JP2004197287A - 機械的に収縮された透湿防水シートおよびその製造方法 - Google Patents

機械的に収縮された透湿防水シートおよびその製造方法 Download PDF

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Hiroshi Yazawa
宏 矢沢
Yasuo Sasaki
靖夫 佐々木
Shuichi Murakami
修一 村上
Yoshiki Kuroiwa
由喜 黒岩
Kazuhiro Yabe
和宏 矢部
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Abstract

【課題】本発明は、防縮加工を施しても、透湿防水シートの本来の性能である透湿性を損なうことのない透湿防水シートとすることにあり、また、従来の透湿防水シートの住宅における施工現場における騒音を低減し、引裂強度をアップし、釘穴防水性を有する透湿防水シートとすることにある。
【解決手段】本発明の透湿防水シートは、機械的に収縮処理が施されていることを特徴とし、また、シートに多数の小皺が設けられていることを特徴とし、その透湿防水シートの熱収縮率が1.5%以下であることを特徴とする。さらに本発明は、シートに機械的に収縮処理を施す工程を含むことを特徴とする透湿防水シートの製造方法に関する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透湿防水シートおよびその製造方法に関し、特に機械的に収縮加工が施されることにより、熱的な寸法安定性を良くした透湿防水シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
透湿防水シートは、住宅の通気層工法などの内部結露防止構造を備えた外壁において、透湿、防水、防風などのために使用されており、JISA6111によっても規定されており、また、屋根用に使用されており、建築用のシートとして広く使用されるようになった。しかし、広く使用されるにしたがい、その要求される性能も、ますます高度のものが要望されてきた。特に製品の熱収縮率(熱的寸法安定性)については、90℃において、1.0%以下という厳しい基準も要望されてきた。耐熱収縮性に関しては、通常、熱収縮や熱処理により行われるが、防縮加工を熱的手段にのみ依存すると、透湿性が損なわれるか、またはその値のバラツキが大きくなり、透湿防水シートの本来の性能が損なわれることがわかった。
【0003】
また、従来の透湿防水シートは、住宅における施工現場において、シートが風に煽られて、騒音を発する問題があり、風に煽られても音の発生が低いものが求められていた。また、風に煽られた際にシートが引き裂かれる問題点もあり、引裂強度がアップしたものが求められていた。また、透湿防水シートは、施工現場では、柱等に釘で固定されるが、その釘穴防水性も求められていた。
【0004】
従来の織物における防縮加工技術やフィルムの熱賦型技術(特公昭42−13419号、特公昭62−28226号、特公平5−41742号等)が、本発明の透湿防水シートに応用されるが、本発明は、これら熱的寸法安定性ばかりでなく、透湿防水シートに望まれていた上記騒音防止特性、引裂強度アップ、釘穴防水性等も合わせて向上させることに特徴がある。
【0005】
【特許文献1】
特公昭42−13419号公報(第1−2頁、第3図)。
【特許文献2】
特公昭62−28226号公報(第1−5頁、第1図)。
【特許文献3】
特公平5−41742号公報(第1−2頁、第1図)。
【非特許文献1】
JISA6111およびその解説、日本規格協会。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、防縮加工を施しても、透湿防水シートの本来の性能である透湿性を損なうことのない透湿防水シートとすることにある。また他の目的は、従来の透湿防水シートの住宅における施工現場における騒音を低減した透湿防水シートとすることにある。また他の目的は、引裂強度のアップした透湿防水シートとすることにある。さらにまた他の目的は、釘穴防水性を有する透湿防水シートとすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、機械的に収縮処理が施されていることを特徴とする透湿防水シートに関する。また本発明は、シートに多数の小皺が設けられていることを特徴とする透湿防水シートに関する。さらに本発明は、上記透湿防水シートおいて、その熱収縮率が1.5%以下であることを特徴とする透湿防水シートに関する。さらに本発明は、シートに機械的に収縮処理を施す工程を含むことを特徴とする透湿防水シートの製造方法に関する。さらに本発明は、複数のウェブを積層してなる積層型透湿防水シートの積層工程において、ウェブまたはシートに機械的に収縮処理を施すことを特徴とする透湿防水シートの製造方法に関する。さらに本発明は、前記機械的な収縮処理工程における収縮率が、1%以上であって15%以下であることを特徴とする透湿防水シートの製造方法に関する。さらに本発明は、前記機械的な収縮処理において、前記積層型透湿防水シートがポリエチレン系微多孔膜を有し、その収縮時に作用させる温度が、70℃以上であって95℃以下であることを特徴とする透湿防水シートの製造方法に関する。
【0008】
本発明は、熱による寸法安定性を付与された透湿防水シートに関する。透湿防水シートとは、JISA6111による住宅の通気層工法などの内部結露防止構造を備えた外壁において、透湿、防水、防風などのために使用する透湿防水シートをいい、屋根用に使用される場合も含まれる。そのタイプとして、不織布や紙からなるもの、フィルムに微細な孔を開けて透湿性や防水性を付与した微多孔膜などがある。また、それらに力学的な引張強度や引裂強度を付与して、実用性能を高めるため、補強用ネットと組み合わすことも行われている。本発明は、これらの透湿防水シートについて適用されるが、微多孔膜と補強用ネットから構成されている透湿防水シートについて特に適する。微多孔膜は、JISA6111に適合する透湿防水性能を有し、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系のものが特に適する。また補強用ネットは、粗い織物やニット類も使用できるが、新日石プラスト株式会社商品名「ワリフ」や、積水化学株式会社商品名「ソフ」などの直交不織布や多軸積層不織布が、引張強度や引裂強度などの力学的な面ばかりでなく、通気性が大であり、表面が平滑であることより印刷適性にも優れることより、特に適する。また、微多孔膜、補強用ネット、不織布等の3層以上の構成とすることもできる。
【0009】
本発明は、機械的に収縮処理されていることを特徴とする透湿防水シートに関する。「機械的に収縮」とは、熱以外の機械または物理的な手段で、シートの長さ、幅または面積を小さくする処理をいう。但し、機械的収縮をスムースに行うため熱的手段を補助的に使用すること、または収縮された状態を固定するために熱処理を行うことを妨げるものではない。収縮プロセスにおける機械的収縮の率は、その長さまたは幅方向の寸法において、好ましくは1.0%以上であって15%未満、さらに好ましくは2.0%以上であって10%以下、3.0%以上であって8%以下であることが最も好ましい。織布等の機械的防縮加工においては、通常20%以上の行われるのに対して、本発明の機械的防縮加工は15%未満であることを特徴とし、あまり大きな機械的収縮は、透湿防水シートの機械的寸法安定性を損ない好ましくなく、特に積層型透湿防水シートでは、剥離等が生じる場合がある。なお、これらの収縮プロセスにおける収縮率は、製品にタテ方向、ヨコ方向の一定長さ(通常100cm)に印を入れ、本発明の機械的な収縮処理後にその印間の長さを測ることで、収縮率を算出する。これらの収縮手段は、織物、不織布、フィルム等に利用されているが、本発明は、これらの手段を透湿防水シートに応用することにより、透湿防水シートの熱的寸法安定性を向上させるばかりでなく、施工現場における騒音防止効果や、引裂強度アップ効果、さらに柔軟性が増すための釘穴防水効果などをもたらすものである。これらの収縮手段の具体的手段については、図面において詳述する。
【0010】
本発明における機械的な収縮は、一定の温度の元で行うことが望ましい。変形を受け入れやすい温度である。また、これらの温度は、製品となった後の温度に対して、収縮が防止されているばかりでなく、温度が加わった場合に、基材のシートは収縮しても、機械的収縮処理により加わった皺が逆に伸長することで、透湿防水シート全体としては寸法安定性が保たれる場合もある。このような温度は透湿防水シートを構成する材質によって大きく影響されるが、透湿防水シートがポリエチレン系微多孔膜と補強用ネットから構成されている場合は、本発明における透湿防水シートの機械的な収縮処理において、その収縮時に作用させる温度が、70℃以上であって95℃以下であることが好ましく、80℃以上であって90℃以下であることがさらに好ましい。70℃以下では、機械的収縮処理による皺やひだ等の形体が安定しないからであり、95℃以上では、フィルム間の膠着や透湿性の低下が生じるからである。なお、ポリエチレン系とは、ポリマー中にエチレンユニットを半分以上含むものをいい、他のユニットとして、プロピレン、ブテン等のオレフィンユニット等がある。
【0011】
本発明は、透湿防水シートに多数の小皺が設けられていることを特徴とする。皺は、「ひだ」、「屈曲」、「筋」または「畝」とも称することができるが、平面状シートに一定の盛り上がりや折り畳みが生じている状態をいう。皺の大きさは、特に制限されるものではないが、幅方向に対して長さ方向が数倍から数十倍以上を有うし、長さ方向について制限はないが、幅方向には1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。幅方向が1.0mm以上の皺は、印刷性の妨げになり、好ましくない。多数とは、平方センチメータ当たり5個以上が好ましく、10個以上であることがさらに好ましい。皺の方向は、タテ方向、ヨコ方向、斜め方向など、特に限定されるものではない。これらの皺や収縮処理によってシートの柔軟性が増すことにより、騒音を低下させ、釘穴防水性も生じる。また、柔軟になったことより引裂強度もアップするが、特に皺を横切る方向には、引裂強度が特に向上する。さらに、施工の際に、曲面に貼りつける場合は、皺を伸ばすことで、きれいな仕上がりとなる。
【0012】
本発明は、複数のウェブを積層してなる積層型透湿防水シートの積層工程において、ウェブまたはシートに機械的に収縮処理を施すことを特徴とする透湿防水シートの製造方法に関する。ウェブとは、フィルムや不織布など平面状の素材をいうが、ここでは、不織布、紙、微多孔膜、補強用ネットなどを意味し、それらの複数のものを積層する。積層とは、ウエブを平面的に重ねて接合することを意味し、接合手段としては、熱接着、接着剤接合、超音波シールなどがある。これらの接合工程で、機械的収縮処理を施すことにより、別工程で収縮処理を施すより、巻き取ったものを、さらに繰り出して、また巻き取る等の工程が不要になり、コスト、時間、装置空間が節約できるばかりでなく、繰出や巻き取り初期の工程不安定部が少なく、物性が安定しており、製品歩留も向上する。
【0013】
本発明における収縮処理または皺を導入された透湿防水シートにおける製品の熱収縮率(熱的寸法安定性)は、その収縮率が1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。本発明における機械的収縮処理のおおきな目的は、熱的寸法安定性を良くすることにあり、1.5%以下という値が業界で望まれるようになってきたからである。但し、熱収縮率測定で、測定値がマイナス、即ち、逆に伸びてしまう場合もあるが、その値はわずかであり、マイナスの収縮率も本発明の1.5%以下に含まれる。なお、本発明における製品の収縮率測定は、製品から、試料長5×30cm(測定方向が30cm)を、タテ方向、ヨコ方向5点ずつサンプリングし、90℃空気中で、7日間静置した後の長さの変化から求め、タテ方向、ヨコ方向の平均値を収縮率とする。
【0014】
なお、透湿防水シートが本発明の収縮処理工程に入る前に、加熱シリンダ等で予熱することは、スピードアップや安定した収縮処理に有効である。また、本発明の収縮処理の後工程では、冷風や冷却シリンダー等の冷却工程を設けることは、収縮処理で導入された皺等の安定に有効である。
【0015】
本発明の機械的収縮処理においては、一枚の透湿防水シートを上記の手段で行うこともできるが、多数枚の透湿防水シートを積層して同時に流すことにより、多数枚同時に処理することもできる。この場合、離型用の薄いフィルムや紙、不織布等を、これら多数枚の透湿防水シートの一枚一枚の間に挟んで積層することにより、より過酷な条件で高速で処理することができる。
【0016】
【実施形態】
以下本発明を図面で示す実施例に基づいて説明する。
本発明における透湿防水シートに機械的に収縮処理の具体例の一つとして、数センチメータ以上の厚いゴムシートやフェルトなどを、表面の伸長状態から収縮するときに、それらゴム等に密着しているシートをタテ方向に収縮させる方法を使用することができる。図1Aは、透湿防水シート1の収縮処理装置の例で、ドラム2の一部に沿って走行する厚みの厚いベルト3が循環している。ベルト3は、プレッシャーローラ4上で変形されて表面が伸びた状態になっており、その伸びたベルト3の表面に、ターンローラ5a、5bより送られてきた透湿防水シート1を沿わし、ベルト3とドラム2の間に挟まれた形でドラム2に沿って走行する。ドラム2上では、ベルト3の透湿防水シート1側の面は、伸長状態から圧縮状態に変化し、このベルト3の表面の変化に対応して収縮された透湿防水シート6として引き取られていく。この場合、ドラム2は加熱されていることが望ましい。また、ベルト3は、ゴムまたはフェルトなどの厚いものが好ましく、通常20mm以上、50mm以上のものも使用される。なお、厚いベルトの表面の伸縮効果を利用するというより、図1Aのターンローラ5a、5bによりシート1をベルト3より単に速く送り込むことで、ベルト3とドラム2に挟むことで、シート1が折り畳んで供給されて、収縮処理という目的が達成できるようにすることもできる。
【0017】
同様に厚いゴムシート等を利用する収縮処理の例として、加圧ローラ間でニップされることによって変形し、その後に元の状態に復元する作用を利用して、タテ方向に収縮させる手段を用いることもできる。図1Bは、その例を示したもので、金属ローラ11と厚いゴムの肉厚部12を有するゴムローラ13沿って循環ベルト3が走行している。ベルト3の表面の伸長状態の部分に透湿防水シート1が沿わされ、金属ローラ11とゴムローラ13のニップ部へ導かれ、ニップの圧力でゴムローラ13の肉厚部12が変形することにより圧縮されて収縮する。収縮された透湿防水シート14は、加熱されている金属ローラ11に沿って走行し、熱処理されて引き取られていく。
【0018】
機械的収縮手段の他の具体例として、シリンダ上を走行する透湿防水シートをドクターブレードでシリンダから剥がしながら、その走行するシートにブレードを押しつけてシートの走行を遅延させることにより、シートをタテ方向に収縮させる手段を用いることもできる。図2Aは、加熱されているシリンダ21上を走行する透湿防水シート1が、予備プレッシャーブレード22を通過した後、ドクターブレード23でシリンダ21から剥がされ、ドクターブレード23の背面とフレキシブルブレード24の間に押し込まれて収縮された後、収縮された透湿防水シート25aとして引き取られていく。予備プレッシャーブレード22とフレキシブルブレード24の押圧は、圧力制御板26の押圧でコントローラされるようになっている。また、図2Aにおいて、シリンダ21がタテに多数の溝を有し、ドクターブレード23も、そのシリンダ21にタテ溝に嵌合するコーム状のドクターとすることで、生産速度をアップし、生産の安定性をもたらすこともできる。図2Bは、図2Aにおけるドクターブレード23を使用せず、シリンダ21上で、走行する透湿防水シート1に直接フレキシブルブレード24を押しつけてシート1の走行を遅延させることにより収縮された透湿防水シート25bとすることもできる例を示したものである。
【0019】
図3に、機械的収縮手段の他の具体例を示す。透湿防水シート1が金属ローラ31、32より、チャンバーブレード33aと33bとの間の狭いチャンバー34に押し込まれていく。狭いチャンバー34内で中へ強制的に送り込まれたシート1は、強制的な押し込み圧での座屈等により収縮し、収縮された透湿防水シート35は、チャンバー34内から外に導びかれ製品とされる。
【0020】
機械的収縮手段の他の具体例を図4に示す。2枚の伸縮性ゴムシート41a、41bが、加熱されているニップローラ43a、43bと44a、44b間を循環している。ニップローラ43a、43bの表面速度は、ニップローラ44a、44bの表面速度により、2、3%から20%前後速く回転できるようになっている。透湿防水シート1は、ターンローラ42a、42bを経て、伸長された状態のゴムシート41bに供給され、ゴムシート41a、41bに挟まれてニップローラ43a、43bでニップされた状態で、収縮部45で二組のニップローラ46a、46bと47a、47bに挟まれて収縮される。ゴムシート41a、41bは、それぞれ一枚のシートであってもよいが、数センチメータから数十センチメータの帯状のものの集合であってもよい。収縮部45で収縮された透湿防水シート48は、冷却ローラ49により引き取られ、製品とされる。また、ゴムの伸縮性を利用せず、図4で、シート41が伸縮性でなく、ニップローラ43a、43bと44a、44bが等速であっても、透湿防水シートがターンローラ42a、42bによりシート41より速い速度で送り込まれるようにすることにより、シート41a、41b間で折り畳んで挟まれて供給され、収縮処理という目的が達成できるようにすることもできる。この図4のプロセスは簡便であるため、次に述べる積層型透湿防水シートの製造ラインに組み込むことに適する。
【0021】
機械的収縮手段の他の具体例として、透湿防水シート1にエンボスローラやギアローラにより機械的に賦型することにより、タテまたはヨコに収縮させる手段を用いることもできる。図5は、補強用ネット51と、微多孔膜52を積層する工程で、ギアローラ53a、53bにより賦型する例について示す。補強用ネット51が巻き取られた状態のロール54から繰り出され、同じく微多孔膜52が巻き取られた状態のロール55から繰り出され、両者は予熱ローラ56で予熱されて、熱圧着ニップローラ57a、57b、57c間で積層圧着される。その後互いに噛み合っている一対のギアローラ53a、53bにより、横方向に畝状の皺を形成し、冷却ニップローラ58a、58bで引き取られ、収縮された透湿防水シート59とされる。なお、ギアローラ53、予熱ローラ56、熱圧着ニップローラ57は所定の温度に加熱されていることが望ましい。また、ギアローラ53と冷却ニップローラ58の表面速度は、熱圧着ローラ57の表面速度より数%から数十%低速になるようにされている。冷却ニップローラ58を出た収縮された透湿防水シート59は、アキュムレータローラ群60aから60gを通過して、引取ニップローラ61を経てロール巻き製品62とされる。上方にあるアキュムレータローラ群60b、60d、60fは、定常状態では下方にあり、製品巻き換え時には、上方に移動し、製品巻き換えによる積層圧着工程の停止を避けるようになっている。ギアローラ53の替わりに、互いに噛み合う溝ローラを使用して、タテ方向に畝状の皺をつくることができる。溝ローラの替わりに、多数のワッシャー状のリングを組み合わせて作成されたものでもよい。また、互いに雌雄関係にあるエンボスローラにより、所望の形状の皺を賦型することもできる。なお、積層工程における機械的収縮手段は、図5のように積層後行うばかりでなく、積層前に行うこともできる。
【0022】
図6に本発明における皺の種々の形態の例を示す。図6Aは、ヨコ方向に多数の皺が入った例で、図1から図4までのプロセスにより皺を入れることができる。図6Aのヨコ方向の皺は、タテ方向の熱的寸法安定性に寄与し、また、タテ方向への引裂に対して抵抗を示す。図6Bのタテ方向の皺は、図5のギアの替わりに、お互いに噛み合っているタテ溝ローラにより賦型された皺で、ヨコ方向の熱的寸法安定性に寄与し、横方向の引裂に対して抵抗を示す。図6Cは、図5のギアローラの替わりに、斜め方向のバターンのエンボスローラにより賦型した場合で、この場合は、タテ方向、ヨコ方向ともに熱的寸法安定性が付与され、引裂に対しては、タテ方向、ヨコ方向ともに抵抗を示す。
【0023】
【実施例】
[実施例1] 透湿防水シート(積水フィルム株式会社商品名「つゆガード」、積水フィルム(株)3軸積層不織布商品名「ソフ」とポリエチレン系微多孔膜との積層型透湿防水シート)を、図1Bに原理図を示した収縮加工機(上野山機工株式会社、商品名カムフィット)に掛けた。透湿防水シートの導入速度は25m/分で、エンドレスゴムベルトとゴムローラが、80℃加熱された金属ローラで加圧(圧縮変形30%)ることで、収縮処理された。収縮処理機からでた製品はタテ方向に機械的に3.5%収縮されて、製品にはヨコ方向に多数の小皺(長い方向に2〜5mm、幅方向に0.2〜0.5mmの皺が、1.0cmに8〜15個)があった。製品の90℃、7日間の収縮率は、タテ0.6%、ヨコ0.7%であった。また、透湿抵抗は、0.114m・s・Pa/μgであり、防風性は457s/100ccであった(JISA6111準拠測定)。
【0024】
[実施例2] 図5の装置を使用して、ギアローラによりヨコ方向に皺を入れた例を示す。補強用ネット(積水フィルム(株)直交不織布、商品名「ソフ」)とポリエチレン系微多孔膜のロール巻製品をそれぞれ繰り出し、100℃の予熱ローラにより予熱されて、熱圧着ニップローラ(110℃)間で積層圧着し、透湿防水シートとされる。その後、互いに噛み合っている一対のギアローラ(ピッチモジュール0.5、90℃に加熱されている)により、横方向に畝状の皺を形成し、冷却ニップローラ(25℃)で引き取られ、収縮された透湿防水シートを製造した。その際、熱圧着ローラ表面速度は20.0m/分、ギアローラは18.4m/分、冷却引取ローラは18.8m/分であった。製品の90℃、7日間の収縮率は、タテ0.4%、ヨコ0.2%であった。また、透湿抵抗は、0.119m・s・Pa/μgであり、防風性は480s/100ccであった。
【0025】
[実施例3] 実施例2における、ギアローラの替わりに、1mmピッチのタテに溝のある溝ローラが互いに噛み合っているローラを使用し、タテ方向に筋の入った透湿防水シートとした。その際、熱圧着ローラ表面速度は10m/分、タテ溝ローラは9.9m/分、冷却引取ローラは9.8m/分であった。製品の90℃、7日間の収縮率は、タテ0.8%、ヨコ0.6%であった。また、透湿抵抗は、0.120m・s・Pa/μgであり、防風性は482s/100ccであった。
【0026】
[比較例] 実施例1に示した収縮処理しない原料として使用した透湿防水シートの収縮率は、タテ2.9%、ヨコ0.6%であった。また、透湿抵抗は、0.108m・s・Pa/μgであり、防風性は490s/100ccである。この原料の透湿防水シートを110℃の熱シリンダー上で、5m/分の加工速度で収縮処理した。その製品の透湿防水シートの収縮率は、タテ0.8%、ヨコ0.6%と改善されたが、透湿抵抗は、0.302m・s・Pa/μgであり、防風性は3000s/100ccとJISA6111に合致しないものとなった。
【0027】
【発明の効果】
透湿防水シートの熱的寸法安定性を得る目的で、熱収縮処理や熱固定などの熱的手段のみでは、熱的寸法安定は達成できても、透湿性能が低下し、透湿防水シート本来の性能を達成できないことがわかった。本発明の種々の機械的収縮処理や導入された皺は、織物や不織布、紙などの加工や、フィルムの凹凸加工等に使用されている手段であるが、本発明は、これらの手段を透湿防水シートに応用することにより、透湿防水シートの寸法安定性を向上させるばかりでなく、本発明の収縮処理により柔軟性が増すことにより、施工現場における騒音防止効果や、引裂強度アップ効果、さらに釘穴防水効果などをもたらすことができた。また、本発明の収縮処理された透湿防水シートは、施工の際、曲面に貼り付ける場合において、皺が伸びて曲面に密着し、よい仕上がりとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透湿防水シートに機械的収縮処理を施す具体例を示す装置の側面図。A図は、厚いベルト3の表面の伸縮を利用する手段を示し、B図は、ゴムローラのゴム層12の圧縮を利用する手段を示す。
【図2】本発明の透湿防水シートに機械的収縮処理を施す他の具体例を示す装置の部分の側面図。A図は、ドクターブレード23を使用する例を示し、B図は、ドクターブレードを使用しない例について示す。
【図3】本発明の透湿防水シートに機械的収縮処理を施す他の具体例を示す装置の側面図。
【図4】本発明の透湿防水シートに機械的収縮処理を施す他の具体例を示す装置の側面図。
【図5】本発明の透湿防水シートに機械的収縮処理を施す他の具体例を示す装置の側面図で、積層型透湿防水シートの積層工程で、ギアローラ53で畝状のヨコ皺を賦型する例について示す。
【図6】本発明の透湿防水シートに賦された種々の皺の形状の例について示す。
【符号の説明】
1:透湿防水シート、 2:ドラム、 3:厚いベルト、
4:プレッシャーローラ、 5a,5b:ターンローラ、
6:収縮された透湿防水シート。
11:金属ローラ、 12:ローラの肉厚ゴム部、 13:ゴムローラ
14:収縮された透湿防水シート。
21:シリンダ、 22:予備プレッシャーブレード、
23:ドクターブレード、 24:フレキシブルブレード、
25a、25b:収縮された透湿防水シート。
26:圧力制御板26。
31、32:金属ローラ、 33a、33b:チャンバーブレート、
34:チャンバー、 35:収縮された透湿防水シート。
41a、41b:伸縮性ゴムシート、 42a、42b:ターンローラ、
43a、43b、44a、44b:ニップローラ、
45:収縮部、 46a、46b、47a、47b:ニップローラ、
48:収縮された透湿防水シート、 49:冷却ローラ。
51:補強用ネット、 52:微多孔膜、 53a、53b:ギアローラ
54:補強用ネットのロール巻製品、 55:微多孔膜ロール巻製品、
56:予熱ローラ、 57a,57b、57c:熱圧着ニップローラ、
58a、58b:冷却ニップローラ、 59:収縮された透湿防水シート、
60a〜60g:アキュムレータローラ群、 61:引取ニップローラ、
62:ロール巻製品。

Claims (7)

  1. 機械的に収縮処理が施されていることを特徴とする透湿防水シート。
  2. シートに多数の小皺が設けられていることを特徴とする透湿防水シート。
  3. 請求項1および2の透湿防水シートおいて、その収縮率が1.5%以下であることを特徴とする透湿防水シート。
  4. シートに機械的に収縮処理を施す工程を含むことを特徴とする透湿防水シートの製造方法。
  5. 複数のウェブを積層してなる積層型透湿防水シートの積層工程において、ウェブまたはシートに機械的に収縮処理を施すことを特徴とする透湿防水シートの製造方法。
  6. 請求項4および5における機械的な収縮処理工程における収縮率が1%以上であって15%以下であることを特徴とする透湿防水シートの製造方法。
  7. 請求項1から4における機械的な収縮処理において、前記積層型透湿防水シートがポリエチレン系微多孔膜を有し、その収縮時に作用させる温度が、70℃以上であって95℃以下であることを特徴とする透湿防水シートの製造方法。
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