JP2004197224A - 電気電子部品用金属材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プリント基板などに実装される部品内蔵用低背化筐体に適した電気電子部品用金属材料を提供する。
【解決手段】 金属基材上の一部に樹脂皮膜を有する電気電子部品用金属材料。前記金属基材上に金属層を少なくとも1層有し、前記樹脂皮膜が前記金属基材上に、直接または前記金属層の少なくとも1層を介して設けられている電気電子部品用金属材料。前記金属基材または前記金属層が下地処理されている電気電子部品用金属材料。前記金属基材表面から樹脂皮膜表面までの高さが60μm以下である電気電子部品用金属材料。前記金属材料を用いた電気電子部品。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気電子機器、特に携帯機器などのプリント基板などに実装される素子内蔵用低背化筐体等の電気電子部品(筐体、ケース、カバー、キャップなど)に適した金属材料に関する。
電気電子機器のプリント基板などに実装されるセラミック発振子、水晶発振器、電圧制御発振器、SAWフィルター、ダイプレクサ、カプラ、バラン、LPF、BPF、誘電体デュプレクサなどの個別部品やこれら個々の素子を複数内蔵させた各種モジュール部品(アンテナスイッチモジュール、フロントエンドモジュール、RF一体型モジュール、ブルートゥース(Bluetooth)モジュール、イメージセンサーモジュール、チューナーモジュールなど)や検出スイッチなどの部品は、電磁シールドのために金属製筐体に入れたり、カバーで覆ったりして用いられるが、電気電子機器の携帯化が進展する中で前記筐体などには、薄型化、低背化が要求され、その高さはモジュール部品では5mm以下、個別部品では2mmを割り1mm前後に突入しつつある。
しかし、上記金属製筐体などは、低背化に伴って内容積が小さくなり、内蔵部品とケース、カバー、キャップ、筐体(カバー付きケース)などの電気電子部品との間の絶縁性が十分確保できなくなるという欠点があった。
このような場合は、絶縁フィルムをシート状の所定寸法に裁断してケース内部に挿入する方法が行われていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、高コストで製造方法も煩雑であるという問題点があった。
特開平1−6389号公報
本発明は、従来の電気電子部品用金属材料から形成された電気電子部品では内蔵部品との絶縁性が十分確保できないという欠点を解消し、プリント基板などに実装される部品内蔵用低背化筐体などに適した、内蔵部品との絶縁性が十分確保でき、かつ放熱性が高度に維持される、電気電子部品用金属材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、電気電子部品用材料の絶縁性について鋭意検討した結果、金属基材上の絶縁を要する箇所に樹脂皮膜を設けることで、内蔵部品との絶縁性を十分確保しうることを見出した。本発明は、この知見に基づきなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)金属基材上の少なくとも一部に樹脂皮膜を有することを特徴とする電気電子部品用金属材料、
(2)前記金属基材上に金属層を少なくとも1層有し、かつ前記樹脂皮膜が前記金属基材上に、直接、または前記金属層の少なくとも1層を介して設けられていることを特徴とする(1)項記載の電気電子部品用金属材料、
(3)前記金属基材が下地処理されていることを特徴とする(1)項記載の電気電子部品用金属材料、
(4)前記金属基材、または前記金属層が下地処理されていることを特徴とする(2)項記載の電気電子部品用金属材料、
(5)前記金属基材表面から樹脂皮膜表面までの高さが60μm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料、および、
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料が用いられたことを特徴とする電気電子部品
を提供するものである。
本発明の電気電子部品用金属材料は、金属基材上の少なくとも一部に樹脂皮膜を有しているので、例えば、前記樹脂皮膜を内側にして筐体に用いた場合、内蔵部品との間の絶縁性が十分確保できる。従って筐体の低背化が実現でき、携帯機器などの薄型化に有用である。また前記樹脂皮膜は絶縁を要する箇所のみに設けられると、前記樹脂皮膜が設けられていない箇所は金属基材が露出していて放熱性が高度に維持される。また、前記金属基材の露出箇所に金属層を設けることにより、はんだ接合性(はんだリフロー性)、耐熱性、耐食性などの向上が図れる。前記金属基材に金属層を形成したものは、その上に設ける樹脂皮膜と密着性が向上する。また、前記金属基材または前記金属層に下地処理を施したものは、その上に設ける樹脂皮膜の密着性が向上する。依って、工業上顕著な効果を奏する。また、金属基材表面から樹脂皮膜表面までの高さが60μm以下にすることにより、低背化筐体として好適に用いることができる。
本発明の電気電子部品用金属材料は、金属基材上の少なくとも一部に樹脂皮膜を有するものである。樹脂皮膜を有する部分は、絶縁を要する箇所であることが好ましい。一つの好ましい実施態様においては、樹脂皮膜は絶縁を要する箇所のみに設けられる。また、樹脂皮膜は耐熱性樹脂皮膜であることが好ましい。
また、本発明の金属材料が用いられる、「電気電子部品」とは、それに限定されるものではないが、例えば、筐体、ケース、カバー、キャップなどが挙げられ、素子内蔵用低背化筐体がさらに好ましい。本発明の金属材料は、例えば、筐体を形成する場合には、金属基材の耐熱性樹脂皮膜形成面を内側にして形成することが好ましい。
また、本発明の金属材料が用いられる電気電子部品が好ましく内蔵する部品としては、それに限定されるものではないが、例えば、携帯機器などのプリント基板などに実装されるセラミック発振子、水晶発振器、電圧制御発振器、SAWフィルター、ダイプレクサ、カプラ、バラン、LPF、BPF、誘電体デュプレクサなどの個別部品やこれら個々の素子を複数内蔵させた各種モジュール部品(アンテナスイッチモジュール、フロントエンドモジュール、RF一体型モジュール、Bluetoothモジュール、イメージセンサーモジュール、チューナーモジュールなど)や検出スイッチなどの部品などが挙げられる。
本発明において「絶縁を要する箇所」とは、その箇所を絶縁することによって、部品ケースである金属材料と部品内部の素子あるいは電気配線回路とが電気的短絡することを防止する必要のある箇所を意味する。
また、本発明において金属材料とは、様々な形状の金属を指すが、その中でも主に金属板または金属条のことを指す。
また、本発明の金属材料を用いた電気電子部品は、それに限定されるものではないが、例えば、携帯電話、携帯情報端末、ノートパソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオなどの電子電気機器に用いることができる。
本発明において、金属基材上などに耐熱性樹脂皮膜を設ける方法には、金属基材上の絶縁を要する箇所に、(a)接着剤付き耐熱性樹脂フィルムを配し、前記接着剤を誘導加熱ロールにより溶融し、次いで加熱処理して反応硬化接合する方法、(b)樹脂または樹脂前躯体を溶媒に溶解したワニスを塗布し、溶媒を揮発させ、次いで加熱処理して反応硬化接合する方法などが挙げられる。
(a)の方法は金属基材上に耐熱性樹脂皮膜を高精度に位置決めすることができる点で推奨される。(b)の方法でも、採用工法と装置によっては高精度化が可能である。例えば、塗装部をオフセット(平版)印刷やグラビア(凹版)印刷のロールコート法設備を応用した方法、或いは感光性耐熱樹脂の塗工と紫外線や電子線によるパターン形成と樹脂硬化技術を応用する方法、さらには回路基板における露光現象エッチング溶解による微細パターン形成技術の樹脂皮膜への応用などから、樹脂皮膜の形成精度レベルに応じた製造工法を採用することができる。なお、金属基材上の耐熱性樹脂皮膜を設ける位置の公差は、多数の部品に通用させることを配慮すると、望ましくは±0.15mm、より望ましくは±0.10mm、さらに望ましくは±0.05mmである。
本発明において、金属基材には、打抜加工や絞り成形などが可能な延性を有する材料、或いはばね性を有する金属材料が用いられる。具体的には、洋白(Cu−Ni系合金)やリン青銅(Cu−Sn−P系合金)などのCu系材料、42アロイ(Fe−Ni系合金)やステンレスなどのFe系材料が挙げられる。なかでも、リン青銅が好ましい。
本発明において、金属基材の電気伝導率は、電磁シールド性の観点から5%IACS以上が好ましく、10%IACS以上がさらに好ましい。また、比透磁率は1以上が好ましい。また、金属基材の厚みは0.01〜0.5mmが好ましく、0.05〜0.2mmのものがさらに好ましい。
金属基材は、例えば、所定の金属材料を溶解鋳造し、得られる鋳塊を、常法により、順に、熱間圧延、冷間圧延、均質化処理、および脱脂する工程により製造することができる。
本発明において、耐熱性樹脂皮膜を形成する樹脂には、例えば、ポリイミド系、ポリアミドイミド系、ポリアミド系、エポキシ系などの樹脂が用いられる。耐熱性樹脂としては、特に、ポリイミド系、ポリアミドイミド系が好ましい。
また、耐熱性樹脂皮膜の絶縁性は、体積固有抵抗1010Ω・cm以上が好ましく、1014Ω・cm以上がさらに好ましい。
また、耐熱性樹脂皮膜を、接着剤を用いて金属基板上などに設ける場合、接着剤にはポリイミド系、エポキシ系、アクリル系、シリコン系などの樹脂が用いられる。これらの樹脂は半田接合やリフロー半田実装をはじめとする加熱工程に対する耐熱性を有する。加熱条件が厳しくない用途では、前記樹脂以外の耐熱性能の小さい樹脂(例えば、フェノール系やポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート系の樹脂)を用いることも可能である。
耐熱性樹脂皮膜の厚みは、薄すぎると十分な絶縁性が得られず、またピンホールが発生し易いので、2μm以上が望ましく、3μm以上がさらに望ましい。一方あまり厚いと、筐体などへの成形加工性が低下するので50μm以下が望ましく、特には15μm未満が望ましい。
本発明においては、金属基材上に金属層を少なくとも1層有し、かつ上記樹脂皮膜が上記金属基材上に、直接、または上記金属層の少なくとも1層を介して設けられていることも好ましい。
上記金属層は単層に設けても、多層に設けても良い。例えば、半田実装する用途の場合、上記金属層のうち最も表層の金属層の厚みは、半田濡れ性が良好に保たれ、リフローはんだ接合などの溶融接合が可能な1μm以上とするのが望ましい。上限は20μm程度で、それ以上厚くしても効果は飽和する。それ以外の用途においては、耐食性や樹脂密着性などの観点から最も表層の金属層の厚みは0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましい。表層以外の金属層についても0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましい。
多層の場合、コストパフォーマンスの点から2層であることがより好ましい。多層を構成するそれぞれの1層の厚さは0.1μm以上10μm以下が好ましい。
金属基材上に設ける金属層の材料は、金属基材の材質、使用部品の種類、用途、要求特性、許容コストなどによって決まるが、いずれにしても本発明で求められる基本必要特性を満たす金属が選択される。前記金属層には、通常、Ni、Cu、Sn、Ag、Pd、Auの金属のいずれか1種、または、前記金属の少なくとも1種を含む合金、共析物、もしくは化合物が用いられる。
コストパフォーマンスの観点から、単層皮膜の場合はNi、Sn、Agの各系(金属、合金、共析物、化合物)を、複層皮膜の場合は内層側(下地)にNiまたはCuの各系を、外層側にSn、Ag、Pd、Auの各系を用いるのが好ましい。3層以上の場合、中間層にはCu、Ag、Pdの各系を用いることが好ましい。
Ni系やCu系の下地層にも合金を用いることができる。またその構成は単体または単体複層で十分である。厚みは薄過ぎるとピンホールが多くなり、厚過ぎると加工時に割れが発生し易くなるので0.1〜2μm程度が望ましい。
下地を1層以上のNiやCuの各系皮膜とし、外層をSn系皮膜とする構成は一般的な必要特性を満足するうえ、経済的なため汎用される。
Sn系皮膜には、光沢皮膜より無光沢皮膜が適しており、Sn、Sn−Cu、Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Znの各系(金属、合金、共析物、化合物)が用いられる。Sn−Bi以外は融点の低い共晶付近の組成が用い易い。
特に、Sn、Sn−Cu系、Sn−Ag系合金は耐熱性に優れる。
前記Sn−Cu系、Sn−Ag系皮膜は合金皮膜形成のほか、Sn皮膜の上にCu層やAg層を薄く形成しておき、溶融時に合金化させて設けることもできる。
金属層は、耐熱性樹脂皮膜形成後、湿式法により設けるのが一般的である。
湿式法には浸漬置換処理法、無電解めっき法、電析法などがあるが、中でも電析法は金属層の厚みの均一性、厚み制御性、浴の安定性などの点で優れる。トータルコストも安い。
前記電析法は、市販浴や公知のめっき液を用い、金属基材をカソードとし、可溶性または不溶性アノードとの間に適切な相対速度に前記めっき液を擁して、定電流電析により行われる。
金属層を部分的に設けるには、不要部分をマスキングする方法、必要部分のみにスポット的にめっき液を供給する方法などが適用できる。
本発明において、金属層は、はんだ付けする箇所など必要な箇所のみに設け、他の箇所は金属基材が露出した状態にしておいても良い。
本発明においては、金属基材または金属層にシランカップリング処理やチタネート系カップリング処理などのカップリング処理をはじめとする有機及び無機結合の下地処理が施されていることも好ましい。金属基材または金属層が例えばシランカップリング処理されていると、金属基材または金属層と、耐熱性樹脂皮膜との密着性が向上する。
例えば、シランカップリング処理は、一般に、シランカップリング剤を溶解した水溶液に金属基材を浸漬して行われる。シランカップリング剤は、市販品の中から使用する耐熱性樹脂皮膜や前記樹脂皮膜の接着に適したものを選択する。特にはエポキシ系シランカップリング剤が推奨される。
本発明においては、金属基材表面から樹脂皮膜表面までの高さが60μm以下であることが好ましく、2μm以上30μm以下がさらに好ましい。この厚さが厚すぎると、低背部品には不適であり、部品形成精度が低下する。
以下に本発明の電気電子部品用金属材料の好ましい実施態様を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施態様に限定されるものではない。
図1は、本発明金属材料の第1の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1表面の少なくとも絶縁を要する1箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられている。
なお、基材表面から耐熱性樹脂皮膜表面までの高さを「h」で示している(以下の図2〜8も同様である)。
図2は、本発明金属材料の第2の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1の片面全面にわたり、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている。
図3は、本発明金属材料の第3の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1表面の絶縁を要する2箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられている。
図1、図2、および図3に示した本発明金属材料は、耐熱性樹脂皮膜2が絶縁を要する箇所に設けられているので、金属基材からなる筐体と内蔵部品との間の絶縁性が良好に保てるので、筐体の低背化に有利である。また、図1および図3では、前記耐熱性樹脂皮膜2が設けられていない箇所は金属基材が露出しているので放熱性が高度に維持される。
図4は、本発明金属材料の第4の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1上の少なくとも絶縁を要する1箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられており、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材上にNi層3が設けられている。
図5は、本発明金属材料の第5の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1上の絶縁を要する2箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられており、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材上にNi層3が設けられている。
図4、5に示した金属材料は、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材1上にNi層3が設けられているので耐食性が向上する。
図6は、本発明金属材料の第6の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1上の少なくとも絶縁を要する1箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられており、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材1上にNi層3およびSn層4がこの順に設けられている。
図7は、本発明金属材料の第7の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1上にNi層3が設けられており、その上の絶縁を要する2箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられており、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材1上にSn層4が設けられている。
図6、7に示した本発明金属材料は、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材1上にSn層4が設けられているので半田接合やリフロー半田実装などが容易に行える。また金属基材1成分の拡散がNi層3により阻止されるためSn層4の変色が防止される。この他、図7に示した本発明金属材料については、耐熱性樹脂皮膜2がNi層3上に設けられているので樹脂皮膜との密着性向上効果が得られる。
また、図6、7に示すように金属層を2層に設けたものは、金属基材1が良好に保護され、金属基材1の耐熱性、耐酸化性、耐食性などが向上する。また金属層外層が金属基材1成分の拡散により合金化或いは化合物化するのを抑制することができる。
特に下地にNi層またはCu層を設け、外層にSn層を設けたものは、Sn層の化合物化が十分抑制されて、耐熱性や耐ウィスカー性が高度に維持され推奨される。金属層を3層以上設けるとさらに効果的であるが、コストパフォーマンスの点で金属層は2層が適当である。
図8は、本発明金属材料の第8の実施態様を示す拡大断面図である。
金属基材1にシランカップリング処理やチタネート系カップリング処理などのカップリング処理をはじめとする有機および無機結合の下地処理が施され、その処理層5上の絶縁を要する1箇所に耐熱性樹脂皮膜2が設けられており、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材2上にNi層3およびSn層4がこの順に設けられている。この金属材料は金属基材1が例えばシランカップリング処理されているので、金属基材1と、耐熱性樹脂皮膜2との密着性が向上する。
本発明金属材料の耐熱性樹脂皮膜2が設けられていない箇所には、さらに銅材などのヒートシンクを設けて、放熱性を著しく高めることも可能である。特に、図6〜8に示す金属材料では、はんだ付けにより容易にヒートシンクを接合できる。
図9は、本発明金属材料の第9の実施態様を示す平面図である。
金属基材1上の絶縁を要する箇所に耐熱性樹脂皮膜2がストライプ状に設けられている。耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材上にNi層3、あるいはNi層3およびSn層4をこの順に設けてもよい。また金属基材1にシランカップリング処理やチタネート系カップリング処理などのカップリング処理をはじめとする有機及び無機結合の下地処理層5上の絶縁を要する1箇所に耐熱性樹脂皮膜2を設け、耐熱性樹脂皮膜2が設けられている箇所以外の金属基材2上にNi層3およびSn層4がこの順に設けてもよい。
図10は、本発明金属材料の第10の実施態様を示す平面図である。
金属基材1上の絶縁を要する箇所に耐熱性樹脂皮膜2がスポット状に設けられている。その他は上記第9の実施態様と同様である。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
Cu−6質量%Sn−0.2質量%P合金(リン青銅)、JIS合金番号C7521(洋白)、および、Fe−42質量%Ni合金(42アロイ)をそれぞれ溶解鋳造して鋳塊とした。前記鋳塊に熱間圧延、次いで冷間圧延を施して厚み0.1mm、幅20mmの条とした。前記各条に電解脱脂、酸洗処理、水洗、乾燥の各工程をこの順に施した。なお、一部の条には乾燥工程前にエポキシ系シランカップリング剤を溶解した水溶液に浸漬してシランカップリング処理を施した。
次に、乾燥後の各条の絶縁を要する箇所に、下記(a)または(b)のいずれか方法により厚み3μm以上の耐熱性樹脂皮膜を設け、試料No.1〜27を作成した。
(a)n−メチル2−ピロリドンを溶媒とするポリイミド溶液または前躯体溶液、ポリアミドイミド溶液または前躯体溶液、またはメチルエチルケトンを溶媒とするエポキシ樹脂溶液の各ワニスを、条(金属基材)の片面の幅方向中央部分にストライプ状(幅10mm)に塗装し、次いで溶媒除去または脱水反応後に、所定の加熱処理を施して硬化または重合させて耐熱性樹脂皮膜を設けた。前記皮膜の厚みは種々に変化させた。
(b)予め接着剤(厚み15μm)を塗布した耐熱性ポリイミド樹脂フィルム(厚み12.5μm)を幅3mmにスリットし、これを条(金属基材)の片面の幅方向中央部分に2mm間隔に2本貼り付け、これを2本の誘導加熱ロール間で加熱圧着し、さらに二段加熱処理により接着剤を溶融硬化させて接合した。
前記耐熱性樹脂皮膜を部分的に設けた条の一部を用いて、金属基材からの耐熱性樹脂皮膜の引き剥がし強度をテンシロン試験機により調べた。
次に、前記条の耐熱性樹脂皮膜が形成されていない面に金属層を市販または公知の電気めっき浴を用いて電気めっきし、条材料(電気電子部品用金属材料)を製造した。次いで前記条材料を短尺に切断して概ね15mm角または5mm角に近い形状に打抜き、これをカバーに絞り成型した。
前記カバーを試験用基板のモジュール部品(チップ数5、高さ2mm)の覆いに用い、前記モジュールに直流100Vの電圧を印加して前記カバーの絶縁抵抗を調べた。次に前記試験用基板を5時間連続作動させた後のカバー内部の温度を測定して前記カバーの放熱性は調べた。さらに前記カバーを280℃の半田浴に3分間フロートした後、その外観を観察してリフロー耐熱性を調べた。
これらの試験結果を表1、2に示す。また、表1、2には条材料の構成を併記した。なお、表1、2において、樹脂形成方法の欄の「塗装」は上記(a)の方法で、「フィルム」は上記(b)の方法で、それぞれ皮膜が設けられたことを示す。また、表2の接着材の種類の欄の「ポリイミド」、「エポキシ」、「アクリル」および「シリコン」は、それぞれ上記(b)の方法における接着剤に用いられた樹脂の種類を示す。
(実施例2)
金属層を設けなかった他は、実施例1の試料No.8〜20と同じ方法により条材料(試料No.28)を製造し、実施例1と同じ試験を行った。試験結果および条材料の構成を表2に示す。
(実施例3)
耐熱性樹脂皮膜の厚みを2μmとした他は、実施例1の試料No.1と同じ方法により条材料(試料No.29)を製造し、実施例1と同じ試験を行った。試験結果および条材料の構成を表2に示す。
(実施例4)
実施例1における(a)法により金属基材片面全面に耐熱性樹脂皮膜を設け(片面全面塗装)、耐熱性樹脂皮膜の厚さを7μmとした以外は、実施例1の試料No.2と同じ方法で条材料(試料No.30)を作成した。また、実施例1における(a)法により金属基材片面全面に耐熱性樹脂皮膜を設け(片面全面塗装)、耐熱性樹脂皮膜の厚さを6μmとし、下地めっきの厚さを0.1μmとした以外は、実施例1の試料No.9と同じ方法で条材料(試料No.31)を作成した。これらを実施例1と同じ試験を行った。試験結果および条材料の構成を表2に示す。
(比較例)
各条材の表面に金属層を電気めっきしただけの条材料(試料No.32、33)を製造し、実施例1と同じ試験を行った。試験結果および条材料の構成を表2に示す。
なお、実施例および比較例において、基材表面から耐熱性樹脂皮膜表面までの高さh(図1〜8参照)はいずれも60μm以下とした。
Figure 2004197224
Figure 2004197224
表1、2から明らかなように、本発明例の実施例(No.1〜31)の材料は、いずれも樹脂皮膜の引き剥がし強度および絶縁抵抗が高く、カバー内部の温度が低く、かつリフロー耐熱性に優れるものであった。
No.3と4、並びに、No.22と23を比較すると樹脂形成前にシランカップリング処理すると引き剥がし強度が向上することが分かる。
実施例2(No.28)の材料は金属基材表面に金属層を設けなかったものであるが、、絶縁抵抗、およびカバー内部の温度が実施例1とほぼ同等の特性を示した。引き剥がし強度は、No.8〜20に比べ、若干低下したが、実用上支障がない程度であった。
実施例3(No.29)の材料は耐熱性樹脂皮膜の厚みが比較的薄かったため、引き剥がし強度および絶縁抵抗が若干低下した。また樹脂に変色が認められたが、実用上支障がない程度であった。
実施例4(No.30、31)の材料は金属基材片面全体に耐熱性樹脂皮膜を設けたためカバー内部温度が高めになるものの機能に問題は無く実用できた。これに対し、比較例(No.32、33)の材料は耐熱性樹脂皮膜が設けられていないため絶縁性に劣り、いずれも低背化に十分対応できないものであった。
本発明の電気電子部品用金属材料の第1の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第2の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第3の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第4の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第5の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第6の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第7の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第8の実施態様を示す拡大断面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第9の実施態様を示す平面図である。 本発明の電気電子部品用金属材料の第10の実施態様を示す平面図である。
符号の説明
1 金属基材
2 耐熱性樹脂皮膜
3 Ni層
4 Sn層
5 下地処理層

Claims (5)

  1. 金属基材上の少なくとも一部に樹脂皮膜を有することを特徴とする電気電子部品用金属材料。
  2. 前記金属基材上に金属層を少なくとも1層有し、かつ前記樹脂皮膜が前記金属基材上に、直接、または前記金属層の少なくとも1層を介して設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気電子部品用金属材料。
  3. 前記金属基材、または前記金属層が下地処理されていることを特徴とする請求項2記載の電気電子部品用金属材料。
  4. 前記金属基材表面から樹脂皮膜表面までの高さが60μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料が用いられたことを特徴とする電気電子部品。
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