間12を介在させても、インジェクタ11自体は屈曲部9a上流の排気管9に沿うように付設されているので、排気管9から大きく張り出さないコンパクトな付帯装備としてインジェクタ11を配置することが可能となる。
【0029】
ここで、排気管9内の流路に対するノズル11aの引込み量x(図2参照)は、排気管9内の流路を流れる排気ガス8の温度により適宜に決まるものであり、インジェクタ11のノズル11aの先端温度を耐熱保証限界(例えば180℃程度)に保持するのに必要なノズル11aの引込み量xは、排気管9側の排気温度が高くなるほど大きくとる必要がある(図3参照)。
【0030】
ただし、排気温度に対する引込み量xの増減傾向は、インジェクタ11のノズル11aの径や、ウォータジャケット14側との伝熱面積等の様々な要因が複雑に関連することで変化するので、実装されるディーゼルエンジン1ごとに実測ベースで温度的に支障のない引込み量xを適切に設定することが好ましい。
【0031】
他方、本形態例においては、噴射空間12の円錐形状の頂角αがインジェクタ11のノズル11aの噴射角βより大きく設定されているので、インジェクタ11のノズル11aから噴射された燃料が、噴射空間12の内周面に付着することなく全て排気管9内の流路に噴射されて、該流路を流れる排気ガス8中に良好に添加される。この結果、インジェクタ11内の電磁弁の開弁期間を電子制御することによる意図した通りの適切な制御量で効果的な燃料添加が実現される。
【0032】
更に、インジェクタ11のノズル11aの噴霧中心が屈曲部9a下流の排気管9の中心線に対し屈曲部9a上流に向かう側へ所要の傾斜角θを有するようにしてあるので、屈曲部9a上流からの排気ガス8の流れに対する添加燃料の混合性が増し、排気管9の屈曲部9aの曲がり方向外側に片寄りがちな排気ガス8の主流の影響で添加燃料が屈曲部9aの曲がり方向内側に混合され難いという不具合が解消されることになる。
【0033】
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、炭化水素の添加を要する排気浄化用触媒には、触媒再生型のパティキュレートフィルタ以外にNOx還元触媒(選択還元型触媒)やNOx吸蔵還元触媒、パティキュレートフィルタにNOx吸蔵還元触媒を組み合わせたもの、酸化触媒等を採用しても良いこと、また、インジェクタにより添加される燃料には、一般的なディーゼルエンジン用燃料である軽油を用いる以外に、灯油等の異種燃料を用いても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
上記した本発明の排気浄化装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0035】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、インジェクタのノズルの先端部と排気管内の流路との間に噴射空間を介在させたことにより、ノズルの先端部を高温の排気ガスに晒されないよう保護することができるので、インジェクタのノズルの焼損や添加燃料の流路内での焼付きを確実に回避することができ、しかも、排気管から大きく張り出さない付帯装備としてインジェクタをコンパクトに配置することもできる。
【0036】
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、インジェクタのノズルからの燃料を、噴射空間の内周面に付着させることなく全て排気管内の流路に噴射して、該流路を流れる排気ガス中に良好に添加することができるので、インジェクタ内の電磁弁の開弁期間を電子制御することによる意図した通りの適切な制御量で効果的な燃料添加を実現することができる。
【0037】
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、屈曲部上流からの排気ガスの流れに対する添加燃料の混合性を大幅に向上することができるので、排気管の屈曲部の曲がり方向外側に片寄りがちな排気ガスの主流の影響で添加燃料が屈曲部の曲がり方向内側に混合され難いという不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1のインジェクタの設置個所の詳細を拡大して示す断面図である。
【図3】排気温度とノズル引込み量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン
8 排気ガス
9 排気管
9a 屈曲部
10 触媒再生型のパティキュレートフィルタ(排気浄化用触媒)
11 インジェクタ
11a ノズル
12 噴射空間
α 噴射空間の円錐形状の頂角
β インジェクタの噴射角
θ 屈曲部下流の排気管中心線に対するインジェクタの噴霧中心の傾斜角
x 排気管内の流路に対するノズルの引込み量
Claims (3)
- 排気浄化用触媒を排気管の途中に装備し、該排気管の排気浄化用触媒より上流にある屈曲部の曲がり方向外側に、該屈曲部上流の排気管に沿うように燃料添加用インジェクタを付設すると共に、該インジェクタのノズルの先端部から屈曲部下流の排気管に沿う方向に向け噴射空間を形成し、該噴射空間を介して屈曲部下流の排気管内の流路に燃料を噴射し得るように構成したことを特徴とする排気浄化装置。
- 噴射空間がインジェクタのノズルの先端部を頂点とする円錐形状を成し且つその円錐形状の頂角がインジェクタのノズルの噴射角より大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- インジェクタのノズルの噴霧中心が屈曲部下流の排気管の中心線に対し屈曲部上流に向かう側へ所要の傾斜角を有するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
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